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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

537

それから駅弁。
先生はまだおなかがすかないというが俺はすでに空腹。
少し迷ったが先程の美術館にあったローストビーフの弁当を買った。
それとお茶を2本。
乗車券を買い、乗り込む。
行きと同じグリーン車。
先生はあきれた顔で俺の食うのを見ている。
「おいしい?」
「ん、いけますね」
一口食べさせた。
「おいしいわね、これはいいわ」
「半分食べますか?」
「それはいいわよ、まだおなかすいてないもの」
お茶を飲んで暫くするとまだ眠かったようだ。
俺の肩にもたれてきた。
少し、食いにくい。
けど重さが心地よくもある。
食べ終わって片付けた後、先生を眺めているとキスしたくなった。
だがこんなところでするのは宜しくない。
大人としての良識である、が。我慢は辛い。
そのうち食後の俺もだんだんに眠くなってきた。
終点で降りる、財布は先生は帯の中、俺は尻のポケット…。
よし、熟睡はしないよう気をつければ。
いやまて、最近置き引きがいると聞くからには起きているべきか。
手荷物は先生のバッグと俺のワンショルダー、大した物は入れてないとはいえ。
しかし段々と瞼が落ちていく。
せめて先生のバッグを守ろうと俺と先生の間に差し込んだ。
先生の袖でカモフラージュする。
さすがにこれを触ればどちらかが気づくだろう。
安心して眠りに落ちる。
次に目が覚めたのは大宮へのアナウンスで、小一時間眠れたようだ。
カバンを確認する。
俺のバッグは置いたときと変わらない状態、先生のバッグも先程と変わらない。
ほっとした。
財布もケツの座りの状態からして何も問題はない。
先生はまだ気持ちよさそうに寝ていて、俺の肩によだれをつけている。
上野を過ぎたので先生を起こす。
「そろそろ降りますよ。起きて」
「んー」
「家で何時間でも寝ていいからさ」
俺にもたれたまま小さくあくびをして、よだれに気づいた。
ハンカチでぬぐい、もう一度あくび。
「眠い…」
「俺もです。帰ったら飯食って寝ましょう」
「ごはんいらない…」
「はいはい」
甘えた声が耳に心地よく、可愛い。
駅につき、何とか先生らしく気を入れて。
俺の家へ向かう。
家にたどり着いたとたん和室で全部脱ぎ、寝巻きになって布団に潜り込んだ。
相当眠かったようだ。
着物を片付け、それから先生の化粧を落としてやる。
すべて始末がついてから、先生の朝食べるものを買いに行った。
ディニッシュとスープ。
部屋に戻り、俺も寝る支度をした。
まだ日が落ちきってはいないがよく眠れそうだ。おやすみなさい。

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536

少し気だるげだが食事処に入る頃にはしゃんとしてメニューを見てすぐ決めた。
一番高いやつは予約制だったので選ぶとはいっても知れているが。
俺はちょっとメニューをご相談、魚と肉をチェンジ。
先生は笑っている。
お酒は少し頂くことにした。
沢山に飲むと次の日に差し支える。
余裕のある日程ならいいが…。
飯はそれなりにおいしく、酒もうまい。
食べ終わって先生が満足そうな息をついた。
「さて、部屋に戻りますか」
「そうね」
戻って寝巻きに着替え、明日の用意を整える。
それからこちらをちらちらと見ては照れくさげな先生を懐に入れた。
「なーに今更照れてんです?」
「だって…」
「かーわいいなぁ~」
「もう、からかわないでちょうだいよ」
「からかってなんかいないよ、うん。可愛い」
「ねぇ、さっきみたく、して…」
「手荒く? 優しく?」
「優しいのがいいわ」
「OK」
ゆっくりと丁寧に心をほぐすように抱いて。
先生が満足したのを確かめて一緒に寝た。
翌朝、二人で風呂に入って着替える。
本当は朝からしたいけど、そうもいかない。
朝食を食べてすぐに出発の支度。
やっぱり午前中がいいからね。
まずは近くのレンタカーで車を借りた。
先生はパッソが良い! というが却下してカムリにした。
文句を言いつつも意外と車内は気に入ったようだ。
スムーズに戸隠へ。
まずは宝光社の前で車を止めた。
これは階段が続くような気がするんだが…。
俺はいいけど先生の足元が、と躊躇したが先生はまったく気にせず俺の腕を引く。
どんどん上ると途中で女坂と看板にある。
そちらを行けば階段は登らなくてよいらしい。
先生と二人そちらを選んだ。
「空気、いいわね」
「そうですね」
朝の気配のまだ残る道を行けば本殿に着いた。
祭神は婦女子・安産・技芸・学問・裁縫の神さんらしい。
先生はやはり念入りにお参りされている。
それから中社へ、となったが歩けば20分くらい、というが車だしと悩んでおられる。
横にいたおばさんがバスで運転手だけ中社から戻るんだよ、と教えてくれた。
どうやら1時間に1度位バスが来るらしい。
そして中社前はタクシー乗り場もあるようだ。
歩くことにした。
緑の綺麗な人通りのない道だ。
涼しい。
伏拝所がある。昔は女人禁制だったから女はここから奥社を望んで拝んだそうだ。
暫く歩くと分かれ道。
火之御子社へは徒歩3分。
それを見た先生に手を引かれて行く。
注連縄をくぐり標識に従うも微妙な道だ。あまり使う人がいないのだろう。
少しすべるので先生は俺の肘を掴んでいる。足元が悪い。
着物だから先生は少し困っている。
「洗える着物にして良かったですね」
「本当、こんな道だとは思わなかったわ」
舗装とは行かないまでも整備されてると思ったんだけど。
とはいえ先生自らこっちを選んだのもあってかそんなに愚痴はおっしゃらない。
ついた。ここのご祭神は天鈿女命。
先生には関係ない。
軽くお参りを済ませもとの道へ戻る。
先生は不安げだ。
それでも俺を杖代わりに歩いていくと舗装路に出た。
歩き易さからか手を離されてしまった。
まぁいいけど。
やっと観光センターについて先生は安堵の息を落とす。
少し整えてもう一息。
階段にうんざりしつつも上りきっての参拝。
ご祭神はオモイカネ…メガテンを思い出してしまった。
違う違う、と思いつつよく読むと常世の神か。
長寿を祈ればいいのかな。
もっと下調べをしてから来るべきだった。
下りてきてバスの時間を見ようとしたときバスが来た。
あわてて飛び乗る。
先生はどこかそのあたりで時間を潰す、と言ってくれた。
バスに数分揺られて戻った。車に乗り換える。
すぐに戻ったが先生はどこにいるのだろう。
携帯を鳴らすと場所を教えてくれた。
駐車場に車を置いてその店へ向かってみれば竹細工の店。
ざるやらかごやら。
家で使っているざるが傷んできた、と先生は買い換えたいようだ。
花籠も。
いくつか買って車に積み込む。
奥社は健脚で徒歩30分と聞き、先生はどうしよう? という顔でこちらを見る。
「明日筋肉痛になってもよければ」
うーむ、と悩んでいる先生に着物ではちょっとやめておいたほうが、と声が掛かった。
それに足元がねぇ、と。
とはいえ先生はなかなかに健脚で雑木林に囲まれている所為か足元が悪くても平気である。
結局、先生は行きたい! と言うので諦めた。
とりあえず奥社近くの駐車場へと走らせる。
見上げて先生は気合を入れた。
「その前にトイレ行っておきましょうね」
「あ、そうね」
意外と綺麗なトイレで小用を済ませ、水のペットボトルを補充。
たぶん上には自販機はない。
戻ってきた先生が足元を確かめ、それから歩き出した。
最初は平坦に近い、楽な道で先生も物見遊山といったところ。
着物姿が珍しいのか少し注目はされた。
門を越えて歩くと杉並木。太い。
建材にしたら良いのが取れるだろう、なんて罰当たりなことを考える。
途中から階段のある山道に変わった。
先生は俺を杖にしたり、もたれて休憩したり。
さすがに先にほかの宮を歩いて回ったのが足に来てるようだ。
先生に水を飲ませたり塩をなめさせたり。
何とか登りきる。下を見れば絶景。
先生の息が整うのを待つ。
少し汗も引いて落ち着いて、手水を使いそれからお参りをした。
ほかの社に比べると…だが、このあたりは雪がすごい。
ということで仕方ないのかもしれない。
と言っていたら横にいた方がこのあたりの方で、木造は雪崩で流されるとの事。
よく雪崩があるらしい。冬はやめとこう。
どうやら屋根の高さ近くまで積もるらしい。
九頭龍社にも参ってそれから下りだ。
これは楽。先生は滑らないよう気をつけて歩く歩く。
やっと下り終えて。
「おなかすいてる?」
「すいてる、わね」
「並んでるみたいだけど」
「いいわよ」
並んでいるとソフトクリームならすぐ食べれることに気づいた。
「あれ食べたいわ」
熊笹ソフトか…。面白そうだ。
保険にバニラソフトも買って食う。あ、意外といける。
食べ終わった頃呼ばれた。
席につくとお通しに漬物と水が出る。
両方うまい。
これは期待できそうだ。
とりあえずは一人前。先生が鴨ざる、俺は天ざる。
食べてみるとやはりうまい。観光地なのに意外。
先生に天麩羅を少しあげて俺はそばを半分追加した。
天麩羅はさくっとうまく揚がっているので先生も胃もたれしないだろう。
おいしい、おいしいと食べて満腹になった。
「さてと。そろそろ行きますか、本当の目的地」
「そうね」
先生も笑っている。
駐車場へ戻り車に乗る前に再度トイレを済ませた。
「あら、ここにもお蕎麦屋さんあったのね」
「ほんとだ、見落としてたな」
帰りに気が向いたら木いちごソフトを買おう。
駐車場からはすぐそこの美術館へ行った。
徒歩5分と聞いていたが車で。
戻るのが面倒だったからだ。
開放感のある場所に美術館はなかなかいい。
先生は草履や足袋を履き替え、裾を点検してから降りてきた。
「塵除け着て来て良かったわ」
「まさに。あんな道とは、でしたよね。着物はどうですか」
「そう汚れてないわ、大丈夫」
先生は塵除けを脱いで薄手の羽織を着た。
「これでいいかしら」
「うん、行こう」
中に入ってすぐの建物はエントランス。
ラウンジや立礼の席があるようだ。
展示棟を見て歩く。柱がない。
横山大観、下山観山、酒井抱一…。先生が説明してくれたがよくわからん。
しかし10点ほどである。
これは戸隠へ行って正解かな。
ゆっくりと先生に従って見て歩き、エントランスにあるラウンジへ入った。
飯がうまそうだ。
でもまだ食う時間には早い。
どうも長野駅にもあるらしいので帰りはそれにしよう。
信州りんごのテリーヌを頼む。
ハーブティと紅茶をひとつずつ頼もうか、と聞いた。
先生はビールを見て飲みたそうにしている。
「良いですけど飲みすぎないでくださいよ」
 志賀高原IPAを注文した。
しかしテリーヌとビールって合うのかな。
食べたいもの食べたらいいけどさ。
ビールが来て先生はおいしそうに飲む。
「うー俺も飲みたくなった」
「駄目よぉ? 飲酒運転になっちゃう」
テリーヌもハーブティもうまい。
後から来た客は弁当を頼んでいるようで運ばれているものを見ると欲しくなる。
ローストビーフの弁当と白ワインで煮た鳥の弁当だな。
車じゃなければその辺のものを頼んでビールを飲んでいただろうなぁ。
その客も着物を着ている。
意外と着物人口は多いのだろうか。
先生はぺろりと瓶を空けてテリーヌもすべて食べた。
昼の蕎麦、少なめだったのが良かったのだろう。
それから車に乗り込む。
走行中も気持ちの良い森の空気が入ってくる。
先生は途中から反応がなくなった。
うつらうつらとしているようだ。
疲れと満腹と酔いと。
乗り心地のよさがあいまっているようだ。
俺の車よりもいいからなあ。
とはいえ魚の積みやすさと言う利点からああいう車しかない。
まさか二台持ちは無理があるからな。
先生がかすかに立てる寝息を聞きつつ市街地へ戻る。
まずは宅急便を送ろう。
先生が寝ているのをそのままにある程度の荷物をその場で梱包して先生の家へ送る。
それからレンタカーを返しに行った。
「起きてください、先生。つきましたよ」
「ん、うぅん…どこ?」
「車借りたところ」
「あら? もうそんなところなの?」
「良く寝てましたね」
先生は苦笑して身支度を整えている。よだれはたらしてない、大丈夫だ。
荷物をすべて手に持ち、返却の手続きをした。
駅へ向かう。
ほんの少し歩いたら駅だから楽だ。
駅の中で先生はさらに土産を選んでいる。
ビール自体は東京でも買えるよ、と言ったらそれならとほかのものを沢山買い込んだ。
あ、宅急便、駅の中にもあったのか。
土産物もひとつにまとめ、送った。

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535

さて、こっからだと…すぐそこの大通りを駅方向に向かえばホテルだ。
和洋室をとってある。
先生が着物だからだが。
そしてもちろんトイレと風呂は別だ。
「ねぇ、ダブルベッドじゃなくていいの?」
「ダブルの部屋、風呂と便所一緒ですよ」
「それは嫌ね」
「でしょう? ま、致す時ちょっと狭いし、寝る段になれば別の布団は正直嫌ですが」
「やっぱりするのね?」
「しないほうがいいならそれでも」
「そういうつもりで…いったんじゃないわよ…」
ふいっと横を向いた。
「どうしたんだ? 最近」
背中から抱きしめる。
「だって。あなたしたいって最近言わないから。したくないのかしらって…」
「明日の予定がないならば。足腰立たないほどに…したいよ。ああ、やりたい」
熱くなった手を絹の懐に差し込む。
「そんな、に?」
「したいともさ。犯しつくしたい」
耳元でささやくと少し震えている。
「怖いか?」
そっと俺の腕に手を添えて身を預けてきた。
「それでもいいわ…」
暫く胸をもてあそぶ。
「ね、離してちょうだい」
「うん」
おとなしく離してやるのはなぜか。先生が脱ぐからだ。
待っててやらないと着物がえらいことになる。
何度か襲って後で洗いに出す羽目になったのを覚えている。
腰のものひとつになって、それでもためらいがちに外す姿はいつ見ても良い。
うつむきつつも俺に裸体をさらす。
胸と股間に手を添えて。
いつまでたっても恥じらいを忘れないこの女を泣かせてねだらせる。
これほど楽しいことはない。
勿論痛みに泣かせたり、苦しませるのは好きだが。
それは他の女でも楽しめることだ。いつか、でいい。
「手を後ろで組んで。そうだ。良い子だね」
腿をきゅっと引き締めて隠そうとする。
「足も開きなさい」
おずおずと開き、閉じたそうにする。
股間に触れる。
「ぁ、ん…」
すでに濡れている。
後ろに組めといっていた手が俺にしがみついてくる。
暫くもてあそんでいると体重がどんどん掛かって来た。
「ね、もう、お願い…」
「立ってられない? 駄目だよ」
「そんなこといわないで、ねぇ、お願いよ」
「だーめ」
お願いが出来ないようにキスで口をふさぐ。
舌を絡めつつも呻いて、もてあそぶ指を締め付ける。
背がのけぞり少し舌を噛まれた。
逝ったようだ。
蕩けた様な顔で後ろのベッドに腰を下ろした。
「いけない子だ、座って良いとは言ってないだろう?」
「だって…」
「まぁいい。そのまま」
脱ごうとしたら脱がされた、
手が汚れているから、だそうだ。
暫くベッドの上で楽しんでいると携帯のアラーム。
あ、そろそろ飯の時間が近い。
「飯の時間だけどどうする? ここでやめるか?」
「やめないで…」
スピードを上げて逝かせ、先生をシャワーに連れ込んだ。
汗と股間の汚れをとりあえず落とし手早く水滴をふき取ってベッドへ。
「着れますか?」
「頑張るわ…」
手伝ってなんとか着てもらい俺も着る。
直された。
「余裕あるな? もうちょっとしてもよかったかな」
「ないわよ、だめよ」
頬が赤い。
汗で崩れた化粧を直させて少し遅れたが食事へ行くことにした。

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534

数日後、仕事を早めに切り上げて帰宅し、風呂に入る。
すっきりして風呂から上がると既に荷物を持って先生が来ていた。
「早いですね」
「だって遅れたら困るもの。あんたも早く支度しなさいよ」
「はいはい」
ざっと髪をタオルで拭いて着替えた。
「さて、じゃ行きますか」
「乾いてないじゃないの、もう」
なんだかんだいいつつ荷物を担いで駅へ。
グリーン車。なんたって指定席とちょっとしか変わらない料金。
グランクラスはさすがに取れなかった。
それでも新車はいいものだ。
「今度金沢まで乗りたいですね、グランクラスで」
「あら嬉しいわ」
「たしか金沢も茶道人口多いんでしょう?」
「そうよ、よく覚えてたわね」
さっそくながら駅弁を広げる。
「相変わらずお肉ばっかり」
「あなたはやっぱり野菜多いんですね」
「おいしいじゃない」
あ、と先生が手を止める。
「お茶買ってきてくれないかしら。温かいの」
席を立って自販機を探す。…ない。
自販機がない、というと困っている。
「一応、常温の水でよければ持って来てます。あと車内販売回ってくるかと」
渋々、という顔だ。
「すいません、サーチ不足でした」
「仕方ないわねぇ」
俺の水を一口飲んで、駅弁を食べ進める。
「ん、おいしいわぁ」
「こっちもうまいですよ」
食べ終えた頃車内販売が来た。
サンドイッチとお茶とコーヒーを頼む。
「まだ食べる気?」
「勿論」
「ほんと相変わらず良く食べるんだから」
先生のお茶を開封してあげてからサンドイッチに手をつける。うまい。
暫くして先生がトイレに行った。
一人は時間をもてあます。
すぐに戻ってきた先生は俺にトイレに行くように言う。
なんだ?
催してはいないが行って見ると…便座が自動開閉する上にウォッシュレットになっている。
なるほど驚く、これは。
戻って先生と凄いすごいと言っていると後ろの席の人も気になったようで見に行った。
「進化してるのねぇ」
「ですねぇ」
「でももうちょっと広いともっといいのに」
「あー…下手に広くするとそのー、しちゃうやつが」
「なぁに?」
「sex」
あ、黙った。
ベシッと俺の額を叩く。
「バカ、もう。そういう事いわないの」
「したいけどね」
目をそらして窓の外を眺めだした。
かわいいなぁ、こういうところ。
そのうち目をつぶって日差しを楽しんでいるようだ。
綺麗だな。
旅行、久しぶりだ。
ゆっくりと楽しみたくはあるが…。
強行軍かも知れず、また雨に降られれば面倒な事になる。
携帯で天気予報を確認しつつ。
先生のハンカチが手から滑り落ちた。キャッチ。
どうやら寝てしまったようだ。
疲れてるんだろう。
俺も眠いが時計を見るとあと40分ほど。
寝過ごさないかな。
しかし眠気に負けてうつらうつらとしていると揺り起こされた。
「次、降りる駅でしょ」
「んー…? え、もう?」
あわてて降りる支度をする。
駅に着いた。
とりあえず改札を出て時計を見た先生はまだ早くない?という。
「チェックインはあと1時間ありますよ。だから車借りて善光寺行きましょう」
「タクシーでいいじゃない」
まぁそういうなら、と荷物をホテルに預けてタクシーに乗る。
先生は帰りは歩こう、といっている。
みやげ物やらいろんな店が気になるようだ。
運ちゃんが色々と説明してくれる。
もうちょっと時期が早ければ御開帳だったとかで惜しいね、と。
「でも回向柱はあるからね、触っちゃうといいよ」
あ、終わったら護摩にするんだと思ってた。
違うのか。
どうやら歴代の回向柱もあるらしく、自然のまま朽ちさせているそうだ。
「次、御開帳の時に来たいですね」
「それじゃ元気でいなくちゃ」
「余裕でしょう? たかが7年じゃないですか」
「それもそうねー」
タクシーを降りて二人物珍しそうに巡る。
「一度来て見たかったのよねぇ」
「機会なかったんですか?」
「お教室してるでしょ、なかなか休めなくて」
「あー。一人旅は面白くない、と。お友達は?」
「お休みが合わないもの」
俺もあんまり休みはあってないんだが。
先生は何か長いこと願い事をしているようだ。
俺は極く簡単に幸せでいれますように、と願ったが。
「何をお願いしたんです?」
「色々とね。あなたのことも」
「聞きたいな」
「ナイショ」
「夜にね、聞いてあげる」
「ばか…」
照れててかわいい。
手を握ってぶらぶらと参道を歩く。
いろんなものに先生が目移りしてお土産を買っている。
早くもひと荷物になってしまった。
ホテルで発送掛けよう。
門前を外れさすがにお店は少なくなってきた。
「ねぇ、なにか甘いもの食べたいわ」
とはいえ見回しても何かありそうな気配はない。
地元っぽい人に聞いてみる。
左手へ行くとお茶屋さんがあり、そこの抹茶ソフトがお勧めとか。
5分ほど歩く。どこだろうかときょろきょろしつつ。
あ、本当にお茶屋さんだ。
たしかに張り紙もしてある。
先生は気負いもせずにごめんください、と入っていかれた。
抹茶ソフトを頼むとカップか聞かれ、二つ頼んだ。
出てきたのは茶碗?に盛られた抹茶ソフト。色が濃い。
一口食べた先生がおいしいとうれしそうだ。
俺も食べてみる。ん、甘い。
冷えた頃に温かいお茶がまたうまい。
小豆は先生に食べてもらって。
ふと売り場を見ると抹茶チョコなどが並んでいる。
それと東京ではあまり見ない茶園のお茶。
お勧めを聞いて買った。
帰ってから飲んでみよう。
先生は温かいお茶をおいしそうに飲んでいる。
「そろそろ行きましょうか」
「そうね。おいしかったですわ、ごちそうさまです」
お店の人にも先生は愛想を。
そういうところが好きだ。

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7

事後。
息を切らせていたのがどうにか治まり、ふと横を見るとすでに寝息を立てている
そういえば夫もした後はすぐに寝ていたわね。
股間の汚れを拭くが腕や太ももの汗のべたつきが気になる。
そっとシャワーを浴びに立った。
足ががくがくするので静かに、というのは難しいけれど。
暫く浴びてあそこを流しているとしみる。
鏡で覗き込んだら少し切れていた。
彼のものが大きかったからか、激しかったからか、その両方か。
夫よりは大きく、そして気持ちよかった。
意外と丁寧で私が慣れるまで待ってくれる優しさを見せ、思っているより激しく。
よくわからない人だわ。
シャワーを済ませ、部屋に戻るか自室で寝るかと迷う。
あの人が起きるまでに起きればいいわ。
自室へ戻り、布団を整え潜り込んだ。目覚ましをセットする。
すぐに眠りはやってきた。
夢の中でさらに責められていると目覚ましに起こされた。
少しほっとして手早く洗顔をする。
あちこちが痛む。筋肉痛もある。
それでも朝食を作っているとあの人が起きてきた。
「おはよう」
「おはようございます。ご飯もう少しですから」
「ん」
柱にもたれて私の作っているのをじっと見ている。
何か気恥ずかしい。
お味噌汁の支度をする頃には居間へ戻ったよう。
ご飯が炊けて配膳。
いつものように出しているつもりだけどぎこちなくなる。
「どうぞ」
勧めると食べ始められた。
少し首をひねられる。
どうしたのかしら。
私が普通に食べていると微笑まれた。
どきっとする。
「あんた昨日の。疲れただろう。やることねぇなら昼寝していいぜ」
「あっ、はい。ありがとうございます、でも…」
「家事か。適当に手を抜いちまえよ」
そんなわけには、と思うものの筋肉痛は辛くて。ありがたいとも思える。
食後、明日に回せるものは明日に回して洗濯を片付ける。
上に手を伸ばすのが辛い。
見かねたのか手伝ってくださった。
お昼前にひと段落着いてご飯を、と思ったのだけど。
「おい、俺はいいよ。お前もいらねえなら一緒に寝るか?」
あくびをしつつの提案。
私も大しておなかがすいているわけじゃない。
同意して布団を整えに立った。
シーツも昨日の布団も湿っているので客用布団を出す。
そういえばいつの頃かあの人は布団を持ち込んでいてダブルになっている。
この客用布団はセミダブルだけど。
…昼間っからされるのかしら。
からりと後ろのふすまが開いた。
「おい、着替えねえのか?」
「っ、今、着替えます」
あたふたと脱ぎ始めると小便、と言って閉められた。
ほっとして着替える。戻ってくる前に、と急いで。
寝巻き姿になり髪のピンなどをはずし文机にまとめておいた。
「ひゃっ」
後ろから抱きつかれて慌てる。
「良い匂いしてんな。風呂はいったんか」
「あ、はい、夜中に」
「そうか、まぁいいや、寝るぞ」
布団の中に引き寄せられてどきどきしているとすぐに寝息が聞こえてくる。
…何だ、本当に眠かっただけなの。
ほっとするのと何か残念なような気がした。
昨日が気持ちよすぎたのよね。
腕に抱かれているとこらえていた眠気が降りてくる。
おやすみなさい。

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