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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

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544

「そうだ、ちょっといいですか?」
お稽古のあと、久さんに呼び止められた。
どうしたのかしら。

「わかめ酒して欲しいな」
人の来ない部屋でささやかれた。
「お酒にわかめを入れるの?」

久さんがおなかを抱えて笑いだした。
「どうしたの? 何か変なこと言ったかしら」

突然抱き締められて頭を撫でられた。
「なぁに? ねぇどうしたのよ」
「うん、うん、そうだよな。わかんないよな」
一人納得していて私はちょっと不機嫌になった。
それを見て久さんは嬉しそうにキスをする。

「わかめ酒ってのは下の毛をわかめに見立てて股間に酒を注ぐことですよ」
理解ができると急に恥ずかしくなった。
「お酒の中に毛が揺らぐのがね、わかめみたいでしょう」
「…ばか、そんなのしないわ」
「してほしいなぁ。美味しくいただくからさ」
照れているうちに玄関から訪う声。
久さんが身を離して対応に出てくれた。
どうしよう。
してあげる? やっぱり断る?

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543

暫く平穏な日々が続いたある日の午後。
お宅を訪ねると八重子先生がお稽古をつけていた。
「あら、いらっしゃい」
「こんにちは。絹先生は今日はいらっしゃらないんですか?」
「支部のお稽古よ。あらあんた聞いてなかったの?」
また言い忘れてたようだ。
まぁどうせいてもいなくても手伝うことには変わりないのだが。
手を洗って支度をする。
八重子先生がお昼を食べている間に水屋の用意。
立ち座りはさすがに大変らしく八重子先生がしたにしてはそう整っていなかった。
少し時間があるので自習する。
カタン、と音がした。
「わぁ山沢さんのお稽古してるところ初めて見た。格好良い…」
「それはありがとう。今日は大学はどうしたの?」
「休み。うちだと潮がうるさいからこっちでレポートしようと思って」
「晶ちゃんもお稽古したら良いのに」
「うーん…」
自習を終える頃生徒さんが来はじめ、晶ちゃんは退散した。
八重子先生も席についてお稽古が始まる。
俺が来る日は皆さん初心者に毛の生えたもの、だそうで。
朗らかに和やかにお稽古がすすむ。
少し井戸端会議のようになることすらある。
俺は苦手だが。
先生方は教室運営上避けては通れない。
うんざりしていても笑顔。先生は俺と二人の時に愚痴を言う。

生徒さん達が帰ったら最後に俺のお稽古。
「絹がもうすぐ帰るからそれまでしようかね」
そんなことを言っていたが七時になっても帰らない。
電話が鳴った。
誰かが出てくれたようですぐに鳴りやむ。
茶杓を清めていると律君がやってきた。
「おばあちゃん。お母さんから電話。遅くなるから先に食べててって」
「あらあら。まぁ。何時くらいになるって?」
「十時過ぎるかもって言ってたけど」
「随分遅いな」
「どうしたんだろうねえ」
「カラオケみたいだったよ」
「あー…たまにはしょうがないですよね」
八重子先生に同意を求める。
うんうん、と頷いてお稽古を終え、道具をお片付け。
「夕食どうします?」
「出前でも取ろうと思ってたんだけどどうかねえ」
「そうしますか」
律君と晶ちゃんにも要望を聞いて注文した。
水屋もしまい終えた頃、出前が届いて食事をとる。
風呂に入ったり繕い物をしたり。
晶ちゃんは帰り、八重子先生は疲れからか早々に寝た。
孝弘さんは離れで夜食を食べている。
律君はまだ起きているようだ。勉強だ、きっと。
先生はきっと帰ってきたらすぐ寝るだろうと思い、部屋に布団を敷いておいた。
茶道具の本が棚に有ったので眺めつつ待つ。
時計が十時を知らせた。
そろそろ帰ってくるだろうか。
水屋の本や花月の本を読んで気がつくと十一時前。遅いな。
だが機嫌よく飲んでるときに帰りを待つメールは気を削がれるか。
もう少し待とう。

結局先生は十二時前に帰ってきた。
酒の臭いが濃い。
着替えさせて後始末を引き受け、布団にさっさと寝かせた。
「悪いわねぇ~」
髪のピンを外してやる。
着物を片付け鞄の物を整理し、化粧をとってやった。
気持ち良さげに寝息をたてている。
俺も横に潜り込む。
寝ているのにするりと俺にくっついてきた。
可愛いな。
そのまま寝ていると夜半、股間を触られている気がして目を覚ました。
寝息は聞こえるままだ。
また先生が無意識に触っているらしい。
残念ながら今晩は抱いてないからパッサパサなのである。
擦られると少し痛いんだよなぁ。
手をどけて寝直した。
が、再三、四起こされてしまったのであった。
翌朝は三人して寝過ごし律君を慌てて送り出した。
やれやれとばかり掃除や洗濯をする。
先生は全く使い物にならない。
俺もやることやったら昼寝していいとのことだ。
昼寝するためにまずは買い出しや晩飯の下ごしらえ等を済ます。
それから先生の横に潜り込んだ。願わくば昨晩と同じ理由で起こされないことを。
たっぷりとよく寝て良い匂いに目を覚ます。
先生は布団にいない。
晩飯のようだ。
台所へ向かうと先生に謝られた。
「昨日はごめんなさい、待っててくれたんでしょ」
「構いませんよ、楽しかったですか?」
うん、と嬉しそうにしている。
「あのね、来週の連休。土曜日の昼からあなたの家にいくわ。いい?」
「いいんですか? お稽古は」
「普通のお家は三連休でしょ、生徒さんお休みなのよ」
なるほど。
あれ、でもそのあたりって先生は生理じゃないだろうか。
出来ないことは念頭に置いておかねばならんなぁ。

それから夕飯を食って風呂を使ってから帰宅した。

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542

帰りの電車の中、どうしてこうなったのかしら、と悩んで。
何がそんなに久さんを苛立たせたのだろう。
思い起こしていく内に、買い物から呼び戻した時には目が笑ってなかった。
そんなことに気づいた。
何か食べたいものがあったのかしら。
そんなことくらいでは怒らないわよね。
悩んでいるうちに駅についてバスに乗り替えて帰宅した。
「ただいまぁ」
「あら早かったね、泊まらなかったの?」
「ちょっと久さんの機嫌が悪くて」
「あらあらあら。またなんかあんたしたのかい?」
それが良くわからなくて困ってるのよね。
とりあえずは着替えて、着物の汚れを確かめる。
軽く手入れをして居間に戻った。
「あら? 律は?」
「友達のうちに泊まってくるって言ってたよ」
「そう…」
落ち着いたら眠くなって、早い時間だけど寝てしまうことにした。
久さんのことは明日、考える事にしましょ。
何か思い出すかも。
布団を敷いてひやりとした中に身を横たえる。
休みの前に久さんがいないのは珍しく、何か寂しい。
眠いのになかなか眠れず、それでもいつしか寝たようで朝が来た。
ぼんやりした頭のまま朝食の支度をする。
三人で食べて片付けて。
郵便物を見て思い出した。一昨日何か渡されたんだったわ。
あれどこやったかしら。
バスの時間が来てたから胸元に入れてそのあと…あ。
久さんのうちで脱ぎ捨てたから…。
一応昨日の鞄の中を探ってみると入っていた。
中を読む。
段々と頭が冴えてくる。
久さんが中を見たのだとしたら怒るわよね。これは。
「どうしたの、あんた。顔色悪いよ」
「あ、お母さん。あのね。これ。もしかしたら久さんが読んだかもしれなくて」
「どれどれ」
老眼鏡を取り出してざっくりと読む。
「こりゃあ怒るだろうね。読んだか聞いてみたら?」
「薮蛇だったらどうするのよ」
「お断りするんだから堂々と言えばいいんだよ」
まさかこんなのだったなんて。わかってたらその場でお断りしたのに。
ちょっと悩んで携帯を手にした。
電話、あ、まだ仕事中ね。
メールを打つ。
暫くして返事が帰ってきた。
あとであちらの部屋で話をしたいと。
少し怖くなったけれどあの部屋は道具はないから…。
お昼御飯はどうするのかしら。
食べてからいくと返事があった。
それまで落ち着かない気分のまま、庭掃除や洗濯物などをして過ごした。
お昼を食べてしばらくした頃、電話が鳴る。
久さんから。そろそろつくからと。
お母さんに言ってあちらへ移動した。
すでに鍵があいている。ためらってドアを開けた。
「いらっしゃい」
「あの、久さん。メールのこと…」
「とりあえず中にどうぞ。座って」
恐る恐る従う。
ん、とお茶を入れてくれた。
「あの。手紙のこと。読んじゃった?」
「読んだ。どうする気でいるのかな。後妻におさまる?」
「そんなわけないわ」
「その場で突っ返せよそんなもん」
「違うの、聞いて」
「何をさ」
「今朝になって中を読んだのよ」
「開封してあった」
「それはバスの時間が来て」
「バスん中で読んだんだろ」
「読んでないのよ、さっきなの。ほんとよ」
「どうせ俺は資産家でも男でもない。そいつの方がいいんだろ」
「あなたの方がいいのに決まってるじゃない。なんでそんなこと言うのよ」
ぷいっと背中を向けてしまった。
後ろから抱き締める。
「手紙、今日お断りの返事を書いて速達にするわ。私はあなたが好きなの」
本当に? と久さんが念を押してくる。
「あんなことをするのにそれでもか?」
「…してくれないのが一番なのだけど。好きよ」
じゃなかったらとっくに、そうね、紹介状でも書いてよその先生に渡してるわね。
現金収入が減るのは痛手だけどもきっとそうしてる。
「わかった。でもな」
「なぁに?」
「来る前は電話入れてくれ。それとハンガー使え」
あっ。勝手に行ったことと脱ぎ散らしてたのもいけなかったみたい。
「ご、ごめんなさい。つい」
「いや。おれも口で言えばよかったな。すまない」
ついつい最近は気を抜いていて何をしてもいい、そんな風に思っていたみたい。
親しき仲にも礼儀あり、だったわ。
久さんはあまり内心を言わないからやりすぎるのよね。
そっとキスをして。
気が緩んだとたん眠くなってきた。
「眠いのか?」
「昨日眠れなかったの」
「昼寝すればいい。俺も今日はこの後行くところがあるから」
「どこ行くの?」
「作業着屋。仕事着の補充にね」
じゃついていっても仕方ないわね。
「夕方、拾いに来るから飯食いにいこう」
「いいの?」
「このへんのうまい店、連れてってくれよ」
「わかったわ、待ってる」
「待たなくていいよ、寝てろ」
「はい」
頭を撫でられて、それじゃまた後でと久さんが出ていった。
お母さんに電話をして昼寝して夕飯を食べにいくと告げ、着物を脱いだ。
寝巻きに着替えてベッドへ潜る。
ここへ一人で寝るのは珍しいこと。
と思いながらもあっという間に睡魔に飲み込まれた。

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541

ある日の夕方、他出より戻れば電気がついている。
消し忘れたかと戸を開けると草履が揃えて脱いであった。
どうやら先生が来ているらしい。
だが気配がない。
不審に思って寝室に入れば寝息をたてていた。
待つのが暇で寝てしまったと見える。
着物がその辺りに脱ぎ散らしてあるのはどうしたのだろう。
とりあえず和室のハンガーにかけに行き、落ちていた紐なども片付けた。
よく寝ている。
俺は腹が減ったんだが、一人食うわけにもいかない。
何か作ろうという気分ではなかったのだが仕方がない。
まずは買い物、と家を出た。
スーパーで何を作ろうかと品物を見ていると電話があった。
「久さん、どこ?」
「あ、起きましたか。何か作ろうと思って買い物へ」
「どこか食べにつれてって欲しいわ」
「はいはい、じゃ帰ります」
甘いものだけ買って戻ると先生はすでに着替えていた。
「おかえりなさい」
「ただいま、どうしたんです。お稽古は。今日お花の日でしょう?」
「私はあれよ、出稽古」
「あぁたまに行ってる支部とか本部の?」
「そう、それでこっちに来たんだけど疲れちゃって」
なるほどね、それで俺と飯を食いにいこうってことか。
「なに食べたいんですか?」
「ステーキか天ぷら」
「了解」
いつものホテルに電話をする。
天ぷらは満席。ステーキなら空いている。
30分後にということで着替えて支度する。先生は化粧を直し、トイレに行った。
連れだって食いに行く。
鉄板焼のコース料理は旨く、先生は軽く飲んでいる。
ほのかに頬が染まるのがなんとも良い。
「あぁおなかいっぱい」
といいつつデザートを食べて、連れ帰る。
部屋に入って先生が脱ぎ始める。
「なんで脱ぐんだ。帰るんだろう?」
「あら、泊めてくれないの?」
「明日お稽古でしょう」
「言わなかったかしら、明日おやすみよ」
「聞いてない」
「お母さんにもこっち寄るの言ってあるから問題ないわ」
「今晩も明日の夜もしちゃいますよ」
「疲れないくらいがいいわ」
「一月くらい立てないようなのしちゃおうか」
「そんなの困るわよ」
リビングでじゃれながら、先生がみたいというテレビを見る。
ゆっくりと胸を揉んだりして先生が濡れた頃、道具を取り出す。
そろりと陰部に当てがう。
「きゃっ、なに、なによ」
「気持ち良い?」
ローターで狙い撃ちである。
すぐに先生は逝った。
「ば、か…何するのよ…」
「たまには違った道具も良いかと思ってね」
「そんなのいらない…」
「これをね、テープで固定して。外を歩こうか」
あ、耳まで赤くなった。想像したらしい。
「やだ、そんなの無理よ…」
「歩けるかな、あなた」
首を振る。
「ディルドも入れて固定しようね。着物だと見えないから大丈夫」
「何を…言ってるの…そんな。できるわけないでしょ」
ディルドを押し当てる。
細身のそれがぬるりと入る感覚に先生は身をよじった。
俺の下帯を使って固定する。
「ほら、立って」
肩の下に手を入れて無理矢理立たせた。
浴衣を整えてやる。
「鏡、見てごらん」
特に凹凸が見えるわけでもなく、収まっている。
顔が赤い以外は常のように。
手を拭いて用意してあった俺の着物を着せる。
嫌々をするが身じろぐと異物感があるらしく呻き声をあげた。
帯は矢の字に。
手を引いて部屋を歩かせる。
玄関に近づくとへたりこんだ。
「あ、うっ、外は勘弁して、お願い、お願いよ」
俺は楽しげに笑い、また立たせた。
たぶん座り込んだときに押し込むことになったのだろう。
「わかってるよ、さすがにこのまま出たりしない」
そうだな、するなら先生の家の裏山が良いだろう。人目につかない。
「どうしてこんな、酷いことするのよ」
「わからない?」
こくり、とうなづく。
「わかるまで今日は抱いてあげる」
ひっと軽く息を飲んでいる。
玄関先ですべて脱がせた。
下帯は先生のもので汚れている。
「足を開きなさい」
それを外してゆっくりディルドを抜くと白く汚れている。
先生に見せつけ、舐めさせた。
「細いだろう。もっと太いのがあなたは良いよね」
おいで、と納戸に連れて入る。
「どれを入れたい?」
先生は首を振って見ようともしない。
「言わないならこれだよ?」
先生のあそこには大きすぎるブツを示すと渋々ながら指をさした。
その指し示すのは、いつも使ってるペニバン。
ふふ、と笑って装着しその場で犯した。
手の届くところに、目に触れるものすべてがその手の道具。
そんな場所で犯されるのは先生には辛かったようだ。
ずいぶん泣かせた後、抱えあげてベッドに入れるとほっとした表情になった。
「なに落ち着いてるんだ? 次はこっちだ」
尻の穴にペニバンの先を押し付ける。
かちかちと先生の歯が鳴った。
ぐりぐりとやると本当に押し込まれるのだと思って悲鳴をあげた。
それから何やら言葉にならないなにかを言って泣き出した。
泣かれるのは面白くない。
口を塞ぐことにした。
ペニバンを外してからキスをする。
落ち着かせるべくゆっくり頭を撫でて。
恐慌状態の先生はしばらくは抵抗していたけれど半時ほどで落ち着いた。
それからは恋人同士のセックスと言おうか、ゆったりとした愛撫。
気持ち良く逝かせるとすぐに先生は寝てしまった。
俺は後片付け。
脱ぎ捨てた着物や使ったディルド、ペニバン。
仕舞い終えてから身支度を整え、出勤した。
久しぶりの完徹につかれつつも仕事に勤しみ帰宅した。
先生はまだ寝ている。
俺もその横に入って寝た。
昼をすんだ頃先生に揺り起こされる。
トイレへ行きたいそうだ。
連れていき用を足すのを眺める。
ぼんやりした頭で先生の恥じらう顔を見ているうち、臭いで気づいた。
「あ、すまん」
トイレを出てやる。大きい方だったようだ。
しばらくして先生が呼ぶ。
ベッドへ戻した。
腹が減る。
寿司で良いというので寿司を頼んでぼんやりと先生の腹に頭をおいて待った。
先生の腹も鳴っている。
届くまでに気がつく。何か着せないといけない。
昨日の寝巻きは汚したから別の寝巻きを先生にまとわせる。
白い乳房にいくつもキスマークがあることに気づく。
先生が慌てて胸をしまった。
かわいい。
座椅子を出してこよう。
段々と目が覚めてきて昼を食う用意をする。
先生を座椅子に座らせて膝掛けを渡すとチャイムがなった。
寿司桶を受けとり、机に置く。
いただきます。
おいしい、と先生が嬉しそうに食べている。
そして食べ終わったら先生とまたベッドへ戻った。
食後の眠気にまどろむ。
夕方まで寝てさすがに目が覚めた。
寝ている先生のあそこをいじる。
徐々に滑りを増す中に侵入させるとさすがに目が覚めたようだ。
止めたところで止まらないことは知ってる先生はそのまま最後までさせてくれた。
終わった後窓を開ける。
匂いと熱気がこもっているから。
暫くして落ち着いた先生は風呂に入ると部屋を出た。
先生と交代に俺も入り一服する。
腹がへった。
スパゲティを希望する先生と食いに出る。
先生はほうれん草のクリームパスタ、俺は白味噌のハンバーグパスタ。
食後、先生が帰るというので駅まで送った。
このまま夜もうちというのは疲れすぎて無理なようだ。
帰りたくはないけれど、といいつつ稽古に支障が出るからと帰っていった。

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540

背後で先生と律君がなにやら喋っているのを聞きつつ、隣の部屋に敷布団を敷いた。
その上に防水シートを敷き、バスタオルやタオルを置く。
かなり大きめなのでシートの外にこぼす事だけはない。
湯を貰って来てオイルを温める。
その間に吸水シートを乗せ、固定した。
そろそろ良かろう。
「先生、これますか?」
首を振る。
「先、トイレ済ませましょう。失礼」
抱えあげて連れて行く事に律君はもう見慣れたようだ。
戻ってきて浴衣を脱がせ、湯文字も取らせた。
紙パンツは穿かせたが恥ずかしそうにしている。
伏せさせて温めたオイルをたっぷりと掛け、ゆっくりとほぐして行く。
触れていない場所にバスタオルを掛け、冷えないようにしつつ。
最初はくすぐったそうに、それからだんだんと気持ちよさそうな顔になってきた。
お尻を揉むのにパンツをずらすのはさすがに恥ずかしそうだったけど。
律君は途中で目のやり場がないのか部屋に逃げてしまった。
仰向けになってもらって丹念に解す。
乳首や、股間は触らないように。
とはいえ鼠蹊部はリンパがあるのでどうしても手が当たるのだが。
少し色気のある顔でこちらを見るのは欲情してしまったのだろうな。
「あら、あんたたちさっきお風呂入ってなかったっけ?」
「八重子先生。ええ、うっかりしてました。夜にもう一度と思ってます」
「あっそういえばそうよね。せっかく入ったのに」
会話をしつつ丁寧に。
足の指の間まで。くすぐったそうだ。
最後に全体的に流して終わり。
「あぁ気持ちよかった」
ある程度ホットタオルを使って拭き取り、持って来た服を着せた。
浴衣着ると洗うのが大変だからね。
靴下を履かせると何か微妙という顔をした。
居間に追いやって後始末をする。
オイルのついたものは基本廃棄、さっさと仕分けして片付けた。
「あんた眠いなら部屋で寝なさい」
振り返れば先生が舟を漕いでいる。
使っていないバスタオルをもって先生のお部屋へ行く。
敷いてある布団にバスタオルをさらに敷いた。枕の上も覆うように。
ふらっと先生が来て布団にもぐり込む。
「おやすみなさい」
「うん」
すぐに寝息になった。
かわいいなぁ。
しばし見とれてから部屋を出た。
戻って片付けて、それから八重子先生に引き止められるまま夕食をいただいた。
やっと先生が起きて来て、風呂に入れるとの約束通り洗うことに。
膝をまたがらせて座らせた。
「お昼みたいなこと、しないでちょうだいね。律もいるんだから」
「わかってるよ」
今回は軽くオイルを取る程度にする。
冬なら洗う必要はないけれど、これから夏へ向かうだけに洗わねばならん。
汗をかくことが多い先生はあまり残すのは好ましくないようだ。
キスをしたくなって唇を合わせる。
「こら、だめよ」
「連れて帰りたくなっちゃうな」
「明日もお稽古なんだからだめよ」
「じゃあ明日の晩を楽しみに。ねぇ、気づいてますか、俺の膝に押し当ててるの」
「言わないでちょうだい、恥ずかしくなるじゃないの」
恥ずかしがって下を向いちゃった。
「可愛いと思ってるよ。少しヌルついてるのは」
「オイルよ、オイル」
「ってことにしてあげましょう」
俺の膝から降りて自分で股間を洗い出した。
やることがかわいい。
背中を拭いたらタオルは奪われた。
「もう自分で出来るから」
「はいはい」
自分を拭いて風呂を上がり、俺は外着。先生は寝巻。
「帰るの?」
「仕事ですよ?」
「そうだったわね」
「お稽古休んでとは言いませんからね、絶対に」
「たまには言ったらいいのに」
小さい声でそう言った。
「律君が就職して独り立ちしたらね、京都に住みませんか」
はっと顔上げた。
「もちろん、心配事がなくなったらの話ですが」
「…その頃にはきっと私、おばあさんだわ」
「それでもいいです」
「期待しちゃうわよ?」
「その頃になってもお茶を続けるつもりなら、家を選ぶでしょうけど」
「だったら貯金しなくちゃね。あんまり外食はよくないわねぇ」
「たまにホテル行くくらいはいいでしょう?」
「そうねぇ。来年、用がなければあちらの部屋は空けたほうが…」
「あー今年あんまり使ってませんね」
などと細々話しつつ居間へ。
八重子先生が羊羹を食べている。
「あんたらもいる?」
「俺はいいです」
「おいしそうねえ。冷蔵庫?」
うん、と八重子先生がうなづいて先生が台所へ。
暫くして戻ってきた。
お盆に自分の分と、俺へはコーヒー、バームクーヘン。
「おお、うまそう」
「おいしそう、でしょ」
「すみません」
「あげないわよ? 言葉づかい直すようにしないと」
「気をつけます。ですから下さい」
「どうしようかしら~うふふ」
「遊んでないで下さいよー」
「はい、じゃちゃんと座って」
足を伸ばしてたのを正座して食卓に向かう。
「良い子ね、じゃ食べていいわよ」
「いただきます」
八重子先生がずっとくすくす笑ってる。
「あれ? これうま…おいしいですね」
「いただきものなのよ。クラブハリエって書いてあったわ」
「あー、滋賀にあるやつ。今度最中買ってきてあげます」
「バームクーヘンのお店で最中?」
「三越にたねやってあるじゃないですか」
「そういえばあるわねぇ。あっそうそう、忘れちゃうところだったわ」
「どうしました?」
「今度でいいからタバコ買ってきてちょうだい」
「吸うんですか?」
「刻みを買ってきて欲しいのよ。ほら、茶事の稽古するから」
「なんだ、吸うのかと」
「むせちゃうわよ」
「八重子先生は吸えるんですか?」
「お稽古で吸ったことはあるよ」
「あぁ、そうですよね」
「姉さんは吸うわよ」
「女だてらにって言ったんだけど」
「まぁ男と対等に仕事してると飲みたくなるものですよ」
「そういえばあなた吸ってたものねえ」
「ヤニ臭いの嫌いでしょう?」
時計が10時を知らせる。
「もうそんな時間?」
「ああ、では俺はこれで」
「おやすみ」
「おやすみなさい。気をつけて」
送らなくていい、と居間で別れた。

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