ご飯を食べた後、お掃除の続きをしていると子宮・乳がん検診のおしらせを見つけた。
そういえば行った事ないわねえ。
山沢さんはどうかしら、行ったことあるのかしら。
よく読んでみると乳がんは40歳から。
来たときに聞いてみようかしらね。
おかあさんがそれをみた。
「山沢さんは中央区だから無料にならないんじゃないかねえ?」
「あらそう?年明けに保健所に聞いてみましょうか。
きっと一人じゃ行きにくいでしょうし」
「女装させないと駄目じゃないかい?」
「やだ、お母さんったら。女装って。多分凄く嫌がるわよ?」
「面白いじゃないの、それも」
「そういえば今年も環姉さんは帰ってこないのかしらね」
「仕事みたいだねえ、あの子は。いい加減結婚すればいいのに」
「あら、雪」
「寒いと思ったら降ってきたねえ」
「先週も雪だったわねえ」
ぼんやりと雪を眺めているとお母さんに毛布について聞かれた。
「あ、そうね、山沢さんのお部屋に要るわね」
「ん?お正月はしないのかい?」
「お母さん!皆居るんだからできるわけないでしょ」
「それもそうだけどちょっと可哀想だねえ、山沢さん」
お母さんは最近山沢さんとのことをからかったりする。
最初の頃は見られて叱られてたのに。
「開兄さんは知ってるからいいけど…律に見られたらどうするのよ」
「まあねえ」
「山沢さんが三が日は我慢するって言ってくれたの」
「それじゃ明けは山沢さんち泊まってきなさい。その方がいいよ」
「ん…そうね、そうするわ」
お母さんが私の携帯をちょっと触って、この状態でメールを打って送りなさいという。
ぽちぽちと本文を入れて送るといつもより少し時間がかかった。
なんだったのかしら。
「クリスマス、残念だったね」
「仕方ないわよ。お仕事だもの」
「ディナーショーの券が回ってきたら誘いたいって言ってたけどね」
「あらー、残念ねえ、それは」
文箱から古いものを纏めて、不要なものを除けて。
もう一度不要なものに目を通して、捨てて行く。
山沢さんからの去年の年賀状が出てきた。
印刷。両面ともにパソコンかしらね。
文面も今見ると苦労の跡が伺える。