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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

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250

コーヒー飲みつつ食べ終わって、手を洗って歯を磨いて戻る。
先生はプリンを食べ終えてテレビに夢中だ。
「ねぇ、牛乳有る?」
「ありますよ」
「カフェオレ飲みたいわ」
はいはい、作ってきましょ。
牛乳を温め、コーヒーを淹れてカフェオレを作る。
しかし最近の牛乳ってロングライフなんだな。
昨日買ったこれなんて常温で5月18日までとかいてある。
「お砂糖は?」
「一つ入れて頂戴」
入れて混ぜてとかしてから渡す。
マグカップを両手でもって美味しそうに飲んでいて可愛いな。
あくびをしながらテレビを見ている。
眠いより見たい気持ちが勝ってるようだ。
「素敵よねえ」
よくわからんけどきれいは綺麗だな。
3時半ごろ、眠くて仕方がなくなったようで俺にもたれてあくびを連発している。
「もう寝たらどうですか」
「だってあとちょっとなのに」
しょうがないな、寝ちゃったらベッドまで連れて行こう。
うつらうつらとしだして、番組が終る。
「さ、寝ましょう」
「ん…お手水行ってから…」
ふらふらよろよろとトイレに行って…あれ?戻ってこない、寝てるんじゃないだろうな。
トイレの前まで行けば出てきた。
「あぁ、寝てるのかと思いましたよ」
「ごめんね、ちょっと大きいほう」
頬染めてそんなことを。
それが可愛くてふっと笑ったらぺち、と額を叩かれた。
抱えあげてベッドにつれて入る。
すぐに寝息。
さて、何時まで寝るつもりだろう。昼に起こせばいいのか?
俺ももう少し寝ようかな。
ならばとトイレに行って電気を消しストーブの温度を下げてからベッドへ戻った。
先生の寝息を聞いて一緒に寝る。
昼前、目が覚めて食事の買物に出た。
買物から戻っても先生は良く寝ている。
ハムエッグとトースト、サラダとコーヒーでいいかなぁ。
用意するのはもう少し待つか。
先生が起きてからにしよう。

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249

夜中目が覚めるとベッドの中にいない。
リビングに出てみるとテレビ見てた。
横に座るともたれられた。
ひんやりとしている。
「風邪引きますよ。あと電気つけたらどうです? 見るなら」
「ちょっと見たくなっただけだから」
「どうせ明日休みなんですし、ちゃんと見たらいいじゃないですか」
「そう?」
うん、といって羽織るものを取りに立つ。
電気をつけてヒーターの温度を上げた。
羽織らせてお茶を渡す。
ペットボトルだけど。
「すごいわねぇ」
「スキー行きましょうか。もう今年は遅いかな」
「私は滑れないからいいわ…あなたは滑れるの?」
「いや、俺も滑れませんけど」
「だったら温かいところで見てるだけがいいわよ」
フィギュアが終ったら寝る、と言ってそのまま俺にもたれてテレビを見ている。
「エキシビションは楽しそうよねえ」
「メダルや順位関係ないから表情も柔らかいし、自由でいいですよね」
…ちょっとまて、テレビ何時まで?
番組表を見ると朝4時まで。
俺が途中で寝てしまいそうだな。
先生は綺麗なものを見るのが好きだから、こういうものも好きなんだな。
俺はそういう先生を見ているのが好きだけど。
暫く見ているうちに腹が減る。
そういえば昨日は常備菜で軽く食っただけだったか。
冷蔵庫には何もない。
「先生、ちょっとコンビニ行ってきますが何か欲しいものあります?」
「どうしたの?」
「ちょっと腹減りました」
くすくす笑ってる。
「こんな時間に食べたら太るわよ?」
「いつもあと1時間ほどで朝食ってます」
「あら、そういえばそうね。じゃ…プリン食べたいわ」
「プリンですね」
ささっと着替えて買物に出ようとする。
呼び止められてマフラーを渡された。
「首、痕になってるわ」
ふっと笑って首に巻き、コンビニへ買いに出た。
なに買おうかな。
パンを2つ選んで缶コーヒーを取り、プリンを4種類選んで帰った。
戻って先生の前に出す。
「どれにします?」
「なぁに?こんなに買ってきたの?」
選ぶ楽しさってあるよね。
一つ選んで食べ始めた。
「おいし…」
横でパンを食べているとそんなに沢山食べるの?と仰る。
多いかな?

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248

サイドテーブルにとりあえず置いといて、続き続き。
指を入れて中を探る。
声の沢山出るポイントを捕らえて責める。
お腹がひくひく動いて必死に息を吸って喘ぐ。
少し悲鳴のような、普段聞けないような声が出て逝った。
足首の縄を外す。
涙と少し鼻水。吸ってやろうとしたが足首に使った手拭を奪われた。
息が荒いのが落ち着くまで待つ。
っと、ティッシュ頂戴、と言うので渡した。
洟をかんで捨てて、少し咳をして、俺の飲み差しのペットボトルのお茶を飲む。
少しして落ち着いたようだ。
ベッドに伏せて大きく一息つき、こちらをちらっと見て手招きする。
横に行くと首を絞められた。
え…何を。
突然のことに身動きもとれず呆然としていると苦しくなってきて先生の手を掴む。
ほんの少し時間を置いて放してくれた。
「けほっ…なんで?」
「これくらい苦しかったんだから…。はい、お茶」
一口飲んで蓋を閉める。
「何をするのかと思った。殺したいくらいうらまれたかと」
「殺したりなんかしないわよ、ばかね」
息が落ち着くとそろそろ寝ましょ、といわれる。
先生は寝巻きを着てトイレに行った。
枕元にもう一本お茶を用意して先生が戻ったので俺もトイレに。
ふと洗面所の鏡を見ると首に指のあと。
明日残ってたら襟巻きするしかないなぁ。
ベッドに潜り込んで先生の背中を撫でると、あふ、とあくびが聞こえる。
「もう一度、って言ったらどうします?」
「え?」
目をあわせ見つめる。
先生は目をそらせて少し赤くなった。
「身体、持たないわ」
そういって俺の懐に顔を埋めた。
可愛いなぁ可愛い、やっぱりもう一度したくなる。
顔をあげさせてキス。
耳を舐め、齧る。
「だめ?」
そっと寝巻きの上から胸を揉む。
太腿の上から手を這わす。
手を潜り込ませて突起に少し指を掛けるといい声が出る。
ちょっと声が出る程度になぶって楽しむ。
暫く焦らせば諦めたのか、中に入れてとおねだりされ、中の良い所をなぶる。
今回はちゃんと息も出来るよう見図りつつ逝かせた。
汚れた股間を舐め取り、先生が落ち着いたので懐に寄せて寝た。

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h19

さて。
まずは家に帰るか。
タクシーに乗り込み自宅へ。
家に入ってストーブをつけてあたたまる。
流石に火の気のない家は寒い。
少し温まったので昼寝。
やはり人の家というのは疲れる。
先生もうちに滞在すると疲れるのかな。いや体力と言う意味じゃなくて。
うとうとして夕方、腹が減って目が覚めた。
食事に出ようか。
電話。
先生からだ。
京都駅に着いたらしい。
迎えに行きます、と言ってストーブを消し着替えを持って駅に向かう。
駅近くの喫茶店を指定しておいたのでそこに向かい先生を確保する。
宿に連絡をする。一応のためだ。
ちゃんと予約は取れていて、二人で一緒に向かう。
「飯、食いました?」
「ううん、まだよ」
「じゃ、チェックインしたら食いに行きましょ」
今回取った宿はホテルだ。
普通のダブルの部屋。
衣桁を二つ、組み立ててセットし、その下に敷きたとうを置く。
先生の持ってきた、明日お稽古で使う紋付を掛けて広げた。
「ね、あなたは明日どうするの?」
「仕事終わったらすぐ着替えて向かいます。昼の最初に間に合えばいいとは思いますが」
「わかったわ、先に行ってるわね」
部屋を出て降りる。
レストランはどこが空いてるだろう。
日本料理にまずいってみよう。
幸い空いていて、二人お願いして席に着く。
懐石の一番高いの、と思ったらすっぽんが嫌だと仰る。
ワンランク落としたものを頼んだ。
酒は、と言うといらないと。
炊き合わせも焼き物も美味しくいただいて最後の水物まで綺麗さっぱりお腹におさまる。
「お昼もラーメンだったから幸せ~」
「ああ、まだあちら流通が?」
「そうなのよ、私が買物出た頃には早朝に入った分すべて売り切れちゃってたの」
「こっちはこれこのように、と言うようですがでも値上がりはしてますね」
ふうっと一息ついて部屋に戻る。
先生は沢山食べてお腹が苦しい、と敷きたとうの上で脱ぎ、衣桁にかける。
肌襦袢を脱いで寝巻に。
…おいしそう。
食欲を感じ取られたのか急に目をそらされた。
うん、まぁもう少しお腹がこなれたらね。
「意外と早く来ましたね、明日になるかと思ってましたよ」
「お母さんが、いけそうなら早く行ったらいいって言うから」
「まぁ明日の予定を考えればそのほうがいいでしょうね」
「それに、心配だったから」
「心配?」
「その…あなたこっちに馴染みの方とか…」
「あーそういう心配ね。昨日も大丈夫って言ったでしょう?」
「それでも気になるものなのよ」
「そうみたいですね」
「怖い空気出さないで頂戴よ」
ちょっと引いてる肩を掴んで強引にキスする。
「…もうっ」
ふふっと笑って抱きしめた。
「明日の夜、沢山啼かせてあげます」
ああ、みるみる頬から首から赤くなってる。
可愛いなぁ。
「…今日は、しないの?」
「したくないならば。前日に乱れるの、あなた好きじゃないでしょ?」
先生はほっとした表情だ。
「そろそろ風呂入ってきたらどうです?」
「そうさせてもらうわ」
シャワーと浴槽、と言うホテルには珍しい風呂でそれなりにゆっくり入れるはずだ。
俺はその間にビールを飲む。
半分ほど空けると先生が出てきた。
「あなたも入って」
はい、と続いて風呂に入る。
ざっくりあたたまる。
出ると先生が俺の飲みさしのビールを飲んでいる。
「新しいの開けたらよかったのに」
「そんなに飲まないもの、これくらいがいいわ」
「飲み終わったら寝ましょうかね。移動、疲れてるでしょう?」
「そうね、あなたも明日早いでしょうし」
とクイッと飲み切る。
さっさと寝巻に着替えられてベッドに入られた。
俺はもう少ししないと汗が引かない。
寝巻に着替えるだけは着替え、横に腰掛けた。
ぐいっと首に腕をかけられ引き寄せられる。
「なんです?」
がぶ、と胸を噛まれて驚くやら痛いやら。
なのにくすくすと笑い声。
「噛むの好きですね、ったく。痛いですよ」
先生はうふふ、と笑いながら俺をベッドの中に引き寄せる。
横にもぐりこんで懐に抱いて、寝る用意だ。
ぬくいなぁ。
「おやすみなさい」
「はい、おやすみなさい」
髪をなでて寝かせる。
暫く寝顔を見て、俺も寝る。
翌朝、先にホテルを出る。
京都の市場だ。
久々の京都の市場、だが時化の影響で荷物が少ない。
ゆっくりと東京の概況などを報告できた。
客も引けたので食事を取って古馴染みと別れ、自宅へ。
紋付を着て袱紗等用意して直接稽古場へ移動した。
事前に聞いていた場所へ行くと着物姿が数人。
この方たちもかな?
「あら、もう来たの?」
後ろから先生の声。
「はい、なんとか間に合いまして」
横から声がかかる。
「飯島さんのお弟子さん?」
「ええ、そうなんですの」
「男の方教えるのって難しいわよね、でもここの先生男性だからいいわよ」
「ええ、一度灰形のときにお目にかかりましたんですの」
「ああだからこちらにいらっしゃったのね」
「みなさん、そろそろどうぞー入ってくださいな」
後をついて入る。
良く判らないので他の人のやることに従って挨拶をした。
台子が3つ出ている。
奥は真か。
先生たちがあそこかな。
この稽古場の主の先生が割り振ってゆく。
「飯嶋さんは真之行しましょう。山沢さんは行之行。あちらに座って」
指示が飛びみな移動する。
幸い一昨日お稽古したところであまり忘れてはいない。
どれを使うか聞き、用意を整えてお稽古をお願いしてスタート。
微妙な角度などを直される。
いい感じで終わり、絹先生のお稽古を気配で感じつつ。
先生も微妙な点を直されている。
どうやら家元代替わりのときにほんの少し変わったらしい。
そのまま3時間ほどお稽古も済み、先生のお話があり。
散会後呼び止められて残る。
夜のお稽古も参加しないか、と言うお誘い。
私をちら、と見る。うなづく。
「よろしくお願いします」
と夜のお稽古にも参加決定だ。
「飯嶋さんは綺麗なお点前をするね」
「ありがとうございます」
「山沢さんはもう少し肘を張って大きくお点前をするといいよ」
「はい、わかりました」
「最近の男の子はお点前が小さくてね。もっとおおらかにしなきゃいかん」
「この子、女ですの…」
「えっ」
「昨年の勉強会にこの格好で行ったらあちらで受けてしまいまして。
 それから男の点前をやるようにと勉強会で教えていただいたんです」
「男前だからわからなかったわねー」
あっけらかんと補佐の先生が笑ってる。
「ええと、まぁそれでも男の点前をするならおおらかにね、うん」
「はい」
「じゃ晩御飯食べてからおいで、夜は6時からね」
さっと時計を見る。40分ほどか。
ご挨拶して一旦稽古場から出て晩飯を食いに近くの店へ。
「先生、別に女とわざわざ言わなくとも…」
「あらだって同じホテルの部屋なのよ、うっかり知られたときに困るじゃないの」
「まぁそう言われればそうですが」
軽く夕飯を取り、トイレに行き身づくろいを整えて時間を待つ。
お茶を買って先生に。
少し飲んで私にも飲めと。
新しいの買いますから、と買って飲む。
暫く待ち、夜のお稽古に。
客層と言うかやはり昼と夜は違うね。
私は円草、と指示を受けて…やっぱり苦手だ円草。
絹先生は円真を指示されている。
先生はやっぱり先生で流れるような手つき。
夜は奥の点前をやる人が少ないようだ。
綺麗な点前をされるよなぁうちの先生は。なんて目を細めてしまう。
お稽古が終わり、お話。
台子と言うものはどういうときに使うものか、
だから着物もちゃんと紋付を着てくるべきだとかのお話。
夜なので数人仕事帰りのカジュアルな人が居るから釘を差したって所か。
ご挨拶して辞去する。
またこちらに来るならいらっしゃいとのことだ。
「さて、戻りますか」
「そうね」
「どちらから来られたんですかー?」
若いお姉ちゃんから聞かれた。
「東京からなんですのよ」
「うっわ遠いですねーってゆーか雪大丈夫でしたー?」
「大変でしたけど何とかなりましたの」
「あのお点前難しそうでしたよねー」
「そう?」
先生が鞄を整えている間にロッカーからコートを出し、先生に着せ掛ける。
自分も纏いつけて先生の鞄を持った。
「じゃお先に失礼いたします」
「お先です」
二人で連れ立ってタクシーに乗りホテルへ向かう。
「あぁ疲れた…」
「でしょうね」
「ホテルついたらお風呂入ってすぐに寝ていいかしら」
「よっぽどですね、いいですよ」
ホテルに到着し、部屋に上がるとすぐ先生は帯を解いて脱ぎだした。
長襦袢を脱いでばたり、とベッドに転がる。
「寝るなら化粧落としてからですよ」
「ん~化粧落しのシート買ってきてくれない?」
「はいはい、眠いんですね」
普段着に着替え、ホテルから出て一番近いコンビニ…より薬局があった。
薬局でふき取り化粧水のお勧めを聞くとシートよりこれ、とオイデルミン。
懐かしい。
そういえば先生の部屋にもあった気がする。
コットンとともに買って戻ると既に寝息を立てて寝ている。
寝ている先生を起こさないようにコットンに沢山とってそっとふき取る。
スゲー取れる、楽しい。
とりきった後は俺の化粧水で満遍なく拭くといい、と聞いている。
なんでかって匂いが強いから。
強烈だよね、この匂い。
それでも熟睡する先生はよっぽどの疲れだな。
化粧を落としたら髪を解いてあげてベッドの中にちゃんと入れて寝かせた。
さてと。
俺も寝巻き着て寝よう。
おやすみなさい。
翌朝、目が覚めたが先生はまだ寝ている。
時計を見れば6時半、まだいいか。
うつらうつらと二度寝を楽しむ。
次に起きたときは先生は風呂に入っていて風呂場に近寄ると一緒に入ろうと仰る。
まぁどうせ洗顔しないといかんからと一緒に入り、ほんの少し胸など触って楽しんだ。
「昨日はごめんなさいね、眠くて」
「しょうがないですよ、別にね、どうしても昨日しなきゃいけないわけじゃないし」
「でもしたかったんでしょ?」
「まぁね、でも土曜日の夜でもいいですよ」
「今日はいいの?」
「明日朝に先生がお稽古できそうな気がしません」
「あら、それは困るわね」
くすくすと笑って着替えて朝ご飯を食べに出る。
「やっぱりご飯は二人で食べる方がいいわ」
「そうですね、昨日はお一人でしたし」
昨日の朝は一昨日の夜入った懐石の店で昼はカフェに行ったらしい。
朝起きて飯食ってそれから風呂入ってゆっくりして、着替えて飯食って行ったとか。
「一人でホテルにいても面白くないのねえ」
「でもここ色々ありますでしょ?龍村の古袱紗とか宝石とか」
「あ、お茶買ったわよ。お抹茶になるボトル」
「なんであれを。歌舞伎座に売ってましたよあれ」
「あら、そうなの?でも面白いわよね」
「ま、それなりに美味しいですしいいんですが。宝石いりません?」
「していくところがないわ」
「…指輪とか」
「買ってくれるなら古袱紗の方がいいわよ」
連泊、と言うことで朝食の中身が変更されて懐石の店で美味しい朝ごはんをいただいた。
その後、土産物ブースを物色する。
お母さんに、といくつかお菓子などを買って送ってもらう。
古袱紗をこれが良いと言うものを2枚購入した。
そろそろ帰りましょ、と言うので部屋に戻って帰り支度をする。
荷物を纏め、フロントから先生のお宅へ送ることにした。
俺の家では不在が多いからだ。
10時、まだ早いけれどチェックアウトして駅へと向かう。
指定席をとりたいと思ったが1時間ほど先の新幹線のようだ。
それでいいからと発券してもらい、駅の茶房でお抹茶とお菓子をいただいた。
そして改札をくぐり、中で駅弁を物色する。
これが良い、と二つ別のものを買い込みホームへ。
5分ほどで来て、乗り込んだ。
さすがに平日の昼間、すいてる。
自由席でも良かったかもしれない。
「ねぇ、俺の部屋来ますか?それともそのまま帰ります?」
「部屋行ったら明日の朝までに帰してくれないんでしょ?ダメよ」
「そいつは残念」
そんな話をしつつお弁当をいただいて、時間が過ぎる。
後もう少しで東京駅だ。
惜しい。
もっと二人でいたい。
先生はそうでもないようで、明日も逢えるじゃないと仰る。
ここは我慢のしどころなのか。
頭を撫でてもらって土曜日までお預け、と言われた。
頑張ろう。
東京駅に着き、先生は一人で帰れるからと私を置いて帰宅の途につかれた。
いつまでも見送っていても仕方ないので自宅に帰る。寒い。
部屋が暖まると眠気。
もうフテ寝しよう。
小一時間してメールが鳴る。
先生から無事家に着いたとのお知らせ。
よしよし。
ちゃんと着替えて布団にもぐりこむ。
まだ時間は早いけれどおやすみなさい。
夜中二度三度と目が覚める。
先生としている夢。
そんなにやりたいか、俺。
苦笑して仕事に行く用意をして出勤。
やっと入荷もそろってきたそうだがまだやはり時化の影響は有る。
高値で取引されて荷物がなくなって終了。
京都への出張の報告。
あくび、暇だ。
そろそろ終了して帰宅。
飯を食って風呂に入って着替え、お稽古へ。
かったるい、と思いつつだからか乗り換えを少し失敗。
到着して水屋の支度をする。
よどみなく生徒さん方のお稽古がすすむ
つい先生の手や動きに目が動き、これはいけないと思っているうちにお稽古が終わる。
「じゃ山沢さん、お稽古しましょうか」
「いや、今日はやめておきます」
「あらどうして?」
「集中力がなくてどうもできそうにありません」
「そういう時こそしないと」
「いや、ほんと今日は勘弁してください」
「仕方ないわねえ」
じゃあ片付けて、と言うので水屋を仕舞う。
「お夕飯何が良い?」
「いや、も、このまま帰ります」
「…なにか拗ねてたりするのかしら」
「いや、その。違います」
「じゃどうして?」
「んー…その、あなたに触れたくてたまらなくて。だから今日は帰ります」
「あら」
ぽっと頬を染めて可愛い、くそう抱きたい。
「あの、もしよければ今からうちにこれませんか」
「無理よ。土曜ね?」
「そんなあっさりと…」
「明日、出稽古なのよ。だから無理なの」
「あー…それじゃ仕方ないですね」
がっくりきてると頭を撫でられた。
「土曜日、いらっしゃい。夜あちらの部屋でもいいわよ」
「いいんですか?」
「いいわ、だってあそこならあなた道具使わないでしょ?」
「持ち込んでもいいんですけどね」
「あなたに使っちゃうわよ」
それは遠慮する。
「じゃ俺、帰ります。また明後日来ますから」
「気をつけてね」
と頭をもうひとなでされて帰宅の途についた。
参ったなぁ…。
早めに寝るがまた先生の夢で目が覚めた。
仕事中もあまり忙しくないこともあり、どうしてもちらつく。
困ったものだ。
昼からどうしようか。
家にいても先生のことしか考えられないが外に出たら事故に遭いそうな。
溜息。
道具の手入れでもしよう。
納戸に入り、ドライシート片手に掃除をかねて。
いくつか劣化している道具を捨てたり。
ん?携帯が鳴ってる。
取ると先生、どうした?
「ね、暇かしら? お稽古早く終ったの、ご飯食べましょ。近くに居るのよ」
今銀座に居るらしい。
場所を聞いてそこまで行き、一緒に飯を食う。
そのまま先生を俺の家に回収した。
「どうしても抱きたいの?」
「ええ、抱きたいです」
「軽くにできる?」
「わかりません」
「それじゃ困るわ、明日お稽古だもの」
「八重子先生に」
「だめよいつもいつも」
むっとしたのがわかったらしい。
「…明日朝一番で帰れるようにして頂戴。それならいいわ」
先生が妥協してくれた。
「すいません」
恐縮しつつも脱がせて行く。
すべて脱がせて首筋に舌を這わせる。
先生は全くもって気が乗ってないようだ。
仕方ないから、と言う気分がありありと見えてちょっと悲しい。
「先生…土曜なら気が乗りますか?
 も、いいです、こうやってくっついてるだけで今日は」
「しないの?」
「全然やる気ないですよね?」
「したくてしょうがないんじゃなかったの?」
「反応薄いときにしても面白くもなんとも。男なら射精したいからするんでしょうけど」
「困ったわねぇ」
「したくないの我慢してされてもね」
「あらいつもしたくないことさせるくせに」
「あれは恥ずかしくてしたくないことでしょう? 今日のは気分が乗らないんでしょ」
「しないんなら帰ろうかしら」
「それは駄目です。気が乗らないならってだけで俺はあなたに飢えてるんですから」
「あなたってよくわからないわ…」
「する気がないあなたのテンションをあげれるほどの自信はないってことです」
何か言いたそうだけど一つ溜息を落とされた。
「じゃ、こうして一緒に寝てたらいいのかしら?」
「ええはい、それで結構です」
思い通りにならず少しいらつきつつも、先生に触れて。
先生もこちらへの感情はすっきりしないようだ。
触れても嬉しそうでもない。
時計を見る。そんなに遅くはない、往復しても少しは寝れる。
「着物、着て下さい。うちまで送りますから」
「そうね」
ささっと身づくろいをしてすぐ車に乗り込まれる。
先生のお宅まで無言のドライブ。
おうちの前につけてそのまま別れた。
帰宅してすぐに寝る。
翌朝、仕事。
寝不足だ。
少し考えて八重子先生が電話に出そうな時間を選び、電話した。
お稽古を今日は休みたいと。
疲れが出たと言うことにして。
許可を得て電話を切る。
仕事が終わり、帰宅して昼も食べずに寝た。
夕方目が覚めたがメールも着信もなし、ふーん…。
所詮は。
と、良くない方へ考えが向く。
起きているのはよくない。何か食ってもう一度、寝よう。
冷蔵庫から常備菜を出して軽くお腹に入れ、それから寝る。
夜、また目が覚めた。
メールは、なし。着信、なし。
先生のことだから疲れが出たと言うのを信じ込んでいる可能性も有るのか?
鬱々としていると突然玄関が開いた。
ぎょっとすると先生だ。
「こんばんは。具合大丈夫?」
「え。来るなら来るで電話とかメールとか…下さらないと」
「どうして? 浮気してるんじゃなければ突然来ても問題ないでしょ?」
「うちにいないかもしれないでしょうが」
「具合悪いのに?」
「仮病で遊びにいってるとか考えませんか」
「あら、そんなことするの?」
「昔はそれなりに」
「駄目よ、そんなことしちゃ。それよりご飯は食べたの?」
「えっあぁ、はい、食いました」
「それなら良いのよ。まだだったら作ろうと思ってたけど。それで具合は?」
「…なんでもありませんよ」
「そう?」
くしゃり、と頭を撫でられる。
「寝癖、酷いわよ」
そのまま引き寄せるとダメよ、という。
「脱がないと皺になっちゃうわ。ちょっと待ってて」
なんだ、そっちか。
その間に手を洗って口をすすいで戻れば先生が寝巻きを羽織って戻ってきた。
「その前にお茶いただいていい?」
「どうぞ。あ、でもお湯沸かさないと。ペットボトルでよければありますが」
先生はケトルに浄水器の水をとり、沸かして急須にお茶葉をいれた。
「ペットボトルよりは温かいお茶がいいわ」
お湯が沸いて、急須に注いで湯のみを二つもって台所から戻ってきた。
「二つ?」
「あなたも飲むでしょ?」
「いただきます」
温かいお茶をすすってなんとなくささくれた心が落ち着く。
見計らったのか、すっと先生がもたれかかってきた。
キスして抱き寄せる。
温かい。
「おうちの方、いいんですか」
「お母さんが…様子見てきなさいって。だからいいのよ」
「あなたはどうなんです?」
「逢いたくなければわざわざここまで来ないわよ」
「本当に? だとしたら嬉しいな」
先生はふふっと笑って俺の手を先生の胸へ。
やわやわと揉めばゆったりと体重をもたせ掛けてくる。
そのままお茶を飲み終えて、お手水、とトイレに行ってしまった。
うーん。
急須を片付けてるとベッド行きましょ、と誘われた。
今日はする気あったのか。
ベッドの横で先生が寝巻きを脱いで畳んでる。
俺は脱ぎ捨てて先生をベッドに引き込んだ。
「もう、まだ紐…」
「そんなのいいじゃないですか」
しっかりとむさぼるかのようにキスをする。
肌をまさぐり、乳房を掴む。
唇から離し、首筋をなめ、乳首まで来ると先生の息が漏れた。
少しがっつき気味に、それでも先生に傷をつけないように抱く。
二度ほど逝かせて一旦落ち着く。
先生にもそれなりに気持ちよくなってもらえたようだ。
少し経って落ち着いて、顔洗ってくる、と先生が洗面所へ。
それでもちゃんと寝巻きを羽織っていくのは女らしいと言うか。
俺なら面倒くさくて。
しばらくたって戻ってきた。
するり、とベッドの中に入り込んでくる。
「ねぇ?一昨日の化粧落とし。なに使ったの?」
「痒くなった?」
「ううん、化粧のノリがよかったから」
「あなたの部屋に有るのと同じの」
「あら? あれでそんなに落ちるの?知らなかったわ」
「意外ですよね、あれ。安いのに」
そんなことを言いつつ胸を触る。さわり心地良いなぁ。
やわやわと揉んでたのしむ。
「胸、すきねえ」
「感触もいいし、あなたが感じてるのもすぐわかるし、好きですよ」
ぽっと少し頬染めて可愛らしい。
「まぁ、こっちのほうがいい声は聞けますが」
と先生の股間をなぶる。
鼻にかかった甘い声。
潜り込んで舐めつつ中を弄る。
思わず先生は俺の頭に手を掛けて足をじたばたとし、ちょっと蹴られてしまったり。
いてててて。
「ごめんなさ、あ、きゃ、そこ。ん…」
謝る声も中途に喘ぐのが可愛いね。
もう二回ほど蹴られた後、言った。
「ちょっと足縛らせてください、いいですよね?」
縄を取ってきて足首を縛り、ベッドの下をくぐらせてもう片方を縛った。
先生は嫌がりつつも、蹴ってしまった自覚があるから断りきれず。
一応手拭越しにはしてある。
「手は縛らないであげますね」
縄をかけている間ずっと手で隠し、俺が縄を引くたび足を縮めようとしていた。
恥ずかしがってるさまは中々にいいものだ。
その足の間に入り込んで手をどけさせて眺める。
触りもしないのに先生の目が潤み、肌が紅潮して美しい。
膝を折らせて腰を引き寄せ、膝を開かせた。
陰部がはっきりと見える。
「やだ、見ないで…」
「今さらでしょう? おいしそうだ」
ちゅっと濡れているものをすする。
そのまましっかりと舐め、舌をねじ込む。
音を立てて舐めれば恥ずかしげで、膝を閉じようとする。
両手で私の頭を押さえつけて逝った。
あ、白髪。ぷつっと抜く。
「痛っ」
「痛かった?」
「何したの、今…痛かったわ」
「一本頂きました。ここの」
ふさふさした毛を指で触る。
「やだ、そんなのなにするのよ」
「お守りかな」
「やだわ、もう。捨てて頂戴よ」
「大事に仕舞っておきます、ふふふ」

拍手[1回]

h18

朝、仕事を終えていつものように先生のお宅へ向かえば、メールが来ていた。
お宅ではなくあの部屋に直接と言うことだ。
どうしたのだろう。
到着し玄関を開ける。既に先生が居た。
「どうしたんです?こっちって」
「お母さんには台所用品の手入れがしたいって言ってきてあるの。だから」
「だから?」
キスをされて懐にくっついてきた。
「抱いていいわよ」
「抱かれたい?」
ピシャリと額を打たれた。
「私はどっちでもいいのよ? あなた物足りなさそうだから」
「そういうことか。じゃ、有り難く」
着物を脱がす。
「あ、衣桁がないな。着物ハンガーでも買っとくべきでしたね」
「そうねえ」
とりあえず敷きたとうの上に皺にならないように置いて、布団に入る。
「あら、これ寝心地いいわね」
「ほんとだ。こりゃいいや。でもずっと寝てみないと寝具ってわかりませんからね」
「そう?」
「沈みすぎたりね。硬すぎて痛かったりとか」
「山沢さんのおうちのベッドも結構好きよ」
「おや、ベッドの加減を見るほどゆっくり寝たことあったんですか」
「朝、あなたが行った後はお昼近くまで、なんてこともあったでしょ」
「ああ、なるほど」
やわやわと胸を揉み、徐々に手を下げていく。
熱い息が漏れ出す。
こりっと下の突起を指で押さえれば、んっと言う声が出た。
耳を舐めるとくすぐったそうにしている。
「あそこ、舐めてあげよう」
そういってそのまま股の間にもぐりこんで舐める。
「あっだめ、もう」
ぴちゃぴちゃと音を立てて舐めると我慢している風だったが突起に吸い付くと声が出た。
暫く舐めて、軽く逝かせてから指を入れる。
最初は緩やかになぶる。
少しずつ中がほぐれだすと先生の緊張も緩まり声も少し出る。
中を楽しみつつ、徐々に先生のいいところを刺激してゆく。
一旦緩んだ体がまた力が入ってきて抱きしめさせて、とお願いされた。
シーツ掴んでるより俺の背を引っかくほうがいいらしい。
仕方がない人だな、と抱き締めて手を伸ばして中を弄れば背に爪が立つ。
結構に声が出て気持ち良さそうだ。
激しく中を弄れば泣き声に近く喘ぐ。
先生の家ではやらないようにしていることだ。
傷はつけないように、丁寧に。しかし激しく玩弄する。
沢山に声を出させ、何度も逝かせる。
息の荒さからしてそろそろ限界か?
それなりに満足できたからいいけれど。
背を撫でて落ち着かせる。
「もう、いいの?」
「限界でしょ?」
「しばらくしてからなら…」
「そうするには勢いが足らない。ある程度満足したからいいですよ」
「もっと体力つけなくちゃいけないわね」
「俺とするためだけに? 体力の維持だけでいいですよ」
「だって物足りなさに他の人とされたらいやだわ」
「他の人としても楽しくない。あなただからだ。だから。体力の維持は頼みます」
「そう?」
「もしかしてそれで今日呼んだのかな」
「違うわよ」
そういって先生は俺の胸を掴む。
「…まさか抱きたいとかいうんじゃないでしょうね」
「だめなの?」
「そういうことは先言ってください。手をださずに帰りますから」
むっとした顔で乳首を捻られた。
「いやなの?」
「いや、あの…本気ですか」
「冗談で言うと思う?」
「俺は冗談だったほうが嬉しいんですけどね」
にーっこりと笑って俺の乳首を弄りだした。
最初に比べればぎこちなさは少し薄れて。
ちろり、と首筋を舐められた。
……ぞくっとくるものの少しまどろっこしい。
普段自分でするときはとっとと終らせているからだな。
かりっと耳を噛まれる。
いつも俺がしてるのをなぞろうとしているのだろう。
でも齧ったりなめたりすると手がお留守になる。
どうしようか、と迷ってしまう。
このまま抱かれるには煽られようが足りない。
突き放せば拗ねるだろうし…。
遊んでいる手を玩ぶと、胸に置いた手を動かしてないことを思い出したようだ。
俺も昔はそうだったな。
先生はいつそういう余裕が出来るだろう。
いや、そうなったら逆転しそうだからなぁ。このままでいい。
っとキスされた。
指が動けば舌が止まる。初々しくて可愛い。
そろりと下腹部に指がすべる。
焦らしたいというよりはまだどうするのが良いのかわかりかねているんだろう。
翳りに先生の指が侵入する。
突起に指が触れ、俺は少し身じろぎした。
先生は俺の顔を見つつゆっくりと中に指を入れる。
暫く中を探り探り、俺の反応を見ていたようだが…少し俺が反応したものだから、
そこを刺激し始めた。
先生のやりようは茶器を扱うように丁寧で、俺にとってはもどかしい。
まぁそれでも少しずつ追い詰められて、逝ってしまう。
先生は俺が無言なのが気に入らないようでまだ責めてくる。
3度ほど逝かされたが俺の反応が薄いとぼやく。
「そろそろ諦めて下さいよ。やっても面白くないでしょうが」
「…どうしたら声を出してくれるのかしら」
「さあ…とにかく風呂入りましょうよ」
「そうねえ」
やっと諦めがついたようだ。
よっこらしょ、と布団から出て風呂に行く。
バスタオルやタオルは有るが、まだ浴衣を持ってきてないことを思い出した。
まぁいいか、二人だし。
二人でシャワーを浴びて先生の身体に泡立てたソープを撫で付ける。
先生も俺に同じようにしてきた。
「くすぐったいな」
股間も洗ってあげると声が聞こえる。
キス。濯いでタオルで出来るだけ拭いてバスタオルで覆う。
「ああ、そうか。着替えもいくつか置かなきゃいけませんね」
「そうね。折角御風呂入ったんだものねえ。私はいいけどあなたは、ねえ」
「ま、手拭かさらしでもあれば何とかなりますから。持ってる手拭今日は潰します」
「あら、うちまで別にいいじゃないの。穿かなくても」
「…心もとないですよ」
「長襦袢も着てるんだから見えないわよ。すぐそこなんだし」
まぁなぁ。
しばらくしてあらかた汗も引いて着替える。
その後先生は少し台所のものを片付けて、それから一緒にお宅へ。
八重子先生には先生が、片付けてたら俺が来た、と話している。
俺はそそくさと部屋に入り下帯を締めた。
やっぱなんとなく落ち着かん。
居間に戻って先生の横に座ると八重子先生がお茶を入れてくれる。
ちゃんと最近はぬるい。
「お夕飯のお買物、そろそろ行かなきゃねえ」
「なんにしようかねえ」
「山沢さん、泊まってくでしょ?」
「よろしければ」
「ね、そういえば何でいつも白ばかりなの?柄物売ってるでしょ?」
「え?」
「下帯」
「ああ、売ってますね。ただ古い晒の在庫が沢山ありすぎるので、今。消費中です」
「もっと可愛いのにすればいいのに」
「豆絞りとか手拭の古いので作ることもありますよ」
「そういえば昔は皆六尺や越中だったけどねえ。物がない時代は古い浴衣解いたりね」
「六尺はちょっと面倒で。たしかに針も糸もいらないから急のときにはいいんですが」
「そうなのねえ」
「今は褌だとズボン穿いててもすべて脱がずに穿きかえられると言うので自衛隊とか、
 暫く風呂に入れない状況が続く人にも人気だそうですよ」
「へぇ。意外だねえ」
「ああいう人たちはズボンの上からブーツも履いてるでしょう、
 脱がないでいいのは凄いメリットらしいです」
「確かにそうねえ」
「それより何にする?ご飯」
「山沢さん何食べたい?」
「ん、そうですね」
「何でもとかじゃダメよ」
「…ほうれん草の胡麻和えとか、白和えとかどうでしょう」
「メインは?」
「メイン、って俺に聞いたら肉しか言いませんよ」
「ほんっと毎日考えるのが邪魔臭いのよね」
「でしょうね。青椒肉絲とかどうですか」
「ピーマン沢山だからいいねえ」
「じゃあ買う物は…」
とメモに書き出していく。
「俺、行ってきましょう」
「一緒がいいわ、他にも買いたいものあるし」
二人で買物に出る。外は相変わらずの寒さだ。
あれやこれや買って戻って、夕飯を作る。
ご飯が炊けた頃、律君が帰ってきた。
「あれ?今日月曜日だよね」
「こんばんは、律君。そう、月曜日。休み前だからね。
 先生がご飯食べさせてくれるって言うから来たんだよ」
「山沢さんほっとくと野菜食べないから」
「青汁じゃだめですかねえ」
「ちゃんと食べた方が良いに決まってるじゃないの」
律君が笑っている。
「環姉さんも昔よくおばあちゃんに言われてたわよ」
「今は言われないんですか?」
「会社に住んでるくらい家に帰らないのよね。開兄さんが作ってるみたいよ」
「へぇ開さん料理できるんですね」
「一人暮らししていたのよ、だから出来るんじゃないかしら」
もしかして三食カップめんとかじゃなかろうな。
律君が手を洗ってきて、孝弘さんを呼びに行く間に配膳する。
うまそうだな。
先生は胡麻和えを俺の分だけ先に小鉢にとってくれる。
最低これだけは食え、と言うことだ。
小鉢から先に頂き、青椒肉絲を食べる。合間に更に胡麻和えを。
美味しくいただいてご馳走様を言い片付ける。
洗い物を終えて居間に戻り団欒に混ぜてもらった。
テレビを見ているうちに先生が思い出した。
「ねえ山沢さん、明日浴衣縫わない?寝るときの」
「あ、いいですね。でも反物がないですよ」
「買いに行きましょうよ。律もいる?」
「えっいらない、僕はパジャマでいいよ」
「そう?」
お風呂を沸かして順番に入り、各々部屋へ。
先生方と一緒にしばしおしゃべりをして、そろそろ寝る時間だ。
昼、楽しんだのでスキンシップの範囲でいい。
懐に抱いて、キスして撫でる。
先生もそれくらいで良いようだ。
息も穏やかだし、鼓動も早くはない。
先生がうつらうつらして、そのまま一緒に寝た。
翌朝、すっきりと目が覚めるもやはり寒い。
布団から出たくない。
と言えば私も、と先生が言い顔を見合わせて笑う。
時間も時間、あきらめて布団から出た。
最近先生は俺の部屋である程度身づくろいをする。
暖房を入れてない部屋で着替える気にはなれないよね。
俺の支度は手早いのでとっとと台所へ行き、朝食の支度にかかる。
というか寒いのには慣れている。
八重子先生も出てきて、お味噌汁や玉子巻を作ってもらった。
先生は居間に暖房を入れ、食卓を拭いたりお茶碗をだしたりしている。
律君が起きてきて、孝弘さんを呼びに行った。
てきぱきと配膳されている。
「お父さん、部屋で食べるって」
「じゃ持ってって頂戴ね」
お盆に孝弘さんの分載せて、渡す。
「あ、先生、味噌汁」
「あら、そうそう、やあね」
先生の分を孝弘さんに回されて、律君が運んでゆく。
俺は台所へ行き、孝弘さんの汁碗に味噌汁をついで先生の前へ置いた。
お二人とも変な顔をされる。
「なにか?」
「いやなんでもないよ」
律君が戻ってきて朝食を取る。
やっぱりうまいな。
和食の朝食はなんかいいよね。
お漬物で〆て洗い物に立つ。
洗い終わって戻るとお買物行きましょ、と先生が仰る。
「近くだからそのままでいいわよ、コート着てらっしゃい」
上着を羽織って玄関へ。先生もコートをきてショールもして完全防備だ。
先生に連れられて近所の呉服屋に行く。
「浴衣地をいくつか見せていただけますかしら」
「こんな季節にですか?」
「ええ、この子が襦袢代わりにいくつか作りたいと言うので」
「じゃ採寸などは」
「自分で縫うと言いますから」
そう先生が言うと奥からいくつか浴衣地が出てきた。
藍染のものばかりだ。
襦袢地にするならそれがいい。
いくつか見て5反ほどこれがほしいと言うものがあった。
先生もいいと思うものがあったようだ。
あわせて6反を購入し支払う。
帰宅すると針箱を八重子先生が出してきた。
「裁ちあわせ出来たかねえ?」
「どうでしょう、ま、失敗したところで寝巻ですし」
「それもそうだね、じゃどれからする?」
んー、まずはこれかな。立湧。
「私はこれがいいわ、桜」
決まったので裁ち落とす為に物差で計りつつしるしをつけつつ。
着物と同じ、と言うわけではなく対丈だから寸に悩む。
「3尺半くらいでいいんじゃないかねぇ」
「まだ若いから胸の分1寸取った方がいいわよ」
褄下の寸のとり方などを教えてもらいメモに控えつつ裁断。
裁断が一番難しい。
なんせ後は8割はまっすぐ縫うだけだ。
八重子先生はおこたに入ってしまわれた。
先生とちくちくと縫う。
時たま俺が針を指に刺し、先生が心配そうな顔をする。
先生は流石に突いたりしない。
お昼の時間になり八重子先生が簡単なものを作ってくださる。
三人でいただいた。
食後、縫い物を再開。
ひたすら直線縫いである。
「うっ」
「あら、大変」
親指の爪に刺さってしまった。
と言うか爪を貫通して身までいった。
「大丈夫です、これくらい」
と針を縫い、針先をぬぐってまた縫い進める。
「私もうすぐ衿だから手伝いましょうか?」
「いや、一つの着物を二人で縫うのはいけないと言うじゃないですか」
「そうだねぇ、昔はそんなこと言ったねえ」
黙々と縫い先に縫い終えた先生が炬燵に入る。
八重子先生がお茶を入れて、先生がお茶請けを出して居る。
「あなたもちょっと一息入れたら?」
「後もう少し、ここ縫えたら頂きます」
ちくちくちく…。
よし、後は衿だ!一休みだ。
伸びをし立とうとしたらよろけて先生に笑われた。
へへ、と笑って炬燵に入る。
ううー、あたたかい。ぬるめのお茶と、お干菓子をいただいて暫く休憩。
しばし談笑し、先生方は夕飯作るわ、と台所へ。
私は衿付けをする。
半分ほどつけた頃、先生がそろそろご飯にするわよ、とおっしゃった。
切りの良いところで針を止め、少し片す。
待ち針の数を数え、ちゃんと有ることを確かめてから食卓についた。
孝弘さんも美味しそうにご飯を食べている。
律君はもう食べ終わったようだ。
俺と孝弘さんが食べてる姿を見て、先生はにこにこしている。
律君は課題残ってるからと部屋に戻ってしまった。
食後片付けに立とうとしたらとどめられて残りを縫う。
やっと縫えた頃には夜も10時。
寝ましょ、と誘われた。
針を数えてちゃんと有ることを確認して針箱を仕舞う。
身体がきしむなぁ、流石に。
「随分手が早くなったわよね」
「そうですかねぇ」
「最初の頃は背縫いだけで半日つぶれてたじゃない」
「もう少し早くなりたいですね。先生は早い、うらやましいです」
「お母さんはもっと早かったわよ」
そんな会話をして寝間に入る。
着替えて布団を敷き先生が髪を解くのを待つ。
後ろからそっと胸に触れる。
くすっと先生が笑う。
「昨日したのにまたしたいの?」
「明日の朝からあちらでたっぷりのほうがいいですか?」
「疲れてるくせに」
「疲れてるから、ですよ」
「今日は寝なさい。明日お昼からならいいわよ」
では、と布団の中へもぐりこむ。
頭を撫でられてキスされて。
たまに子ども扱いをしたくなるらしい。
今日のところはいいとするか。
キスのお返し。
「すっかり冷えちゃってるわね」
「あなたを抱いたら温まりますけどね」
「ばかね」
そういって私の胸に頬を寄せる。
かわいいなぁ。
だけどやっぱり眠くなった。
先生もうつらうつらとして寝息に変わり、つられるように自分も寝てしまった。
翌朝、起きると先生はもう部屋にはいなくて時計を見ればいつもより1時間遅い。
台所に顔を出せば孝弘さんを呼ぶように指示を受けた。
ほんっと先生そういうところ気になんないんだなぁ。
孝弘さんを連れて居間に戻ると配膳はすんで律君も座っている。
朝御飯をいただいた後、昨日縫った浴衣を八重子先生が点検してくれる。
ここの仕上げが甘いとか、縫えてないとか。
そのあたりを直して着てみる。
いい感じだ。
OKが出て普段着に着替えた。
さて。
あちらの片付け名目で先生を連れ出そうか。
そろそろ、と先生に言うとお昼からに、と仰る。
少しむっとした。
「じゃ先に行ってます、昼は適当に食うからいいです」
と先生のお宅を出た。
先に入ってベッドの位置を少し調整したり、戸棚の中身を整えたり。
冷蔵庫、必要だな。
時計を見れば10時。よし、ちょっと電気屋に行こう。
バス通りに出れば先生に遇った。
「あら?」
「どこ行くんですか」
「あなたこそ」
「俺はちょっと冷蔵庫、買おうかと」
「いるかしら?」
「電子レンジとトースターも欲しいかなと。でどこに行かれるんです?」
「髪結さん。そろそろカットしてもらおうと思って」
「へぇ、楽しみにしてます。じゃバスきたようですのでまた」
バスに乗ると窓の外で先生が小手を振っている。
暫くバスに乗り、降りて電気屋へ向かう。
量販店だからそれなり。
そんなに食品を入れはしないから、いわゆる一人暮らし用程度の、と思っていると
フレッシャーズセールをしていたようだ。
だが洗濯機は別段必要ではない。
まぁ構成的には似たようなものなので店員を捕まえて洗濯機を抜いた交渉をする。
10万と言うところに落ち着いて、配達はと聞けば今からなら1時間後にOKとのこと。
配送をお願いし、食事を買って戻った。
中でもそもそと食べてごみをひとところに纏めた。
しばらくして配達員が来た。
中に入れて設置してもらった。
うん、いい感じだ。
先生の希望する部屋の色彩感覚から大きくは逸脱してないだろう。
小一時間ほどして先生が来た。
「…変わってなくないですか」
「ほどいたらわかるわ」
「ほどいていい?」
「いいわよ」
先生の髪を解いて。
「ねぇ?さっき苛々してたでしょ?」
「わかりますか」
「生理前なんじゃない?」
「それは…わかりませんね」
ほどきおわったのを見計らって先生が俺の胸を押す。
「やっぱりそうよ、胸張ってるじゃないの」
そんな気はしてた。
「マッサージしてあげるわ」
「却下、いらついてるの知ってていいますか、それ」
「だってした方が楽なのは知ってるでしょ」
「知ってますけどね、そんなことより抱かれて欲しいです、俺は」
ぱっと先生の頬に朱が差す。
そうっと頬に手をやりキスした。
そのまま舌を絡め、抱きしめて背を撫でる。
唇を離すと頬を染めたまま、脱ぐから待って、と言った。
「嫌ですね、そのまま抱かせてくださいよ」
「…ベッドにも連れて行ってくれないのね?」
「勿論」
「じゃあさせないわ」
手が止まった。させてもらえないのは困る。
うぅ、だったら脱がしてしまえ。
帯締めを解いてお太鼓を崩し、先生が脱ぐ手伝いをする。
肌襦袢まで全部脱がせ、ベッドに押し倒した。
しっとりと汗で湿っている肌を舐める。
どこを舐めてもいい反応で気を良くして乳首を舐めて、軽く歯を当てる。
あぁ、と少し高い声。
虐めたくなる。
腹をなめてひっくり返して背も舐める。
足も。
先生はされるがままになってくれている。
尻を舐めて、軽く開いてあわいを舐めるとほんの少し抵抗が有る。
手を差し込み尻を突き出させて尻穴を舐めると、そこは違う、やめてと仰る。
少し舌を押し付けると身体が逃げる。
暫くなぶって楽しみ、それからそっと突起を舐める。
気持ち良さそうな声が出てやはり尻穴よりはこっちのほうがいいようだ。
目を瞑って喘ぎ声を上げている。
指を入り口のあたりで入れたり出したりしていると押し付けて自分で入れようとする。
それでも入れずになぶってるとお願いされた。
可愛いね、可愛い。
そっと指を入れて中を楽しむ。
中のいいところを探って刺激を与えると尻やおなかの筋肉がぴくぴく動く。
指を増やし更に強く刺激すると喘ぎ声も高くシーツを握り締めて逝った。
脱力してつぶれそうになってるのでひっくり返して仰向けに。
手が伸びて抱き寄せられた。
「後ろから、いやって言ってるのに」
まだ何か言いたそうな唇にキスをして封じる。
そのまま中をまさぐると苦しそうだ。
ンー、ンンと鼻から声が漏れていて流石に辛そうなので唇を離す。
離した途端大きく声が出て、我慢してたのが可愛くて。
思わずなぶる手に力が入る。
沢山なぶって啼かせて楽しみ、先生も何度も逝って満足そうだ。
抱え上げてお風呂に連れて行く。
よだれと汗にまみれた身体をソープで優しく洗い、ふき取る。
風呂でも一度逝かせてしまった。
ついつい楽しんでしまう。
なじられつつ浴衣を着せてリビングにつれて出た。
まだ腰が立たないようで俺にもたれている。
「髪、確かに短くなりましたね」
「でしょ」
「でもセットするとよくわからないな」
「あなたもそろそろ切らなきゃだめよ? ほら、目に入りそうよ」
「あー、後ろに流してるとわからないんですよね」
つんつんと前髪を引っ張られる。
確かに長くなってた。
「今度切ってきます」
くしゃくしゃっと頭を撫でられてキスされた。
「もう一度したくなったな」
「ダメよ、そろそろ戻らなきゃ」
「いやだ」
「お夕飯のお買物行かなきゃいけないもの」
「あー…」
「あなたも食べてから帰る?」
「八重子先生にお願いしてもうちょっと抱かれてくれません?」
「外寒いんだから風邪引いちゃうわよ、お母さんが。
 そうなったら暫くこんなこと出来なくなるわよ?それでもいいの?」
「うぅ…仕方ないな」
「もうちょっとしたら戻りましょ」
あきらめて暫く先生の立てるまで寄りかからせたまま話す。
「そろそろ立てそうだから着替えるわ」
そろっと私の肩に手をかけて立ち、襦袢とって頂戴、と仰る。
肌襦袢や襦袢、長着を着るのを手伝い、帯を締める。
先生が髪を直す間に俺も着替えて。
ベッドを整えて、シーツを回収する。
明日洗うわ、と仰るが洗濯乾燥機も買ってきておけば良かっただろうか。
一旦お宅に戻り、夕飯の買出しに行く。
今日は肉じゃがだ。
…なるほど、肉じゃがも豚肉なのか。
切り干し大根と五目豆と肉じゃがとかぶの炊いたん。
こういうメニューはすきだな。
帰宅すると既に八重子先生が切干と五目豆を作っている。
かぶと肉じゃがを作るだけである。
ジャガイモの皮をむいて、玉葱を切って。
かぶの皮もむいて葉は刻んだ。
それを先生が煮炊きする。
美味しそうな匂いが段々してきて孝弘さんが台所に来た。
先生が戸棚から饅頭を出して渡し、居間で待っててと言っている。
さすがに長年の付き合いで操縦に長けている。
肉じゃがが煮えて、ご飯が炊けた。
そろそろ律君も帰ってくるかな。
「ただいまー、あー寒かったー」
丁度良く帰ってきたようだ。
「律ー、手洗ってきなさい、もうご飯できてるから」
配膳を終えて八重子先生も座り、後はご飯を入れてもらうだけだ。
いつだったろう、お茶碗とお箸が客用じゃなくなったのは。
などと思いつつごはんがうまい。
食後一服してから帰る支度をした。
「明日お稽古だからちゃんと来てね」
「はい、ではまた明日」
別れて帰宅。
寝る準備をしていたら、来た。
ピルはなぁ…面倒くさいんだよな。
などと思いつつセットして寝る。
翌朝出勤し、仕事をこなす。
明日は稽古がないから今日チョコを持っていかねば。
なんて思いつつ仕事をこなして帰宅し着替えてチョコを持って出発。
どんよりとした空だ。
先生のお宅へ着き、部屋に荷物を置く。
渡すのは帰りでいいだろう。
居間に顔を出し今日来られる方の用意について聞き水屋の支度をする。
最初のお弟子さんが来られて、先生が戻ってきて時間だ。
今日はその後もすいすいといい感じでお稽古がすすむ。
最後に私の稽古をつけてもらって水屋を片付ける。
「あなたご飯食べてくでしょ?」
と言っていただいて食事をいただく。
おいしいなぁ、相変わらず。
その後、先生に台所でチョコをお渡しした。
頬を染めて嬉しい、と言ってくださって俺も嬉しい。
あのね、と仰って冷蔵庫から。
俺にも下さるそうだ。
本気で嬉しくて、そのままさらいたくなる。
先生から軽くキスだけ。
後は土曜日に、と。
別れ難いが明日も仕事、と送り出されて駅へ。
電車が来ない。
聞けば事故でいつ回復するかの見通しが立たないようだ。
タクシー呼ぶか、と電話するもどこも捕まらず配車できるのは夜中になるとのこと。
社長に電話し、明日遅れる可能性を連絡する。
『明日、雪酷いらしいぞ。お前こっちに辿り着けないんじゃないか?
 道で動けなくなったら俺ら男ならいいがお前はなぁ。
 もし稽古場に泊めてもらえるなら泊めて貰え。心配するよりはいい。
 どうせ雪なら客も来ないしな』
社長がそういってくれたので駅前の薬局で生理用品を買い込み、戻ることにした。
お宅まで戻って先生にお願いした。
「すみません、泊めてください」
「あらどうしたの?」
手短に理由を告げるとじゃお風呂、いま入っちゃいなさい、と仰る。
ありがたく風呂をいただく。冷えた身体に気持ちがいい。
ほかほかになって出てすぐショーツと生理用品を身につけて、それから浴衣をまとう。
俺の寝間に暖房を入れておいたから、と言っていただいた。
暫く居間で歓談し、そろそろ寝ましょうか、と部屋に連れ込む。
先生は抱かれる、と思って頬を染めて部屋に居る。
可愛らしいな、そういうところが好ましい。
おいで、と膝の上に先生を乗せる。
後ろからふわっと抱く。
「今日、抱いて欲しい? 別に、と言うのなら今日はいいですよ」
「どうして?」
「明日積もるんでしょう? 男手必要じゃないですか? 男じゃないけど」
「私を抱いたら疲れちゃうかしら?」
「そんなには疲れませんが…」
「だったら…」
と、先生は俺の手を懐に自分から持っていった。
「ね?」
抱かれたかったようだ。
ふふっと笑って少し胸を触って楽しむ。
「布団、入りましょうか」
中に入って先生を下に、キスして胸を揉む。
やわらかくて、乳首はピンと立って。
ふっふっと弄るたびに息が漏れる。
「先生、可愛い」
「やだ…ばか」
乳首を舐めて軽く歯を当てて先生の息の乱れを楽しむ。
手をあちこちに這わせば先生の腰もうねる。
そろそろいいか、と股間に指を差込みなぶるとキスして、と言われた。
キスしながら突起をしごいたり中に指を入れたりして楽しむ。
二度、逝かせて今日は終了。
懐に抱いて背中を撫でながら明日の雪は深刻だろうか、など話して、そして寝た。
翌朝、居間のテレビを先生がつけた。
なにこれ、雪こんなに酷いのか。
「あなた泊まって正解だったわねぇ」
「ですねぇ」
台所に入り朝食の支度を整えた。
「後で保存食系、買ったほうがいいかもしれませんね」
「そうね、お父さんのお米だけでも買わないと」
ラーメンだと3,4箱くらい買ったほうが無難だが、この天気図。
カップラーメンなんて食うのだろうか、先生が。
いまいち想像できない。
「あと灯油、どれくらいありましたっけ」
「今のところは10日分は有るわよ」
「あ、じゃ大丈夫ですね」
「そんなに降ると思うの?」
「ま、一応ですよ。雪国の友人がね、東京はすぐ雪で基幹が止まるから備蓄しろと」
「おはよう」
「あ、おはようございます」
「凄い雪だねぇ都心の方も」
「そろそろ律起こしてくるわ」
八重子先生と支度を続ける。
「八重子先生、カップラーメンって食べます?」
「何度か食べたことは有るけどね。チキンラーメンは一人のときに食べたりするよ」
「あぁやっぱりチキンラーメンですか。脂っこくないです?」
「ちょっともたれるねぇ、だからあんまり食べないんだけどたまにね」
「この雪、もしかしたらラーメンのお世話になるかもしれませんよ」
「そんなに降るかねぇ」
「雪国に住んでる友人がそれくらいのつもりで居るほうがいいとメール寄越しました」
先生が戻ってきて配膳する。
皆そろって食事を取り、片付けを終えて外を見る。
「積もってきましたね」
「そうね。今日のお稽古の生徒さん、来れるかしら」
「ああ、今日は上級でしたっけ。若い方少ないですもんねえ」
「律、今日帰ってこれるかしらね」
「無理かもしれませんねえ、こないだのように積もったら」
「そうなったらお友達のおうちに泊めてもらわなきゃいけないわねえ」
「とりあえずまだ降りの少ないうちに買物出ましょうか」
「そうね」
冷蔵庫を漁って見積もると3日分は有る。
であれば6パックほど買えばいいか。
先生が雨ゴートを着て出てきた。
傘を差してゆっくり滑らないように気をつけて歩く。
スーパーはまだ商品豊富だ。
6種類にわけて袋麺を取り生鮮食品を買いまわり支払い。
米屋に立ち寄り30キロを購入して帰宅する。
先生が滑ったのを転ばないうちに支えたり、自分が転ばないように歩いたり。
帰宅して片付け、水屋の準備にかかる。
炭をおこしたり台子を用意したり。
会社から電話がかかってきた。
『今日出勤しなくてお前正解。いつもの2割だ、客自体来なかったぞ。
 それからこのまま降り続くなら暫くこっち戻れないだろうと思うが、
 どうせ時化と道が通れなければ魚も来ないからな、除雪されてからでいいぞ』
「あー了解、そんなに客いないの?」
『客先もキャンセルばかりだからな。ピザ屋ははやってるらしいぞ』
だろうなぁ
雪が終了するまでこの家か。
まぁしんどければあっちへ逃げればいいし。
11時、一人目の生徒さん到来。
ちゃんと紋付色無地だ。
先生もいつものクラスの生徒さん相手とは少し違い、ほんの少し厳しい。
俺相手のときよりはかなり優しいけれど。
二人目の生徒さんを終えて先生と食事に立つ。
八重子先生が夕方の生徒さんは無理だと電話があったと言う。
やっぱりなぁ。
お昼からの生徒さんお二方は俺の臨席を禁止され、水屋のみお手伝い。
3時半、次の生徒さんから電話。
立ち往生して引き返すしかない模様。
先生にそう伝えると吃驚されて、お稽古の終ったところの生徒さんも慌てて帰宅された。
外を見れば結構に積もっていて、先生にスコップが有るか聞けば蔵に有るはずという。
借りてとりあえず家から道路まで少し雪をよけておく。
滑ったらやだしね。
この降り方なら4時間に一度くらいしておくべきかな?
屋根を振り仰げばまだ大丈夫そうか。
明日の雪かきのときは屋根雪を下ろすほうがよかろう。
安全帯はさすがにないだろうが縄かロープは有るかなぁ。
八重子先生に聞けば庭木用の縄が有るとのこと。
命綱になる。
屋根から落ちるとかイヤ過ぎるし。
どうしてもとなれば青嵐に乗せてもらう手が有るがそれはさすがに夜中だけにしたい。
夕飯をいただいた後、仕事着に着替えた。
ある程度除雪し、部屋に戻り濡れた服を乾かす。
「あとは寝る前にもしておくほうがいいでしょうね」
「そうね、助かるわ」
ゆっくりとお茶を飲みあたたまる。
いい感じで外は更に降っている。
「外、凄いわね…律から電話あったのよ、さっき。帰れないって」
「そりゃそうでしょう」
先生の体温で暖を取るかのように手に触れたりして時を過ごす。
そろそろいつもなら寝る時間が来て、再度防備を固める。
スコップでがんがん道を掘って広げておく、せめて外の道路へ。
その後塩をかけておいた。
戻って服を吊って寝間にもぐりこむ。
先生は起きて待っていてくれたようだ。
一緒に布団に入れば俺の身体が冷えてる、と抱きしめてくれる。
あったかいなー気持ちいい。
柔らかい肌。
暖かい肌。
いい匂いがする。
疲れもあり、すぐに寝てしまう。
翌朝起きると銀世界、どんだけ積もってんだこの野郎!
とりあえず身支度整えて雪かきだ。
道路までの道をつけ、うちから雑木林の太い木までの道をつけた。
一旦火に当たって朝飯をいただく。
そして一服して気を入れなおし、屋根の雪下ろしをする。
まずは腰にロープを結わえて2階の柱に括りつける。
窓から足場を作りつつ出て雪を落とす。
まずはロープの範囲を落とした。
そして先生に新たにロープを投げ勾配と反対側の雑木に端を結んでもらう。
OKが出て八重子先生に柱につけたロープを緩めてもらった。
そうやって雪をあらかた落とし、2階のロープを引いてもらいつつ戻った。
先生はおやつを餌に孝弘さんが縁側近くの雪を蹴散らしているようだ。
上手だよな。
テレビでは都心部のことしかやってないようだ。
7時ごろ律君から様子伺いの電話があったそうだがこちらの状況を伝えたところで、
この雪では律君もこちらへは戻れないだろう。
お昼ごはんをいただいて、うつらうつらとしてしまった。
ふと気づくと先生の膝枕に毛布がかけられていて少し気恥ずかしい。
頭を撫でられて、もう少し寝てたら?と仰るがまた強く降ってる様だ。
後でもう一度、とお願いして身支度を整えて雪の中へ突撃する。
道を作ってついでに八重子先生の車から雪を落とす。
車輪幅をとって外の道路までの道も作った。
これで何とか出られるかもしれんし。
道路さえ除雪されれば。
しかしカーポートなくてよかった。
近所の家はカーポートがぽっきり逝ってるらしい。
さて余力はまだ有るか。有る。
道路に突撃だ。両隣の家までの歩く道!
えっさほいえっさほいと雪をどかし、排水溝を探してそこもあけておく。
これがあいてると凍結しにくくなるはずだ。
ふーっと身体から湯気を発しながら戻り、上着とズボンを脱ぐ。
先生がいそいそと干してくれて、八重子先生が着替えを出してくれた。
座布団を枕に先生の尻に背をくっつけるようにして少し寝る。
ふと温かみが消えた頃、お夕飯と起こされた。
買い置きのものばかりだから、と言うが十分美味しくて。
幸せな気分。
頼られて、甘やかされる。幸せだな。
さて、雪は止んで居るらしい。
そんじゃまあ本日ラストの雪かきしましょうかね。
あの後そう降らなかったようでササッと道路まで除雪。
隣の家までだった道を更に幹線道路へ向けて掘り行くことにした。
いけるところまで掘り進む。
有る程度踏み後が有るので随分楽だ。
汗でぼとぼとになる頃、道路に辿り着いた。
これでいいだろう。
疲れた、ととぼとぼと帰る。
ただいま、と入って服を脱ぐ。
「お風呂沸いてるわよ、入って」
と風呂に入れてもらった。
冷え切った身体にお湯が気持ちいい。
風呂から出てショーツに生理用品をセットして寝巻に着替える。
居間に戻るとテレビでは山梨の話が出ている。
あちらも凄いようだ。
あったまってるうちに寝るよう言われて、先生と寝間に入る。
懐に先生を抱いて、先生の温かさ、匂い、肌を楽しむ。
胸を舐めたら、そんなことしてないで早く寝なさい、と仰るが。
「だってこうしてたいんですもん」
そういうと仕方ない子ね、と仰って頭を撫でてくださる。
暫く先生の柔らかい胸を楽しんでると先生の寝息が聞こえ出した。
先に寝ちゃったか、先生も今日は孝弘さん操るのに疲れたのかもな。
綺麗だよなぁ、先生。
くっ寝息に引き込まれる。
おやすみなさい。
翌朝、警察の救助隊や自衛隊が各地に派遣され始めたと聞き、
ようやく落ち着きを取り戻す。
ただやはり今朝はラーメンになってしまった。
定番の醤油ラーメンから。
孝弘さんが更にご飯を食べている。
さてさて今日はどんなものだろうね。
先生と二人偵察に出る。
他の家の前は積もった雪で歩きにくそうだがうちは綺麗さっぱり除雪、道は乾いてる。
幹線道路への道も乾いていて、俺が昨日やったのは正解だったようだ。
道路は機材が入ったり人海戦術で少しは道になっていた。
スーパーまで行ってみるが、ろくなものがない。
やはり入荷できてないとのこと。
明日、もしかしたら入荷できるかもしれないようだ。
電車は、と思えば線路がまだ雪山らしい。
「こりゃあ…律君帰って来れませんね」
「あなたも帰れないわねぇ」
「帰らなくていいなら帰らないでいいんですけどねえ」
「そういうわけにいかないものね」
さくさくとおうちまで戻る。
途中ご近所の方と立ち話。
「飯島さんのところはいいわねぇ、うち屋根壊れちゃったのよ…雪で」
「あらぁ、大変ですわねぇ」
「車も屋根がへこんじゃってねぇ」
「あらあら…」
などと会話をしてお気をつけて、と別れて戻った。
「ただいまぁ」
「お帰り、どうだった?」
「道は有るけど大通りはダメねぇ、やっと今ショベルカーだったかしら、
 そんなのが来てたわ。スーパーは何も棚にないんですって」
洋服から着物に着替える。
先生はやっぱり着物のほうが楽みたいだ。
「横田さんとこ屋根が壊れたんですってよ。
 雪下ろししてもらわなきゃうちも壊れてたかしら」
「かもしれないねえ。それにしても。暇だねえ」
「ご飯作れないものね、暇よねぇ」
「ですね」
「そうだわ、山沢さん。お稽古してあげましょうか」
「あ、そりゃいいね、そうしようか」
「そういえば明日から京都、と言ってましたけど。どうでしょうね、雪」
「そうねえ。たしか明後日よね、お稽古。
 いけるのかしら、明日の様子見てお断りしなきゃいけないかもしれないわねぇ」
心配、と言いつつお稽古の用意をして、何度かお稽古してもらったり、
先生自身のお稽古をされたり。真之行のお稽古を見せてもらった。
お稽古にも先生が飽きてきた夕方、俺の筋肉痛が来た。
片付けはいいから、と許してもらって軽くストレッチをする。
血行を良くするほうが早く治るからね。
湿布貼ってあげるからおいで、と八重子先生に呼ばれてあちこち貼ってもらった。
水屋の始末が済んだ様で、お夕飯の時間になるからと先生がご飯を炊いている。
孝弘さんへはラーメンライス作戦だ。
今夜は味噌ラーメン。
先生はこんなの食べるの久しぶりだわぁ、最近のは美味しいのね、なんて仰ってる。
玄関に物音。
「ただいま」
「あら、律。良く帰って来れたわねぇ」
「うん、送ってもらって何とか。いつもの3倍くらい時間かかったんだけど」
「おかえりなさい、律君」
「あ、山沢さん。こんばんは。
 家が気になるからって環伯母さんに言われて帰ってきたんだよね」
「うちの雪かきは山沢さんがしてくれてねぇ、助かるよ、本当に」
「あ、そうなんだ。ところで何食べてるの?僕もおなかすいた」
「ラーメンよ、作ってあげるわ。一つでいいの?」
「なんでまたラーメン? ああ、うん、一つでいいよ」
「だってスーパーに何もないんだもの。お漬物も昨日で終わっちゃったし」
手早く作って先生が戻ってきた。
律君は熱いラーメンをすする。俺はぬるいラーメンを。
お風呂を立てて食事が済んだ律君を風呂へ。
順次入り先生が仕舞い風呂となった。
布団に入る。
身じろぐと痛む。筋肉痛め…。
先生が懐の中でくすくす笑っている。
キスするのに首を動かしても痛い、と思っていると先生からキスしてくれた。
「明日は痛くないといいわね」
「本当に」
「明日、行っちゃうの?何時から?」
「夕方からのつもりでしたがこれではね、昼ごろから出ようと思います」
「そう…。私も行けそうなら明後日のお昼までには行くから」
「だめでもこれそうでも連絡くださいね。迎えにいけたら行きたいですし」
キスされた。
「行けなくても浮気、しないでね」
「しませんよ。大丈夫」
「本当?」
「あなたほど可愛いと思う人はいません。だから大丈夫ですよ」
頬を染めて大変に可愛らしい。
背を撫でようと思ったけど痛い。痛いけど頑張って背を撫でた。
「そろそろ寝ましょう」
「そうね、おやすみなさい」
寝る前にもう一度、とお願いしてキスしてもらう。
今日はしたくとも何も出来ない。
懐に抱いて、温かさと匂いを楽しめるだけでもまあ幸せだからいい。
おやすみなさい。
月曜の朝、起きてテレビを見ると山梨が凄いことになってるとか。
タブレットで電車の状態を確かめる。
うん、動き始めている。
会社に連絡を取り、出張はそのまま行くことにした。
どのみち東京駅まで行かなければ新幹線に乗れないので一旦会社に寄り、
書類などを受け取る手はずを整える。
朝は今度は塩ラーメン。
いろんなのを買っておいて良かった。やっぱり同じのは飽きるからな。
脱出する準備を整えお暇を告げた。
「あら、もう行っちゃうの?」
「ええ。そろそろ行ったほうがいいでしょう、きっと遅延しますでしょうから」
「私もそこまで行くわ、スーパーになにか入荷してるかもしれないし」
「じゃ八重子先生。お邪魔しました。また木曜に参ります」
「気をつけてお帰り」
外は重機が入り流石に除けられては居るが日当たりの悪い所は雪が沢山に残っている。
「俺が戻る頃にはこの雪もないんでしょうね」
「そうねえ、そうなって欲しいわ」
バスも復旧し、間引き運転だが動いている。
乗って駅前まで二人で。
先生は俺の手を握っている。それを袂で隠して。
駅に着き、先生と別れる。
「気をつけてね、本当によ」
「先生も帰り道、気をつけてくださいね」
そういって別れて電車に乗る。
やはり延着、遅延。
なんとか会社に戻ればやっと帰れたか、とほっとした表情。
出張に必要なものを受け取り、一度帰宅。
鞄などを整え、着替えて一路京都へ。
腹は減るものの、駅弁は途中の駅で買うしか有るまい。
静岡で買い、食べる。
米原、そろそろ降りる用意をするか。
京都に到着して下車。

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