朝、先生はよく寝ている。
それは良いんだが指を入れたままで。
引き抜くとふやけてて苦笑いだ。
手を拭いてやって布団に戻してもう少しまどろむ。
一時間ほどして先生が目覚めた。
起きるなりキスしてくる。
まだしようとするからさすがにそれはダメ、とひっくり返した。
「朝ご飯作らないとね。ダメでしょう?」
むっとしてる。
「お昼、あちらの家でさせてあげますから」
「だったらいいわ」
しょうがない、しかたないと諦めつつ朝ご飯を作る。
げんなりした顔を見て八重子先生は察したようで苦笑している。
作り終えた頃匂いにつられて男共が起きてきた。
あれ? 司ちゃんが来てた。
仕方ない、先生用に作った分を司ちゃんに出した。
先生の分は起きてきたら作ろう。
「あんたいつ来たの?」
「9時半くらいかな。おばあちゃんたち寝てたみたいだから律に入れてもらったの」
「昨日は疲れてたからねぇ」
孝弘さんがこっち見てにやっとした。
これはわかってるな。
先生にはそういう態度は取らないで欲しいものだ。
食べ終わった頃先生が起きてきた。
「あら司ちゃんきてたの? おはよう」
「あ、おばさん。お邪魔してます」
「先生遅いからもうないですよーなに作って欲しいです?」
「何残ってるの?」
「ご飯と味噌汁が既にないのでパンかパスタか」
んー、と考え出した。
「卵有ったかしら」
「有ります」
「じゃハムかベーコン」
「有ります。ハムエッグ?」
「カルボナーラがいいわ」
「生クリームが無いですよ」
「牛乳で良いわよ、あるでしょ」
「了解」
台所に向かってパスタを湯がく。
牛乳を使ってカルボナーラのソースを作った。
後は絡めるだけだ。
絡めてお皿に盛り付け、フォークとお皿をもって先生の前へ。
いただきます、とちゃんと手を合わせてから食べる先生は何か良いね。
食べてる間に洗い物をして食べ終わった頃を見計らってコーヒーを出す。
代わりにお皿を回収。
俺の分もコーヒーを入れて先生の横に座った。
先生の機嫌は良さそうだ。
司ちゃんとおしゃべりを楽しんでいてほのぼのとする。
コーヒーを飲み終わって落ち着いていると先生に手を引かれた。
ん?
「そろそろ行くわよ」
「あー…やっぱり行くんですか」
「朝そう言ったでしょ」
気が変わってて欲しいなーと思ったのだけどダメだったか。
はいはい、と連れられてあちらの家へ。
すぐにどうこう、と言うのは雰囲気がないと思ったのか膝の上に座ってきた。
「先生、この体勢だと俺があなたを抱きたくなる」
「だめよ、そんなこというんならすぐに脱いで頂戴」
渋々脱ぐとキスされて、そのまま床の上で押し倒された。
自分は床の上は嫌なくせに。
昼過ぎ、先生の携帯がなった。
お昼ごはんはどうするのか、そろそろ俺を開放してやれという電話だったらしい。
なんだかなぁ。
されてること知られてるのもちょっと微妙だ。
でも先生は後1時間くらいで帰る、お昼はいらないとか言っている。
左様ですか、まだするのか。
そろそろ乳首を噛むのはやめてくれないと腫れるよなあ。
まぁ今日を我慢すればあと一ヶ月はないだろうから諦めるしかない。
先生が飽きるまで仕方なく身を任せた。
まぁ結局先生がおなかすいた、と言うところで切り上げて着替えて喫茶店へ。
先生はパンケーキとパフェ、俺はカレーを食べる。
甘いものが食べたい時期なのはわかるが…太るんじゃないかなぁ。
ま、太ったら俺の懐でカロリー消費すれば良いだけだよな。
幸せそうなのを邪魔するのもなんなので黙って食べて。
それから先生のお宅へ戻った。
並んで座れば俺にもたれてくる。
司ちゃんいるけど良いのかな。
「あんたら結局何食べたの?」
「私? ホットケーキとパフェ」
「生クリームたっぷりでしたよね、あのパンケーキ」
「わ、おばさんそれカロリーものすごいんじゃ…」
「いいのよ~」
「で、私はカレーです」
「大盛よね、あれって」
「太らないの?」
「普段それなりに動くからね」
暫く団欒を楽しんで律君が司ちゃんを送って行った。
ニュースでは都心は酷い雨らしい。
落雷で一部停電だとか。
「あら…あなた大丈夫? 帰れるかしら?」
「どうせ明日は月曜ですからねえ…いざとなったら休めるでしょう」
「簡単に休むなんてダメよ、ちゃんと行かないと」
それをあなたが言うか?
八重子先生と顔を見合わせて笑う。
きゅっと腕をつねられたので尻をなでといた。
うん、キスしたい。出来ないけど。
先生は身を起こして洗濯物にアイロンを当て始めた。
律君の衿のあるシャツなんかも綺麗に掛けていくのを見ると感心してしまう。
完璧な主婦能力はやはり八重子先生が仕込んだんだろう。
それから暫く家事を手伝いお夕飯を頂いて帰宅した。疲れた。
おやすみなさい。