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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

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テレビをつけて天気予報など。
渋谷などが映し出される。
と、外から雨音。
「間に合ったわねえ。良かったわ」
洗濯物ね。
さて明日の天気は…雨か。一日中家の中かな?
今日は早く寝よう、うん。
「ねえ、さっきのセーフワードって普通はどういう言葉を使うの?」
先生は台所で料理をしながらそんなことを聞いてきた。
「え?ああ。そうですね、興醒めになるような言葉が多いですね。
 まったく今の状況に合致しない言葉、たとえば動物のや物の名前。
 目一杯限界の人が「明日は雨」とか有り得ない物を選ぶパターンと、
 あとは、そうですね、先生なら『おじいちゃん助けて』とかですかねえ。
 他にも喋れなくなってることが多いから相手の体を3回叩くとか」
「決めてなかったから今までやめてくれなかったの?」
「違いますね、まだあなたの限界じゃないと思ったからです。さっきも…、
 まだ余裕ありましたよね?」
真っ赤になってる。可愛いなあ。
「…いつも限界だと思ってるわよ?山沢さんが止めてくれないだけで」
「いつも少しずつ乗り越えてますでしょ? 無理はさせてないと思ってますが」
おや、眉をひそめてる。
「たまにするくせに…」
たまにはね、うん、たまには。
「私の場合、理性無くなるとどうなるかご存知でしょうに」
それに比べれば格段に逃げ場を残しているはずだけどなあ。
「それはそうだけど…」
納得いかないご様子。
手を拭いて割烹着を外して、置き、こちらに来た。
ん?という顔をすると、あとはご飯炊けてから、と言う。
気配を変えてひょいと距離を詰めると先生は半歩引こうとしたが、残念ながらそこは壁だ。
「無理をしてみましょうか?」
そういってキスをする。
逃げようとしたその肩を脱がせ、キスマークをつける。
うん、今だ、今こそ恐怖を感じてる。
快感じゃない、とわかってるこの感覚。
「い…や……」
歯がカチカチと鳴って。
「ほら、これがあなたの限界の一つだ」
私はすっと引いて胸の合わせを直してあげた。
「あ……、怖、かった…」
食卓の横に座り、おいで、と呼ぶ。
そろり、と私の横に先生は座る。
「いつもはちゃんと加減、してますでしょ?」
というと凄く頷いてる。
「これそうなら私の膝に来てください」
ちょっと躊躇したが気を決めたのか膝の上に来た。
緩く抱きしめる。
背中を撫でて、先生の気をほぐすように。
力の入った肩の力が徐々に抜けて落ち着きを取り戻したようだ。
ご飯の炊けるいい匂いがして、先生と私のおなかが鳴った。
「やだもう」
ぷっと先生が笑ってご飯の用意に戻った。

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