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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

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それから何回か稽古日が過ぎていった。
男の点前と女の点前がごっちゃになりそうだが、なんとかついていっている。
どうせなので男の単衣を何枚か作ろう。
八重子先生に相談したら、自分で着る分くらいは縫えるようになると良いと言われた。
お稽古のない水曜日に教えてくださるというので通うことにした。
売り物のような手の込んだことは教えられないけど、と。
まずは単衣から。
水曜が会社休みのときはお茶のお稽古の後泊り込むことが出てきた。
お茶の稽古に男着物を着て行くことも増え、
絹先生が男を引っ張りこんでいるなんて野暮な噂は消えたようだ。
あの旅行の後、二人になったときにキスくらいはするが手を出していない。
そんなとき、八重子先生がチケットをくれた。
熱海で開催される茶道具展だ。絹先生といって来いという。
一泊でも二泊でも良い、と。
ゆっくり見るんなら二泊だろうという話になった。
ちょうど暇な時期、会社も休みを取れるはずだ。
一応会社に確認したがかまわないと言われた。有休は売るほど残っている。
宿は熱海だし温泉宿だよな、やっぱり。
ここはやはり部屋露天のある離れだろう。たしかあそこ…。
ササッと調べると平日ということもあり空室、ラッキー。
稽古の後そのまま行けば良い。
絹先生が買い物から戻ってきたので告げると、身を堅くしている。
可愛いなぁちくしょう。
「楽しみですね」
と微笑んだところ、ぺちっと叩かれた。
「展示物が、ですよ」
頬を染めて、知らない、と庭に行ってしまった。
しかし八重子先生はどういうつもりなのだろう。
絹先生と年の近い気の合う弟子扱いなのか、はたまた知ってて知らぬ振りか。
前者のつもりで気をつけないとな。

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