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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

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食べ終わって夕飯の買出しをしたいというが、させず。
鮨を取る宣言をした。
そのあたりでやっとこれから何をされるのかわかったようだ。
ちょっと引いてる。
「あの、明日お稽古よ? わかってくれてるわよね?」
「ええそうですね。八重子先生にお願いしてあげましょう」
「ちょっと、ねぇだめよ」
「なぁ、俺はあんたのなんなのさ。たまには良いだろ」
先生はうっと詰る。
「でも…」
「なんだよ」
暫く困った顔をしてついに折れた。
俺は八重子先生にお願いの電話をした。
簡単に了承を取り付け、先生に着替えてくるように言った。
着替えてトイレに行って戻ってきた、と思ったら生理になったという。
「嘘ついてんじゃねえだろうな」
「そんな…」
「見せてみろ」
困り顔をしつつも足を開く。
指を這わせると多少のしるし。
「これくらい問題ない。汚さないようにしてやるから来いよ」
いやいやをする。
「おい、いい加減にしろよ。縛っちまうぞ。鞭を使われたいか?」
あ、泣いた。
「泣いたら良いと思ってるのか」
声を上げて泣き始めた。胸を叩いてくる。
その手をねじ上げて床に敷伏せた。
「動くなよ。怪我したくなかったらな」
いやいやと泣く先生の耳元でたっぷり犯してやると言うと更に泣いた。
「痛いことされたくなかったらいつものようにベッドに行けよ。
 優しくしてやっても良いんだぜ」
少し迷ったような気配がした後、ベッドに行くと返事があった。
手を離してやって防水シーツをセッティングする。
それから裸になった先生を引き込んだ。
体が冷えてる。
布団をかぶらせて暫く抱いてゆっくりと冷えている部分を撫で擦る。
涙目で震えていて。
俺を怖がっているのがわかる。
体が温まってきた頃、俺も諦めがついた。
「絹」
「は。はい…」
「トイレ行って始末しておいで。寝ていい」
「え?」
「すまなかった。嫌なこと言ったね。ほら寝巻き着て」
「あ、はい」
そろそろと布団から這い出して寝巻きを着てトイレに行った。
その間に防水シーツを外し、毛布を入れた。
先生が戻ってきて布団に入れる。
「さ、寝な。飯は腹が減ってからにしたら良い」
「あの」
「何か食いたいものあるかな。買物行くけど」
「良い、の? しなくて」
抱き締めると震えた。
「怖かったろ。ごめん。落ち着いたからもう俺は」
「その…ごめんなさい」
「だから。もう怖がらないで寝てくれたら良い」
そっとキスし、頭をなでた。
少しずつ先生の震えがおさまって長い息一つ。
「レバニラ食える?」
「え?」
「鉄分。レバーが良いって言うから」
「あ、うん、嫌いじゃないわ」
「じゃ、晩飯はそれと小松菜の胡麻和えとかどうだろう」
「でも…久さんレバー嫌いよね」
「俺は俺でなんか作るから」
「だったら、ん、それで」
「OK、決まりだね。眠くないかもしれないけど寝てて」
なんとなくうやむやにして寝かせ、買物に出た。
自分で自分がバカらしい。
頭痛を感じつつ買物をしていると先生からメール。
プリンね、はいはい。
買って戻ると先生は寝息を立てていた。
昨日の疲れと、生理の眠気だろう。
しかしあんな脅され方して、良くその部屋でのんきに寝息を立てられるものだ。
苦笑して下拵えをし、先生の横に潜り込む。
少し寝た。
夕方になって起きて夕飯の支度をする。
ご飯が炊けた頃先生も起きてきた。
トイレへ行って椅子に座り、ぼんやりしている。
「おなかすいた…」
まだ半分寝てるな?
「もうすぐ出来ますよ」
「うん…」
最後のおかずが出来たので先生の前に並べた。
ご飯をよそい、お味噌汁を掬う。
お箸と共に食卓に並べたらやっとぼんやりとした目がしゃっきりしてきた。
「あ、おいしそう。いただきます」
「どうぞ」
でもまだちゃんとは起きてないようだ。
こりゃ多分飯食い終わったらまた寝るなぁ。
先に食い終わって酒を持って飲む。
「少しちょうだい」
お猪口を出して注いでやるとおいしそうに飲む。
綺麗に食べ終えてあくび一つ。
「もう一度寝たら?」
「ん、食べてすぐ寝たら牛になっちゃう…」
「じゃさ、俺の膝で寝ない程度に横になるのはどう?」
「そうしてくれる?」
「もう少し飲んでて。これちょっと片付けるから」
「はーい」
食べたお皿をシンクにつけおきにしてトイレに行き、床に長座布団を敷く。
ハーフケットを用意して先生を手招きした。
くいっと残った酒を煽って俺の膝枕で転がりハーフケットを自力で被ろうとして。
うまく被れてなくて腹を立てている。可愛い。
一旦頭を下ろしてちゃんと掛けてやり、それから膝に乗せた。
小一時間ほどテレビを眺めて本気で眠くなったようだ。
先生は起きてトイレに行きベッドに潜った。
俺は台所の片付け。
それから俺も寝る用意をして横にもぐりこんだ。
「おやすみなさい」
「はい、おやすみ」
もはや寝息に近いような、微かな声。
背中をなでて寝かせ、俺も寝た。
翌朝、先生がよく寝ているのを尻目に出勤し、休み明けの暇に耐えつつ。
会社の事務員がイルミネーションがどうとか言っているのを小耳に挟んだ。
どうやら女性はそういうものを好むようだ。
神戸のルミナリエやロームは知ってたが、こっち来てからというもの。
気づいたらなんか光ってるなとしか思ってなかったからなぁ。
先生が生理終わったら連れて行ってみようかな。
喜ぶのかどうかはわからないが。
あ、いやでも畠山、明日連れてくと喜ぶか?
帰ったら聞いてみようかな。
流石に帰ったら起きてるとは思うが…。
客からじゃこの良いのを買いに行くと聞いて俺の分も頼み、ついでに唐辛子も頼んだ。
気が向いたら炊こう。
仕事が終わりの時間に近づいて客が帰ってきたのでお金を返す。
鯛を1枚と伊勢えびの弱いのを買って帰った。
「ただいま」
あれ、反応がない。
風呂場で物音がする。着替えがてら覗けば体を洗ってるところだった。
「お帰りなさい。お昼まだなの。ごめんなさいね、さっき起きたのよ」
「ああ、どこか食べに出ようか? それとも鯛があるけど食べる?」
「お野菜ないんでしょ? 遅くなって良いなら外で良いわ」
「はいはい。何食べたいかな」
「パスタがいいわねえ」
「了解。ところで」
「なに?」
「背中洗ってあげようか?」
「…Hなことしそうだからいらないわよ」
バレたか。
寒いから閉めてって言われた。
苦笑して扉を閉め、手を洗って着替えているとざぶん、ざぶっと浴室内から水音がする。
うーん。うっすら見えるからエロい。気がする。
しちゃいけないと思ってるから余計だな。
風呂場から離れてリビングに行き、寝転ぶと眠くなってしまった。
腹減ったなぁ。
ぼんやりしてると先生が風呂から上がり浴衣を着て出てきた。
ふぅっと息をついてる。
「風呂疲れしたんたらなんか買って来て作るけど」
「ううん、食べに行きたいの。おなかすいてるわよね。ごめんね」
「いや、ゆっくりしてくれたらいいよ」
気にしてるようなので俺も風呂入ってくる、と時間を作ってあげた。
体も頭もざっと洗って上がれば丁度髪を乾かし終えたところだ。
俺が頭を拭いている間に外出の支度を整えている。
「ん、なに着よう…」
「近所の店だから普段着で良いよ」
「じゃこれにしようかしら」
「うんそれで」
「あなたも着物着る?」
「どっちでもいいよ」
「んー…これ着て欲しいわね」
「はいはい」
タオルドライを済ませ、肌襦袢や長襦袢を身に纏う。
着物を着て帯締めて。
先生も着替え終えたようだ。
トイレに行ったら羽織を着て二人で外出。
お店へ入ってメニューを眺める。
先生は栗と鮭とキノコのクリーム、俺は鮭とカボチャと小松菜のチーズパスタ。
うまいなぁ、こってり系だけど野菜も入ってて。
おいしく頂いて帰り道は晩御飯の買出しを。
鯛と伊勢えびがあるというとあとは煮物を作る気になったようだ。
「あ、でも青いものも欲しいわね、何しよう…」
「春菊とほうれん草でゴマ和えにしましょうか」
「あらいいわね、じゃそれと人参と」
色々選んで買い、牛肉も少々買う。
春菊少々と炒めるつもりだ。
お買物を済ませてコンビニに立ち寄り、プリンを買った。
好きだよなぁ、甘いもの。
帰ったらちょっと疲れたようだ。
添い寝をしたくなって着替えて一緒に布団へ潜る。
俺の胸にくっついてきてほんの少しの時間で寝息が聞こえる。可愛い。
んー、良い匂い。
柔らかいし。
女の人だよねー。
とか思ってたらなんか噛まれてるし。
痛いけどまだ甘噛だな、これは。
俺も少し寝て、今度は先に先生が起きた。
揺り起こされて食事の支度をする。
というのもギシギシいってる伊勢えびは流石に先生には調理できなかったようだ。
献立どおりに食事を作って先生と二人で食べる。
煮物はちゃんと先生の味でおいしい。
「あ、そうだ。明日。畠山行きませんか」
「ん?何かあるの?」
タブレットを出してみせる。
「ほら、ここ。11時からミニトークって」
気が乗らなさそう。
「明日も一日寝てるほうが良いかな」
「うん、悪いけどそうさせて頂戴」
「じゃ明日、夕方になったら送りましょう」
「一人で帰れるわよ。夜じゃないから危なくもないし」
「俺が、あなたと一緒にいたいんですよ。俺が」
くす、と先生が笑う。
「次の日も会えるじゃないの」
会えるけどさ。
夕飯を終えて洗い物をしてそれから先生を引き寄せ抱き締めながら時を過ごした。
キスだけに止めるのは中々辛いものがあるけれど。
水曜は休みと言うことで朝寝を楽しみ、でもまだ先生のアレは終ってないので何もせず。
夕方になっておうちまで送り届けた。
上がらずに別れ、帰宅する。
土曜にはあちらの部屋に連れて行こう。うまく言いくるめて。
明日我慢できるのかな、俺。
寝るに寝られずジャコと唐辛子を炊き、布団に入って溜息一つ落として寝た。
翌朝仕事が終った後タッパーを二重にして提げて先生のお宅へ行く。
お稽古の後、夕飯に出してもらった。
やっぱりうまいよなぁ。
自分で作っといてなんだけど。
先生の食べてるのを見ているうちむらむらと来てしまった。
困ったな…どうしよう。今日は絶対させてくれない筈。
とりあえず食べ終わって洗い物を律君がしてくれることになり、団欒。
ダメだ、触れたい。
八重子先生がトイレに立った。
思わず先生を脱がしにかかってしまい、抵抗にあうものの。
止まれなくて肌襦袢までも脱がせた。
「静かに」
無理に伏せさせて背中を触る。
気持ち良い肌だなぁ、と思いつつ背中を揉む。
「何してるんだい、こんなところで」
「え、いやぁ。なんとなくマッサージしたくなっちゃいまして」
戻ってきちゃったよ、八重子先生。
「部屋でしなさい、部屋で」
「寒いじゃないですか」
マッサージとわかって先生は力を抜いてきている。
「この子ったら急に脱がすのよ。びっくりしちゃったわよ。あ、もうちょっと右」
「はいはい」
「そこくすぐったいわ」
「まったく…」
八重子先生が呆れてる。
十分肌の感触を楽しみ先生も緩々にしたので着せようとしたが風呂に入るとの事。
かといってそのまま風呂場まで行くわけじゃなく寝巻きをさっと着て行かれた。
慎み深くしとやかな人だ。
俺なら下帯一つで行って怒られるところだ。
脱がせて散らかした着物や帯を片付ける。
「さて、じゃそろそろ帰ります」
「そうだね、もう良い時間だわ。気をつけて帰んなさいよ」
「はい、お邪魔しました。それじゃまた明後日に」
それなりに満足して帰宅する。
先生の焦ってる顔とか好きなんだよね。
でも土曜日はちゃんと抱かせてもらおう。
少しの期待と殆どの諦めを感じつつ就寝した。
金曜は年末準備に忙しく帰宅が夜の9時過ぎということで。
帰ってすぐに寝たが先生のメールを無視する結果になっていたようだ。
土曜も仕事に追われ、稽古には何とか間に合わせ到着し参加する。
稽古の後、先生にメールしたのにと愚痴られてしまった。
申し訳ない。
「でもこれからそういうこと、増えると思います。すみません」
「年末だから?」
「はい」
ちょっと不機嫌そうだ。
水屋を片付けて夕飯を頂く。
今夜はにんにくも入った匂いのあるものが出た。
明日休みで予定がないから、らしい。
食後、台所を片付け酒を持ち出して先生を呼んだ。
「八重子先生、先生をお借りして良いですか。ちょっと飲みたいので」
「あぁ。いってらっしゃい」
「えぇ? …私ちょっと眠いわよ」
「ま、そう仰らず付き合ってくださいよ」
「帰ってくるの昼過ぎてもいいからいっといで、ほら」
先生は渋々席を立って上着を取りに行った。
寒いのは嫌だから先日設置したリモコンをリモコンするツールでエアコンを先に入れる。
先生を連れて部屋に入ると暖かいことに驚いている。
床暖とストーブをつけ、エアコンを切った。
先生を座らせてぐい飲みを二つ出し、横に座って酒を注ぐ。
「ねぇ先生、少し飲みましょうや」
しょうがないなという顔して飲んでいる。
それでも飲んでいるうちに少し緩んできた。
引き寄せてキスする。
片手で帯締めなどを解いていると腕を叩かれた。
「ん?」
「脱ぐからちょっと待って…」
「すとりっ…痛い痛い、待て! 爪を立てるな!」
「バカなこと言うなら帰るわよ?」
うー。
仕方なく寝巻きに着替えるのを手伝った。
「寒くない?」
「丁度良いくらいかしら。ちょっとさっきまで暑いって思ってたのよね」
「…俺もそう思ってた」
「あんたも着替えたら?」
「そうする」
俺も着替えて先生の横に座る。もう少し飲もう。
でも二度注いだ頃、先生の口からあくびが出だした。
もうこれ以上飲ませてはまた寝られてしまう。
布団に入れるのも危険。と言うことで膝の上に引き寄せて乳を揉んだ。
「ん…」
もはや我慢も限界だ。
キスマークを胸の上につけてしまうほど求めて、先生もそれに応えて乱れてくれた。
終った後もうピロートークも何もあったものじゃなくすぐ寝てしまわれたけど。
朝になってやっぱり先生は起きられなくて。
風呂に湯を張ってから寝ている先生を眺める。
いくつキスマークをつけたのか朝日の中確認しているうちにまたしたくなった。
綺麗な体だなぁ…。
「あ、ダメ…朝なのに…」
「だって綺麗だ。したくなるほどに」
流石に昨日のようにガツガツとはせず優しく丁寧に愛して。
一息ついてから風呂に入った。先生をまず洗って浴槽に入れてから自分を洗う。
「あら。だめじゃないの。こんなに。どうするのよ~」
キスマークつけすぎてて怒られた。
「どうせ八重子先生の前くらいしか着替えないでしょうが」
「だけど困るわよ」
「本当は縄の痕とか、そういうのつけたいんですけどねえ…」
笑って言ってやると赤くなってる。
「可愛いなぁ。好きだよ」
「からかわないで」
「からかってないさ、好きだよ。絹」
身を乗り出してキスをする。
「のぼせそう…」
「そりゃいけない。先に出てて」
慌てて立とうとして立ちくらみしたようだ。
俺の肩に体重を乗せて頭も俺に預けてる。
暫くして息が漏れた。
「ん、もう大丈夫、と思うわ」
「そのまま」
体を拭いてあげて抱き上げてベッドに下ろし、毛布を掛け、膝下に枕を入れる。
「大げさね…」
頭と足首を常温の水で絞ったタオルで冷やした。
「疲れてるところに長湯させた俺が悪いね、ごめん」
常温で台所に隠してあったポカリを飲ませつつ様子を見る。
顔色も見ているうちに良くなってきたようだ。
自分から這い出して俺の膝に座り、もたれかかってくる。
「横になってるほうが良いよ。ほら」
一緒に添い寝のようにしてあげると嬉しそうだ。
「あ、こら。ダメでしょ。何で俺のを触るんですかね」
乳を揉むなと言うに。
くすくす笑いながら触っている。
と、先生の腹がなった。
「おなかすいた?」
「そうみたい」
「喫茶店行きますか? それとも帰る?」
「どうせ帰ってもご飯炊きなおさないとないわよ」
「んじゃ着替えますかね」
先生の身支度の間に八重子先生に喫茶店寄って帰る旨を連絡した。
俺もさっと支度して先生と近くへ。
喫茶店で食事をしていてふと先生がこっちを見た。
「ねぇ。来週寒いんですって。ちゃんと着込まないとダメよ?」
「寒い? どれくらいでしょう」
「ええっとねぇ。確か水曜くらいから冷え込むって言ってた気がするわよ」
「やだなぁ寒いの」
「今くらいだと楽よねえ。こっちはマイナスになるらしいわ」
「うへぇ…そりゃ寒い。水曜の夜ですかね」
「多分そうだったと思うけど。急に冷え込むから困るわね」
「おうちも暖房ちゃんと焚かなきゃ。廊下とか気をつけないといけませんね」
「そうねぇ。ヒートショック? 怖いもの」
「あっちの家やうちの家みたいに全部を温めるのがベストですが先生のお宅はねえ」
「そうなのよね、使ってない部屋が多いから」
「廊下、床暖房にしませんか。随分変わりますよ」
「床を剥がすの? うーん」
「剥がさなくても上置きタイプありますが」
「どれくらい高さ変わるかしらね」
「後でショールーム行きませんか。たしか立川にあった気がします」
「一度家に帰ってからね。お母さんに言ってみるわ」
食後、そのまま先生のお宅へ戻って八重子先生にふってみた。
「結構高いんじゃないの?」
「100程度なら俺出しますよ」
「そんなわけにはいかないわよ」
「だって俺、冷たい床苦手ですしーってことで」
八重子先生には受けたようだ。
「じゃ、ショールーム行きませんか」
「私は良いよ、あんたら二人で行って来たら?」
「良いんですか? 先生が気に入れば即決しちゃいますよ?」
「いいよ」
着替えて先生と二人、ショールームへ。
説明を受けて床材を見せてもらう。
実際にはってある床を歩いて確かめると納得がいった様だ。
「では現地確認など必要ですので近くの販売店のものを向かわせます」
「先生のところは出入りどこでしたっけ。そこかな」
どうもそのようだ。
日取りや時間は先生にお任せしておおよその金額を聞く。
間取りを図にして算出。予算内でいけそう。
近日中に現場確認と言うことでショールームを出るとお昼を過ぎていた。
八重子先生に連絡を入れると作ってないとのこと。
先生が食べたいものを出す店を探し、入った。
結構にうまかったので覚えておこうかな。
帰ってご報告。
そして月曜には下見に来て正式な見積もりが出たようだ。
火曜日のお稽古の後に確認した。
「本当に良いの? こんな大金…」
「どうせ必要じゃないですか。寒いの嫌でしょ?」
勿論かかるガス代の分、いつもお渡ししてる金額に加算する予定である。
乾燥機も連日雨の時は使っているそうだ。
寒くて乾かない冬は特に使い勝手が良いだろう多分。
見積もりを確認したのですぐに工事の日取りを決めてもらった。
まだそんなに予定が詰ってないそうで幸い来週の頭にはと言うことだ。
風呂に入って布団に潜り込む。
先生の体を少し楽しんで先に寝た。
ちょっと不満そうだったけどあまりに眠くて。
朝、求めてくるかと思ったがさすがにそれはなかった。
「寒いわねぇ」
「はい、スリッパ」
「ありがと。あんたもうちょっと寝てたら」
「いや、寒いのは慣れてるから」
ふらーっと台所に行って朝飯を作る。
いつもの水曜。
朝飯を食べたら後は掃除。掃除。掃除。
特に廊下を磨かされた。
やっぱりね、工事の人に汚いところは見せられないって思うよね。
掃除に疲れた頃おやつを頂いて一服し、お夕飯を買いに出る。
先生にもたっぷりとショールにマフラーを巻いて。
「やぁねぇ。これからずっと寒いのかしら」
「もうすぐ大寒ですからね、仕方ないですね」
手を繋いで買物を済ませ帰宅し食事を作る。
今日は肉じゃが。
煮崩れ上等。
つまりはいつもの男爵芋だ。
先生から丁寧に面取りするよう言われた。
フライパンでこんにゃくと一緒に酒で煮て他の材料も入れた。
こんにゃくは最終的にどうするのだろう。
と思ったが先生は普通に盛り付けてしまわれた。
夕飯を食べて帰ろうとすると表の寒さに一瞬震えた。
「マフラーしなきゃだめじゃない」
「はい。持ってきてるの忘れてました」
一度中に戻って首元をしっかり塞ぎそれから改めて別れを。
寒い外気に包まれて電車に乗る頃にはすっかり冷えた。
車内は暑く、コートもマフラーも外した。
置き忘れに注意。
ちゃんと下車時に思い出してコートを着てマフラーを巻いた。
家に着いたが室内も冷え切っている。
ストーブと床暖とエアコンまとめてつけて急いで温めた。
温まった頃エアコンを消し、ストーブと床暖の設定温度を下げ、ベッドに潜り込む。
おやすみなさい。
朝、出勤するのが嫌になる寒さで中に一枚増量して出社。
仕事を終える頃にはすっかり芯まで冷えて先生のお宅へつくと風呂に入れられた。
ざっと温まってすぐに支度をして稽古に間に合わせる。
くすっと先生が笑って俺の髪を撫でてきた。
「ちゃんと乾かさなきゃダメよ」
「あ、はい。部屋、乾燥してるから乾くかなと思いまして」
くしゃっと混ぜっ返されて。
生徒さんがいらしてお稽古が始まる。
夕方までお稽古をして飯を食って帰宅する。
流石に今日はタイマーを掛けておいたからそれなりに部屋が暖まっている。
体と布団を温めてから就寝した。
翌日寒くて忙しくて仕事が終わってすぐ風呂に入って寝てしまった。
その間に先生から電話が数回あったようだ。
夕方、腹が減って目が覚めて気づいてすぐ詫びた。
怒られるかと思ったが逆に心配されてしまい、申し訳なく思う。
まださすがに年末に掛かってきているとは言え心配をかけるほどではない。
用件を聞くとカニがほしいということだった。2匹。おいしいの。
簡単な御用ではあるものの急な寒気で荷物が薄い。
電話を切ってすぐ確保に動いた。
客からの注文分に上乗せして何とかいけそうだ。
ほっとしたら腹が減ったのを思い出して近くの飯屋に行った。
他人丼がうまい。
明日も忙しいのかそれとも物がなさ過ぎて暇なのだろうか。
ふと、そういえばクリスマスに何かプレゼントを買わねばと思い出した。
その足でデパートに行くが…ピンと来ず帰宅した。
何が良いんだろうか。
帯留。いやお稽古ではつけない。
帯締めと帯揚げか。
それともバッグか帯か。
明後日連れ出して自分で選んでもらおうかなぁ。
少し思い悩みつつ就寝し、翌朝仕事をこなしてお稽古へ行く。
家で風呂を浴びてからなので車て来たとは言え少し冷えてしまった。
風呂は沸いてないので火の傍に寄せてもらいそれから支度をする。
まだ12月も一週目と言うこともあり時間には余裕がある。
再来週はきっとそんな余裕はなく、来たらすぐ稽古に入らねばならないだろう。
炉になってからと言うもの、皆さんぎこちない。
風炉の癖でつい正面に座ろうとしたり。
炉になってすぐ逆勝手を指定された生徒さんは大変だった。
うん、俺も大変だったけど。
「週3回じゃ足りないのかしらねぇ」
「いや、その、むしろ雑念が多すぎるというか…」
「山沢さんは仕事してるからね、お稽古のことばかり考えていられないよ」
「そうかしら」
先生方がカニと格闘しているのを見つつ肉を食う。
っと孝弘さんが殻まで食いそうだ。
慌てて先生が奪って剥いてあげてる。
ほのぼのとした光景だ。
「あ。そうだ。先生明日はお暇ですか。暇なら呉服屋行きたいんですが」
「ん? 明日? ちょっと待ってね」
手を拭いてカレンダーと手帳を見ている。
「何もないわよ~」
「じゃすいませんが一緒に来てください」
「はいはい、おかわりは?」
「いや、もう二杯目ですから」
食事を終え後片付けをしてコーヒーを持って先生の横へ戻った。
「ねぇ、何か欲しいものあるの?」
「んっ? 何かとは?」
「明日呉服屋さん行くんでしょ」
「あぁ。コートとか防寒具、買い換えたいのでその見立てをですね。お願いします」
「今着てるの、嫌いなの?」
「嫌いじゃないんですが不具合がありまして」
「そんな風に見えないわよ」
「えーと。寒いから行くのいやでした?」
「えっ あ、違うわよ、ごめんね」
「いや、行きたくないなら良いんです」
「拗ねないで頂戴よ…」
八重子先生が苦笑してる。
「あんた行くならついでに足袋買ってきとくれ、ほら、フリースの」
「あれ暖かそうよね、2足?」
「フリース足袋って滑りませんか?」
「そのままだと滑るかも…滑り止めついてるのかしら」
「何言ってんの、中がフリースで外がストレッチ足袋ってのがあるんだよ」
「え、なんですかそれ。欲しいです」
「そんなのあるのねぇ」
「別珍より温かいらしいからね」
明日売ってたら絶対買おう。
先生が買物メモを書いている。
腰紐とか肌着とか。古くなったのを買い換えたいようだ。
「折角行ったのに忘れたらいやでしょ?」
それから暫くして先生方が風呂に入って出てくる。
「ふー…。あんたも温まってきたら?」
「あ、そうさせてもらいます」
「お風呂は明日洗うからそのままで良いわよー」
タオルを持って風呂に入り温まる。
ま、ついでだからと掃除もして風呂から上がった。
居間に戻ると八重子先生は先に寝たそうで先生は半襟をつけている。
「お裁縫をしている姿とか好きだな」
「なぁに? こんなのがいいの?」
「これを仕事にしてて年がら年中なら飽きるかもしれないけど」
「それはそうねえ、四六時中縫い物してるの見てもねぇ」
ほほほ、と笑いつつさっさとつけ終わり、待針や針を数えて。
「あ…あなたのも持っていらっしゃい、つけてあげるわよ」
「良いんですか、助かります」
「そのかわり後で肩揉みお願いね」
「承りました」
部屋から取ってきてつけてもらう。
手早い。
「はい、出来たわよー」
「やぁほんと手ぇ早いですよね」
「慣れたらそうなるわよ」
「んじゃ揉みましょう」
「あ、部屋でお願い。腰も揉んで欲しいのよ」
「はいはい、片付けて部屋行きましょう」
戸締り火の用心、確かめて寝間に入る。
布団を敷くと先生が身づくろいを済ませてうつ伏せに寝た。
「お願~い」
「うん」
まずは全体を撫でて凝ってる所のピックアップ。
それから少しずつ揉んで緩めていく。
「んー…気持ち良いわぁ」
声が出てしまうようだ。
「あぁ…そこ、もうちょっと…」
パタパタと足音が聞こえる。
手で先生の口を覆った。
「むぐ…?」
「…多分律君。待ってて」
身を起こして障子を開けた
「どうしたのかな? 寒いから早く寝なさい」
「あの、これ。忘れてて」
ん? なんとなく納入書と見える。
中に入れて電気をつけた。
「どうしたのよ」
「講習会の納入書のようですが…今日が期限…」
「ええっ、どうしよう」
「コンビニ納付だから、えーと。まだ時間大丈夫だね。行ってきなさい」
「いくらなの?」
金額を見て慌てて財布を見ている。
「えっとおばあちゃん起こしてきて。お金持ってないか聞いて頂戴」
「あ、まった。起こさなくても俺持ってますから」
財布から出して渡す。
「すいません…」
「先に私たち寝てるから、領収書は明日渡すと良いよ。気をつけて行ってらっしゃい」
「はい」
「気をつけなさいよ」
「うん、ごめん」
障子を閉めてもう一度うつ伏せになるよう言った。
「明日返すわね、ありがとう」
「抱いてる時じゃなくてよかった…」
「…ほんとよね」
「いや、うん。プレイとしてはありなんですけどね」
「やめて頂戴よ」
「わかってますって」
家庭争議は求めてない。面倒くさい。
もう少しほぐして体を緩めて。
「もう良いわ、ありがと。気持ちよかったわ」
俺も横にもぐりこんで布団を被る。
ぴったりと背をくっつけてきた。
ぬくい。良い匂い。
そっと胸に手を差し込みやわらかさを楽しむ。
そのまま眠ってしまったようだ。
朝になって目が覚めた先生にすると思ってたのに、と言われた。
したかったんだけどね。
お昼を食べた後連れ出した。
大手の呉服屋さんへ行き、先ずは足袋と先生の小物を揃え俺のコートを見繕ってもらう。
少し派手かな、とも思ったが先生が似合うといってくれたものにした。
それから帯留めを見せてもらう。
「どれが好き?」
「そうねえ、あらこれいいわね。でも高いわ」
ためつすがめつして見ている。
「それがいい? すいません、包んでもらえますか」
「えっ、いいの?」
「早いけどクリスマスプレゼントですよ」
「あら…ありがとう。嬉しいわ」
お、店の人が会話に反応してクリスマス柄の包装紙にしてくれた。
気が効いてるなぁ。
それからデパートへ行きたいというので連れて行き、色々見て回る。
台所用品など買い換えたかったようだ。
後は孝弘さんの服など買って。
飯を食いに行ってからヒルズのイルミネーションを。
歩くほうが良いかと聞けば車の中からが良いと仰るので通り抜け。
「きれーい…」
「ですねえ」
「あ、今ハートマークあったわよ」
「やっぱりカップルで来る人多いんでしょうね」
先生の不満は助手席に座れないことらしい。
車だとやはり一瞬でもう一見行くことにした。
表参道へ。
「どっちも負けず劣らず良いわぁ」
先生が少女のような顔をしている。可愛いなぁ。
「ねぇ。今日泊まって良いかしら」
「明日お稽古でしょう」
「だってしてほしいもの…」
急ブレーキ掛けそうになった。
「火曜日にしませんか」
「この間も、だったじゃない」
そういえば軽くしかしてなかったっけ。
「良いんですか。うちだと腰抜けるほどしますよ?」
「……そこまではして欲しくないわね」
「火曜にあちらの部屋に行きましょう。それでよくないですか」
「いやなの?」
「お稽古サボらせるのがとってもいやです」
先生が鞄から携帯を出して家に掛けてお稽古を押し付けてる。
電話を切って、お母さんの許可は取ったわよ。と強く言う。
そこまでされちゃ仕方ない。
連れて帰った。
先生はさっさと和室に行ったのでその間に風呂を洗う。
昨日入ったままだったから。
出てくると浴衣に着替え、俺のフリースを背に羽織ってテレビを見ている。
「その格好寒いでしょう」
「うん、ちょっと寒かったから借りたわよ」
「ストーブの前に座れば良いのに」
ベッドに布団乾燥機をセットする。そのまま入る気にはなれない。
「先に風呂にしますか?」
「うーん…」
「どうせ汚れるから後にしますか」
あ、赤くなった。
後ろから抱いて胸に手を差し入れて揉む。
「ねぇ…最近ね。左だけ大きくなった気がするの」
「あーどうしてもこっち揉んじゃうからなぁ。じゃこうしますかね」
胸をはだけさせて手を入れ替えた。
「冷えてますねぇ。温めないとね」
触れている部分から徐々に熱を持っていく。
足を崩させて冷えた足に手を這わせると気持ち良さそうだ。
性的になのかどうかは知らないが。
ゆっくりと上に手を這わせていくと掴まれた。
でも力は入ってなくて。
あそこに軽く触れるとビクッと震えた。
指を割りいれて少し濡れているのを塗り広げ突起を刺激する。
掴む力が強くなる。
喘ぎ声が上がってきた。
きゅっと身を縮めて耐えるかのように。
「ひっ」
軽く爪を立てると悲鳴が上がる。
「ここ、大きくなってきてるよね、初めての時に比べて」
「う、あなたがしたんじゃない…」
「乳首も。段々エッチな体に変わってきたね」
「ばか…恥ずかしいわ」
「欲を言えばもっと求めて欲しいかな。無理だろうけど」
喘いでて俺の言葉なんて聞こえてないようだ。
指を中に入れて玩ぶ。
腕に爪を立てられてちょっと痛いけど楽しくて。
一度逝かせてからベッドに転がした。
体中たっぷり舐めて気持ち良くもさせてむさぼりつくした。
「も~だめぇ…」
ついにばてたようなのでやめてあげた。
「気持ち良いけど…疲れたわ…」
「そりゃあねぇ。もっとしてもいいんですよ」
「ダメ、ストップ!」
慌てて止めてくる。可愛いなー。
「はいはい、寝ちゃいますか」
「もうちょっとこうしてて欲しいの…」
寝るまで、ね。了解。
俺の足に股間を擦り付けてるようだけど足りなかっただろうか。
指摘するとそうじゃないけどなんとなく、だそうだ。
そうこうしてるうちに眠気が来て、先生のあくびが聞こえる。。
「寝ましょうか」
「うん、おやすみなさい」
「おやすみ」
電気を消して寝た。
当然夜中に俺は仕事に行かねばならず、先生を放っておくことになるわけだが。
布団から出て毛布を間に詰める。
多少寒くはなかろう。
支度をして先生の顔を一度覗き込んでから出勤した。
俺がいない間に動けるようなら一人で帰ってお稽古に行くようにと書置きをして。
仕事は暇で今日は早く帰れそうだ。
先生がまだ家にいるようなら昼を食ってもう一戦しても良い。
帰っててくれたら一番良いんだけど。
家に着くと電気がついてる。
いるなぁこれは。
「ただいま」
「お帰りなさい、お昼どうする?」
風呂に入った後のようで髪が濡れている。
「どこか行きますか。風呂入ってる間に乾かしといてくださいね」
「うん」
ちゃんと湯が張ってある。
さっと洗って湯に浸かると大変に温まった。
風呂から出て流石にバスローブを羽織って出ると甲斐甲斐しくも髪を拭いてくれる。
「俺に構ってないで着物着たらどうですか? 食べちゃいますよ」
慌てて手を離して和室へ行った。
今からされるのはいやなようである。
ざっとドライヤーをしてなんとなく乾いたので着替えよう。
先生はお化粧もしている。
「どこ行きます? ん…ホテル?」
それなりの格好してるからなぁ、先生。
「えぇと、天麩羅。ダメかしら」
「はいはいちょっと待ってて」
電話して席があるか聞く。平日だしね、有るよね。
よしよし、ある。30分後。
先生にそう伝えて俺も着替え、トイレを済ませて連れ立った。
「寒いわねえ」
「ま、こんなもんでしょう」
久々の天麩羅はうまくて先生も嬉しそうだ。
クリスマスは行けないから先に楽しませねば。
満腹になって帰宅して、着替えてテレビを見て。
「お稽古どうなってるかしらねえ」
「気になるなら帰りますか?」
「今から帰ってももう遅いわよ。もうちょっとこうさせてて」
俺の胸にもたれてあくび一つ。
「ん、寝れなかった?」
「寝たけど眠くなってきちゃったわ」
「じゃ、寝ますか。添い寝しましょう」
「ダメよ、こんな時間に寝たら夜寝れなくなるじゃない」
「ふむ、んじゃぁ抱かれてください」
「えぇ? お昼間っから何言うのよ。あ、こら、ちょっと」
帯を解いて脱がせてしまった。
縄を取りに行くのはもはや面倒で手拭で手首を巻き上から腰紐で腕を固定した。
胸にも腰紐を通していく。
「さすが正絹は締まりますねえ」
「あの…恥ずかしいわ」
「足も縛っちゃいましょうか」
「だ、だめ…そんなのだめよぅ」
でも腰紐がないんだなこれが。
伊達締めじゃあなぁ。
あ、俺が脱げば良いのか。
帯を解いて襦袢の腰紐を抜き、先生に胡坐をかかせ足首を縛った。
じっくり見ると目が潤んできた。
触れもしてないのに股間も潤んできたようだ。
足袋を脱がさなかったから妙に色っぽい。
あちこち触れて焦らし、お願いさせて。
道具使っても良いとまで言わせた。
足だけ腰紐をほどいてペニバンを持ってきた。
いやいやをしているけどあそこのほうは準備万端。
ゆっくりと焦れるほどの速さで出し入れして、それでも先生は感じているようだ。
先生の足が俺の腰に絡みつく。
嫌がる割に感度が良くて随分俺になれたようだ。
何度か逝かせてから腕の紐をほどき、胸紐もほどいた。
うっすら痕はついているが縄目ではない。
「酷いわ…」
「愛してる。酷くてごめんね、それでもあなたが欲しくてたまらない」
「一緒になんか、住めないわね…」
「あー…、性欲面で?」
「だって毎日したいんでしょう…無理だもの」
「わかってますよ、ええ。無理ですよね」
「でも浮気されるのもいやよ?」
「したら暫くあなたとキスも出来ないのに何でするんですか」
「そう?」
「むしろ…今月後半、俺のいない間あなたがちょっかい出されないか心配で」
ぷっと吹き出されてしまった。
「ばっかねぇ。もう。疲れちゃったわ、ちょっと寝ましょ」
「はーい」
抱き上げて布団に寝かせた。
「着物片付けてくる」
「ん、先寝るわよ」
手を洗ってさっさと衣桁にかけて横に潜り込む。
昼寝昼寝。
おやすみなさい。
夕方を過ぎた頃目が覚めて夕飯を食べに出てその足で先生は電車へ。
うちに寄ってからと思うと帰りたくなくなるなどと嬉しいことを言って。
明日また、と別れた。
帰宅して寝て夜が明ければ仕事をこなし、お稽古に行き先生を軽めに抱いて寝る。
これが出来るのも後一週間。
先生は既に正月準備に掛かっていて俺も少し手伝った。
再来週適当な日にうちの掃除をしてくれるらしい。
本当に助かる。ありがたい。
日々、稽古に来る時間が遅くなって申し訳ないなぁと思いつつもそろそろ月後半に入った。
この火曜のお稽古で俺は一足先にお終いになる。
先生方の終いは翌週月曜日らしい。
火曜日にいらっしゃる生徒さんとも今年はこれでお別れだ。
先生にきっちりと皆さんご挨拶をされて帰られた。
俺も稽古をつけていただいた後、今年の稽古のお礼と来年の稽古をよろしくお願いした。
このときばかりは八重子先生も食事の準備の手を休めて。
馴れ合いにしてしまわれないのが先生方の良いところだと思う。
おいしい夕飯にありついて、先生を抱いて寝るのも今日から年内はない。
つまらんなぁ。
ぼやくとそのかわり三ケ日の後は泊まってあげるとおっしゃる。
それを楽しみにして頑張るしかない。
先生も名残を惜しむかのように寝るのを嫌がり、俺の肌を触りまくっている。
浮気の心配はないと見えて噛まれはしなかったけれど。
たかが半月、と笑われる向きもあろうが、二日に一度以上会ってるからこそ寂しい。
「ねぇ、明後日寒波って聞いてるわ。気をつけてね」
「先生も。積もってたら気をつけてくださいよ」
「積もるかしら」
「多分。お稽古するんですか、そんな日でも」
「そうね、誰も来なかったらお母さんとするわ」
「俺も混ざりたいなぁ」
「無理なこと言わないの」
「だって一緒にいたいんだよ、あなたが好きだから」
うん、と小さく答えがあるが最早眠いらしく会話は無理そうだ。
キスをして撫でてあげてるとすぐに寝息になる。
やっぱり可愛いよなぁ。
俺も眠気に負けた。
翌朝絡みつく足から抜け出すのに苦労しつつも台所へ行き朝食を作り皆で食べる。
ゆっくり出来るのも今日限り。
帰る頃には先生が袖を離してくれなくて困った。
「俺寝てても良いんなら添い寝しに来ますか?」
少しからかい半分に言ったのに食いつかれた。
「だけどあなたも大掃除しないといけないでしょう。疲れるからやめなさい」
「でも…」
「大晦日、来ますから」
ぐずるのをなんとか説得して別れて帰宅した。
寂しいのは俺も一緒だがこればかりは仕方ない。
明日からは気を入れて仕事をするしかないんだから。
一夜明けて今日からは昼から焼鯛や御節の仕込みに加わる。
だが年々正月が近い感覚が薄れているなぁ。
以前なら12月に入った途端あれやこれやと仕込むことが多かったのだが。
最近はまだ何を仕込むとかの情報も得意先から来ない。
ま、それでも鯛を箱詰めして冷凍かける作業があるから早くは帰れない。
夕方に帰宅する日々が続き俺にとって最後の日曜が来た。
先生とのメールのやり取りは続いていて先生もそれなりに忙しそうだ。
今日は茶会に行ったようで何枚か写真が来ている。
疲れて寝ていると鍵の開く音?
「ただいまぁ。疲れたー。あら寝てた? ごめんね」
「あー。らっしゃい」
「もうちょっと寝てたらいいわ」
「うん…」
ぱたぱたと和室で着替えてる気配があり暫くしたら水を使う音がする。
すっかり眠くて寝てしまったようで揺り起こされた。
「ご飯できたわよ」
「んぁ? めし?」
「そうよご飯出来たの。食べないとダメよ」
半分寝ているところを居間まで引きずり出される。
ちゃんとした和食の夕飯。
「うまそう」
「でしょ、温かいうちに食べてね」
寝ぼけつつも食べる。うまい。
うまくて掻っ込んでると先生が変な笑い方をしている。
「どうしました?」
「こぼしてるわよ。そんなに焦って食べなくてもまだあるから…落ち着いて食べなさい」
「あぁ。うまいもんだから、つい」
「ちゃんと食べてるの? 普段」
「夕飯…最近食ってないかな、眠くて」
「だめじゃないの」
「年末大体何キロか落ちますねぇ」
「毎日作りに来たくなるわ」
「それはダメだ」
慌てて却下する。
近所ならまだしも遠いのにそんなことしてたら先生が倒れる。
「あと十日程度だから何とかなるから」
「心配だわ」
「去年と一緒、問題ない」
ごちそうさまをして洗い物に立とうとすると先生に止められた。
だけど座っていると眠くなる。
泊まって良いかと言われ、却下した。
「どうしてダメなの?」
「明日最後でしょうが。最後にサボりは認めませんからね」
「そういうとこ、堅いんだから…」
「いじけてもダメなもんはダメ。送れないから早くお帰んなさい」
「追い出すの?」
「ええ」
むうっとしつつも諦めたようだ。
仕方なさそうに着替え、俺にキスをして抱きついて。暫くして離れる。
「帰るわ」
「はい、気をつけて。酔客に捕まらないように」
「あんたも。体に気をつけなきゃダメよ」
「家が近けりゃ…帰さないで済むのに」
「今更そんなこと言わないでよ…。帰りたくないのわかってる癖に」
暫く玄関先で絡まって先生が諦めをつけて出て行った。
帰したくなかった。
明日、先生がお稽古じゃなければ絶対帰してなんかいなかった。
だけど流石に年内の最終をサボらせるのはね。
いけないだろう。
暫く玄関で見送って見えなくなってから閉めた。
体が冷えてしまった。布団に潜り込む。
枕元に先生が香袋を置いて行ってくれていた。
先生のいつも使っている香だ。
体臭はもっと甘くて濃く感じるが、会えないだけに有難い気がする。
とりあえず後一週間と半分。頑張ろう。
寝て起きて。仕事をして帰って寝る。
朝、天皇誕生日と言うことで旗を出してから寝なおした。
ふと目を覚ますと横に先生がいる、という夢を見た。
起きて空しく思う。
メールは相変わらず続けており、先生が大体の一日の様子を送ってくれる。
たまには写真がついてくる。
仕事が終わって寝るだけの日々が続き、後もう数日となった。
くたびれて帰ると家が綺麗になっていてご飯が作って置いてある。
まだほのかに温かく、さっきまでいてくれたのかと心が温まる思いだ。
外は寒く、体は冷え切っているのに。
おいしい飯も嬉しくて全部食べた。
洗い物をしなくて良いようにと器は捨てて良いもので、本当に気のつく人だ。
風呂に入ったあとベッドでお礼のメールを打っていると気がついた。
香袋が新しくなっている。
シーツも変えてくれていた。
きもちいいなー。
メールを送ってそのまま沈没。
良く寝れて危なく遅刻するところだった。
慌てて出勤し、仕事をする。
午前中はやはりなんとなく暇で合間に先生とメールをする。
昨日俺が寝た後お歳暮が届いたようだ。
今年は去年にプラスして酒も一緒に。
司ちゃん来ると飲むから多め。ついでにコーヒーのカプセルも届いたようだ。
先生は切らしたからって早々買いにいける距離ではなかったから。
特定のカプセルが切れたままになってたんだよね。
先生の好みの味は多めに仕入れた。
午前の仕事が終わり、一度片付けて昼飯を食い午後の仕事をこなす。
昨日より調子は良いのは晩飯を食ったからかもしれない。
これをキープして大晦日を迎えたいので帰宅してすぐに寝た。
翌朝も多少は調子が良い。
本当に近所なら毎日ご馳走になっていたいくらいに食事って大事なんだなと思う。

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