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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

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目覚ましが鳴る。
とめて時間を見れば仕事の用意をせねばならない時間。
布団から出て身支度をする。
先生は、と見れば良く寝ていて起こすのは忍びない。
しかしそのまま出て行けば昨日のようになる?それは困るな。
A4にマジックで仕事と大書する。
脇に、良く寝ているので起こせなかった旨を書き加えて布団の上へ。
食卓の上に、台所にパンがある旨を書き昼までには戻ると書いて出勤した。
さすがに初市、まだ酔ってる気配のやつが多い。
皆で手締めもありお正月気分である。
まあセリ値もそれなりに。
お祝いだからね。
マグロは相変わらず恐ろしい価格がついたが。
皆で乾杯して祝い酒祝い酒。
車の人が飲めないから、正月の喧騒もそこまでじゃなくなったが。
さてさて、お客さんたちにご挨拶をして。
うん、そろそろ客も来なくなってきた。荷物も捌けた。
解散するか。
先生の待つ我が家に帰宅。
あれ?鍵かかってる。開けて中に入るといない…。
え。
逃げられた?
マジか…。
呆然としていると後方からガチャッとドアの開く音。
「あら早かったのね、お帰りなさい」
あー…買物。そうかそういうことか、良かった。
「ちょっと待っててね、お昼にしましょ」
ほっとして着替える。
ああもう、本気で焦った。
手を洗って戻ると、簡単にだけど、とハムエッグとサラダ、トーストが出てきた。
「足りないかしら?」
「いや、足りなきゃ後で何かつまみますよ」
「じゃいただきましょ」
「はい」
うちで支度を長々とすると邪魔されるのを良くわかってきたようだ。
あ、トーストがデニッシュだ。
「ニュースで初市の様子映ってたわよ。今年は山沢さんいないか探しちゃったわ」
「あー俺らのセリ場、テレビ来ないんですよね。大体マグロですよねー」
「すごく高いわよねえ」
「ま、落としたら全国区で宣伝できますから。CM打つより安上がりなんでしょう」
「あら、そうなの?」
「ところで、今日は何時ごろ起きられたんです?」
「8時過ぎかしら。山沢さんがいなくて、吃驚したのよ」
「布団の上に紙、ありましたでしょう?」
「それ見てほっとしたわよ。なんで起こしてくれなかったの?」
「キスしても起きないから仕方なく。
 というか良く寝てるの起こしたくないじゃないですか」
「起こして頂戴。それにお昼まででも寝かせてくれるんでしょう?」
「勿論です。でも起こしたくないなぁ。あなたの寝顔見るの結構好きですし」
「私のこと大事だと思うなら、私のわがままを聞いて頂戴」
「わかりました、これからそうしましょう」
コーヒーを淹れに立った。
先生はまだ食べている。
久しぶりにエスプレッソを入れよう。
「先生、シングルかダブルかどうします?お砂糖とフレッシュは要りましたっけ」
「シングルってどれくらいなの?」
一杯作って渡す。
「これはちょっと少ないわねえ。お砂糖は入れてくれるかしら」
「ラジャ。砂糖はスプーン2杯入れますが」
「1杯でいいわよ。そんなに入れたら甘すぎない?」
「むしろあの砂糖がとけ残るくらいがいいんです」
「抹茶ラテは嫌いなくせに」
そんなことを言ったり言われたりしつつ、コーヒーを飲んでお昼ご飯を終る。
さて、と。
「三越でも行きますか?」
「あら、するんじゃなかったの?もういいの?」
「いやしたいことはしたいですが。呉服とか見たいんじゃないかなと。たしか龍村も」
「いいの?嬉しいわ♪ じゃ着替えてくるわね」
「流石に800万だかの帯は無理ですよ…」
「そんなのどこにしてくのよ~。山沢さんも着替えましょ」
「はい。なに着ましょうかねえ」
「ちりめんの着物作ってなかったかしら。お母さんと縫ってた気がしたんだけど」
「ああ、あります、縞のでしょう?」
「それにこの羽織がいいわ。帯はこれね」
渡されたものを着てゆく。
先生は相変わらず着替えるのはやい。
ちょいちょいと俺の着てるのを直されて、おでかけ。
三越…凄い。人一杯。
先生に先導されて呉服売り場へ。
あれ、意外と人少ないね。
婦人服の毛皮売り場は凄い人だったのになあ。
色々と見て、先生が欲しくなった帯留と羽織の紐、草履をまず購入。
反物を見て、帯を見て。
やはり龍村の帯が気になるご様子。
お茶席向き~な帯。
チャンカイが気になるようで悩んでおられる。
「気に入ったんですか?」
「でも龍村だから高いと思うのよ…」
価格を聞く。あれ、もっと高いと思ってた。
現金で支払う。
「いいの?」
「クリスマス、プレゼントできませんでしたしね」
ふ、と視線を動かすと陰山の七宝華文間道があった。
「先生、これ、俺どうですかね、ほら秋口に着ていたあの着物と」
「あら、いいわね。これ。あわせやすそうよね」
じゃ買っとこう。これは…先生の帯に比べると安かった。
「間道のイメージとは違いますね」
「そうね」
「着物はいいんですか?」
「んー、ピンとくるものがなかったわ」
「じゃ今度どこか行きましょうね」
「そんなに沢山悪いわ」
「お正月ですし、好きな人に贈り物するのに何か不都合でも?」
先生が照れてる。
「あ、そうだ。ちょっと付き合ってください。ジャンバー欲しいんですよ」
そのまますぐ近くのスポーツウェアのエリアに移動する。
コロンビアのジャケットを一枚買うことにした。先生のお見立て。
「格好いいわよ」
と仰るのに気を良くして。
着物で試着は結構難しかった。
「そうだ、夕飯のお買物はされたんですか?」
「してないわ…どうせ作らせてくれないでしょ?」
「よくおわかりで。地下行きましょうね。ああでもその前に」
「その前に?」
「3階行きましょう。先生、ブラのサイズ変わったでしょ」
「なっ、んで知ってるの…」
「触ったカンジと持っておられるブラのサイズが合ってないですもん」
「やだ、もう。いつ見たのよ…」
下着売り場に連れて行き、店員にサイズを言ってお高めのものから出してもらう。
俺はパルファージュとかぺレールが良いんじゃないか、と言ったのだが、
先生は大人し目のブラを選択した。
まあたしかに、そういうのをつける機会が少ないから無難なのがいいんだろうけど。
飛び切り色気のあるものと、先生の決めたのをショーツとともに購入した。
「山沢さん…もうっ。男の人に下着を買わせる女って言う自体恥ずかしいのに」
「あ、そうか。このナリでしたね。忘れてました」
商品を受け取って地下へ行く。
さて、なにを食べたいのかな、先生は。
なだ万かな?
穴子?のちらしが良いらしい。
玉ゐという店の穴子チラシを買った。
俺は今半の牛玉。
ケーキも欲しいというので洋菓子売り場へ。
大変に可愛いケーキに先生が吸い寄せられて、その様子が良かったのもあって購入。
先生にはバッグとケーキ、ご飯を持って貰ってその他の荷物は俺が持ち、帰宅。
普段着に着替えて、ケーキをつつく。
可愛い、おいしいと楽しそうだ。
そういう姿を見ていると幸せな気分になれて少し飢えがおさまる。
食べ終わって、先生が私の横に来た。
手を出されやすいように、か?
襦袢の中に手を突っ込んで胸を揉む。
気持ち良さそうにしている姿が心地よい。
先生を膝に乗せて。焦らしたくなり脱がせもせず乳房や乳首のみ触る。
あ、そうだ。
リモコンをとってビデオを再生する。
一覧からあるものを選び、途中のシーンから映し出した。
ぎょっとしてる。
「山沢さん、山沢さん、ね、こんなの見せないで」
画面の女性が声を上げるたび、先生もビクッとする。
乳首に蝋を落とされるのを見て顔を背けた。
「ほら、ちゃんと見て」
「あぁいや、こんなのしたいんでしょ…いやよ、熱いもの…」
「熱くないようにもできますよ…もしかして仏壇の蝋燭こぼしたことあります?」
こくり、とうなづいた。なるほどね、怖いのはそれでか。
「ちょっと待ってて」
納戸からSM蝋燭と普通の蝋燭を出す。
戻って赤い方に火をつける。
まずは自分の腕に。高さを調節して熱く感じない高さを探る。
続いて白を。同じ高さから落とす、うん、熱い。
「腕、出して」
恐る恐る先生が腕を出す。
ポト、と白い蝋をたらした。
「あっ」
慌てて腕を引っ込めようとする。
「少し熱かったでしょう?」
涙目になっている。
そこへ赤い蝋燭を同じ高さから落とす。
ボトボトボトッと落ちた。
先生は顔を背けるも、まったく熱くなくて驚いている。
「あったかい程度でしょ? 仏壇の蝋燭とはまったく温度が違うんです」
ほっとした顔をして居る。
「ただ、この蝋燭でも…」
近づけて落とす、徐々に一滴、一滴と肌に寄せる。
「あっあぁっ熱いっひぃっやめてっ」
「こういう風にね、できるんです」
蝋燭の火を消して横に置く。
「酷い…」
「ふふ、パラフィン浴ってご存知ですか? 今落としたより少し高い温度の
 蝋に腕や足をつけて保温効果を高め、関節痛などにいいんですが」
「こんなに熱いのに…」
「体幹にやったことありますがヘソのあたりは熱かったですよ」
そういいつつついた蝋をはがして行く。
ほんのり赤くなったそこを舐めつつビデオを再開する。
「ほら、あなたと同じ声、上げてる。けどこの女性のほうがもっと蝋燭が近い」
「凄い…私、無理だわ」
「慣れですよ、あぁでもこれは無理かな。あなたでは」
画面は陰裂を開き突起や尿道口をも埋めるように蝋を落としている。
「…しないでね、お願いだから」
「あそこまで敏感な場所にあの近さから落としたら…あなたなら絶対泣くでしょうね」
想像しちゃったらしい。
震えてる。
まああれは俺でもいやだな。
場面はすすんで張型で蝋をたらされつつ玩ばれている。
視覚に煽られて胸を揉んでるだけなのに凄く喘ぐ。
腰がもぞもぞとしていて楽しい。
画面の女が逝ったのに引きづられるように先生も逝った。
「脱がせて欲しい?」
と耳元で囁くとうなづくので帯をとき紐を外して脱がせ、股間を撫でた。
画面の女は縛られて横向きに吊られ、男のものを入れられている。
「こういうのはどうです?されたい?」
「いや…」
「でも見ていると感じるんでしょう?さっきより濡れてる」
「そんなこといわないで…」
私の膝を掴んでいる先生の手を後ろにまとめて先ほどついでに出したビニテで軽く巻く。
「あぁいや、山沢さん、だめ、はずして」
画面の中の女性は更に鞭で打たれ始め、先生が震える。
あそこの具合から見て鞭はだめだな。体が完全に拒否してる。
また股間に蝋燭のシーン。
うん、ちょっと濡れて来た。
ぺニバンで突かれるシーンもそれなりに。
「あれ、されたいですか?」
首を横に振る。そうだよなぁと言うか自分からされたいとは言わんよな。
「でもいつかしますからね」
そういうと中に入れている指を締め付けられた。
「それとも今しちゃいましょうか。物は有りますよ」
「いやよ…お願い」
「どうしようかなぁ、柔らかいものと硬いものどっちがいいです?」
「いやって言ってるのに…」
耳元でくすくす笑いながら弄ぶ。
逃げる体を押さえつけつつ。
画面の女が逝くのと同時に先生も逝って、ビデオをとめた。
抱えあげて風呂に連れて行く。
ざっと汗を流すと自分で出来るからと風呂を追い出されてしまった。
苦笑して蝋燭やビニールテープを回収する。
先生が浴衣を着て出てきた。綺麗だな、色っぽい。
キスをするとご飯食べましょといわれた。
「もう一度したくなった」
「だめよ、ご飯の時間よ。座って?」
頭を撫でられてしまって苦笑する。
「そういえばお正月で何キロ増えました?持った感じ3キロってとこに思いますが」
「やぁね、当たりよ、家事しないとすぐに増えちゃうわよねえ」
「というか俺としてないからじゃないですか?」
「それもあるかもしれないわね」
「体脂肪率とか量ってます?」
「あなたとこういう関係になってから体脂肪率減っててるのよね…体重は変わらないの」
「そりゃ筋肉量が増えたんでしょう。筋肉痛になったりしてましたでしょ」
「そうなのかしら」
「明日体重計買いに行きましょう。筋肉量とか骨量とか出るやつ。骨粗鬆症予防にも」
「あら、そんなのあるの?お母さんにいいわね」
「八重子先生なら小魚結構食べてるから大丈夫かもしれませんが」
うーむ、メシがうまい。
ごちそうさま。
先生はあくびをして眠たげだ。疲れちゃったかな?
食べたものの始末をして、先生を引き寄せる。
「もう寝ますか? 疲れたでしょう?」
「食べてすぐ寝たら太っちゃう…」
「大丈夫、痩せさせてさし上げます」
「…すぐそんなこと言うんだから」
抱えあげてベッドに運ぶ。
布団をかけて俺も添い寝を。
「おやすみなさい」
すぐに寝息が聞こえ出した。寝つきが良くていいなぁ。
いつもの時間に目が覚めて身づくろいをする。
先生を揺り起こし、寝ぼけている耳に行ってきます、と言う。
正月ボケした頭で仕事を済まし帰宅するとお昼ご飯の用意をしていた。
手を止めてお帰りなさい、とキスされた。
ただいま、と手を洗って着替える。
洗濯物は干されていて先生の機嫌もそれなりに良いようだ。
食卓についてご飯をいただく。
うう、久しぶりに青物が。
おいしい。
やっぱなー正月連休は青物に飢える!
大変おいしゅうございました。
「どうしますー?体重計買いに行きます? こっから近いと言えば新橋ですが」
「そうね。どんなのか見たいわねえ」
んじゃ行きましょ行きましょ。
うちから出てバスに乗って新橋駅へ。降りてすぐの量販店。
いくつか見て、表示の大きいものをセレクト。
いちいち眼鏡は面倒だ、八重子先生が。
購入して先生のお宅へ送ってもらう。
さて今晩、先生はお返しせねばなるまい。
初釜の準備があるからね。
まずは帰宅して先生にどうして欲しいか聞いた。
「どうって…」
「激しくが良いか優しくが良いか酷くが良いか、さぁどうします?」
「優しくが良いの、わかってて聞いてるわよね?」
「まぁわかってますけどね」
一応ね。
「で、激しいのよね?」
「怖いんですか?」
「わかっててしないで頂戴」
「無理ですね」
「じゃ聞く意味ないでしょ」
「ありますよ。あなたとこういう会話するの好きなんです」
「意地悪ね」
拗ねる先生にキスをすると頬を染める。
「あまり意地悪するとさせてあげないわよ?」
「それは困ったな。じゃあ意地悪はなしで優しくして差し上げましょう」
くすくすと笑ってベッドルームに行ってくれる。
そのままベッドに押し倒してキスをすると皺になっちゃうわ、と言う。
「んーでも着たまましてみたいな」
「だめよ」
押し返されて、脱いでいただいた。
「なに見てるのよ、あなたも脱ぎなさい」
「あ、はい」
慌てて脱いで、裸になった先生の側に寄り胸元を舐めた。
「なんでそう落ち着きがないの…」
「すいません、つい。おいしそうで」
あ、先生の体が温かくなってる。
「そういうところ可愛いわよ」
うーむ、格好良くありたいのだがどうしても先生の体を前にするといかん。
「なにかねえ、食べられるような気がするわ」
「食欲、確かに近いかもしれませんね」
そういいつつ撫でまわす。
うう、先生の素肌気持ち良い。
「かさぶたを…」
「ん?どうしました?」
「無理やりめくられるような気分がするの」
うん?どういうことだ?
聞いてみると私の手の内に居るといつもは封じている女の部分を
無理やり解放させられるような、そんな何か怖い気分がするらしい。
「孝弘さんは…ああなってからは一度も?」
「ええ。お医者様にも相談したのよ」
「…したいのに勃たないと?」
「ばか、そんなこと言ってないわよ…もう一人律の下に欲しいって相談したの」
「人工授精とか言われませんでした?」
「うん、それしかないって」
「まぁ…お尻の中に指突っ込んで刺激してなんてあなたじゃ無理でしょうし」
「なんなの、それ」
「男性を無理やり勃起させたり射精させたりする方法」
「知ってても出来なかったと思うわ、それは」
「今でも無理でしょ(笑)」
「無理よ」
「ですよね」
「だから…ずっと、だったのよ。あなたがするまでは」
「だったらあなたのその女の部分、俺にもっと見せて。嫉妬も、性欲もすべて」
「性欲だなんて」
「あるでしょう?
 孝弘さんや私にして欲しいと思ったこと、一度もないわけじゃないでしょう?」
「そうね…」
「だから全部俺に下さい。あなたの思い。したくなったらしたいって言ってください」
「そんなの。いえないわ」
「言うのは淫乱だとか思ってますか?」
軽くうなづいた。
「だれかれなしに、なんてのは淫乱でしょうが俺に言う分には違います。
 恋人としたくなるのは当たり前のことです」
「そう?恋人…ねえ」
「恋人じゃないんですか、俺」
そういえば好きとか言ってくれない。
「はいはい、あなた一番は孝弘さんですもんね。愛人でいいです」
「あ、違うのよ、そうじゃなくて」
「愛人でも何でも俺と孝弘さんになら求めても淫乱なんかじゃないです。いいですね」
それ以上の会話を封じるように強く激しくして。
終ったころには涙目になっていた。
「今日はこの辺にしてあげます。帰らないといけないでしょう?」
「いやよ、帰らない」
「なぜです?帰りなさい。帰らなきゃいけないでしょう、あなたは」
「いや」
「わがままはいけません」
「わがまま、聞いてくれないの?」
「きけません」
「どうして?」
「明日初釜でしょう、朝から。欠席できないんでしょ?」
「あ…」
「まさか忘れてたんですか…送ってあげますから、ほら、シャワー浴びてきなさい」
慌ててシャワーを浴びに行く先生を見て溜息。
なんで、こう、うまく噛み合わないんだ。
とりあえず着替えよう。時計を見る。電車、ラッシュタイムか。
車で行くか。となれば洋服がいい。
服を着て待つ。
あ、出てきた。なんだ、髪も洗ったのか。
ドライヤーしなきゃいかんわけで少し出るのが遅くなるな。
手持ち無沙汰で、ベランダに出て煙草を吸った。
帰さなくて良ければ…いいのに。
少し落ち込んでいると先生が着替え終わったようだ。
吸殻を濡らして始末し、手を洗って口をすすぐ。
さてと、気を入れ替えて運転するか。
先生に車に乗るよう言うと、どうして?と聞かれた。
「この時間帯ラッシュでしょう、電車。痴漢されたらどうします」
「こんなおばさんされないわよ」
「されます。おばさんでもない。いいから早く乗りなさい」
助手席に乗り込もうとする。
「そっちじゃない、後ろ。運転席の後ろに乗って。シートベルトもして」
「後ろだったらいいんじゃないの?」
「以前事故のときあなたしてないからあんな怪我したんですよ」
乗せて走り出す。
1時間半ほどだろう。安全運転を心がけて。
「ねえ…明日の晩、来てくれる?」
「お稽古はしないんでしょう? 行かないほうがいいんじゃないかな」
「どうして?」
「一応、私が泊まるのはお稽古があるからとなってますよね。外聞に悪い」
「駄目なの?」
「やめときなさい」
「でも…」
「土曜は寄せていただきますよ。初釜の用意のお手伝いと言う名目でね」
車内の空気はよろしくないまま車はすいすいと流れて先生のお宅へ。
「上がっていって…ねえ」
「いやこのまま帰ります。明日。夜にメールください」
「…わかったわ。じゃあ…気をつけてね」
「ええ、また。会いに来ますよ」
別れて車を飛ばす。
少し前の車を煽ったり、追越をしたりして1時間で帰宅。
疲れた。
すぐさま寝巻きに着替えて寝た。
朝、起きて自己嫌悪。
せめて週末までには立て直して、電話なりメールなりで関係修復したいものだ。
そう思いつつ仕事をこなす。
とりあえず俺がやるべきことはちゃんと仕事することだ。
仕事を終え、食事を取る。
少し飲酒。
夕方、携帯にメール。
先生からか。
昨日あの別れ方をしたのに来いというのか。
少し悩んで、どうせ行かなきゃ突撃されるだけかと思い、行く旨返事する。
着替えて移動。
玄関を開けて声を掛けると律君。
ありゃ?
「あら早かったねえ」
うわっ後ろから八重子先生に肩を叩かれた。
先着してしまったようだ。
「あ、ええと、こんばんは」
上がって着替えを手伝う。
「で、絹先生。お呼びいただいた御用はなんでしょう」
「特に用はないわよ」
「は? 用はない? じゃ帰らせていただきます」
「用がなきゃうちに来てくれないの?」
「あんたら何やってんだい。山沢さんも意地を張らない!」
う…。
「ですが。用もないのに来るなんておかしいでしょう。
 律君だって違和感を感じてますよ。他のお弟子さんにだってどう思われるか」
「それはそうだけど…」
「初釜がどういうものか教えるために呼んだってことでどうだい?」
「…律君へはそういうことで結構です」
「絹。あんたまた何か山沢さんにしたのかい?」
「されてません。特に御用もないようなのでこれで失礼します」
「だからっ」
振り切って先生のお宅を出た。
携帯がなるのを無視しているとメールが入る。
それも無視して。
ふと京都に戻りたくなった。
その足で新幹線に乗り。京都へ。
久々に我が家の鍵を開けて風を通しストーブのスイッチを入れた。
移動に疲れ、うつらうつらとする。
先生より更にメール。
どこにいるの、と。やはり家に突撃されたか。
あなたの知らないところ とだけ返した。
時計を見る。まだ終電はあるだろう。
なければないでうちの鍵を持っているのだから勝手に泊まればいいさ。
すぐに先生自宅から電話、これは八重子先生だな。
電話を取る。
「あんた今どこにいるんだい?絹が行ったけどいないって掛けてきたよ」
「京都です、京都の自宅」
「いったい何があったんだい?
 何もされてないって言うけど、またなんか失言したんだろ、絹が」
「うー…恋人っていったら恋人じゃないって言外におっしゃったんで…拗ねました」
電話の向こうに聞こえる溜息。
「土曜は来る?そのときにちゃんと話ししなさい。律はどこか他所に泊めるから」
「はい、おねがいします」
「あ、それと体重計、きたよ」
「ああ、あれ、骨量も量れますから良いですよ」
「それから絹に帯買ってやったんだって?喜んでたよ」
「あー、はい」
「その意味、あの子わかってなかったようだね。高かっただろ」
「まぁ、そういう話には疎いでしょうから気にはしてません。
 それに高くはないです、お茶用の帯でしたし。
 礼装のほうは流石に龍村、いいお値段してましたが」
いいなぁと思ったら30万とかね。普通にしてたな。
「その上ブラとショーツもだろ」
「ははは…」
「サイズ丁度だったみたいだよ」
「そりゃ良かったです」
「ま、とにかく。土曜日来なさい。初釜の話もあるから」
「はい」
電話を終って、空腹に気づいて飯を食いに出る。
居酒屋に入り飲んでいると先生からメール。
電話は出ないとわかったのだろう、こちらのほうが伝えられると踏んでか。
恋人というよりは身内のような気がして、と言うことのようだ。
余計になんだかなぁと言う気がして、困る。
「おい、山沢じゃねえ?久しぶりー、どうしとるん?」
「あ?なんだお前か。ずっと東京で仕事だよ。今日は家に風通しに来ただけだ」
「そうか、お前恋人とか出来たかぁ?」
「んー恋人と思ってるヤツから恋人じゃなく身内のような、と言われたところだ、今」
「なんだそれ、ひっでぇ」
「だろ。参るよ」
「つーかお前めっちゃ標準語になってんぞ」
「しょうがねぇだろ」
「わかった、東京に恋人が居るんやろー」
「ま、そういうこと。一昨日、龍村の帯買ってやった程度の仲のな」
「マジか。それで身内って言われたんか。なぁ笑って良いか?」
「もー笑え笑え、バカだろ俺。安い手だけどよー」
酒をついでやって。
「でもなあ、相手の親はなあ、帯買ってやった意味とかわかってくれてんだよな」
「えっお前相手の親公認なのか?」
「多分旦那も知ってると思う。息子は知らないとは思うけど。怪しんでるとは思うが」
「相手、息子おるんか…相手いくつよ」
「多分43じゃねえかな」
「お前それ年上すぎね?」
「一回りも離れてねえよ」
「どんな人よ?お前のことだから和の女だろ」
「まぁな、茶の先生だ。普段から着物でな。お花も着付けも教えてる」
「パーフェクトだな、お前の理想のドストライクか」
「だなぁ」
「どうやって落としたんだ?」
夏からの件を大雑把に話す。
「やるなぁ、お前。つーかこっち来てたんなら言えよ」
「なんで楽しい恋人との旅行にお前呼ぶんだよ」
ゲラゲラと笑って酒を飲む。
「俺これから雄琴行くけどお前も一緒に行かんかー?」
「ばばあ抱いてもしょうがねえだろ、おりゃ帰って寝る」
「恋人に操立てか~?はっちゃけちまえよ」
「うるせー」
そして別れて帰宅、そのまま熟睡。
翌朝、軽い二日酔い。
自分の息が酒臭い。
うー…。シャワー浴びよう。
風呂から出て、何かどうせだから見て帰るか、と思い調べる。
京都駅か資料館。昨日から展示をやっていると知り、資料館へ足を運んだ。
釜はみてもよくわからん。
酒器ならわかるだろう。
…一人で来ても楽しくないな。
何してんだろうなぁ俺。
ハラハラと雨が落ちてきて。
ふと見れば初釜に向かわれる方々。
知った顔がありご挨拶。
やはり家元の初釜に行かれる方々は緊張の色が見える。
たしか来週は関東で、だったな。
欠席者があるからと同席するか聞かれたが断る。
この面々に混ざってよいわけない。
その上洋服だし、スラックスとカッターは着てるが上着はコートだからなぁ。
せめてスーツでもっと後の日ならね。
欠席者の身代わりでもぐりこめたかもしれない。
さすがに格好を見て諦められた。
そのままぶらりと北野へ移動。
ぼんやりと境内に居ると沢山の着物の女性。
…月釜今日じゃなかったよな。
どこかの初釜の後かねえ。平日なのに。
この時期はどうしても着物の人が多いな。
得意先の人が散歩をしていて、久々にお話しする。
京都も年末は時化で御節の用意が大変だったそうだ。
やっと仕事も落ち着いて、この時期忙しいのは千家がらみのみとか。
そういえばそうだった、京都は一月半ばまで初釜でややこしかったな。
お茶の世界に身をおいているくせに忘れていた。
冷えてきたので別れて、一旦帰宅する。
ストーブぬくい。
さて。そろそろ東京へ行くか。
逃げてばかりもいられまい、もしか部屋に先生がいればいたでいいじゃないか。
思い定めて戸締りをし、出立。
東京へ。
お昼ごはんに駅弁。帰宅。
部屋は暗く、やはり帰ったようだ。
少しほっとして、鍵を開けて中に入る。
ああ、でも期待してたんだな、先生がいて欲しいと。
苦笑して着替える。ストーブがまだ効いてないにもかかわらずほの温かい。
と言うことはうちに泊まったようだ。
こちらに戻ってる旨メールするとすぐにメールが帰ってきた。
30分ほど前に乗車したらしい。
すれ違いか。
もう一通、家にいて、とメールが来た。
話し合いをいましろと言うのか、八重子先生の仲裁なしで…。
土曜日では駄目なのか書き送れば、早いほうがいいという。
仕方ない、待とう。
40分ほどして先生が戻ってきた。
コーヒーを差し上げる。
「ごめんなさいね、メール、見てくれたかしら」
「どのメールでしょう」
「…身内の」
「先生はご存じないようだから申しあげますが…
 こういう関係にあるものに身内とはあまりにもつれない。
 まだ情人、手掛けのほうがましにすら思えます。私には」
「情人だなんて…思ってないわ。身内くらいに大切、そう思ったの」
「あなたは…身内とセックスするんですか?しないでしょう」
「あ…」
腕を取って引き寄せてキスというか喰らいつく。
そのまま押し倒して胸をまさぐる。
「きゃっ」
「こんなことするヤツのどこが身内ですか」
「あぁっ、やめて、ねぇ」
「それとも、身内のように性的なことは一切ない関係をお望みですか」
「やめてったら!」
っつ、またビンタかよ。
ギリッと奥歯が鳴る。腕を押さえてねめつけると怯えている。
「どうなんですか」
返事がない。
「帰りなさい」
手を離して後ろを向き、そう言った。
ぎゅっと背にしがみつかれて、か細い声で違うの、と言う。
「何が違うと?いやなんでしょうが」
「ごめんなさい、そうじゃないの。驚いたから…叩いちゃってごめんなさい」
すっと息を吸って大きく吐く。
たしかに驚かせたというか、心を乱したのは事実。
「私…山沢さんのことちゃんと恋人としてみてるわ。
 愛人とか、情人とか…そんなこと思っていないわよ」
「だったら…なぜ先日言いよどみました?」
「何か恋人以外に丁度いい言葉がないかしら、と思ったのよ」
ちょっとそれ俺一人が間抜けじゃないか…。
一人で拗ねてただけかいっ。
なんというか、参ったな。
息をつくと先生が前に回って来られ、
そっとキスされて懐に入られた。
「だから…拗ねないで。怖い顔しないで頂戴」
もう一度キス。
欲情してついあちこちを撫でてしまう。
「ねぇ、して」
先生も欲情したのか。って。求められた。
「先生、顔赤い…」
「だって…あなたが見せてって言うから」
可愛い、たまらん。
耳を舐めて胸を揉む。
「でも、ここじゃいやよ」
抱え上げてすぐさまベッドへ。
「脱がせて頂戴」
いそいそと脱がせ、裸にする。
手をあちこちに手や舌を這わす。
つんと起ち上がった乳首や、へそ、乳輪や脇。
もちろん翳りの中をも蹂躙して。
先生の声に煽り煽られ沢山愛した。
抱いて落ち着いて。
「初釜、どうでした」
「良かったわよ…来年はあなたも一緒に行けるといいわね」
「いいんですか?」
「弟子を連れて行くのも先生の勤めよ」
「ぜひお願いします」
「来週、うちの初釜のアシストちゃんとしてね。いつものようにでいいから」
「はい」
「お弁当がねぇ三友居さんのでおいしかったのよ」
「ああ、あそこですか。花びらもちはどこのものでしたか?」
「とらやさんだったわ」
「それは残念、あそこはごぼう1本でしょう?」
「普通一本よ?」
「川端道喜は2本です。まぁ絶対食べにくいですが」
「あら?そうなの?食べたことあるの?」
「一度だけですけど頂きました。まったく持って自分では手に入りませんね。
 面白いのは松屋常盤かな。一度お持ちしましょう。面白いから」
「お正月過ぎたけど大丈夫なのかしら」
「数言えば大丈夫だと思います。多ければ他のお弟子さんにどうぞ」
松風も一緒に頼もう。松風好きなんだ。
ゆっくりと先生の肌を撫でつつ、色々お話をする。
そのうち、先生がもじもじしてきた。
こりっと乳首をつまむといい声。
くにくにと弄って楽しむ。
先生が俺の手をそっと下に導いた。
ああ、よく濡れてる。
また指を入れて中を楽しむと、先生も気持ち良さそうだ。
「久さん」
「はい」
「久さん久さん久さん、好き。好きよ」
ああ、ゾクゾクする。
う、久々に脳内で逝った。
賢者タイム。
自分自身、かなり濡れているのを自覚しつつ、先生を逝かせようとする。
背中を引っかかれてるな。
ちょっと痛い。
先生の言葉にならない喘ぎを聞いて楽しくて仕方がない。
ひときわ大きい声、痙攣。力が入って、そして脱力。
荒い息、いいね。
そのままキスする。
まだ指を抜いてはいない。
少し中でうごめかせる。
キスしているのに呻くのが愛しい。
押しのけたいやらしがみつきたいやら。
口を離して乳首を噛むとまた逝ってしまったようだ。
可愛くて、ニヤニヤしてたら押しのけられた。
え、と思う間もなく慌ててトイレへ。
ああ、コーヒー飲ませたんだっけ。
なんだか笑えてきてしまって、戻ってきた先生に叱られた。
「舐めてあげましょうか」
その一言で顔を赤らめて胸を叩かれる。
「可愛いな、本当に可愛い。ずっと抱いていたくなる」
「今日はもうだめ…疲れちゃったわ」
「はいはい、しょうがありませんね。どうします?泊まるか帰るか」
「うーんお稽古もないし。泊まっちゃおうかしら。いい?」
「じゃ八重子先生に電話しないと。晩御飯とか用意されてるかも」
「あ、そうね。ねえ、手を離してくれない?」
「ここに電話子機ありますよ。どうぞ」
懐に抱いたままかけさせようとする。
「…電話中に触ったりとかしないで頂戴ね、お願いよ」
ばれてた。
おとなしく先生が電話するのを聴いていることにする。
八重子先生の話し声もほんの少し聞こえる。
先生の首筋を舐める。
びくっとして我慢している。
耳たぶを舐めると声が乱れた。
腕をつねられる。
乳首を舐めるとゴンッと頭をグーで叩かれた。
ああ目が笑ってない。
これは怒られるな。
電話が終ってがっちり頭をホールドされた。
「しないでっていったでしょう。なんでするの!」
「うーあなたが可愛いから」
「電話中はやめてっていってるでしょ」
怒っているその口にキスをする。
かり、と舌を噛まれて。
頭を掴む手が緩んだ。
そのまま暫く舌を絡める。
口中を犯すかのように激しく、また、ソフトクリームを舐めるかのように優しく。
唇を離せば怒る気力は途切れたようだ。
「すぐにこうしてごまかすんだから…」
「キス、好きですよね、先生」
「ばか」
「もう一回したいな」
そういってあそこをまさぐる。
たっぷりと濡れていて嬉しくなった。
すぐに気持ち良さそうな顔。
強く抱きしめながら逝かせる。
暴れそうな体を私に押し付けて切羽詰った声を出した。
私に玩具にされている気がする…以前そういってた。
力の差もあるだろう。
いくらこの人が暴れても私には押さえ込める。
沢山玩んでいたぶって暴れても泣いて懇願されてもやめないことも出来る。
それを知ってるからそう思うのかもしれない。
きっちり中で逝かせて己を落ち着かせた。
背中を撫でて、なだめて。
先生が落ち着くまで。
クゥ、と先生のお腹がなった。
なんだそろそろ晩飯の時間じゃないか。
何が食べたい?と聞くとパエリアという。
ああ、あれかあそこのか。
ちょっと待ってて、とチラシを探す。
あったあった。
「どれにします?」
「んー、これがいいわ、これにしましょうよ」
電話で注文して届くまでの間に服を着る。
先生はまだ立てないそうなのでメシが来てから。
財布等用意して、先生の横に座る。
キス。
胸をまさぐり少し煽る。
「またするの?」
「ええ、20分はかかりますからね」
乳首を噛み、股間の感触を楽しむ。
喘ぎ声が気持ちいい。
「この格好で取りに出てもらおうかな、出前」
「やだ、だめ、よして」
中に入れてる指が締め付けられる。
ぎゅうぎゅう締め付けて喘ぐ。やっぱりそういうこと言われるのすきなんじゃないか?
チャイムが鳴ると同時に逝った。
慌てて指を引き抜き、取りに出る。
意外と早かったな。
受け取って食卓にひろげてから手を洗い、先生を連れに寝室へ入った。
あ、少し怒ってる。
私の懐に手を入れて爪を立てて乳をつかまれた。
いててて。
「怒ってる顔も好きだな…」
というとさっと顔に朱が走り横を向かれてしまった。
「さ、食べましょう、立てますか?」
首を横に振る。
浴衣を纏わせ抱えあげて食卓に着かせた。
Mサイズとサラダ、付け合せにいくつかを頼んだ。
パエリア取る時はお玉レンゲを使うとそれなりに取りよい。
食べているときの先生も好きで、ついついにっこりしてしまう。
あと纏わせているだけだから乳や太腿が動作のたびにちらちらして扇情的だ。
気づいたようで胸元の合わせを直し、裾を直されてしまった。
「ね、あんまり見ないで。食べられなくなっちゃうわよ」
可愛い。
「テレビ、つけましょうか?」
気を紛らわせねば更に襲ってしまいそうだ。
テレビを見つつ。
「そういえば家元初釜式、ニュースでやってましたか?」
「ええ、してたわよ。初日は政財界でしょ」
「二日目はお茶の先生方でしたよ」
「あら、どうして知ってるの?」
「資料館に立ち寄ったものですから。向かわれる方々を見れば教授ばかりで」
「何か面白い展示あったの?」
「酒器ですね、でも一人で見ても面白くなかった。あなたと行きたいな」
「じゃあ…今度行きましょ…」
「京都展示巡りの旅、行きたいですね」
2泊か3泊か。
暇な時期に有給でもいいな。
「お稽古は八重子先生に少しお願いして」
「怒られるかしら」
「展覧会メインなら怒られないでしょう、きっと」
「楽しみだわ…楽は行きたいわねえ」
「ああ、楽はいいですね。大西はどうです?」
「見たら欲しくなっちゃうじゃない」
「さすがにいい釜はポンとは買えませんしねえ」
食事が済み、後始末をして手を洗い歯を磨く。
結構脂っこいな。
手を貸して、と言うので先生の腰を支えて洗わせた。

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