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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

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136

今年の御節はいつもより一段増えて、山沢さんの希望に応じて色々入れる予定に。
たたきごぼうとか、なます・田作りを多めにとか、味噌漬け、焼鰤、等々。
お味噌とお餅は持ってくるって言ってたけど。
こちらのお雑煮だとお正月気分になれないって言ってたわねぇ。
すこしお相伴させてもらおうかしらね。
そういえばところてんをおかずに出したら手をつけてもらえなかったわね。
食文化が色々と違うみたいだからうちに入ってもらったら大変かしら。
うーん、自分で作ってもらえばいいわよね。
そうそう、年越しのおそばは山沢さんの分もいるわよね。
天麩羅でよかったかしら。メールしてみましょ。
すぐにメールが帰ってきて、天麩羅はいらなくて鰊を持っていくからと書いてある。
ああ、そういえばあちらはにしんそばなのね。
メールって便利ねえ。お仕事中でも気にしなくて良くて。
山沢さんはメールで愚痴を書いてこなくて、私の愚痴に対して励ましてくれる。
もっと甘えてくれてもいいのに。
お母さんにそういったら、ちゃんと山沢さんは甘えてるだろ、と言われた。
そうは見えないわ…。

大晦日。
昨日は仕事が終わり仮眠。
そのままの格好で今は加工場にいる。
鯛を焼いているのだ。
火に掛けだすとしばらく放置することになる。
先生のお宅にもって行く味噌漬けやお造りの用意。
すべて段取りが終った頃、焼き終わった。
車に積む。
一旦帰宅してシャワーを浴びて着替え、用意した紋付、これも車に積む。
匂いが移らないようにして。
さあ、先生のお宅へ車を走らせよう。
まだ暗い中、渋滞もなくスムーズに到着した。
お勝手口を開けて魚を搬入する。
焼鯛は風通しの良いところにおいてあとは冷蔵庫へ。
刺身が入らない。
……寒いから良いか、袋もかけてあるし。
お勝手の鍵を締めてから、寝間に行き紋付を衣桁にかける。寒い。
時計を見れば4時過ぎ。先生のお部屋に行こう。
そっと襖を開けてはいる。良く寝ている。
ジャケット、カッターシャツ、スラックスを脱いで、そろりと布団に進入し、キス。
寝ている先生の浴衣の帯を解き乳房を揉み乳首を舐め、翳りに手を伸ばす。
暫くして濡れて来たそれを突起にまぶして弄る。
かすかに喘ぎ声。
指を入れて弄っていると起きたようだ。
きゅっと私の胸にしがみついて、声を我慢している。愛しい。
中に入れながら突起をコリコリと弄って感じている顔を楽しむ。
そのまま3回程逝かせて、声が出そうなのはキスで塞いだ。
ディープキス。先生も離れようとしない。
遠くで居間の時計が5時を告げている。
「お仕事終ったのね…おかえりなさい」
お帰りなさいって…それって…。うわー。なにそれ。嬉しい。
「……ただいま戻りました」
「三ヶ日終るの待てなかったのね?」
「はい。今ならまだそんなに激しくしないですみますし…」
「十分激しかったと思うけど…凄い隈ね」
先生がそっと私の目の下をなぞる。
「髪もまだ湿ってるわねえ」
頭を撫でられた。
「お昼まで寝てなさい。このまま。私はもう起きるけど」
「はい、そうさせてもらいます」
暫く頭や背を撫でられているうちに寝てしまったようだ。

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135 -回想-

最近お風呂に入っているときや寝るときに山沢さんを思い出してしまう。
あの人はうちに来ると優しくて、あの人のおうちだと激しくて。
うちだとちゃんと声が他の部屋に聞こえないように気を使ってくれる。
朝、山沢さんの腕は私の噛んだ跡で腫れている。
いつも私の限界を見てやめてくれる。
物足りないって思ってるのはわかるわ。
だから。
あの人のおうちでするときは泣いてもやめてくれない。
次の日立てないほどされて。
たまに激しいだけじゃなく酷いことをされる。
私がしたことへの報復に。
でも痛いことはされたことがなくて。
体は気持ちと裏腹に喜んでしまう。
女っていやね。
あの人は怖がらせるのが好きなのに怖がられると悲しそうにする。
だから、つい受け入れてしまうのよね。
優しくしてって言うとしてくれるし。
本当は激しくしたがってるのわかってるんだけど。
私、激しいのはあまり好きじゃないのよね…。
以前はうちでも酷いことをされてたけど。お尻に入れられたり。
あんなところで気持ちよくなったなんて言えないわ…。
あの人だけが知っているけれど。
裸で抱き合っていると山沢さんもやはり女の子で、胸もあって。
でも私より筋肉質で。
いつも泣かされるから山沢さんを泣かせたくなっちゃって。
でも手を出すと後が怖いのよね。
気持ちよくなるのがいやなのかしら。
それとも弱みを握られたと思っちゃうのかしら。
よくわからないけれど。
私よりほんの少し背が高いけれどキスをするときは少し上を向けば出来て。
お稽古前にわざとしてみたり。
だって山沢さんはお稽古のときはえっちなこと絶対してこないから。
困ってる顔が可愛くてついしちゃうのよねー。
結構律儀で旅行のときもご飯の前とか時間が決まってるときはしなかったわ。
うちでも夜、私が部屋に行くまで待っていてくれる。
だけどお昼間、抱きつかれるのも嫌いじゃないわ。
見られる心配がなければだけど。
いい着物を着てるとき、絶対触れてくれないのよね。
普段の、木綿の着物だと不意に引き込んでキスしたりするくせに。
脱がせて、と言っても手を洗ってからしか脱がせてくれない。
前に怒ったからかしら。
あら?そういえば山沢さん、月の物はいつなのかしら。
スパッツを穿いてるときがあるけれどそれがそうだったのかしら。
それとも妙にいらいらしてるとき?
激しいとき?
今度機会があれば聞いてみましょ。

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134 -絹-

翌日、大掃除もほぼ終わり御節に入れるものなどをお買物に。
律に車を出させてあれやこれやと買い、ふと。
こういうの山沢さん好きかしら、なんて思ってしまう。
毎年なら買わないものも少し買うことにして。
「……お母さん、何でそんなの買うの?」
「んー、お正月山沢さん来るのよね。こういうのあの人好きだから」
「あ、山沢さん、くるんだ?」
「多分大晦日のお昼頃に来るんじゃないかしらね。
 来たらすぐに寝かさないと駄目でしょうけど」
「なんで?」
「4時間睡眠なんですってよ。月曜から30日まで」
「へー、大変なんだ?」
「あんたも就職考えないとねえ」
「ははは…」
薮蛇、そんな顔している息子に頼りなさを少し感じて、まだまだ頑張らなきゃと思う。
来年も生徒さんが増えるといいわねえ。
きっと山沢さんも手伝ってくれるでしょうし…。
別れなければ、の話だけど。
あの人だって他に好きな人が出来るかもしれないわよねえ…。
そうなったらどうしよう…。
「どうしたの、お母さん急に」
「なんでもないわよ。さ、帰りましょ」
律の運転する車に乗って、ぼんやりと考えてしまう。
今はいいけれどいつか、私が年を取ったらしてくれなくなるわよね。
若い子とするようになって私から離れていくかも。
やっぱり兄さんと結婚…山沢さんと兄さんがえっちなことするなんて…いや。
「お母さん?ついたよ?」
「あら?ごめんね、ぼーっとしてたわ」
「おばあちゃん、ただいま、これどこ置いたらいい?」
律と一緒に食材を降ろして片付けるものは片付けた。
下ごしらえをお母さんとする。
「じゃバイト行って来るから」
「はいはい、気をつけて行ってらっしゃい」
友達と旅行に行きたい。そう言ってたわね。
お母さんと二人で台所仕事をする。
「ねえお母さん…」
「なんだい?」
「あと10年もしたらきっと山沢さん、離れていくわよね…」
「うん?」
「だってもっと若くて綺麗な子沢山居るでしょうし…」
「あー…多分山沢さんは大丈夫だと思うけどねえ。絹が私の年になっても一緒だろ」
「そうかしら?」
「大晦日にでも聞けばいいじゃないか、きっとそう言うよ、あの子」
「うん…」
「なんなら養子にしたらいいじゃないか」
「え?」
「この間ね、ガーデニングの集まりでそんな話を聞いたんだよ。
 同性愛者は結婚できないから養子縁組をするんだそうだよ」
「うーん。同性愛者って言われると…なんかいやねえ」
「いざとなればの話だからね」
そんな話をしながら御節の準備をして、29,30日と日を過ごす。
黒豆もつやつやに出来たし、きんとんもいい感じね。
夫に食べられないようにして、夫が食べていいものを出しておく。
長く暮らす間にそれくらいはするようになった。
普段は食べられたら作ればいいわよ、と思っているけれど。

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133 -絹-

ご飯を食べた後、お掃除の続きをしていると子宮・乳がん検診のおしらせを見つけた。
そういえば行った事ないわねえ。
山沢さんはどうかしら、行ったことあるのかしら。
よく読んでみると乳がんは40歳から。
来たときに聞いてみようかしらね。
おかあさんがそれをみた。
「山沢さんは中央区だから無料にならないんじゃないかねえ?」
「あらそう?年明けに保健所に聞いてみましょうか。
 きっと一人じゃ行きにくいでしょうし」
「女装させないと駄目じゃないかい?」
「やだ、お母さんったら。女装って。多分凄く嫌がるわよ?」
「面白いじゃないの、それも」
「そういえば今年も環姉さんは帰ってこないのかしらね」
「仕事みたいだねえ、あの子は。いい加減結婚すればいいのに」
「あら、雪」
「寒いと思ったら降ってきたねえ」
「先週も雪だったわねえ」
ぼんやりと雪を眺めているとお母さんに毛布について聞かれた。
「あ、そうね、山沢さんのお部屋に要るわね」
「ん?お正月はしないのかい?」
「お母さん!皆居るんだからできるわけないでしょ」
「それもそうだけどちょっと可哀想だねえ、山沢さん」
お母さんは最近山沢さんとのことをからかったりする。
最初の頃は見られて叱られてたのに。
「開兄さんは知ってるからいいけど…律に見られたらどうするのよ」
「まあねえ」
「山沢さんが三が日は我慢するって言ってくれたの」
「それじゃ明けは山沢さんち泊まってきなさい。その方がいいよ」
「ん…そうね、そうするわ」
お母さんが私の携帯をちょっと触って、この状態でメールを打って送りなさいという。
ぽちぽちと本文を入れて送るといつもより少し時間がかかった。
なんだったのかしら。
「クリスマス、残念だったね」
「仕方ないわよ。お仕事だもの」
「ディナーショーの券が回ってきたら誘いたいって言ってたけどね」
「あらー、残念ねえ、それは」
文箱から古いものを纏めて、不要なものを除けて。
もう一度不要なものに目を通して、捨てて行く。
山沢さんからの去年の年賀状が出てきた。
印刷。両面ともにパソコンかしらね。
文面も今見ると苦労の跡が伺える。

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132 -絹-

「ただいまあ」
「あぁお帰り。山沢さんからお歳暮届いてるよ」
「中は何だったの?」
「お肉。今日はすき焼きにするから律に早く帰ってきなさいって電話しといたよ」
「あらいいわねえ」
お台所に行ってお肉を見ると沢山入っていて、
ステーキ用、しゃぶしゃぶ用、すき焼き用、焼肉用と分けられている。
「あらお母さん、松坂牛A5って高いんじゃないの?」
「多分すっごく高いお肉だよ。山沢さん、ほんとあんたのこと…。だねえ」
「お母さんたら。でも嬉しいわね」
「ただいまー。早く帰って来いってなんだったの?」
「おかえり。山沢さんが松坂牛送ってくれたのよ~。きっとおいしいわよ~」
「へー松坂牛って高いんじゃないの?」
「そうよ、そのお肉を色々送ってくれたのよ」
「…山沢さんって魚屋だよね。なんで肉?」
「あら?何でかしらね。手を洗ってらっしゃいよ。もう用意できてるわよ」
「ん、お父さん呼んでくるよ」
食卓にお鍋も出してすき焼きを皆でいただく。
「柔らかいねえ、これなら胃もたれもしないし美味しいねえ」
「山沢さんとステーキこの間食べたけど柔らかかったわよ」
「お母さん、いつもそういうところで山沢さんと食べてるの?」
「うーん、そうねえ、私は作るって言うのよ、だけどねえ」
「そりゃあんた、いつも作ってる人となら食べに連れて行く方が良いもんだよ」
「そうなの?」
「主婦が旅行好きなのは上げ膳据え膳だからだよ」
「律も結婚したらお嫁さんにそうしてあげなきゃ駄目よ?」
お父さんにご飯のおかわりを注ぎながらすき焼きを食べて。
「さすがにもうお腹一杯」
「でもおばあちゃんいつもより沢山食べてたね」
「そうだねえ」
お父さんもご馳走様をして、律もお箸を置いた。
台所で後始末をして、居間に戻るとお母さんが山沢さんち、どうだった?と聞いた。
「もう足の踏み場もないくらいだったわよ、結構疲れたわ」
「えぇ?うちだと後始末きちんとしているのにねえ。よっぽど仕事が大変なのかねえ」
「未開封の郵便物も沢山あったわよ。今日が期限のガスの払込書とか」
「それはどうしたんだい?」
「預かってるお金もまだあるし払ってきたわよ。止められたら可哀想じゃない?」
「まあねえ」
少し話して、お風呂に入って寝る。
翌朝、朝御飯を食べてから大掃除にかかる。
お母さんが窓を全開にしてレシートを飛ばしたり、
古いアルバムを見つけたり。
そんな日々を送り日曜日。
お昼をとっているとテレビで年末の築地が放送されているのをみる。
「あら?これ山沢さんじゃないかしら」
「え?あらほんとだねえ」
「どこ?」
「ほら、ここ」
「あーほんとだ。なんか投げつけてない?」
「他の人と投げ合いしてるわね。氷かしらね?」
「元気そうだね」
「良かったわ。あらもう切り替わっちゃったわね」
後でメールに見たこと書こうかしら。

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