弄られて目が覚めて。
寝ている間に山沢さんが来ていたみたい。
何度か昇りつめて、息を荒くしていると背を撫でてくれるの。
今日はシャツを着ていて素肌じゃないけれど。
いつもは肌同士密着して、それも好き。
あら、石鹸の香り、お風呂入ってきたのね。
落ち着いて山沢さんにお帰りなさい、と言った。
さすがに十日は長かったみたい、私を抱きたかったのね。
凄い隈が出来ていて、眠そう。
寝るより私を抱きにくるなんて可愛いわよね。
頭を撫でるとまだ湿っている。
寝かしつけて、布団から出ると脱ぎ捨てた服が散乱している。
ワイシャツを畳んで、ジャケットとスラックスは釣って置いた。
身づくろいをして朝食の支度へ。
「おはよう」
「ん、おはよう。山沢さんいつ来たのか土間の棚に魚が置いてあったよ」
「うん、さっき来たみたいよ、今私の部屋で寝てるわ」
「あぁ直行したのかい、可愛い子だねえ」
恥ずかしいわね、ちょっと。
朝御飯を作って夫と息子を呼んで食べさせて。
一服したら御節の準備にとりかかる。
足の早い物は今晩作ることにして、元旦の夕方につまむようなものを。
「絹ー、ちょっとー」
あら何かしら。
「晶がねえ、今晩からこっちに来たいって。
三が日って言うけど御節、量的に大丈夫かねえ?」
「少し多い目に用意してるから大丈夫だと思うわ」
「そう?」
「後でお買物に行くときに何か買い足したほうがいいものあったかしら?」
「今晩の分くらいでいいんじゃないかね」
「お部屋、用意しなくっちゃね。律の隣の部屋でいいかしらねえ」
「その方が無難かね、あんたと山沢さんの部屋からは離れてるほうがいいだろうしねえ」
「お母さん、もうっ」
そんなことを言いながら御節の支度を進めて、足りないものをメモしてお買物へ。
戻ると母がお昼の支度をしていたから後は私がするわ、と引き受ける。
昼前、八重子先生が覗きに来た
その時、寝ぼけて布団の中に引きずり込んでしまったらしく、
お昼ご飯にと八重子先生が呼びに来たときは距離を保って起こされてしまった。
脱ぎ捨てたはずのシャツなどがきちんと畳まれてある。
着ようと思うと浴衣を渡された。それを着る。
ご飯をいただいて、まだ眠そうだからと布団に押し込められた。
確かにまだ足りないようですぐに眠りに落ちた。