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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

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2

そして土曜日。
今日は前回より少し遅い目についた。
ちょうど買い物から帰る女を追い越して車庫に入れる。
「こんばんは」
「あ、いらっしゃいませ、夕飯、今からですけど」
「居間で待ってるよ。急がなくてもいい」
ほんの少し、前回よりは堅さが取れてはきた。
だが夕飯の後、やはり風呂から上がった後は警戒しているのを感じる。
今日も部屋へ追い返した。
そんな日々が一ヶ月ほど続き、忌明けを迎えた。
女は色喪服から少しトーンを上げた着物を着始める。
それなりに俺が週に二度来る事にも慣れたようだ。
いつものように夕飯を共にする。
暫くくつろいだ後、風呂を立てる、と言うのをとどめた。
鞄から縄を出す。
すっと女の顔色が青くなった。
「なにを…」
「静かに。おとなしくしなさい」
後ろに回り、そっと肩を掴む。
びくりっと身じろいだ。
殊勝にも抵抗せず任せている。
手首を後ろに持って行き縄をかける。
「あぁ…」
諦念の溜息か声が出る。
胸に縄を掛けて行く。
うん、いいね、いい表情をする。
足首に、ふくらはぎに。太ももに縄を掛ける。
十分に楽しんで、解いて行く。
少し解いては違うところを縛る。
いつ終わるとも知れない、そんな思いを抱くだろう。
まだ吊りはしない。
暴れられると危険なのもある。
ほつり、と涙をこぼした。
美しい。
そろそろ疲れを覚えたので縄を解いた。
ゆっくり解き、腕をさすってやる。
痺れはないか動かなくなったりしてないかを確認してから客間に布団を敷きに立った。
着替えられそうにないようなので肌着に剥いて布団に放り込む。
少し抵抗していた。
俺は火の始末や戸締りを確認して女の横に横たわる。
なし崩しのsexかと警戒しているが俺はもう疲れている。
そのまま寝てしまった。

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1

「おう、久しぶりだなぁ」
街で柳本に出会った。
コイツは昔のなじみでヤミ金をしている。
「どうしてんだ? 最近。儲かってんのか?」
「それがなぁ、過払いとかなんだとかうるさくてよぉ」
「ああ、よくCMしてるな」
「そうだ、兄ィ。いい話があるんだ」
事務所に来てくれ、と言われ着いて行った。
「咲田ちゃんじゃないの、久しぶりだネ」
「おやっさん。ご無沙汰してます」
「へへ、この間の新野のレコの件、兄ィにと思いやして、どうでしょう」
「いいんじゃないの~、咲田ちゃん好きそうだものネ、ああいう子」
実は、とおやっさんから説明を受ける。
どうやら女遊びで金を借りた男が先日死んだらしい。
利息が膨れ上がり1200万。
家屋敷を売り払っても古屋敷に土地代では足りるわけもなく。
嫁を風呂に沈めたところで歳が歳、そう稼げないという事のようだ。
俺が女込みで買うなら800万で手を打つと。
「どんな女だい?」
「今から行きやしょうぜ」
柳本の舎弟が誘いをかける。
「行っといでよ、きっと咲田ちゃん好きになるヨ」
おやっさんに押し出されるように車に乗り込む。
女の家に行くまでに説明を求めると舎弟がべらべら話し出した。
「歳は41、年増っすね。家で若い女相手になんか教えてるらしいっす」
「センセイ様か」
「あんなに若い女がいるのに風俗に使っちゃうんだからバカっすよねー」
「そりゃあおめえ、好みってもんがあるだろうよ」
下卑た笑いに包まれる。
家に着くと和風建築。確かに古い。
柳本が訪いを告げて上がりこむ。
疲れた顔をしているが女は美人だった。
色喪服と思われる行儀小紋が静かで良い。
「まだ用意できてないんですの…。お願いしますから風俗だけは…」
「そいつはこの人次第だ」
女はハッとこちらを見上げる。
「それはどういう…?」
「この人がなぁ、あんたを気に入ればあんたごと買って下さるとよ。良かったなぁ」
「そ、そんな!」
「良いじゃねぇか風俗で知らねえ男のちんぽ何百と舐めたり入れたりしなくていいんだぜ」
「うっ…」
がっくりとした様子で可哀想になるが美しい。
「おい、自己紹介しねぇか」
「…新野良介の妻、静江と申します」
そこで止まってしまったので聞いてやることにした。
「何か先生をしているそうだが?」
「あ、はい、お茶とお花を教えております」
「そうか。手伝いは居るのか? 一人でやってるのか?」
「いえ、一人で…」
じっくりと観察する。挙措動作。品は良い。
しばらく眺めてから脱ぐように言った。
「えっ、そんな、出来ません」
「出来ませんじゃねえだろ、買ってもらうんだ、どうせ見られるんだぜ」
「お前ら後ろ向いてろ。俺の女にするんだ、お前らが見て良いと思うか?」
「おっとそりゃあ悪かった、おい!」
「へい」
女に隣の部屋へ行くよう促し、ふすまを閉める。
覚悟は決まらないようで解く手が止まるのを宥めたりすかしたりで脱がせた。
歳の割りにたるんでいない。
普段から着物なのか寸胴気味で胸はたれているがなかなか悪くない。
「気に入った。着ても良いぞ」
そう言って隣室に戻り柳本と買う話を本決めにした。
「おやっさんに口座番号を聞いてくれ」
その場で携帯から振込みを行う。
すぐに入金の確認をしてくれてこれで契約成立だ。
「へへ、やっぱり兄ィに言ってよかった」
「回収できねぇからどうしようかって思ってやしたよ」
「俺は女ともうチョイ話をしていくからお前ら先に帰って良いぜ」
「兄ィもうヤッちまうのは早くねぇか?」
「まだヤんねぇよ、話だ話し」
追い返して少しすると着替え終わったようで戻ってきた。
お茶と茶菓子を持って。
「あの、お茶を…どうぞ」
ちょうど喉が渇いていたので頂く。
少しぬるめ。うまい。
「私、これからどうしたらいいんでしょうか…」
「これまではどういう生活をしていた?」
「え?」
「毎日いつ起きて、何をしていたか言って見なさい」
4時半に起きて庭と玄関の手入れ、茶室の支度を整え弁当を作り朝飯を食わせ送り出し。
朝稽古、昼稽古、夕飯の支度、食事、風呂、団欒、就寝と日々の生活を聞き出した。
「そうか、だったら…」
カレンダーを確かめる。よし、火曜だ。
「火曜の夕方。とりあえず私の分の夕飯も作ってくれ」
「あ、はい」
「泊まるから」
「……はい」
「っと。法事は? その日は来ないから言いなさい」
手帳を小引出から取り、紙に書き写して渡してくれた。
「あの、一応この日です」
ふむ、きちんと七七日するようだ。
「なぁ、あんたなんで相続放棄しなかったんだ?」
「夫の車を処分してしまったものですから…知らなくて。こんなことになってるなんて…」
「あー、車ね、結構高く売れたの?」
「お葬式と、夫が友人にしていた借金を返しましたのでもうないんですの」
「ほか、もう借金はない?」
「舅と義兄に少し」
「それは返さんで良い。あんたの旦那が借りたもんだ。何か言ってきたら相手してやろう」
「はい…」
いくつか質問をし、おおよそのことは掴んだ。
ふと気づけば日が落ちている。
「ああ、もうこんな時間か。良ければ何か食いに行こうじゃないか」
「あ、でも…」
「ん? 精進か? このあたりどこか精進を食わせる店はあるのか?」
「いくつかありますけど…」
「電話してくれ。二人」
「その、夫がこうなってすぐに男の方と二人でというのは」
「外聞に差し障るか」
はい、と恐る恐る言う。
「ならまぁ俺は今日のところは帰ろう。ああ、それと」
財布から10万を出し手渡す。
「取り敢えず手持ちがないと不安だろう」
ほっとした顔で米屋のつけが、と言っている。
「おい、米屋とか魚屋とかにあるのかい、つけが」
「あっ…ええ、あの。先に借金を返したものですから」
「うーむ、ツケはいくらたまっているんだ」
家計簿を持ってきた。ちゃんと書いてるなんて良い奥さんじゃないか。
調べてみるとそんなには溜めていない。
計算して先程とは別に渡してやった。
「これで明日にでも清算してきなさい」
「はい、すみません」
「じゃあちゃんと飯を食って。身を大事にするように」
そういって立ち去った。

数日後、火曜日。
夕方、訪れると若い女の声が賑やかだ。
車庫に停めて様子を伺う。
少しやつれてはいるものの、きりっと優しげな先生をしている。
しばらくすると女どもを見送った静江が鍵をかけて買い物に出た。
こちらに気づく。
顔色が少し変わったが近寄ってきた。
「あの、これから買い物に行きますけれども何かお嫌いなものは」
いくつか答えてやると献立を決めたようだ。
「家でお待ちいただけますか」
「いや、無人の家に上がるのはまだ良くない。ここに居るから帰ってきたら呼びなさい」
ちょっと困った顔をしているが買い物に行かせた。
携帯をいじっているうちに30分ほどが経ち、女が帰ってきた。
車から降りて中へ入るとお茶を出してくれた。
俺が来るから、と言うわけでもなく片付いていて質素でもなく、普通の家庭と言う居間だ。
台所からは炊事の音。
何か懐かしい。
ふと台所を覗くと着物の上に割烹着。
すすけてない白が目に鮮やかだ。
良い買い物をした、そんな気にさせてくれる。
気づかれる前に居間へ戻る。
新聞が置いてあるのを読んだ。
米の炊けるいい匂いがして、仏間から線香の匂いがする。
あぁそうか、仏壇が先だ。
「遅くなりまして」
と女が飯とおかずを運んできた。
食卓に乗ったものを見ると肉がある。
「精進じゃないのか?」
「えぇ、私は精進ですけど…」
見ればおかずは別にしてある。
「手間だったろう。次からは同じもので良いよ」
「あ、はい」
頂きます、と食べ始めても手をつけようとしない。
食べるように促した。
「ん、うまい」
ほっとした顔をしている。
いちいち顔色を見るところがあるが、それはまぁ仕方ないか。
食後、しばらくして風呂を立てたというので入り、くつろいで女が入るのを見送る。
女の長風呂、とは言うが長い。
酒を用意してくれてあったのでちびりちびりと飲む。
ほんのりと桜色に染まった女が出てきた。
色っぽい。
すぐにでも抱きたくなるが思いとどまる。まだ早い。
暑かろうに上っ張りを浴衣の上から重ねており、警戒しているようだ。
手招いて酒を飲ませる。
汗が引いた頃、布団を敷いてきますと女が立った。
トイレから戻ってくると戸締りと火の始末ももうしたので、と言う。
連れられて客間へ入った。
女は布団の横で座って堅くなっている。
「今日はあんたも疲れただろう。部屋へ帰って寝なさい」
「は、はいっ」
そそくさと挨拶をして女は出て行った。

翌朝、味噌汁の匂いに起こされる。
すずめの声。
他人の家だが良く寝れた。
起き出して洗面を使い身なりを整えて台所へ顔を出す。
「おはよう」
「おはようございます」
朝飯も素朴ではあるが質素ではなく、うまいものだった。
それから女は布団を片付け、洗濯物を干し、家事を片付けて行く。
よく働くいい奥さんだ。
こんな女を置いて風俗通いとは。
けしからん。
昼前に茶室へ行き、自分の稽古の準備をしている。
これは事前に聞いてある。
軽い昼飯の後、一人で稽古をしはじめた。
興味もあるので見学をと申し出ると、少し緊張するようだ。
が、集中力はすごく、やはり人に教えるだけのことはあると思わせる。
夕方まで続き、俺は足が辛いので崩したが女はしびれてないと言う。
女曰く慣れだそうだ。
茶室を片付けた後、買い物へ行くという。
今日のところは俺も帰るとしよう。
「次はそうだな、土曜に来る」
「あ、はい」
「飯はあんたと同じでもいい」
「はい」
「それから追々で良いから慣れろ」
「…はい」
肩をぽんと叩いて別れた。

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