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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

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夜半目が覚める。
寝たときと同じ体勢。
何が怖かったんだろうかなぁ。
起こさない程度に触れる。
素肌に。
冷やっこくて柔らかいなぁ。
気持ち良い。
お腹に手を当てて温める。ここは冷やしちゃいかん。
寝息を聞いていると俺も眠くなった。もう少し寝よう。
朝、目が覚めると既に先生は部屋に居らず。
身づくろいして台所へ行くと良い匂いだ。
「おはよう。おいしそうだな」
「あら起きたの。おはよう」
「あなたのご飯食べるの久しぶりかも」
「そういえばそうね。ねぇ、昨日はどうしたの?」
「あぁ何か凄く眠くて。いつもと逆ですね」
「おはよう」
「あ、おはようございます」
「おかあさん、おはよう」
「今日は何作ってるの」
「団子汁よ」
「あぁいいねえ」
律君も起きてきた。
「あ、お父さん呼んで頂戴」
「んー」
まだ寝ぼけてるな。
配膳して、いただく。
うまいなー。
食後暫くすると先生がどこからか菅笠を持ってきた。
「はい、草取りよろしく」
「うっ…はいはい…」
かぶって庭に下りてむしる。
ちゃんと麦茶を用意してくれてある。
あまりに暑くて少し水をかぶったりしつつ。
いやかぶっても暑くてすぐ乾いちゃうね。
お昼ご飯まで先生が掃除をしているのを横目で見つつ。
綺麗だな。
たすきがけ前掛けをして畳の拭き掃除とかえらいよなあ。
家事に汗をかく先生を見て気力を奮い起こし草をむしっていると八重子先生の声。
「お昼できたよ」
庭で汚れたズボンやシャツを脱いで上がる。
「あ、もう。だめよ」
浴衣を手早く着せてくれた。
「手を洗ってらっしゃい」
「はい」
食卓に着いてお昼をいただく。
孝弘さんがご飯を食ってしまったらしく俺と先生の分はスパゲティになった。
梅と鰹節のしょうゆ味。
うまい。
丁度汗をかいていたこともあり大変においしい。
ご馳走様をしたらまた着替えて庭へ。
先生は二度目の洗濯物干し。
ああ、腰巻がなびいているな。
昨日したかったのに寝てしまったのは不覚だ。
あれ、でもまだ先生は終ってない気がする。
結局したいのに出来ない、と思わず済んでよかったのかも。
3時半ごろ先生に呼ばれて作業終了。
汚れた服は洗濯機に入れ、シャワーを浴びるようにと。
シャワーから出ると洗い立ての下帯と浴衣が用意してある。
嬉しいね。
さっぱりとして居間へ行くとお買い物行くから汗が引いたら着替えるようにと仰る。
夕飯のかと思えば違って服だそうだ。
律君の服。
それと俺の普段着。
先生の家に置く分らしい。
微妙にセンスが気に入らないのかもしれない。
やっぱり買物は楽しげだなぁ。
楽しそうにしている先生を見るのが好きだ。
そのままお夕飯の材料も買って帰った。
お手伝いをしてご飯を整える。
夕飯をいただいたらもう帰らねばなるまい。
「さて、と」
「じゃそろそろ」
一緒に先生が立ち上がる。
お見送りを受けるもの、と思いきや先生は鞄を持って一緒に着いてきた。
「え?」
「お泊り。良いでしょ」
「ええっ?」
「だめなの?」
「えっいや部屋汚くしてますし」
「掃除くらいしてあげるわよ。それとも誰か呼ぶ予定でもあるのかしらね」
「ありませんっ」
「だったらいいじゃない」
「もー…仕方ないなぁ」
「あら。嬉しくないの?」
「嬉しいですって。拗ねないでくださいよ」
引き寄せて、と思ったが人目があるから。
夜道を歩いて駅に行き電車に乗った。
揺られるうち先生は俺にもたれている。
「眠い?」
「ううん、大丈夫よ」
「帰ったら一緒に寝ましょうね」
「うん」
乗り換えて暫くすると先生が俺の手を握る。
可愛いなあ。
帰宅後、先生が寝巻きに着替えて寝る準備を整える間に朝飯になるものを買いに出た。
こんな時間だからパンとスープ、サラダカップとハムだけど。
冷蔵庫に仕舞いこんで俺も寝巻きに着替えベッドに入る。
「おやすみなさい」
「おやすみ」
先生の背中を撫でつつ寝た。

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