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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

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539

さて翌日。
仕事を終えて先生のお宅へ。
奥にいるはずの先生の様子を見に行くとちょうど柱にすがって出てくるところだった。
「あ、久さん。いらっしゃい。お願い」
「ただいま。トイレ?」
「うん」
ひょいっと抱き上げて連れて行く。
「出て待っててくれる?」
「いいよ、終わったら教えて」
きっと大きいほうだ。
うちでなら別だがこの家では意地悪は出来ない。
暫く待っているとノックの音。
入って先生を回収する。
洗面がまだと言うのでどうせだからと風呂へ入れることにした。
丁寧に洗ってやると先生は気持ちよさそうな顔をする。
抱いている時より。
少し意地悪をしたくなって乳首をつねる。
「きゃっ、やだ、痛い」
そのまま股間をまさぐる。
「こら、駄目。こんな時間に。お母さんもいるのよ」
そういいつつも濡れてきた。
水音はシャワーが床を叩く音に紛れ、外へは漏れない。
先生は声を出さぬよう、俺の腕に爪を立てて我慢している。
可愛い。
「くぅ…うぅ、ひっ、ん…」
突起をしごくとそれでも漏れ出る声。
ふるふるっと身が震え、脱力。逝ったようだ。
「はっはっ、あぁ…、ばか…、もうっ」
先生の手がぴしゃっと俺の太ももを打つ。
「かわいいね、良い子だ」
「あ、ぅ…」
中をまさぐる。
突起と同時にやってやるとすぐに逝く。
「も、だめ…、苦し…」
「このままあちらの部屋に連れて行こうかな」
首を弱々しく横に振る。
「だめ、むり、辛いの…、ね。お願い」
「しょうがないな。可愛いあなたの言うことだ、今は取敢えずここまでにしましょう」
中がきゅうきゅうと締め付けていて、もう一度だけ逝かせたくなった。
「んっ、んぅ…くぅ…、ひぃあぅ、っ…」
それでも必死に声を抑えている先生がいとしい。
俺の太ももを引っかく。
腰が浮き上がって、ふっと落ちた。
少し足が痙攣している。
息が荒い。
ゆっくりと汗を流してやって落ち着くのを待つ。
軽くキスをして風呂から出た。
部屋に連れて戻る。
「そういえば昼は食いました?」
「あ、まだ」
「何か食べたいものあるなら」
「あ、私あれ食べたいわ」
「うん?」
「ほら、あれ。最近CMしているカレーの」
「ハンバーガー?」
「そうそれ。買ってきて欲しいわ」
「了解。他には?」
「サラダもお願いね」
はいはい、と部屋を出て居間の八重子先生に声をかける。
食事も済んでいたのでいらないそうだ。
車に乗って近くの店舗へ買いに行く。
ついでに俺もポテト食べよう。
そんなに待つこともなく出来たのですぐに取って返す。
八重子先生は茶室でなにやらしておられるようだ。
ただいま、と声をかけ先生を起こすと食卓で食べると主張する。
仕方なく担いで連れて行き、座らせた。
買ってきたものを広げる前に手拭で胸元を守る。
「そんなのいらないわよ」
「や、ここのは絶対落とすと思いますよ」
そう言ってさすがに今日は自力で口に運んでいるが、思ったとおりソースが落ちた。
むっとした顔をしている。
「食べにくいのねぇ」
「でしょ、でもうまい」
「それはそうだけど…外では食べたくないわね」
「ただいまー、あれ?」
律君が帰ってきた。
先生はかぶりついたハンバーグを咀嚼してから、お帰りと言う。
「珍しいもん食べてるんだね」
「最近広告よくしてるから食べたくなっちゃったのよね。台所にあんたのご飯あるわよ」
「あ、そうなんだ?」
「たまに食うとうまいだろ、こういうの」
ぺしっと先生が額を叩く。
「言葉遣い。悪くなってるわよ」
「すいません、つい」
サラダも食べ終えた先生の手を拭いてる間に律君が自分の分を持ってきた。
「筋肉痛どう? まだ痛い?」
「そうねぇ、昨日よりはましよ」
「後でマッサージしましょう。オイルも持ってきてるから」
「あら頼める?」
「どうせ肩も凝ってますでしょう?」
「そうなのよー」
「山沢さんって何でも出来るんだね、すごいなぁ」
「マッサージは覚えるといいよ、女の子が群がるよ?」
「あら。そういうことで覚えたのねえ」
「いやいやいや、誤解です」
失言だ。
「用意してきます」
そそくさと席を立つ

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538

いつもの時間に目が覚める。
さすがに習慣だ。まだ疲れは抜けてない。
行きたくないなぁ。こんな日は。好きな女も横に寝ていて。
それでも支度をする。
整えて出勤したが暇で早く帰りたい気分だ。
缶コーヒーを消費しつつ昼近くになりやっと帰れた。
「ただいま」
あ、草履がない。
帰っちゃったのか。
寂しいな、と思いつつ風呂を浴び、着替えた。
和室には昨日の着物がまだある。
持って帰らなかったのか。
居間に入る。あれ、昨日の荷物そのまま?
もしかして、と寝室のドアを開けると先生が寝息を立てていた。
「先生? 起きて」
「うぅん? ん? あらお帰りなさい」
大あくびと伸び。
「ただいま。帰る支度しないともう11時ですよ」
「あら、そんな時間?」
先生は風呂へ飛んで行った。
シャワーでざっと流して戻ってきた先生は髪が乾かない、と慌てている。
とりあえず着替えをそろえて出してあげた。
「落ち着いて。車の中でお昼を食べたら間に合いますよ」
「あ、うん、そうよね」
それでも気が急くようで却って着物の着付けがうまくいかないようだ。
「ほら、焦らない。手伝いますから」
何とか着替えて化粧も済ませ、トイレに行かせた。
俺は荷物を用意して先生の草履を出す。
着物に合ってないけど仕方ない。
先生が出てきたので戸締りを確かめ、乗車した。
途中、軽いお弁当を買って先生に食べさせる。
「ゆっくり食べたらいいですよ」
「ごめんね、私だけ悪いわ」
「ついたら俺も食います」
少しスピードを出して先生のおうちに到着。
ちょうど朝のお稽古が終わった後らしい。
「あぁ、お帰り」
「ただいま、遅くなっちゃってごめんなさい」
「楽しかったかい?」
「戸隠、すごかったわよ」
「で、山沢さんは?」
「まだ車なの。荷物があるから」
「ああ、そうそう。何か届いてたけど」
「たぶん旅行中のだわ。久さんが送ってたもの」
「じゃ後で開けたら良いかねぇ」
「そうしましょ。お母さんご飯は?」
「食べたよ、あんたは?」
「車の中でいただいたの。時間がなかったから」
「山沢さんは食べたの?」
「まだなのよ。だからお稽古、支度終わったら食べてって言ってあるわ」
「そう?」
しゃべっている間に山沢さんが来た。
「こんにちは、八重子先生」
「はい、こんにちは」
「先生、トイレ行きましたか?」
「あ、まだ。行ってくるわ」
先生がトイレに行って、俺は持ってきたお土産の一つを八重子先生へ。
「美術館、良いところでしたよ。涼しくて広くて、景色も良くて」
「へぇ、そう? 今度一度行ってみようかねえ」
「そうですねー、出来たら次の善光寺の御開帳がいいでしょうね」
「あんた何年後だい、それ」
「七年に一度だそうです」
「その頃まで元気でいられるかねぇ」
「いてくださいよ」
さてそろそろ支度をば。
水屋に入って帳面を繰り、今日のメンバーを確認して用意。
駄目だ、炭する人はいない。
久しぶりに炭をついで、各々の道具をそろえた。
暫くして先生が茶室に入って炭の様子を見る。
「久さん」
「はい」
「下手ねえ」
「…すいません」
先生が手直しをしてくれた。
「お湯、沸いてるの?」
「はい今入れます」
先生が動線を避けて定位置につかれる。
半分を切っている釜にやかんから湯を足す。
「それくらいでいいわ」
「はい」
くぅ、と腹が鳴った。
先生は笑って食べてきたら? と仰るがもう少しで終わるからと支度を済ませた。
それから先生が一服点ててくださった。
うまい。
「あ、ごめんなさい、お菓子出してなかったわね」
「いえ、どうせご飯食べますから良いです」
やっぱねぇ、自分で点てるより先生のはおいしいんだよ。
なんでだろうなぁ。
「もう一服どう?」
「いただきます」
流れるようにお茶をたてる。美しい。
「ねぇ、実は…」
何か言い出そうとしたとき、生徒さんがいらっしゃった。
「また後で…聞いてちょうだい」
「はい」
「こんにちは、飯島先生、山沢さん」
「はい、こんにちは」
「あ、山沢さんいいなぁ」
「ははは。こんにちは」
飲みきって器を返す。
「じゃ、ちょっと」
「行ってらっしゃい」
「あれ? お稽古一緒にされないんですかぁ?」
「お昼まだなんですよ」
「あー」
納得したようだ。
台所に行ってさっきのお弁当を温める。
俺にはちょっと少ない。
「あんたそんなんじゃ足りないだろ」
八重子先生がそう言いつつ台所に来て、冷蔵庫から2品出してくれた。
助かる。さすがに勝手にあさるのはどうかと思っていたから。
食べ終わって居間で旅行の話を問われるがまま話す。
戸隠の奥社は八重子先生は無理だろうという話になった。
「そういえばあの子、草履で上ったの?」
「いや、地下足袋ですよ。草履に見せかけた」
「そんなのあるの?」
「地下足袋に鼻緒つけるだけなんですけどね。私が使おうと思って」
それを山道は想定外という先生に貸したわけだ。
白でも紺でもなく柄つきなのを見て女心を刺激されたらしい。
さて、食後の一服もすみトイレに行ってから茶室に戻る。
三人目の生徒さんが稽古している。
茶碗や茶巾を清め、水指に水を足した。
先生はにこにことお稽古をつけていらっしゃる。機嫌は良いようだ。
そのままいつものようにお稽古が終了。
見送りに立つのに先生が俺を呼び、杖にした
「今頃筋肉痛きちゃった、いたた…」
「あら先生、大丈夫ですか?」
「ええ、多分…」
「じゃあ、ありがとうございました、また来週お願いします」
見送って戸が閉まったのを見て抱き上げた。
「あ、ちょっと」
「歩くの辛いんでしょう?」
「そうだけど、やだ、ねぇおろしてちょうだい、恥ずかしいわ」
「転んだりされちゃ困りますから。暴れないで」
トイレに行きたいそうなので連れて行って、着物をたくし上げた。
しているところを見ているとすごく顔が赤くて恥ずかしそうで良い。
おならも。
「聞かなかったことにして…」
「寝てるときにしてるの聞いてるから」
「やだ、してる? 本当?」
「みんなしてますよ、普通です」
始末をして、立たせて着物を下ろす。整えるところまでして。
居間へ抱き上げて連れて行く途中、律君が帰ってきた。
「ただいま…ってお母さん? 何!?」
「お、お帰りなさい、あのね、これは違うの」
「違うって何が?」
「おかえり。君のお母さん、今酷い筋肉痛で立てないって」
「あっ、あぁそうなんだ。でもなんで山沢さん?」
「トイレ行きたいっておっしゃったからね、ふふふ」
そのまま居間へ入る。
「なんだねぇ、騒がしいと思ったよ」
下ろして座らせた。
「昨日の今日で来るなんてまだまだ若いですよね」
「本当にねえ」
「じゃ、後始末してきますね」
先生はほっとした顔で汗をぬぐっている。
今晩は先生を抱けないのは残念だけど明後日は抱けるだろう。
その時にいじめてやろう。
不埒なことを考えつつ後始末を終わり、おいしそうな匂いに引き寄せられた。
「山沢さん、あんた絹の横。食べさせてやっとくれ」
「ちょっとお母さん、自分で食べるわよ」
「お茶も飲めないくらいなのに無理してどうするんだい」
「おお、腕まで来ちゃいましたか。そりゃ大変だ。今日はお風呂も入れて差し上げます」
「ちょっ、もう。久さんも悪乗りしないで」
「まぁでも寝るまではいますよ」
「そうしてやって」
先生を食べさせつつ、自分も食べる。
照れくさげなのが可愛い。
いつもより少なめでもういらないという。
夜食を用意しておこう。
食事の後は旅行の土産を開封。
あれやこれやを出して土産話もともに。
暫くして先生がもじもじとしだした。
「トイレ?」
うん、とうなづく。
抱き上げて連れて行く。すごく恥ずかしそうだ。
二人きりの時よりも親や息子の前ではやっぱり恥ずかしいんだろう。
拭くのも体制が辛いようなので拭いてあげた。
ついでに軽くなぞる。
「ひっ…だめ」
「そうだね、こんなところじゃね」
キスをして舌を絡める。
「ばか…」
それから着物を整えて居間へ連れて戻した。
風呂が沸いたので先生はどうするか?と聞いた。
「来る前に入ったから一日くらいいいわ」
「そうですか? 丁寧に洗って差し上げますよ?」
「すぐそうやってからかうんだから」
みんながお風呂に入った頃先生があくびをした
「もう眠い?」
「やっぱり疲れたのかしら」
「じゃ寝ますか。部屋行きましょう」
抱き上げて俺の部屋ではなく先生の部屋へ。
「どうして?」
「俺、今日は帰らなきゃいけないから。抱きたいけど…」
「そう、そうよね、明日平日だったわね」
「明日も来ますよ。きっと動けないでしょうから」
「ありがとう、そうしてくれると助かるわ」
座らせて布団を敷き、先生を脱がせる。
「何か変な気分ね」
「そうですね」
笑いあって寝巻きを着せて、先生を布団に入れた。
「おやすみ」
「おやすみなさい」
口付けを落として、少し撫でているとすぐに寝息になった。
暫く寝顔を楽しんで、居間に戻る。
「じゃ八重子先生、私もこれで失礼します」
「ん、そうかい。ご苦労さん。明日は来るの?」
「来ます。お昼は先生と食べます」
「はいはい、用意しとこうかね」
「あればうれしいです。お願いします」
「じゃまた明日。お休み」
「おやすみなさい」
別れて車に乗り込み、走らせる。
帰宅して布団に潜ればすぐに睡魔がやってきた。俺も疲れていたようだ。

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537

それから駅弁。
先生はまだおなかがすかないというが俺はすでに空腹。
少し迷ったが先程の美術館にあったローストビーフの弁当を買った。
それとお茶を2本。
乗車券を買い、乗り込む。
行きと同じグリーン車。
先生はあきれた顔で俺の食うのを見ている。
「おいしい?」
「ん、いけますね」
一口食べさせた。
「おいしいわね、これはいいわ」
「半分食べますか?」
「それはいいわよ、まだおなかすいてないもの」
お茶を飲んで暫くするとまだ眠かったようだ。
俺の肩にもたれてきた。
少し、食いにくい。
けど重さが心地よくもある。
食べ終わって片付けた後、先生を眺めているとキスしたくなった。
だがこんなところでするのは宜しくない。
大人としての良識である、が。我慢は辛い。
そのうち食後の俺もだんだんに眠くなってきた。
終点で降りる、財布は先生は帯の中、俺は尻のポケット…。
よし、熟睡はしないよう気をつければ。
いやまて、最近置き引きがいると聞くからには起きているべきか。
手荷物は先生のバッグと俺のワンショルダー、大した物は入れてないとはいえ。
しかし段々と瞼が落ちていく。
せめて先生のバッグを守ろうと俺と先生の間に差し込んだ。
先生の袖でカモフラージュする。
さすがにこれを触ればどちらかが気づくだろう。
安心して眠りに落ちる。
次に目が覚めたのは大宮へのアナウンスで、小一時間眠れたようだ。
カバンを確認する。
俺のバッグは置いたときと変わらない状態、先生のバッグも先程と変わらない。
ほっとした。
財布もケツの座りの状態からして何も問題はない。
先生はまだ気持ちよさそうに寝ていて、俺の肩によだれをつけている。
上野を過ぎたので先生を起こす。
「そろそろ降りますよ。起きて」
「んー」
「家で何時間でも寝ていいからさ」
俺にもたれたまま小さくあくびをして、よだれに気づいた。
ハンカチでぬぐい、もう一度あくび。
「眠い…」
「俺もです。帰ったら飯食って寝ましょう」
「ごはんいらない…」
「はいはい」
甘えた声が耳に心地よく、可愛い。
駅につき、何とか先生らしく気を入れて。
俺の家へ向かう。
家にたどり着いたとたん和室で全部脱ぎ、寝巻きになって布団に潜り込んだ。
相当眠かったようだ。
着物を片付け、それから先生の化粧を落としてやる。
すべて始末がついてから、先生の朝食べるものを買いに行った。
ディニッシュとスープ。
部屋に戻り、俺も寝る支度をした。
まだ日が落ちきってはいないがよく眠れそうだ。おやすみなさい。

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536

少し気だるげだが食事処に入る頃にはしゃんとしてメニューを見てすぐ決めた。
一番高いやつは予約制だったので選ぶとはいっても知れているが。
俺はちょっとメニューをご相談、魚と肉をチェンジ。
先生は笑っている。
お酒は少し頂くことにした。
沢山に飲むと次の日に差し支える。
余裕のある日程ならいいが…。
飯はそれなりにおいしく、酒もうまい。
食べ終わって先生が満足そうな息をついた。
「さて、部屋に戻りますか」
「そうね」
戻って寝巻きに着替え、明日の用意を整える。
それからこちらをちらちらと見ては照れくさげな先生を懐に入れた。
「なーに今更照れてんです?」
「だって…」
「かーわいいなぁ~」
「もう、からかわないでちょうだいよ」
「からかってなんかいないよ、うん。可愛い」
「ねぇ、さっきみたく、して…」
「手荒く? 優しく?」
「優しいのがいいわ」
「OK」
ゆっくりと丁寧に心をほぐすように抱いて。
先生が満足したのを確かめて一緒に寝た。
翌朝、二人で風呂に入って着替える。
本当は朝からしたいけど、そうもいかない。
朝食を食べてすぐに出発の支度。
やっぱり午前中がいいからね。
まずは近くのレンタカーで車を借りた。
先生はパッソが良い! というが却下してカムリにした。
文句を言いつつも意外と車内は気に入ったようだ。
スムーズに戸隠へ。
まずは宝光社の前で車を止めた。
これは階段が続くような気がするんだが…。
俺はいいけど先生の足元が、と躊躇したが先生はまったく気にせず俺の腕を引く。
どんどん上ると途中で女坂と看板にある。
そちらを行けば階段は登らなくてよいらしい。
先生と二人そちらを選んだ。
「空気、いいわね」
「そうですね」
朝の気配のまだ残る道を行けば本殿に着いた。
祭神は婦女子・安産・技芸・学問・裁縫の神さんらしい。
先生はやはり念入りにお参りされている。
それから中社へ、となったが歩けば20分くらい、というが車だしと悩んでおられる。
横にいたおばさんがバスで運転手だけ中社から戻るんだよ、と教えてくれた。
どうやら1時間に1度位バスが来るらしい。
そして中社前はタクシー乗り場もあるようだ。
歩くことにした。
緑の綺麗な人通りのない道だ。
涼しい。
伏拝所がある。昔は女人禁制だったから女はここから奥社を望んで拝んだそうだ。
暫く歩くと分かれ道。
火之御子社へは徒歩3分。
それを見た先生に手を引かれて行く。
注連縄をくぐり標識に従うも微妙な道だ。あまり使う人がいないのだろう。
少しすべるので先生は俺の肘を掴んでいる。足元が悪い。
着物だから先生は少し困っている。
「洗える着物にして良かったですね」
「本当、こんな道だとは思わなかったわ」
舗装とは行かないまでも整備されてると思ったんだけど。
とはいえ先生自らこっちを選んだのもあってかそんなに愚痴はおっしゃらない。
ついた。ここのご祭神は天鈿女命。
先生には関係ない。
軽くお参りを済ませもとの道へ戻る。
先生は不安げだ。
それでも俺を杖代わりに歩いていくと舗装路に出た。
歩き易さからか手を離されてしまった。
まぁいいけど。
やっと観光センターについて先生は安堵の息を落とす。
少し整えてもう一息。
階段にうんざりしつつも上りきっての参拝。
ご祭神はオモイカネ…メガテンを思い出してしまった。
違う違う、と思いつつよく読むと常世の神か。
長寿を祈ればいいのかな。
もっと下調べをしてから来るべきだった。
下りてきてバスの時間を見ようとしたときバスが来た。
あわてて飛び乗る。
先生はどこかそのあたりで時間を潰す、と言ってくれた。
バスに数分揺られて戻った。車に乗り換える。
すぐに戻ったが先生はどこにいるのだろう。
携帯を鳴らすと場所を教えてくれた。
駐車場に車を置いてその店へ向かってみれば竹細工の店。
ざるやらかごやら。
家で使っているざるが傷んできた、と先生は買い換えたいようだ。
花籠も。
いくつか買って車に積み込む。
奥社は健脚で徒歩30分と聞き、先生はどうしよう? という顔でこちらを見る。
「明日筋肉痛になってもよければ」
うーむ、と悩んでいる先生に着物ではちょっとやめておいたほうが、と声が掛かった。
それに足元がねぇ、と。
とはいえ先生はなかなかに健脚で雑木林に囲まれている所為か足元が悪くても平気である。
結局、先生は行きたい! と言うので諦めた。
とりあえず奥社近くの駐車場へと走らせる。
見上げて先生は気合を入れた。
「その前にトイレ行っておきましょうね」
「あ、そうね」
意外と綺麗なトイレで小用を済ませ、水のペットボトルを補充。
たぶん上には自販機はない。
戻ってきた先生が足元を確かめ、それから歩き出した。
最初は平坦に近い、楽な道で先生も物見遊山といったところ。
着物姿が珍しいのか少し注目はされた。
門を越えて歩くと杉並木。太い。
建材にしたら良いのが取れるだろう、なんて罰当たりなことを考える。
途中から階段のある山道に変わった。
先生は俺を杖にしたり、もたれて休憩したり。
さすがに先にほかの宮を歩いて回ったのが足に来てるようだ。
先生に水を飲ませたり塩をなめさせたり。
何とか登りきる。下を見れば絶景。
先生の息が整うのを待つ。
少し汗も引いて落ち着いて、手水を使いそれからお参りをした。
ほかの社に比べると…だが、このあたりは雪がすごい。
ということで仕方ないのかもしれない。
と言っていたら横にいた方がこのあたりの方で、木造は雪崩で流されるとの事。
よく雪崩があるらしい。冬はやめとこう。
どうやら屋根の高さ近くまで積もるらしい。
九頭龍社にも参ってそれから下りだ。
これは楽。先生は滑らないよう気をつけて歩く歩く。
やっと下り終えて。
「おなかすいてる?」
「すいてる、わね」
「並んでるみたいだけど」
「いいわよ」
並んでいるとソフトクリームならすぐ食べれることに気づいた。
「あれ食べたいわ」
熊笹ソフトか…。面白そうだ。
保険にバニラソフトも買って食う。あ、意外といける。
食べ終わった頃呼ばれた。
席につくとお通しに漬物と水が出る。
両方うまい。
これは期待できそうだ。
とりあえずは一人前。先生が鴨ざる、俺は天ざる。
食べてみるとやはりうまい。観光地なのに意外。
先生に天麩羅を少しあげて俺はそばを半分追加した。
天麩羅はさくっとうまく揚がっているので先生も胃もたれしないだろう。
おいしい、おいしいと食べて満腹になった。
「さてと。そろそろ行きますか、本当の目的地」
「そうね」
先生も笑っている。
駐車場へ戻り車に乗る前に再度トイレを済ませた。
「あら、ここにもお蕎麦屋さんあったのね」
「ほんとだ、見落としてたな」
帰りに気が向いたら木いちごソフトを買おう。
駐車場からはすぐそこの美術館へ行った。
徒歩5分と聞いていたが車で。
戻るのが面倒だったからだ。
開放感のある場所に美術館はなかなかいい。
先生は草履や足袋を履き替え、裾を点検してから降りてきた。
「塵除け着て来て良かったわ」
「まさに。あんな道とは、でしたよね。着物はどうですか」
「そう汚れてないわ、大丈夫」
先生は塵除けを脱いで薄手の羽織を着た。
「これでいいかしら」
「うん、行こう」
中に入ってすぐの建物はエントランス。
ラウンジや立礼の席があるようだ。
展示棟を見て歩く。柱がない。
横山大観、下山観山、酒井抱一…。先生が説明してくれたがよくわからん。
しかし10点ほどである。
これは戸隠へ行って正解かな。
ゆっくりと先生に従って見て歩き、エントランスにあるラウンジへ入った。
飯がうまそうだ。
でもまだ食う時間には早い。
どうも長野駅にもあるらしいので帰りはそれにしよう。
信州りんごのテリーヌを頼む。
ハーブティと紅茶をひとつずつ頼もうか、と聞いた。
先生はビールを見て飲みたそうにしている。
「良いですけど飲みすぎないでくださいよ」
 志賀高原IPAを注文した。
しかしテリーヌとビールって合うのかな。
食べたいもの食べたらいいけどさ。
ビールが来て先生はおいしそうに飲む。
「うー俺も飲みたくなった」
「駄目よぉ? 飲酒運転になっちゃう」
テリーヌもハーブティもうまい。
後から来た客は弁当を頼んでいるようで運ばれているものを見ると欲しくなる。
ローストビーフの弁当と白ワインで煮た鳥の弁当だな。
車じゃなければその辺のものを頼んでビールを飲んでいただろうなぁ。
その客も着物を着ている。
意外と着物人口は多いのだろうか。
先生はぺろりと瓶を空けてテリーヌもすべて食べた。
昼の蕎麦、少なめだったのが良かったのだろう。
それから車に乗り込む。
走行中も気持ちの良い森の空気が入ってくる。
先生は途中から反応がなくなった。
うつらうつらとしているようだ。
疲れと満腹と酔いと。
乗り心地のよさがあいまっているようだ。
俺の車よりもいいからなあ。
とはいえ魚の積みやすさと言う利点からああいう車しかない。
まさか二台持ちは無理があるからな。
先生がかすかに立てる寝息を聞きつつ市街地へ戻る。
まずは宅急便を送ろう。
先生が寝ているのをそのままにある程度の荷物をその場で梱包して先生の家へ送る。
それからレンタカーを返しに行った。
「起きてください、先生。つきましたよ」
「ん、うぅん…どこ?」
「車借りたところ」
「あら? もうそんなところなの?」
「良く寝てましたね」
先生は苦笑して身支度を整えている。よだれはたらしてない、大丈夫だ。
荷物をすべて手に持ち、返却の手続きをした。
駅へ向かう。
ほんの少し歩いたら駅だから楽だ。
駅の中で先生はさらに土産を選んでいる。
ビール自体は東京でも買えるよ、と言ったらそれならとほかのものを沢山買い込んだ。
あ、宅急便、駅の中にもあったのか。
土産物もひとつにまとめ、送った。

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535

さて、こっからだと…すぐそこの大通りを駅方向に向かえばホテルだ。
和洋室をとってある。
先生が着物だからだが。
そしてもちろんトイレと風呂は別だ。
「ねぇ、ダブルベッドじゃなくていいの?」
「ダブルの部屋、風呂と便所一緒ですよ」
「それは嫌ね」
「でしょう? ま、致す時ちょっと狭いし、寝る段になれば別の布団は正直嫌ですが」
「やっぱりするのね?」
「しないほうがいいならそれでも」
「そういうつもりで…いったんじゃないわよ…」
ふいっと横を向いた。
「どうしたんだ? 最近」
背中から抱きしめる。
「だって。あなたしたいって最近言わないから。したくないのかしらって…」
「明日の予定がないならば。足腰立たないほどに…したいよ。ああ、やりたい」
熱くなった手を絹の懐に差し込む。
「そんな、に?」
「したいともさ。犯しつくしたい」
耳元でささやくと少し震えている。
「怖いか?」
そっと俺の腕に手を添えて身を預けてきた。
「それでもいいわ…」
暫く胸をもてあそぶ。
「ね、離してちょうだい」
「うん」
おとなしく離してやるのはなぜか。先生が脱ぐからだ。
待っててやらないと着物がえらいことになる。
何度か襲って後で洗いに出す羽目になったのを覚えている。
腰のものひとつになって、それでもためらいがちに外す姿はいつ見ても良い。
うつむきつつも俺に裸体をさらす。
胸と股間に手を添えて。
いつまでたっても恥じらいを忘れないこの女を泣かせてねだらせる。
これほど楽しいことはない。
勿論痛みに泣かせたり、苦しませるのは好きだが。
それは他の女でも楽しめることだ。いつか、でいい。
「手を後ろで組んで。そうだ。良い子だね」
腿をきゅっと引き締めて隠そうとする。
「足も開きなさい」
おずおずと開き、閉じたそうにする。
股間に触れる。
「ぁ、ん…」
すでに濡れている。
後ろに組めといっていた手が俺にしがみついてくる。
暫くもてあそんでいると体重がどんどん掛かって来た。
「ね、もう、お願い…」
「立ってられない? 駄目だよ」
「そんなこといわないで、ねぇ、お願いよ」
「だーめ」
お願いが出来ないようにキスで口をふさぐ。
舌を絡めつつも呻いて、もてあそぶ指を締め付ける。
背がのけぞり少し舌を噛まれた。
逝ったようだ。
蕩けた様な顔で後ろのベッドに腰を下ろした。
「いけない子だ、座って良いとは言ってないだろう?」
「だって…」
「まぁいい。そのまま」
脱ごうとしたら脱がされた、
手が汚れているから、だそうだ。
暫くベッドの上で楽しんでいると携帯のアラーム。
あ、そろそろ飯の時間が近い。
「飯の時間だけどどうする? ここでやめるか?」
「やめないで…」
スピードを上げて逝かせ、先生をシャワーに連れ込んだ。
汗と股間の汚れをとりあえず落とし手早く水滴をふき取ってベッドへ。
「着れますか?」
「頑張るわ…」
手伝ってなんとか着てもらい俺も着る。
直された。
「余裕あるな? もうちょっとしてもよかったかな」
「ないわよ、だめよ」
頬が赤い。
汗で崩れた化粧を直させて少し遅れたが食事へ行くことにした。

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