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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

閑話 許状と車

先生のお宅に内弟子として通うようになって2年。
円真の許状をいただき、正引次を申請となった。


最近は真之行・円真・正引次まとめて申請することが多いとのこと。
許状が届けばこれで講師となる。


どうやら講師を取って一年程度で茶名の申請になるらしく。
そこは先生の用心深さというか、二年後の申請になった。


何になるかな? 宗久じゃないか? などと言っていたのだが、
やはり宗久となった。
これから益々修業なのよ、と先生から。


ちょうど良い機会なので車も買い換えることにした。
グランドチェロキーはそのままで新型が出て試乗したら結構良かった。
深みのある赤から少し鮮やかになって、そして機能が増えた。
暫くは慣れるために一人であちこちドライブして、それから先生を乗せた。
さすがに慣れない車に大事な人を乗せるのは好きではない。
レンタカーはしかたないけれど。
左ハンドルも右ハンドルも乗れるの? と良く聞かれるが
仕事では右ハンドルに乗るからなあ。
軽トラとか冷蔵車とか。
かといってバンは好きじゃないんだよな。
左ハンドルだと運転席の後ろに乗せるときに回り込ませなくて良くて。
あれは利点だと思う。


先生はセダンや軽を可愛いと言うけど荷物が載らないんだよな。
他のお弟子さんからも見た目がなんとなく変わった気がするなどと。


それから準教授は2年後から取れるらしいが先生では申請できないとのことで取り敢えずはお稽古を続けつつ先生がそろそろと思えば上の先生に依頼してくださるらしい。
「あなたの場合、うちを任せる形にもなるでしょうし。
 私の代わりができるようになったら申請をお願いしてあげるわね」
今はまだ"手代"かな。手の代わり。先は長い。

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547

三日ほど迷って。
覚兄さんと斐姉さんが様子を見に来てくれた。
「絹、お前、痩せたな」
「ちゃんと食べて寝てるの?」
二人にも心配を掛けてしまって。
「やっぱりしばらくこっちにいようかしら」
「お前だって家のことがあるだろう」
意を決して相談。
「兄さん、あのね。山沢さんから提案があって」
かくかくしかじかと二人に説明、うまく言えたかどうか。
「あら、いい話じゃない。山沢さんは絹ちゃんのこと、よく見てるのねえ」
「うーん。いやいい話とは思うよ。山沢さんの利点がない気がするが、それは本人がそれでいいならいい。それより山沢さんの親御さんやそのほかのことがだな」
「まあそのあたりは今度山沢さんを呼んで話しないといけないわね」
兄さんも姉さんも三人がそれでいいなら、と言ってくれたわ。
少しホッとして。そうね。そうだわ。
あちらのお母様にご挨拶をしなきゃいけないのよね?
「兄さん、ならあちらへのご挨拶はどうしましょう」
「そうだな、本当は長男の俺が行くべきなんだが。お前が行ったら良いんじゃないかと思うんだよな。ずっとお前と暮らしてたようなもんだろう」
まあ、そうなのだけど。私でいいのかしら。
「こんな時にお母さんがいてくれたら聞けたのに」
「まあ、でもこんなときだから山沢さんが結婚する気になったんじゃないのかしらね」
「お前を見るに見かねたんだろうな」
「環には私から言っておくわ」
「じゃあ洸へは俺から言っておくから。山沢さんは次はいつ来るんだ?」
土曜の昼からか火曜の昼から、と答えて気がついた。
「あっそろそろお昼過ぎちゃうわね。だからもうすぐ来るわ」
「今日か。わかった」
「ご飯、まだ用意してないのだけど」
「そこの喫茶店でも行こう。山沢さんには連絡しておきなさい」
「はぁい」
久さんに、喫茶店へ行くと連絡して三人で久しぶりの喫茶店。
なんだか久しぶりにお腹が空いた気がした。
といってもモーニングセットでおなかいっぱいなのだけど。

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546

二人とも話し合ったり、喧嘩をしたりの5年が経ち。
めっきり私がガチで切れることも先生の嫉妬も最近は少なくなり。
私は京都の拠点を引き払うことにした。
そろそろ東京に定着したといっても良いだろう。
大半が捨てても良い物でトラック1台、集積場を往復するだけで済んだのは幸いだった。
ここを借りて25年、か。
悪友くらいしか泊めたことはなかったな。
半ば物置にしていた自室を引き払った。
しかし築地の自室とて市場の引っ越しで通勤には不便を感じるようになったので、
よくよく相談して豊洲に住み替えることにした。
3LDK+納戸で実質の居住性は変わらず、防音もしっかりしている。
ガレージも近い。良い物件を紹介してもらえた。
月に25万ほど浮くようになり、今後を見越して貯蓄することにした。
いつか先生と二人暮らしするかもしれず、また振られて一人の老後もありうるからね。
先生宅へは電車は乗り換えが増えたのでもっぱら車で通うようになり、
会社にも公認、休出は基本なくなった。
ただ結婚は親からも社長からもせっつかれている。頭が痛い。いい加減諦めて欲しい。
もう50が近いこんな年だぞ。
時折先生と小さな見解の相違があったりもしつつ過ごしているうちに、律君が結婚した。
お弟子さんのお孫さん。
私の立場の説明はほぼ不要、と皆が思ってたのだが実際はお稽古が終われば家族のように扱われている私を見てずいぶんと驚かせることになった。
あと風呂から出たときに三度見くらいされた。
多分、普段の格好からつい男と思ってしまうからだろうが。
そんなこんなで先生には孫が出来て。
青嵐の使っていた体の消費期限が来た。
具体的には腐り始めたというわけだ。
先生にはそろそろ諦めて土に返そうと言ったのだが中々思い切られずに半月。
冬で良かったとは思うがやっと葬儀をした。
八重子先生は孝弘さんという相手がいなくなり少しずつ床に伏せることが増えた。
その頃からしばしば絹さんの兄姉たちが来て八重子先生と話し合っていた。
どうやら先生や開さんの老後を頼んでいるようだ。
律君達もいるとはいえ、母親としては娘の今後が心配なのだろう。
訪問介護が入ってはいるが家事は手伝えない決まりらしく、
先生の手の回らないところを補助することも増えた。
お稽古日も通院のため午前の日を一日減らすことになったがお弟子さんたちは皆さん、ご納得。
じわじわと起き上がれない日が増えて。
ある朝には事切れていた。
苦悶の表情もなかったそうで老衰として医師の死亡診断書も降り、
通夜、葬儀と私も手伝いに入った。
二、三日は覚さんたちが先生についてはくださるし、
夜も泊まられるとのことだがその後が心配になった。
やはりその心配が当たり先生は顔色悪く日に日に痩せて、クマが酷い。
少し迷いはしたが開さんを呼び出した。

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家を広く感じる

そんな冗談を言ったり言われたり、喧嘩をしては仲直りしているうちに律にお嫁さんが来て。
子供も生まれた。
その頃には夫は腐り始めていて律や久さんからそろそろ還した方が良いといわれたのだけど
迷い続けて半月、指が落ちたので葬儀を出すことにしたの。
母も葬儀の後は気落ちしたのか寝付くことが増えて……。

昨日、母の葬儀が終わった。

兄姉達が殆どしてくれて泊まってもくれてるけど明後日からは律と二人。
お嫁さんと子供は居るけど離れだもの。

皆が普段の生活に戻る中、私と律はおばぁちゃんとつい声を掛けたりしてしまう。
この家、こんなに広かったかしら。

久さんが来てくれる日は少し心強くて。

泊まってくれる日は少し眠れる。

昼間は孫を見たりして慰めになるけど夜は一人、この広い家にたった一人。

久さんがしばらくうちへ来ないかとは言うけれど。
母の物を片付けたりもあるから。

中々片付けられなくて、何かひとつ見るたびに泣けてしまうのよね。

数日後、久さんが開兄さんと一緒に話があるって、何かしら。

「先生、開さんと話したのですが私と開さんの籍を入れたらどうかと思うのですが、いかがでしょうか」

そんな、あなたも私を置いていくの……?

「メリットを言いますね。まずは私が四六時中この家に居ても問題化されません。
 常にあなたの補佐をしても誰も文句が言えません。
 あなたのために会社を休んでも家の問題として休めます。」
「僕にとっては信用だね、この年で独身は部屋も借りれないんだ。
 山沢さんと籍が入っていれば部屋を借りられる」

困惑していると、全てはあなたがうまく動くために考えたいんです、と久さんが言った。

「これはまだ開さんとあなただけにしか話してません。
 宜しければ先生のお兄さんやお姉さん方とよくよく相談してみてください」

「うん、今日のところは僕たちは帰るから覚兄さんとか律とか、相談したら良いよ」

今日は違う意味で寝られ無くなっちゃったじゃないの……。

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h50

背後で先生と律君がなにやら喋っているのを聞きつつ、隣の部屋に敷布団を敷いた。
その上に防水シートを敷き、バスタオルやタオルを置く。
かなり大きめなのでシートの外にこぼす事だけはない。
湯を貰って来てオイルを温める。
その間に吸水シートを乗せ、固定した。
そろそろ良かろう。
「先生、これますか?」
首を振る。
「先、トイレ済ませましょう。失礼」
抱えあげて連れて行く事に律君はもう見慣れたようだ。
戻ってきて浴衣を脱がせ、湯文字も取らせた。
紙パンツは穿かせたが恥ずかしそうにしている。
伏せさせて温めたオイルをたっぷりと掛け、ゆっくりとほぐして行く。
触れていない場所にバスタオルを掛け、冷えないようにしつつ。
最初はくすぐったそうに、それからだんだんと気持ちよさそうな顔になってきた。
お尻を揉むのにパンツをずらすのはさすがに恥ずかしそうだったけど。
律君は途中で目のやり場がないのか部屋に逃げてしまった。
仰向けになってもらって丹念に解す。
乳首や、股間は触らないように。
とはいえ鼠蹊部はリンパがあるのでどうしても手が当たるのだが。
少し色気のある顔でこちらを見るのは欲情してしまったのだろうな。
「あら、あんたたちさっきお風呂入ってなかったっけ?」
「八重子先生。ええ、うっかりしてました。夜にもう一度と思ってます」
「あっそういえばそうよね。せっかく入ったのに」
会話をしつつ丁寧に。
足の指の間まで。くすぐったそうだ。
最後に全体的に流して終わり。
「あぁ気持ちよかった」
ある程度ホットタオルを使って拭き取り、持って来た服を着せた。
浴衣着ると洗うのが大変だからね。
靴下を履かせると何か微妙という顔をした。
居間に追いやって後始末をする。
オイルのついたものは基本廃棄、さっさと仕分けして片付けた。
「あんた眠いなら部屋で寝なさい」
振り返れば先生が舟を漕いでいる。
使っていないバスタオルをもって先生のお部屋へ行く。
敷いてある布団にバスタオルをさらに敷いた。枕の上も覆うように。
ふらっと先生が来て布団にもぐり込む。
「おやすみなさい」
「うん」
すぐに寝息になった。
かわいいなぁ。
しばし見とれてから部屋を出た。
戻って片付けて、それから八重子先生に引き止められるまま夕食をいただいた。
やっと先生が起きて来て、風呂に入れるとの約束通り洗うことに。
膝をまたがらせて座らせた。
「お昼みたいなこと、しないでちょうだいね。律もいるんだから」
「わかってるよ」
今回は軽くオイルを取る程度にする。
冬なら洗う必要はないけれど、これから夏へ向かうだけに洗わねばならん。
汗をかくことが多い先生はあまり残すのは好ましくないようだ。
キスをしたくなって唇を合わせる。
「こら、だめよ」
「連れて帰りたくなっちゃうな」
「明日もお稽古なんだからだめよ」
「じゃあ明日の晩を楽しみに。ねぇ、気づいてますか、俺の膝に押し当ててるの」
「言わないでちょうだい、恥ずかしくなるじゃないの」
恥ずかしがって下を向いちゃった。
「可愛いと思ってるよ。少しヌルついてるのは」
「オイルよ、オイル」
「ってことにしてあげましょう」
俺の膝から降りて自分で股間を洗い出した。
やることがかわいい。
背中を拭いたらタオルは奪われた。
「もう自分で出来るから」
「はいはい」
自分を拭いて風呂を上がり、俺は外着。先生は寝巻。
「帰るの?」
「仕事ですよ?」
「そうだったわね」
「お稽古休んでとは言いませんからね、絶対に」
「たまには言ったらいいのに」
小さい声でそう言った。
「律君が就職して独り立ちしたらね、京都に住みませんか」
はっと顔上げた。
「もちろん、心配事がなくなったらの話ですが」
「…その頃にはきっと私、おばあさんだわ」
「それでもいいです」
「期待しちゃうわよ?」
「その頃になってもお茶を続けるつもりなら、家を選ぶでしょうけど」
「だったら貯金しなくちゃね。あんまり外食はよくないわねぇ」
「たまにホテル行くくらいはいいでしょう?」
「そうねぇ。来年、用がなければあちらの部屋は空けたほうが…」
「あー今年あんまり使ってませんね」
などと細々話しつつ居間へ。
八重子先生が羊羹を食べている。
「あんたらもいる?」
「俺はいいです」
「おいしそうねえ。冷蔵庫?」
うん、と八重子先生がうなづいて先生が台所へ。
暫くして戻ってきた。
お盆に自分の分と、俺へはコーヒー、バームクーヘン。
「おお、うまそう」
「おいしそう、でしょ」
「すみません」
「あげないわよ? 言葉づかい直すようにしないと」
「気をつけます。ですから下さい」
「どうしようかしら~うふふ」
「遊んでないで下さいよー」
「はい、じゃちゃんと座って」
足を伸ばしてたのを正座して食卓に向かう。
「良い子ね、じゃ食べていいわよ」
「いただきます」
八重子先生がずっとくすくす笑ってる。
「あれ? これうま…おいしいですね」
「いただきものなのよ。クラブハリエって書いてあったわ」
「あー、滋賀にあるやつ。今度最中買ってきてあげます」
「バームクーヘンのお店で最中?」
「三越にたねやってあるじゃないですか」
「そういえばあるわねぇ。あっそうそう、忘れちゃうところだったわ」
「どうしました?」
「今度でいいからタバコ買ってきてちょうだい」
「吸うんですか?」
「刻みを買ってきて欲しいのよ。ほら、茶事の稽古するから」
「なんだ、吸うのかと」
「むせちゃうわよ」
「八重子先生は吸えるんですか?」
「お稽古で吸ったことはあるよ」
「あぁ、そうですよね」
「姉さんは吸うわよ」
「女だてらにって言ったんだけど」
「まぁ男と対等に仕事してると飲みたくなるものですよ」
「そういえばあなた吸ってたものねえ」
「ヤニ臭いの嫌いでしょう?」
時計が10時を知らせる。
「もうそんな時間?」
「ああ、では俺はこれで」
「おやすみ」
「おやすみなさい。気をつけて」
送らなくていい、と居間で別れた。
 
ある日の夕方、他出より戻れば電気がついている。
消し忘れたかと戸を開けると草履が揃えて脱いであった。
どうやら先生が来ているらしい。
だが気配がない。
不審に思って寝室に入れば寝息をたてていた。
待つのが暇で寝てしまったと見える。
着物がその辺りに脱ぎ散らしてあるのはどうしたのだろう。
とりあえず和室のハンガーにかけに行き、落ちていた紐なども片付けた。
よく寝ている。
俺は腹が減ったんだが、一人食うわけにもいかない。
何か作ろうという気分ではなかったのだが仕方がない。
まずは買い物、と家を出た。
スーパーで何を作ろうかと品物を見ていると電話があった。
「久さん、どこ?」
「あ、起きましたか。何か作ろうと思って買い物へ」
「どこか食べにつれてって欲しいわ」
「はいはい、じゃ帰ります」
甘いものだけ買って戻ると先生はすでに着替えていた。
「おかえりなさい」
「ただいま、どうしたんです。お稽古は。今日お花の日でしょう?」
「私はあれよ、出稽古」
「あぁたまに行ってる支部とか本部の?」
「そう、それでこっちに来たんだけど疲れちゃって」
なるほどね、それで俺と飯を食いにいこうってことか。
「なに食べたいんですか?」
「ステーキか天ぷら」
「了解」
いつものホテルに電話をする。
天ぷらは満席。ステーキなら空いている。
30分後にということで着替えて支度する。先生は化粧を直し、トイレに行った。
連れだって食いに行く。
鉄板焼のコース料理は旨く、先生は軽く飲んでいる。
ほのかに頬が染まるのがなんとも良い。
「あぁおなかいっぱい」
といいつつデザートを食べて、連れ帰る。
部屋に入って先生が脱ぎ始める。
「なんで脱ぐんだ。帰るんだろう?」
「あら、泊めてくれないの?」
「明日お稽古でしょう」
「言わなかったかしら、明日おやすみよ」
「聞いてない」
「お母さんにもこっち寄るの言ってあるから問題ないわ」
「今晩も明日の夜もしちゃいますよ」
「疲れないくらいがいいわ」
「一月くらい立てないようなのしちゃおうか」
「そんなの困るわよ」
リビングでじゃれながら、先生がみたいというテレビを見る。
ゆっくりと胸を揉んだりして先生が濡れた頃、道具を取り出す。
そろりと陰部に当てがう。
「きゃっ、なに、なによ」
「気持ち良い?」
ローターで狙い撃ちである。
すぐに先生は逝った。
「ば、か…何するのよ…」
「たまには違った道具も良いかと思ってね」
「そんなのいらない…」
「これをね、テープで固定して。外を歩こうか」
あ、耳まで赤くなった。想像したらしい。
「やだ、そんなの無理よ…」
「歩けるかな、あなた」
首を振る。
「ディルドも入れて固定しようね。着物だと見えないから大丈夫」
「何を…言ってるの…そんな。できるわけないでしょ」
ディルドを押し当てる。
細身のそれがぬるりと入る感覚に先生は身をよじった。
俺の下帯を使って固定する。
「ほら、立って」
肩の下に手を入れて無理矢理立たせた。
浴衣を整えてやる。
「鏡、見てごらん」
特に凹凸が見えるわけでもなく、収まっている。
顔が赤い以外は常のように。
手を拭いて用意してあった俺の着物を着せる。
嫌々をするが身じろぐと異物感があるらしく呻き声をあげた。
帯は矢の字に。
手を引いて部屋を歩かせる。
玄関に近づくとへたりこんだ。
「あ、うっ、外は勘弁して、お願い、お願いよ」
俺は楽しげに笑い、また立たせた。
たぶん座り込んだときに押し込むことになったのだろう。
「わかってるよ、さすがにこのまま出たりしない」
そうだな、するなら先生の家の裏山が良いだろう。人目につかない。
「どうしてこんな、酷いことするのよ」
「わからない?」
こくり、とうなづく。
「わかるまで今日は抱いてあげる」
ひっと軽く息を飲んでいる。
玄関先ですべて脱がせた。
下帯は先生のもので汚れている。
「足を開きなさい」
それを外してゆっくりディルドを抜くと白く汚れている。
先生に見せつけ、舐めさせた。
「細いだろう。もっと太いのがあなたは良いよね」
おいで、と納戸に連れて入る。
「どれを入れたい?」
先生は首を振って見ようともしない。
「言わないならこれだよ?」
先生のあそこには大きすぎるブツを示すと渋々ながら指をさした。
その指し示すのは、いつも使ってるペニバン。
ふふ、と笑って装着しその場で犯した。
手の届くところに、目に触れるものすべてがその手の道具。
そんな場所で犯されるのは先生には辛かったようだ。
ずいぶん泣かせた後、抱えあげてベッドに入れるとほっとした表情になった。
「なに落ち着いてるんだ? 次はこっちだ」
尻の穴にペニバンの先を押し付ける。
かちかちと先生の歯が鳴った。
ぐりぐりとやると本当に押し込まれるのだと思って悲鳴をあげた。
それから何やら言葉にならないなにかを言って泣き出した。
泣かれるのは面白くない。
口を塞ぐことにした。
ペニバンを外してからキスをする。
落ち着かせるべくゆっくり頭を撫でて。
恐慌状態の先生はしばらくは抵抗していたけれど半時ほどで落ち着いた。
それからは恋人同士のセックスと言おうか、ゆったりとした愛撫。
気持ち良く逝かせるとすぐに先生は寝てしまった。
俺は後片付け。
脱ぎ捨てた着物や使ったディルド、ペニバン。
仕舞い終えてから身支度を整え、出勤した。
久しぶりの完徹につかれつつも仕事に勤しみ帰宅した。
先生はまだ寝ている。
俺もその横に入って寝た。
昼をすんだ頃先生に揺り起こされる。
トイレへ行きたいそうだ。
連れていき用を足すのを眺める。
ぼんやりした頭で先生の恥じらう顔を見ているうち、臭いで気づいた。
「あ、すまん」
トイレを出てやる。大きい方だったようだ。
しばらくして先生が呼ぶ。
ベッドへ戻した。
腹が減る。
寿司で良いというので寿司を頼んでぼんやりと先生の腹に頭をおいて待った。
先生の腹も鳴っている。
届くまでに気がつく。何か着せないといけない。
昨日の寝巻きは汚したから別の寝巻きを先生にまとわせる。
白い乳房にいくつもキスマークがあることに気づく。
先生が慌てて胸をしまった。
かわいい。
座椅子を出してこよう。
段々と目が覚めてきて昼を食う用意をする。
先生を座椅子に座らせて膝掛けを渡すとチャイムがなった。
寿司桶を受けとり、机に置く。
いただきます。
おいしい、と先生が嬉しそうに食べている。
そして食べ終わったら先生とまたベッドへ戻った。
食後の眠気にまどろむ。
夕方まで寝てさすがに目が覚めた。
寝ている先生のあそこをいじる。
徐々に滑りを増す中に侵入させるとさすがに目が覚めたようだ。
止めたところで止まらないことは知ってる先生はそのまま最後までさせてくれた。
終わった後窓を開ける。
匂いと熱気がこもっているから。
暫くして落ち着いた先生は風呂に入ると部屋を出た。
先生と交代に俺も入り一服する。
腹がへった。
スパゲティを希望する先生と食いに出る。
先生はほうれん草のクリームパスタ、俺は白味噌のハンバーグパスタ。
食後、先生が帰るというので駅まで送った。
このまま夜もうちというのは疲れすぎて無理なようだ。
帰りたくはないけれど、といいつつ稽古に支障が出るからと帰っていった。
 
帰りの電車の中、どうしてこうなったのかしら、と悩んで。
何がそんなに久さんを苛立たせたのだろう。
思い起こしていく内に、買い物から呼び戻した時には目が笑ってなかった。
そんなことに気づいた。
何か食べたいものがあったのかしら。
そんなことくらいでは怒らないわよね。
悩んでいるうちに駅についてバスに乗り替えて帰宅した。
「ただいまぁ」
「あら早かったね、泊まらなかったの?」
「ちょっと久さんの機嫌が悪くて」
「あらあらあら。またなんかあんたしたのかい?」
それが良くわからなくて困ってるのよね。
とりあえずは着替えて、着物の汚れを確かめる。
軽く手入れをして居間に戻った。
「あら? 律は?」
「友達のうちに泊まってくるって言ってたよ」
「そう…」
落ち着いたら眠くなって、早い時間だけど寝てしまうことにした。
久さんのことは明日、考える事にしましょ。
何か思い出すかも。
布団を敷いてひやりとした中に身を横たえる。
休みの前に久さんがいないのは珍しく、何か寂しい。
眠いのになかなか眠れず、それでもいつしか寝たようで朝が来た。
ぼんやりした頭のまま朝食の支度をする。
三人で食べて片付けて。
郵便物を見て思い出した。一昨日何か渡されたんだったわ。
あれどこやったかしら。
バスの時間が来てたから胸元に入れてそのあと…あ。
久さんのうちで脱ぎ捨てたから…。
一応昨日の鞄の中を探ってみると入っていた。
中を読む。
段々と頭が冴えてくる。
久さんが中を見たのだとしたら怒るわよね。これは。
「どうしたの、あんた。顔色悪いよ」
「あ、お母さん。あのね。これ。もしかしたら久さんが読んだかもしれなくて」
「どれどれ」
老眼鏡を取り出してざっくりと読む。
「こりゃあ怒るだろうね。読んだか聞いてみたら?」
「薮蛇だったらどうするのよ」
「お断りするんだから堂々と言えばいいんだよ」
まさかこんなのだったなんて。わかってたらその場でお断りしたのに。
ちょっと悩んで携帯を手にした。
電話、あ、まだ仕事中ね。
メールを打つ。
暫くして返事が帰ってきた。
あとであちらの部屋で話をしたいと。
少し怖くなったけれどあの部屋は道具はないから…。
お昼御飯はどうするのかしら。
食べてからいくと返事があった。
それまで落ち着かない気分のまま、庭掃除や洗濯物などをして過ごした。
お昼を食べてしばらくした頃、電話が鳴る。
久さんから。そろそろつくからと。
お母さんに言ってあちらへ移動した。
すでに鍵があいている。ためらってドアを開けた。
「いらっしゃい」
「あの、久さん。メールのこと…」
「とりあえず中にどうぞ。座って」
恐る恐る従う。
ん、とお茶を入れてくれた。
「あの。手紙のこと。読んじゃった?」
「読んだ。どうする気でいるのかな。後妻におさまる?」
「そんなわけないわ」
「その場で突っ返せよそんなもん」
「違うの、聞いて」
「何をさ」
「今朝になって中を読んだのよ」
「開封してあった」
「それはバスの時間が来て」
「バスん中で読んだんだろ」
「読んでないのよ、さっきなの。ほんとよ」
「どうせ俺は資産家でも男でもない。そいつの方がいいんだろ」
「あなたの方がいいのに決まってるじゃない。なんでそんなこと言うのよ」
ぷいっと背中を向けてしまった。
後ろから抱き締める。
「手紙、今日お断りの返事を書いて速達にするわ。私はあなたが好きなの」
本当に? と久さんが念を押してくる。
「あんなことをするのにそれでもか?」
「…してくれないのが一番なのだけど。好きよ」
じゃなかったらとっくに、そうね、紹介状でも書いてよその先生に渡してるわね。
現金収入が減るのは痛手だけどもきっとそうしてる。
「わかった。でもな」
「なぁに?」
「来る前は電話入れてくれ。それとハンガー使え」
あっ。勝手に行ったことと脱ぎ散らしてたのもいけなかったみたい。
「ご、ごめんなさい。つい」
「いや。おれも口で言えばよかったな。すまない」
ついつい最近は気を抜いていて何をしてもいい、そんな風に思っていたみたい。
親しき仲にも礼儀あり、だったわ。
久さんはあまり内心を言わないからやりすぎるのよね。
そっとキスをして。
気が緩んだとたん眠くなってきた。
「眠いのか?」
「昨日眠れなかったの」
「昼寝すればいい。俺も今日はこの後行くところがあるから」
「どこ行くの?」
「作業着屋。仕事着の補充にね」
じゃついていっても仕方ないわね。
「夕方、拾いに来るから飯食いにいこう」
「いいの?」
「このへんのうまい店、連れてってくれよ」
「わかったわ、待ってる」
「待たなくていいよ、寝てろ」
「はい」
頭を撫でられて、それじゃまた後でと久さんが出ていった。
お母さんに電話をして昼寝して夕飯を食べにいくと告げ、着物を脱いだ。
寝巻きに着替えてベッドへ潜る。
ここへ一人で寝るのは珍しいこと。
と思いながらもあっという間に睡魔に飲み込まれた。
 
暫く平穏な日々が続いたある日の午後。
お宅を訪ねると八重子先生がお稽古をつけていた。
「あら、いらっしゃい」
「こんにちは。絹先生は今日はいらっしゃらないんですか?」
「支部のお稽古よ。あらあんた聞いてなかったの?」
また言い忘れてたようだ。
まぁどうせいてもいなくても手伝うことには変わりないのだが。
手を洗って支度をする。
八重子先生がお昼を食べている間に水屋の用意。
立ち座りはさすがに大変らしく八重子先生がしたにしてはそう整っていなかった。
少し時間があるので自習する。
カタン、と音がした。
「わぁ山沢さんのお稽古してるところ初めて見た。格好良い…」
「それはありがとう。今日は大学はどうしたの?」
「休み。うちだと潮がうるさいからこっちでレポートしようと思って」
「晶ちゃんもお稽古したら良いのに」
「うーん…」
自習を終える頃生徒さんが来はじめ、晶ちゃんは退散した。
八重子先生も席についてお稽古が始まる。
俺が来る日は皆さん初心者に毛の生えたもの、だそうで。
朗らかに和やかにお稽古がすすむ。
少し井戸端会議のようになることすらある。
俺は苦手だが。
先生方は教室運営上避けては通れない。
うんざりしていても笑顔。先生は俺と二人の時に愚痴を言う。
 
生徒さん達が帰ったら最後に俺のお稽古。
「絹がもうすぐ帰るからそれまでしようかね」
そんなことを言っていたが七時になっても帰らない。
電話が鳴った。
誰かが出てくれたようですぐに鳴りやむ。
茶杓を清めていると律君がやってきた。
「おばあちゃん。お母さんから電話。遅くなるから先に食べててって」
「あらあら。まぁ。何時くらいになるって?」
「十時過ぎるかもって言ってたけど」
「随分遅いな」
「どうしたんだろうねえ」
「カラオケみたいだったよ」
「あー…たまにはしょうがないですよね」
八重子先生に同意を求める。
うんうん、と頷いてお稽古を終え、道具をお片付け。
「夕食どうします?」
「出前でも取ろうと思ってたんだけどどうかねえ」
「そうしますか」
律君と晶ちゃんにも要望を聞いて注文した。
水屋もしまい終えた頃、出前が届いて食事をとる。
風呂に入ったり繕い物をしたり。
晶ちゃんは帰り、八重子先生は疲れからか早々に寝た。
孝弘さんは離れで夜食を食べている。
律君はまだ起きているようだ。勉強だ、きっと。
先生はきっと帰ってきたらすぐ寝るだろうと思い、部屋に布団を敷いておいた。
茶道具の本が棚に有ったので眺めつつ待つ。
時計が十時を知らせた。
そろそろ帰ってくるだろうか。
水屋の本や花月の本を読んで気がつくと十一時前。遅いな。
だが機嫌よく飲んでるときに帰りを待つメールは気を削がれるか。
もう少し待とう。
 
結局先生は十二時前に帰ってきた。
酒の臭いが濃い。
着替えさせて後始末を引き受け、布団にさっさと寝かせた。
「悪いわねぇ~」
髪のピンを外してやる。
着物を片付け鞄の物を整理し、化粧をとってやった。
気持ち良さげに寝息をたてている。
俺も横に潜り込む。
寝ているのにするりと俺にくっついてきた。
可愛いな。
そのまま寝ていると夜半、股間を触られている気がして目を覚ました。
寝息は聞こえるままだ。
また先生が無意識に触っているらしい。
残念ながら今晩は抱いてないからパッサパサなのである。
擦られると少し痛いんだよなぁ。
手をどけて寝直した。
が、再三、四起こされてしまったのであった。
翌朝は三人して寝過ごし律君を慌てて送り出した。
やれやれとばかり掃除や洗濯をする。
先生は全く使い物にならない。
俺もやることやったら昼寝していいとのことだ。
昼寝するためにまずは買い出しや晩飯の下ごしらえ等を済ます。
それから先生の横に潜り込んだ。願わくば昨晩と同じ理由で起こされないことを。
たっぷりとよく寝て良い匂いに目を覚ます。
先生は布団にいない。
晩飯のようだ。
台所へ向かうと先生に謝られた。
「昨日はごめんなさい、待っててくれたんでしょ」
「構いませんよ、楽しかったですか?」
うん、と嬉しそうにしている。
「あのね、来週の連休。土曜日の昼からあなたの家にいくわ。いい?」
「いいんですか? お稽古は」
「普通のお家は三連休でしょ、生徒さんお休みなのよ」
なるほど。
あれ、でもそのあたりって先生は生理じゃないだろうか。
出来ないことは念頭に置いておかねばならんなぁ。
 
それから夕飯を食って風呂を使ってから帰宅した。
 
「そうだ、ちょっといいですか?」
お稽古のあと、久さんに呼び止められた。
どうしたのかしら。
 
「わかめ酒して欲しいな」
人の来ない部屋でささやかれた。
「お酒にわかめを入れるの?」
 
久さんがおなかを抱えて笑いだした。
「どうしたの? 何か変なこと言ったかしら」
 
突然抱き締められて頭を撫でられた。
「なぁに? ねぇどうしたのよ」
「うん、うん、そうだよな。わかんないよな」
一人納得していて私はちょっと不機嫌になった。
それを見て久さんは嬉しそうにキスをする。
 
「わかめ酒ってのは下の毛をわかめに見立てて股間に酒を注ぐことですよ」
理解ができると急に恥ずかしくなった。
「お酒の中に毛が揺らぐのがね、わかめみたいでしょう」
「…ばか、そんなのしないわ」
「してほしいなぁ。美味しくいただくからさ」
照れているうちに玄関から訪う声。
久さんが身を離して対応に出てくれた。
どうしよう。
してあげる? やっぱり断る?

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