朝起きて洗濯物を干す。
土曜はそれなりに売れて忙しい。
急いで帰ってお稽古へ。
水屋を用意したり生徒さんの客をしたり。
俺のお稽古も今日は軽めに。
ご飯の炊けるにおいに集中力を破られた。
それで叱られたけれど。
水屋を片付けてお夕飯をいただく。
やっぱり美味しいなぁ。
律君が部屋にかえって孝弘さんが離れに行った後、八重子先生に愚痴られてしまった。
八重子先生に暫く説教されてしまって今晩は別の部屋、ということに。
うーん、残念。
先生方がお風呂に入られて、今日は先生は自分の部屋へ帰っていかれた。
戸締りや火の元を確かめて寝間にはいる。
布団を敷いて入ったが…この部屋で一人寝とは妙な感じだ。
少し寂しい。
仕方ないかと寝付いたが一時間ほどして。
先生が布団に入ってきた。
「別の部屋じゃないと駄目って仰ってたのに…」
「だって…」
可愛いなぁ、うん。
キスをしたけど眠そう。
「眠い?」
「ん、眠いけどしたいなら…頑張るわよ?」
「可愛いこと言いますね。でも今日は良いよ。眠いなら寝なさい」
「いいの?」
「して明日起きれなかったら二人して八重子先生に怒られそうじゃないですか」
「あら、そうね」
くすくす笑って俺の胸に頬をつけて。
くにくにと俺の乳首を弄ってる。
「ほら、寝ますよ」
「うん」
「おやすみなさい」
「おやすみ」
そういいつつも暫く弄っていて、段々緩慢になってきたと思えばやっと寝息だ。
ふうっと息をついて寝た。
翌朝は久々に三人で台所に立つ。
「あんたら今日予定は?」
「特にはないです」
「なぁに? お母さん」
「呉服屋さん行ってきたら? 山沢さんの夏の着物見立ててやんなさいよ」
「ああ、そろそろ暑いし単衣にしようと思ってたんですよね」
「あらでも今から間に合うかしら」
「来月には着られるんじゃないかねえ」
「少し高くても早めに仕立ててもらえば良いんじゃないでしょうか」
「まぁねぇ」
「じゃ、どこ行こうかしら」
「諸津さん、とかどうかねえ」
「あらいいわね」
「じゃ10時くらいに行きますか」
「そうね」
朝御飯を頂いて、それからどんなものが良いか、と言う相談をする。
絽の5つ紋の黒はいるだろうか?
いやいらないんじゃないか、いざと言うときはおじいちゃんのがあるからなどと。
そういうわけで連れ立って呉服屋さんへ。
いくつか見せてもらい、先生がお稽古や普段着に良さそうなものを選んでくださる。
特急で仕上げていただくようお願いして支払い。
夏か…夏…。
「先生。夏の間あっちに泊まりません?」
「ん?どうしたの?」
「虫苦手なんですよね」
「蚊帳吊るわよ?」
「それでもイヤです」
「仕方ない子ねえ。お母さんに相談してからね?」
「ぜひお願いします」
くすくす笑ってる。
「あなたそんなに苦手なの?」
「凄く苦手です」
「じゃ夏の草むしりできないわねえ」
「それは我慢します」
いいこいいこ、と頭をなでられた。
先生のお宅について八重子先生とお話しする。
八重子先生は苦笑して許可してくれた。
そう毎回は無理かもしれないが先生つきであちらで、と。
お昼ご飯を作って食べて先生にもたれかかられて。
ちょっと暑いかな。
これからもっと暑くなったらどうしよう。
くっつきたくないって言われるかな。
いやあちらの部屋はクーラーつけれるからきっとなんとかなる。
しばらくゆったりとして夕方になった。
「さてそろそろ帰りましょうかね」
「あら? お夕飯食べていかないの?」
「ん、今日は良いです」
「じゃお買い物行くからそこまで一緒に行きましょ」
「はい」
「お母さん、今晩何にしましょ」
「そうだねぇ」
献立を決めている間に身支度を済ませ、何にするか決まった先生と玄関へ。
人目がないのを確認してかすめるようにキスした。
コツン、と額を小突かれてそのまま一緒に。
途中でお別れをして俺は駅へ、先生は買物へ。
さびしい気分になりつつ帰宅する。
いつの日かずっと一緒に暮らせたらいいのになあ。
帰宅後、少し落ち込んで布団の中にもぐった。
すぐに眠気がやってくる。
おやすみなさい。