翌朝寝ている先生を置いて出る辛さ。
帰ったら居ないんだよなー…。
くちづけを落とし、渋々出勤する。
ぱたぱたと仕事をこなす間は忘れていられるが。
手が空くと今頃先生は、と考えてしまう。
それでも女友達と、と言うからいいか。
まさか俺以外とそういうことはしないだろうし。
仕事が終ってお稽古場へ移動。
いつもよりは少し遅めだ。
ついたら丁度八重子先生は食事を終えたところで一緒にお茶をいただいた。
今日はお稽古なしだから気が楽だ。
炉の灰を上げて炉壇を抜ききれいにした後は畳替え。
なるほどこれは八重子先生だけでは大変かな。
それから風炉に灰を入れて八重子先生がササッと灰を形作って行かれる。
手早い。綺麗。
俺がやるとどうにも時間はかかるし形は悪いし。
やっぱり長年のお稽古かな。
「灰の教室行ったら?」
そう仰るが中々スケジュールが。
「ま、普段うちのお稽古でしてもいいけどねえ、他の生徒さんがお休みのときとか」
「それいいですね、お願いします」
丸半日が風炉への支度で潰れた。
汗を沢山かいたので八重子先生と風呂。
気持ちいいなー。
先生も今頃は温泉を楽しんでいるのかな。
新しい傷が増えてるが最近は八重子先生もあまり言わない。
たまに手当てをしてくれることはある。
背中は見えないので化膿しかけててもわからない。
だから気づいたときに抗生物質を塗ってくれたりする。
さて、夕飯を作って食べてゆったりした夜。
「あんた今日絹居ないけど一人で寝るのかい?」
「律君と寝ましょうか」
「えっいやそれは駄目だって!」
律君が慌ててて面白い。
「冗談だよ。たまには一人で寝ましょうか」
「私と寝るかい?」
う、なんとなく怖い気がする。
でも最近はないし。
「じゃそのように」
孝弘さんがにやっと笑った。
しばらくして戸締りし、寝ることに。
八重子先生の部屋にもう一組布団を敷く。
別の布団なら問題あるまい。
布団に入ってすぐ。
隣で八重子先生の寝息が聞こえた。
疲れたから寝てしまったようだ。
ふっと笑えてそのまま寝た。
翌朝目が覚めて八重子先生と朝食を作る。
何事も無く先生の居ない日曜日。
ふとついた溜息に八重子先生が頭をなでてくださる。
お昼過ぎ、家路につくことにした。
[1回]
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