少し寝て、俺は9時半頃に目が覚めて腹減った。
先ほど買ってあったものを食べる。
暫くすると先生が起きたようだ。
ベッドから降りようとして…あ、落ちた。
「久さん、お手洗い」
「まだ無理みたいですね」
「はやく」
漏れそうなのかな。
抱き上げてトイレに連れて入り、たくし上げて座らせた。
途端の排尿、先生が顔を赤らめている。
追い出す暇がなかったようだ。
「後ろ、向いてて頂戴よ」
「舐めてあげようか?」
そういってキスしたら乳首を捻り上げられた。
「ばかなこと言ってないで。ね? ほら、後ろ向いて頂戴」
「はーい」
始末している気配がし、流して。
抱えて裾を下ろしてまたベッドに連れて行こうとしたけどお腹がすいたようだ。
膝に乗せてまだ手をつけてないものを食べさせた。
口に運んであげようとしたが流石に却下され、背もたれ代わりとして。
ちょっとでよかったようで軽めに食べてご馳走様をされた。
俺に手を突いて自力でベッドに行こうとされる。
ふらついてはいるけど何とか大丈夫なようだ。
しかし良い加減慣れても良さそうなものだがなぁ。
そういうとあなたが体力ありすぎるのよ、と説教されてしまった。
俺も残ったものを平らげ、洗い物をしてから添い寝。
「明日、あなた一人でトイレ行けるかな」
「多分いけるわよ…」
だったらいいけど立てなきゃトイレ困るよなぁ。
背中をなでていると寝息が聞こえてきた。
本当に寝つきが良くてうらやましい。
好きだな、本当にこの人の事が。
なんだってしてあげたくなる。
でも泣かせたくもなる。
その辺は諦めてもらおう。
先生の尻をなでながら寝て夜中に起きる。
仕事だ仕事。
支度をして先生の寝顔を覗いてから休日出勤した。
昨日休んだからね、たまには休日出勤も引き受けねば。
台風明けの水曜と言うことでたいしたことはなく早々に帰宅できた。
「お帰りなさい」
「ただいま。自力で着替えたんですね」
「ええ。お風呂入ったら? 沸いてるわよ」
「ありがとう」
軽くキスして風呂に入る。
シャワーを浴びていると着替えここに置くわよ、と声がかかった。
良い奥さんと言うかお母さんと言うか気がつくよね。
風呂から出て髪をざっと拭き、体をぬぐって着替えた。
「じゃ、帰りましょうか」
「まだ乾いてないじゃないの」
「大丈夫大丈夫」
荷物を積み込んで先生を後部に乗せ、運転する。
「お仕事お疲れ様、今日はどうだったの?」
「まぁ暇で暇で。流石に休みですね」
「あらあら、そうだったの?」
「ええ、台風の後ですしね」
先生のおうちに着いて荷物を持って入る。
お昼をいただきながら展覧会や資料館の話を沢山八重子先生にした。
先生はまだちょっとお疲れで途中からお昼寝させて。
気持ちよさげなのを眺めていたら来客の由。
八重子先生が応接しているのを聞き耳立てる。
どうやらやはり誰かに見られてたと見えて。
駅かな。
抱えられてる姿と言うわけだから。
お茶を持って行き、話題に加わった。
「ご覧だったそうで。あの台風で転びそうになられて足を捻られたんですよね」
「あらそうなの?」
「今日は大丈夫だったように思うけど?」
「湿布まみれにしました。昨日。転びそうになると変なところの筋肉使うみたいで」
「あーわかるわぁ、変なところ痛くなるわよね」
暫くお二人と歓談して退出。
さて、ごまかせたかなぁ。
先生の寝ている様子を伺いに寝間に入る。
あ、足袋はいたままだ。
脱がせたら起きちゃうか、なんて思いつつ丁寧に脱がせた。
幸い起きてない。
愛しくてたまらなくなるがまだ昼日中。
眺めているだけにしておこう。
お客様も帰られたようなので居間に戻る。
「絹は?」
「まだ寝てらっしゃいます」
「…ほんとに転んだのかい?」
「えーと…すいません、嘘です。疲れさせました」
「だと思ったよ。あんたのそれ、いつになったら落ち着くのかねえ」
「ははは…」
多分あと数年は落ち着かないと思います、はい。
夕方になって先生が起きてきたので俺は帰ることにした。
「また明日、お仕事頑張ってきてね」
「はい、じゃぁまた来ますねー」
頭をなでられた。
なんでだろう。
よくわからないまま帰宅して、飯を食って寝た。