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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

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398

翌朝はやはり先生はよく寝ていた。
朝御飯の支度をして先に食べる。
と言ってもパンとベーコン、卵だが。
空腹が押さえられたので10時にセットして二度寝することにした。
先生が寝返りを打ち俺の上に乗ってしまう。
ま、いいか。
重いのもそれなりに気持ち良いし。
しかし疲れきってるようだがトーハク行けるかな?
白菜が見たいらしいけど。
うつらうつらと朝寝を楽しんでいると9時半頃目が覚めたようだ。
「ん、おなかすいたぁ」
「ふぁ…うー、お早うございます」
「あ、おはよう。何時?」
「9時半みたいですね」
「随分寝過ごしちゃったわね」
「疲れてたんでしょう、今日いけそうかな?」
「行くわよ。7日までだったでしょ?」
「ええ」
「じゃ朝ご飯食べたら着替えて行きましょ」
起きるのは良いがちょっと立つのに苦労をしていた。
トイレに連れて行ってから食事を作る。
軽めで良いというので軽めに。
先生にはサラダをつけた。
食べて洗顔と歯を磨いて10時半過ぎ。
「さ。着替えたいわ。手伝って頂戴」
「はいよ」
ちょっとは回復したらしく、手を貸さずとも和室に入った。
髪を結ったりお化粧をして先生が調えている間に自分の身支度を整えた。
先生は昨日出してあった着物を着る。
「紐」
「はい」
やっぱり着るの手早くて、そして綺麗だなぁ。
つい見とれてしまう。
それから再度鏡を見直して色々とチェックし、俺の着物を少し直した。
先生がトイレに行く間に鞄や草履を出して後は家を出るばかり。
混む、と聞いていたので念のため飲み物を鞄に入れて、出発。
とはいえ5分ほど歩きすぐに電車に乗ったが。
メトロで上野に出てタクシーを拾う。
「混んでますか?」
「そうだねぇ3時間待ちとか」
「先生、どうされます」
「今日じゃないと…あなたが良いなら私は待てるわ」
「大丈夫ですか」
「ええ」
車を走らせて貰って正門へ。
「お、今日はそこまでじゃなさそうだ」
「あれでですか」
「よかったねえ、お客さん。3時間じゃないよ」
降車して手続きをして列に並ぶ。
やや時雨れている。
「先生、俺に体重預けて」
「ん」
一時間ほどかけてじりじりと列が進む。
途中先生が喉が渇いてそうなので飲み物を飲ませた。
「あ、おいしい」
汗、随分かいてるようだ。
体重を預けるとどうしても密着するからなぁ。
暫くしてやっと入場だ。
列の進むにしたがって見えてきた。
なるほど白菜…。
先生は真剣な顔でじっくり鑑賞している。
俺なんかはこんなもんなんで作ろうと思ったんだ…?なんて。
思っちゃってたわけだけども。
先生の鑑賞している横顔を見てるほうが楽しいわけなんだけども。
立ち止まることは出来ず他の展示物へ流れる。
先生は凄く楽しそうだ。
好きなんだなぁ。
その後常設展も巡って帰宅。
まずは先生を風呂に入れてベッドで休ませた。
流石に昨日の今日で1時間以上の待ち時間は堪えたようだ。
寝ている間においしいお弁当を買いに出た。
急いで行って急いで戻る。
そっと玄関を開けて静かに入り、冷蔵庫に仕舞った。
着物を脱いでそろりと先生の横に潜り込む。
良いにおいだ。
俺の匂いをつけて帰したくなるが。
もう一度抱いてしまったら帰れなくなるだろうな。
それはきっと叱られる。
なんて思っているうちに寝てしまい、7時前に目が覚めた。
先生を起こしてしまおう。
「ん、もうちょっと」
8時と9時に起こしたけど全然ダメだ。
諦めて先生のお宅に電話した。
起こしたけど起きない、そういうと苦笑する気配が伝わってくる。
トーハク1時間以上待ち時間があったので疲れた模様、と言えば納得されたようだ。
電話を切って一人寂しく弁当を食べる。
寝息を聞きつつ。
食べて歯を磨いてコーヒーを飲んでると起きたようだ。
「いま何時ー?」
「10時過ぎてますよ」
「あ、あらぁ?」
「弁当温めますね。それからお家には電話しておきました」
「ええっ?」
「明日朝のお稽古ないんでしょう?」
「ないわよ、ないけど…」
チン、と鳴る。
「はい、どうぞ」
冷たいほうが良いものだけを先によけておいたのでそれを盛り付けなおして渡した。
「お茶入れますね」
「ありがと…あ、あなたもう食べたの?」
「先ほど。もう少し待てばよかったな」
「起こしてくれたらよかったのに」
「ははは、3回起こしましたよ。もうこんな時間ですしね、これから帰すのは怖い」
「12時くらいまでなら平気よ?」
「俺が嫌」
ぷっと吹き出してくすくす笑ってる。
ま、納得してくれたようだ。
ゆっくりとお弁当を平らげてお茶を飲む先生はまだ少し眠そうだ。
「寝ますか」
「食べてすぐはダメよ」
眠そうなのに。
暫くテレビを見てそれから歯を磨いて先に布団へ潜った。
一人うつらうつらしているとそっと入ってくる気配。
温かくて丸みのある先生の体が俺に添う。
「おやすみなさい」
「おやすみ」
懐に抱きこんで寝た。

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