居間に戻ってしばし歓談。
「ただいまー」
律君帰ってきた。
「あら、おかえり。もうお夕飯食べる?」
「お父さんは?」
「今日はいらないそうよ。食べるんなら着替えて手を洗ってきなさい」
「うん」
んじゃ用意しますか。
お鍋は結構美味しく出来た。
律君が壬生菜の味に変な顔をしたり、生麩に焦っていたり。
「白菜がいつもより甘いね、色も違うんじゃない?」
「これオレンジクインって品種でサラダにしても甘いんだよ。
あんまり売ってなくてね。だから今日の一番目玉かも?」
「そんなのあるんだねぇ」
お鍋は完売御礼、雑炊は夜食(笑)
お台所に持っていって、先生と洗い物少々。
「あ、そうだ。リングですが。いない間稽古中は外すのは自己判断でお願いします。
できたらつけてて欲しいですけどね。
辛い時とか気に障るとかならはずしても構いません」
「いい、の?」
「風呂とか寝るときとかと同じですよ、またつけてくれれば良いんですから」
「あら、そういえばそうね。外していいって言ってたわね」
「着物だと違和感そうないでしょう?押さわってるから擦れないし」
「お洋服だと違和感あるの?」
「結構にね、あるそうですよ。仕事が出来ない、とか」
「そんなに?こんなので?意外ねえ」
「今度洋服着てくださいよ、ノーブラで」
「やぁよ、恥ずかしいわよ」
「普段ノーブラノーパンじゃないですか、ねえ」
「洋服だと着ないと変よ…あ、私山沢さんのスカート姿見て見たいわ」
「持ってませんよースカートなんて」
「あら、じゃ一緒にお買物行きましょ、ねっ?」
「えええええ、なんでそうなるんですか」
「だって私のスカートじゃ入らないじゃない。前にスラックス借りたから知ってるわよ」
「貸しましたっけ?」
「ほら、山沢さんのおうちにいたときに浴衣洗って干してる間」
「ああ!そういえばありましたね。中々見慣れぬ姿でした」
「制服はセーラーだったのよ、学校行ってた頃は」
「うわー出張から帰ったら見せてくださいよ!見たい!」
「アルバム、開兄さんだけ写真がないのよねえ」
「ああ、そうらしいですね」
よし洗い物終わり。
さてと。そろそろ帰らねばならん。
居間に戻ろうとする先生を引き止めて、ディープキス。
先生の目が潤んでいる。
「じゃ、そろそろ…」
「うん、気をつけてね…」
居間へ行き、帰るご挨拶をして。八重子先生に見送られる。
「あら、絹は?見送りくらいしたらいいのに」
「もう挨拶はしましたから。また来週、よろしくお願いします」
「そう?あんた結構鈍臭いんだから気をつけなさいよ?怪我しないように」
切火を打ってくれた。
「ありがとうございます、気をつけます。では!」