月曜は仕事をしたくない。
そんな思いで仕事を何とかこなしたが天気もよくなく何か滅入る。
風が強い。
今日は寝る日にしてしまおうか。
先生と会えないだけでテンションが下がる。
とメールもできないわけで。
あきらめてどさりとベッドに倒れこみ、寝た。
夕方。
メールの音で目が覚める。
先生から夕飯の写真。
おいしそうだ。腹が減った。
何か食べに行くか。
のっそりと起きたところに来客。
「あれ、ハル? どうした?」
「彼氏と別れた。泊めて」
「ついにか。家帰らんの?」
「家まで来そうだから、アイツ」
「はいはい。良いけど俺今からメシ食いに行くよ」
「一緒に行く。おごって」
「テメ、財布は?」
「見ての通りなんも持ってない」
「しょうがねえ奴だな。ちっと待ってろ」
着替えて飯を食いに出る。
蕎麦が食いたいというから蕎麦屋だ。
ざるを頼み酒とざるでやる。
ハルは天そば食っている。人の金で容赦のない奴だな。
食い終わって帰って俺はすぐ寝る用意。
和室に客布団を敷いた。
携帯がなる。先生からだ。
『あ、よかった、まだ起きてたのね。こんばんは。
あのね、明日羊羹を二棹買ってきて欲しいの。それで…』
「ねー久ービールないのー?」
「ないからコンビニで買って来い! そこに金あるだろ」
「えー若い女一人で行けって言うのー」
「イヤならとっとと寝ろ」
ぶつくさとハルは言いながら出て行ったようだ。
『……山沢さん』
「はい?」
『女の子、家に呼んでるなんて良い度胸ねえ』
あ、やべえ、浮気と間違われてる。
「違いますから」
『あら、若い子が良いなら良いのよ。こんなおばさんより若い子の方が良いわよね』
「若い若くない関係ありませんよ。あなただけです」
『知らない』
あ、電話切れた。
何度かリダイヤルしても駄目。
仕方ないからメール。
ハルが家にいる理由を簡単に書き、羊羹はどうして欲しいのか問う。
一時間ほど返事がなくて、今ではハルがビール片手にテレビを見ている。
返事がないなら明日お稽古早めに行かなきゃなぁ。
「おい、先に寝るから。明日適当な時間になったら帰れよ。俺は昼から用事あるから」
「えー暫く泊めてよ~ねー」
「却下。留守宅に人がいるとか無理」
「ちぇーじゃ鍵どうしたら良いのー?」
「掛けて玄関のオーナメントの中に隠しとけ」
「わかったー」
ベッドに潜り込んで更に30分ほどしたとき、やっと返事が来た。
明日ちゃんと聞くから、と。
羊羹は贈り物用として熨斗つけて一本ずつ、表書きはなくて良いということだ。
了解してほっとして寝た。