翌朝、中々起きない先生を置いて台所へ。
八重子先生が先に起きてきていて、昨日のことを揶揄された。
やっぱり聞こえてたようだ。
朝御飯はトーストとオレンジジュース、サラダにベーコンエッグ。
「珍しいですね」
「孝弘さんが居るとご飯炊かなきゃだけどね」
なるほどね、この家がパスタ・パン食じゃないのはそういうことか。
朝飯を食って一時間ほどして先生が起きてきた。
「あぁおなかすいた」
「はいはい」
台所に立ってトーストとベーコンエッグを用意する。
サラダとジュースは冷蔵庫から。
「旦那を尻に敷く妻、みたいだねえ」
先生がちょっとむせて、俺は笑ってしまった。
ゆったりとした休みの日を送り夕方、律君たちが帰ってきた。
「じゃ買物行って俺も帰るとしますかね」
「そう?食べて行ったら。お夕飯何にしようかしら」
「晶、何食べたい?」
「うーん、おばさんの肉じゃが好きだな。私」
「あんたは?」
「え、僕? 梅とシソがまいてある奴かな」
「中はささみが良い?お肉が良い?」
「私ささみがいいな」
「晶ちゃんがそれが良いなら僕もそれでいいよ」
「山沢さんは?」
「それでいいですがお野菜足りなくないですか?」
「そうねえ、胡麻和えでもしましょ」
お買物に二人で行って、戻って料理を手伝う。
「ゴマ当たってくれる?」
はいよ、と当たり鉢を取ってごりごりざりざりと。
お砂糖や醤油も入れて。
配膳して食べる。うまいなぁ。
ご馳走様をして食器を洗い、目を盗んで軽く先生にキス。
「さ、そろそろ失礼しますね」
居間へ戻って八重子先生にも挨拶をして、帰宅した。
さて明日は仕事か。
仕事はいいが帰って無人の家でただ寝るだけというのがつまらないじゃないか。
って着物縫わなきゃいけないな、途中にしていた。
あさってはお稽古はお稽古だが新宿か。
帰り、うちにつれて帰れるかな。
だったら明日は掃除もしよう。
布団へもぐり、そんなことを算段しつついつしか寝ていた。