翌朝、先生の方が先に起きていたようでお味噌汁のにおいがする。
朝飯を作ってくれてるのか。
長襦袢を羽織るだけで出て行ってみた。
すでに焼き魚、味噌汁、ごはん、玉子焼き、香の物が並んでいる。
「おはよう、顔洗ってらっしゃい」
「オハヨウゴザイマス」
なんというか完璧だ。
つまみ食いしようと手を伸ばして叱られた(笑)
とっとと顔を洗い長襦袢をちゃんと着なおして戻る。
食卓につき、いただく。
「勝手にお台所触ってごめんなさいね」
「いや、嬉しいです」
なんでうちの味噌汁がこんなにうまいんだ。
魚はアレだな、こないだ漬けておいた平目の味噌漬だな。
玉子焼きもうまい…。幸せ。
ごちそうさまをして、お茶をいただく。
「先生が嫁さんだったらなあ…」
「うん?どうしたの?」
「いや、仕事する気が100倍くらい出るかなと思いまして。
朝晩とうまいもの食えて、夜は楽しめて」
あ、顔赤くなった。
「夜だけじゃないくせに…」
そっちか(笑)
「今日、どうします?家に居たらずっと楽しんじゃいそうなんですが」
って弄るのはやめよう。
「ふふ、展覧会か何か、探して行きましょうか」
「そうね」
恥ずかしそうにしている。うーんいいなあ。
パソコンからざっと展覧会情報を呼ぶ。
うーん。
2件だけ見つかった。
「今ちょうど展示入れ替え時期なんですね。どっちがいいです?」
どちらもピンと来ず、浜離宮散策ということにした。
近いしね。
んじゃあちょっくら着替えましょうかね。
俺の方が時間はかからないので台所の後始末を引き受けて、着替えてもらう。
水仕事を終えて和室を覗くと後は帯だけのようだ。
帯枕を渡したりしてちょっと手伝う。
帯締めをきりっと締めて。うん、綺麗だ。
私も長襦袢を脱ぎ、晒をまいて肌襦袢、長襦袢を纏い、長着を着る。
先生が細かいところを整えてくれた。
その頤に手をやってキスする。
「駄目よ」
照れつつも私に羽織を着せ、行きましょ、と仰る。
行くか。