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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

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403

夜半、起床する。
出勤の支度を整えていると先生がトイレに起きた。
「ねぇ、もう行っちゃうの?」
「そろそろ時間だからね。昼にはまた逢えるよ」
それでも昼間は出来ないディープキスをして胸をまさぐり先生を少し煽った。
もしかしたら今晩、とちょっと期待したのもある。
「じゃ仕事行くから。ちゃんと寝ておいで」
布団に入れて頭を撫でて。
もうちょっと構ってたいけれど出勤だ。
「行ってきます」
「行ってらっしゃい」
出勤して仕事に精を出しているうちに6時過ぎ、先生が帰る旨メールしてきた。
気をつけて帰るよう返信して仕事を続ける。
うん、今から帰れば余裕で朝ご飯を食べてお稽古できるね。
とりあえず俺は仕事、仕事。
それなりにばたばたとして気づけばもう良い時間だ。
客も途切れた。
仕舞うとするか。
さっさと片付けて持ち帰る食材を探す。
うーん、海ぶどうなんて一般では使いにくいし。
今日は台風の所為で北のものも南のものもまだ入荷が少ない。
ハモすらあまりないときて。
サワラでいいや。
半分を切って幽庵地を作り漬け込んだ。
後の半分は普通に焼いて貰おう。
作業を終えて車に積み込む。
そうこうしている間に仕入れと売り上げのリストが出た。
つき合わして訂正を頼む。
事務からOKが出て帰宅し、風呂に入り服を着て車に乗り込んだ。
一路、先生のお宅へ。
到着して荷物を台所へ持ち込む。
八重子先生がお昼の支度をしてらしたので丸投げだ。
「あ、山沢さんちょっと」
先生が先にこちらを見つけた。
「お水屋はしておくから頼みがあるのよ」
「なんですか?」
「これ使ってあの桐の横にある松の虫、どうにかしてくれない? うまく掴めなくて」
ピンセット? 虫? えー…。
「ね、お願い」
拝まれてしまった。
「仕方ないなぁ…」
「これ、持って行って」
紙袋。虫を入れて捨てるわけか。
庭に下りて言われた木を探す。これか。
う、凄く多い。
やだなー…と思いつつピンセットで一匹ずつ取って袋に落とす。
気持ち悪いよう…。
げんなりしつつ大方取り去り角度を変えて眺め回す。
いるいる、まだいる。
頑張って取り去った。で、この紙袋どうしよう。
…鳥、食わんかな。いや目の前で食われるのは気持ち悪い。
しばしたたずむ。
遠くで車の音、そうだ。
道路に出て行き車の轍跡に置いた。しばし待つ。
3台ほど通り過ぎ綺麗に轢き潰されたようだ。
中身の見えない袋に入れ口を括って捨てた。
戻ってよく手を洗い一応髪をとかしてから着替えた。
既に生徒さんが来ている。
「遅くなりまして」
さっと水屋を確認して次の用意をする。
生徒さんが途切れたときにどう始末したか聞かれたので教えた。
ちょっと引いてるようだ。
その後もお稽古は続き俺のお稽古へ。
今日は盆点。
色々忘れてることがあって叱られたがしょうがない。
先生と水屋を片付けてる途中キスされた。
「ここで抱かれたい?」
「ち、違うわよ、つい…」
「俺は一度くらいしてみたいけどね」
「駄目よ」
頬を染めて可愛いなあ。
「ほら早く片付けましょう。八重子先生が律君を呼んでる」
「あっ、そ、そうね」
「今晩はあちら行きましょうか」
「えっ」
手が止まって耳まで赤い。
「声、聞きたいしね」
ごくり、と先生は唾を飲み込んだ。
「ばか…恥ずかしいわ」
のの字を書くようにしてる先生をほっといて片付け終えた。
手を取って立ち上がらせ、夕飯を取るべく移動する。
部屋にはいると俺の手を離し、女から母親へ意識を切り替えたようだ。
表情が違う。
切り替え上手でうらやましい。
ご飯を食べる。
サワラは照り焼きに化けたようだ。
俺には豚の生姜焼きがついてきている。
うまい。
「もっとお野菜も食べなさいよ」
注意を受けて菜っ葉を食べる。
お揚げと炊いてある。だしがしみてうまい。
幸せだなあ。
すっかり満腹になってお片付けを引き受けて台所へ。
洗い物をしていたら律君が来た。
コーヒーのボード片手に悩んでいる。
「山沢さん、これ、一番苦くのないのってどれですか」
「そうだなぁこのへんはどうかな。こっちは普通のサイズ、これはエスプレッソがお勧め」
うーん、と悩んで両方作って持って行った。
俺は今日は酒が良いなぁ。
洗い物を終えて居間に戻り先生を誘った。
「八重子先生、酒飲みたいんですけど先生連れてって良いですか」
「ここで飲んだら良いじゃない」
「律君に絡んで良いのなら」
「えっ僕?」
「それは困るわねぇ」
「行ってきたらいいよ」
うんうん、と律君もうなづいてる。
「しょうがないわねえ」
「じゃお酒取ってきますね。行きましょう」
冷蔵庫でよく冷やしたお酒を持って先生とあちらへ行く。
途中近所の人に会い先生が立ち話を始めてしまったものの、時間も遅いのですぐに別れた。

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