この体に入り、ある程度使いこなせるようになったころ、
「夫婦」というものには「夜の営み」が必要だといっていたことを思い出した。
たしか蝸牛は八重子と同じ布団に入って何事かしていたように思う。
八重子にこの尿を排出する部分を入れていたような気がするがよくわからない。
第一このような柔らかい物をいったいどこに納めるというのだろう。
八重子に会ったときに夜の営みとは何をどうすればいいのか聞いてみたが、
律がいるからしなくていい、聞くなといわれてしまった。
よくわからないままだ。
絹にも聞いてみたが、したいんですか?困ったわね、といって悩んでいるようだった。
それっきり、話題にもならないまま律が大学生とか言うものになった。
律の友達というのが家にきて、その男の持っていた雑誌でなんとなくわかった。
夜の営みとは子供を作る行為で快楽を伴うようだ。
尿を排出するだけではないらしく、擦れば快感が沸くという。
本に書いてあるようにやってみたが別段快感というものもなくよくわからなかった。
絹はどうなのだろう。
生徒の山沢とか言う女が最近、晩飯のときにいる。
絹と仲がいいらしく八重子ともお茶を飲む姿をよく見る。
この間は絹と同じ布団で寝ていた。
きっとそういう行為をしているのだろう。
女同士でもそういう行為があるとあの本には書いてあった。
AVなるものを見たことがあるが、そういう声が聞こえていた。
「夫婦」ではなくともするとも書いてあったから普通のことなのだろう。
人の世はよくわからないから。
最近絹はよく外泊をするようになった。
着物が少し派手になってきた。
楽しげだ。
山沢とか言う女がいるとこちらを見ていないことがある。
なにかもやもやとする。