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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

5

4回ほどお稽古日が過ぎ、いよいよ旅行日だ。
1時間ほど前に駅につき、手配していたお弁当や切符などを受け取る。
待ち合わせ場所に20分前に着き、眠気覚ましに缶コーヒーを飲む。
飲み終わったころ、絹先生が来た。やはり着物姿でお美しいな。
私は荷物の半分以上を宅配便で送っているので身軽だが先生は荷物が多い。
荷物を持って差し上げ、切符を渡し改札を抜け新幹線のホームへ行く。
まだ新幹線はきていないので指定席の乗降口まで行くことにした。
定刻に新幹線が到着した。乗車する。2席+2席、座席が広目のタイプだ。
先生を窓側にして私は通路側に。荷物は棚へ。
早速だがお弁当を広げることにした。
籠弁当は見た目にも美しいので先生も嬉しそうだ。
味は…やはり美味。京都の茶懐石の店の弁当だからハズレはない。
食後、少しく話しているうちに反応がなくなった。
眠くなってしまったようで、まあ一駅前くらいに起こせば良いか。
寝ている先生も写真にとってしまえ(笑)
寝顔を眺めているうちに米原駅に到着した。そろそろ起こそう。
せーんせー、そろそろですよー。
おきたおきた。荷物も下ろして降車の用意をする。
八条口に降り立ち、タクシーで宿へ行く。
チェックインの手続きをして案内された先は、茶室。
ちゃんと露地がある茶室(笑)
先生が驚いている。
茶室の8畳+水屋+6畳+小間だ。露天風呂も実はある。
荷物は届いていた。驚いたままの先生と荷物をなおし、
少し落ち着かれたので宿から会場までタクシーで移動してみることにした。
15分程度と予想しているが、そんなところで着くことがわかり、
余裕を持って30分前という話になった。
当日の朝食については先に宿と話してあり、朝6時半におにぎりを
差し入れてもらうことになっている。
宿に戻ってきて、明日やるだろうことの予習をする。
茶室があるので予習も簡単だ。
夕食の時間になり、食事を取る。部屋食だ。
聞いていた通り美味。少しだけお酒も頂いた。
その後更に予習。その間に机を片付けてもらい布団が敷かれる。
私は水屋の始末をし、先生にお風呂へ先に入っていただくことにした。
目の前で脱がれるというのは理性的になれないものがある。
だったら別の場所にいるほうが良い。
始末が終わり、茶室から外を眺めていると声がかかった。
湯上りの浴衣姿だ。
理性理性理性理性……風呂に入ろう。
風呂から上がると先生がノートをまた見ている。
勉強熱心だなあ。まじめだ。
でも今日はそろそろ寝たほうが良い。そういうと何か言いたそうにこちらを見る。
ん?と思ったら布団が1組だ(笑)
押入れを探るとちゃんともう1組あったので出した。
先生は明らかにホッとしている。
「寝ましょう?」
「そうね」
布団に入りしばらくすると寝息が聞こえてきた。
寝息が聞こえると安心するんだよな。よし寝よう。

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4

帰り道、普段の薄化粧も素敵だけどしっかり化粧をしている先生も綺麗だ、
と褒めると照れていた。寝化粧はするのかな。
お宅に着くと大先生はお客様の様子、早速のご注進が来ている模様。
「絹さんが男とホテルに…」とか聞こえる(笑)
絹先生と顔を見合わせて笑う。部屋をとらなくて良かった。
部屋の外からそっと声を掛ける。
「八重子先生、ただいま戻りました。」
「ああ、おかえり、どうだった?」
「いやぁさすがに諸津さんですね、すごく良かったです。」
お客様にも軽く挨拶したところ、目を白黒されている。
そりゃホテルに連れ込んだ男本人が八重子先生と話しているんだから。
「絹は?」
絹先生は普段着に着替えに行ってしまっている。
お客様はそそくさと帰ってしまった。ああ、誤解を解いてないのにまだ。
打掛けが素敵でしたよ、などと話していたら絹先生戻って来た。早いな。
「ところでホテルって?」
「ああ、お昼の時間だったんでランチを食べに入ったんですよ、
前に行ってうまかったんで。八重子先生も今度一緒に行きますか?」
「おいしかったわよ。山沢さんにおごってもらったのよ」
デートだし。
「そうそう、今度京都で1日講習会があるんだけどね
日程がうちのお稽古日にぶつかるから絹しか行けないけど
あそこは一人だと不安になるからあんたらで行ってこないかい?
山沢さんもそろそろいいだろ?」
いつだか伺うと、うん、仕事には影響はない。しかも連休だ。
「ほかの方はどうなんですか?」
「みんな家庭があるからね、泊りがけは難しいよ。」
絹先生は微妙な顔をしている。多分泊りがけに引っかかってる。
日程をメモる振りして懐紙に"前日にHなことはしません"と書いて見せた。
それで決まったようだ。
書いただけかもしれないのにやはり素直な人だ。
「定宿はありますか?ないなら手配します。」
例のホテルを取れたら良いな。会場までちょっとあるけどタクシー使えば問題ない。
タブレットからささっと調べると空きがあるので手配を掛ける。
夕食はつけてもらおう。食べに出るのは面倒だろう。
朝御飯は…
「講習会は何時からでしょう?」
ゆったり食ってたら間に合わないとか可能性もある。
どうやら朝食は時間が無理そうだ。
初日夕・当日無・出立日朝で手配をかけた。
実はその部屋は茶室付きの和室だ。
茶道具もセッティングされているので気になっていた。
講習の後、実践するにも良い環境だろう。
連休だが、まったく予約が入ってないところを見るとあまり知られてないのだろうか。
「当日ですが宿から会場までのルート確認とかするのなら早めに行きますか?」
3時にチェックインなら昼前に乗れば十分につく。
昼は駅弁かな。新幹線や駅弁の手配なども引き受けた。
茶懐石のあの店のお弁当にしてやろう。駅弁じゃないけど。
あ。
「当日私も着物のほうが良いのでしょうか」
「そのほうが良いね。ああ、この間の着物でどうだい」
男着物で出席ですか、そうですか。家元臨席講習会なのに良いのか。
もういっそお茶は男着物で通してやろうかしらん。
後は待ち合わせ時間や場所など細々と決めて夕方になったので辞去した。

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3

5時半。目が覚めた。良い天気だ。
二度寝を楽しもう。ごろごろ。
7時、朝飯の匂いに耐え切れない(笑)
身支度して台所の先生たちに挨拶をした。
もうそろそろ起こそうと思ってたと言われる。
朝食の後、司ちゃんと律君は大学へ行った。
茶の間で歓談していると八重子先生が男着物を持ってきた。
これに着替えろということだ。
少し長いが、絹先生がうまく着せ付けてくれた。
「似合うわねぇ」
だから男物が似合うといわれても(笑)
「ああ、そうだ。諸津さんとこの展覧会、今日までだろ。
あんたら行ってきたらどうだい?」
「良いですが、この格好だと絹先生が男と二人で歩いてるとか言う
うわさになりませんか?」
「そうかねえ?堂々としてれば噂になんかなんないだろ」
私は別に噂になっても困らないけどな。
「行きましょ、山沢さん」
昨日は外で会おうと言ったら嫌がってたのに展覧会は良いのか。
ちなみに諸津というのはこのあたりでは有名な呉服屋だ。
無理に売りつけたりしないから安心して良いものを見せてもらえる。
9時半、絹先生の支度も整ったので二人で家を出た。
バス停通りを通って会場へ向かう。
平日の昼に外を歩くのは久しぶりだ。良い女が横にいるから尚更嬉しい。
会場についた。
さすがに着物姿の女性が多い。
見たことのある顔も何人か。数名はお茶関係だな、多分。
色々と良いものが出てきて、絹先生の手荷物を預かった。
肩から掛けるのを見ていると、似合う色柄だなあって思うものや、
反物だと良いのに当ててみると今一つのものがある。
意見を求められたが私の好みでは、先ほどの大島が良いと思うといった。
納得した顔をされている。
ということは先生もあれが良かったのか。
価格を聞いて交渉する。
先生は言い値で買うつもりだったようだが、このマルキでこの値は、と
担当に交渉した。手織りじゃないし。
先生はすでに別のエリアに行ってしまったことだし。
折角男に見えるんだ。強気で行こう。
うまくいって、この着物に合う正絹・国産の帯揚・帯締を3種つけてもらう。
先生はといえばすでに決まったので後は楽しむモードのようだ。
打掛を見てうっとりされている。
「こういうもの、着たいですか?」
「やぁねぇ、今更よぉ」
お昼を過ぎ、そろそろ出て食事をどこかでという話になる。
そういや前食ってうまかったとこのホテルがこの辺だ。
昨日の飯のお礼におごるということで連れて行った。
和食のランチだ。ここはランチでも懐石を出せる。もちろん懐石を頼んだ。
好きな女と美味しい飯。
気分はすっかりデートだ。八重子先生お墨付きの堂々デート。
もうこのまま部屋を取ってしまいたい気分だ。
ま、さすがにこの状況でやると噂が怖い。
何もない実績を積み重ねれば、簡単に外で会えるかもしれないしな。
さすがにお茶の先生だ、食べ方が美しい。私も見習わねば。
食事も終わり、先生が化粧直しに立たれている間に清算を済ます。
二人で2万いかないからランチは気軽だ。
そういえば今日は普段されてない口紅してて綺麗だったなー。
お茶のとき口紅されないもんなー。
カップについた口紅拭う動作すら綺麗だと思った。
マナー的にはNGだけど、癖で拭ってしまうのはわかる。
私もやってしまうことがある。
まぁ、拭うのは男性に対して云々という裏の意味をご存知ではあるまい。
戻ってこられたので席を立つ。レストランを出て、
「帰りますか?それとも部屋、取りましょうか」
というとバッグで殴られた(笑)

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2

-大先生-
「ただいま」
(おや、なんで男物の草履があるんだろうね?)
台所に声がする。
絹と男の人が何か話しているようだ。
「痛っ」
焦ったあまり先生が指を切った。
つい覗き込んでしまう。
そこへ…
「絹!あんた何してんだい!」
おおっと大先生だ。吃驚した。腕をとられて引っ叩かれた。
「人がいないと思って男を引っ張り込んで何をしてるんだい!」
あ、男ね、格好で判断してるね、これは。
「お母さん、やめて!違うの」
違うとも言い切れないけどね、昨日やっちゃったし。
大先生は私を生徒の一人だということにまだ気づいてない。
結構服装が違うってイメージ変わるしね。
「お母さん!山沢さんよ!お茶の生徒さんの、ほら!」
その説明だと男を引っ張り込んで、のイメージから抜けれないと思いまーす。
私はおもむろに大先生の手をとりわが懐へ。
「八重子せんせー、女の生徒の山沢ですよー」
生乳を触らせ、あえてのんびりした声を作る。
大先生はぎょっとしている。
と思ったら先生もぎょっとしている。
「山沢さん…?え、あのいつもワイシャツにスラックスで来る山沢さん?」
そーですよー。
「なんでそんな格好してるんだい、間違えちまったよ」
まちがうよねー。
「昨日の所用の都合で、その足でこちらに来たものですから」
泊まるとは思ってなかったけどね。
叩いたことをわびられ、朝食の用意を続ける。
「あれ?そういえば旅行って聞いたんですけどお戻りが早いですね」
「9時から用があってね、だから早く帰ってきたんだよ」
なるほろ。
もうちょっと寝過ごしてたらヤバかったな、これは。
「絹、あんた酒臭いよ」
そりゃま、ほぼ5合くらい一人で飲んでたもんね。
朝御飯を頂いたあと、私は茶の間でお茶を頂いていると、
先生が着替えてこられた。
今日は濃藍の浴衣。いい女だなあ。
大先生も用を済まされ戻ってこられた。
「昨日山沢さんがお土産にって生菓子とお酒を頂いたの。
それでちょっと飲んじゃって」
「私が奨め過ぎてしまって飲みすごされたんですよ。
 伏見の酒は気づかないうちに飲みすぎるんですよね。
 うっかりしてました。すいません。
 時間も遅かったので泊めていただきました。」
納得されたようだ。
しばし談笑。
明後日のお稽古にまた参ることを約束し、羽織を着て整える。
先生がほぅっと息をつかれる。
「良い男振りだねぇ」
と大先生に言われて送り出された。
翌々日昼。火曜日。
「こんちはー」
「こんにちわー」
お昼組のお稽古に集まる。
「八重子先生、絹先生、今日は。お稽古お願いします」
みなで声をそろえ、挨拶。
今日は貴人清次のお稽古だそうだ。
結構難しく、正客や次客、東や半東など覚えることがいっぱいある。
3時間はあっという間に過ぎる。
隅で見取りをしていると、大先生に残れるか聞かれた。
水屋当番に当たってた人がお休みらしい。
お稽古終了したので、皆でお稽古ありがとうございましたと挨拶し、
一人居残り水屋仕舞いを手伝う。
先生と喋りながら釜や炭の始末をする。
昨日のお八つに土産の上生菓子を食べたそうでおいしかったそうだ。
二日酔いはそんなでもなかったとか。
ふと手と手が触れた。
気づけば大先生は晩御飯の支度に行かれたので水屋に二人だ。
「絹、電話だよ」
うわぁっ!びびった!
代わりに水屋仕舞の手伝いを大先生がしてくださる。
「山沢さん、あんた今日も着物着てきたらよかったのに。」
「いやぁ、暑くて。ついついこの格好できてしまいますね」
「昨日の着物、よく似合ってたよ」
男装が似合うといわれても微妙なものはある。
後始末も終わったので、辞去しようとすると晩飯に誘われた。
一度お断りしたが更にすすめられたので頂く事にした。
「お母さん、司ちゃんも泊まるんですって」
司ちゃん来てるのか。…も、ってなんだ。ほかにも誰かいるのか。
「山沢さんもたしか明日休みだろ?泊まっていきな」
私か!
司ちゃんや律君、旦那さんたちと共に晩御飯を頂いた後、
先日の酒をみんなで飲むことに。
八重子先生も少し飲んでおいしいといっている。
今日は絹先生もたしなむ程度しか飲んでおられない。
旦那さんは私を見てニヤっと笑った。
バレているのか…。
司ちゃんと律君、旦那さんが寝てしまって散会、泊まる部屋に案内してもらう。
先日と同じ奥の部屋だ。
先生を見るとやや頬を染めている。
引き寄せて抱きとめると少し抵抗された。
「だめよ、お母さんも司ちゃんもいるのよ…
一昨日のことは間違いってことにして…ね?」
「酒の上での過ち、ですか」
「お願い…そういうことにして…」
だがキスして胸を揉んでやった。ひどいな私。
抵抗しているので今日のところは我慢しておこう。
「今度外で会えませんか?」
先生は、だめ、とかなんか呟いてるが、益々ヤりたくなってしまう。
くぅー可愛い!くそう!
「じゃないと今ここでしますよ?」
脅してみちゃおう。
真っ赤になってる。うん、楽しい。
ついに諦めたようだ。
解放してあげたら顔を赤らめたまま戻られた。
さて、今度はいつあるのだろうなぁ…。

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1

「こんばんわ」
先生のお宅の玄関を開け、声をかける。
今日は土曜日。稽古日だったが、所用で間に合わずすでに
終了時刻より1時間ほどたっていた。
飯時も済んでいるはずだ。
「はい」
先生がおられた。
「あらぁ?あらー、どうしたの?男振りが良いわねぇ、その格好」
そう、本日は着流しに絽羽織である。男の。
先生は浴衣だ。お稽古も終わったから早々に着替えられたのかな。
「いやぁ、本日稽古に来られなかった所用の都合でこのような格好でして。
それで、これ、そのお土産といいますか。お持ちしました。」
京生菓子と伏見の酒である。一升ずつ違う酒にした。
「どうぞ上がって?」
いつもの小上がりではなく奥の部屋に通された。
妙に静かだ。
「あら、良いお酒ねぇ。
ね、山沢さん、この後用事ある?なければお持たせだけど少しどう?」
余裕。超暇。明日は休みだし酒飲んで寝るだけの予定。
「今日はうちのみんな旅行行っちゃっていないの。
 一人だと時間が過ぎなくて…。」
そういうことか。珍しい。
「ちょっと待っててね」
先生がお盆に冷酒器と杯とアテ、燗鍋を持ってきた。
「燗鍋ですか?朱盃?」
「あまり飲む人がいないからこんなのしかないのよ。」
でも茶事用の朱盃ではないんだな。
「あの朱盃飲みにくいでしょう?お茶事にはあの方が余り飲まされなくて良いのだけど」
茶事のは浅くて両手で持たないとこぼれるんだよな。
そして熾っている炭を持ってきて火鉢につぎ、酒を入れた燗鍋を火鉢に乗せる。
夏の火鉢の利用法のひとつ。
普通一般の人には夏の炭火とかなんで熾きてんだよ、と思うだろうが
お茶のお稽古の後だ。
お稽古で使った炭がまだ熾きてたのだろう。
冷酒器はガラス製の氷を入れて使うタイプ、2合くらい入りそうだ。
外が暑いからこれは涼しげ良い。
まずは冷酒で一献。
「あら、さすがに京酒ねえ、甘いわぁ」
そして飲みすぎるんだよな。
ついついとおかわりを奨めて冷酒器が空になった。
燗もついたので杯を奨めてつぐ。
「燗にしてもおいしいわね。」
先生、実はいける口か。
燗鍋が軽くなってきたので瓶から継ぎ足す。
なんだかんだすでに二人で5合は飲んでいるが実は私はあまり飲んでいない。
自力で帰らにゃならんからね。飲みすぎてはいかん。
先生がお手水に、というがふらついている。
手を引いてお連れする。
「やだわぁ、恥ずかしい。飲みすぎちゃった」
何度か燗鍋に継ぎ足しているのだが…瓶の感じだと7合は飲んでいるか。
私に寄りかかって部屋へ戻った。
「まぁまぁ、もう少し」と酒を注いだ。
座ったけど軽く寄りかかったままである。
なんとなく肩を抱いたがあらがう様子もない。
火鉢の火も落ちたようだ。
盆などを除けて押し倒したが、先生はぼんやりとしている。
男着物だから旦那さんと間違えてるのかもしれない。
そして、先生の体を頂いた。
浴衣の下の熟れた体は…ごちそうさまでした。
押入れに布団があったので敷布団を敷き、裸にした先生を転がした。
上掛けはタオルケットか肌掛けがあるかと思ったが冬布団だったのでやめておき、
私の長着をかけておいた。
もはや深更、このまま泊まっちまうしかない。
縁側に出て煙管で一服付け、手水に行って先生の隣へもぐりこむ。
目が覚めた。八つ半頃か。
手水に立ち、戻って少し燗酒の残りを飲む。
私の着物を素肌にまとって寝ている先生を眺めつつ。
「うぅん…」
目が覚めたか?
何で裸なんだろう、みたいな顔をしている。
彷徨った視線が酒を片胡坐で飲む私にぶつかる。
長着と私を交互に見て何があったのか気づかれたようだ。
ちなみに私は今、総柄の長襦袢姿である。
先生は青ざめたり、赤くなったりされている(笑)
私の着物で胸を隠すようにしているその素肌の背中に手を触れ、
起きたことは仕方がないですよ、もう少し寝ては、と声を掛ける。
諦めがついたのか、寝巻きがわりに昼の浴衣を羽織られた。
「ねぇ、山沢さん…」
はい?
「今日の事、お母さんには言わないで、お願い」
いや言ったら俺がヤバいでしょそれ。
言いませんよ、と答えると安心したようで布団に戻られた。
「旦那さんと間違えたんでしょう?
ああ、でも私チンコないから指しか入れてませんよ」
あ、真っ赤になった。
「やだ、もう」
あちらを向いてしまわれた。
私も横に転がり、先生の腕に軽く触れる。
少し身じろぎされたが、しばらくして寝息が聞こえ出した。
私も眠った。
朝、目が覚めたが先生はまだ寝ている。
寝過ごしたようだ。7時半か。
顔を洗って手水を済まし、部屋に戻った。
先生も目が覚められて、寝過ごしたことに気づかれた。
先生の身づくろいの間に私は長着をまとい、布団を上げる。
そして昨日使った酒器などを持ち台所に向かう。
しばらくして台所に先生が来られた。昨夜の浴衣をキリっと着ている。
指示を受けて酒器を片付け、朝食の用意を手伝った。

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