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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

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さてさて出勤。
魚、ほとんどないなぁ。
流石に台風。
こちらのほうに対して影響はなかったものの、波が高く出漁してないようだ。
客いわく野菜も駄目みたいで高いそうだ。
昨日の当てが外れた分、今日買わなきゃいけないほどの事もないようで売れない。
暇じゃないか。
仕事を終えて帰宅したが疲れてないから眠くもなく。
かといって外を散歩するのは暑い。
先生の家のあたりはもっと涼しいからなぁ。買物も行けてたけど。
少し縫い物繕い物を片付けるか。
それと掃除もしようか。
とりあえず繕い物をしなきゃ。ズボンの裾がほつれてるんだよな。
ミシンが使えればこんなものは一瞬なんだろうけど。
そう思いつつ絎けて。
縫い物する気力も掃除する気力も丁度失せた。
針をきちんと片付けてベッドに潜り込む。
お昼寝しよう。
あまりよく寝られずうつらうつらと。
何かだるい。
先生からメールがきた。
お夕飯の写真。
今日はだるくて素麺です、とある。
先生もどうやら具合がよくなく、早めに寝るそうだ。
明日早めに行けるようなら行った方が良いな。
俺も何か食って寝よう。
冷蔵庫を漁って常備のおかずで食った。
ベッドに潜り込めば先生がお風呂から膝の写真……なんで膝?
なんとなく、だそうだ。
良いけど。十分萌えられるし。
おやすみなさいの挨拶を交わし、先生よりは早く寝た。
翌朝は少し荷物が回復してきてはいるものの…少なくはある。
ハモが売れ残りそうなので数本持っていくことにした。
早めの帰宅、それから移動。
車で先生のお宅に着いて台所へ置いた。
居間でくつろぐ先生方に挨拶。
「それで土間に発泡の箱があるんですが絶対触らないでくださいね。噛まれますから」
「何持ってきたのよ。噛まれるって」
「ハモですよハモ」
納得された。
「で、体調どうです?」
「まだだるいのよね。お母さんも」
「生徒さんもそうみたいでキャンセル3人だよ」
「やっぱり台風の影響でしょうかね、気圧が一気に上下しましたし」
「そうなのかしら」
「やりくりしたから今日は3時くらいにあんたのお稽古して、仕舞うからね」
「あ、はい。そんじゃそのあと飯の支度、俺やりますよ」
「ご・は・ん。よろしくね」
「あー。…はい」
八重子先生が微笑んでる。
とりあえず支度をして先生を待つ。
若い方は流石に元気だが若くない方は夏の疲れもあるのかな。
茶杓を取り落とされたりふらつかれたり。
お稽古は軽め軽めに流して行くことに。
俺へのお稽古も復習程度だ。
さっさと水屋も片付けて着替え、食事の支度に台所へ入る。
先生方は遅い昼寝。
指定のメニューの下拵えをしてそれから土間の箱を外で始末する。
噛まれないよう〆て神経抜きで一本ずつおとなしくさせた。
シンクでかねたわしを使いぬめりを取り、板の上で一本ずつ開いて腹をあけ背骨を外す。
うん、まだ綺麗な色をして身も蠢いている。
すべて処理してナイロン袋に生ごみを密封した。
板を一度よく洗い、それから骨切りをする。
串を打ち、七輪へ乗せた。
細いハモは湯引き用に切ってある。
焼ダレを持ってきた箱に入れ、刷毛をセットした。
待つ間に今日の料理をして行く。
なぜか豚汁。
暑いときは熱いものを、なのかな。
他にいくつか作ったころ下焼きが出来た。
たれを塗っては焼くこと3度。
ん、良い感じだ。
9割方仕上がってご飯も炊けた。
食卓を片付け先生を起こして配膳する。
あとは湯引き。
律君と孝弘さんも出てきたようだ。
お櫃と湯引きの皿を持って出る。
先生は…ぼんやりしてる。
八重子先生はまだ寝てるか、しょうがない。
かわりにお櫃からご飯をよそって渡す。
「あ、ありがと…」
半分寝ぼけつつご飯を食べてる先生と言うのも結構可愛くて好きだが多分消化に悪い。
暫く食べているうちに先生が煮豆を取り落とした。
お箸を持った手を机に置いて止まっている。
「…寝てきます?」
「あ、ごめんなさい、食べるわ」
「お母さん寝たら?」
「変な時間にお腹すいちゃうじゃない」
「食べさせてあげましょうか」
ビクッとして慌ててる。
「良いわよ、自分で食べるから」
ちょっと目が覚めたようだ。
それでも食べている口が止まったり、お箸が止まったり。
「もうご馳走様にしたらどうです?
 どうせ八重子先生もお腹すくと思いますから一緒に食べたら良いじゃないですか」
「んー…そうするわ」
お箸を置いた。
「律君、ちょっと布団敷いて来るから」
「あ、はい」
急いで布団を敷いて先生を呼びに戻ると床に崩れてる。
「ありゃ」
「お母さん、布団で寝てよ」
「ぅーん…」
ひょいと抱え上げて寝間へ連れて行って布団に押し込める。
「ん、キスして」
「はいはい」
軽くキスをして寝かしつけて食卓に戻った。
あぁ…いない間に俺のお茶碗のご飯まで食われてるし。
「ごめん山沢さんっ。止めたんだけど」
「いいよ、いいよ。どうせもう一度炊くから」
「ハモって結構おいしいんだね」
「これついさっきまで生きてたからね」
「え、そうなの?」
「うん、八重子先生には触らないようお願いしてあったんだ」
「おばあちゃんじゃ料理できない?」
「じゃなくて噛むんだよ。コレ。もれなく化膿する」
「ええっ」
マジマジと見てる。
「結構魚って毒があったり噛んだり刺したり。だから手がね、傷だらけになるんだよね」
「道理で…」
ご馳走様をして台所を片付ける。
先生方の分は取り置いてあるから問題なし。
ご飯を3合炊く。明朝の孝弘さんのオヤツに消える予定。
さて、居間に戻ったところで俺一人か。
とりあえずコーヒーを入れた。
ぼんやりとしていると眠い。
身を起こして戸締りを確かめ火の始末をする。
いつ寝てもいいように。
律君達が風呂に入り、呼びに来た。
入っておくか。
軽く汗を流して出てくると八重子先生がおきていた。
「お腹、すいちゃってねぇ」
「ちゃんと取置いてありますよ」
ご飯をよそっておかずとお盆に載せ持ち出した。
並べる。
「うなぎ?」
「ハモです」
割としっかり目に食べられて、それからお風呂へ入られた。
一応出てこられるのを待って寝間へ引き上げた。
先生の寝息。
気持ち良さそうだ。
横にもぐりこむと先生が寝返りを打ち、俺の胸を枕にした。
髪が触れて少しくすぐったいが眠気に負けた。
おやすみなさい。
夜半先生が起きた。
「どうしました?」
「どうしよう…お腹すいちゃった」
「まだご飯あるよ。食べる?」
「こんな時間に? 太るわ」
「でもおなかすいたままでは寝らんないでしょう」
うーん、と悩んだ挙句やはり食べることに決めたようだ。
先生が先ほど手をつけそびれたおかずを並べる。
「あら、ハモ? おいしそうね」
うふ、とか笑って食べてる。
「そういえば。お母さんは食べたのかしら」
「あ、俺が寝る前に」
ギシギシと廊下が鳴る。
「電気ついてると思ったらこんな時間に食べてんの?」
「だってお腹すいちゃったんだもの。あんたもなんか食べる?」
「いらない…水飲みに来ただけだし」
そういって台所に行って部屋に帰っていった。
「ごちそうさま」
「お粗末さまでした」
暫くゆっくりしてから寝間へ引き上げることにした。
先生が歯を磨いてきて俺の懐に潜り込みキス。
かすかに歯磨き粉の味。
何かしようか、と思った途端のあくび。
「ごめんね、まだ眠いの」
諦めて再度寝かしつけた。
朝になって先生はゆったりと俺の懐で眠っている。
見ていると幸せな気分だ。
安心しきって俺にすべてを預けているようで中々に気分が良い。
もう少しこのままでいよう。
暫くしてもぞもぞと先生が動く。
あ、目を開けた。
「何時?」
かすかに唇が動く。
「6時ですよ」
「あら、もう起きなくちゃ」
先生が身づくろいしている間に先に台所へ。
さてと朝ご飯を作ろう。
うざく、じゃなくてハモと胡瓜の酢の物。コレは俺のだけ茗荷なしで。
…あじの南蛮出すつもりだったの忘れてた。
魚の酢の物2種? うーん。
先生が出てきたのでどうするか聞く。
あじは昼にまわすことにした。
先生が冷蔵庫を見てあれこれ指示を出すのに従って朝食を作った。
「律ーごはんよー」
八重子先生が律君を呼んで、律君がお父さんを起こしに。
おいしくいただいたら今日は平日、家事をせねば。
風呂も洗い、茶室の掃除に庭掃除。
途中にお昼ご飯をはさんで掃除をする。
明日からは人出入りが多いだろうから居間と客間も丁寧に。
まだまだ手を掛けたかったが先生がそろそろご飯にすると仰る。
配膳を手伝い男共を呼ぶ。
「そういえばさ、律君は海行かないの? 夏だけど」
「いやぁ海ってなんか怖いじゃないですか。色々とね」
「あぁ…色々ね、うん」
孝弘さんも席に着いた。先生がお櫃を持って出てお夕飯。
「お待遠様~」
お、肉だ肉。
俺にだけ。
嬉しいなぁ♪
がっついてると先生がにこやかだ。
しっかりと平らげて明日への体力の保持。
早めに帰宅した。
翌日の出勤はいつもより1時間早く、他の社員たちも同じ時間に出てきて眠そうだ。
盆前と言うことで忙しく気づけば10時を過ぎているがまったく仕事は減っていない。
次から次へと来る仕事をこなして終わったのは3時過ぎ。
やれやれと帰宅した。
お昼を食べて暫くしても山沢さんが来ない。
「来ないわねぇ」
「ん?」
「山沢さん。いつもならそろそろ来るのに…」
「あんたお盆の間は来ないって言ってたじゃないの」
「そういえばそう言ってたかしら? でも今日は木曜よ」
「お稽古がなきゃ来ないだろ」
来ると思ってたから昨日見送りにも立たなかったのに…。
しょげてたら姉さんが来た。
「ただいま。久しぶり。おもて暑いわねえ」
「おかえりなさい。ほんと暑くてお買物とかつらいわよね」
「これお仏壇のお供え。律ちゃんは?」
「学校行ってるのよ」
「お休みじゃないの?」
「なんかあるんですって、しなきゃいけないこと」
「いつも片付いてるわねぇこの家」
「山沢さんが昨日気合入れて掃除してたからかしらね」
姉さんに冷えた麦茶を出しておしゃべり。
「あらあんた掃除もさせてるの?」
「そのかわり私が山沢さんの家掃除したりご飯作ってあげたりしてるわよ」
「今日は来てないの?」
「そうなのよ…」
「お盆だから遠慮するんだってさ」
「おうちに帰られるのかしらね」
「ううん、ずっと出勤ってぼやいてたわ」
「あらー、大変ねえ」
久々に姉さんと沢山おしゃべりして楽しく過ごし、お夕飯を作る。
玄関から物音。
覚兄さんかしら。
玄関に出てみたら山沢さん。
「あら」
「先生…」
がばっと抱きつかれれちゃった。
「ちょ、ちょっと、こら。重いわよ」
危なく押し倒されるところで姉さんが出てきた。
「あんたら何してるのよ」
「うぅ? あーこんにちは、斐さん」
「もうっ暑いから離しなさいよ」
「やだ」
「やだじゃないのっ、ほらっ」
唸りながら離れてくれた。
「この家やっぱ涼しい…」
「今日来ないんじゃなかったの?」
連れて居間に入る。
「昨日帰る前に晩飯のリクエストしたじゃないですか」
「…あらそうね」
お母さんが笑ってる。
「いつもより遅いから…」
「ああ、久々に15時間仕事したもんで。つっかれた…」
「家で寝てたらよかったのに」
「先生のご飯食べたいんですもん」
可愛いこと言うわよね。
「あ、でも来ないつもりだったからリクエストに沿えてないわよ」
「まじっすか」
「まぁ良いわ、なんか作ってあげる」
山沢さんを置いて台所へ。
「姉さん、冷蔵庫に牛肉あるの出してくれる?」
「はいはい、これでいい?」
なにしようかしら。
他のおかずの余ってるもの…大根があるわね。
ピリ辛でいためましょ。
銀杏に薄切りして一緒に炒めれば良いわ。
あとはピーマン1個あるからそれも。
「ねぇ絹?」
「ん?」
「山沢さん、いつもあんなことするの?」
「んー、普段はしないわねぇ。疲れてるとくっつきに来るわよ」
「子供みたいねえ」
「そういうと怒るのよ~」
「ますます子供みたいねぇ」
「私いないとお母さんにくっついてるわよ」
「そうなの? あらー」
「寝ててもしがみつかれるからお母さんは一緒に寝るの嫌なんですって」
「あんた大丈夫なの?」
「私? たまに暑い重いって蹴っ飛ばしてるらしいのよね」
山沢さんが畳の上で寝てたこともあるわね。
多分あれは私が追い出しちゃったんだと思う。
一応布団は譲ってくれてるらしくて。
「山沢さんは別に律でも良いって言うけど」
「さすがにそれは駄目でしょ」
「って律も言ってるわよ」
ご飯が出来たので姉さんに配膳を頼んでお父さんを呼びに行こうとしたら律が帰ってきた。
ついでにお父さんを呼んでもらう。
暫くして律が台所に顔を出した。
「お父さん部屋で食べるって。あ、今晩は」
「はいはい」
「久しぶりねぇ。どう?勉強頑張ってる?」
「えーと、はい」
「はい、これ持って行って」
「うん」
食卓も整ったみたいだしお櫃を持って私たちも。
律が戻ってきて食事。
山沢さんにだけお肉のお皿を。
「あれ、今日精進じゃないの?」
「山沢さんは別なの」
「ほら、まだうちに嫁に入ったわけじゃないからね」
「精進も悪くはないんですが…」
「来年はそうしましょ」
山沢さんがお肉のお皿を平らげたので積極的に野菜を食べさせる。
ご飯のとき幸せそうな顔をするから何か嬉しくなっちゃう。
「こういうの食べたらお盆って感じするわ~」
「そうだねぇ」
「今日はあんた家のほうは良いの?」
「うん、旦那は出張だし晶は合コンらしいから」
「良い人見つかると良いのにねぇ」
「そうねぇ」
「またお見合いの口が来たら言うよ」
「そうしてやって」
「おかわり? はいはい」
「よく食べるわねぇ、うちは晶だけだからこういうの見るの久しぶりだわ」
「みんな小さい頃は食卓は大変だったものねえ」
「あー男の子3人ですか、それは大変そうですね」
「大変だったわよ」
「でもちゃんと絹の分は取らないのよね、皆」
「甘やかされてますね」
「末っ子はそうなるわよね。女の子だし」
「よく環がおこってたよ」
あはは、と笑いあってる間におかずもご飯もなくなった。
ごちそうさまをして洗い物に立つ。
姉さんと二人で片付けて居間に戻る。
山沢さんがいないわね。
「眠そうだから寝るように言ったよ」
「あら」
「ご飯だけ食べにきたのかしら」
「そうなんじゃない?」
姉さんは結局うちに泊まることになった。
山沢さん、どうしよう。
しないでいてくれるかしら。
心配になりつつもお風呂に入って戸締りし、寝間に入って。
気持ち良さそうに寝てるわね。
そっと横にもぐりこむとふわっと腕がかぶってくる。
起きた? 違うみたい。寝息が聞こえてる。
心地よさげな寝息に引き込まれて良く寝て朝になると山沢さんはいなかった。
夜中の間にお仕事に行ったみたいだわ。
何もしなかったのねぇ。
お化粧をするのに鏡の前に行って気づいた。
キスマーク…。
着物を着たら見えないところに。
恥ずかしいわね。
見られないようにしないと。
身づくろいをして台所へ。
朝ご飯を作ってみんなと食べる。
「あれ、山沢さんは?」
「お仕事行ったみたいよ」
「あ、仕事なんだ?」
「そう」
姉さんたちとおしゃべりしてたら晶ちゃんが司ちゃんと来た。
「途中で晶ちゃん拾ってきたよー」
「あら覚は?」
「代理ー」
「まったくあの子は」
「兄さんはいつもそうよね」
お墓参りもしてお昼を作っていると山沢さんが来た。
「あら? 来たの?」
「うん、あっちいるから」
「わかったけど…お昼は?」
「いらない。寝てるから暇になったら来て」
「はいはい」
山沢さんを送り出して、お昼を食べる。
山沢
アラームの音に目が覚めると先生が懐の中でよく寝ている。
起こすのは可哀想だから胸元にキスを落とし、静かに身づくろいして家を出た。
車を走らせ会社へ。
注文FAXを見て各種取り揃え、水洗いしたり配達の指示を出したり。
9時半頃には電話も鳴り止み、片付けて帰宅した。
風呂に入って一服。
さて、行くかね。
また車を走らせて先生のお宅へ。
玄関から既に客が多そうなのが見て取れる。
丁度先生がいたのであちらにいることを告げた。
まだ、眠い。
蒸した部屋に入りクーラーを入れて快適になったところでベッドに潜り込む。
気持ち良く眠れる。
しかしながら夕刻になっても先生は来ない。忙しいようだ。
腹減った…メシ、どうしよう。
とりあえずメールを打つ。
近所の飯屋に行こうと思っている、と。
暫くして返事が返ってきた。
俺のこと忘れてたみたい。
用意する、と言うのを断って食べに出た。
店で適当に注文して食う。酒も少し飲んだ。
そういえばこういう所へ入るのも久しぶりか。
意外とうまい。
葉唐辛子の炒め物もうまい。
ししとうの辛子天ぷらも意外といける。
長いもの漬物はゆずの風味がする。
野菜の肉巻きはマヨ味噌風味だ。
揚げ物が少ないところを見ると冷凍品をあまり使わない店のようだ。
豆乳鍋を食べた。うーん、満足。
ご飯を投入して締めにする。
ご馳走様でした。
良い店を見つけたようで嬉しくなって帰宅する。
盆中は会えないのも仕方ない、と割り切ってテレビをつけて転寝。
夜更け。
先生が来た。
「遅くなってごめんね」
「別にいいんですよ、忙しいでしょう」
「みんな来てるから抜けられなくて…待ちくたびれた?」
「大丈夫、寝てたから」
軽くキスして抱き締める。
懐に寄せてテレビを見つつ先生のおしゃべりを聞くのが楽しい。
先生が恥ずかしげに聞いてきた。
「あの…しなくていいの?」
「精進でしょ、いいよ。我慢できないわけじゃないから」
「ほんとに?」
「ん、こうしてるだけで良いよ。12時くらいになったら帰りなさい」
「でもそれじゃ」
「どうせ俺また出勤だから。寝てるの見ながら出勤するほうが辛い」
「わかったわ。じゃこのままね」
「うん」
先生の体はしっとりして滑らかで。劣情を誘う。
日曜には出来るからそれまで我慢しよう。
いちゃいちゃしてるうちに12時のニュースになった。
「じゃそろそろ」
「そうね。また明日来るの?」
「うん、多分。今日と同じ感じで」
「わかったわ、ごめんね。構えないけど」
お盆なんだからしょうがない。
キスしてから送り出した。
さて、少し寝ようか。
朝、まだ日の昇らぬうちに起きて職場へ行き、仕事をする。
さすがにお盆の最終日と言うことで。
仕事を終え、売れ残った赤むつを持って先生のところへ。
お精進とは言うが。
直接お勝手から上がりこみ、焼いておいた。
それからあちらの家に行ってクーラーをつけて寝る。
起きたらメールして昨日の店で飯を食う。
今日はブロッコリーとベーコンを炒めたのがうまかった。
ごろ寝をしているとそろそろ時間。
タブレットを開き送り火の中継を見た。
今年は5分早かったそうだ。
夏が終る…。
すべての火が消えてぼんやりとしていると先生が来た。
「寝てたの?」
「いや、起きてました」
「姉さんたち、帰ったから。遅くなっちゃったわね」
「おいで」
帯を解いてすっと俺の懐に来た。
うん、いい匂いがする。
暫く抱いていると寝息が聞こえてきた。
疲れてたようだ。
脱がせて一緒にベッドに入る。
気持ち良さそうに寝ている。可愛いなぁ。
頬をなでて出勤までしばしまどろむ。
アラームの音に目が覚めると先生も起きたようだ。
「あら? やだ、寝ちゃってた?」
「うん、そのまま寝てたら良いよ。日が昇ってから戻りなさい」
「ん、そうするわ」
ぽふっと枕に頭が落ちた。
可愛くてついキスをしてしまう。
「行ってらっしゃい、気をつけてね」
「はい」
先生を置いて出勤だ。
手早く着替え、部屋を出る。
やっぱりちょっとさびしくて振り返ったり。
先生は眠気に負けてはや寝息を立てているようだが。
鍵を閉めて車に乗り込んだ。
Uターンの時期ともあり、早朝でもそれなりに車が出ている。
会社に着き、流石にあまり注文もなく。
だけどある程度の時間までは待機の必要がある。
暇になれば先生は今頃何をしているだろう、とそればかり考える。
よし、時間になった。帰って風呂浴びたら先生に会いに行こう。
今日は電車のほうがよい。
Uターンラッシュに巻き込まれたら車では帰れなくなりそうだ。
帰宅すると電気がついて鍵が開いていた。
「おかえりなさい、暑かったでしょ」
「先生。来て下さったんですか」
「うん、うちじゃゆっくりできないでしょ、あなた」
「嬉しいな。ちょっと待ってて、シャワー浴びてきますから。メシ一緒に行きましょう」
「ステーキ食べたいわ」
「わかりました。待ってて」
いそいそとシャワーを浴びて、出てきてすぐランチの予約を入れた。
髪をタオルで拭いて着替え、先生の手を取ってホテルへ。
神戸牛らしい。
先生と外食もなんだか久しぶりで楽しい。
幸せだなぁ。
「お精進ばっかりだったから余計おいしいわねぇ。あ、昨日お魚ありがと」
「台所、誰もいらっしゃらなかったものですから」
「お墓参りいってたのよ」
「なるほど」
先生が食べ終わられて、デザートをいただく。
うまいね。
あとのコーヒーもさっぱりしてよろしい。
ホテルを出ると暑くて先生がぼやいた。
「本当に都心って暑いのねえ」
「廃熱の多さでしょうね、ただまだこのあたりは風がありますから」
少し道を入ると途端にだめだけどね。
クーラーの効いた部屋に戻って先生が息をついた。
「着替える? 風呂はいる?」
「とりあえず脱いでから考えるわ…」
俺の前でしゅるしゅると帯締め、帯枕をほどいていく。
「…ストリップじゃないんだから和室で脱いできてくださいよ」
「ばかなこと言わないの。暑いじゃない」
ああ、そういうことね。あっちクーラーつけてなかった。
見てると抱きたくなるからベッドに寝転んだ。
「…んー。シャワー借りるわね」
「はいはい」
汗がべたついたらしい。
別にそのままで良いのに。どうせまた汗かくだろうし。
暫くして浴衣を着て風呂から上がってきた。
肌がピンクに染まっていて綺麗だ。
「あー涼しい」
クーラーの直撃するところに陣取って涼んでる。
綺麗だなーとぼんやり。
暫く涼んでた先生が立ち上がってベッドに来た。
引き寄せてキス。
伊達締めをほどいて先生の素肌を楽しむ。
白くて滑らかで。しっとりしている。
お尻をなでる頃には先生の息も荒くなってきていて興奮しているようだ。
ちろりと乳首を舐めると声が出た。
恥ずかしそうにしている。
可愛い。
ひっくり返して沢山に弄ってあげた。
あんまりにもやりすぎたものだから先生はちょっと苦しそうだ。
涙目になっているのも可愛い。
先生はどうしてこうも俺のいじめたいというツボを刺激するのだろう。
ほんの少し落ち着くのを待って更に責める。
可愛らしい声だったのが悲鳴に変わって行くのもゾクゾクする。
悲鳴が途絶えた頃やっと落ち着いた。
先生の足が痙攣している。
ゆったりとマッサージをして先生の体を緩めていく。
先生はされるがままで少し涙を浮かべている。
苦しかったんだろう。
ほぐしているうちに寝息が聞こえてきた。
念入りに整えて、肌掛け布団を着せて俺も一緒に寝た。
夕方痛みに目が覚めると先生が俺の乳首に爪を立てている。
「どうしたの」
「お手洗い。連れてって頂戴」
どうやら立てなかったらしい。
少し声がかすれてる。
可愛くてキスしたら噛まれた。
「連れてかないよ?」
「殴るわよ」
それはちょっと遠慮したい。
脅されたので抱き上げてトイレへ連れて行って座らせた。
「外で待ってなさい」
「その声、ドア越しじゃ聞こえませんよ」
「壁、叩くから。出てて」
「はいはい」
暫く待つと流す音、それから壁を打つ音。
入って抱え上げ、ベッドに連れる。
「たった4日開いただけなのに…どうしてこうなのよ」
「たまにはいいじゃないですか。腹減ってますよね、何が食いたい?」
べちっと鼻を叩かれた。
「お腹すいてるけど、そうじゃなくて。やりすぎないで」
その手を取って舐めると乳首を掴まれてしまった。
「聞いてくれないなら後でひどいわよ」
うーん。それはこわい。
手を離してあげた。
「了解、気をつけましょう」
ふう、と溜息つかれて。
「お鮨取ってくれる?」
「はいはい、いつものところのお任せで良いかな」
「うん」
電話して頼む。
それから先生に洗ってある浴衣を着せて、俺も着替えた。
暫くして持ってきてくれたので支払いをして机に広げ、先生を座らせる。
俺にもたれて食べるしかなく、先生は不満そうだ。
「食べさせてあげようか」
「いらないわよ、自分で食べれます」
「怒って食べたら消化に悪いよ?」
「じゃ怒らさないようにして頂戴よ」
「そりゃ難しいな」
「努力しなさい」
「はい」
くすくすわらってると先生も微笑んだ。
先生が食べ終えて一服し、暫くしてベッドに連れ戻す。
「あんたも食べてきなさい」
「ええ」
軽くキスして食卓につき、俺の分を食べた。
桶を洗って表に出す。
ふー、満腹。と共に眠気が。
先生の寝転ぶ横に潜り込んだ
「ん、眠いの?」
「ちょっとね、眠くなっちゃいました」
「悪いけど寝る前にもう一度お手洗い連れてってくれる?」
「あ、はいはい」
連れて行って、連れ帰る。
「私ももう寝るわ。電気消してくれて良いわよ」
「ん、一緒に寝ましょうね」
「手は出しちゃ駄目よ」
「キスはいいでしょう?」
「いいわよ」
ふふっと笑ってリビングの電気を消し、寝室の電気も消した。
横にもぐりこみ、懐に抱く。
キスしておやすみなさい。
翌日は仕事だから先生を起こす。
眠がっているけれどトイレをさせてもう一度寝かせた。
昼近くまで帰れないからね。
漏らすのは可哀想だ。
どうせ漏らすなら俺の目の前が良い。
出勤して仕事をする。
いつもに比べれば暇だけど、休みでなまった体にはダルい。
その上暑い。
げんなりしつついつもより遅くに帰った。
「ただいま」
電気が消えてる。
寝室を覗くとよく寝ている。
苦笑してシャワーを浴び着替えて先生の横に侵入した。
「…ん? あら、おかえり」
「あぁ起きちゃったか。ただいま。トイレ行く?」
「そうね…連れてってくれる?」
軽々と持ち上げてトイレへ。
待っても壁がならないので声を掛けた。
「寝てます?」
「もうちょっと待ってて」
あ、大きいほうかな。
暫くして水の音と壁が鳴る。
中に入って抱き上げた。
消臭剤が撒かれているようだ。
床に座りたいというので下ろして、昼は何を食べたいか聞いた。
「あ、何か鯛焼きが食べたいわ」
「いや、先生、それはおやつでしょう」
「でも食べたいんだもの。買ってきて頂戴よ」
「他に何かいらんのですか」
「うーん、そうねえ…焼きそば」
「ジャンクなものが食べたい日ですか」
「よろしく」
「はい」
携帯を渡しておいて買物に出る。
お好み焼き屋のミックス焼きそばをご希望だ。
ついでだからと俺は鉄板焼きと牛筋、ゲソも頼んだ。
それからたい焼きを買いに行き、その帰りに焼きそば類を引き取った。
帰宅。
いざって壁にもたれてたようだ。
食卓に食べ物を広げるとにじり寄ってきて、まずはたい焼きにかぶりついた。
「デザートじゃなかったんですか」
「あったかいうちがおいしいのよ」
わからんでもないけども。
お昼ご飯を食べてゆったりと先生の胸を揉む。
先生が興奮しない程度にやわやわと。
やわらかくて気持ち良いなぁ。
先生ものんびりと俺に体を預けてる。
あくびひとつ。ふたつ。
「もう一度寝ましょうか」
「うん」
ベッドに連れて行って二人で潜り込む。
背中をなでて寝かしつけた。
俺も寝た。
夕方起きてメシを作る。
万願寺をとりあえず炒めてしいたけを焼いて。
ピーマンと人参と玉葱とアスパラと肉の炒め物を作った。
少しカボス風味。
ご飯はもうすぐ炊けそうだ。
先生を起こした。
暫く俺の胸に倒れこんでまだまだ眠そう。
「ご飯食べませんか?」
「んー食べるー…けどちょっと待ってー」
暫くして俺の肩を杖にして起きだした。
よろよろとだが歩いてトイレへ。
トイレの扉を挟んで会話する。
「今晩も泊まってったらどうです。その足じゃ帰っても大変でしょう」
「明日の朝になったら大丈夫かしら…」
「俺と一緒に車で行けばいい」
「んー…そうねえ、そうしようかしら。お母さんに電話しておかなくちゃいけないわね」
「そうしてください」
流れる音、ごそごそと身づくろいする音が聞こえる。
ドアが開き先生が俺の肩を掴む。
テーブルにつかせた。
ご飯も炊けたのでよそって渡し、席に着いた。
「いただきます」
「今日は野菜、多いのね」
「あなたとだから」
少し掴みにくそうだ。
先生が三分の一、俺が残りを食べてご馳走様をした。
洗い物を片付けていちゃいちゃすれば後は寝るだけだ。
先生が思い出したようで八重子先生に電話してる。
少し叱られたようで機嫌が悪くなった。
ベッドに入ってから俺の乳首を弄りつつ愚痴を言う。
「いてて、千切れるって」
「これくらいで千切れたりしないわよ」
腫れちゃうじゃあないか。
俺の乳首をひとしきり痛めつけた挙句、眠くなったって背を向けてしまった。
後ろから腕を回して先生の胸を揉む。
「こら、寝るって言ってるでしょ」
「触らせて」
「もう、しょうがないわね。でもえっちはだめよ」
「うん」
揉んでるうちにどちらともなく寝てしまった。
翌朝、起きて置き去りに仕事へ行く。
やっぱり暇!
とっととやることを終えて帰宅。
いつもはメシ食ってから帰るけど今日はあとで。
「先生、ただいま」
「あらお帰りなさい。ご飯まだなのよ」
「先生のおうちで食べませんか」
「そうする?」
「とりあえず帰りましょう、用意して。俺ざっとシャワー浴びるから」
「はーい」
先生が身づくろいしている間にシャワーを浴びて着替えた。
バッグを取って、忘れ物はないか見回す。
後部座席に乗せて先生のお宅へ。
「ただいまー」
「お邪魔します」
あ、まだお稽古されてるようだ。
「今の内に何か作りましょうか」
「そうね、お願いするわ」
台所へ行き冷蔵庫を見る。うーん。
あるもので三人分作ってると八重子先生が戻ってきた。
「あ、おじゃましてます」
「はいはいこんにちは。あんたねえ、あんまり無茶するんじゃないよ」
「すいません」
三人で食卓を囲み、俺は早飯食い。
先生は驚いた顔、八重子先生は渋い顔。
さっさと食べ終えて水屋を整え、用足しをして待機。
暫くして生徒さんが来られた。
今日は台子で薄茶をしたり、貴人をしたり。
台子はみなさんお忘れのようだ。
俺はそのまま行之行を稽古してもらってお終い。
水屋を片付けてるとおいしそうな匂い。
今日は何だろう。
楽しみにして片付け終えて台所に顔を出す。
肉じゃがだ!
豚じゃなくて牛肉の肉じゃが。
嬉しいなぁ。
にこにこして配膳する。
他のおかずもおいしそうで、これだから家で自炊がしたくない。
八重子先生に感謝していただきます!
いいなぁ律君はコレが当たり前で。
孝弘さんに俺のお茶碗を狙われたのを先生が察知した。
「あらお父さん、駄目よ。おかわりしますから」
て先生が言ってるのに俺のを食うなっ。
律君が頭を抱えてる。
先生は先に食べ終えてたので自分のお茶碗によそって俺にくれた。
「足りないでしょ?」
「ありがとうございます」
もう取られないよう左手に持ったまま食べた。
満腹になって先生と洗い物に立つ。
「ごめんね、ご飯」
「ははは、いいですいいです」
片付け終えてコーヒーを入れて居間へ。
のんびり。
順繰りに皆がお風呂に入った。
俺も仕舞い風呂で入り、掃除をして出る。
「ちゃんと服着なさいよ、律が困っちゃうでしょ」
「暑い…」
先生がうちわで扇いでくれてやっと冷めた。
八重子先生もそろそろ眠そうだ。
戸締りをして火の元を確かめ、寝間へ。
寝る前に肌の手入れをしている先生を見ると少しむらむらするが…。
今日は先生を寝かせておこう。
布団に入ってきたので胸や腹を揉みつつ寝かしつけた。
夏バテとまだ回復していないようだからね。
「おやすみ…なさい」
「ん、おやすみ」
すぐに寝息へと変わった。
気持ち良さそうだなぁ、俺も寝よう。
朝起きると先生の伊達締めが解けていて、先生の白い肌が目に毒だ。
夜中に無意識で脱がせてしまったと思われる。
触り心地が良いんだよなぁ。
しばし楽しんだがさすがにそろそろ起きなければ。
軽く寝巻きを直してあげて台所へ。
朝ご飯を作って八重子先生と配膳する。
先生も起きてきた。
二人を呼んできてもらい朝ご飯をいただく。
ニュースで山崩れの報告が相次ぎ、先生も眉間に皺を寄せている。
「うちの裏、大丈夫かしら」
「うーん。危ないな、と思ったらみんなでうちにきてくだされば」
「…みんなじゃ狭いでしょ」
「体育館や教室よりはましかと。取敢えずですよ取敢えず。真夜中でも構いませんし」
「そうねえ。大丈夫とは思うけど」
律君が学校へ行って孝弘さんは離れへ戻った。
八重子先生はお出かけ。
広い母屋に二人だ。
「あつーい…」
「ですねえ」
そういいつつも先生と二人、洗濯や掃除をして過ごし、昼を食べた。
「ねえ。昨日あなた…脱がせた?」
「うーん、多分?」
「多分って」
「起きたら解けてたんでよすね」
「昨日のうちにしたら良かったのに」
「いやバテてるのわかってますしね…」
「まとめてするからじゃないの」
「はは、じゃ後でしますか?」
「いよや、暑いもの」
断られてしまった。
残念。
一服してからも掃除を続ける。
茶室は上から下まで念入りにしないといけない。
汗を掻いて掃除を済ませ先生と買物に行き、風呂に入る。
思わず胸を弄ってしまい叱られて。
やっぱり自宅に昼間と言うのは駄目らしい。
明日のお稽古のあとか、土曜までお預けにされてしまった。
しょうがないね。
お夕飯を作ってる最中に八重子先生が帰ってこられて、律君は今日は遅い。
と言うことでさっさと食べた。
それから別れて帰宅。
明日も会えるだけにあまり切なくはない。
帰宅し、寝た。
翌日出勤したものの、西からの荷物が少なくまたお客さんもまだ盆休みのところが多く。
暇な一日だった。
暑さにくたびれつつもお稽古に行けば生徒さんも消耗気味。
先生には滋養剤を飲んでいただいた。
精のつくもの食べさせたいけど、強いものは却って毒かもしれない。
そう思っていると八重子先生に呼ばれ、代わりに買物を頼まれた。
俺が作るから好きなもの作って良いと言うことだ。
少し考え、豚肉と枝豆炒めとインゲンの胡麻和えにしようと決めた。
トマトのスライスも良いな。いや冬瓜の冷やし煮の方が良いか。
それからデザートはグレープフルーツ。八重子先生だけオレンジ。
よし、そうしよう。
先に決めて買物に出て急いで帰る。
やっぱり外、暑い。
稽古場の声を聞きつつ調理にいそしみ、生徒さん方が帰られた頃できた。
水屋に顔を出して片付けを交代し、先生方は一服。
片付けて料理を配膳し、孝弘さんを呼ぶと律君が帰ってきた。
「お帰り、シャワー浴びたら?」
「そうする」
先に食事を始めて、すぐに律君がさっぱりして戻ってきた。
先生がいそいそとご飯をよそっててほほえましい。
「あれ、なんでおばあちゃんはオレンジ?」
「高血圧の薬とグレフルは相性悪いんだよね」
「へぇ」
「ザボンとか、文旦とかね。HIVの薬とか、偏頭痛の薬もね」
「あなた変なことに詳しいわよねえ」
「高血圧とグレフルは有名ですよ? まだ」
「そういえば橙は食べるなって言われたんだけど」
「グループですね、みかんはOKですって言われました?」
「そういえば言われたような?」
ぺろりとすべて食べ終えてお片付け。
その後、帰る段になった少し先生が引き止めたそうにした。
でも今日は駄目、この時間からは無理。
ちゃんと寝て体力戻すことを心がけてくれ、と別れた。
ま、俺もね、寝ないとね。
ベッドにもぐりこんで先生とメールを交わして寝た。
翌日、仕事を終え今日は予定もなし、昼寝することにした。
先生は今頃…稽古中だな、うん。
夕方までたっぷり寝て買物に出た。
胡瓜と塩昆布、それから梨。
小鯛を造っておいたからもうコレで良いや。
少しの酒とで夕飯にする前に、面性に写メを送る。
先生からも今日の夕飯の写真。
さばの味噌煮かな? 何かのおひたしと筑前煮、胡瓜とこれはちくわかな? 胡麻和え。
うまそう。
ご飯に手抜きがない。
今日は早めに寝るとある。
明日抱くのも軽めにしよう。
疲れたりしない程度に。
暫く飲んでると早々にお休みのメールが届く。
…まだ7時半なんだが。
よっぽどお疲れか。
俺も寝るとしようかな。
ベッドにもぐりこみ、就寝。おやすみなさい。
さて土曜日は流石に少しは忙しく、やや疲れて先生のお宅へ。
でも先生の笑ってるのを見ればやる気も出て来る。
「具合、どうですか?」
「昨日早く寝たから今日はいいわよ~」
「それは良かった」
居間から下がって水屋の用意をして先生を待つ。
今日の生徒さんもバテ気味だ。
軽めのお稽古。
途中で八重子先生と交代して買物、食事の支度。
胡瓜と山芋の梅おかか和え、豚の冷しゃぶなどをメインに用意した。
今日は作り終えて水屋を覗くと稽古をつけてもらえた。
いくつか指摘されて直された。
「疲れちゃったわ…」
「お疲れ様です、あとでマッサージしましょうか」
「お願いできる?」
「ええ。ちょっと横になってたらどうです」
「うん」
そう言いつつも座ったまま片付ける私を見ている。
片付け終えて先生と居間に行けば既に配膳されていた。
「あ、孝弘さん呼んできて頂戴」
「律は?」
「さっき帰ってきたよ」
会話を尻目に離れへ呼びに行くと寝てるようだ。
「ご飯ですよー」
「む? 腹減った」
起きたおきた。
俺も腹減った。
先生にご飯をよそってもらって沢山食べて後片付けをする。
「山沢さんって元気だよねぇ」
「暑いのはなれてるから。こっちのほうが涼しいしね」
夜クーラーなしで寝られるだけ随分楽。
暫く団欒し、順繰りにお風呂に入る。
その後、マッサージするからと早めに二人で寝室に入った。
寝巻きを着せたまま布団に伏せさせゆっくりと揉み解す。
いつしか寝息に変わった。
う、今日は抱きたかったんだけどなぁ。
参ったな。
寝てるところをひっくり返してリンパの流れに沿って流す。
足首からふくらはぎ、太腿。
股関節を開いて。
不純なことをしたくなるけどぐっと我慢した。
気持ち良さそうな表情もそそりはするがおさえて寝巻きを直し、布団に入れた。
俺はちょっと今すぐは眠れず庭をうろついた。
ふと気づけば早くも虫の音。
そうか、もう夜は秋なのか…。
コト、と音がして振り向けば八重子先生。
「眠れませんか?」
「ちょっとねぇ、あんたこそどうしたんだい」
「いや、はは、先に寝られちゃいまして」
「あぁ」
頭をなでられてしまった。
「明日昼から連れて出て良いよ」
「いや、バテるでしょうしいいです」
「まぁ気が乗ったら連れて行ったら良い」
「すいません」
「もう秋が見えてきたねえ」
「そうですね」
リ、リ、リと虫の音。
「あの人ともよくこうして虫の音を聞いたものだけど」
暫くぼんやりと二人でたたずんで、それから各々引き上げ寝た。
朝方、早くに目が覚めた。そろそろ夜明けか。
身じろぎしたことで先生が起きてしまった。
「まだ起きるには早いから寝てて」
「ん、でも…寝れないわ」
「どうして?」
「その…」
そっと俺の手を掴んで股間へ引き寄せた。
「…してもいいの?」
こくりと頷く。
緩く、疲れさせはしないよう気をつけながら丹念に性感帯を弄る。
逝かせたがもうちょっとと言うので更に二回逝かせると寝てしまった。
今から寝て朝ご飯食べるのかなぁ。
そう思いつつ始末し俺は起きて台所へ。
朝食を作っていると八重子先生も起きてきた。
「ん? あんた嫌にすっきりした顔してるね」
「えーと、ははは…」
「朝御飯食べるのかねぇ」
「どうでしょうね」
作って配膳する。
パタパタと先生が出てきた。
「ごめんなさい、寝坊しちゃったわね」
「あ、あぁおはよう」
「昼まで寝てるかと思いましたよ」
「あらどうして?」
「…覚えてないなら良いです」
先生は首を捻ったままごはんをよそってる。
律君が起きてきてお父さんの食事を持っていった。
今日は部屋で食うようだ。
休日の朝御飯は気が急かなくていいね。
先生は食べつつあくびをして八重子先生に叱られた。
俺はそんな先生が可愛いから気にはならない。
食器を洗って片付け、お茶を入れて先生方とまったり。
「こんにちはー、おばさんいるー?」
「あら、司ちゃん。いらっしゃい」
「丁度良いところに来たね、山沢さんに梨をむいてもらおうと思ってたところだよ」
梨ってあったっけ?
「土間のところに箱であるからおいしそうなの選んで頂戴」
なるほど、お勝手の土間の箱、あれか。
席を立って剥きに行った。
3個くらいでいいか、足りなきゃまた剥けば良い。
先生と司ちゃんの話し声が聞こえる。楽しそうで良いなー。
と羨んでたらすこし指を切った。
むっとしつつ、切り分けて皿に盛り、居間に持って出た。
柱にもたれて先生たちがおしゃべりするのを見つつ食べる。
あ、うまい。
梨食うの久しぶりかも。
ふと、帰ろうかという気になって先生に告げて帰った。
珍しく昼前に帰宅して軽く食って寝た。
夕方の先生のメールで目が覚める。
司ちゃんたちと夕飯を囲む写真。
楽しそうだ。
俺も夕飯…面倒くさい。このまま寝てしまおう。
先生だって俺にかまわず寝るんだし、いいじゃないか。
寝返りを一つ打って寝た。

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夜半。
俺にとっては朝。
先生を置いて出勤するのは本当にいやなのだが仕方ない。
きっと帰ったらもう居ないんだろうなぁ、稽古日だし。
クーラーを入れたまま速やかに出勤する。
会社は既に暑い。
仕事中出来るだけ水分を取っているが。
うなぎの後と言うこともあり、全体的に暇で仕事を終えた。
暑い。
一旦帰ってから何か食おう。
帰宅。
すぐさま風呂に直行し、ぬるま湯で体を冷やした。
お帰りなさいの声が追いかけてきていたが。
やっと冷えて人心地つき、風呂から上がるとバスタオルで拭かれた。
「どうしたの?」
「ありがとう。 ただいま。暑くて」
頭をタオルで拭かれてそのままクーラーの効いた居間に。
「浴衣、もうちょっとしてからで良いから着て頂戴ね」
少し心配げだ。
腕を取って引き寄せる。
ん、いい匂い。
「だめよ、ご飯食べるでしょ」
「もうちょっと」
暫くして解放した。
浴衣に着替える間においしそうな匂いがしてきて、すぐにお昼ご飯が出てきた。
「暑くなかった? 買物いったんでしょう?」
「行ったわよ、朝のうちに。でもこっちは朝から暑いのね」
「夜に温度が下がらないから。メシおいしいです」
「メシなんてダメよ。ご飯ってちゃんと言いなさい」
「ご飯。うまいです」
「だからねえ…。もういいわ」
呆れられてしまった。
食べ終わって先生がお皿を洗っている。
一服していると洗い物を終えたらしく横に座ってきた。
手が伸びて俺の頭をなでる。
「ん? あれ、そういえば今日稽古…」
「今気づいたの? お母さんにお願いしちゃったわ」
「あー…。計画的行動だったんですね?」
「そうよ。たまにはいいじゃないの」
「お稽古サボりはダメだって言ってるでしょう」
あ、いじけた。
「しょうがない人だ」
ひょいと膝に乗せて背中を撫で、キスをする。
かわいいなぁ。すねてるのも。
「でもまだ終ってないのよ…あれ」
「えー。あ、そうか。まだか」
生理中はなぁ俺は良いけど先生の体に障るよなぁ。
「ごめんね」
「ま、そういう日もありますよねぇ。出来ないけど一緒に居たいとか」
「そうよ、うちだとこんなことできないもの」
バランスを崩して押し倒された。
「いてて」
「大丈夫? 頭打ってない?」
「ん、大丈夫。そのままそのまま」
床でごろごろするのも悪くない。
浴衣や寝巻きだとこういう格好はするが、先生がお太鼓のままと言うのも珍しく。
絽の紬だから襦袢がすけてうつるのも色っぽい。
やっぱり夏は透け感がいいよね。
麻も良いんだけど、涼しくて。
「うっ?」
先生が俺の乳首を摘んで遊んでる。
夏の浴衣だから透けてるし薄いしでわかりやすかったらしい。
「これもうちではできないから、ですか?」
「してもいいわよ?」
「できないくせに」
むっとしたらしく強くつねってきた。
「痛いよ」
「痛くしたんだもの、当然でしょ」
手が侵入してきた。
さわさわと撫でられてるうちに寝息が。
あー、寝ちゃったよ。
しょうがないなー、と帯を解いて脱がせた。
寝巻きを着せて一緒にベッドへ潜り込む。
お昼寝お昼寝。
夕方、おいしそうな匂いで目が覚めた。
「久さん? そろそろご飯よ」
「うー」
「早くいらっしゃい」
「はーい…」
もそもそと起きて食卓に着く。
先生は寝巻きのままだ。
珍しく着替えなかったらしい。
「そーいえばあなたの襦袢って重くないですか」
「ん? なぁに?」
「ほら、冬の襦袢。俺のより重いでしょ」
「袷の? だってあれは裏ついてるもの。久さんのはついてないでしょ」
「裏?」
「着物と同じよ、全部裏がついてるの。暖かいわよ」
「なるほど。先生のお宅寒いですもんね、冬は」
「そうなのよ。はい、これ出して」
おかずを渡されて並べる。
「ん」
お茶碗とお味噌汁。こぼさないように。
「足りる?」
「余裕」
先生の作るご飯はうまい。幸せ。
「あまりご飯しないのに良いお米使ってるのねぇ」
「米がまずくて一人で食べるの辛いでしょうが」
納得されたようだ。
食後ゆっくりしてから風呂に入り、再度ベッドへ。
「明日は帰ったら居ないのかな」
「いるわよ。あさってもいても良いわよ」
「お稽古サボっちゃダメだよ。あなた。俺も仕事サボりたくなるじゃないか」
「久さんはダメよ」
はいはい。
サボってでも一緒にいたい気分らしい。
たまに甘えるよね。可愛いけど。
でも良妻賢母をくずさないという約束をしてるのになあ。
耳を舐めるも反応がない。
あ、寝た。
諦めた。俺も寝よう。
明日もうちにいるみたいだし。
おやすみなさい。
よく寝たなぁ、と目が覚めて横で眠る先生を見れば涎。
俺の胸が濡れてる。
枕もとのティッシュで拭いて布団を整えて。
出勤の用意をしようか。
部屋を出て出来るだけ静かに用意をして、出る前にそっと先生の様子を伺う。
気持ちよさげに寝ている。
行くか。
出勤、今日も暑い。
ぬるい空気と湿気の中、仕事をする。
やはり30度を超えると辛くなってきた。
お客さんも皆すぐ送風口の前で座ってしまうくらいだ。
近くで何かイベントがあるお店しか忙しくないのが最近で、どこも困っているようだ。
仕事を終え、いそいそと帰ろうとしていると先生から電話があった。
松屋にいるからくる気があるなら来いとな。
時計見て30分の猶予を貰って慌てて帰宅、シャワーを浴びて着替えて駆けつけた。
「どこにいます?」
「3階にいるわよ」
携帯にかけるとそう仰る。
エレベータで上がり再度電話した。
「上がりました」
「ヴィトンのところにいるわよ。すぐ近くにサービスカウンターのあるところよ」
ああ、あそこか。
でも3階は紳士ものじゃなかったっけ?
思ったとおり先生はヴィトンではなくその向かいの靴を見ていたらしい。
「ねぇこれどうかしら?」
「こっちは?」
「ん、それと悩んでるのよ」
「履いてみました?」
「まだよ」
「じゃ履いてみましょうよ」
先生を座らせ、足袋を脱がせサンダルを履かせた。
「はい、立って」
手を取り少し歩かせる。
もう一度座らせ、履き替えさせた上で歩かせた。
「どうしよう…」
「どちらがよかった?」
「どっちもいいのよ、悩んじゃうわ」
「両方買ってあげましょう」
「良いの? でも悪いから一つは自分で買うわ」
「はいはい、気になるんですね。そうしましょう」
それから中でお昼を食べて呉服売り場を経巡ってキッチン用品を見る。
女の人だよなぁ、凄く楽しげだ。
ほしいというものはすべて買ってあげたくなる。
流石にそれをすると八重子先生からお叱りが来るんだが。
真鍮の風鈴を買った。
先生のうちの俺の部屋につけたいと先生が言うので。
後は結局帯を買った。今締めれる帯。
帰宅後も買ったものを眺めて嬉しそうにしている。
可愛くてつい頭をなでてしまった。
持って帰れるように包んで車に入れて、疲れたというので暫く床に寝転んだ。
自堕落な生活も楽しい。
「今晩…帰るわ」
「わかりました、送りますよ」
「いいわよ。荷物土曜に持って来てくれる?」
「いいの?」
「だって明日もあなたお仕事じゃない。帰したくなくなるもの」
ついキスしてしまって深くしっかりとキスをしなおして。
着物を脱がせ一度抱いた。
ちょっと先生の色香に耐えかねた。
幸いアレは終ってたから良かったけれど。
先生が落ち着いてシャワーを浴び、洗濯してある肌襦袢を身につけた。
買って来た弁当を食べ、駅までお送りする。
「じゃまた明日ね」
「はい。おやすみなさい」
「おやすみなさい」
見送って帰宅。
明日も早い、寝よう。
おやすみなさい。
先生を置いて出勤するとき寝ている先生を穏やかに見れるのは…。
きっと昼にはまた逢えるとわかっているからだ。
いつも本当に気持ち良さそうに寝ていて幸せな気持ちになれる。
性癖はクリアできなくとも、十分だ。
いやいつかある程度は許容してくれたらいいとは思うけれど。
出勤。
今日は更に暑いとの予報だ。
土曜日の割にそこまで忙しくなく、ただ暑さに負ける。
仕事が終わり帰宅、シャワーを浴び先生のお宅へ。
暑い…。車なのに。
少しいらいらしつつ先生のお宅に着いて、でも先生の笑顔を見て少し治まった。
茶室のクーラーをつけ暫く扇風機を独り占めさせてもらい、それから支度。
先生が来られて俺に一つ点ててくださった。
「落ち着いた?」
「はい」
「生徒さんも暑くていらだってるかもしれないから」
「気をつけます」
わかってたらしい。
気を良くして生徒さんを待つことが出来た。
やっぱり気遣いの人だなぁ。
俺とは違う。
しかし先生の点てるお茶はおいしいなぁ。
いつものように水屋をして、俺のお稽古をつけていただく。
少々厳しいのには慣れた。
水屋を片付けて夕飯をいただく。
んー、うまい。
「山沢さんってさ、いつもおいしそうに食べるよね」
「実際おいしいからね」
それでも苦手なものはこっそり孝弘さんに食べてもらっているが。
先生に見つかると叱られる。
「明日お昼味噌炒めにしようかしら」
「あ、いいですねえ」
「あなた好きだったわよね、じゃ多い目に作るわね」
「茄子入れて欲しいな」
「う…」
「はいはい、分けて作ってあげるわよ」
「すいません」
律君が笑ってる。
食後はテレビを見つつ団欒。
「律、お風呂沸いたからお父さん呼んで来てー」
「うん」
順繰りにお風呂に入って俺が最後に掃除をして出た。
「ふー…」
と、息をついて先生の横に座る。
冷たい麦茶を貰って一服。
ぷに。
先生が俺の乳をつかんで玩ぶ。
「何してんですか」
「出来ないくせにって言ってたからよ」
八重子先生が呆れてるじゃないか。
「律君きたら困るんじゃないですか。いつもなら怒るでしょうに、胸はだけてたら」
「律、もう寝ちゃったのよねえ」
早っ。
先生の太腿に手を置いたらベシッとはたかれた。
ったく。
一旦立ち上がり帯を解いて着なおす。
先生の後ろに膝を突いて肩に手を掛けた。
「え…ちょっと」
肩を揉む事にした。慌ててるの可愛い。
八重子先生は声を上げて笑ってる。
先生は一人恥ずかしがっている。
胸の辺りもマッサージするともう良いから、なんて。
慌てて戸締りしに行ってしまった。
そろそろ寝る時間のようだ。
八重子先生も引き上げたので火の元を確かめ、先生と寝間へ。
うーん、クーラー要らずというのは体が楽だね。
扇風機すらつけずとも先生の体がひんやりしている。
乳房、とか。
太腿とか。
でもすぐに先生の体温は上がってしまう。
熱い息。
ゆったり抱いてると先生は幸せそうだ。
一度逝かせるともはや眠たげだ。
キスして寝かせた。
俺はホットタオルを作って先生の体を清めてから寝た。
朝、すっきりとした目覚め。
先生が先に起きていたけれどまだ布団から出たくはないようだ。
まぁたしかにいつも起きたら俺が居ないわけで。
朝のひと時は大事だね。
身支度をして今日は二人で台所に立つ。
朝飯を食った後、先生が風鈴を俺の部屋につけた。
ちりん、と涼しげな音だ。
ふと引き寄せてキスをした。
「だめよ…」
先生はするりと腕から抜けて買物へと誘う。
お昼と夕飯の買出し。
暑いから夕方に買物したくないらしい。
昨日言っていたとおり味噌炒めの材料と、それから夜は筑前煮を作るらしい。
後はなぜかカプレーゼが食べたいとのこと。
チーズは多めに買った。
なす入りの味噌炒めを作って律君を呼ぶ。
配膳したり、孝弘さんを呼んできてもらう間に先生が俺の分を作ってくれた。
野菜、妙に多い。
先生は俺を健康にしたいらしい。
律君が俺への野菜責めを見て笑ってる。
先生がご飯をよそってくれておいしくお昼をいただいた。
お皿を洗って戻ると先生が何か読んでいる。
ああ、教本か。
「珍しいですね」
「んー、それがねぇ。私のと生徒さんのでは違うみたいなのよ」
「お家元が代替わりしたからでは」
「あら…そうね、そうかも」
「八重子先生は?」
「お母さんならさっきお友達のとこ」
「うーん、また講習会でお聞きになっちゃどうでしょう」
「そうねえ」
パタン、と閉じて片付けて、帳面を開いてなにやら書き物されている。
暇で、眠い。
あくびをしたら手招きされて昼寝。
先生の尻に俺の背をつけて。
ふと次に目が覚めたら先生が居なくて晶ちゃんが居た。
「あれ? こんにちは。先生は?」
「こんにちは。今おばさんお手洗い」
「あぁ」
ぼんやりしてると先生が戻ってきた。
「あら起きたの? まだ眠いんじゃない?」
「うん…じゃない。もうメシの支度する時間では」
「ご・は・ん」
「…ご飯。しないと」
晶ちゃんが横で笑ってる。
台所へ立って下拵えをして先生と交代。
まだあくびが出る。
と、自分の足に蹴躓いてこけた。
「あっ…」
「痛っう」
「どうしたの!? あらぁ…山沢さん、立ちなさい」
晶ちゃんを巻き込んでたようだ。
「すいません、こけました。晶ちゃん、どこかぶつけてない?大丈夫かな」
先生が晶ちゃんに見えないよう俺の背をつねってる。
「うん、大丈夫。でも山沢さん、もうちょっと寝たほうが良いんじゃない?」
ふぅ、と後ろで先生が息をついて。
「そうしなさい、出来たら起こしてあげるから」
「はい。すいません」
部屋の邪魔にならないところで座布団を枕にもう少しだけ寝た。
ご飯のおいしそうな匂い。
揺り起こされた。
「ご飯よ」
むく、と起きて食卓を片付ける。
八重子先生はもうお戻りだったようだ。
晶ちゃんが孝弘さんと律君を呼びに行って夕飯をいただく。
おいしいなぁ。
「これなに?」
「チーズの味噌漬け。お昼に山沢さんが作ってたのよね」
「へぇそんなのも味噌漬けになるんだ?」
「あ、おいしー」
黙々と俺は食べる。
うまい。けど眠い。
これはきっとアレだな、先生のが感染った。
ご飯の後洗い物をし終わり、居間に戻ると先生が特別に濃い濃茶を点ててくれた。
車で来ているから眠気を飛ばさないといけない。
頂いて暫くすると目が覚めてきた。
「やっと起きた、という感じねえ…大丈夫?」
「ん、今なら帰れそうです。効いてるうちに帰ります」
頭をなでられた。
「気をつけて帰るのよ? また明後日ね」
「はい、気をつけます」
なんとか眠気を追い払って車で帰宅できた。
着替えてすぐにベッドに潜り込む。おやすみなさい。
翌朝出勤するも台風の影響で入荷減。
ま、月曜で需要もそうないんだが。
あまり商売にもならず帰宅した。
眠気に負けてずっと寝てしまい昼を食いそびれ、目が覚めたらもはや夕方だ。
カレー、でいいか。
レトルトのカレーを温めて食べた。
侘しい。
あ、メール。
先生のおいしそうなお夕飯。
明日になったら食える。
あ、今から食いたいもの頼んどこう。
返事、返ってきた。
お肉ばっかりじゃダメよ。なんて。
野菜は先生のセンスに任せりゃ大丈夫だろうし。
と少し甘えれば何か考えておいてくれるとのこと。
嬉しいなぁ。
あぁ。
抱きたい。
逢いたい。
メールは後に残るから。
電話しよう。
せめても声を聞きたい。
先生の食事が終るころを見計らって電話をした。
声を聞きたくなった、といえば少し間が空いて…。
私も…、と返って来た。
どうやら自室に戻ったらしい。
明日、抱いて良いね? そう問えば恥ずかしげに。はい、と言う。
「たとえ台風が来ようと。行くから」
それはだめ、とか言われてしまった。なぜだ。
「逢いたくないのか?」
違う、と言う。
何かあって二度と逢えなくなる方が嫌、と。
なんだ、そういうことか。
その後暫く喋って、先生も電話を切りたくなさそうだ。
あぁでも八重子先生が呼ぶ声がする。
渋々、という風情で先生がまた明日来てね、と言う。
勿論と返して電話を切った。
心の充電完了。
よし、寝て明日は頑張ろう。
おやすみなさい。
本日は昨日に増して暇だ。
台風の余波は相当酷いが関東は別段まだ何もなく、先生のところに悠々と到着。
先にあちらの部屋に色々仕込みをして鼻歌を歌いつつ気楽に玄関くぐれば微笑む先生。
「いらっしゃい。暑かったでしょう」
「ええ、少し」
麦茶を頂いて一服入れてから支度をする。
整った頃生徒さんがいらっしゃった。
先生が冷たい麦茶を振舞われてからのお稽古。
生徒さん方も先生の気遣いがうれしいようでなごやかにお稽古が進む。
今日は俺への厳しいお稽古も気にならない。
お稽古を終え水屋を片付ける。
先生と目が合った。
ふっと笑むと目をそらせ、早く片付けるよう言う。
可愛いね。
昨日山沢さんから電話を受けた。
声を聞きたいって。嬉しくて。
抱きたいって言われて暫くドキドキしたわ。
もっと喋っていたかったけどお母さんが呼ぶから電話を切って。
でも珍しいわねぇ、電話してくるなんて。
居間へ戻って喋っているとお盆について山沢さんはどうするのか、と言う話に。
「帰省するのかしらねぇ」
「正月も帰らなかったしどうだろうね」
「ふふ、またうちに泊まるのかしら」
「どうだろうね、お盆は流石に来ないかもしれないしね」
「明日聞いてみるわ」
そういうことで今日山沢さんが来たのだけど機嫌が良さそうで、鼻歌まで歌ってる。
何か良いことでもあったのかしら。
暑いから麦茶を飲ませて支度してくれている間にお昼を食べた。
お手洗いも済ませて着物や化粧を直してお稽古に望む。
生徒さん方も外の熱気に辛そう。
冷えた麦茶を差し上げて山沢さんに指示を出しつつお稽古。
いつものように何人かのお稽古が済み、山沢さんを厳しくしごく。
機嫌がいいときは少々厳しくてもいいみたい。
二回、上のお点前の稽古をつけてあげるといい時間になって片付けることにした。
指示を与えなくてもうちの水屋はちゃんと山沢さんがわかっていて教える事はない。
ふと目が合う。
山沢さんの笑みにドキッとしてつい目をそらせてしまった。
片付け終えて居間へ戻り食卓を片付け、律とお父さんを呼びに行く。
山沢さんはお母さんを手伝って配膳をしてくれる。
今日は山沢さんのリクエスト通りのお夕飯。
「あれ、珍しいね。おばあちゃんこんなの作るんだ?」
「そうだろ、今日は山沢さんが作って欲しいって言ってね」
キッシュとブロッコリーのベーコン炒め。人参の金平かしら?
食べてみたら金平じゃなくてサラダ。
「おいしいわねぇ」
「うまいです。嬉しいなぁ」
ぱくぱくと食べていて可愛いかも。
いつもは格好良いのに食べてる時は子供みたいなんだもの。
「おかわり」
お父さんのご飯をよそって渡す。
「はい、どうぞ」
お父さんも嫌いじゃないようで結構食べているわね。
「今日本当、暑かったねー」
「そうね、今年最高なんじゃない?」
「そうみたいだよ、こっちで37.2度だってさ」
「うわ、道理で暑いと思った」
「あっち、クーラー予約かけてありますから」
「えっ」
「あれ、後で飲むからって昨日約束しましたよね」
「あ、うん」
吃驚するじゃないの、もう。律の前なのに。
「あと風呂もお湯張り予約してありますんで」
「わかったわ」
「山沢さんってお酒好きなんだねー」
「うん、そうだね。取り寄せる程度には好きだよ」
こちらを向いて笑顔で今日は特別なの用意してるから、と言う。
…お酒よね、そうよね。
食後、山沢さんが洗い物をしてくれる。
お母さんは今朝のうちに山沢さんに聞いていたみたい。
明日のお昼以降に、って。
はい、って栄養剤渡されちゃった。
「お酒飲むだけかもしれないじゃない…」
「ないだろ」
袂を弄って恥ずかしがってたら山沢さんが戻ってきた。
「さて、いいですか?」
「ほらほら。いっといで」
「あ、はい…」
慌てて立って山沢さんに手を引かれた。
外は昼に比べると涼しいけど…。
いつもの部屋に着いて中へ。
「あら涼しいわね」
うちより涼しくて。あら何か敷物が敷いてあるわね。
「座ってて」
山沢さんが冷えたグラスとお酒を持ってきた。
京都の淡麗辛口大吟醸を4本も。
高そう。
「まぁ俺には辛くてなんなんですが、あなたなら甘く感じるでしょう」
そういって4つのグラスに注いでくれる。
「どうぞ」
少しずついただくとどれもおいしい。
山沢さんは違う瓶を飲んでいる。
「ね、あなたのもちょっと頂戴」
「いいですが甘いですよ」
新しいグラスを取ろうとするのでそのまま止めて山沢さんのをいただいた。
「あら。凄く甘いわねぇ…」
「すいすい飲めて一升瓶が空になるような、でしょう」
「危ないわね」
私のグラスが空いたのを見て新たに注いでくれる。
「どれだけ飲ますつもり?」
「ふふ、もう少し飲まないと出来ないんじゃないですか。普段と違うこと」
ドキッとして、横を向くと引き寄せられた。
「特別、っていったでしょう?」
一気に酔いがまわってきて。
耳まで熱くなっちゃった。
その耳に山沢さんの唇が触れて。
「あ…」
そのまま着物を脱がされて敷物の上に運ばれた。
「なに、するの?」
少し冷たい液体を体中に塗られ、山沢さんの手が這うごとにゾクゾクする。
なぜか下帯をつけられ、腕と、足を縛られた。
何をされるのかしら…。
「これ、わかるね?」
あ…蝋燭…。
怖い。
背中から私を抱いてまず山沢さんが自身の手に落として確認してる。
「ん、よし。大丈夫だから力、抜いて」
そういわれても怖くて。
身をすくめてると笑ってる。
ほつ、ほつっとお腹に落とされ、そのたびに体がはねる。
段々と慣れてきたころ乳首に落とされた。
「あぁっ」
お腹より熱くて吃驚しちゃった。
山沢さんは私がはねて声を上げるのを楽しんでいる。
乳首も乳輪も見えなくなるほどにされてもう熱くはない。
すると今度は太腿、あそこに近いところに落としてくるの。
酷いわ、本当に楽しんでて…。
体中を赤く染められたころ、やっと蝋燭が尽きた。
山沢さんにキスされて縄をほどかれ、痺れはないか確認された。
それから蝋をはがしてあげる、と乳首を弄られて気持ちよくなり…。
喘いでたらそのまま下帯を剥ぎ取られて一度逝かされちゃった。
すべてはがしてもらってお風呂に入って出てくると敷物もすべて片付いていた。
「続き、飲みましょうか。それとも」
「飲むわ、注いで頂戴」
ふふっと笑って注いでくれた。
暫く飲んでから山沢さんがお風呂に入って。
その間にグラスを片付けてると寝巻きの袖から縛った痕が見える。
これ、明日消えるのかしら。
お風呂から出てきた山沢さんと一緒にベッドに入る。
「ねぇ、久さんこれ」
「あー随分暴れてたから。お稽古ないから大丈夫でしょ?」
「お母さんにわかっちゃうじゃない」
「いいじゃないですか」
「恥ずかしいのよ?」
「わかってますよ、可愛いなあ」
髪をくしゃくしゃと撫でられてキスされた。
私のほうが先生で年上なのに、すぐこうやって子供みたいに扱うんだから。
「好きだよ」
「私もよ」
本当は好きになっちゃいけないんだけれど止められない。
そのまま背中をなでられているうちに眠くなって。
おやすみなさい。
夜半、先生がモゾモゾと擦り寄ってくる。
クーラーを止め、窓を開けた。
効きすぎて寒かったようだ。
トイレへ行ってからベッドに戻る。
肌がひんやりとしていて風邪を引いてないか心配だ。
密着させてお腹だけでも温まれば良いかな。
朝になって、暑くて目が覚めた。
先生も布団を蹴っ飛ばしてるのでクーラーを入れた。
トイレから戻ると流石は部屋が狭い、良く効いている。
設定を緩めて再度添い寝をした。
涼しくなるとちゃんと俺にくっついてくる。
年上なのに可愛い、と思ってしまうんだよね。
あ、むらむらとしてきた。
久々に朝からしちゃおうかな。
緩めたクーラーを再度強くして先生の胸をなでる。
乳首、立ってきた。
寝てると乳首だけでは逝かないから適当なところで下に指を這わす。
うん、ちゃんと濡れ始めてる。
暫く弄ってたら起きてしまったようで鼻をつままれた。
キスをしてから股間に潜り込む。
敏感なところをうまく舐めると声が溢れる。
中に指を入れくじる。
ちゃんと感じてくれてるようだ。
ひっくり返して腰を持ち上げて弄る。
よがってる隙に尻の穴を舐めた。
「っあ…、だめ」
そっと小指を入れる。
「あ…ぅ…」
突起を責めつつなので力が入らないようだ。
ゆっくりと出し入れすると感じてきたようで背中を反って喘ぐ。
3点攻めで逝った。
指をぬいて手を洗いに立ち、戻ると枕で叩かれた。
枕ごと抱き締めて押し倒してキスを。
「もうっ…ばかっ」
いてててて、乳首に爪を立てるなって。
それでもそのまま抱き締めてキスをすると次第に抵抗がうせる。
ペニバン持ってきてたらもう一度抱きたい程度にまだしたい気分なんだが。
そういうと恥ずかしそうだ。
先生の乳首を弄っていると股間に誘導された。
よしよし、いい子だ。
沢山啼かせて楽しんだ。
風呂の湯を落としてないので風呂に入らせてから喫茶店に朝ご飯を食べに行く。
たまには良いだろう。
手を洗って着替え、風呂上りの先生にキスをして着替えさせた。
喫茶店でモーニングをいただく。
「あら、珍しいですね、先生」
昔生徒さんだったらしい。
「ほほほ、たまにはね」
先生のウインナーを貰って食べる。
「そうそう。戻ったら天気も良いから布団を干すわよ」
「あ、はい」
ゆったり紅茶を飲んで支払い、店を出た。
まずは部屋に戻り、干す。
それから家へ戻って孝弘さんや律君の布団も干した。
「良く乾きそうねえ」
「そうですね」
チラッと手首の痕が見えた。
あ、いかんな、さっき喫茶店で気づかれてないと良いんだが。
「先生、もしこれなんか言われたら…昨日庭仕事してたらそうなったと言って下さい」
一応手拭の上からかけたんだけどなぁ。
クリームを取ってマッサージする。
薄くなってきた…ような気もするが。
ふと顔を上げキスをした。
頭に拳骨一発、八重子先生が戻ってきてた。
あいたたた。
ま、でもクリームが消えるまで暫くマッサージ。
八重子先生が入れてくれたお茶を頂いて買物に出た。
今頃先生は昨日何されたか聞かれてるのか。
聞かないであげて欲しいけどね。
買物から帰ると冷たい濡れタオルと麦茶をいただいた。
「暑かったでしょう?」
「いやぁもうギラギラ油照りですね」
背中を拭いてくださってすっきりして台所へ向かう。
今日は豆乳のスープスパゲティ。
お豆腐と油揚げとネギを炊いてつけた。
同時にお夕飯の下拵えを済ませて冷蔵庫に入れて置く。
孝弘さんが居ないときはスパゲティやパン食でも良いと言われている。
「あら、おいしそう」
「どれどれ」
「結構いけるわね」
「スープもおいしいねぇ」
嬉しくなる。
その後、家事を手伝って、お三時。
おやつをいただく。
「あんたお盆はどうするの?」
「あー。そうだ、忘れるところでした。明日お稽古お休みしていいですか」
「いいけどどうしたの?」
「六道参り、明日からなんですよ。だから」
「なぁに、それ」
「ええと。六道珍皇寺または六波羅蜜寺で鐘を突いて。
 先祖を呼び出してもらい連れ帰る行事がありましてそれをするために戻ります」
ただ、実の所、市中心部の慣わしと見えて市周辺部の出身者の俺は良くわかってない。
それでもしないのは変な気がする。
そういうわけで毎年帰省して迎えに行くのだが。
「そんなのあるのねぇ」
「結局お盆はどうするんだい」
「えーとですね。何もしないで居られる自信がないんで来ません」
スパーンと先生に新聞で叩かれた。
「むしろですね、盆明けに俺、岡山に出張あるんで一緒にどうかと思ってるんですが」
「岡山?」
「ええ、もし来られるのなら有給とれますから近くの温泉に三日ほどと」
「この暑いのに温泉?」
「プールがよければそちらでも」
「行ってきたら。どうせ生徒さんもちらほらお休みだからねぇ」
「でもお母さん大変でしょ。いいわよ」
「わかりました、じゃ涼しくなったら考えましょう」
「そうして頂戴」
うーん、残念だ。キングベッドの部屋をとっているのだが。
と言うかその部屋しかなかった。
温泉の仮押さえしてあったのを断っておやつをつまむ。
「お夕飯、何作る予定なの?」
「一応ささみアスパラ炒め、小松菜と厚揚げの煮びたし、金目を煮ようか焼こうか」
お夕飯の支度をするにはまだ早いのでしばし団欒を楽しむ。
「はらへった」
孝弘さんにお饅頭を渡してそろそろ夕飯に取り掛かろう。
「あ、待って。その前にあっちの布団取り入れて頂戴」
そうだった、忘れてた。
取り入れに行って戻ってくると先生方が調理を開始している。
「お帰り、うちの布団も取り入れてー」
「はいはい」
各々の部屋に取り込んで、洗濯物も取り入れた。
しかし律君のか孝弘さんのか、下着は良くわからん。
流石に何履かしてるまでは把握してないからなぁ。
とりあえず畳んで積み上げた。
八重子先生が戻ってきて仕分けしてくれてそれも各々の部屋へ。
孝弘さんのは箪笥の中へ。
食卓を用意していると律君が帰ってきた。
「おかえり、洗濯物は部屋に置いておいたよ」
「あ、すいません」
部屋へ行って、すぐに引き返して台所へ行った。
何か先生と喋ってるようだ。
暫くして律君が孝弘さんを呼びに行く。
配膳を手伝って夕飯をいただいた。
金目は焼いたようだ。
おいしい。
先生が楽しげに俺や孝弘さんを見る。
どうも沢山食べるのが見ていて楽しいらしい。
ご馳走様をしてしばし団欒を楽しめばもはや帰る時間。
明日、明後日と会えないから少しさびしい。
玄関先で頭をなでられた。
「土曜日待ってるから。明日気をつけて」
「はい。じゃ、また」
「またね」
送り出されて帰宅した。
翌日。
仕事を済ませ、着替えて京都へ。
京都はやはり暑い。
東京とは違ったじっとりとした暑さだ。
げんなりしつつ、観光客にもまれつつ清水道より1つ北の停留所へついた。
六道参り、と道の上に幕が張ってある。
坂を下って六道珍皇寺へ。
塔婆を書いてもらって鐘の列へ並ぶ。
相変わらず暑いのに沢山の人だ。
行列は角を3つ分。
この日差しの中待つのは辛いが仕方ない。
首の汗を拭い扇子で扇ぎ、麦茶を飲む。
やや曇っていてこれだから晴れてなくて良かった。
汗が滴る。
列はじりじりと進みやっと寺の裏口が見えてきた。
もう少し。
寺内に入る。
鐘を突いてからお参りし、水回向。
それから西福寺。
ここは地獄絵図で有名だ。
九想図絵もある。
そして六道珍皇寺で鐘を突き、お参りをした。
実家に帰ってその足で先に墓参り。
親たちは盆の連休に行くそうだ。
ついでに結婚はしないのか、などと言う話が出た。
一応考えている人はいると返しておいたが…。
あまりに汗だくなのでシャワーを浴びて着替えてから東京へ戻ることにした。
風呂から出るとメシが出来ていて久々に食う自宅の飯。
肉が沢山、魚はちょっと。
ガッツリ食って満腹。
そのまま寝てたいけど明日も仕事だから。
「んじゃ帰るわ。暑いし体調崩さないように」
「あんたも気ぃつけや」
「あ、服」
「洗て送ったげるから」
「頼むわ」
「はいはい、ほなね」
「またね」
タクシー呼んでもらって京都駅へ。
京都駅も暑い、蒸してる。
時間はあるので少し先生に土産を買った。
新幹線に乗って転寝、終点だから問題ない。
次は新横浜のアナウンスで目が覚めた。
車販のコーヒーを買って飲み終えると東京だ。
あくびひとつ。
バスに乗り換えて帰宅した。
暗くて暑い部屋の電気をつけクーラーをパワフル運転にする。
眠い。
やらなきゃいけないこともなし、寝ようか。
携帯がなる。
先生からだな。
手首と足首の写真。
手首はほぼ残ってないようだが足首はしっかり残ってる。
あの時八重子先生来たからマッサージできてなかったもんなぁ。
風呂でよくマッサージする事と、写真は削除するように言う。
証拠は残すべきじゃない。
今からお風呂と言う返事があった。
どれほど残っているか確認したいところだが。
土曜のお稽古では流石に残っちゃ居ないだろう。
俺は先に寝る、と返してベッドに潜り込んだ。
おやすみなさい。
出勤し、仕事。やはり暇だ。
というか荷物が来ないから売るに売れず。
普段三千円の魚も八千円ではねぇ。
外は暑い。
ああでも昨日の京都に比べれば涼しいね。
今日行けばよかったか?
とはいえ昨日の疲れで眠い。
だから今日行ってたら明日お稽古が辛くなってるはず。
仕事を終え、帰宅してすぐに寝た。
夕方起きて食事を取る。
先生からメール。
明日台風の様子を見て来れないようなら来るなと。
きっと台風は来ない大丈夫。
だから行く。
逢いたいし。
心配させてもいけないから、その時の判断で行くか行かないか連絡すると返す。
来れるなら来て、と書いて返って来た。
勿論だ。
何度かメールを交わし、お休みの挨拶を交わした。
シャワーを浴び、寝た。
翌朝テレビを見ると九州四国方面は大変そうだ。
しかしながら関東にはこなさそう。
先生のところへは余裕でいけるだろう。
時化と台風で出足が悪いのとで大して売れず。
さっさと先生のお宅へと移動した。
「あら、いらっしゃい」
「こんにちは」
「早かったねぇ」
「あ、そうでしたか?」
「いま朝の生徒さん帰られたところよ」
「ああ。じゃこれからお昼ですね」
「あんた食べてきたの?」
「ええ」
部屋に鞄を置きに行って水屋の支度。
さっと茶室の畳を拭き掃除した。
一旦居間に戻ると見合い写真の山を先生が見ている。
「あ、あんたも見る?」
「…開さんの?」
「そう。いい加減身をかためさせないとねぇ」
「え。俺とって話は消えたんですか」
「だってあんた、最近会ってないだろ」
「そういえば見ませんね」
「これ」
「ん? あ、先生じゃないですか。孝弘さんとの見合いの?」
「あら違うわよ、成人式の時に撮ってもらったのよ」
「うーん、やっぱり綺麗で可愛いですね。清純ってかんじ」
そういうと頬染めて可愛らしい。
「あとは晶の見合いが来ててね」
いくつか見せてもらった。
「を、これイケメン」
「あらほんと」
「先生もこういうの好みですか?」
「んー私はちょっと」
「孝弘さんが好みなんですもんねぇ、先生は」
ほほほ、と笑っている。
「さてと、そろそろ生徒さん来るよ」
「あらもうそんな時間? お手洗い済ませておかなくちゃ」
ぱたぱたと行かれた。
先生が戻られる前に生徒さんがいらっしゃったのでお相手を。
おいでおいでをされて近寄る。
「先生まだいらっしゃらないから聞くけど…あなたAVお持ち?」
「え、ああ、はい」
「息子がね。変なAV持ってたのよ。誰か相談できないかと思って…」
「変な、と言うと」
「先生には変態って言われそうなものなのよ、だから相談できないの」
あ、足音。先生が来た。
「お稽古が終ったらお聞きします」
「お願い」
先生が入ってこられた。
「こんにちは、中村さん」
「先生、こんにちは。よろしくお願いします」
「はい、じゃ今日は…」
お稽古が始まる。
長板をお稽古される間に次の方の用意を整えた。
そして中村さんのお稽古を終えるころ、次の生徒さん。
ご挨拶。
入れ替わられたあと隣の部屋で話を聞く。
聞いてみたが軽いSMが入ってただけでたいしたものではなかったようだ。
部屋に道具類があるかも確かめる。
まだそういうものはないそうだ。
「一過性で憧れを持ったりすることはよくあると思います。ただ…」
これからそういう道具やビデオを集めるようになったら諦めるように、と。
のめりこむ人は一定数いるし。
「非難しても性癖はどうしようもありませんから」
「そういうものなの?」
「軽いものなら普通に暮らせますよ。奥さん貰って子供も作って」
「重いと?」
「奥さん以外にプレイ相手が必要になります」
「浮気なんじゃないの?」
「そういう感覚ではない人が多いでしょうね。奥さんにはできないことをしているだけ」
気持ちはわかる。俺はしてないけど。
少し納得されたような。
内緒にして欲しい、と言われて帰られた。
お稽古に戻る。
夜になって先生と寝間に入った折に聞かれた。
「なんだったの?」
「ん、ああ。息子さんの部屋からAV見つけたって」
「あら。なんだそんなこと」
「律君の部屋にあっても平然としてるのかな、あなたは」
「男の子だもの…」
「ふぅん? そうかなぁ」
「第一あの子の部屋、テレビないわよ」
「あ、そうでした。じゃエロ本。俺が見てるようなのとかどうです」
「あなたが見てるようなのならお説教ね」
「見せてみようかな」
「やめなさい」
「選択肢」
「許しません」
「あなたは見るだろう?」
「見ないわよ」
「俺の部屋の、読んだくせに」
「あれは…」
後ろから抱いて耳を舐める。
「あれはなに?」
胸に手を差し入れて揉みしだくと喘ぎそうになっている。
股間をまさぐると体がはねて。
耐えてるのが可愛い。
ぎゅっと俺の腕を掴む力が強くなり、すぐ脱力した。
逝った様だ。
ハァ、と息をついてもたれてくる。
「もう、だめよ…布団入りましょ」
ふふっと笑って引き入れた。
「明日、また縛ってあげようか」
「だ、だめよ。それは。痕残っちゃって大変だったんだから」
「見るたびに思い出した?」
「…その…やだ、何言わせるのよ」
「ほんと、かわいいなぁ。いつかここにも蝋燭落としてあげるよ」
股間を弄り回しながらいうと随分と濡れている。
「や、こわい…」
「こわくないこわくない」
中を弄りつつキスをして気持ちよくなってる隙にまたお尻に指を入れた。
「んぅぅ…んっ、んんっ」
俺の胸に手をやり押し返そうとしているが力は入ってないね。
いや入らないんだろう。
尻の穴だけでは無理だけど他のところも同時刺激で逝けたようだ。
うー、色っぽい。
「抜いて、ねぇお願い…」
あんまりにも可愛らしくてお願いを聞いてしまった。
「手、洗ってきて頂戴よ」
「はいはい」
布団から出て洗面所で洗う。
その前に嗅ぐ、なんてことはしない。
スカ趣味はないからな。
浣腸も必要があれば、だ。
出すところを眺める趣味はあるが。
それはそれ、恥ずかしがるから見たいんであって。
部屋に戻り、布団に潜り込む。
背を向けてる先生を抱き締めた。
「お尻、駄目よ…。ね、聞いてるの?」
「んー、ふふ、可愛かった」
「ばかっ、もうっ」
そろりとお腹に指を這わす。
「もう一度、する?」
「お尻、しないで」
「しょうがないな。わかった」
今度はゆったりと普通に抱く。
「愛してる…」
「嬉し…ん、キスして」
深く浅くキスも交わし、逝かせて眠くなった先生を寝かせた。
俺も寝るか。
おやすみ。
翌朝、やはり先生は良く寝ている。
しょうがないよね。
寝顔も可愛い。
朝飯の支度をしてると八重子先生が起きてきて一緒に用意。
もう最近は遅い理由は聞かれない。
配膳する頃先生が起きてきて孝弘さんと律君を呼びに行った。
「いただきます」
食事中先生が律君に今日の予定を聞いてる。
台風来るからね。
今日はレポート片付ける、と言う。
朝食後は家事。
先生はまだ眠たげだがお昼寝はお昼食べてからね。
お風呂を洗って茶室の掃除をしてお買物。
お昼と晩、明日の朝の分も。
台風がどうなるかわからないから。
眠そうな先生は置いていくことになった。
リスト片手にお買物。
帰宅すると先生は繕い物をしている。
「痛っ」
「今日は止めたらどうだい、さっきから何度刺してるの」
ぷっくりと指先に血を出して、困った顔している。
「お昼にしましょう。そんでお昼寝したら良いじゃないですか」
「ん、そうね」
てきぱきとお昼を作って出す。
嵐の前の静けさか、のんびりとした雰囲気だ。
テレビでは関西が大変なようでL字枠が出ている。
「あんた実家のほう大丈夫なの?」
「ああ、あっちは災害来ないですから」
「電話くらいしたほうが」
「良いですよ、問題ないですって」
いっつも警報すら出なくて子供の頃は腹が立ったもんだ。
食べ終わって洗い物を済ませて戻れば座布団枕に先生が寝ている。
浴衣だからお太鼓じゃない分寝易そうだが…文庫に結んだ帯を貝の口にしてあげた。
寝息が気持ちよさげだ。
ゆったりのんびりしているとテレビで関西の状況をやり始めた。
なんだ、また桂川氾濫注意か。
「…あんた本当に電話したら?」
「うち、川も山も近くないんで大丈夫ですよ」
「そう?」
「ええ」
まったりとお茶を飲んでゆっくり。
少し雨だが気温が下がって気持ち良いようで先生はよく寝ている。
こんな休みも良いね。
玄関から物音。
「おばさーん、律いる?」
んん、と先生が呻く。
ばたばたと司ちゃんが入ってきた。
先生起きちゃったじゃないか。
「んー…、あ、司ちゃん。律なら部屋よぉ」
「あ、ごめんなさい、寝てたんだ」
司ちゃんが律君の部屋に行って先生が寝返りを打つ。
俺の膝を枕に。
すっかり甘えるようになった。
ほつれ髪を直してあげる。
夕方、八重子先生が夕飯を作る、と立った。
先生をそろそろ起こすべきかと思ったがそのままと仰る。
二人でいるとちょっかいを出したくなって困るんだが。
ふっくらとした胸とか。
気配がわかったのか先生が起きた。
「ん、何時?」
「もう夕方。5時半ですよ」
「あら。お夕飯…どうしよう」
「いま八重子先生が」
パパッと身づくろいして慌てて台所へ。
俺は痺れが切れて悶絶。
流石に足の組み換えなしはきつい。
「山沢さん? どうしたの」
「痺れ切れただけです、って触ろうとしてますよねっ」
「うふふ」
「くすぐるのもナシっ」
くっくっくっと笑い声がして振り向けば律君。
「絹ー」
「あ、はーい」
ぱたぱたと先生が台所へ戻ってった。
「うー…律君、メシはまだだよ、まだ」
「いや、ね。司ちゃんがお酒切れたっていうから」
「あぁこの間補充したの持ってって。良いよ」
「ありがとうございます」
暫くしてやっと治ってきた。やれやれ。
食卓を片付けて台拭きで拭く。
台所に顔を出した。
「あ、そろそろお父さんたち呼んでくれる?」
「はーい」
離れへ行って孝弘さんを呼び、律君の部屋へ行き二人を呼ぶ。
先生が配膳するのを手伝ってお夕飯。
今日もおいしい。
お味噌汁の具が麩。みんなは茗荷。
この家はなすと茗荷の味噌汁好きなんだよなぁ。
ご馳走様をしたら帰らねばならない。
「また明後日来ますね」
「気をつけてね」
「またね、山沢さん」
「おやすみなさい」
「おやすみ」
先生がちょっと寂しそうだが仕方ない。
流石に司ちゃんもいるからキスどころか手も触れなかった。
残念。
帰宅してベッドに潜り込む。
あ、そろそろ股間の白髪抜いて上げなきゃなぁ。
なんて思いつつ眠りに落ちた。

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h33

車で来て正解。
電車だと1時間半早く出なきゃいけない。
家に帰って1時間半なんて寝た気もしないし。
そのまま出勤し仕事。
朝から暑い、たまらん。
やる気なく暇な火曜日で客も定休日が多い。
だらだらと仕事を終え先生のお宅へ向かった。
「いらっしゃい、あなた昨日いつのまに帰ったの?」
「こんにちは、12時くらいですよ。よく寝ておいででしたよ」
鞄を置いて水屋を整え、待つ。
生徒さんも来られて御菓子は…うん、昨日の。
楽しそうだ、先生も生徒さんも。
お稽古が終った後、俺にはチーズケーキをくれた。
濃くてうまい。
「ご飯前だけど、おいしいですね」
「あ、そうだったわね。一つだけね。あとはご飯済んでから」
頭をなでられてしまった。
夕飯に期待しつつ食卓を片付ける。
今日はぶりの照り焼きがメインにカボチャの煮物や切り干し大根、お味噌汁。
それと揚げの炊いたんに蕗が入ってる鉢。
俺へはぶりの変わりに鶏の照り焼き。
八重子先生の作る飯はおいしい。
おいしくいただいてご馳走様をして洗い物にかかる。
先生が台所に来て俺の背に手を置いて甘えてきた。
「もうちょっと待って。眠いんですか?」
「わかる?」
「手、あったかいですし」
「ごめんね…出来ないの…」
「眠いなら仕方ないかな」
片付け終えて居間に先生を置き、布団を敷いて戻った。
「寝ますか?」
「うん。じゃおばあちゃん、お先に」
「おやすみー」
「あんたも早く寝なさいよ、おやすみ」
「おやすみなさい」
部屋で着物を脱いで着替え髪も解いた先生はやはり色っぽくて。
抱いちゃ駄目とはやはり辛いね。
懐に抱いて背中をなでると入っていた力が抜けてすぐに寝息を立てる。
熟睡し始めたら居間へ行ってお茶でも飲もうかな。
流石に今寝たら朝日が昇る前に起きてしまう。
とか思いつつも先生の体の感触や寝息、匂いに意識が飛んでいつしか寝てしまった。
まぁ結局一般的には夜中と言われる時間帯に目が覚めてしまったわけだが。
気持ち良さそうに寝てるなぁ。
少し悪戯心が沸く。
そっと胸に手を滑り込ませ胸をやわやわと揉む。
良い感じにまだ寝てる。
やはり興奮してない時に揉んでもたいしたことはないようだ。
だったら俺が満足するまで触ってても良いかな?
起こさないように気をつけながら。
気持ち良いなぁ、先生の肌。
伊達締めをほどいてお腹や毛、その下もまさぐる。
あれ? ぬめってる。
…普通の寝息、だよな。
感じてるという風もない、が。
反応はしてるのかな。
これだけ濡れてたら良いか…入れても。
いや、流石に入れたら起きるよね。
折角寝てるんだから起こすのは忍びない。
ぬめった指は舐め取って着せなおそう、うん。
ごそごそと着せて伊達締めを結んで。
「うぅん…ん?」
あ、起きた。
「何してるの?」
「あー…ほどいたから結んでる?」
「…触ってたのね?」
「はい」
むぎゅっと鼻をつままれた。
「寝てるのに変なことしないで頂戴」
「うー」
「うーじゃありません。寝なさい」
「はい…」
怒られてしまった。うーむ。
仕方なく抱きかかえて寝る努力。
先生は本当にすぐに寝息を立ててる。
可愛いな。
まあそのままうつらうつらと夜明けを迎えた。
さて、メシ作ろう。
そっと枕にされてる腕を抜いて身づくろい。
台所で支度をしてると八重子先生が起きてきた。
「おはよう。相変わらず早いねえ」
「昨日早く寝てますから」
暫くして先生。
「ねむーい…」
「あんた早く寝たじゃないの」
「だって夜中この子触るんだもの。起きちゃったわよ」
「すいません。もうちょっと寝てても良かったんですよ」
「もういいわよ」
朝飯を出して皆で食べて。
律君が学校に行ったあと先生が洗濯をする。
その間に俺は草むしり。
そろそろお昼ご飯と呼ばれたり、おやつの時間と呼ばれたり。
あっという間に水曜は過ぎ去っていく。
庭広いって大変だったんだな…。
ご飯前にシャワーに入るように言われ浴びた。
あ、着替え出てない。
しかたないなーとペタペタと部屋に向かって着替えて出たとこで先生に会った。
「あら、着替え出すの忘れたと思って取りに来たのに」
「遅うござった。着替えちゃいました」
「…裸で歩いちゃ駄目」
「…はーい」
「ご飯できたからそろそろ食べる? おなかすいてるでしょ」
「皆そろってからで良いですよ。それより」
ひょいっと先生の頬に手を当ててキスしてみた。
「あなたを食べたいな、なんて」
「ばか、こんな時間に…」
「うーん、先生可愛いなぁ。好きだな」
後ろ向いちゃったので抱き締める。
「良い匂い」
「汗臭いでしょ…」
うなじにキス。
「臭くないよ」
すっと胸に手を差し入れて軽く揉んだ。
「駄目よ」
「わかったよ、明日。うちに来るかあちらで」
「そうね。それがいいわ」
離したくなかったが玄関で物音がしたので諦めた。
ささっと先生が胸元を直し終えて一緒に居間へ行く。
「おかえり、律」
「ただいまー。もー暑いよ、外」
「あんたもシャワー入ってきたら?」
「そうする」
「着替え持って行くのよー」
「んー」
律君が部屋に行ったのを見て早くも食卓におかずを出そうとする。
「待たなくて良いんですか?」
「すぐ出てくるわよ」
配膳してしばし待つとタオル片手に戻ってきた。
本当にすぐだな。
「お父さんは?」
「いらないんですって。じゃいただきましょうか」
4人で食卓を囲み団欒を享受する。
いいなぁこういうの。
ご飯を食べて一服したら帰宅、家の中が暑い。
クーラーをうんと効かせて就寝。
寒くなって目が覚めたがどうせそろそろ起きる時間だ。
支度をして出勤。
いつもの暇な木曜日。
だらけつつも仕事をしてるとメールが来た。
夜に来客のため遊べない旨、先生から。
残念だ。
土曜日の夜に回収するかな。
昼前に仕事を終え、帰宅して先生のお宅へ。
お稽古を手伝い、自分のお稽古をつけてもらっている時に訪なう声。
来客、だな。
八重子先生が応対している。
俺へのお稽古が終ったので水屋は引き受け先生を送り出した。
「勝手に帰りますから。構わなくて良いですよ」
「ごめんね。じゃ」
「ん、また明後日来ますから」
頭を一撫でして先生は居間へ行かれた。
俺はゆっくりと水屋を片付けてから帰宅。
今日はタイマー設定してあったので極楽だ、部屋涼しい。
シャワーを浴びベッドにもぐりこんだ。
おやすみなさい。
朝。起きると先生が横にいた。
またか…。
多分終電でうちに来たんだろう。
来客は夜には帰ったのかな。
頬を撫でて出勤の支度をして置いて出た。
暇だから本当なら会社を休んで一日、先生と遊びたいが…。
会社勤めの悲しさ、勝手にゃ休めない。
いや自営業でも勝手休みは中々難しいご時勢だろうが。
仕事を頑張って昼前に帰宅した。
電気がついていない…。
帰ったか、寝ているかどっちだろう。
玄関を開けた。草履がない。
帰っちゃったか…。
ちょっとがっくりした。寝に来ただけか。
腹減ったなぁ…。
シャワーを浴びて風呂から出ると台所から物音。
覗き込むと先生がいた。
「帰ったんじゃなかったのか」
「買物行ってたのよ。冷蔵庫何も入ってないじゃないの」
「週の半分以上あなたの家で食ってるからね」
「お昼簡単なものだけど作るから。服着なさいよ」
「んー」
もそもそと着替えるとすぐ、出来たわよと声がかかる。
「今日は冷製パスタね」
さっぱりとうまそうだ。
オリーブオイル多目にトマトとバジルとなんかの葉っぱ?
「有機ベビーリーフが売ってたのよ」
なるほど。
食べると少し塩は薄いものの冷たさが嬉しい。
そしてアイスコーヒー。
体の中から冷える。
クーラーの設定温度が高めなのはそういうことか。
ごちそうさまをして洗い物をしていると先生が寝巻に着替えている。
片付け終わったのを見て先生が手招きして寝室に入った。
していいんだな?
明日俺も仕事で先生もお稽古なのはネックだが…今日はペニバンを用意してみた。
ちょっと顔が引きつってる。
装着したまま挿入はせずゆったりと抱いているが気になるようだ。
「入れてあげよう」
「やだ…」
「というかたまには入れさせなさい」
真っ赤になって身を縮めている。
「無理強いしないと駄目なのかな?」
あ、うなづいた。
「恥ずかしいから出来ない?」
再度うなづく。
そういうとこ可愛いよなぁ。
「今更恥ずかしがらなくても良いじゃないか」
「でも…」
ひょいと先生の片足を肩に担ぐ。
「やっ、やだ」
あてがいゆっくりと擦り付けると腰が前に出てきた。
体は正直だ。
じっくりと入れていく。
ん、もう入らないな。
「ほら、入った。動かすよ」
蠕動を繰り返すと喘ぎ声が出る。
先生の良いところを狙いつつ逝きそうな所でやめた。
「あっ、なんでっ」
「んー?ふふ、動いて欲しい?」
「やだ、ちが…」
「動いて欲しけりゃ言いなさい、じゃないとこのままだよ?」
体が治まらないよう適度に動いたりして焦らす。
「あぅ、お願い、もう…」
「なにかな?」
「お願いだから、最後までして…あっ」
一挙に追い詰めて昇り詰めさせた。
言葉にならない声が沢山出て、俺の足に先生の足が絡みつく。
ぎゅっとしがみつかれつつ暫く腰を動かすとひときわ強くしがみつかれた。
逝った様だ。
入れていたものをゆったりと動かす。
徐々に脱力してきた。
整いかけた息をまた乱させる。
再度逝かせて抜いた。
外してから寝転がって先生を上に乗せた。
ゆっくり背を撫でて落ち着かせる。
暫くして息も整ってきたようだ。
「お疲れ様。ちょっと寝ますか?」
「うん…」
ふぅ、と息をついて寝る体制に入られた。
俺も疲れて眠くなり、そのまま寝た。
ふと目が覚めると既に外は暗く、8時を過ぎていた。
あー、メシ、なんか食わせて帰さないといかん。
冷蔵庫を漁る。
昼に先生が色々買って来てたのでそれを調理して3品ほどだが用意した。
先生を起こす。
「んー?」
「もう8時過ぎですよ。メシ食って帰らないとあなた明日お稽古あるでしょう?」
「うー…」
上体を引き起こしてもずるずると崩れてしまう。
「ほら、起きて。明日の朝帰るつもりですか?」
「そうするわー家に電話しといて」
苦笑して布団をかけて先にお宅へ電話することにした。
最近眠い眠いといってるからか、すぐにOKが出る。
とりあえずは俺だけ飯を食って残りは冷蔵庫に仕舞った。
明日の朝食うかもしれんし。
ざっとシャワーを浴び、着替えて先生の横にもぐりこんでおやすみなさい。
いつものように寝ている先生を置いて出勤した。
なんだか忙しい。
途中で気づく、そうか、三連休か。
お稽古、ないんだった。
道理でうちに来ちゃったわけだ。
忙しくて仕事が終わらない。
先生から電話が来た。
まだ帰れない、少し遅くなると伝えて仕事に励む。
やっと終ったころには昼前で。
急いで帰宅。
「ただいま」
「あ、お帰りなさい、遅かったわね。先に食べる?」
「もうちょっと待てますか? シャワー浴びたいです」
「はいはい、入ってらっしゃい」
ざっと浴びて出るとちゃんと着替えが用意してあった。
羽織って食卓につくと熱々のお味噌汁やおかずが用意されていた。
部屋も掃除されていて洗濯物も干されてる。
良い奥さんだよなぁ、先生。
「ありがとう」
炊き立てご飯をよそってもらってお昼ご飯をいただく。
先生が座って、いただきます。
うーん、うまいなぁ、メシ。
「今日はどうしたの? いつもより遅かったけど」
「すいません、三連休と言うことで忙しくて。久々に忙しいから焦りました」
「忘れてたの? じゃ今日お稽古だと思ってた?」
「勿論。帰ったら先生はとっくに居ないって気でいました」
「だから昨日帰らそうとしてたのねえ」
「だって朝からお稽古のつもりでしたし」
「でもご飯食べたら帰るわよ?」
「えー」
「灰、しなきゃいけないもの」
「あー…そういえば土用ですか、もうすぐ」
「そうよ」
「手伝いますから一緒にいても良いですか」
「あら。嬉しいわ」
じゃメシ食ったら土弄りできるような服持って先生の家に行こう。
「着替えてから来たら良いじゃないの。時間の無駄だわよ」
それもそうか。
ご馳走様をして洗い物をしたら服に着替えて車に乗り込んだ。
先生を後部座席に乗せひた走る。
「このままどこか遠くに行きたいわね。折角のお休みだもの」
「そうしてもいいんですけどね。俺は」
「でも駄目ね、お母さんだけじゃもう出来ないものね」
先生は溜息一つついて。
「まぁ俺はね、あなたがそう思ってくれたんで良しとしますよ」
「ごめんなさいね」
「早く終わるようならどこか行きましょう」
「そうね」
途中で検問。呼気。
こんな時間から? と言うと三連休だから昼酒飲んで走るのがいるらしい。
あと脱法ハーブ。
「そんなことして何が良いのかしらね」
発進してから先生がぽつりと言う。
「どうせエロにでも使うんでしょう。昔からsexと麻薬は切っても切れませんからね」
「そうなの?」
「シャブをコンドームの上から塗ってね、ぶち込むんですよ。
 するとそれなしでのsexじゃ逝けなくなるって話がありましてね」
「えっ…」
「あなたにゃしませんよ」
「…ちょっと待って、持ってたりするの?」
「今持ってませんが簡単に手に入ります。あえて脱法ハーブ選ぶメリットがない」
「そんなに?」
「ああ、単純所持で捕まらないメリットはありますが…。
 脱法ハーブで死んだり後遺症残るくらいなら古い麻薬のほうが安全性は格段…」
「え、そうなの? そんなに違うの?」
「あのですねぇ、昔からある奴はいわばたくさんの人体実験の上で、
 何がどう残るかわかってる薬物です。どれを選ぶかは本人次第。
 脱法ハーブはどうなるかわからないんです。
 吸った時問題なくても翌年に脳みそが溶けるかもしれない」
「溶けるの!?」
「シンナーは溶けると有名です。そういう人学校にいませんでした?」
「居たかもしれないけど知らないわ」
「でしょうね、あなたにそういう友達は似合わない」
「あんたにはいたの?」
「いますよ。第一。市場自体そういうやつらの受け皿ですよ、若い子のね」
ふと笑ってしまった。
「なぁに?」
「いや、俺の場合周囲がこうだからかさっさと風俗遊びもしてましたけど…。
 あなたがね、Mだなんて思ったとしてもそういうお店いけなくて苦しいだろうなって」
「うーん、そうねぇわたしがMって若い頃に思ったら、と言うことよね?」
「ええ」
「多分…ううん、絶対いけないわよ」
「もしか若い頃にあなたと出会ってたらどうなってたでしょうね。もっと酷くしてたかも」
「怖いこといわないで頂戴よ」
「今はもう手加減できるようになりましたからねえ」
「してくれてても怖いのに」
そうこうしてるうちに到着。
「ただいまぁ」
「ん、早かったねえ、おかえり。なんだあんた連れてきたの。いらっしゃい」
「お邪魔します」
「うん、灰、この子にも手伝ってもらおうと思って」
「そりゃいいね。着替えといで」
先生が着替えられる間にお茶を頂いた。
八重子先生もしっかり日に焼けない工夫をされて庭へ。
まずは灰を篩う。
「今日はもうこの時間だからね、篩うだけ篩うよ」
三人で庭で篩う。日陰に椅子を置いて。
家ん中でしない理由わかった、灰だらけになる。
すべて終ったころには日が暮れかけていた。
「あんた顔洗っといで」
手拭で顔を覆ってたのは日に焼けない工夫じゃなく灰をかぶらない工夫だったそうだ。
そのまま庭の水栓で洗う。ぬるぬるする。アルカリか。
「山沢さん、服洗うから上がって脱いで頂戴」
「ここで脱いではたいてからのほうが良くないですか」
「だめよ、人が来たらどうするの」
しょうがないのであちこちはたいてから上がって、脱いだ。
洗面所に行って洗顔料を使って顔を洗いなおすとやっとぬるつきが取れた。
「ごはんどうする?」
「今から作るのも面倒だね、なんかとろうか」
「そうねぇ」
「この間ほら、広告入ってたろ、パエリア」
「それがいいの?」
「肉の入ってる奴も有ったから良いんじゃないかねぇ山沢さんも」
「山沢さーん、パエリアで良い?」
居間からの声に答える。
「良いですよー、何でも」
先生があれやこれや決めて電話した。
「30分くらいですって」
「ああ、じゃ私先にシャワー浴びてくるよ」
「はーい」
八重子先生が風呂から上がって一服してると届いた。
サラダといくつかのサイドメニュー。
おいしく頂いて満腹で先生は少し眠そうだ。
「あぁ、ほら、お風呂入ってきて。じゃないと汗で痒くなるでしょう?」
「ん、そうね。入らないと」
あふ、とあくびをして風呂に行かれた。
「風呂場でそのまま寝そうだねぇ。あんた一緒に入っといで」
八重子先生に言われて風呂場へ行くと先生の着替えも出てない。
部屋に一度行き布団を敷き、先生の分も着替えを持って風呂に行く。
先生は風呂の中でぼんやりしてて俺が後ろに座るともたれてきた。
「もう洗ったんですか?」
「まだよー」
「じゃ洗ってあげますね」
体を泡で洗って髪も丁寧に洗う。
気持ち良さそうで、もう寝そうだ。
「もうちょっとだけ起きててくださいよ」
「んー」
全部洗って拭いて。
髪をタオルで包んで布団に転がす。
バスタオルを枕にして。
戻って俺も頭と体を洗った。
居間へ寄って戸締りをしてくると声を掛け、玄関を確かめてお勝手にまわる。
八重子先生が火の元の確認をしている。
「絹は?」
「寝ちゃってると思いますよ。ドライヤーしてないんでしてあげないと」
「甘やかしてるねえ」
「ですねえ」
頭をなでられた。
「あんたもちゃんとあの子に甘えてる?」
「ええ、十分に」
「ならいいけどね」
鍵を確かめて居間に戻る。
「じゃもう寝るよ。明日は早いからね」
「はい、おやすみなさい」
「おやすみ」
ドライヤー片手に部屋に戻ると先生はすっかり寝ている。
優しく髪を乾かしてから俺も横にもぐりこんだ。
おやすみなさい。
翌朝、食事を取ってすぐに昨日の服を着て庭に下りた。
俺たちが風呂に入ってる間に八重子先生が干してくれてたらしい。
「今日は洗うわよ。はい、これ」
「ゴム手?」
「灰汁でぬるぬるするから使わないと痒くなるわよ」
なるほど。
あとは先生の指示に従って洗って洗って水を替えて。
茣蓙の上に水を切った灰を広げた。
「乾いたら番茶ね」
「とりあえずお昼だね、なんか食べようか」
軽い目のお昼ご飯を食べて
番茶を沸かして回しかけて更に揉む。
何とか日の照っているうちにおおよそ乾いた。
「やっぱり山沢さんいると楽だわねえ」
「そうねえ、助かるわ。律にいつも手伝ってもらってたけど」
服を着替えて先生とお買物へ。
流石に二日続けて店屋物は食べたくないらしい。
でも三人だから簡単にと炒め物にした。
ササッと炒めて食べる。
「たまにはこんなのもいいね」
「ねぇお母さん。明日始末が終ったら山沢さんと遊びに行っても良いかしら」
「いいけどどこ行くの」
「ん、どこか展覧会か何か行きたいわ」
「調べます」
「頼むわね」
にこやかな先生を見てると嬉しくなる。
「遅くなりそうなら泊まって良い?」
「はいはい、好きにしなさい」
ご馳走様をしてお風呂に入りそれから少しおしゃべりをして寝た。
一緒に寝ていると時折乳を噛まれる。
とはいえ寝ているときは血が出るほど、とまでは行かない。
起きてるときのほうが危険だ。
怒らせたりすると千切れるかと思うほど噛まれるからな。
どこで覚えたんだか。
髪を撫でているうちにまた寝た。
朝になって起きてみれば腹にも噛み痕。
先生も苦笑してる。
「夜中降ったみたいですね」
「そうみたいね、乾かしてる間に降らなくてよかったわ」
空はどんより曇り空。
朝ご飯を食べて昨日の後始末をしたら10時過ぎ。
「どうします?」
「うーん…晴れてるなら良いんだけど」
「お疲れなら別に構いませんよ」
「折角なんだからどこか行っといで」
「じゃ着替えるわ」
では俺も。
結局新宿京王百貨店へ行った。
先生のお目当ては粟田焼。
清水焼に吸収されてしまったかのような、京都の焼物だ。
「あら、いいわねぇ」
「俺はなにやら見慣れた感じが…」
「これ欲しいわ」
「売ってるのかな」
店員と交渉する。展示が終り次第ということで話がついた。
その後先生は孝弘さんの甚平を買ったり八重子先生にとパジャマを買ったり。
呉服売り場へ寄っては見たものの気に合うものはなかったようだ。
先生の帯締めと帯揚げは俺が買って。
ふらりと催事を見る。
訪問着で良いのがあったが50万。
リサイクルでそれはちょっとなぁとは思うけど、もし先生が欲しいなら買っても良いか。
結局夏の帯を買ってあげたあとアクセサリーを見に行く。
着物でも出来そうな華奢なネックレスをつけて貰ってみた。
うん、いいね。
お稽古の時は外せば良い。
主張しない程度のアクセサリーもいいね。
「奥様良いですねー、旦那様に買ってもらえるなんて」
とかショップの人が言ってるが上手に先生は笑ってごまかした。
デパートを出て車に乗り込む。
「奥様、ねぇ。ふふふ…先生、俺の奥さん?」
あ、照れてる。
遅い目のお昼を食べに行って一旦うちへ連れ込んだ。
玄関入ってすぐキスをした。
「だめよ。着替えさせて」
胸を押して離れられてしまったので俺も着替えることにした。
お茶を入れて一服。
先生も浴衣に着替えて俺の横に…座るかと思ったら俺を枕に寝転んだ。
「疲れちゃった」
あ、寝る気か。
浴衣と思ってたけど帯じゃなく伊達締め、寝巻き着てきたな。
「寝るんならベッド行きましょうよ」
「本格的に寝ちゃうじゃない。夜寝られなくなっちゃうわよ」
「大丈夫、寝かさない」
「明日仕事でしょ、駄目よ」
「しょうがないなぁ、じゃ今抱いちゃおうかな」
唇を指でなぞってやるとちろりと舐められたのでそのまま舌をなぶる。
濡れた手を伸ばし胸を弄ると息が漏れる。
「疲れてるのに…」
「ふふ、それでも抵抗しないんだ?」
「ばか」
思い立って膝から下ろし、縄を取ってきた。
「怖がらないで俺に任せてごらん」
「ん…」
苦しくない程度にきちり、きちりと縛ってゆく。
菱に縛り終えて鏡を見せた。
息が荒い。
ゆっくりと縄を外すと拍子抜けしたような顔をする。
「期待した?」
「し、してないわよ」
可愛いなぁ照れちゃって。
すべては外さずそこから胡坐縛り。
「やだ、こんなの…」
「綺麗だよ。ほら、ここもはっきり見える」
涎をたらすそこの下、尻の穴をつついた。
「あっ駄目」
ふふっと笑って縄をほどく。
しないの?という顔でこっちを見てる。
すべてほどいて縄を一旦整えた。
それから引き起こしてベッドに連れて行って普通に抱く。
随分濡れてて期待されていたようだ。
そのまま行った後は二人で寝てしまい、夜は鮨を取って食べ更に寝た。
俺は仕事の用意に起きたが先生はまだよく寝ている。
可愛いなぁ。
布団から出ている腕に昨日の縄痕は…ほとんどない。
これなら昼には大丈夫だろう。
キスを落として出勤した。
仕事中に起きた、帰るメールが入る。
痕は残ってないか、気をつけて帰るようメールを返した。
幸い、お腹に少しだけとのことで良かった。
連休明けはやはり暇な火曜で仕事が終わってゆっくりシャワーを浴びれた。
お稽古に行く。
「いらっしゃい」
「おじゃまします。これ忘れ物」
孝弘さんの甚平。
「ああそうなのよ。電車乗った後気づいたの。助かるわ」
先生は八重子先生にそれを見せている。
「あら良い柄ねえ」
「丁度セールしてたのよ。いいでしょ、これ」
俺は一旦部屋、そのあと水屋の支度を整えた。
いつものようにお稽古。
先生も機嫌がよく、暑いわねぇと言いつつお稽古を見ておられる。
適宜水分を取りつつダレ過ぎない程度に冷房を入れて。
皆さんのお稽古が済んで私の稽古。
円草。
忘れていて叱られた。
きっちり厳しくお稽古していただき、片付けてお夕飯をいただく。
暑いから、と冷しゃぶがメイン。
んー、サラダもおいしい。
たまにはこういうのもいいもんだ。
団欒の後風呂。
二人で入って先生の痕を確認するが、さすがにもう残ってないようだ。
そのかわりお腹には肌襦袢で出来た痕がついている。
なぞってるとくすぐったいようで叱られた。
お風呂から出て戸締りをして布団に入る。
今日はゆっくりと撫でて寝かしつけにかかる。
良いの? と問うて来る。
たまには、と答える。
少し嬉しそうで少し残念そうだ。
「して欲しい?」
「どっちでもいいわ、好きにして」
「したいならあなたからしてごらん」
「…今日は良いわ。…恥ずかしいもの」
そっと指を這わすと少し濡れている。
「どうする?」
少し悩んでいるようだ。
「あの…」
「シッ」
人の気配。
廊下をキシキシと歩いて…去った。
「律かしら…」
「多分。今日は止めときましょうか」
「そうね」
先生の股間から手を離して汚れた指をふき取る。
いつになっても恥ずかしそうでそこが可愛い。
抱き締めて背中を撫で、寝かせた。
おやすみなさい。
朝になって先生の寝顔を眺める。
優しげな顔で気持ち良さそう。
クーラーをつけよう、と言っていたけれど要らないかも知れないな。
とりあえず今のところはそんなに暑くはない。
8月の暑さで考えようか。
と言うか暑いのが8月だけならあちらですれば良いわけで。
眺めているうちに目が覚めたようだ。
あくび。
「いま何時?」
そろそろ起きる時間。
身支度をして台所へ向かう。
やや遅れて先生。
朝ご飯を作り、ご飯を頂いて後はいつものとおり家事。
指示されて動くのは結構楽なんだよね。
お昼ご飯できたわよ、と呼んばれて4人で食べた。
食後、先生が新聞を読んでいると何か催し物を見つけたらしい。
「ねぇ、今度これ行かない?」
「はいはい、なんでしょう。あ、いいですね。覚えてたら行きましょう」
午後からは暑いから草むしりはせず風呂を洗ったり床の拭き掃除をしたり。
俺がいると掃除が捗って助かるらしい。
一通り済んでおやつを頂く。
蝉時雨は今の時間聞こえないようだ。
朝うるさいけど。
「夕立ないかしらねえ。暑いわ」
「ここ、まだ涼しいじゃないですか」
「そう? 暑いわよ」
「職場、朝7時には既に今のここより暑いですよ」
「そんなに?」
「湿度も75%は有りますね、大体」
「熱中症とか大丈夫なの?」
「ハイポトニック系飲料持って行ってますから」
「なぁに、それ」
「アイソトニックが体液と同じ浸透圧、
 ハイポトニックはそれよりも体に水分が入りやすい飲料です。
 アイソだとポカリ、アクエリアス。ハイポはアクエリレモンとかH2Oなんかです」
「んー、CMでしてるOS-1みたいなもの?」
「あれは既に脱水を自覚した時に飲むものですよ。まずいし塩が多目です」
「あら、じゃ高血圧だと飲んじゃいけないわね」
「普段に先生方が飲むならポカリをミネラルウォーターで割ると良いかと思います」
「どうして?」
「ポカリはそのままだと糖分が多い。ただの水で割るとミネラルが少なくなる。
 ハイポは汗かいたな、と思う時にどうぞ。脱水時はOS-1もおいしいですよ」
「詳しいのねぇ」
「OS-1買いにいけなくなるほどならLGS作ってましたね。
 水1リットルに一掴みの砂糖、一つまみの塩を溶かしたもの。
 脱水っぽい時は簡単に作れてその場で飲んで回復できますから良く作ってました」
ただ高齢者は塩分制限とかほかにも色々有るから医者行くほうがいい。
少し日が傾いてきた。
一番暑い時間帯が過ぎたのでお夕飯の買物に出る。
肉のレタス巻をねだった。
仕方ないわねえ、と材料を買って下さり帰宅。
夕食を作って律君の帰りを待つ。
俺の分は肉と胡瓜と人参をレタスで巻くもの。
多分孝弘さんに横取りされるだろう。
少しして帰ってきた。
「おかえり。はい」
冷凍したタオルを渡す。
「うわっつめたっ、気持ち良いなぁ、これ」
あちこち拭ったら洗濯籠へ。
すっきりできるから俺もたまにやる。
お夕飯を皆で食べて、やっぱり孝弘さんにちょっと取られて。
団欒を楽しんで帰宅した。
翌日、気温は更に上昇し帰宅する頃にはシャツは水ではなく汗でぐっしょり。
さっさと洗濯機を回して風呂に入り、先生のお宅へ。
暑いですね、が定型の挨拶になりつつもお稽古を済ませお夕飯。
八重子先生はこの暑い中、ちゃんと煮物を作ってる。
凄く偉い人だと思う。
主婦なら当たり前、と一蹴されたけど。
それから帰宅したが同時に雷雨。
酷い雷と雨。
テレビをつけると一部地域で停電のようだ。
先生にメールをする。
あちらは大丈夫とのこと。
安心して寝た。
出勤すると会社の人は何人か、家の前がすごいことになってた!などと言っている。
そんな話でにぎわいつつ仕事を終える。
家へ帰った汗だくの体をシャワーで流し、クーラーが効いた寝室のベッドに転がり込んだ。
このまま夕方まで寝よう。
夕方どころか暗くなって先生のメールで目が覚めた。
メシ、食わなきゃ。
あれ? またメール?
開いてみる。
なんだろうこれ。
うーん。
今の写真は何か聞いてみた。
暫くメールが返って来ないので着替えてコンビニへ。
途中で鳴った。
どうやら携帯を踏んだそうだ。
写っていたのは足の裏だったようで。
怪我はないか確認をしてコンビニに入る。
冷麺で良いか、暑いし。
帰宅して冷たいものをすすっていると寒くなってきた。
食ってすぐに布団にもぐりこんでおやすみなさい。
翌朝出勤して仕事をこなし先生のお宅へ。
今日は抱いていい日。
少し浮き浮きとしてお宅に着いてお稽古の補佐をする。
終わりに近づいた頃、来客があった。
八重子先生がお相手をしている。
俺のお稽古を済ませ先生がお夕飯の続きを。
水屋を一人で片付けた。
終って台所を伺うと来客が泊まられるそうで一緒にお夕飯をとることに。
相変わらずおいしいおかず。
今日は俺が持ってきた鯛とハモ、マグロ、オコゼ、アジをお造りにしてある。
「あら、八重ちゃん良いもの食べてるわねえ」
「この子、魚屋さんだから持ってきてくれるのよ」
「お弟子さん? いいわねえ」
にこっと笑って食事を済ませ先生と洗い物に立つ。
「今日…しないでね」
「いやです」
「お願い」
「うち来て下さい。それならいいでしょ。あちらの家でもいいから」
「どうしても?」
「したいんです。嫌ですか」
「拗ねないで。わかったわよ…お母さんが良いって言ったらよ?」
「了解、ここ終ったら聞いてきます」
食後のコーヒーを入れて先生がお客さんに出しに行った。
台所を片付ける。
よし、綺麗になった。ここまでしたら咎められない…ハズ。
お客さんがトイレに立たれた隙に八重子先生に許可を取った。
酒を一本担いで先生を連れ出す。
部屋に入ってまずは少し飲むことにした。
ぐい飲みで少し酒を楽しむ。
つまみは万願寺の炒め煮。
先生に口移しをねだってしかられたり。
お酒はしてもらえたり。
暫くしたら先生がしなだれかかってきた。
酔ったようだ。
俺を押し倒してキスをしてくる。
「したくなかったんじゃないのかな?」
「うちでは嫌なだけだもの」
「ふぅん。着物、脱がなくて良いのか?」
「どうせ明日洗濯するから…」
珍しい。
そのままであれやこれやとして啼かせてから脱がせた。
やっぱり着たままってのはエロくて良い。
ベッドに連れて行って何度か抱いて。
しょっぱい体のあちこちをなめて楽しんだ後、ぐったりした先生を風呂に入れる。
途中から寝てしまったがさっぱりしてから浴衣を着せて先生の家に連れ帰った。
布団がね、汗でじっとりしてて嫌なんだよね。
静かに勝手口から入って部屋で寝かせた。
明日朝になったら片付けに行かないといけないな。
気持ち良さそうな寝息に引き込まれる。
おやすみなさい。
朝になって先生の寝顔を暫く楽しんで、先に台所へ行った。
ご飯を炊いて鮭を焼き、だし巻を焼いてお味噌汁を作り、お漬物を刻む。
「あら、あんたいつ帰ったの」
「昨晩の間に戻ってましたよ、あと何か作りましょうか?」
「いやいいよ、これで。絹は?」
「まだ寝てらっしゃいましたよ。多分今日からアレでしょ、眠いと思いますよ」
「あぁ」
合点が行ったようだ。
食卓を片付けてお茶碗などの支度をしてもらった頃、お客様も起きてきたようだ。
八重子先生と手分けして配膳し、律君を起こし孝弘さんを呼びに行く。
「あら絹ちゃんは?」
「うん、ちょっとね、今朝は」
八重子先生が濁して食事を始める。
「おばあちゃんこの玉子焼き…」
「あら、だし巻じゃない。珍しいもの作るわねぇ」
「本当だねぇ、玉子焼きじゃないね」
「あぁまた山沢さんが作ったんだ?」
「この子朝早いからね、起きたらほとんど出来てたよ」
「さすが魚屋さんねえ」
律君が卵を全部食べられず残し、それを孝弘さんが食べた。
食後の洗い物。
終ってから先生を伺いに寝間に入る。
良く寝ていて気持ち良さそうだ。
昼までに起きるかな?
ふふ、可愛いなぁ。
穏やかな寝息。
居間に戻ると八重子先生から買物を頼まれた。
快く受けて出た。まだ午前中だから暑さはマシ。
夕飯の分も買物をして帰宅した。
先生はまだ寝てるとか。
よっぽど疲れたか。
あちらの家から昨日の着物やシーツを回収し、洗った。
昼からで十分乾くだろう。
というのも昨日はシルックだったからだ。
楽だよね、洗える着物。
畳んで皺を伸ばし干して行く。
お昼ご飯を作ってもうそろそろと先生を八重子先生が起こしに行ったが…。
ダメだった様だ。
お昼ご飯を食べてお客様は帰られた。
再度先生の寝顔をのぞきに行くと、やっと起きた。
「ん、暑~い、何時なのぉ」
「もー1時半ですよ。腹減ってませんか?」
「あら? もうそんな時間? お客様は」
「帰られました」
「あらららー」
くぅ、と腹の虫が聞こえて先生が恥ずかしげ。
「何作りましょ?」
「えぇーっと…サンドイッチ」
「はいはい、何の具が良いですか」
「野菜。と卵」
「わかりました。着替えてて」
台所に戻ってパンを切り卵を甘く焼いた。
からしマヨではさもう。
居間に出てきた気配がしたのでコーヒーを入れて、サンドイッチを持って出た。
「今日から生理でしょう? 先生」
「あ、うん。どうして?」
「なんとなく。それにそろそろ月末だし」
「あぁ、そうね」
おいしい、とサンドイッチを食べる先生が可愛らしい。
にこにこして見てしまう。
玄関を開ける音、八重子先生が帰ってきた。
「おかえりなさい」
「はいはい、おそよう」
「早くないからですか、ははは」
ちょっと恥ずかしげで申し訳なさげに食べてる姿も良いね。
「あんた自分で片付けなさいよ」
なんて八重子先生が先生に言っている。
板の間だから足が冷えるし、と俺が回収して洗った。
「暑いから良いのに…」
と引き止められたけどこれくらい別に面倒とは思わない。
甘やかしすぎと後で八重子先生に叱られたが…良いじゃないか。
恋人は甘やかすものさ。
夕方まで団欒して洗濯物を取り込む。
すっかり乾いていて先生が畳んで箪笥に仕舞った。
「さてと。ご飯つくろうかねえ」
「そうですね、先生はそのままそのまま」
八重子先生指示の元夕飯を作る。
肉じゃが。今日は俺が買物してるから牛肉。
ずいき。わかめと胡瓜の酢の物。
根野菜と肉のオイスターソース炒め。
後は常備菜を少し。
先生に食卓を片付けて配膳をして貰い、俺は二人を呼びにたった。
丁度離れに二人とも居てくれて助かった。
ご飯を食べて先生たちがくつろいでる雰囲気を楽しみつつも夜が更けてきた。
帰らねばなるまい。
ちょっと先生は帰したくなさそうで。
「明日…来て欲しいなら昼にメールしてくれたら来ますから」
「いいの?」
「ええ、あなたがそうして欲しいなら」
「わかったわ。じゃ今日は…諦めるわね」
頭をちょっと撫でて別れた。
帰宅してすぐに寝る。
眠い。
おやすみなさい。
翌日、仕事の後気が向いて飯田橋へ。
青森の産直ショップへ入った。
りんごチップスやジュース、地酒。
2万ほど散在してから先生のお宅へ足を運んだ。
お勝手から入りジュースを冷やし酒はケースの空いているところに入れた。
居間に顔を出す。
「今日は」
「あぁ山沢さん」
「あら、いつのまにきたの?」
「今です。どうぞ、これ」
「なぁに? りんごのお菓子?」
「たまにこういうの食べたくなるんですよね。沢山買ったのでおすそ分け」
「有難う。お稽古していく?」
「この格好で?」
「あんた着替えておいで。してあげるよ」
遠慮したい。月曜は上級だし。
と思ったが先生の食後、部屋に連れて行かれて着替えさせられてしまった。
今日は八重子先生がメインでお稽古。
円真や真の行のお稽古のお客役をして、私の番。
当然ながらいつものごとく叱られる。
他の生徒さんがちょっと心配そう。
今日は上級と限定されているだけに人数は少なく、いつもより早めに稽古が終る。
水屋の片付けを手伝って居間に戻った。
「あぁ疲れた」
「疲れちゃったわ」
お二人ともやはり上級は疲れるのか。
暫く一服されて先生がご飯作ろうと立たれたが八重子先生に止められた。
顔色良くないからなぁ。
俺と八重子先生で作ることにして先生を少し休ませる。
着替えてから今日は簡単なものを、と仰った。
鉄分多目メニュー。
空芯菜の炒め物に小松菜の豆乳スープ、ひじきのチャーハン。
…洋風?
おいしいからいいか。
食卓を片付けて孝弘さんを呼ぶ。
そろそろ律君も帰ってくるはずだ。
配膳を済ませた頃ただいまの声。
「おかえり、ご飯できてるから手を洗ってきなさいよ」
「はーい」
律君が座って、いただきます。
先生はボツボツ食べている。
「あれ、そういえば今日なんで山沢さんいるの?」
「いやぁおいしいもののお裾分けに寄ったんだよね」
「あ、だからそんな格好なんですね」
「後で食べて。りんごのドライフルーツ」
「パリパリしたやつですか」
「いやもっちりしてる半生タイプ」
「へぇおいしそうだな」
なんて会話をして食事を終った。
台所を片付けて辞去する。
やっぱり先生は帰らせたくなさそうで俺のシャツの裾を掴む。
髪を撫でて、明日来るからと宥めすかして帰宅した。
疲れた。
もう寝よう。
おやすみなさい。
出勤した。
うなぎの日ともあり、うちは扱わないため暇だ。
誰かがコンビニからうなぎパンを持ってきて笑えた。
よしお稽古前に買って先生に見せてやる。
孝弘さんが食ってくれるだろ。
うな丼は先生のところに出入りしている魚屋さんから買うことに決まっているらしい。
食べるなら俺の分だけもってこいとのこと。
持っていく予定ではあったが予約ミスで余分に買って欲しいといわれた。
いいけどね、多い分には。
うなぎパンと3匹のうなぎを持ってお稽古へ。
渡さず先に台所へ。
そのままお稽古をこなす。
先生の顔色も今日は良いので俺に厳しく生徒さんには優しい絶好調のようだ。
疲れて水屋を片付けた。
台所に顔を出すとうなぎをどうしようか迷ってる八重子先生が居た。
「あんた多いよ、これ」
「あー…ですよね」
たすきをかけて手伝う。
ご飯、うなぎの短冊、ご飯、うなぎ。
そう乗せて渡す。
「ん、これ背開きじゃないんだね」
頭ついてます、はい。
先生方のにも仕込んだ。
2匹分多いからね。
律君が帰ってきたようだ、配膳しましょう。
お吸い物をつけて配膳。
いただきます。
暫く食べていると律君がまず気づいた。
「2段になってる…」
「あらほんと」
「山沢さんが多く持ってきたからね、あんたらのは多目だよ」
そう、八重子先生は脂で胃もたれしそうだからと少なめにされた。
うな丼を食べて精気を養う。
ふと一瞬先生が不安げな顔をされた。
なんだろう。
食後洗い物をして寝室の布団を敷いたり風呂に入ったり戸締りを確かめたり。
それから先生の横に落ち着いた。
眠いな。
そろそろ、と八重子先生に促されて寝間へ。
着替えて先に入って待つ。
女の身支度は時間のかかるものだ。
それからおそるおそると入ってきた。
「どうした? 何を怖がってる」
そっと胸に顔をつけてくる。
背中をなでているうちにこちらがダウン、寝てしまったようだ。
夜半目が覚める。
寝たときと同じ体勢。
何が怖かったんだろうかなぁ。
起こさない程度に触れる。
素肌に。
冷やっこくて柔らかいなぁ。
気持ち良い。
お腹に手を当てて温める。ここは冷やしちゃいかん。
寝息を聞いていると俺も眠くなった。もう少し寝よう。
朝、目が覚めると既に先生は部屋に居らず。
身づくろいして台所へ行くと良い匂いだ。
「おはよう。おいしそうだな」
「あら起きたの。おはよう」
「あなたのご飯食べるの久しぶりかも」
「そういえばそうね。ねぇ、昨日はどうしたの?」
「あぁ何か凄く眠くて。いつもと逆ですね」
「おはよう」
「あ、おはようございます」
「おかあさん、おはよう」
「今日は何作ってるの」
「団子汁よ」
「あぁいいねえ」
律君も起きてきた。
「あ、お父さん呼んで頂戴」
「んー」
まだ寝ぼけてるな。
配膳して、いただく。
うまいなー。
食後暫くすると先生がどこからか菅笠を持ってきた。
「はい、草取りよろしく」
「うっ…はいはい…」
かぶって庭に下りてむしる。
ちゃんと麦茶を用意してくれてある。
あまりに暑くて少し水をかぶったりしつつ。
いやかぶっても暑くてすぐ乾いちゃうね。
お昼ご飯まで先生が掃除をしているのを横目で見つつ。
綺麗だな。
たすきがけ前掛けをして畳の拭き掃除とかえらいよなあ。
家事に汗をかく先生を見て気力を奮い起こし草をむしっていると八重子先生の声。
「お昼できたよ」
庭で汚れたズボンやシャツを脱いで上がる。
「あ、もう。だめよ」
浴衣を手早く着せてくれた。
「手を洗ってらっしゃい」
「はい」
食卓に着いてお昼をいただく。
孝弘さんがご飯を食ってしまったらしく俺と先生の分はスパゲティになった。
梅と鰹節のしょうゆ味。
うまい。
丁度汗をかいていたこともあり大変においしい。
ご馳走様をしたらまた着替えて庭へ。
先生は二度目の洗濯物干し。
ああ、腰巻がなびいているな。
昨日したかったのに寝てしまったのは不覚だ。
あれ、でもまだ先生は終ってない気がする。
結局したいのに出来ない、と思わず済んでよかったのかも。
3時半ごろ先生に呼ばれて作業終了。
汚れた服は洗濯機に入れ、シャワーを浴びるようにと。
シャワーから出ると洗い立ての下帯と浴衣が用意してある。
嬉しいね。
さっぱりとして居間へ行くとお買い物行くから汗が引いたら着替えるようにと仰る。
夕飯のかと思えば違って服だそうだ。
律君の服。
それと俺の普段着。
先生の家に置く分らしい。
微妙にセンスが気に入らないのかもしれない。
やっぱり買物は楽しげだなぁ。
楽しそうにしている先生を見るのが好きだ。
そのままお夕飯の材料も買って帰った。
お手伝いをしてご飯を整える。
夕飯をいただいたらもう帰らねばなるまい。
「さて、と」
「じゃそろそろ」
一緒に先生が立ち上がる。
お見送りを受けるもの、と思いきや先生は鞄を持って一緒に着いてきた。
「え?」
「お泊り。良いでしょ」
「ええっ?」
「だめなの?」
「えっいや部屋汚くしてますし」
「掃除くらいしてあげるわよ。それとも誰か呼ぶ予定でもあるのかしらね」
「ありませんっ」
「だったらいいじゃない」
「もー…仕方ないなぁ」
「あら。嬉しくないの?」
「嬉しいですって。拗ねないでくださいよ」
引き寄せて、と思ったが人目があるから。
夜道を歩いて駅に行き電車に乗った。
揺られるうち先生は俺にもたれている。
「眠い?」
「ううん、大丈夫よ」
「帰ったら一緒に寝ましょうね」
「うん」
乗り換えて暫くすると先生が俺の手を握る。
可愛いなあ。
帰宅後、先生が寝巻きに着替えて寝る準備を整える間に朝飯になるものを買いに出た。
こんな時間だからパンとスープ、サラダカップとハムだけど。
冷蔵庫に仕舞いこんで俺も寝巻きに着替えベッドに入る。
「おやすみなさい」
「おやすみ」
先生の背中を撫でつつ寝た。

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h32

朝。
昨日しなかったから先生は早起きだ。
着替えた先生に起こされて台所へ行く。
朝ご飯を作り、食べてから家事だ。
掃除をしたり草引きをしたり、その合間にお昼を頂いたり。
夕方になって来客が有り先生はそちらに手を取られてしまい俺は一人、買物へ。
あなたの食べたいものを、と言われていたのですき煮の材料を買って帰った。
台所で八重子先生に見せると苦笑され、下拵えをしてお客さんの帰るのを待つ事にした。
部屋で繕い物を片付けているが一向に気配がない。
腹減ったなぁ。
と思っていたら孝弘さんがメシまだか、と言ってくれた。
重い腰を上げてお客さんが帰ってくれていそいそとご飯を作る。
「ごめんなさいね、遅くなっちゃって」
先生が孝弘さんに沢山ご飯をよそってて何かほほえましい。
「ただいまぁ、あーおなかすいた」
律君も帰ってきた。
「手、洗ってらっしゃい」
「はーい」
うまいうまいと飯を食って片付けをすればもはや帰る時間だ。
また明日、と別れた。
帰宅してすぐに寝て、翌朝仕事へ。
今日も暇だ。
先生に何か持って行こうか。
物色する。
俺も食えるものが良いな。
金目とかどうだろう。
よし、金目とホタテとでいいか。
仕事が終わる頃、イセエビがずっと売れなくてそろそろと言うのを連れて帰ることにした。
支払ってブクブクをつけて車に載せ、シャワーを浴びてから先生のお宅へ移動した。
到着してお勝手から入り、台所に置いて八重子先生に申告。
お夕飯が楽しみだ。
先生は喜んでくれるだろうか。
お稽古を済ませ、食卓に着いた。
「あら、おばあちゃん今日はどうしたの? こんなに」
「なんか凄いね」
「山沢さんが色々持ってきてくれたんだよ」
「そうなの、ありがと」
「私も食べたかったのでもってきちゃいました」
「でもちゃんと山沢さんの分、お肉焼いてあるんだね」
魚を少し食べてから、お肉を頂く。
サイコロステーキうまいなー。
「山沢さん? ちゃんとお野菜食べなさい」
「あ、はい」
「取らないから」
「あはは…食べます」
煮浸しを取って食べ、胡麻和えを食べる。
先生は孝弘さんの食事の世話をしているときが一番にこやかだ。
おいしいご飯に穏やかな団欒。
いいなぁ。
だけど食事を取ったら帰らなきゃいけない。
次は明後日だ。
ちゃんと来ると約束して帰宅した。
途中検問に引っかかりアルコールの検査をされてしまったが、幸い飲んでない。
何事もなく帰宅してベッドにダイブした。
翌朝、寝ぼけつつも出勤、流石に金曜日、水曜・木曜に比べればそれなりだ。
だが今日は雨だ。
しとしとと梅雨らしい、湿った空気、重い。
こんな日にビアガーデン予約していた奴がいた。
どうする?なんて話をしている。
こんな雨の日に決行するのかなー、風邪引くぞ?
結局決行するらしい。アホだ。
こんな日は…女とクーラーの効いた部屋でいちゃいちゃするのが良い。
なんて考えつつも仕事終了、さびしく一人寝の我が家だ。
クーラーを効かせベッドに潜り込む幸せ。
暫く寝て昼過ぎに起きる。
効きすぎだ。
一旦クーラーを止めて食事に出ることにした。
さてなにを食おうか。
ぶらぶらと歩いていつもの店に入り、結局イタリアンを頼んだ。
いつも行くのでいつも大盛を作ってくれる。
食事を取りつつ携帯のメールチェック。
やっぱり先生から来てた。
今日は軽めにナポリタンスパゲティとある。
写真は…まぁ俺のと同じだね。
俺も写真を撮って送り返す。
三回ほど返信して食事に集中した。
食べ終わると先生から更にメールが来る。
今晩一人で夕飯だからどこか食べに連れて行って欲しいそうだ。
食後に言われても中々思いつけない。
先生のとことうちの中間地点くらいでどこかあったかな。
ジャンルは何が良いかまずは聞かねば。
懐石をご希望だ。
さてあの辺にある懐石なぁ…あぁ、あそこがあるか。
電話して予約を取る。
先生に決まったから待ち合わせの時刻を告げた。
帰宅して少し寝て風呂に入って着替える。
こっちまで来るとは言わなかったところを見ると泊まる気はないようだ。
明日お稽古だから仕方ないな。
電車を乗り継いで待ち合わせ場所に到着。
近くの喫茶店でくつろいでいると先生が来た。
アイスコーヒーを追加して一服。
「ごめんね、急で」
「いいですよ、今日も綺麗ですね」
「あら」
コーヒーを飲み終わって一旦涼んだところで移動を開始する。
まだこのあたりは双方知り合いに会う可能性は捨てきれず、手はつなげないのが残念だ。
並んで歩きお店へ入る。
「予約の山沢です」
そう告げると席へ案内された。
あ、個室だ。
これは…ちょっと嬉しい。
仲居さんが来ない間先生の手に触れたり。
先生がドキドキしてるのが楽しくて、つい部屋にこないかと誘ってしまった。
残念ながらお稽古日だからと断られる。
少しごねては見たものの、土曜はやはりちょっとと言うことでまた今度。
やはりアレのときだけか…性欲溢れるのは。
性欲横溢のときに縛ってあれやこれやしてやりたいな。
キレられる可能性は高いかもしれないが。
「なぁに?」
「なんでもありませんよ」
「そう?」
「ええ、おいしいですね、飯」
「めし、なんて言わないの、ご飯でしょ」
「ごはん」
「良い子ね」
苦笑してお酒を注いで少し酔わせた。
「ねぇ先生。ここね、むかしは連込宿だったんですよ」
「え?」
ぴた、と手が止まる。
「代替わりと同時に建替えてね、ちゃんとした料理屋にしたらしくてね」
あからさまにほっとしてる。
「だけどね、所望があれば…ふふ、わかるよね?」
サッと頬に朱が差す。
「だ、だめよ」
「ここが嫌ならどこかラブホ入っても良いけれど」
追い詰められたような顔しちゃってまあ…可愛い。
ニヤッと笑い、冗談ってことにしてあげてデザートを食べる。
「おいし…」
ほっとして食べるのはさぞやうまかろう。
食後、会計して店を出ると少し離れがたそうなそぶりだ。
「明日お稽古行きますね。だから…」
「うん…」
「それとも。明日お稽古の後うちに来ますか?」
「そうしたいわ、でも…」
珍しく歯切れが悪い。
「展覧会、休みの朝から行きましょう。何か探しますよ」
「あ、それなら出れるわね」
駅で別れる前に少し指を絡めた。
「じゃあおやすみなさい。気をつけて帰って下さい」
「あなたも気をつけて帰って頂戴ね。おやすみなさい」
あー、キスしたい。
我慢して別れて帰宅する。
先生も同じように思ってくれているのだろうか。
帰り着いてすぐ、先生から帰宅のメールが届いた。
明後日どこか展覧会は、と調べてリストアップしたものを返事とする。
暫く待つと行きたい展覧会を二つ書いて送ってきた。どちらかで良いようだ。
明日稽古に行ってから決めようと返事をして、就寝の挨拶を交わした。
おやすみなさい。
翌日は土曜と言うこともあり忙しく、慌ててお稽古へ向かう。
急ぎ挨拶して水屋を整えた。
順々に生徒さんが来てお稽古が進む。
俺のお稽古も終り水屋を片付け夕飯を取った。
すぐに先生を連れて俺の家へ電車で戻ることに。
明日朝からでも、と言ったが朝ばたばたするのが嫌だからと。
ま、確かに暑いし雨気だしで朝用意するのは面倒くさい、その上の1時間半電車では。
二人で電車に乗り座っていると先生が寄りかかってくる。
クーラーが効いている分温かみが気持ちよい。
手に触れてくる。
ひんやりとした指先。
包み込むように握って袂で隠す。
先生は知らぬ振りして窓の外を眺めている。
俺は車窓に映る先生の顔を見つめて降車までぼんやりしていた。
このままどこか遠くへ…いやダメだ、それはしてはいけない。
せめて律君が独り立ちをしてからの話だ。
乗り換えて家に帰宅した。
電気を付けると先生が眉をしかめる。
あ、新聞散らかしたままだ。
「片付けるの手伝うわ」
「うわ待った、ストップ!」
「なぁに?」
「あれ、全部一枚一枚畳むんですよ。だから片付けないで下さい」
「それならそれで手伝うわよ?」
「手、汚れるから。とりあえず着替えて暇なら寝転ぶなり何なりしてて」
「そう? じゃあ」
先生が和室へ行って着替える間に新聞に手をつける。
一枚ずつ離して畳み積み上げ袋に入れていく。
まだ終らないのを見て先生は俺の背中にもたれかかってきた。
「眠いなら少し寝る?」
「眠くはないわよ」
「じゃもうちょっと待ってて」
「うん」
ガサガサと作業を続け10分ほど経った。
暇と見えて人の腹を揉むのはやめてくれ、くすぐったい。
暫くしてやっと終った。
先生が離れてやれやれと手を洗いに立つ。
無駄に時間を使ってしまった。
戻ると先生がお茶を入れてくれててありがたく頂く。
「疲れてる?」
「お稽古してそれから移動だもの。あら? でもあなたいつもそうよね」
「基礎体力の違いでしょうね」
「そうかも」
湯飲みを片付けて俺も着替え、先生の後ろに座る。
「さて、今からして明日展覧会行けるのかな」
「行けなかったらどうしようかしら」
「疲れてたみたいで寝ちゃったとか言いますかねぇ」
「お母さんにはばれるわよね」
「ま、仕方ないでしょうそこは」
ごそごそと胸をまさぐる。
柔らかくて気持ち良いなぁ。
暫く弄っていると体臭が立ち上ってくる。
体温が上がるとどうしても昼にかいた汗が匂うんだろう。
だけど不思議と好きな女だからか臭いとは感じない。
むしろ好きな匂いだ。
あと匂い袋なのか防虫香なのかはわからないがそういう匂い。
先生はそんな匂いよりも俺の動かす指に翻弄されて少し膝が崩れてきている。
浴衣の衿を広く開けて首筋から肩にかけて舐める。
もう少しで胸が見えそうだ。
普段は布団の中だけだから後ろから抱くのは久しぶりで少し興奮する。
そろりと裾を割ってはだけさせると色っぽくて素敵だ。
お腰の中に手を差し入れると温かくて湿っている。
指先がかすかに毛に触れるとビクッとして俺の腕を掴んだ。
指を動かして微かに、かすかに触れて反応を見る。
楽しい。
「足、開いて」
葛藤してるのを見るのも愉しい。
「ん? 犯して欲しいのかな?」
そう言うと慌てた様子で、だがそっと膝を開いた。
指をもぐりこませる。
「あっ」
「ほら、こんなにして…荒々しくされるのも好きなんじゃないの?」
「んっいや、違、うっ」
気持ち良さそうだなぁ。
「ほら、膝を立てて開いて。あの鏡に映るようにね」
少し体の向きを融通して鏡に映るようにした。
はっ、と見て自分の状況を認識したらしい。
浴衣を肩まで露わにされ乳には俺の手が蠢き、裾は乱れてはだけた腰巻と俺の腕。
とろり、と指がぬめる。
恥ずかしがっていて可愛くて。
耳を舐めると声が出た。
そのまま暫く玩び、弄り、十分に満足するまで責めた。
ぐんにゃりと力の抜けた先生を抱えて風呂に入る。
ゆっくりとなでて洗い、頭を洗っていると寝息に変わっていた。
可愛いなぁ。
濯ぎ終えてきっちり拭き取り洗濯できている寝巻きを着せて髪を乾かしベッドに入れた。
横にもぐりこんでお休みなさい。
翌朝はやはり先生はよく寝ていた。
朝御飯の支度をして先に食べる。
と言ってもパンとベーコン、卵だが。
空腹が押さえられたので10時にセットして二度寝することにした。
先生が寝返りを打ち俺の上に乗ってしまう。
ま、いいか。
重いのもそれなりに気持ち良いし。
しかし疲れきってるようだがトーハク行けるかな?
白菜が見たいらしいけど。
うつらうつらと朝寝を楽しんでいると9時半頃目が覚めたようだ。
「ん、おなかすいたぁ」
「ふぁ…うー、お早うございます」
「あ、おはよう。何時?」
「9時半みたいですね」
「随分寝過ごしちゃったわね」
「疲れてたんでしょう、今日いけそうかな?」
「行くわよ。7日までだったでしょ?」
「ええ」
「じゃ朝ご飯食べたら着替えて行きましょ」
起きるのは良いがちょっと立つのに苦労をしていた。
トイレに連れて行ってから食事を作る。
軽めで良いというので軽めに。
先生にはサラダをつけた。
食べて洗顔と歯を磨いて10時半過ぎ。
「さ。着替えたいわ。手伝って頂戴」
「はいよ」
ちょっとは回復したらしく、手を貸さずとも和室に入った。
髪を結ったりお化粧をして先生が調えている間に自分の身支度を整えた。
先生は昨日出してあった着物を着る。
「紐」
「はい」
やっぱり着るの手早くて、そして綺麗だなぁ。
つい見とれてしまう。
それから再度鏡を見直して色々とチェックし、俺の着物を少し直した。
先生がトイレに行く間に鞄や草履を出して後は家を出るばかり。
混む、と聞いていたので念のため飲み物を鞄に入れて、出発。
とはいえ5分ほど歩きすぐに電車に乗ったが。
メトロで上野に出てタクシーを拾う。
「混んでますか?」
「そうだねぇ3時間待ちとか」
「先生、どうされます」
「今日じゃないと…あなたが良いなら私は待てるわ」
「大丈夫ですか」
「ええ」
車を走らせて貰って正門へ。
「お、今日はそこまでじゃなさそうだ」
「あれでですか」
「よかったねえ、お客さん。3時間じゃないよ」
降車して手続きをして列に並ぶ。
やや時雨れている。
「先生、俺に体重預けて」
「ん」
一時間ほどかけてじりじりと列が進む。
途中先生が喉が渇いてそうなので飲み物を飲ませた。
「あ、おいしい」
汗、随分かいてるようだ。
体重を預けるとどうしても密着するからなぁ。
暫くしてやっと入場だ。
列の進むにしたがって見えてきた。
なるほど白菜…。
先生は真剣な顔でじっくり鑑賞している。
俺なんかはこんなもんなんで作ろうと思ったんだ…?なんて。
思っちゃってたわけだけども。
先生の鑑賞している横顔を見てるほうが楽しいわけなんだけども。
立ち止まることは出来ず他の展示物へ流れる。
先生は凄く楽しそうだ。
好きなんだなぁ。
その後常設展も巡って帰宅。
まずは先生を風呂に入れてベッドで休ませた。
流石に昨日の今日で1時間以上の待ち時間は堪えたようだ。
寝ている間においしいお弁当を買いに出た。
急いで行って急いで戻る。
そっと玄関を開けて静かに入り、冷蔵庫に仕舞った。
着物を脱いでそろりと先生の横に潜り込む。
良いにおいだ。
俺の匂いをつけて帰したくなるが。
もう一度抱いてしまったら帰れなくなるだろうな。
それはきっと叱られる。
なんて思っているうちに寝てしまい、7時前に目が覚めた。
先生を起こしてしまおう。
「ん、もうちょっと」
8時と9時に起こしたけど全然ダメだ。
諦めて先生のお宅に電話した。
起こしたけど起きない、そういうと苦笑する気配が伝わってくる。
トーハク1時間以上待ち時間があったので疲れた模様、と言えば納得されたようだ。
電話を切って一人寂しく弁当を食べる。
寝息を聞きつつ。
食べて歯を磨いてコーヒーを飲んでると起きたようだ。
「いま何時ー?」
「10時過ぎてますよ」
「あ、あらぁ?」
「弁当温めますね。それからお家には電話しておきました」
「ええっ?」
「明日朝のお稽古ないんでしょう?」
「ないわよ、ないけど…」
チン、と鳴る。
「はい、どうぞ」
冷たいほうが良いものだけを先によけておいたのでそれを盛り付けなおして渡した。
「お茶入れますね」
「ありがと…あ、あなたもう食べたの?」
「先ほど。もう少し待てばよかったな」
「起こしてくれたらよかったのに」
「ははは、3回起こしましたよ。もうこんな時間ですしね、これから帰すのは怖い」
「12時くらいまでなら平気よ?」
「俺が嫌」
ぷっと吹き出してくすくす笑ってる。
ま、納得してくれたようだ。
ゆっくりとお弁当を平らげてお茶を飲む先生はまだ少し眠そうだ。
「寝ますか」
「食べてすぐはダメよ」
眠そうなのに。
暫くテレビを見てそれから歯を磨いて先に布団へ潜った。
一人うつらうつらしているとそっと入ってくる気配。
温かくて丸みのある先生の体が俺に添う。
「おやすみなさい」
「おやすみ」
懐に抱きこんで寝た。
翌朝、よく寝ている先生を置いて出勤する。
朝のうちに帰るよう書置きをして置いた。
でないと今日は先生はお稽古がある。
暇な仕事をして食事を買って帰宅した。
当然鍵は閉まっていて人の気配はない。
ちゃんと帰ったようだ。
ほっとしつつも少しさびしい。
八重子先生はうちの嫁になれば立場が安定するというけれど。
会えない日にさびしいのは一緒なんだよなあ。
後お付き合いは最低1年くらいすべきではないかと思う、うん。
だからもう少し様子見て欲しいなぁ。
ん? メールが来た。
先生が笹を飾ったようだ、暇なら来て書くようにと
あー今日は七夕か。
夕方行くと返事をして少し寝て。
おやつの時間に起きて風呂に入って着替えて、電車に乗った。
夕飯の用意はしてくれるとのことだから楽しみだ。
最近先生が作る、と言うの食べてないからなあ。
浮き浮きして先生のお宅に着く。
「あら山沢さん、さようなら~」
月曜の生徒さんと玄関前でかち合った。
挨拶を交わして中へ入る。
「あぁ、来たの。居間に短冊あるから書いてね。ご飯は今から作るから」
「はい」
鞄を置いて居間に入ると机の上にいくつか短冊、そして硯と墨と筆。
んん、何を書こうかな。
一人3枚までとか書置きしてあるからとりあえず1枚は上達に関することを。
もう1枚はやはり仕事かな。
後1枚には先生とのことを書きたいが人目に触れてはいかん物はかけない。
けど書かないと拗ねられる気がする。
暫く悩んで書き始めた。
笹に括りつけて手を洗って台所へ。
「書けたの?」
「括りつけときましたよ」
「ご飯もうちょっとだから待ってて」
「あんた律に見られて困るようなこと書いてないだろうね?」
「いやーさすがにそれは書けませんよね」
笑い飛ばした。
暫くして雨に濡れた律君帰宅。
「もー参ったよー夕立」
「あら、おかえり。山沢さーーん、律にバスタオルやってくれる?」
「もう貰ったよ」
「お風呂入ったほうが良いと思うけど。凄いずぶぬれだし」
「そうね、入ってらっしゃい。ご飯まだだから」
そうするよ、と律君が風呂場へ行った。
料理の音って良いなぁ。
今日はご飯、なんだろう。
きっとおいしいものだろうけど。
「あ、ねえ、机の上片付けてお父さん呼んで来て頂戴」
「はーい」
言われたとおりして、呼びに行って戻ると配膳されていた。
うまそう。
「律が戻ったら食べましょ」
皆が席に着いて律君がタオル片手に戻ってきた。
いただきます。
うーん、やっぱりうまい。
胡瓜の酢の物に俺にはなますもつけてくれた。
暑いからさっぱりしたものが良いでしょ、と律君に言ってる。
珍しく揚げ物が並んでいる。
暑いのによくやるなぁ。
と思ったらフライパンで揚げ焼きにしたらしい。
その手の絆創膏はそういうわけか?
ご飯の後聞いてみたら違った。
朝、庭で転んだらしい。
「庭のつっかけが壊れちゃったのよね」
「でどうしたの?」
「お昼に買ってきたわよ」
「手はよく洗いました? 流水で」
「兄さんがいたからホースでしっかり洗ってもらったけど…痛かったわよー」
「でも土は良くない菌が一杯いますからね」
「うん、兄さんもそういってたわ」
「お昼って開さん何しに来てたの? お母さん」
「蔵の鍵貸してっていってたけど…何してたかは知らないわ」
少しお酒を取ってきて縁側に移動した。
「あまり見えないわねえ」
八重子先生が蚊取豚に線香を仕込んでくれた。
先生はうちわ片手に足を崩して俺にもたれてる。
律君も少しだけ飲んで、レポートがあるからと部屋に戻った。
もたれてたのがいつしか枕にされて、可愛いけど困るな。
このまま泊まるなら問題ないけど明日も仕事だし。
小一時間ほど寝かせて八重子先生が起こした。
「あんたそろそろ山沢さん帰さないと。これ、起きなさい」
「ん、もうちょっと」
「これ、絹、起きなさい」
「まぁ10時くらいまでなら何とかなりますから、電車」
「すまないねえ」
ゆったりした時間が流れ、先生が目を覚ました。
あふ、とあくびをして。
「さて、起きられたようですので私はそろそろ」
「あら帰っちゃうの?」
「絹、あんたもう11時半だよ。終電なくなっちゃったらどうするんだい」
「最近お疲れですね」
頭をなでて手を離させた。
「気をつけて帰ってね。明日またお稽古来るのよね」
「来ますよ勿論」
八重子先生が台所に消えた隙に軽くキスした。
頬が赤くなって可愛い。
「じゃ、また明日」
「ん、またね」
「八重子先生、失礼しますねー」
台所に声を掛けて玄関を出た。
振り向くと軒先で見送ってくれている。
手を上げたら先生も手を上げて。
戻りたい気分を抑え、帰宅し、すぐに職場へ向かった。
さすがに暇とはいえ、いやむしろ暇だからこそ徹夜で仕事は辛い。
好きでもない相手のことでこうなったなら随分腹を立ててただろう。
6時半頃、先生から仕事頑張ってるか問うメールが来た。
今日は暇すぎる、と返事をした。
台風の所為で南の方からは荷物が来ないときている。
冷凍庫の在庫整理などを暇つぶしにしていると売る当てのなくなった食材が出てきた。
売っぱらうかそれとも買って先生のところへ持ち込むか。
悩んだが買って帰ることにした。
冷凍だから保冷剤を沢山入れた密閉箱に入れなくては。
あの家なら炭が有るからいざとなりゃこれを焼けば暫く食えるし。
帰宅して風呂入って着替えて先生のお宅へいき、冷凍庫にしまった。
昨日の笹はもはや片付けられて先生の談笑する声が聞こえる。
柔らかい声に心が浮き立つ。
「先生、先生のお兄さん山沢さんと結婚なさるんですって?」
「あら、ほほほほほ、まだそこまでは」
なんて話題だ、顔が出しにくい。
帰られるまで部屋で待機しておこう。
暫くして玄関の締まる音がしたので居間へ顔を出す。
「あら来てたの?」
「話題が話題だったので隠れてました」
「その方が良いわ…もう、困ったわよ」
取敢えずはと先生がお昼を食べてる間にお稽古の準備をして生徒さんと先生を待つ。
暫くして先生が戻って生徒さんも来た。
台風の間はお稽古休みかどうかを聞く生徒さん多数。
これなさそうならお休みの連絡いただけるよう、で落ち着いた。
今は台風はどんなものだろうな。
お稽古は進み俺のお稽古もつけていただいてお夕飯をいただいた。
結構この家にいると先生の作るご飯より八重子先生のご飯を頂く機会が多い。
今度先生にねだろう。
昨日うまかったし。
先生はお風呂に入った後ドラマを見ていて部屋に帰る気配はない。
八重子先生から風呂入れ、と言われた。
シャワー浴びてきているが確かに湿気て汗をかいている。
入らせてもらおう。
暑いけども湯船にはいるとやはりくつろげる。
自宅では湯船には入らずいつもシャワーだからかな。
風呂から上がってもまだドラマを見ていた。
暑くて襟元をくつろげてうちわを使う。
CMに入ってこちらを見た、と思ったら叱られた。
お父さんがが部屋にいるのにって。
いや孝弘さん全然興味ないから問題ないでしょ。
「律が戻ってきたら困るでしょ。律が」
なるほど。
っとCM終った。
仕舞いなさいよ、と言ってTVに向いた。
11時までのようなので戸締りと火の始末にかかる。
戻ればそろそろ終盤だ。
孝弘さんは部屋に帰ってしまった模様。
仕方ない、先に布団敷いてこよう。
暫くして先生が部屋に来て布団に潜り込む。
大あくび。
「先に寝るわよー」
「え、あ、はい…っておーい…」
寝息立ててるよ。
頬をつついても起きないし。
何か疲れてるのかねえ? やらせろよー…。
とは思うものの寝てる女抱いてもあまり面白くはないし。
俺も昨日は寝てないし。
寝るか。
おやすみ。
翌朝、先生は早くに目が覚めたようだ。
ご飯を作るにも小一時間ある。
なので…抱いた。
「朝からダメ…」
っていうけど気持ち良さそうだ。
終った後ホットタオルを作り体を拭いて。
足の指の間まで拭き終えてタオルを洗いに立った。
ざっと下洗いして洗濯籠へ。
部屋に戻ろうとすると先生が洗顔しに来た。
俺の胸に手が伸びて乳首をつねられてしまった。痛い。
後はいつものようにご飯を作って食べ、家事を手伝ってお昼も夕飯も頂いて帰宅した。
平和な日常だ。
木曜日の朝、既に南の方は台風被害が出始めているようだ。
出勤してもパソコンや携帯で台風情報を見たり。
そんなことが出来る程度には暇なんだよな。
こちらに来るのは明日かぁ。
今日のお稽古は行けるし帰れるが明日は先生たちどうするんだろう。
俺が行っても今度は帰れないとなると仕事が困る。
暇ながら仕事が終わり、先生のお宅へ。
お稽古。
台風の話題で持ちきりだ。
まぁこんな日じゃね。
俺はちょっとアレでだるい。
と言うのもあり、先生も諦めて今日は半分サロンモードだ。
お稽古の時間も過ぎて居間のテレビをつける。
今晩は近畿か。
夕飯を取った後ニュースを見ると早くも和歌山を通過したらしい。
「あんた強風圏に入ったって行ってるから早く帰りなさい」
「雨戸打ち付けたりしないで大丈夫ですか」
「大丈夫だよ、昼に孝弘さんにしてもらったからね」
おお、孝弘さんをコントロールしてる。
どうやら食い物で釣ったらしい。
だろうなぁ。
明日の朝6時ごろ、関東に来るようだ。
「気をつけてくださいね。何かあればすぐ連絡下さい」
「あなたもね、気をつけて頂戴」
「ありがとうございます。じゃ…」
帰りたくないなぁ。
土砂崩れとか心配すぎる。
渋々帰る俺を先生が見送ってくれた。
電車に乗って帰宅するしたものの…心配で困ったな、寝付けないぞ。
テレビをつけたままうとうとと寝る。
幸い出勤時刻頃には雨も終わり、仕事が終わるころには温帯低気圧になったようだ。
職場を出てみれば良い天気である。
なんだったんだ。
先生からメールがあって何事もなかった由。
だろうなぁ。
今日は暇だからジムに行く旨メールした。
"がんばって"と珍しく絵文字がついてきている。
何か可愛らしくてほんわかしつつ、がっつりとトレーニング。
アレのときに出る無駄なやる気の消化だ。
いや暫く行ってないと駄目だね。
シャワーを浴びて帰宅してベッドへダイブ。
寝転んだままメールチェックをすると先生はお友達と遊びに行っているようだ。
あーこれじゃ明日もさせてもらえんなあ。
きっと疲れて駄目だって言うはず。
たまにはしょうがないか。
理由、今回はわかってるんだし。
眠気がきたので寝た。
次に目が覚めたのは先生のメールの着信音でだ。
お友達とのお夕飯、らしい。
俺には報告するほうが後々こじれないのがわかったようだ。
遊びに行くと最近はこのようにメールが届く。
俺も食うとするか。
外は雨が降り出した。
職場で作ったハモの落としと酒でいいや。
一杯やっていると玄関から物音?
「ただいまぁ」
「あれ、いらっしゃい。どうしたんです?」
「降られちゃったの、雨宿りさせて頂戴」
そういって着物を脱いでハネが上がってないか確認し始めた。
それが終って居間へ出てきて俺の食事を見た。
「あなたねぇ…またこんな…」
「ま、先生も一つ飲みませんか」
ぐい呑みを渡して注ぐ。
ちょっとだけ、と飲ませれば先生の頬はほんのり桜色だ。
先生の前に座る。
「足、出して」
「なぁに?」
足袋を脱がせてマッサージ。
気持ち良さそう。
暫く揉んでると眠そうだ。
「泊まっていきますか? 朝帰れば間に合いますでしょう?」
「何もしない?」
「して欲しければしますよ」
「しなくていいわよ…」
笑って揉み終えて電話を渡す。
「おうち、電話して」
その間に手を洗って台所を片付けた。
電話をしているその背中もマッサージ。
微妙にだが声が震えている。
気持ち良さそうなので腰へも手を伸ばし揉み解す。
電話が終った。
「もうっ気持ち良いけど変な声出そうだったじゃない」
ははは、と笑って先生が着替えるのを見る。
「ベッドで尻と太腿もほぐしてあげますよ」
あ、顔赤い。
先生をベッドにうつ伏せにさせ、さっき触らなかった部分をゆっくり解す。
尻や太腿の付け根は少し感じてしまうようで困った顔をする。
ただし今日は抱いてといわれないならしない気だ。
解すだけ解して後は撫でて緩めた。
少し迷うような顔をしているが、とりあえずトイレに立って戻ると眠そうだ。
横にもぐりこんで頭をなでていると寝息になった。
可愛いな、お休み。
俺もお休み。
夜半、起床する。
出勤の支度を整えていると先生がトイレに起きた。
「ねぇ、もう行っちゃうの?」
「そろそろ時間だからね。昼にはまた逢えるよ」
それでも昼間は出来ないディープキスをして胸をまさぐり先生を少し煽った。
もしかしたら今晩、とちょっと期待したのもある。
「じゃ仕事行くから。ちゃんと寝ておいで」
布団に入れて頭を撫でて。
もうちょっと構ってたいけれど出勤だ。
「行ってきます」
「行ってらっしゃい」
出勤して仕事に精を出しているうちに6時過ぎ、先生が帰る旨メールしてきた。
気をつけて帰るよう返信して仕事を続ける。
うん、今から帰れば余裕で朝ご飯を食べてお稽古できるね。
とりあえず俺は仕事、仕事。
それなりにばたばたとして気づけばもう良い時間だ。
客も途切れた。
仕舞うとするか。
さっさと片付けて持ち帰る食材を探す。
うーん、海ぶどうなんて一般では使いにくいし。
今日は台風の所為で北のものも南のものもまだ入荷が少ない。
ハモすらあまりないときて。
サワラでいいや。
半分を切って幽庵地を作り漬け込んだ。
後の半分は普通に焼いて貰おう。
作業を終えて車に積み込む。
そうこうしている間に仕入れと売り上げのリストが出た。
つき合わして訂正を頼む。
事務からOKが出て帰宅し、風呂に入り服を着て車に乗り込んだ。
一路、先生のお宅へ。
到着して荷物を台所へ持ち込む。
八重子先生がお昼の支度をしてらしたので丸投げだ。
「あ、山沢さんちょっと」
先生が先にこちらを見つけた。
「お水屋はしておくから頼みがあるのよ」
「なんですか?」
「これ使ってあの桐の横にある松の虫、どうにかしてくれない? うまく掴めなくて」
ピンセット? 虫? えー…。
「ね、お願い」
拝まれてしまった。
「仕方ないなぁ…」
「これ、持って行って」
紙袋。虫を入れて捨てるわけか。
庭に下りて言われた木を探す。これか。
う、凄く多い。
やだなー…と思いつつピンセットで一匹ずつ取って袋に落とす。
気持ち悪いよう…。
げんなりしつつ大方取り去り角度を変えて眺め回す。
いるいる、まだいる。
頑張って取り去った。で、この紙袋どうしよう。
…鳥、食わんかな。いや目の前で食われるのは気持ち悪い。
しばしたたずむ。
遠くで車の音、そうだ。
道路に出て行き車の轍跡に置いた。しばし待つ。
3台ほど通り過ぎ綺麗に轢き潰されたようだ。
中身の見えない袋に入れ口を括って捨てた。
戻ってよく手を洗い一応髪をとかしてから着替えた。
既に生徒さんが来ている。
「遅くなりまして」
さっと水屋を確認して次の用意をする。
生徒さんが途切れたときにどう始末したか聞かれたので教えた。
ちょっと引いてるようだ。
その後もお稽古は続き俺のお稽古へ。
今日は盆点。
色々忘れてることがあって叱られたがしょうがない。
先生と水屋を片付けてる途中キスされた。
「ここで抱かれたい?」
「ち、違うわよ、つい…」
「俺は一度くらいしてみたいけどね」
「駄目よ」
頬を染めて可愛いなあ。
「ほら早く片付けましょう。八重子先生が律君を呼んでる」
「あっ、そ、そうね」
「今晩はあちら行きましょうか」
「えっ」
手が止まって耳まで赤い。
「声、聞きたいしね」
ごくり、と先生は唾を飲み込んだ。
「ばか…恥ずかしいわ」
のの字を書くようにしてる先生をほっといて片付け終えた。
手を取って立ち上がらせ、夕飯を取るべく移動する。
部屋にはいると俺の手を離し、女から母親へ意識を切り替えたようだ。
表情が違う。
切り替え上手でうらやましい。
ご飯を食べる。
サワラは照り焼きに化けたようだ。
俺には豚の生姜焼きがついてきている。
うまい。
「もっとお野菜も食べなさいよ」
注意を受けて菜っ葉を食べる。
お揚げと炊いてある。だしがしみてうまい。
幸せだなあ。
すっかり満腹になってお片付けを引き受けて台所へ。
洗い物をしていたら律君が来た。
コーヒーのボード片手に悩んでいる。
「山沢さん、これ、一番苦くのないのってどれですか」
「そうだなぁこのへんはどうかな。こっちは普通のサイズ、これはエスプレッソがお勧め」
うーん、と悩んで両方作って持って行った。
俺は今日は酒が良いなぁ。
洗い物を終えて居間に戻り先生を誘った。
「八重子先生、酒飲みたいんですけど先生連れてって良いですか」
「ここで飲んだら良いじゃない」
「律君に絡んで良いのなら」
「えっ僕?」
「それは困るわねぇ」
「行ってきたらいいよ」
うんうん、と律君もうなづいてる。
「しょうがないわねえ」
「じゃお酒取ってきますね。行きましょう」
冷蔵庫でよく冷やしたお酒を持って先生とあちらへ行く。
途中近所の人に会い先生が立ち話を始めてしまったものの、時間も遅いのですぐに別れた。
部屋にはいるとまたシーツの色がピンクに戻っている。
あ、クッションもピンクだ。
とりあえず着替えるか。
先生を脱がせると少し恥ずかしげだ。
うん、いいね。
着替えるのやめて抱こうか。
先生の帯と着物を衣桁にかけて俺も着物を脱いだ。
「おいで」
肌襦袢姿の先生を引き寄せてベッドへ。
ハ、とつく息が既に熱い。
「したかったんでしょう?」
こくり、とうなづいて顔を背けた。
恥ずかしいらしい。
紐を解いて更に脱がせた。
胸が大きく上下に動いて息が荒い。
昨日や今朝煽ったのがうまくいったようだ。
ちろりと乳首を舐めるとびくっとしてしがみついてきた。
可愛いねぇ。
そのままいつものように抱くといつもよりは先生の反応が強く。
ぎゅっと俺に抱きついてくる。
軽く一度逝かせ、脱力した先生に寝巻を着せると怪訝な顔をしている。
「お酒、飲みましょう」
少しエアコンをかけて先生をクッションに座らせコップを出して注いだ。
「ありがと」
俺は手酌で。
先生は喉が渇いていたのかクイッとコップの酒を飲み干した。
新たに注ぐとそれも半分ほど。
結構に強い。
俺がコップを空けると注いでくれた。
美人にお酌してもらえる幸せ。
呑みつつキスしてくる。
まだ足りないようだ。
そのまましようとすると床は嫌だというのでもう一度ベッドへ。
「寝巻、着せなくてもよかったかな」
「裸でお酒飲むのはいやだもの」
「俺はそれも色っぽいかもしれないと思うけどね」
ただし恥ずかしそうにはしてて欲しいかな。
大股開きでガバガバ飲まれちゃ興醒めだとは思う。
キスしてゆったりと抱く。
物足りなさに焦れるのが可愛くて。
もっと焦らせたくなる。
まぁあまり焦らせるのも可哀想だから適度に逝かせた。
息が整ったようだからとキスをして上に乗せて背中をなでる。
気持ち良さそう。
暫くしてお風呂入って戻りましょ、と言われた。
完全に落ち着いたようだ。
二人で入るとまたしたくなるから、と俺を置いて一人で風呂に行った。
一緒に入らなくとも一緒に寝るから同じだろうに。
脱いだ着物は明日取りに来ることにして新しい浴衣を出した。
暫くしてすっきりした顔でその浴衣を着て出てきた先生に早く入るよう言われた。
湯上り姿も色っぽくて良いな。
風呂に入って汗を流し裸で出た。
「浴衣出してあったでしょ?」
「まだ暑いから」
どっかりと座ってある程度冷えるのを待つ。
うちわで先生が扇いでくれた。
「早く着ないと襲っちゃうわよ? ふふ」
そういって俺の胸を弄る。
「そんなこと言ってるともう一度しちゃうよ?」
「あら」
手が引っ込んだ。
残念。
何とか汗が引いたので浴衣に着替え、もう少し酒を飲んでから戻った。
「お帰り。泊まらなかったの?」
「まだ起きてたの? もう遅いから寝なさい」
「うん」
「おやすみ、律君」
「おやすみなさい」
戸締りと火の元を確かめて、部屋に入り布団を敷く。
先生は大あくびをして俺が布団に入ると潜ってきた。
俺の胸を枕にすぐに寝息。
やっぱりしてから風呂入って部屋移動は疲れる?
でも汗で濡れた布団では寝たくなさそうだったしなぁ。
もう一組布団を置いて寝る前に取り替える、なんて現実的じゃないよね。
先生の寝息に引き込まれて俺も眠くなった。
おやすみなさい。
翌朝やっぱり先生は起きれなくて俺が朝飯を作る。
今日はご飯の前に八重子先生が先生を起こしに行った。
珍しい。
「今日は9時から町内の会合があるんだよ。だから絹を起こさないと」
あくびをしつつ先生が起きてきて食卓についたがまだ眠そうだなぁ。
「早く食べて支度しないと、ほら」
八重子先生にせっつかれてる。
町内会かぁ、大変そうだな。
草むしりとか側溝は律君が出たりしてたらしい。
食後、着替えて先生が出て行った。
俺はあちらの家から洗濯物を回収して先生の着物は畳んで仕舞った。
八重子先生と家事をして先生の帰りを待つ。
昼前、まだ帰ってこないので買物に出た。
買物袋を提げて戻る途中、先生と出くわした。
「あら、なに買って来たの?」
中を見せる。
「冷麺食べたいって律君が言ってたから」
「あらー」
「何か食べたいものありました?」
「甘いもの欲しかったんだけど…良いわ」
「プリン買って有りますよ。それともホットケーキ食べます?」
「いいわよ」
「なに、俺が食べたいから先生がお相伴と言う形で」
「そう? そうしてくれるならホットケーキにしてくれる?」
「勿論。じゃちょっと寄り道してください。牛乳がない」
「コンビニ?」
「そう」
あ、わらび餅に引っかかってる。
生クリームも一緒に買うことにした。
戻って八重子先生に冷麺を頼んで俺はホットケーキを焼く。
同時にカラメルソース。生クリームも泡立てて甘めに。
「甘そうだねぇ」
「どうせなら甘いほうが良いじゃないですか」
浴衣に着替えた先生が台所に来た。
冷麺を二つお盆に載せて持って行って、またこちらへ。
孝弘さんは出かけちゃったので後はホットケーキが出来たらOK。
カラメルと生クリームとバターを先に持って行ってもらった。
よし、焼けた。
お皿に乗せて食卓へ。
「おいしそう、うふふ」
律君はうんざりした顔で生クリームたっぷり乗せる先生を見ている。
甘党ではない男の子には嫌なのかもしれない。
俺は抹茶のアイスと食べた。
俺は流石に終盤しょっぱいものが食べたくなったが先生は完食。
午後は昼寝したいというのでお付き合い。
雨気にしっとりとした肌、甘く匂う体臭に何か気が緩んで。
ゆったりと部屋で寝ていると人の気配に目が覚めた。
あ、斐さん。
視線は俺の…胸?
あぁ先生ががっちり噛んでた。
何か痛いと思ったら。
先生に用があるようなので揺り起こした。
「んー…、なぁに~」
「絹ちゃん、あんたねえ」
ちょっと呆れてる声を出しているのは寝ぼけて俺の腹を揉んでる点か?
先生の口元を手拭で拭いてあげて、俺の胸を拭く。
歯形と涎でべたべただ。まだ先生はぼんやりしてて、寝が足りない様子。
ぺたん、と斐さんが布団の横に座った。
先生はやっと意識が現実に戻ったらしい。
「あら、姉さん」
腹を揉む手も膝へ行った。
「居間行きませんか?」
「そうね」
身づくろいをさせて髪を直して。
俺は布団を片付けて行く、と部屋から送り出した。
ああ危なかった。
噛まれてる程度の時で良かった。
部屋を整えて居間に戻る。
「あ、山沢さん、コーヒー入れて頂戴」
「はいはい、エスプレッソ?」
「ううん、普通のが良いわ。姉さんの分もね」
「はーい」
俺の分も入れて戻る。
「どうぞ」
「悪いわねぇ」
「いえ。あ、そろそろ買物行かないとですね、何しましょう」
ちょっと考えていくつかメニューを言われたので買物に立った。
買物から戻ると八重子先生が帰っていたので台所に二人で立つことに。
「斐、あんたご飯どうするの?」
「食べて帰って良いかしら、どうせ今日うち誰もいないのよ」
ということで作る。
結婚後に姉妹で仲良く話す機会ってあまりないだろうし。
さっと作ってご飯が炊けた頃、孝弘さんが戻ってきた。
はらへった、と言ってる。
「ちょっと待っててくださいね、律が帰ったら食べましょ」
律君待ちか、俺も腹減った。
バラバラッと音がした。
夕立。
八重子先生がタオルと雑巾を用意してる。
律君が濡れて帰った時のためか。
優しいなぁ。
がらっと戸が開いた。ナイスタイミング。
「ただいま、もー後5分降るの遅かったらなぁ」
タオルだけで済みそうだ。
じゃ食卓にご飯出しましょう。
お盆に載せておかずを運ぶ。
「あ、手伝うわ」
「いいわよ、この子に任せてたら」
「作ってもらったんだからそれくらいはしないとね」
そういっていただいたので軽いものばかり乗せて渡した。
あとはお櫃。
先生の横に置いた。
律君が食卓に着いたのでいただきます。
「あら、結構おいしいじゃない。お母さんじゃないわよね、これ」
「ほとんど山沢さんが作ってるからね、うちの味とはちょっと違うだろ」
「山沢さんの作るの、最初の頃は食べるの辛かったのよねぇ」
和気藹々とご飯を食べて、お片付けをしたらもう帰る時間だ。
今日はさらっと挨拶してさらっと帰る。
怪しまれないように。
帰宅して寝るころ、先生からメール。
斐さんが帰られてちょっと疲れたらしい。
俺ももう寝るから早く寝るように、と返事をした。
一緒に寝れたら一番なのだけどそうはいかない。
そうするわ、おやすみなさい。そうメールが返って来た。素直でよろしい。
おやすみなさい。良い夢を。
翌日は稽古もないし仕事が終わり次第京都へ立った。
何って祇園祭関係の茶菓子を一通り買う気でだ。
先生は昼寝をしたかったようだがお稽古があるから眠くても頑張ってるらしい。
デパートの地下でがっさりと沢山購入した。
明日の夕方までとの事なので余裕だ。
東京へ引き返して車に乗り換え先生のお宅へ行く途中メールが来た。
夕食の写真とともに食べたら寝ると。
俺の胸で寝たい、なんてメールに書いてきたので消すよう指示して。
嬉しいけどさ、一応不倫だし見られて困るメールは駄目だよね。
メールがやんだ。
拗ねちゃったかな?
5分ほどして到着し玄関を開ける。
ガラガラッ。
「お今晩はーお邪魔します」
「はーい…えっ山沢さん…どうして? えっ?」
「これどうぞ、祇園祭の菓子です」
「いいの?こんなに」
「アソートしてみました、今おやつにされるもよし、明日お稽古に使うもよし」
「あら山沢さんじゃないの。どうしたの」
「京都の祇園祭にちなんだ菓子、買って来ました」
「おばあちゃん、ほらこんなに沢山よ」
「凄いわねぇ。あらあんたお夕飯は食べたの?」
「帰ってから食おうかと」
「食べて行きなさいよ。あと出来たらで良いんだけど…」
「ありがとうございます。なんでしょうか」
「一緒に寝てやってくれる?」
「ああ、はい」
先生が俺の分としてパスタを用意してくれた。
鮭とネギのしょうゆバター。それと八重子先生の煮物。
おいしい。
ご馳走様をするころには先生の上体が揺れている。
「後片付けはしておくから。寝かせてやって」
「はーい」
満腹のまま先生を部屋につれて入り懐に抱いて少し寝た。
5時間たっぷり寝て先生の横から脱出し着替えてそっと玄関から出た。
外から鍵を閉めて帰宅する。

拍手[0回]

h31

あ、帰ってはいないようだ。
「おかえりなさい…ごめんね」
抱きついてくる。
しかし両手に物を持ってるからどうすることも出来ないでいると気づいてくれた。
慌てて荷物を一つ受け取って台所へ。
冷蔵庫にすべて食材を仕舞い終えてから先生にキスした。
「ごめん。いらいらしてた」
「ん…」
「お昼、作る? それとも」
先生が自分から脱ぎ始めた。
いや俺が作ろうか、と続けるつもりだったんだが。
まぁでも思い切りが出来ないと脱げないだろうからここで止めるのは恥をかかせるかな。
でも台所では先生とて本意ではなかろう。
せめてベッドに連れて行くことにして。
先生は肌襦袢に手を掛けて少し止まった。
いまかな。
その手を掴んでベッドへいざなう。
恥ずかしげにしていて可愛い。
思わず抱え上げてしまった。
ベッドに下ろしてキス。
追い詰めないように優しく、優しく抱いた。
少し落ち着いてお昼を作る気になった。
先生をそのままに台所をする。
買ってきた玉葱とマッシュルームをいため、挽肉は焼き、チーズを載せた。
ポテトはオーブンの中だ。
バンズも焼いてそろそろ先生を呼ぼう。
と思ってたら出てきた。
「良い匂い。おなかすいてたみたいだわ」
「もう出来ますよ。一つでいいのかな。二つ?」
「一つで良いわ」
ポテトもそろそろ良さそうだ。
塩を振って温かいハンバーガーとともに出す。
「どうぞ」
「おいしそうね」
俺のは更に朝の残りのベーコンも足した。
「こんなの久しぶりに食べるわねえ」
「でしょうね」
二人でぱくぱくと食べる。
「うっ…塩噛んだ」
ポテトの振った塩がだまになってた。くそう、しょっぱい。
先生がくすくす笑ってる。
食べ終わって一服。
先生を懐に抱いてお座部枕。
「ねぇ久さん。さっきのえっち…」
「んー?」
「優しくて驚いちゃったわ。酷いことされるんじゃないかしらって思ってたから」
「あぁ。だからされたくなさそうだったのかな」
「そうなの。怖くて」
苦笑する。
「そうしたかったけどね。怖がってるような感じだったから。無理だろうと」
緩くなでる。
あふ、と先生があくびをした。
「ご飯食べたら眠くなっちゃったわ」
「一緒に寝ましょうか。4時くらいに起きたら良いんだから」
「そうね」
そのまま寝ようとしたら叱られた。
ベッドに入るのね、了解。
トイレに行ってから潜り込む。
だけどなぁ、ベッドだとしたくなっちゃうんだよね、色々と。
ま、眠いようだし我慢して俺も一旦寝るとしよう。
寝ていると先生に蹴られて目が覚めた。
暑かったようで布団と一緒に俺を蹴飛ばしたのかな。
クーラーをつけて時計を見る。
そろそろ起きてご飯の支度をしようか。
下拵えをして少しテレビを見た。
かすかに音うるさいと聞こえた気がして音量を下げた。
先生の寝息が聞こえる。
さてこのまま寝かせるか飯の時には起こすべきか。
寝息がやんだ。
キシッと音がして起きたようだ。
そのまま俺にもたれかかる。
「何で一緒に寝てくれないの…」
「いやそろそろ飯の支度をと」
「もうそんな時間…?」
テレビが丁度良いタイミングでニュースに切り替わった。
5時半のニュース。
「もうちょっと、だめ?」
「布団だとそのまま朝まで寝ちゃうんじゃないかな」
「ここでいいわよ」
「最近本当に甘えただなぁ。どうした?」
「甘えたいんだもの…」
なんか理由になってない気がするがなでていたら寝てしまった。
しょうがないなぁ。
懐に抱いたままテレビを眺める。
ニュース、エンタメ、スポーツとニュース番組が終わり、チャンネルを変えた。
1時間半。
夕飯どうしよう。
腹減ってきたなぁ…。
と思ったら先生もやっと目が覚めたようだ。
「ん、よく寝たわぁ…あらぁ? どうしてここで寝てるの?」
「あー覚えてませんか。いいですけどね。腹減った…」
「あら」
くーぅ、と先生のおなかも鳴った。
「下拵えはしたんですけどね、後は味付けだけ」
「はいはい、じゃそれはするから食卓片付けて頂戴」
よっこらしょと起きて先生は台所を。
10分ほどで配膳となった。
「おいしいわねぇ」
「うまいです」
食事を取って、暫くして先生が着替え始めた。
帰る準備だ。
「帰したくないなぁ。このままうちにいて欲しい気分です」
「私だって…そういうわけにいかないでしょ、明日お稽古だもの」
「そうなんですよねえ」
なんだかんだてきぱきと着替えて。
さっさと帰っていかれた。
さびしいなあ。
明日お稽古ちゃんと行こう…。
こういう日は寝が足りてようと寝るべきだ。
おやすみなさい。
朝が来て起床。
出勤。
仕事を適当に終わらせお稽古へ。
到着して居間に顔を出す。
「いらっしゃい」
「こんにちは」
「ちょっとこっち座って」
「はい?」
どうやら八重子先生に夏の間のお泊りについて話してたらしい。
「昨日ほら、虫の話したでしょ。そういえば前にもそういう話してたわよね」
「あ、やっぱり俺してましたよね」
「何か聞いたような気はしてたのよ。それでね」
暫く対策を話して、7月からあちらの家に泊まるかこっちにクーラーか考えることに。
先生はクーラー設置に乗り気だ。
まぁ確かにわざわざと言うのは気術ないのはわかる。
だけどそろそろお稽古の支度をしないといけない。
話の途中だが後の話しは夜と言うことで水屋へ。
用意中に生徒さんの声、先生もあわてて出てきた。
高速で用意する。
うまく先生が場を繋いでくれて間に合った。
後はいつものように生徒さんのお稽古の間に次の生徒さんの用意をする。
何人かのお稽古が終って一息。
「さてと。あんたのお稽古ね…んー、お台子しましょうか。最近してなかったわよね」
「はい。じゃ用意します」
時間に余裕もあるのでセッティングしてお稽古開始。
あれ? 今日はそんなに厳しくない。
こりゃ俺の機嫌を見てるかな。
それなりに手を抜いてもらってお稽古終了。お片付け。
ご飯をいただく。
食事もそこそこに先生が広告を持ってきた。
エアコン、どれが良いかしら、と。
「日曜に電気屋行きましょうよ。現物見たくないですか?」
「ん、そうねえ」
「エアコンつけるの?」
「山沢さん、虫が嫌いなんですってよ」
「蚊帳吊らないの?」
「吊っても虫の気配あるじゃないか。いやなんだよね…」
「へぇ、意外だな」
「あっちの家にっていったら先生がわざわざ行くの嫌だって言うんでね」
「一人で寝るのもいやで虫もいやなんてワガママよねえ」
ほほほ、と笑ってる。
「と言うことで折衷案でね。クーラーつけさせてもらうことにしたんだ」
「障子あけたら十分涼しいのに、夜」
「こればっかりは仕方ないわねぇ」
話を纏めて日曜に家電量販店へ下見することに決めた。
帰宅、部屋が暑い。
クーラーを入れてよく冷えるまで置いて止めた。
おやすみなさい。
翌朝。
先生からメールが来ていた。
今日は先生はお出かけするらしい。
うちに来ても八重子先生しかいない、と書いて寄越した。
誰と?とメールを返して出勤。
仕事は少し荷物が動いてやや忙しくメールが返ってきてるのにに気づくのが遅れた。
お茶仲間の女性とのこと。
んん、ならいいか。
楽しんできて、とメールを返して仕事仕事。
仕事を終え帰宅途次。
先生から相手の方と撮った写メが来た。
良い人が出来たのか、と責めたからかな…。
その後は特段メールも来ず夕方までジムへ行ったり夕飯の買出しに出たり。
家で野菜炒めを作って食い始めると電話がかかってきた。
ご飯食べた?と聞かれていま食ってるというと残念そうな声だ。
「お友達と食べに行かないんですか」
『だってあちらも家庭あるもの』
「いまどこです?」
『代々木よ』
「んー…和食?」
『どちらでも良いわよ』
「電話返します、一旦切らせてください」
『はーい』
電話を切っていくつか心当たりにかける。
予約が取れた。和食。
先生に掛けなおしてどこかそのあたりの喫茶店で待っててもらうことにした。
二口食べた炒め物は冷蔵庫へ戻して、着替えて身なりを整えた。
急いで向かう。
到着すると先生はついでに買物をしたと言う。
「待たせちゃいましたね、すいません」
「いいわよ、急に呼んだんだもの」
「こっちです」
先導して連れて行く。
「予約した山沢です」
「いらっしゃいませ。どうぞこちらです」
ご予約のお二人様、と通されて食事にありつく。
ああ腹減った。
食前に梅酒をいただいた。
「あら、おいしい」
にこっと先生が笑ってつい見とれる。
次々と運ばれる料理に先生は嬉しそうだ。
飯食いに連れて行くの、これだから好きなんだよな。
おいしくいただいて、先生にちょっとだけお酒も飲ませて。
店を出た。
駅まで歩く。
「ねぇ…帰りたくないわ」
「お稽古がなかったらね、明日。帰さないって言うんだけど。八重子先生に叱られる」
「すぐそう言うのね。私よりお母さんに叱られる方が嫌なの?」
きゅ、とつねられた。
「わかってる癖に。あなたが叱られるのがいやなんですよ、俺はね」
「そんなのでお母さんは叱らないわよ…」
「ほんっと甘やかされてますよね。まぁでもね、明日も会えますから我慢してください」
「しょうがないわねぇ」
先生がやっと諦めてくれて別れた。
電車に揺られて帰宅する。
可愛いよなぁ、帰りたくないなんて。
帰宅後暫くして先生から帰着メールを貰った。
おやすみ、と返事をして寝る。
うーんよく寝た。
頑張って仕事しよう。
今日はいつものお客さんが大量に買って忙しい。
やることが沢山。
仕事を終えて急いでシャワーを浴び着替えた。
明日は電気屋に行くつもりなので車で。
渋滞が少しありナビに任せて進む。
いつもと違う道。
ちょっと不安になったが無事到着。
「こんにちは」
「いらっしゃい」
「今日のお昼はなんですか?」
「冬瓜よ。食べる?」
「遠慮しておきます」
「あら、今日は夏至だわよ。今日食べないでいつ食べるのよ」
「うーん、じゃお夕飯のときにちょっとだけ」
「嫌いなの?」
「ははは…」
水屋の支度に入り、生徒さんと先生を待つ。
暫くしてお稽古開始。
炭があるからどうしても暑い。
だが窓からは良い風が入る。
さわやかだ。
何人目かの生徒さんをお稽古して今日の生徒さんは終了。
「さてと。私は何をしましょうか」
「そうねえ。円草しましょ」
「はい。用意します」
用意を整えてお稽古をお願いし、始める。
3回続けてお稽古をつけていただいてタイムアップだ。
水屋を片付けてお夕飯を食卓に出す。
孝弘さんと律君と私には冬瓜のお皿がついている。
私のは一切。
ちゃんと嫌いだからと考慮してくれたらしい。
しかし律君、大学生が土曜の夜に家で晩飯を食うのってなんか違う気がするよ?
「あ、今日って夏至?」
「そうよ~。あ、そうそう。夏越の人形来てるから後でちゃんとしといてね」
「うん」
「山沢さんはおうちでしてるの?」
「いつも地元に帰ったときにしてますね」
「今年はどうするの?」
「帰る用も今のところありませんし…余ってるのならこちらでしたいですね」
「いくつか予備入れてくださってるからできるわよ」
「じゃ後で。あ、そうだ。明日電気屋行きます。
 八重子先生、律君何か買ってきて欲しいものありましたら」
「ああ、なんだっけねぇあったんだけど」
「明日行くまでに思い出していただければ結構ですよ」
「あ、僕USBメモリとデジカメ欲しいな」
「何GB? カメラは好みもあるからなぁ」
「カメラはあんたお小遣いあげるから自分で買いなさいよ」
一緒に来る?と続けようとしたが先生は一緒につれて行く気はないようだ。
「じゃUSBもその時にしようかな」
「そうしたら?」
ご馳走様をして片付ける。
それから風呂。先生が入ってる間に布団を敷いた。
暫く団欒を楽しみ、鍵や火の元の確認をしておやすみなさい、と部屋に。
勿論先生を連れてだ。
そっと俺の転がる横へ入ってきた。
自分からキスしてきて、今日は受け入れる気があるらしい。
そっと優しく緩やかに抱く。
はにかむような顔。
可愛い。
ほてった肌も愛しくて、胸の下にかいてる汗を舐める。
そのまま乳首を舐めて吸う。
髪をなでられた。
「ちょ…なにしてんですか」
「あ、ごめんなさい、つい。ぁ…」
きゅっと乳首をつねった。
「お仕置きだね」
ひゅっと先生が息を吸い、身体をこわばらせた。
きょろっと鴨居を見る。有ったあった、洗濯ばさみ。
起きてそれを取り強さを確認。
古いから随分弱くなってるようだ。
「何をするかわかります?」
にこっと笑って聞いてみた。
「…わからないわ」
「こうするんですよ」
先生の乳首を挟む。
「ひっ痛っ、はずして」
緩めたりはさんでみたりと弄る。
「うぅ…」
「ほら。声を出しちゃ駄目ですよ」
もう片方の手は股間を探る。
「ん…」
乳首を玩びつつ下の突起を弄る。
「気持ち良いでしょう? 直に痛いのも気持ちよくなれますよ。ふふふ」
「お願い、ねぇ」
くく、と笑って外してあげた。
洗濯挾の後がついた乳首を舐めるといつもより感じるようだ。
声を上げないようにしているのが可愛くて楽しい。
暫く責めて涙目になりそうになっているので終了した。
「酷いわ…つい撫でちゃっただけなのに」
「そういうのはこの部屋に入るまでにしなさい」
少し腫れて赤くなっている乳首を弄りつつ、先生を寝かしつける。
「寝られないわ、ねぇ」
「寝かさないで置こうか」
先生の拍動が感じられる。
「どうする? もっとされたい?」
「だ、だめよ…」
「ふふ、また明日の昼にしましょうか」
「そうして、お願いします」
「お願いされちゃ仕方ないな。良いでしょう」
手を放して懐へ抱きこんだ。
「これなら寝られる?」
「うん…おやすみなさい」
「はい、おやすみ。良い夢を」
ほんの数秒で寝息に変わった。眠かったようだ。
俺も釣り込まれて寝る。
朝、流石に先生は起きて来れないで台所は俺のもの。
八重子先生からの指示書を元に作る。
む、これは難しいな。
茄子の煮浸し。
ささっと調べてレシピどおりに。味が違うって言われるだろうけど。
格闘しつつも出来た頃、八重子先生が起きてきた。
味見をされる。
少しみりんが入った。
それくらいで済んだようだ。
先生が起き出して来て配膳と律君たちを呼びに。
食卓に着いて先生は律君に涼しいうちに勉強しなさいよ、と言っている。
孝弘さんは相変わらず沢山食べていて俺が苦手に思うものをお皿に乗っけても食べる。
食後、お昼の下拵えをした。
昼前から電気屋めぐりをするから遅くなったら食べてて、と言うことで。
実際は確かに電気屋も行くけれどあちらの家にも行く。
そういう手はずだ。
着替えて先生を後部座席に乗せて量販店へ。
まずはお目当て、と思うが先生があちこちで引っかかる。
「欲しいもの、買ってあげますから先にクーラー見ましょうよ」
「ここで買うの?」
「いや先生の家のお出入りのところですよ。じゃないと後困りますでしょ?」
「うん、そうだけど」
「今回はどんなものが有るかの確認です、あれが良いとかこれが良いとか」
「あらそう?」
「後はあなたの欲しいものを買いましょう」
クーラーの売り場に行きあんな機能があるほうが良い、この機能は別にいらない。
そんな話を詰めて大まかにメーカーなどをチェックした。
先生は他の売り場をうろついたが欲しいものを決めかねているようだ。
「さ、そろそろ次行きましょう」
「うん」
車に載せて移動した。
次の量販店でもクーラーは特に別に変わったものはなく。
他の家電製品を見る。
先生は炊飯器を買い換えたいらしい。
「美容関係は良いんですか?」
「うーん、欲しいんだけど…でもそんなに手を掛ける暇がないのよね」
「15分かそこらでしょ?」
「朝の15分は貴重なのよ」
「まぁそうですが。ん、俺が来てる時に使えばどうです?」
「ん…朝御飯、ずっとあんただけど良いの?」
「いいですよ」
「じゃあ…どれがいいかしら」
店員さんと話して結果ナノケアの最新作に決めた。
それからドライヤーの買い替え、炊飯器の新しいの。
後は電池や電球、エスプレッソマシンを買った。
車に積み込んであちらの家へ。
近くの駐車場に入れて先生を連れ込んだ。
「あれ?」
「なぁに?」
「カーテン、グリーンにしたんですね。シーツも」
「だってピンクじゃ暑いでしょ?」
そういいつつ先生は脱ぎ始めた。
「クーラーつけて頂戴よ」
「はいはい」
着物をハンガーに吊ってベッドイン。
暫く昼のHを楽しむ。
少しいつもより先生は大胆だ。
それでも大股開きにさせたら嫌がった。
「いい加減慣れましょうよ。俺しか見てないんだから」
まぁでも恥ずかしげもなくバッと開いて舐めろといわれたら引くかもしれない。
舐めたり弄ったりすると気持ち良さそうで俺も楽しい。
じっくりいじめるのも良いが、たまにはこういうのも良い。
先生は普段からこういうのの方が良いとか言ってるが。
「そういうとこ行っても良いんならね」
「そんなこといわないで頂戴よ…」
ベッドに座ってる先生の足を取り、指を舐めた。
「ん…やだ」
「こういうので我慢してあげるから」
ふふ、気持ち良さそうだ。
こんなところで、と言う困惑もしているようで複雑な様子。
そういうのが楽しくてついしてしまうわけだが。
「今度律君の前でしてあげましょうか」
「だ、だめよそんなの」
「マッサージ、律君の前でしてさ。その続きに」
「いやよ」
そっと股間を指でなでた。
「あ…ん、はぁ…」
「こんなにしてるくせに」
音をわざと立てて弄ると恥ずかしそうで凄く良い。
何度か逝かせてくたびれた。
先生をお風呂に入れて暫く寝かせることにした。
着替える気力もないらしく、裸のままシーツに寝転んで寝ている。
可愛いなー。
2時間ほどして起こした。
そろそろ帰らないと夕飯の支度に間に合わなくなる。
裸で寝てたことに気づいた先生が恥ずかしげでこれもまた良い。
キスをして着替えさせ、ついでに夕飯の材料を買ってから連れ帰る。
八重子先生は何も聞かない。
律君にはエスプレッソマシンの使い方を教え込んだ。
お夕飯の支度をして、いただく。
うーん、やっぱり先生の作る飯はうまい。
幸せ。
それも束の間、帰らねばならない。
「それじゃ明後日、また来ますから」
「うん。まってるわね」
玄関先で軽くキスして別れ、帰宅した。
おやすみなさい。
さて休み明けでお客は少なく荷物も普通だ。
早仕舞いにして帰宅する前にそのままジムへ行くか。
そう決めて、その足でジムで身体を動かした。
昼を過ぎ風呂に入って帰り、お昼寝。
夕方に起きて飯を食い、更に寝る。
あ、先生からメール。
うまそうなメシだなぁ。
新しい炊飯器で炊いたとの事、うまかったそうだ。
明日の夕飯はそれで炊いたご飯を食べさせてくれるらしい。
ちょっと楽しみだ。
おやすみの挨拶をして寝直した。
翌朝、出勤するがまぁいつもの通り暇だ。
お客さんも定休日だったりするから仕方ないね。
仕事を終えてシャワーを浴び、ゆったりと先生のお宅へ向かう。
涼しいような、暑いような。
電車などはクーラーがかかっていて少し冷える。
先生のお宅へ着く。
室内は良い感じの涼しさで気持ち良い。
「あら、いらっしゃい。早かったわね」
「こんにちは」
「いま生徒さん帰られたとこだから。ご飯これからなのよ」
「それは早すぎましたね。じゃ片付けて用意してから戻りますね」
茶室を軽く掃除して、水屋の片付けと次の生徒さん方の為の用意を整えた。
それから居間へ。早くも食べ終わったようで八重子先生がお茶を入れてくれた。
「お天気怪しいわねえ」
「あー降るって予報ですよね」
「生徒さん、キャンセルないと良いんだけど」
ま、そういう連絡は降り出してから入るものだ。
一服をして、お稽古にかかる。
生徒さんがいらして今日は5人そろってのスタートか。
暫くすると空気が重くなってきた。
そろそろ降るのか。
生徒さんの切れ目に空をうかがう。
あ、落ちてきた。
「降り出しましたね」
「あらそう?」
次の生徒さんが来られてお稽古。
暫くすると八重子先生から先生へ耳打ち。
やっぱりキャンセルが出たようだ。
「つぎ、山沢さん、清・薄で」
「はい」
貴人のお稽古か。
白い天目と貴人台を出す。
生徒さんがお稽古を終られて続きで私のお稽古。
久々の貴人のため、先生に叱られる。
前の生徒さんが見てくすくす笑っていてちょっと恥ずかしい。
キャンセルが出た時間を使ってもらったので今日のお稽古は早仕舞い。
「酷い雨ねぇ」
「本当に凄いな」
外は土砂降りだ。
夕飯のお手伝いをしていると先生が呼ぶ。
ニュースでは雹が降っているという。
暫くして雨がゆるくなってきた。
「あらもう止みそうね」
「律君帰ってこれるのかなぁ」
「お友達のおうちに泊めてもらうかもしれないわねぇ。電車動かなかったら」
ま、いざとなれば何がどうあっても帰るだろう。
配膳してると律君から電話があってやはり帰れそうにないとのことだ。
学校のあたりは酷いらしい。
「心配だわ…」
「ま、お友達も晶も一緒みたいだから大丈夫だろうよ。はい、お櫃」
「そうねぇ」
先生の座る横にお櫃を置いて、孝弘さんを呼ぶ。
メシ♪とうれしそうだ。
孝弘さんは先生が飯を作ってくれる限りはこの家にいるんだろうな。
ほほえましい。
そして新しい炊飯器で炊いたご飯がおいしい。
食事を終え後片付け。
おとなう声がし、先生が応対をしている。
片付け終るころ帰られたようだ。
そのままパタパタと台所に先生が来られた。
「あのね…その、あなたに縁談って…」
「はっ?」
袖をつかまれて居間に連れて行かれた。
「なんだったんだい?」
「山沢さんが独身だからってお見合いの写真持ってこられたの。どうしよう」
「その場で断ってくださいよ…」
「だってその、私がお断りするのはおかしいじゃない…」
「で、どう言ったの」
「いまいないから明日電話で聞くからって言っておいたわ」
「んん、参ったな」
「どう断ったら良いかしら…」
「山沢さん。あんた開と結婚しないかい?」
「えぇっ?」
「一番断りがきくのはそれだよ、婚約してるので結婚できません、だよ」
「でも先生が本人に聞かないとっていったんでしょう?」
「二人の仲がどれほど進展してるのか、なんてわからなくて、とか言えば良いんだから」
「うーん、婚約ですか」
「あぁ実際結婚しなくても良いけどね、そういうことにして置いたら?」
「先生はどうですか」
「それなら…良いと思うけど」
「わかりました、方便と言うことでそうしてください」
「じゃ明日私がそういうよ」
「お願いします」
「お母さん、お願いね」
ふぅ、と息をついて。
「コーヒー、いりますか?」
一昨日買ったマシンで入れてくることにしよう。
エスプレッソか通常かを聞きくと通常のものが良いとのことで三種類入れた。
味見をして先生はモカっぽい味のもの。
八重子先生は香りの良いコーヒーを取った。俺は苦目のもの。
「結構おいしいねえ」
「でしょう?」
「エスプレッソマシンなので本当はこんなカップ使って入れます」
カップを見せる。
「小さいねえ…」
「これに半分くらいですよ」
へー…、と覗き込んでるので実際どうなるか入れてくることにした。
抽出して手渡す。
「これだけ?」
「ま、どうぞ飲んで」
「うっ濃いわね」
「…濃いねぇ」
コーヒーで口直ししてる。
俺はダブルで入れてきたのだが二人とも飲めなさそうなのでそれもいただいた。
…甘い。
そういえばお二方のはお砂糖入れたんだった。
ぐいっと残った自分のエスプレッソを飲み干し、さっぱり。
先生はお風呂入ってくる、と言って部屋から出て行った。
八重子先生がカップを回収して台所へ。
「あ、洗いますよ」
一緒に台所に立つと機械の使い方を聞かれた。
水入れてカプセル入れてボタンを押せば出てくるので簡単。
味は色々ありますよ、と見せた。
居間へ戻り、色々おしゃべりをしてると先生が上がってきた。
八重子先生が交代ではいる。
「ねぇ」
「ん?」
キスされた。
「どうしたんです?」
「…凄くコーヒーの味するわね。漱いでらっしゃいよ」
思わず笑ってしまった。
はいはい、と洗面所へ立つ。
歯を磨いて戻れば先生はあくび。
「寝ますか?」
「お母さんが上がったら」
んじゃ戸締りと火の元を確かめよう。
玄関と勝手口、茶室の炭、ガス。確認して戻る。
「あぁ良いお湯だった」
八重子先生が上がってきた。またあくび。
「布団敷きますから、もう寝てください」
「んー」
畳に寝転がってる。
可愛いけどさ。
「こんなところで寝てないで。山沢さん、連れてってくれるかい」
「はい、じゃ私も先に休ませていただきます。戸締りはして有ります」
「はいはい、おやすみ」
「おやすみなさい」
先生を抱き上げて部屋に行く。
布団に寝転がらせて俺も着替える。
早くも寝息が聞こえてきて残念な気分だ。
ま、仕方ないか。
先生の横にもぐりこみ、ゆっくりなでているうち、いつしか眠りに落ちた。
朝になって先生が先に起きたらしい。
身支度をしている。
「あら起きたの? おはよう」
「おはよ。美容の奴、使ってみた?」
「ん、今から使うのよ」
「おっけー、朝飯用意してきます」
ささっと身づくろいして台所へ。
八重子先生と合作で朝ご飯を作る。
律君いないから少しゆったりと。
出来たころ、先生が出てきて食卓を片付けて孝弘さんを呼びに行った。
ご飯を食べてから八重子先生が開さんに連絡を取る。
勿論結婚の件だ。
幸い現在彼女とかいないから構わないそうだ。
先生と手分けして家事をし、俺は二階の拭き掃除。
おとなう声、あれは昨日の人だな。
八重子先生が応対に出て断ってくれている。
耳を済ませて様子を伺う…。
暫くして帰られたようだ。
先生が階段を上がってきた。
うまく断れた、と言うことでほっとしたらしくもたれかかってきた。
可愛くて思わずキスして胸を揉んだら流石に額を叩かれた。
「だめよ、もうっ」
お母さんいるんだから、と怒って階下へいってしまった。
仕方ないので掃除の続きをして、終らせてから下りた。
「そろそろ買物行くけどあんたどうする?」
「一緒に行きます」
着物を着なおして外に出る。
「暑っ」
「暑いわねえ」
「なんなら家にいますか。買うものかいてくだされば買ってきますよ」
「良いわよ、一緒に行きましょ」
日傘をさしてる先生と二人で歩く。
流石に暑くて腕を組んだりはしてこないのが残念だ。
お昼とついでに夜の分も買って帰宅した。
食事を取って一服したら家事の続き。
いつもの水曜日。
疲れたらお茶を入れてもらって。
少し先生といちゃいちゃしてたら夕飯を作る時間だ。
てきぱきと動き、先生から出る指示をこなしてたらおいしいご飯が出来る。
「ただいまー」
「おかえり」
律君が帰ってきたようだ。
「もうすぐご飯できるから手を洗ってらっしゃい」
「はーい」
食卓について律君が八重子先生にこぼしてる。
昨日は大変だったようだ。
「結局どこに泊まったの?」
「近藤の家。晶ちゃんは司ちゃんち」
「律君も司ちゃんちに泊まったらよかったのに」
にやにやして言ったら先生に後頭部をコツンと叩かれた。
「バカ言ってないで運んで頂戴」
笑いながら配膳し、お夕飯を頂いて帰宅した。
真っ暗の部屋はさびしいなあ。
とっとと寝よう、おやすみなさい。
翌朝、出勤して仕事をしていると残業が確定した。
先生のお宅に電話を入れる。
八重子先生だ。
理由を話すと快く許していただいて仕事を続ける。
昼頃先生から電話が入った。
珍しいな、来て欲しいなんて。
それもあちらの家に直接なんて。
どうしたんだろう。
そう思って先生がお夕飯を終えるであろう時間にあちらの家へ行った。
まだ電気はついていない。
鍵を開けて電気をつけ鞄を置いて台所に立つ。
っと。こっちにコーヒーはなかったんだっけ?
諦めてコップに水を汲み、ぐいっと飲む。
ふぅっ。クーラーをつけた。
暑い。
暫くすると先生がやってきた。
あけて後ろ手で鍵を閉め、俺にしがみつく。
「どっ、どうしたんですか」
何も言わずキスしてくる。
もぞもぞしてる、と思ったら帯〆を解き始めてた。
あ、え? 抱かれたいのかな。
ちょっと手伝って帯を解き、着物と襦袢を脱がせ、抱えあげてベッドへ。
女の匂いがして煽られる。
少し焦らすと早く、とねだられた。
「抱いてっていって」
少し躊躇してるが…。
「お願い、抱いて頂戴」
恥ずかしげでとても可愛らしい。
俺の脚に擦り付けるようにしてきた。
いつもよりは激しく抱く。
幸い先生の家ではない、声はいくら上げても構わない。
なのにもっと、といわれる。
どうしたんだろう。
まだ大丈夫らしいので何度も責める。
暫く頑張って攻めているとやっともう駄目、と言い出した。
腕が攣りそうだ。
息の荒い先生を抱き締めてどうしたのか聞いた。
絶え絶えに昨日眠れなかったこと、昼に来ないといったので困ったことなどを語られた。
自慰しそうになったという時点でおかしい。なんか変なもん食ったか?
暫くなでていると落ち着いてきたようだ。
「恥ずかしいわ…ごめんね、呼びつけたりして」
「たまにはそういうのも良いですよ」
いつもは突撃されるからな。
暫く喋ってて気がついた。
「ね、先生あなたそろそろ生理じゃないですか?」
「え? あら? そういえばそうかも」
「それででしょう。そういう時期なんですよきっと」
「そうなのかしら」
「ま、それならそれで暫く出来ませんからね、丁度よかった」
汗だくになったから抱き上げて風呂へ行く。
先生の身体を泡でなでて洗ってるとなにやらまたしたくなったようだ。
可愛いなー。
もう一回だけ、と抱いてから濯ぐ。
「さ、そろそろ帰らなきゃね。明日もお稽古でしょう?」
「うん…帰りたくないわね」
「俺もですよ。でも俺もあなたも仕事なんだから仕方ない」
「ね、明日…また来てくれない?」
「いいですよ。呼んでください」
着物を着せてお見送り。
さて俺もかえって寝なきゃなぁ。
帰宅して布団に潜り込む。
先生も今頃は布団の中かな。疲れてるからきっとすぐに眠れるだろう。
おやすみなさい。
そして翌朝出勤すると忙しくて。
久々に疲れて帰宅して横になっていると先生からメールだ。
やっぱり今朝から生理で、それで別にこなくても良いという連絡だった。
ま、やっぱり会うとしたくなるしね。
来て欲しくなったらいつでも連絡するよう返事をして昼寝、夕飯を食べて本格的に寝た。
金曜はそんな感じで終ってしまったが今日は土曜だ。
仕事が終わったらすぐシャワーを浴びて先生のお宅へ急ぐ。
居間に寄ると先生は顔色が少しよくない。
「いらっしゃい。今日ね、もしかしたら途中からお母さんと交代するかも。お願いね」
「はい、大丈夫ですか?」
「大丈夫とは思うんだけど…」
「今日は簡単なものをしたらどうかねえ」
「小習復習ですか?」
「そうしたら?」
「それでいいですか、先生」
「そうね」
と言うことで支度を整えてお稽古だ。
流石に稽古ではあまりわからないようにしてはいるものの、
生徒さんが途切れるとやはり辛そうだ。
「八重子先生と交代したらどうです?」
「そうさせてもらうわ…」
と言うことでチェンジ。
久々に八重子先生と二人で生徒さんのお相手をする。
ちょっとやりにくそうだ。
先生が用意したほうがやりやすいのは事実。
と言うことで今日の俺へのお稽古は水屋のやり方。
色々と段取りを教えていただく。
でも今日は早めに切り上げて夕飯をしなければということでおしまいにして。
買物行ってきて、と言われてメモをもらって買いに走った。
途中先生からメール。
チョコも買って帰った。
寝ている先生に渡してお夕飯作成。
今日は手早く出来るおかずのみ。
でもそれでもちゃんと手のかかっているように見える。
実際おいしい。
先生は食欲もあまりないようだ。
ご飯をよそうのも今日は八重子先生。
食事を終えて先生は部屋へ引っ込んだ。
片付けをしてコーヒーを入れて戻る。
「八重子先生もコーヒーいかがです?」
「ありがと、いただくよ」
しばらくまったりとして八重子先生が今日は疲れた、もう寝ると仰る。
戸締りと火の元を確かめて俺も部屋に引くことにした。
布団を敷いて寝る支度。
…一人寝か。
やだなぁ。
そう思って転がっているとすっと襖が開いた。
「あ、先生」
何も言わずに布団に入ってきた、と思ったら俺の上に乗っかってキスしてきた。
そのまま俺の胸をまさぐっている。
怒っても仕方がない。
諦めて身を任せる。
手が徐々に股間に下りてきた。
俺が眉間に皺を寄せているのを見て嬉しそうにしている。
こういうとこSだよな。
弄られて二度逝かしたら気が済んだようでトイレに行ってから俺の腕を枕に寝始めた。
やれやれ。
げんなりしつつもまぁ先生が懐にいるわけだから、と寝ることにした。
夜半また触られてる気配がして目が覚めた。
眠気のほうが強くそのまま寝たが。
朝、先生はよく寝ている。
それは良いんだが指を入れたままで。
引き抜くとふやけてて苦笑いだ。
手を拭いてやって布団に戻してもう少しまどろむ。
一時間ほどして先生が目覚めた。
起きるなりキスしてくる。
まだしようとするからさすがにそれはダメ、とひっくり返した。
「朝ご飯作らないとね。ダメでしょう?」
むっとしてる。
「お昼、あちらの家でさせてあげますから」
「だったらいいわ」
しょうがない、しかたないと諦めつつ朝ご飯を作る。
げんなりした顔を見て八重子先生は察したようで苦笑している。
作り終えた頃匂いにつられて男共が起きてきた。
あれ? 司ちゃんが来てた。
仕方ない、先生用に作った分を司ちゃんに出した。
先生の分は起きてきたら作ろう。
「あんたいつ来たの?」
「9時半くらいかな。おばあちゃんたち寝てたみたいだから律に入れてもらったの」
「昨日は疲れてたからねぇ」
孝弘さんがこっち見てにやっとした。
これはわかってるな。
先生にはそういう態度は取らないで欲しいものだ。
食べ終わった頃先生が起きてきた。
「あら司ちゃんきてたの? おはよう」
「あ、おばさん。お邪魔してます」
「先生遅いからもうないですよーなに作って欲しいです?」
「何残ってるの?」
「ご飯と味噌汁が既にないのでパンかパスタか」
んー、と考え出した。
「卵有ったかしら」
「有ります」
「じゃハムかベーコン」
「有ります。ハムエッグ?」
「カルボナーラがいいわ」
「生クリームが無いですよ」
「牛乳で良いわよ、あるでしょ」
「了解」
台所に向かってパスタを湯がく。
牛乳を使ってカルボナーラのソースを作った。
後は絡めるだけだ。
絡めてお皿に盛り付け、フォークとお皿をもって先生の前へ。
いただきます、とちゃんと手を合わせてから食べる先生は何か良いね。
食べてる間に洗い物をして食べ終わった頃を見計らってコーヒーを出す。
代わりにお皿を回収。
俺の分もコーヒーを入れて先生の横に座った。
先生の機嫌は良さそうだ。
司ちゃんとおしゃべりを楽しんでいてほのぼのとする。
コーヒーを飲み終わって落ち着いていると先生に手を引かれた。
ん?
「そろそろ行くわよ」
「あー…やっぱり行くんですか」
「朝そう言ったでしょ」
気が変わってて欲しいなーと思ったのだけどダメだったか。
はいはい、と連れられてあちらの家へ。
すぐにどうこう、と言うのは雰囲気がないと思ったのか膝の上に座ってきた。
「先生、この体勢だと俺があなたを抱きたくなる」
「だめよ、そんなこというんならすぐに脱いで頂戴」
渋々脱ぐとキスされて、そのまま床の上で押し倒された。
自分は床の上は嫌なくせに。
昼過ぎ、先生の携帯がなった。
お昼ごはんはどうするのか、そろそろ俺を開放してやれという電話だったらしい。
なんだかなぁ。
されてること知られてるのもちょっと微妙だ。
でも先生は後1時間くらいで帰る、お昼はいらないとか言っている。
左様ですか、まだするのか。
そろそろ乳首を噛むのはやめてくれないと腫れるよなあ。
まぁ今日を我慢すればあと一ヶ月はないだろうから諦めるしかない。
先生が飽きるまで仕方なく身を任せた。
まぁ結局先生がおなかすいた、と言うところで切り上げて着替えて喫茶店へ。
先生はパンケーキとパフェ、俺はカレーを食べる。
甘いものが食べたい時期なのはわかるが…太るんじゃないかなぁ。
ま、太ったら俺の懐でカロリー消費すれば良いだけだよな。
幸せそうなのを邪魔するのもなんなので黙って食べて。
それから先生のお宅へ戻った。
並んで座れば俺にもたれてくる。
司ちゃんいるけど良いのかな。
「あんたら結局何食べたの?」
「私? ホットケーキとパフェ」
「生クリームたっぷりでしたよね、あのパンケーキ」
「わ、おばさんそれカロリーものすごいんじゃ…」
「いいのよ~」
「で、私はカレーです」
「大盛よね、あれって」
「太らないの?」
「普段それなりに動くからね」
暫く団欒を楽しんで律君が司ちゃんを送って行った。
ニュースでは都心は酷い雨らしい。
落雷で一部停電だとか。
「あら…あなた大丈夫? 帰れるかしら?」
「どうせ明日は月曜ですからねえ…いざとなったら休めるでしょう」
「簡単に休むなんてダメよ、ちゃんと行かないと」
それをあなたが言うか?
八重子先生と顔を見合わせて笑う。
きゅっと腕をつねられたので尻をなでといた。
うん、キスしたい。出来ないけど。
先生は身を起こして洗濯物にアイロンを当て始めた。
律君の衿のあるシャツなんかも綺麗に掛けていくのを見ると感心してしまう。
完璧な主婦能力はやはり八重子先生が仕込んだんだろう。
それから暫く家事を手伝いお夕飯を頂いて帰宅した。疲れた。
おやすみなさい。
翌朝仕事をこなし、少し叱られる事もあったりでげんなりとして帰宅した。
ベッドに転がる。
だるい。
寝るか。
そのままうとうとと寝て暑さに目が覚めた。
午後2時。
メシ、食わなきゃな。
面倒くさい。
焼きそばにしよう。カップ焼きそば。
先生に叱られるなぁ、きっと。
内緒にしよう。
湯切りしてソースをかけ混ぜる。
ん、良い匂いだ。
食べていると携帯にメールが来ているのに気づく。
開いて読んだらやっぱり先生からで、今日の体調は宜しいとかそういう話だ。
そりゃ終わりかけならずいぶん楽だろう。
その分俺がだるいぞ。
食後再度ベッドにもぐりこんだ。
とりあえず体力回復しなければね。
夕方メールに起こされた。
先生からの夕飯写真。
うまそうだなぁ…でも眠いから夕飯も食べずにそのまま寝た。
翌火曜日。
今日は暇と決まっている。
お朔日なんだけどなぁ。
鯛を一枚持って帰ることにした。
八重子先生に造ってもらおう。
あくびをかみ殺しつつ帰宅して風呂に入り、先生のお宅へ車を飛ばす。
「こんにちはー」
「はい、いらっしゃい」
「先生、これ鯛、台所置いときますね」
「あらーありがと」
先生の微笑に心癒されて鞄を置いて用意する。
「あ、そうそう、今日は葉蓋するから」
「そうか、そういう時期ですね」
「足りなかったらお庭から摘んで頂戴、桐とか赤目柏とかあるでしょ」
「はーい」
きちっと用意して待つ。
今日の稽古は楽だ、全員同じ。
これをはじめてする人にはやり方を教えたり、前もやった人は洗茶巾をしてみたり。
涼しげで良いよね。
そんなこんなでお稽古が終る。
葉っぱは使い切って普通に水屋を片付けた。
晩飯何かなぁ。
食卓に配膳する。
鯛のお造り、昆布〆、霜皮。
ほうれん草の白和え。
後は煮物2種。
鯛の一部はカルパッチョ風になっていた。
水菜と玉葱が敷いてある。
涼しげで良いなあ。
「あ、お肉炒めるの忘れた」
「いいですよ、鯛食べますし」
「足りる? すぐ出来るわよ?」
「足らなきゃ自分でやりますから食べましょう、腹減りました」
「はいはい、じゃ呼んで来てくれる?」
「イエッサー」
二人を呼んで食卓に着く。
いただきます、と食べはじめた。
うん、おいしい。
先生が白和えのお皿からざっくり取り、俺に渡してきた。
野菜もっと食えということだ。
「あれ? おばあちゃん、今日は山沢さんに肉ないの?」
「忘れちゃってねえ、鯛をいろいろしてたら」
立ち上がろうとされる。
「鯛は食べれるから別に良いんですよ、たまになら」
「そうかい?」
煮物がうまい。
「あ、そうそう」
先生がお箸をおいて台所へ。
パタパタと言って戻ってきたと思えば俺に小鉢を。
「はい、これも食べなさい」
胡瓜の酢の物か。
わかめは嫌いと言ったし茗荷も嫌いと言ったし、生姜も嫌と言ってるのに全部入ってる。
少し悲しくなって目を見つめた。
「食べなさい」
先生の迫力に押され諦めた。
早く食べて何か次に食ってリセットしよう。
我慢して食べる。
器を辛にして次は取りあえずとカルパッチョへ。
んー、うまいなー。
すべて食べ終えてご馳走様。
「今日なんで鯛だったの?」
「おついたちですからね、やっぱり鯛かな、と思いまして」
「…山沢さんのところは一日に鯛食べるってそういえば言ってたわね」
「本当は赤飯も。でも面倒くさくて」
「ええっ」
「何日には何を食べる、とか決まりはありますよね」
「そうなの?」
「本当なら今日にしんと昆布の煮付け、なますにしたりします」
「何か意味があるの?」
「赤飯、小豆ご飯は家中・豆で暮らせるように、にしんは渋いので渋ぅこぶぅ暮らせ」
「こぶぅ?」
「形容詞、こぶいです。物惜しみとか始末、けちとか」
「一日から随分と厳しいこと言うのね」
「そうしたら鯛とか赤飯が食べられるわけですね。月末なんかおからですよ」
「それはどういう意味があって?」
「包丁使わないでしょう、切らず。炒って食べるから縁やお金が切れず入るって」
「へぇー」
「一旦覚えると献立考える手間半分くらいですから楽ですよ」
「それっていいわね」
「普段ケチっても折り目折り目節気でちゃんとしようと言う現実的な考え方です」
「あなたそういうところないわよね」
「そういう家じゃなかったものですから」
そろそろ、と律君が風呂に湯をはった。
「律が出たら一緒に入らない?」
「ん? いいですよ」
「肩凝っちゃって。辛いのよ」
「あぁ、温めながらのほうが効率良いですからね」
暫くみんなで喋って律君が入り、出てきた。
「お母さん先どうぞ。長湯するつもりだから」
「はいはい」
どっこらしょと八重子先生が立ち上がってお風呂へ行った。
居間に二人になる。
ついキスしてしまってぺちんと叩かれた。
その手を引き寄せて舐めると慌てて手を引っ込めた。
可愛いね。
じゃれているうちに八重子先生が上がってきた。
「お湯冷めないうちに入りなさいよ」
「はーい」
一緒に入り、先生の身体を洗ったり髪を洗ったり。
それからゆっくり浸かって背中を揉み解す。
気持ち良さそうだ。
「先生、随分背中が冷えてる」
「そうなのよね」
湯あたりしない程度に先生を揉み、風呂から上がる。
表情も和らいでいて綺麗だ。
「あぁ良いお湯だったわ」
俺はその足で台所へ行きアイスコーヒーを作る。
先生はお白湯。
すっきりしたところで寝間へ入った。
布団を敷いて先生を待つ。
暫くして入ってきた。
懐に抱くと先生はほうっと息をついた。
「ん?」
「あったかくて」
「梅雨寒、といいますからね」
「うん」
「温かいのと暑くなるのとどっちが良い?」
「…嫌じゃないなら温かいのが良いわ」
くすっと笑っておなかを撫でる。
「暑い方が良いって言わせたくなるな」
顔を赤らめていやいやをするのが可愛らしくて良い。
こういうとこ年上とは思えない。
「良いよ、寝て」
したいけど。ま、良いか。
おなかをなでたり腕をなでているうちに寝息に変わった。
俺も寝よう、おやすみなさい。

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