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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

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405

翌朝やっぱり先生は起きれなくて俺が朝飯を作る。
今日はご飯の前に八重子先生が先生を起こしに行った。
珍しい。
「今日は9時から町内の会合があるんだよ。だから絹を起こさないと」
あくびをしつつ先生が起きてきて食卓についたがまだ眠そうだなぁ。
「早く食べて支度しないと、ほら」
八重子先生にせっつかれてる。
町内会かぁ、大変そうだな。
草むしりとか側溝は律君が出たりしてたらしい。
食後、着替えて先生が出て行った。
俺はあちらの家から洗濯物を回収して先生の着物は畳んで仕舞った。
八重子先生と家事をして先生の帰りを待つ。
昼前、まだ帰ってこないので買物に出た。
買物袋を提げて戻る途中、先生と出くわした。
「あら、なに買って来たの?」
中を見せる。
「冷麺食べたいって律君が言ってたから」
「あらー」
「何か食べたいものありました?」
「甘いもの欲しかったんだけど…良いわ」
「プリン買って有りますよ。それともホットケーキ食べます?」
「いいわよ」
「なに、俺が食べたいから先生がお相伴と言う形で」
「そう? そうしてくれるならホットケーキにしてくれる?」
「勿論。じゃちょっと寄り道してください。牛乳がない」
「コンビニ?」
「そう」
あ、わらび餅に引っかかってる。
生クリームも一緒に買うことにした。
戻って八重子先生に冷麺を頼んで俺はホットケーキを焼く。
同時にカラメルソース。生クリームも泡立てて甘めに。
「甘そうだねぇ」
「どうせなら甘いほうが良いじゃないですか」
浴衣に着替えた先生が台所に来た。
冷麺を二つお盆に載せて持って行って、またこちらへ。
孝弘さんは出かけちゃったので後はホットケーキが出来たらOK。
カラメルと生クリームとバターを先に持って行ってもらった。
よし、焼けた。
お皿に乗せて食卓へ。
「おいしそう、うふふ」
律君はうんざりした顔で生クリームたっぷり乗せる先生を見ている。
甘党ではない男の子には嫌なのかもしれない。
俺は抹茶のアイスと食べた。
俺は流石に終盤しょっぱいものが食べたくなったが先生は完食。
午後は昼寝したいというのでお付き合い。
雨気にしっとりとした肌、甘く匂う体臭に何か気が緩んで。
ゆったりと部屋で寝ていると人の気配に目が覚めた。
あ、斐さん。
視線は俺の…胸?
あぁ先生ががっちり噛んでた。
何か痛いと思ったら。
先生に用があるようなので揺り起こした。
「んー…、なぁに~」
「絹ちゃん、あんたねえ」
ちょっと呆れてる声を出しているのは寝ぼけて俺の腹を揉んでる点か?
先生の口元を手拭で拭いてあげて、俺の胸を拭く。
歯形と涎でべたべただ。まだ先生はぼんやりしてて、寝が足りない様子。
ぺたん、と斐さんが布団の横に座った。
先生はやっと意識が現実に戻ったらしい。
「あら、姉さん」
腹を揉む手も膝へ行った。
「居間行きませんか?」
「そうね」
身づくろいをさせて髪を直して。
俺は布団を片付けて行く、と部屋から送り出した。
ああ危なかった。
噛まれてる程度の時で良かった。
部屋を整えて居間に戻る。
「あ、山沢さん、コーヒー入れて頂戴」
「はいはい、エスプレッソ?」
「ううん、普通のが良いわ。姉さんの分もね」
「はーい」
俺の分も入れて戻る。
「どうぞ」
「悪いわねぇ」
「いえ。あ、そろそろ買物行かないとですね、何しましょう」
ちょっと考えていくつかメニューを言われたので買物に立った。
買物から戻ると八重子先生が帰っていたので台所に二人で立つことに。
「斐、あんたご飯どうするの?」
「食べて帰って良いかしら、どうせ今日うち誰もいないのよ」
ということで作る。
結婚後に姉妹で仲良く話す機会ってあまりないだろうし。
さっと作ってご飯が炊けた頃、孝弘さんが戻ってきた。
はらへった、と言ってる。
「ちょっと待っててくださいね、律が帰ったら食べましょ」
律君待ちか、俺も腹減った。
バラバラッと音がした。
夕立。
八重子先生がタオルと雑巾を用意してる。
律君が濡れて帰った時のためか。
優しいなぁ。
がらっと戸が開いた。ナイスタイミング。
「ただいま、もー後5分降るの遅かったらなぁ」
タオルだけで済みそうだ。
じゃ食卓にご飯出しましょう。
お盆に載せておかずを運ぶ。
「あ、手伝うわ」
「いいわよ、この子に任せてたら」
「作ってもらったんだからそれくらいはしないとね」
そういっていただいたので軽いものばかり乗せて渡した。
あとはお櫃。
先生の横に置いた。
律君が食卓に着いたのでいただきます。
「あら、結構おいしいじゃない。お母さんじゃないわよね、これ」
「ほとんど山沢さんが作ってるからね、うちの味とはちょっと違うだろ」
「山沢さんの作るの、最初の頃は食べるの辛かったのよねぇ」
和気藹々とご飯を食べて、お片付けをしたらもう帰る時間だ。
今日はさらっと挨拶してさらっと帰る。
怪しまれないように。
帰宅して寝るころ、先生からメール。
斐さんが帰られてちょっと疲れたらしい。
俺ももう寝るから早く寝るように、と返事をした。
一緒に寝れたら一番なのだけどそうはいかない。
そうするわ、おやすみなさい。そうメールが返って来た。素直でよろしい。
おやすみなさい。良い夢を。

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