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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

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17

そんなある日。
会社に電話がかかってきた。
オーイ飯島さんから電話ー! と会社の若いのから電話を受ける。
はいよ、と電話を取ると八重子先生だ。
今日は上級クラスの稽古日だから私は行ってないのだが、
どうやら予定していた七事式をやるのに人が足りないという。
まあ予定もないことだ、伺うことにしよう。
そんな会話をしている私の横では、ちんぽちんぽまんこーと叫んでいるのやら
早くしろコラー!と怒鳴る声が聞こえている。電話、筒抜けだってば…。
電話が終わり、仕事をする。
定時になりいったん帰宅する。着替えねば。
そろそろ単衣も秋の気配を取り入れたいなあ。
先生宅に着いたが早すぎたようだ。
まだ皆さんそろっておられないようだ。
「あらあなた、男の方?珍しいわねぇ」
おっと上級クラスは私を知らない人が結構いるんだった。
「中野さんその方女性よぉ」
知ってる人が笑いつつ紹介してくださる。
「あれ、山沢さん今日お稽古でしたっけ?」
おや律君だ。
「こんにちは、そう、朝電話いただいてね」
「だったら上生菓子は4つで良いですね…」
うんうん、それでいい。それでいい。
「あらいただかないの?」
と中野さん。好きそうだよなあ、和菓子。
呼ぶ手が見えて水屋に入ると絹先生だ。干菓子を二つもらう。
うまい。
花や炭の用意を手伝うと挨拶の声、人はそろったようだ。
本日は五事式。きっついなあこれは…。
上級クラスだとこんなのやるんだね。
本当は茶事で懐石があって春にするらしい。
夏なのに炉を開いてお稽古することがあるとは思わなかった。
来春茶事をするためのお稽古、といったところか。
炭つぐのも花生けるのもまだまだ私には難しいね。
お香、炭、花、いろいろなものを修練しないといけない。
私にとっては怒濤のように過ぎた4時間半だがさすが上級の皆さん、
するすると遅滞なく動かれる。
八重子先生によると上の方の教授だけで行えば3時間半もかからないそうだ。
確かに花月8分とか言うからそうなんだろう。恐ろしい。
水屋の始末を手伝っているとお夕飯食べていかない?
と絹先生がおっしゃるのでそれに甘える。
でも大抵、孝弘さんの隣なんだよなあ。
「山沢さん、あんな人ばかりのところで仕事してるのかい?」
食事中、八重子先生に朝の電話の時の背後の声について言われた。
えぇ、まあそういう所です。
「なにかあったの?お母さん」
八重子先生は説明しがたいようだ。そりゃ言いにくかろう。
「電話の背後が怒声や卑猥な言葉だっただけですよ」
あ、律君がむせた。
こっそり孝弘さんのおかずに魚を増し増しにしておいた。
「稽古場でそういう言葉遣い出ないようにしとくれよ」
気をつけてます、ええ。
食後くつろいでると打診された。
「あんたそろそろ真之行やらないかい?」
まだ早くないかなぁ。
「一応あんただって助講師とってるんだから早くはないよ。それに…」
どうやら研究会などは大円真以上の規定が結構あるらしい。
家庭のある人には行けないような泊りがけの研究会に連れて行く人がいないと。
そういうことなら取りましょう。取りましょう。
申請のお願いをし、明日のお稽古について申し合わせてから帰宅した。

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