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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

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それから駅弁。
先生はまだおなかがすかないというが俺はすでに空腹。
少し迷ったが先程の美術館にあったローストビーフの弁当を買った。
それとお茶を2本。
乗車券を買い、乗り込む。
行きと同じグリーン車。
先生はあきれた顔で俺の食うのを見ている。
「おいしい?」
「ん、いけますね」
一口食べさせた。
「おいしいわね、これはいいわ」
「半分食べますか?」
「それはいいわよ、まだおなかすいてないもの」
お茶を飲んで暫くするとまだ眠かったようだ。
俺の肩にもたれてきた。
少し、食いにくい。
けど重さが心地よくもある。
食べ終わって片付けた後、先生を眺めているとキスしたくなった。
だがこんなところでするのは宜しくない。
大人としての良識である、が。我慢は辛い。
そのうち食後の俺もだんだんに眠くなってきた。
終点で降りる、財布は先生は帯の中、俺は尻のポケット…。
よし、熟睡はしないよう気をつければ。
いやまて、最近置き引きがいると聞くからには起きているべきか。
手荷物は先生のバッグと俺のワンショルダー、大した物は入れてないとはいえ。
しかし段々と瞼が落ちていく。
せめて先生のバッグを守ろうと俺と先生の間に差し込んだ。
先生の袖でカモフラージュする。
さすがにこれを触ればどちらかが気づくだろう。
安心して眠りに落ちる。
次に目が覚めたのは大宮へのアナウンスで、小一時間眠れたようだ。
カバンを確認する。
俺のバッグは置いたときと変わらない状態、先生のバッグも先程と変わらない。
ほっとした。
財布もケツの座りの状態からして何も問題はない。
先生はまだ気持ちよさそうに寝ていて、俺の肩によだれをつけている。
上野を過ぎたので先生を起こす。
「そろそろ降りますよ。起きて」
「んー」
「家で何時間でも寝ていいからさ」
俺にもたれたまま小さくあくびをして、よだれに気づいた。
ハンカチでぬぐい、もう一度あくび。
「眠い…」
「俺もです。帰ったら飯食って寝ましょう」
「ごはんいらない…」
「はいはい」
甘えた声が耳に心地よく、可愛い。
駅につき、何とか先生らしく気を入れて。
俺の家へ向かう。
家にたどり着いたとたん和室で全部脱ぎ、寝巻きになって布団に潜り込んだ。
相当眠かったようだ。
着物を片付け、それから先生の化粧を落としてやる。
すべて始末がついてから、先生の朝食べるものを買いに行った。
ディニッシュとスープ。
部屋に戻り、俺も寝る支度をした。
まだ日が落ちきってはいないがよく眠れそうだ。おやすみなさい。

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