翌朝、やはり先生は良く寝ている。
しょうがないよね。
寝顔も可愛い。
朝飯の支度をしてると八重子先生が起きてきて一緒に用意。
もう最近は遅い理由は聞かれない。
配膳する頃先生が起きてきて孝弘さんと律君を呼びに行った。
「いただきます」
食事中先生が律君に今日の予定を聞いてる。
台風来るからね。
今日はレポート片付ける、と言う。
朝食後は家事。
先生はまだ眠たげだがお昼寝はお昼食べてからね。
お風呂を洗って茶室の掃除をしてお買物。
お昼と晩、明日の朝の分も。
台風がどうなるかわからないから。
眠そうな先生は置いていくことになった。
リスト片手にお買物。
帰宅すると先生は繕い物をしている。
「痛っ」
「今日は止めたらどうだい、さっきから何度刺してるの」
ぷっくりと指先に血を出して、困った顔している。
「お昼にしましょう。そんでお昼寝したら良いじゃないですか」
「ん、そうね」
てきぱきとお昼を作って出す。
嵐の前の静けさか、のんびりとした雰囲気だ。
テレビでは関西が大変なようでL字枠が出ている。
「あんた実家のほう大丈夫なの?」
「ああ、あっちは災害来ないですから」
「電話くらいしたほうが」
「良いですよ、問題ないですって」
いっつも警報すら出なくて子供の頃は腹が立ったもんだ。
食べ終わって洗い物を済ませて戻れば座布団枕に先生が寝ている。
浴衣だからお太鼓じゃない分寝易そうだが…文庫に結んだ帯を貝の口にしてあげた。
寝息が気持ちよさげだ。
ゆったりのんびりしているとテレビで関西の状況をやり始めた。
なんだ、また桂川氾濫注意か。
「…あんた本当に電話したら?」
「うち、川も山も近くないんで大丈夫ですよ」
「そう?」
「ええ」
まったりとお茶を飲んでゆっくり。
少し雨だが気温が下がって気持ち良いようで先生はよく寝ている。
こんな休みも良いね。
玄関から物音。
「おばさーん、律いる?」
んん、と先生が呻く。
ばたばたと司ちゃんが入ってきた。
先生起きちゃったじゃないか。
「んー…、あ、司ちゃん。律なら部屋よぉ」
「あ、ごめんなさい、寝てたんだ」
司ちゃんが律君の部屋に行って先生が寝返りを打つ。
俺の膝を枕に。
すっかり甘えるようになった。
ほつれ髪を直してあげる。
夕方、八重子先生が夕飯を作る、と立った。
先生をそろそろ起こすべきかと思ったがそのままと仰る。
二人でいるとちょっかいを出したくなって困るんだが。
ふっくらとした胸とか。
気配がわかったのか先生が起きた。
「ん、何時?」
「もう夕方。5時半ですよ」
「あら。お夕飯…どうしよう」
「いま八重子先生が」
パパッと身づくろいして慌てて台所へ。
俺は痺れが切れて悶絶。
流石に足の組み換えなしはきつい。
「山沢さん? どうしたの」
「痺れ切れただけです、って触ろうとしてますよねっ」
「うふふ」
「くすぐるのもナシっ」
くっくっくっと笑い声がして振り向けば律君。
「絹ー」
「あ、はーい」
ぱたぱたと先生が台所へ戻ってった。
「うー…律君、メシはまだだよ、まだ」
「いや、ね。司ちゃんがお酒切れたっていうから」
「あぁこの間補充したの持ってって。良いよ」
「ありがとうございます」
暫くしてやっと治ってきた。やれやれ。
食卓を片付けて台拭きで拭く。
台所に顔を出した。
「あ、そろそろお父さんたち呼んでくれる?」
「はーい」
離れへ行って孝弘さんを呼び、律君の部屋へ行き二人を呼ぶ。
先生が配膳するのを手伝ってお夕飯。
今日もおいしい。
お味噌汁の具が麩。みんなは茗荷。
この家はなすと茗荷の味噌汁好きなんだよなぁ。
ご馳走様をしたら帰らねばならない。
「また明後日来ますね」
「気をつけてね」
「またね、山沢さん」
「おやすみなさい」
「おやすみ」
先生がちょっと寂しそうだが仕方ない。
流石に司ちゃんもいるからキスどころか手も触れなかった。
残念。
帰宅してベッドに潜り込む。
あ、そろそろ股間の白髪抜いて上げなきゃなぁ。
なんて思いつつ眠りに落ちた。