山沢さんが帰って、お母さんがお風呂に入った。
律とおしゃべりをする。
「お母さんと山沢さんって本当に仲がいいね」
「そう?」
「おばあちゃんが言ってたけど山沢さんと開さん結婚するの?」
「そんな事言ってた?」
「うん、なんか縁談がきたんだって?」
「そうなの。あの子いやだっていうから兄さんと婚約って事にしたのよ」
「あ、そうなんだ? そうだよね、あんまり開さんと一緒にはいないよね」
「でもねぇそういう話にしたからちょっと兄さんとも話をしないといけないわ」
「あ、コーヒー飲む?」
「ん、いれてくれるの?」
「この間やり方聞いたから」
そういって台所に行って淹れてくれた。
「暑い~」
お母さんがお風呂から出て律が入る。
「コーヒー淹れてくれるかい?」
「あ、淹れ方知らないのよ…」
じゃあいいよ、とお茶を煎れて飲んでいる。
「ねぇ兄さんに土曜日きてもらおうかしら」
「どうしたの」
「山沢さんとの事…」
「そうだねぇ」
律が出てくるまでお母さんと話して、私もお風呂に。
体を洗ってお湯に浸かっていると久さんの事ばかり浮かんで…困ったわ。
お風呂から出るともう戸締りと火の元の確認はしたから、と各自部屋に別れて寝る用意。
お布団を敷いて髪を乾かしてから入ると少し寂しくて。
いつもなら久さんがキスしてくれたり撫でてくれるのに。
そっと自分の胸に手をやる。
いつもなら…いつもなら?
あっ…はしたない事、してるわね。
慌てて手を離して寝返りを打つ。
なのについ胸や陰りに手が伸びて…いけないわ。
でも触れたところで気持ちよいとも思えず不思議よね。
久さんがするから?
眠れないままうとうととして夜が明けた。
「ん、眠ーい…でももう時間ね」
朝御飯しなくっちゃ。
ぱたぱたと身繕いして台所に行き御飯を作る。
「おはよう」
「お早う」
食卓に出したら律たちを呼ぶ。
「早くしないと遅刻するわよー」
「はーい…」
律を送り出してお父さんは部屋に帰っていった。
さて、お稽古の支度しなくちゃ。
お母さんと手分けして炭を用意して水屋を整え生徒さんを待つ。
手が止まると久さんのことを考えてしまうからできるだけ忙しく動くことにして。
昼前、久さんから休むって電話があったみたい。困ったわ…。
お稽古が終り次第二階へ上がって久さんに電話すると仕事で遅くなるみたい。
夜に会えないか聞いてみたら都合をつけてきてくれるって。
だから直接あちらの家で、とお願いして。
お昼ご飯を食べて昼からのお稽古をつけて夕方に。
お母さんが作るお夕飯を皆で食べ終わった頃久さんからメール。
もうすぐ着くからって。
お母さんに後をお願いしてあちらの家に急いだらもう電気が付いていた。
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