パンをベッドに居る先生に渡してスープのどちらがいいか聞く。
コーンがいい模様。冷たいのか温かいのか、というのには温かいのがいいようだ。
食卓に連れて行って欲しいという。
「ベッドの上で食べるのは嫌ですか?」
「だって病人みたいだもの…」
「膝の上で食べさせてあげましょうか?」
「じ、自分で食べるわよ、もう!」
可愛いなぁほんと。
寝巻きの帯を締めさせて抱えあげ、ストーブの効いたリビングに連れ出した。
食卓の前に座らせ、羽織を着せる。
パンを出して暖めたコーンスープを前へ。
「スプーンいりますよね」
俺は要らんけど。
「肘突いちゃいけないんだけど…」
無理だよねぇ、上体支えれないよな。
「足、どういう感じなんですか?」
「筋肉痛の酷いの…かしら。お腹も…」
笑えるけど、それならいいんだそれなら、うん。
「笑わないでよ、もう。山沢さんのせいなのに」
「だったら明日も、動けませんね。明後日もお稽古できるのかな。
動けなければうちにいてもらいましょうかね。ずっと」
「そんなのお母さんに怒られるわ」
「八重子先生ならわかってくれそうですけどね」
「律やお父さんになんていうのよ…」
「きっとうまく言っといてくれますよ。それとも。
先生のお宅で昨日のようにしてあげましょうか?沢山声を出させて」
「ひどいこと、言うのね」
「どちらがいいですか?ベーコンエピとハニーパン」
とパンを差し出す。
うーん、と悩んでハニーパンが先生のもとへ。
「あら、これおいしいわねえ。あんまり意地悪言わないで。ね?」
はいはい。
美味しそうに食べてる姿を見て幸せな心持になる。
食後、ベッドに連れ戻す。
一緒に布団に潜ってぬくぬくと。
懐に寝巻きの先生を入れて。
また、うつらうつらとしている。疲れてるみたいだ。
疲れさせたのは誰だって?俺だな、心身両面で、だろう。