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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

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土曜の仕事は忙しく、少し遅れて先生のお宅に着いた。
先生は今日はやや開放感からか朗らかで、お稽古もそんなには叱られなかった。
飯を食って風呂に入って部屋に入ってからも楽しげに俺にくっついてくる。
今日はしないで欲しい、と言われてたから我慢する気なのだが。
自分から俺の手を胸にやったりするのは何だ、からかっているのだろうか。
「して良いんですか?」
「え? しないの?」
「…明日お芝居見に行くからしないでって言ったじゃないですか」
「あら? そうだった…、きゃー、明日の用意してないっ」
慌てて俺の懐から飛び出て箪笥から着物を選びに行ってしまった。
「いや、待って。こら、上着!」
寝巻きのままじゃ風邪引くっての。
綿入れを着せて着物選びに付き合ってると律君が覗きに来た。
「こんな時間にどうしたの、お母さん」
「明日ほら、お芝居行くっていってたでしょ。それ忘れてたのよ」
これどうかしら? と聞きつつ決めて、後はバッグの中身の点検をしている。
律君は納得したらしく部屋に帰っていった。
「あ、お金出してないわ…久さん、どれくらい持ってる?」
「ひゃく」
「ええ、と。5万円くらい貸してくれるかしら」
「10持って行ってください、一応ね」
「悪いわ、そんなの」
「足りないの、恥ずかしいでしょう?」
「あんまり持ってるのもおかしいわよ…」
「じゃ間を取ったらどうですか」
「そぅ、ね、そうするわ」
部屋に戻って引き出しから金を出して渡すと財布に入れてバッグに仕舞った。
ちゃんとお出かけ用財布があるんだよな、先生。
家計用とは別に。
あとお茶のお稽古のときに違う財布を持ってることもあるけどあれはなんでだろう。
用意を済ませた先生に聞くと、あれはあれでお金を別にしているらしい。
経費の問題だそうだ。
部屋に連れ帰って布団の中に入れる。
冷たくなった手を俺の懐に。足も絡ませて。
「ふふ、温かいわ」
「風邪引かないうちに早く寝ないとね」
「そうね」
俺にしがみついていたのに温まると眠気に飲み込まれたようだ。
腕を掴む手の力も緩まって寝息が聞こえてくる。
肩が少し寒そうなので布団を直して共に寝た。
朝、早めの朝食の後。
先生は電車の時間など確かめつつ出かけて行く。
「さて、と。明日からは普通のお稽古だから用意しないとね」
八重子先生の指示で茶道具を出して確認。
なんだかんだお昼までかかり、昼飯を食べて退出した。
自宅の整頓をしていると夜に先生から無事帰ったのメール。
俺が心配するからとお出かけの時はちゃんと連絡くれるんだよね。
心配される年じゃないと言うけどさ。
恋人を心配して何が悪いのか。
それから今週は早めに来て助けて欲しいとの事、生理だからかな。
返事をして飯を食って寝る。
今週の稽古日は仕事の後はすぐに行って。
出来るだけ先生じゃなくても良い人は引き受けた。
先生は監査である。
上の方のお点前になると流石に無理で八重子先生と先生が交代勤務。
夜は抱かれないのが当然、と思っているわけでは無い様で気を使ってくれる。
ま、別に今は飢えてないから来週で良いんだよね。
ただ困るのが夜中に胸をまさぐられることだ。
冷たくて目が覚めるんだよね。
それとたまに噛まれる。
朝になって噛み跡を見て謝られる事があるがわざとじゃないし仕方ない。
諦めている。
そんな日が続き月末となった。
もう殆ど終りではあるがもう一日だけ、とお願いされて我慢する。
節分の夜、久々にした。
昼に神社へ行って疲れていたのもあり早々に終了だったけれど。
尻穴に豆を入れてあげるといったら切々とやめるよう訴えかけられた。
その必死さがたまらない。
まぁどうせ明日は消化不良だろう。
キスをして寝かしつけた。
朝、やっぱり先生はトイレから中々出てこなかった。
八重子先生が苦笑している。
「ついつい食べ過ぎるのはわかるんですけどね」
「私も何度か経験あるよ」
皆一度はやるよね、豆の食いすぎ。
食欲もなさそうなのでお味噌汁だけ。
「しかし年の数って無理ありますよねぇ」
「だっておいしいんだもの」
アイタタ、と何度かトイレに通っている。かわいそうだ。
流石に夕方には治っていたが機嫌は良くないようだ。
夕飯の後帰ろうとしたら何か言いたげにしている。
明日もまた会えるのに、帰したくないと言う。
少し考えて、じゃ、あなたが寝るまでなら、と譲歩した。
幸い車で来ているから寝かしつけてから走ればなんとかなる。
少し機嫌が直った。
風呂に入れて髪を洗ってあげるとすっかり気分が変わったようだ。
「ね、ちょっと寝たら?」
「寝過ごしそう」
「起こしてあげるわよ」
「そう? それじゃ悪いですけどお先に」
3時間ほど寝て、先生に起こされた。
「そろそろ起きないといけないんじゃない?」
「うぅー…行きたくない…」
「会社、休んじゃダメよ」
起こされて洗面所に連れて行かれた。
「ほら、顔洗って」
眠くてもたもたしていたらちょっと叱られた。
「もうちょっと甘えさせてくれても…」
「ダメよ、お仕事でしょ」
発破を掛けられて出勤する。
眠気も運転しているうちに取れて会社に着く。
一仕事終えて先生に作ってもらった弁当を食ってるとうらやましがられた。
朝からしっかり煮炊きしたものを食ってるのがうらやましいようだ。
まぁ昨日の残り物だけどね。
しかも半分は俺の作ったものだし。
朝からパンよりは体に良いらしいけど。
しっかり食って仕事仕事。
暇な半日の後帰宅して弁当箱を洗って先生のお宅へ。
「こんにちは」
「お帰りなさい」
「あ、ただいまです」
なんか照れくさいぞ。
「眠くない? 大丈夫?」
「大丈夫ですよ」
お稽古の用意をして生徒さんを待つ。
先に先生が来た。
覆いかぶさってきてキスされて驚く俺に目が覚めた? と聞く。
「覚めました、吃驚した…大胆ですね」
ふふっと笑って俺の頭を撫でている。
「こんにちは、お邪魔します」
玄関から生徒さんの声だ。
すっと離れて定位置につかれた。
お稽古が開始され指示が入るまでもなく動く。
締めに俺のお稽古。
「はい、いいでしょう。お疲れ様」
「ありがとうございました」
「さ、片付けましょ」
「はい」
お夕飯を楽しみにしつつ片付けた。
「今日はご飯食べたら早く帰りなさいよ」
「なんで?」
「寝不足でしょ。ちゃんと寝て」
「あぁ。わかった、帰ります」
片付け終えて食卓へ。
あ、うまそう。
おいしいご飯をたっぷり食ったら眠気が。
「泊まるの? 帰るならコーヒー入れてあげるけど」
「うぅ、帰ります。泊まりたいけど。朝、眠いですし」
ふふっと笑って一番苦い銘柄を選んで淹れた。
「うまいけど苦い…」
飲んでる間に部屋からコートと鞄を持ってきてくれていて。
律君が笑ってる。
飲み終えてコートを着た。
玄関で先生に乗り過ごしたりしないように、と注意を受けて帰宅。
電車の中が暖かくて危なく本気で寝入ってしまうところだった。
うちに帰って脱ぎ散らかして布団にもぐりこんだ。
朝になって着物を片付けたけど。
少し忙しい金・土曜の仕事をこなしてお稽古。
終った後、明日百貨店行くので一緒に、と言われた。
お夕飯を食べて風呂に入って、明日の半衿をつけたら寝間へ。
「明日、百貨店行った後うちに来ませんか」
「え、でも」
「今日はしないから、ダメかな」
先生は何も言わず耳まで赤くなってる。
「連れ帰ってくれたら良いのに…言われたら恥ずかしくなっちゃうじゃないのよ」
「可愛いなぁ」
後ろから抱き締めた。
「暖かい…」
「布団、入ろうか」
ひんやりした布団も二人で入れば温まる。
しかし数分は頬染めていたくせにすぐに寝息を立ててしまう先生である。
相変わらず寝つきが良い。
したいときには結構困るんだけど、今日はね。
んー、良い匂いだ。
お腹を触ったりして楽しんでいるうちに俺も寝ていた。

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