忍者ブログ
百鬼夜行抄 二次創作

let

伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

38

先生は気恥ずかしそうに、孝弘さんにご飯をよそう。
煮物を食べて不審そうに私を見る。
「…まずいなら食わなくて結構です」
仕方ない。自力消費だな。
「うまいじゃないか、これ」
孝弘さんは謎の舌だな。
「うん、おいしいわよ?濃いけど」
濃いのが問題だと思うんだが。
どうしても常備菜系の濃い味になるんだよなあ。
先生までもごはんのおかわりしてる。
全体的に濃いんだな。
「ただいまあ」
おや、八重子先生のお帰りだ。
「ああ、おなかすいた。何かあるかい、絹」
絹先生は私のほうを見る。
「出してきます」
かなり多く作っちまったんだよね。
ただ八重子先生に濃い味はどうなんだ、血圧とか。
八重子先生の分を食卓に並べ、絹先生がご飯をよそう。
一口食べ、しばらく手が止まった。
「これ。絹、あんた作ったのかい?」
あーやっぱり口に合わないよね。
「今日は全部山沢さんなのよ」
「あんた濃いよ、これ。煮物苦手って言ってたけどこういうことかい?」
「そういうことです。ついつい濃くなっちゃって」
八重子先生までもご飯お代わりしてる、駄目だこりゃ。
持って帰って今晩のおかずにしよう。
「普段これならあんたうちのごはん味が薄くて食べにくかったろ?」
「いや、いつも美味しくいただいてますよ」
「そういえば山沢さんごはんの後いつも塩飴舐めてるわよねえ」
見られてたか。
「ああ、まえに晶が貰って食べて吐き出してたの、そうかい?」
「いやそれはみょうが飴かと」
「なんだい、それ」
「いや、いろいろあるんですよ。ネギ飴とか玉葱飴とか。青唐とか壬生菜とか。ごぼうも」
実は京都土産だったりする。
入れればいいってもんじゃないだろってツッコミがあるのに、なぜか種類が増えている。
食事も終わり絹先生と台所に引き上げる。
残ったおかずはタッパーに回収し、洗物を片付けた。
台所から廊下に出ると、八重子先生が花を抱えている。
生けるのを見せていただく。
花を生けるのだけはセンスがないから遠慮したい。
けど茶花はやんなきゃならんから困ったものである。
残った花と花いけを渡されて、さあどう生ける?と言われた
入れてみると溜息を二人から吐かれた。うぅ。
「こう、なんで壊滅的なんだろうねえ」
「ほんとねえ」
ひょいと絹先生が入れる。うわぜんぜん違う。
それを八重子先生が入れなおす。うーん。定位置と言う感じに。
「絹のは若い人向きだね。感性がまだ若いからね」
なるほど。
「なんというかきっちり決まってるものならなんとかなるかもしれないんですが…」
「ああじゃあ生花なんかやるといいかもしれないねえ」
絹先生が残った花材などを片付けに出て行った。
わしわしっと八重子先生に頭を混ぜられた。
な、なんだ?

拍手[1回]

PR