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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

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29

翌日10時半過ぎ。
支度をして連れ立った。
あちらは涼しいだろうということで袷だ。
秋の装い。綺麗だなぁ。
私はまあ男着物なので大して代わりはない。羽織に長着。
荷物と言っても一泊だ、大して荷物はないので一つに纏め、私が持つ。
電車に乗り、一路諏訪へ。
諏訪でもし展示が微妙なら諏訪大社へ行くも良し、遊覧船に乗るも良し。
乗車している間も袂の下で手を握って照れさせたり、
駅弁を食べたり車窓風景に見とれたりであっという間だった。
駅についてタクシーで美術館に向かう。
途中、宿泊先の前を通る。あそこか。
美術館は規模が小さい気が…。
名物裂の展示ではあるがここは国宝を収蔵していることで知られる。
また印金・金襴、緞子、間道、錦・モール、木綿などの名物裂だけではなく
名品の茶道具の数々もある。
そして国宝の茶碗を拝見する。
気品のある茶碗だ。手触りはどうなのだろう。たまには使われているのだろうか。
先生もため息を吐いて観賞しておられる。
お連れしてよかった。
喫茶エリアでお茶をいただいて、諏訪大社に行こうかという話になった。
美術館のスタッフに聞くと車で20分程度のようだ。
タクシーを呼んでもらい、大社へ。
…自分が予想していたのとはちょっと違った(笑)
しかしさすがに休日、それなりに人はいるなあ。
本当は神詣りは午後はいけないのだが、これも時間の都合だ。
日没までに離れればよい。
さすがに信濃の一宮と感心したり本殿がなくて驚いたり。
どうやら本殿に見えたのは拝殿らしい。
しかし怖い言い伝えのあるお諏訪様だが、別にそういう感じがしないのは意外だ。
そろそろ日没が近い。宿へ行こう。
昨晩電話したときに特別室とは聞いていたが、さてどんな部屋だろう。
通されてみるといかにもな和洋室だ。
湖面がよく見える。
衣擦れの音がして振り返ると先生は早速持ってきた浴衣に着替えていた。
というのもやはり宿の浴衣は胸元がだらしなくなりがちだからだ。
シュッと貝ノ口に帯を締められた。
私も浴衣に着替えた。唐桟縞である。
先生は遠州綿紬。秋の浴衣だ。ざっくりとした感触が楽しい。
温かみのある色で思わず抱きしめたくなった。
お風呂行かない?というのでご一緒する。
大浴場は湖水がよく見える。日没。美しい。
夕日に照らされる先生もまた美しく、溜息が出た。
風呂から上がり、浴衣を身につけられた姿も更に好く、何か誇らしい思いがした。
そのまま食事処に行き、いただく。
中々うまい。見目もよい。
前日に言って取れた宿でこれ、というのは結構な幸運ではないか?

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