チェックアウトの手続き時に城への道順を聞く。
宿を出てすぐのところのバス停から駅へ行き、乗り換えて城へ行くルート、
タクシーで行くルート、どちらかで行くほうが良いらしい。
20分ほど歩くという手もあるが。
タクシーを呼んでもらい、乗車すると10分かからなかった。
なるほど小さい城と聞いてたが。確かに小さい。
お庭が綺麗。早くも紅葉している。
雰囲気は抜群だなあ。
どうやら天守は昭和中ごろに復興されたもので明治初年に壊れたのだそうだ。
散策していると、懸釜があるという。
先生に伺うと、行ってみようという事になった。
取敢えず懐紙を懐中する。
受付で聞くとこちらは表の方だそうだ。
お正客に先生を据え、私は気楽に次客~♪
男性のお点前を見せていただく。
あ、裏と似てる。
他のお客さんもこられず、お道具のお話で楽しく過ごせた。
天守は資料館のようだ。
展望もよく、干拓していなければ浮城だったというが。
展示物に茶磨がある。
抹茶の粉にするための道具だ。
茶道具も展示されてるが、まあ城だし主眼は武具だよね。
さてそろそろお昼時。
どこかで食ってから電車に乗ろう。
おすすめを観光協会に聞くとうなぎだそうだ。
場所を聞いてタクシーで向かう。
待ち人数組。
先生が待ちましょう、と仰って下さったので待つ。
15分ほど待ち、店内に入りメニューを見る。本日天然有りますとのこと。
勿論天然を頼む。プラス養鰻蒲焼単体。
竹酒も頼み、先生の盃に注ぐ。
先生から私へも注いでいただき、昼酒うまし。
出てきた。背開き関東風なのに焼きは関西風かな?
私のものと先生のものは産地が違うようだ。
半々にして食べる。
なるほど産地によって味や身質が違う。これは良かった。
養殖も半分ずついただく。
これも中々に美味。
思わぬところでの食べ比べとなった。
先生にも満足していただき、帰路ににつくことにした。
タクシーで駅まで、そして特急あずさに乗車。
楽しい時間もあと2時間というところか。
先生もそう思ってくれたらしく、少しさびしげだ。
だが旦那さんも息子さんもいる先生をそうそう旅行には連れ出せない。
身をこちらに寄せてもたれかかる先生の手を撫でる。
「このまま攫って行きたいですね…」
「困らせないで…」
そりゃ困るよなあ。実際。
「というか駆け落ちじゃなくて誘拐とか拉致事件でしょうねえ、私とだと」
あ、笑ったな。
「うん、笑ってるほうが素敵ですよ。
どうせお稽古で週3くらい会うんですから良いです。困らせちまいましたね」
車内販売でコーヒーを貰い、車窓を楽しむ。
ずっと先生の手を握ったまま。
特急が駅に着いた。ここからは先生と弟子モードで移動せねばなるまい。
乗り換え、先生の最寄り駅までお送りする。
改札を出てタクシーに乗せる。名残惜しげだ。
お見送りして、私も帰ろう。荷物が重く感じてきた。
先生の浴衣などの荷物は稽古日にもって行くことになっている。
早く次の稽古日来ないかな、早く会いたい…。