さあ本格的な連休前だ。
荷物も動いて忙しい。
汗をかいてしっかりと仕事をして帰宅する。
シャワーを浴び、空腹のまま先生のお宅へ急ぐ。
「こんにちはー」
「いらっしゃい。お腹すいてる?」
「すいてます」
「すぐご飯にするから待ってて頂戴ね」
「はい。あれ? 八重子先生は?」
「お母さんねぇいま町内会の会合なの。もう少ししたら戻ってくるはずよ」
「じゃお手伝いしましょう」
野菜を先生が切る横でジャガイモを剥く。
ついでに夜の下拵えらしい。
「痛っ!」
「どうしました、ああ、こりゃ痛そうな」
指を少し切ってしまっていてつい舐めてしまった。
「う、痛いわ…」
「おいし…じゃなかった、ちょっと待っててください」
抗生物質と絆創膏を持ってきて血をできるだけ出してから塗りつけて巻く。
暫く圧迫。
先生の腕に垂れた血を舐めとる。
ん、着物にはついてないね。
そろそろ血は止まったかな? そっと離してみる。
にじみ出てこない。良さそうだ。
先生には指示を飛ばしてもらうということで食事の支度は交代。
「ねぇ…血、好きなの?」
「今更何を」
笑ってキスをする。
「だめよ…こんなところで」
「血の味しましたか?」
「…血なんておいしくないでしょ」
「まぁ嗜好品というか」
結構自分の血も舐めるけれど。
お昼を作り終えて配膳。
「いいから座ってて。傷口開いたら困るでしょ?」
「ありがと」
八重子先生の分は台所に残しておくか。
「ただいまぁ」
ナイスタイミングで帰ってきた。
「おかえりなさ~い」
「おかえりなさい、町内会どうでした?」
「ほんっと決まらないねえ。時間の無駄だよ」
八重子先生はそういいつつ手を洗いに行ったのでその間に配膳を済ます。
孝弘さんに食事を持って行って戻って三人でお昼を食べる。
ん、ちゃんとうまい。
先生から指示貰って味見もしてもらったからこれでまずかったらおかしいけど。
「あんた指どうしたの」
「さっき切っちゃったのよ。だから今日は山沢さんが作ってくれたの」
「血、止まってるみたいですけど傷口開くようだったら縫ったほうがいいでしょうね」
「縫うの? 怖いわ」
「縫わない方法はありますが結構痛いですよ? 接着剤で止めるんですけど」
「痛いのもイヤよ」
「痛くないの、指には難しいんですよね。すぐはがれちゃって」
んー、といいつつ悩んでる様子。
「まぁ様子を見て考えましょ」
「そうね」
お昼ご飯を食べ終わってお片付け。
孝弘さんのところから八重子先生がお膳を回収してきたのも洗う。
水がぬるくなったなぁ。
「一服したらお稽古するよ」
八重子先生がそう仰る。
「用意は…」
「朝ちょっとお稽古したからね、炭だけ用意すればいいよ」
「わかりました」
三人で暫くおしゃべりをして。
それから先生と炭の支度。
「今日はお薄とお濃とするわね。忘れちゃってるところ有るかもしれないから」
「はい、お願いします」
お稽古を一くさりやって、幸い間抜けなことはせずにすんだ。
水屋などを片付けたあと先生がお風呂に入る、と言う。
「その指で?」
「やめときなさいよ、傷口開くよ」
「でも汗かいちゃったもの」
「うーん、じゃ一緒に入りませんか?」
「そうしなさいよ、山沢さんに洗ってもらいなさい」
「一人で入れるわよ」
「ダメですって。洗ってあげますから」
「じゃ悪いけど…」
脱ぎにくそうにしているので着物と帯を脱がせ風呂場へ。
襦袢や肌着を洗濯籠へ入れて風呂に入る。
身体も頭も優しく洗ってあげた。
まぁちょっと胸を触ったり股間に指を滑らせたりキスしたり。
泡をすべて流し、軽く拭いて二人で風呂から出る。
む、浴衣が一枚しかない。
ここは先生に着せるべきだろう。
ないもんはしょうがない、と裸で風呂から出たところに律君が帰ってきた。
なんか先生が慌ててる。面白い。
笑ってたら先生に叱られた。
「横着して着ないんだもの。襦袢でも着たらって言ったのに」
着替えて居間に戻ったら先生が律君と八重子先生相手に喋ってる。
「あぁ、あんたねぇ、律も年頃の男なんだからもうちょっと気をつけなさいよ」
「ははは、すいません」
律君がこっち見れないでいる。
若いなぁ。
「はい、先生、手、出して」
「ん?」
「ちょっと血がにじんでるから」
先生の指から絆創膏を外し、湿したガーゼで拭き取る。
清潔にしてハイドロコロイド材で密閉した。
「一番痛くない方法で様子見ましょうね」
ごみを捨てて八重子先生からお茶を貰って一服。
もうちょっとしたらお夕飯の支度をする、と先生。
律君は要らないらしい。
旅行に行くとか。
彼女と?と思えば近藤君らしい。
はよ彼女作ればいいのに。
律君がそろそろ用意してくる、と部屋を出て行った。
この家の連休中の予定は律君が旅行に行くくらいのものだそう。
孝弘さんいるから食事がね。
ということで夕飯作る時間だ。
先生と台所。
指示を貰っていろいろ煮炊きをする。
味見。
うん、先生の味だ。
ことこと炊いてるとといい匂いがして、孝弘さんが台所に顔を出す。
先生が笑ってお饅頭を渡してる。
なんかいいなぁ。
最後に俺の分の野菜炒めを作って八重子先生と配膳。
さて食事だ。
煮物がちゃんと先生の味になってて美味しい。
律君はご飯を作ってる間に出発の挨拶をして行った。
なんか心配になるのはトラブル体質だからだな。
孝弘さんは饅頭食べたのに勢いよく食べる。
平常どおり。
GWというがこの家は平穏で落ち着く。
「お母さん、ちょっとー」
「あら姉さん、いらっしゃい」
「どうしたんだい?」
環さんだ。どうしたんだろ。
「こんばんは」
「あぁ山沢さん、今晩は。律は?」
「旅行なのよ~」
「あんたもご飯食べる?」
「あ、いただくわ」
お茶碗とお箸を取りに台所へ立つ。
「あら」
お茶碗を先生に渡してご飯をよそってもらってお箸と共に環さんの席へ。
「ありがとう」
暫く食べてやっぱりお母さんのご飯美味しい、と環さんが言い、先生が笑う。
「それ、山沢さんが作ったのよ」
「ええっ? ってなんであんたが作ってないのよ」
「指、ちょっと切っちゃったの。ほら」
すけて見える傷口に環さんが引きつってる。
「へぇ~、環さん、傷とか見るの苦手ですか」
「あら、私も苦手よ?」
「先生はわかってますって」
「山沢さんあなた平気なの?」
「だってこれ山沢さんにしてもらったんだもの」
「仕事柄結構さくさく切りますし。何針とかも結構ありますよ」
「そうねぇ、山沢さんの手、傷だらけよねえ」
「年々治りは悪くなってますけどね」
なんて話をしてご飯を終えて洗いに立つ。
環さんはその間に八重子先生とお話してるようだ。
あー、八重子先生がなんか怒ってる。
こっちきた。
「山沢さん、あっちの部屋の鍵かしてくれないかい?」
「あ、いいですよ」
ごそごそと探って渡す。
「環さんと喧嘩ですか」
「そういうこと。じゃあとは頼んだよ」
「はい」
苦笑して洗い物を終えて戻る。
「あらお母さんは?」
「出て行かれましたよ」
「そう…困ったわね」
「なんか盛大に喧嘩されてたようですが」
「うん…姉さんが年寄り扱いしちゃったのよ…」
「あーそれは腹立つかもですね。あ……そうだ、ちょっと失礼」
「どうしたの?」
「あの家電話ないんですよね。俺の携帯預けてきます」
ま、様子見がてら。
てくてくと歩いて部屋に着く。
「八重子先生、山沢です」
「はいはい、ちょっと待って」
招き入れられてどうしたの、と聞かれたので電話を渡した。
「先生も気がかりそうだったから機嫌直ったら戻ってくださいよ」
「年寄りなのはわかってるんだよ。だけどねぇ」
「腹が立つんですよね?」
「そう」
「俺は八重子先生は年より若いな、と思いますよ。色々と」
普通は娘の不倫認知しないし。
お茶を煎れて渡す。
「まぁ明日には戻るよ」
「わかりました」
テレビのリモコンとIHコンロの使い方だけ教えて帰ることにした。
おうちとは違うからね。
先生を抱いてるベッドで八重子先生が寝るのは少々微妙だなぁと思いつつ戻った。
「おかえりなさい、どうだった?」
「明日には戻るって」
「そう、ならいいんだけど」
心配そうだ。
「気になるなら枕元に携帯置いて寝ますか。それとも様子見てきます?」
「うん…ちょっと行ってくるわ」
はいはい。
孝弘さんにおせんべいを出してそれが綺麗になくなった頃、先生が戻ってきた。
「おかえりなさい。そろそろ寝ましょうか」
「あ、そうね」
そういって鍵を閉めてから居間へ。
「お勝手見てきます」
勝手口の鍵もかけて火の元を確かめる。よし。
居間へ戻ると孝弘さんは離れへ戻ったらしく先生が脱ぎ始めていた。
ん、色気を感じる。
「痛っ」
「紐、外すときに当たりますか? 外してあげますよ」
しゅるしゅると紐を抜いて肌襦袢に手を掛けるとちょっと慌ててる。
ふっと笑って着物を脱がせてハンガーにかけた。
「寝巻どこやりましたっけ」
寝間に、というので襦袢を着たまま移動する。
ほどくだけほどいてあげて先生が着替えてるうちに布団を敷いた。
俺も寝巻きに着替えて一緒に布団にもぐりこむ。
今日は暖かかったから寝間の涼しさに布団が心地よい。
するっと先生が俺の胸に頬をつけてきた。
可愛いなぁ。
多分今日はする気になれないだろう。
頭をなでて背中をなでて寝かしつける。
「いいの?」
「いいよ」
まぁしたいけど。しょうがない。
懐の中で時折溜息が聞こえる。
色々悩むこともあるんだろうが俺には相談しても仕方ないと思ってるんだろうな。
ちょっと情けなくは思うが。
もぞ、と先生が動く。
ん…キスされた。
「おやすみなさい」
なんだ寝る前のキスか。
「おやすみなさい」
しばらくしてやっと寝息。
良く寝られなかったようでよく寝返りを打っていた。
ということで布団に置き去りにして朝食を作る。
途中八重子先生が帰ってきたのでお茶碗とか出してもらった。
「絹は?」
「あまり寝られなかったみたいなので布団の中ですよ」
どうせ怪我してるし水触らせられんし。
ご飯が出来たから俺は孝弘さん、八重子先生は先生を呼びに行った。
4人で朝飯を食って八重子先生も通常通りに。
先生はまだちょっと屈託のある顔してるけれど。
洗い物をしたら後は家事だ。
洗濯物を畳んで干す。
下着は八重子先生がすることにして。
天気が良いから昼過ぎには乾くかもしれない。
先生はその間に掃き掃除をしている。
それくらいなら怪我には触らないだろう。
雑巾がけは俺が。
「お昼ご飯どうするー?」
「わしはいらん」
「あら」
「ちょっと出てくる。夕方か夜になる」
何か大物見つけたかな。
「山沢さんあんた何が食べたい?」
「んー…三人、明日お稽古はない……焼肉とかどうですか」
「あら、長いこと行ってないわね」
「そうだね、たまにはいいかも」
「じゃあ着替えるわ。山沢さん、手伝って頂戴」
さっきは八重子先生に手伝ってもらったらしい。
洗える小紋に着替えて帯も洗えるものに。
焼肉も着物で行くのか、凄いな。
八重子先生お勧めの焼肉やさんについた。
肉屋が経営しているらしい。
とりあえず6人前ほどロースやランプなどを頼む。
焼き野菜とかサラダも。
先生方はあまり食べなくて俺は沢山食べる。
「ほら、もっと野菜食べなさい」
先生が俺の更に椎茸やら獅子唐を次から次へと入れてくる。
帰ったら草引きしないと、と仰る。
「だめだめ、傷によくない。俺がやります」
「そんなの悪いわよ」
「治りにくくなってる自覚あるっていってたじゃないですか。とっとと治しましょ」
ということで肉を先生にも食わせる。
良質のたんぱく質を取って早く治すべし。
俺が誘ったので、と支払いを済ませて帰る。
午後は草むしりだ。
野良着に着替えて広い庭の草を取る。
先生にそれは雑草じゃないのっとか言われつつ。
気づいたら夕暮れで八重子先生がご飯できたと呼んでいる。
なにかなー♪
着替えて手を洗って食卓につく。
今日は昼しっかり食べたから軽め、と先生方は野菜中心だ。
俺と孝弘さんにはピーマンの肉詰めがついてきている。
美味しくすべてを食べてごちそうさま。
一服したら風呂だ。
八重子先生と孝弘さんが上がったので先生を連れて風呂に入る。
洗ってあげて風呂から出す。
それから俺。
そして風呂を洗って出た。
ちゃんと八重子先生が浴衣を置いといてくれてた。
羽織って部屋へ寄り、居間へ。
「はい、先生。手」
「先に髪乾かしたら?」
「すぐ済みますから」
昨日のを剥がして傷の状態を見る。
化膿してそうな兆候はないね。
新しいもので密閉。
ごみを捨ててから頭を拭く。
髪が短いから寝る頃には乾いてしまう。
「明日爪切らなきゃ…」
ん?
ほら、と足の爪を見せてくる。
「随分伸びちゃってたわ」
「ほんとだねぇ」
「手の爪は家事してるとあまり伸びませんよねえ」
しかし夜爪はやっぱり切らないんだな。
戸締りに立ったついでに火の元を確認して戻る。
「さ、寝ましょうか」
「そうね。お母さんおやすみなさい」
「ん、おやすみ」
「おやすみなさい」
部屋に連れ立つ。
布団を敷く。
先生を引き寄せると良い匂いがする。
シャンプーとか一緒なのに。
胸をまさぐり、していいか聞く。
布団に入ってから、と言うのでもぐりこんだ。
先生も入ってきたのでキスする。
今日は少々痕つけたところで構うまい。
律君居ないし。
乳房や腹、太腿にキスマークをつける。
手をやると結構に濡れていて嬉しくなった。
少し音を立てて弄るとダメという。
そういうけど気持ち良さそうで。
俺の手をかんだり、爪を立てたりして我慢してかすかに喘いで。
ぞくぞくするくらい綺麗で色っぽくて。
何度か逝かせたら満足した。
汗が冷えないうちに寝かせて、俺も昼の疲れでよく寝た。
朝はいつものように先生を置いて朝ごはんの用意。
八重子先生と二人。
「あんた明日は仕事?」
「そうなんですよ」
「終ったらおいで。お稽古するから」
「いいんですか? じゃお言葉に甘えます」
今日の予定はと聞けば蔵の片付け。
朝御飯終わりしだい。
ということでさっさと朝飯を食って蔵へ。
先生はまだ寝ている。
八重子先生に、あれをここに仕舞ってこれはこっちへと指示を受けつつ。
「男手じゃないけど助かるよ。重いから辛くてね」
「もう数年もしたら律君も重いもの軽々と持つようになりますよ。まだ途上でしょう」
「律じゃ茶道具はわからないからねえ」
「まったく?」
「興味ないみたいだよ」
「勿体無いなぁ。けど家でやってるとそんなものかもしれませんね」
昼前、そろそろお昼の支度しないと、と思ったら先生が呼びに来た。
いつの間にか起きてたらしい。
ん、先生の頬に枕のあとが。
指摘すると俺の顔には埃をこすった痕がついてると。
八重子先生が手を洗って着替えに行き、俺はついでに洗顔も。
着替えて食卓に着く。
孝弘さんがまたもや出てるのでスパゲティだ。
クリームパスタってやつだな。
残ってた塩鮭、水菜。
「お味噌入ってるのよ」
へぇ、うまいなぁ。
色々作るよね。
ふぅふぅいって食べ終わる。
ご馳走様をして洗い物。
「あ、お鍋とか洗ってないからよろしくね」
台所に行くと散乱はしてないものの洗い物は残してある。
八重子先生が見たら怒りそうだ。
それとも傷が治るまでは八重子先生も大目に見るかな?
綺麗さっぱり洗ってお茶を頂いて一服したら先生は掃き掃除、俺らは蔵整理再開だ。
夕方、日が暮れるまでかかってようやく目処がついた。
「お風呂、お湯張ってあるから入って」
先生から声がかかり一番風呂をいただく。
すっきりしてからお夕飯を手伝い、風呂上りの八重子先生と孝弘さん、先生で食べた。
「じゃ、俺そろそろ帰ります」
「お疲れ様。また明日ね」
今晩の洗い物は八重子先生がするらしい。
電車に揺られて睡魔に誘われる。
帰宅してベッドになだれ込みたいのを我慢して脱いでハンガーにかける。
ベッドに倒れこんでお休みなさい。
疲れを何とか回復した朝。出勤。
競り中に地震、少し慌てたが…まぁなんともなく。
事務方は大変そうだったけど。
朝は少しばたつく。
でもその後は暇になった。
悠々と仕事を終えて帰宅する。
シャワーを浴びてから先生のお宅へ。
「いらっしゃい。ご飯食べてきたの?」
「はい。食べてきてます」
「じゃ、早速だけどお稽古しようかねえ」
先生方も早々に食べちゃったらしい。
「そういえば朝方の地震、大丈夫でした?」
「ちょっと揺れただけよ」
「あんたのとこは結構揺れたんだろ」
「それなりに。ちょっと驚きました。でもなんともないですよ」
「絹が電話、っていったけど止めたんだよ」
「ああ、地震とかの後ってどうせ繋がりませんよね」
「心配はしてたのよ?」
「ありがとうございます」
用意をしてお稽古スタート。
いくつかの種類をする。
先生は指の傷があるため台所も草取りも出来ない。
必然的に俺の稽古だ。
お稽古の合間合間に話をする。
八重子先生はどうやら連休中に草取りと蔵整理を完全にしたかったらしい。
が、先生の怪我で半分くらいしか終れてないのが不満だそうだ。
「怪我しちゃったものは仕方ありませんよ」
「でもねぇ予定がって言われちゃったの」
「来週、もう少し手伝いますよ」
「ごめんね」
「早く治ると良いですね。後で傷見せてください」
「ありがと。じゃ次は何しようかしら」
「時間、まだありますし台子したいです」
「じゃ出してきて」
台子を出して組み立てて皆具を定位置に。
それからお稽古。
少し迷ったり悩んだり。
都度つど厳し目の指導をしていただいてると八重子先生がきた。
「あんたらもうそろそろご飯にするよ」
何度かお稽古するうちに日が暮れてたらしい。
急いで片付ける。
火の始末だけは念入りに。
ご飯何かなー。
横で茶入や棗を仕舞ってる先生が綺麗でついキスして叱られた。
でもなー真剣な顔してるときの顔、素敵なんだよな。
「早く片付けなさい。ここではダメって言ってるでしょ」
「はーい」
コツン、と額にこぶしを当てられた。
てきぱきと片付けて台所に行く。
先生と配膳。
今日は肉じゃがだ。
それも牛肉で。
俺が牛肉の肉じゃがが好きだといってたからだそうだ。
凄く嬉しい。しっかり餌付けされてるなぁ、なんて思いつつ。
「そういや律君はいつ帰ってくるんですか?」
「明日の夕方って言ってたっけねえ?」
「多分そう言ってたような気がするけど…どうだったかしらね」
折角兜が飾ってあるのに本人が居ないとはね。
「そういえば昔かぶってみたことあるなぁ」
「あら、山沢さんがかぶるの? 見てみたいわねえ」
「っていくらなんでももう無理ですよ」
頭に載せられてしまった。
先生は俺でひとしきり遊んでそろそろお風呂と言っている。
兜をなおして先生とお風呂。
菖蒲湯だ。
お風呂で先生を洗い、お湯に浸かる。
気持ち良い。
「ここ何年、いや十年以上こんなの入ってないなぁ」
「男の子が居ないおうちならそうかもしれないわねえ」
「最近は一人暮らしですし」
「銭湯とか行かないの?」
「ああ、そういえば冬至のときは銭湯に行ってました。ゆず湯」
暖まったので湯から出て先生の背中を拭いた。
風呂場から出る前にキスを。
後は布団の中で、と言うことで浴衣を着て先生は居間へ。
俺は部屋へ寄ってから先生のもとへ。
「はい手ー出して」
一昨日貼った分は結構ふやけてしまっている。開封して匂いも確認。
膿んでないね。
くっついてきてるから水で洗って拭きとって密閉。
八重子先生が覗き込んでいる。
「結構きれいについてきたねえ」
「縫うより綺麗にくっつきますよね。膿む心配がないならこれが良いですよ」
暫くテレビを見てくつろいで。
そろそろ寝ようという話になる。
「じゃ戸締り見てきます」
「火の元確かめてくるわ」
ぱたぱたと確認しに行ってお勝手も確認する。
さて寝ましょ寝ましょ。
布団の中に二人もぐりこんで先生の胸に触れる。
摘んだりなでたりくすぐったりするたびにかすかな反応があり楽しい。
「ねぇ…」
「なんです?」
「…寝ちゃうわよ?」
「寝れちゃいますか。じゃこっち」
太腿の間に手を差し込む。
「こんなにしてて寝れるんですか?」
「ばか」
結構に先生の身体を堪能してそろそろ疲れたというので寝かすことに。
眠そうな先生も可愛いんだよな。
翌朝、やっぱり起きれない先生を置いて食事の支度。
今日は八重子先生と蔵整理の続きの予定。
ぶつくさ言ってるので俺が泊まった翌日は仕方ないですよと宥めた。
怪我してようとなかろうと朝は使い物にならない。
お昼ご飯を昼前に起きれた先生が作って食事をとる。
午後から草引きかな。
曇り空で少し冷えるが、汗かかなくて済むし。
「午後はどうします?」
「あんたは草むしり頼むよ。絹は蔵の整理手伝って」
「え、あ、そうね」
「だったらこれ使ってくださいね」
白い手袋とナイロンの手袋を鞄から出す。
こないだ買ったのを入れたままだった。
「ありがと。それじゃそろそろ」
はいはい。
「これかぶって」
麦藁帽子だ。
この間うなじがひりひりする、と言ったからだな。
黙々と草を引く。これは雑草じゃないって言ってたな。
あ、ひなげし。
外来種の奴。こんなところにも生えてるのか。
種が落ちないようにむしって捨てる。
少し冷えて、少し暗くなってきた。
玄関からただいまの声。
律君が帰ってきたようだ。
八重子先生と先生は気づいてなさそう。
「あー疲れたー。お母さん、お土産…あれ?」
「おかえりなさい。君のお母さんは蔵で整理してるよ」
「山沢さん…なんか…凄い格好」
「野良着姿? そういえば見たことなかったっけ?」
ははっ、と笑って草引きを再開する。
「えーとおばあちゃんは」
「八重子先生も蔵だよ」
帰った挨拶してくる、と蔵へ行ったようだ。
数分後先生が夕飯の買物に行く、と慌てて出て行った。
どうやら忘れてたらしい。
お夕飯までの間もうちょっと片付けてしまいまおう。
しばし熱中してると先生がお夕飯と呼びに来た。
腰を伸ばす。
着替えて手を洗って食卓へ。
「手抜きで御免ね」
「いや、おいしいです」
「うん結構いけるよね」
「勿論いつもの飯もうまいですが」
「おかわり」
手抜きでもそれなりのものを作れるのは長年主婦をしてるからかな。
おいしくいただいてごちそうさま。
台所を片付けて一服。
「お疲れ様。はい」
チョコとお茶をいただく。
「明日はお仕事なのよね?」
「そうです。で明後日がお稽古ですよね」
「そう。連休だと曜日の感覚がわからなくなるわよね。
律、そんなとこで寝たら風邪引くわよ」
「んー…」
「部屋で寝なさいよ、お布団敷いてあげるから」
お母さんだなぁ。
「なぁに?」
「母親してるなぁと思って」
「母親だもの」
ほほ、と笑って布団を敷きに行った。
「律君、ほら起きて。布団敷いてくれたよ?」
ダメだなー、起きない。
「あんた悪いけど布団に入れてやってくれる?」
「良いですが服どうします?」
「絹に脱がさせたら良いよ」
ほいほい。
担いで部屋につれてって布団の上に転がした。
俺が脱がそうとしたらそれはちょっとと言われて。
先生がズボンのボタンとチャックを外して脱がせてる。
なんだかなぁ…。
へんな光景に見えてしまうのは俺がそういう目で見るからだよね。
シャツも脱がせてパジャマを着せて。
孝弘さんで慣れたらしい。
ここまでやってまだ寝てる律君も凄い。
一緒に居間へ戻って少し喋って。
そろそろ、と帰宅することにした。
「気をつけてね。また明後日来て頂戴ね」
「はい、じゃまたです」
離れ難いけど仕方ない。
電車を乗り継いで帰宅し、着替えてすぐに寝た。
さてさて予想通りに暇な市場。
帰ろうかなー、と思っていると社長が今日から営業月間、と言い出た。
そういえば木曜はホテルまわりでお稽古お休みに、とお願いしたんだった。
先生もあの様子では忘れてるはず。
慌てて電話を入れる。
八重子先生が出てくれた。
いけないことを説明すると八重子先生も忘れてた様子。
前日に気づいてよかった。
先生に言っておいてくれるようだ。
しかし。
土曜まで会えないのか、ちょっと厳しいな。
とりあえず今日は休養日、身体を休めねばならん。
帰宅して風呂に入って寝ることにした。
後は夕方までぐっすりで、腹が減って目が覚める。
飯を食って、そしてまた寝る
ここ数日ずっと先生に触れていたから一日触れないことに違和感がある。
明日も、明後日もか。
土曜は…覚悟を決めておいてくれると良いな。
おやすみなさい。
さて出勤したらやっぱりダメだ、暇すぎる。
8時ごろには9時過ぎの雰囲気を漂わせている。
連休明けだし平日だしどうしようもない。
一旦帰宅してスーツに着替え、営業だ。
会社概要を10部、名刺を大量に持ってホテルへ。
価格交渉もするにはするがメインは購買ではなく料理する人たちだ。
どれほど手間を省けて良いものが持っていけるか。
種をまく作業だ。
とりあえず10軒まわって帰宅する。
げんなりとしたが気分を変えるためにジムに行くことにした。
定番のトレーニングをするがやはりここ暫くしてなかったから回数も落ちている。
今月は木曜はジム通うことにしよう。
身体を疲れさせて帰宅した。
きっと良く寝れるだろう。
布団に潜り込んで熟睡。
10時ごろ妙に温かく重いことに気づく。
また先生が気づかぬうちに来ていたらしい。
可愛いなあ。
「ん、起きちゃった?」
「うん。来ちゃったんですか」
「来ちゃったの。お稽古の後ね、こっち出てくる用が有ったから」
「泊まっても良いって?」
「明日お稽古もないから…いいでしょ?」
「うん。でも今日はしないけど」
「え、あの、期待して来たんじゃないわよ…」
「わかってるよ、照れてるあなた、可愛いなぁ」
「もうっ。寝ましょ、ね?」
「キスだけ」
ねだってキスをしてもらって先生を撫でて一緒に寝た。
起床時刻。
良く寝ている先生を胸の上から枕に下ろして布団から出る。
出勤の支度を整えた。
行く前に寝顔を見てから家を出た。
さて、今日は帰ったら色々したいことがある。
そのためにも仕事をきっちりしなければ。
頑張って働いて、帰る時間に。お昼は先生と取ろう。
機嫌よく帰宅する。
「ただいま」
「お帰りなさい。まだご飯作ってないのよ」
「じゃ着替えて飯食いに行きましょうか」
「あら、なにか作るわよ」
「俺はどちらでも良いんですがどうしましょうね。軽く食ってからあなたを抱くか」
先生は一気に顔を赤くしている。
洗面所でとりあえず部屋着に着替えて先生の横に座った。
そっと抱き寄せる。
「どうします?」
「あ…」
早速ながら身八つ口から手を差し込んで乳首を弄る。
「もう脱がしちゃって良いかな、良いよね」
「ぅ…駄目よ、ご飯…」
「飯よりあなたを食べたいな」
それでも抗ってる。
「縛っちゃおうかな」
ぴた、と抵抗が止んだ。
「相変わらず縛られるのはいやですか」
「縛られるくらいなら今するほうが良いわ…」
「それは残念。たまには縛りたいな」
「明日お稽古なのに…痕残ってて生徒さんに見えたらどうするのよ」
「適当に理由をつければ…」
「いやよ」
「いやって言われるとやりたくなるんですがね」
ごそごそと着物の裾を割り襦袢の裾を割って手を進入させる。
「手首と足首につかなきゃ良いのかな…だったら。タオル越しにしましょうか」
「ぁ…ぅ、やだ、いや」
股間に指がたどり着いた。
たっぷりと濡れていて言葉で弄るとひくひくとしている。
「動けなくして明日の朝までたっぷりと」
ひゅっと息を吸い込んだ音。
「怖い?」
うなづく。ちょっと涙目で可愛い。
ま、とりあえず軽く一回したら飯食いに行くなり何なりしないといかんけど。
陽光が気持ち良いな。
外に食いに行くべきだ。
そんなことも思いつつ弄ってたら腹がなった。
呼応するかのように先生の腹も。
なんとなく笑えてきて、先生も笑ってしまってる。
「やだもう、恥ずかしいわ」
「あはは、飯食いに行きましょうか。ああでも軽く逝ってからのほうが良いよね」
「ひ、あぁっ」
突起をすりつぶすようにして一気に逝かしてやった。
がくがくっとして俺にぐったりともたれる。
んー、可愛い。
少し落ち着かせて、さぁ昼食いに行こう? どこかテラスのある喫茶店で。
そういうと着なおしてくる、と和室へ行った。
俺も流石に部屋着のままとは行かないから手を洗って着替える。
さて先生とならいつもの喫茶店よりはカフェかな。
よし、あそこにしよう。軽めに食ってケーキを頼めば良い。
先生を連れて行く。
テラス席をお願いしてメニュー。
先生はサンドウィッチ を頼んだ。俺は…カレーだな。
ヘーゼルナッツラテに興味津々の先生が頼んだ。
俺はジンジャーエール。
ホウレン草のチーズケーキと玉子焼きプリンを頼む。
んー、味はまぁまぁか。
ヘーゼルナッツラテが甘すぎたらしい。俺のジンジャーエールと交換だ。
しっかり食べて満腹。
空を見ると怪しい雲行き。
「帰りましょうか」
「そうね」
ゆったりではなく少し早足になってしまった。
帰宅してすぐ、雲の音。
雷が鳴り始めた。
テレビをつけると竜巻注意報?
バラバラと雨音。
おお、凄く降り出した。
「よかったですねえ、セーフセーフ」
「危ないとこだったわね」
ほうっと息をついて先生を和室に連れて行く。
「なぁに?」
「さっ脱ぎましょうね」
顔が引きつってる。
早速過ぎたか?
「あの、もうちょっとお腹こなれてからじゃ駄目?」
「食いすぎた?」
「じゃなくても食べてすぐはちょっと辛いわよ。あなたの上に吐いても良いの?」
「…それはそれで良いかも」
「私はいやよ」
「そんじゃま、浴衣にでもどうぞ」
着替えさせて居間に連れてく。
膝の上に乗せて抱きこんで暫く…。
トイレに行きたいそうで離してと言われた。
大か小か聞くと小らしい。
ふむ…。
離さずに暫くいると自力で脱出しようとしている。
あ、ちょっと怒ってる。焦りだした。
「ちょっと、ねぇっ、離して頂戴よ」
「だーめ」
下腹部を軽く押さえたり揉んだりするとうめいてる。
「出しちゃいなよ」
ぎょっとした顔。
「そ、そんなのできないわよ」
「ほらほら、したいんでしょう? ほら」
くいっと膀胱の上あたりを押し込む。
「や、やだやめて、ねぇっ」
しっかりとマッサージするかのように押したりつついたり。
「だめ、ねえ離して…」
ふふん。ぐにぐにと中からも刺激を。
「ぃやっ、あ、う…」
ちょろっと出たっぽいな。更に刺激する。
「あっあぁっ…」
じわっと膝が温かくなってきた。
「ほら力を抜いて」
「酷い…こんなの…」
どうも止まらないらしい。
出終ったころには俺も先生もぼとぼとで、先生は泣いている。
そのままキス。
「よくできました。風呂入って良いですよ」
抱えあげて風呂へ連れて行き、汚れた浴衣を洗濯機に放り込む。
すすぎ1回してから洗濯だ。
先生がシャワー使っている間に床の始末。
少し水溜りと、風呂場まで転々と滴っているのと。
始末を終え、風呂場に入る。
呆然とシャワーを浴びている先生の身体を洗い、俺の足も洗って出た。
先生を拭いてベッドの上へ。
されるがままになってる。
「洗濯機、回してくるからちょっと待っててくれるかな」
こくり、とうなづく。
すすぎがおわってたので洗剤を入れて脱水までセットした。
手を洗って先生の横に戻る。
ぐに、と頬をつままれた。
「なんでいやっていってるのにあんなことするの!」
「させたかったから」
「もうっ!今日はもうさせないから!」
「あなた俺に勝てると思ってる? させないって言っても無理でしょ」
そっと乳首をつつく。
その手をぎゅっと握られた。
「わかってるわよ。かなわないの…でも。あんなことはいやよ」
「はいはい、今回だけね今回だけ」
「もうしないって約束して頂戴」
「どうしようかな」
「悩まないでよ」
キスして、しょうがないな、と約束した。
「トイレでだったら良い?」
先生の股間を弄りながらそう聞く。
「ばか、いやよ。だけど…こんなことされるくらいなら…」
譲歩してくれた。
縛って手を使えなくしてトイレに入れて拭くのは俺、とかも良いな。
それを言うといやいや、と言うがよく濡れる。
恥ずかしい系に反応するよねえ。
そんなさまが可愛くて、キスを何度もしてしまう。
体を入れ替えて先生を上に乗せる。
このほうが楽だ。
そのまま二度三度逝かせてぐったりしている先生の背をなでる。
「お疲れ様」
荒い息が徐々に収まってくる。
壊れない程度に抱くのは少しつまらないが、明日お稽古日だからね。
先生が耳元でふぅっ、と息をつく。
「眠くなってきちゃった」
「寝て良いよ。何なら明日の朝帰れば良い」
「夜またするつもりなの?」
「するかも? したくなったら」
「するの、好きね」
「あなたが好きだからあなたのHなところ沢山見たくて」
ちょっと顔を赤らめていて可愛い。
背中をなでてるうちに寝てしまったようだ。
布団をかけて一緒に寝た。
夕方目が覚めたが先生はまだ寝ている。
腹減ったなぁ。
何か買ってこよう、と着替えていると先生も起きてきた。
「買い物行くけど何か食べたいものあります? それとも着替えて食べに行きます?」
「ポークチャップ食べたいわ、お願いね」
「了解、もうちょっと寝てても良いですよ」
炊飯器に米をセットして洗えた浴衣を畳む。それから買物へ。
肉屋でスライスを買って八百屋で玉葱を買う。
付け合せは何にしよう。
ブロッコリーとジャガイモと人参を買った。
帰宅して料理をする。
ブロッコリーなどは切って圧力鍋に入れた。
あとは炒めるだけだ。楽だなぁ。
一人だと多くなるから作らないけど。
炊飯器が蒸し時間に入った頃、先生が起きだしてきた。今度はちゃんと寝巻きを着て。
ぼんやりと食卓の前に座ってる。
ご飯が炊けた。
圧力鍋の蒸気を逃がす音に先生はビクッとした。
可愛い。
お皿に盛ってカウンターに乗せると先生が食卓を片付けだした。
ポークチャップも盛り付ける。
ご飯をお茶碗に。
お箸と取り皿を渡してさてメシだ。
先生が微妙な顔してる。
「ポークチャップじゃないのね…」
「え?」
「ポークチャップはポークソテーのお肉よ?」
「ええっ俺こっちしか知らない…」
「まぁいいわ。今度作ってあげるわよ」
いただきます、と先生が食べ始めた。
「これはこれでおいしいわね」
「よかった」
二人で全部食べて先生はおかわりもした。
「おちついたらおうちまでお送りしましょう」
「ありがと」
台所を片付けて、着替える。
先生も着替えて帰る用意。
「さてと、忘れ物ないわね。じゃ乗せてくれる?」
「はいはい、どうぞ」
後ろに乗せてドライブ開始。
先生はまだ少し寝足りなかったらしく良く寝ている。
気持ち良さそうな寝息はやばい。
運転に集中して先生のお宅へ到着。
「つきましたよ…ってまあ良く寝てるな」
抱え込んでお家へつれてはいる。
「あら山沢さん、あんたまぁ…寝ちゃってるの?」
「ちょっと疲れさせちゃったもので、すいません。布団敷いてくださいますか」
「はいはい、ったく」
先生の部屋に布団が敷かれて、先生を脱がせて布団に入れる。
軽くキスだけして、部屋を出て八重子先生に暇を伝えて帰った。
俺も眠い。
と言うことですぐに寝た。
朝起きて洗濯物を干す。
土曜はそれなりに売れて忙しい。
急いで帰ってお稽古へ。
水屋を用意したり生徒さんの客をしたり。
俺のお稽古も今日は軽めに。
ご飯の炊けるにおいに集中力を破られた。
それで叱られたけれど。
水屋を片付けてお夕飯をいただく。
やっぱり美味しいなぁ。
律君が部屋にかえって孝弘さんが離れに行った後、八重子先生に愚痴られてしまった。
八重子先生に暫く説教されてしまって今晩は別の部屋、ということに。
うーん、残念。
先生方がお風呂に入られて、今日は先生は自分の部屋へ帰っていかれた。
戸締りや火の元を確かめて寝間にはいる。
布団を敷いて入ったが…この部屋で一人寝とは妙な感じだ。
少し寂しい。
仕方ないかと寝付いたが一時間ほどして。
先生が布団に入ってきた。
「別の部屋じゃないと駄目って仰ってたのに…」
「だって…」
可愛いなぁ、うん。
キスをしたけど眠そう。
「眠い?」
「ん、眠いけどしたいなら…頑張るわよ?」
「可愛いこと言いますね。でも今日は良いよ。眠いなら寝なさい」
「いいの?」
「して明日起きれなかったら二人して八重子先生に怒られそうじゃないですか」
「あら、そうね」
くすくす笑って俺の胸に頬をつけて。
くにくにと俺の乳首を弄ってる。
「ほら、寝ますよ」
「うん」
「おやすみなさい」
「おやすみ」
そういいつつも暫く弄っていて、段々緩慢になってきたと思えばやっと寝息だ。
ふうっと息をついて寝た。
翌朝は久々に三人で台所に立つ。
「あんたら今日予定は?」
「特にはないです」
「なぁに? お母さん」
「呉服屋さん行ってきたら? 山沢さんの夏の着物見立ててやんなさいよ」
「ああ、そろそろ暑いし単衣にしようと思ってたんですよね」
「あらでも今から間に合うかしら」
「来月には着られるんじゃないかねえ」
「少し高くても早めに仕立ててもらえば良いんじゃないでしょうか」
「まぁねぇ」
「じゃ、どこ行こうかしら」
「諸津さん、とかどうかねえ」
「あらいいわね」
「じゃ10時くらいに行きますか」
「そうね」
朝御飯を頂いて、それからどんなものが良いか、と言う相談をする。
絽の5つ紋の黒はいるだろうか?
いやいらないんじゃないか、いざと言うときはおじいちゃんのがあるからなどと。
そういうわけで連れ立って呉服屋さんへ。
いくつか見せてもらい、先生がお稽古や普段着に良さそうなものを選んでくださる。
特急で仕上げていただくようお願いして支払い。
夏か…夏…。
「先生。夏の間あっちに泊まりません?」
「ん?どうしたの?」
「虫苦手なんですよね」
「蚊帳吊るわよ?」
「それでもイヤです」
「仕方ない子ねえ。お母さんに相談してからね?」
「ぜひお願いします」
くすくす笑ってる。
「あなたそんなに苦手なの?」
「凄く苦手です」
「じゃ夏の草むしりできないわねえ」
「それは我慢します」
いいこいいこ、と頭をなでられた。
先生のお宅について八重子先生とお話しする。
八重子先生は苦笑して許可してくれた。
そう毎回は無理かもしれないが先生つきであちらで、と。
お昼ご飯を作って食べて先生にもたれかかられて。
ちょっと暑いかな。
これからもっと暑くなったらどうしよう。
くっつきたくないって言われるかな。
いやあちらの部屋はクーラーつけれるからきっとなんとかなる。
しばらくゆったりとして夕方になった。
「さてそろそろ帰りましょうかね」
「あら? お夕飯食べていかないの?」
「ん、今日は良いです」
「じゃお買い物行くからそこまで一緒に行きましょ」
「はい」
「お母さん、今晩何にしましょ」
「そうだねぇ」
献立を決めている間に身支度を済ませ、何にするか決まった先生と玄関へ。
人目がないのを確認してかすめるようにキスした。
コツン、と額を小突かれてそのまま一緒に。
途中でお別れをして俺は駅へ、先生は買物へ。
さびしい気分になりつつ帰宅する。
いつの日かずっと一緒に暮らせたらいいのになあ。
帰宅後、少し落ち込んで布団の中にもぐった。
すぐに眠気がやってくる。
おやすみなさい。