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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

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呆れ顔だ。
「母さん、これ蔵の鍵」
「あぁ開、来てたの。あんたも食べないかい、これ」
「いや僕は甘いのはいいよ」
「じゃお茶入れるわね」
見ていてなにやら楽しい。開さんを甘やかしてるなぁ(笑)
「あらもうこんな時間?そろそろお買物行かなくちゃ。山沢さん、一緒に来てくれる?」
はいな。
「僕が一緒に行こうか?」
「兄さんはいいわよ、ゆっくりしてて」
開さんを置いてお買物。
二人でお買物はいつもながらに何か楽しい。
「何が食べたい?」
と聞かれるのも結構ツボだ。
「何でもいいです」
といったら怒られるのもいつものことだ。
重いものを買っても担いで帰れる私は重宝らしい。
今日は出物があったぞ、オレンジ白菜だ。
これはうまいんだよなあ。
見た瞬間今日のお夕飯は鍋に変更されてしまった。
豚のスライスとお豆腐と~などと鍋材料を買い込んで、
軽いものは先生が、重いものは私が持って帰った。
「お母さん、今日はお鍋にするわね。山沢さん、白菜洗ってくれる?」
水が冷たくて嫌なんだそうだ(笑)
じゃぶじゃぶと冷水で白菜を洗って、まな板に並べる。
先生が切る。
そして壬生菜を洗ってこれも切ってもらう。
こちらではあまり壬生菜を食べないそうだが…。
よし食材の支度は済んだ。
後は食事時間の前に火を入れるだけだ。
先生においでおいでをされて近寄ると軽くキスされた。
「あ、出汁の味。ごちそうさまです」
笑ってぺしっと頭を叩かれた。
「もう、しばらく会えないのにそんなこと言って…可愛くないんだから」
「一週間ですよ。半日でこれない距離じゃなし、いざとなれば、ね?」
「戻ってくれるの?」
「ただまぁ、滞在3時間ってところでしょうけど」
「結構短いのね」
「仕事終わってから、朝までに戻らないとね」
「私が行ったら…もっといられるかしら」
「駄目です、それは」
「だめなの?わかったわ。部屋に女の子呼ぶんでしょ」
「呼びませんよ」
「嘘」
「嘘じゃありませんから、機嫌なおして下さいよ…」
「じゃあどうして?」
「お稽古もありますし、特に今度の日曜は口切でしょう?」
「あ…だからなの…」
「参加できないのは残念ですけどね。炉開きより重要なのに」
「わかったわ…ごめんなさいね」
手の甲にキスを落として。
「嬉しいんですけどね。さ、居間に戻りましょう」

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