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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

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てくてくと歩いて部屋に着く。
「八重子先生、山沢です」
「はいはい、ちょっと待って」
招き入れられてどうしたの、と聞かれたので電話を渡した。
「先生も気がかりそうだったから機嫌直ったら戻ってくださいよ」
「年寄りなのはわかってるんだよ。だけどねぇ」
「腹が立つんですよね?」
「そう」
「俺は八重子先生は年より若いな、と思いますよ。色々と」
普通は娘の不倫認知しないし。
お茶を煎れて渡す。
「まぁ明日には戻るよ」
「わかりました」
テレビのリモコンとIHコンロの使い方だけ教えて帰ることにした。
おうちとは違うからね。
先生を抱いてるベッドで八重子先生が寝るのは少々微妙だなぁと思いつつ戻った。
「おかえりなさい、どうだった?」
「明日には戻るって」
「そう、ならいいんだけど」
心配そうだ。
「気になるなら枕元に携帯置いて寝ますか。それとも様子見てきます?」
「うん…ちょっと行ってくるわ」
はいはい。
孝弘さんにおせんべいを出してそれが綺麗になくなった頃、先生が戻ってきた。
「おかえりなさい。そろそろ寝ましょうか」
「あ、そうね」
そういって鍵を閉めてから居間へ。
「お勝手見てきます」
勝手口の鍵もかけて火の元を確かめる。よし。
居間へ戻ると孝弘さんは離れへ戻ったらしく先生が脱ぎ始めていた。
ん、色気を感じる。
「痛っ」
「紐、外すときに当たりますか? 外してあげますよ」
しゅるしゅると紐を抜いて肌襦袢に手を掛けるとちょっと慌ててる。
ふっと笑って着物を脱がせてハンガーにかけた。
「寝巻どこやりましたっけ」
寝間に、というので襦袢を着たまま移動する。
ほどくだけほどいてあげて先生が着替えてるうちに布団を敷いた。
俺も寝巻きに着替えて一緒に布団にもぐりこむ。
今日は暖かかったから寝間の涼しさに布団が心地よい。
するっと先生が俺の胸に頬をつけてきた。
可愛いなぁ。
多分今日はする気になれないだろう。
頭をなでて背中をなでて寝かしつける。
「いいの?」
「いいよ」
まぁしたいけど。しょうがない。
懐の中で時折溜息が聞こえる。
色々悩むこともあるんだろうが俺には相談しても仕方ないと思ってるんだろうな。
ちょっと情けなくは思うが。
もぞ、と先生が動く。
ん…キスされた。
「おやすみなさい」
なんだ寝る前のキスか。
「おやすみなさい」
しばらくしてやっと寝息。

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