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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

473

翌朝になるとすっかり台風は落ち着いたようで関東方面が荒れ始めた模様。
遅い目に発てば十分と判断し、夕方の新幹線を取った。
夕方までどうするかってそりゃ俺の部屋か観光かだよね。
そう先生に言うと赤面してる。
「観光が良い?」
「…どっちでも、いいわ」
「へぇ、じゃラブホでご休憩でも?」
「い、いいわよ。行きたいなら」
耳まで赤くなってて可愛らしくてつい、うなじに手を這わせてしまった。
「ペニバンでも?」
そのままうなづいて、ああ、もう超可愛い。
「だけどお預けだ。あなたとラブホなんてね」
「私とじゃいやなの?」
「じゃーなくて。他所の先生に見られたらどうするんだって言うね」
「ここ、地元じゃないわよ?」
「京都ですよ。あなたの顔を見知ってる先生がたまたま見てたりしたらどうします」
「そんなの、台風だから泊まるところがなくてとか言えば良いじゃないの」
「というか、したいんだ?」
「あっ…。ち、違うわよ、そんな」
「ふふ、じゃあなたの意見採用だ、良いホテル知ってるんでそこ行きましょうね」
チェックアウトの後直接そのラブホへ行くと先生が驚いてる。
「すごいわ…」
「でしょう? セックス目的じゃなくても快適っぽいでしょ?」
先生が部屋のあちこちを見ているその間に用意を整えた。
「さてと。着替えたらこっちおいで」
「えっ…あ、はい…」
こくり、と息を呑んで。
上気して恥ずかしそうで、そそる。
脱がせてバスローブを渡して着替えさせる。
「まずはそのまま舐めてもらいましょうかね」
膝を突かせて。この間教えたとおりに出来るかな?
ぎこちなくて初々しいけれど丁寧に、そして恥ずかしそうに。真剣で。
足で先生の膝を割って股間に足の甲を当ててみた。
既にぬめってきている。
んん、と呻きつつも舐める努力をしていていじらしい。
もはや用意は整った、入れてあげよう。
立たせてゆっくりと割り入れた。
手をちゃんと回してきてるのを確認して膝を抱え上げる。
より深く刺さったようでいい声を出した。
ゆすってやると反ろうとする。気持ち良いようだ。
そのままベッドの上に移動する。
座位。
落とす心配もなく楽しめる。
先生はそこまで意識が回らないようでよがり続けている。楽しい。
こっそりとお尻に指を入れるといやいやをするものの、抵抗できないようだ。
唇もむさぼり、乳首も弄ってやる。
一杯一杯なのが見て取れて本当に良い。
何度逝かせたやら、2時ごろになり開放してあげた。
息が出来なくなってたから。
そのまま抱き上げて風呂に連れて入り、丹念に汗とぬめりを流して拭き取る。
着替えさせてから自分も着替え、タクシーを呼んだ。
疲れ果てている先生を抱え上げて乗り込み、クロネコのセンター前で少し止めてもらう。
荷物を発送してボストンのみ残した。
それから八条口へ。
抱き上げて乗車手続きをしたが案外大変だった。
今度から出発ギリギリはやめておこう、うん。
喫茶店で座らせ、コーヒーを頼んでから駅弁を手に入れた。
戻ればコーヒーが来ていて先生が嫌がらせで砂糖を3杯入れている。
「う、何してんですか」
「甘いの嫌いだったわよね、沢山入れてあげたから」
にこーと笑んでいる。
ご立腹らしい。
そりゃ怒るよね、と思いつつも甘ったるいコーヒーを飲み干した。
駅弁を先生に持たせて抱えあげる。
そろそろ乗車時間が近い。
人目を引くが仕方あるまい、まだ立てやしないんだから。
電車が到来して乗車、席に座らせた。
やっとほっとした表情だ。
横に座って早めの夕飯、と弁当を広げる。
「あ、おなかすいてたみたい」
「お昼食べてなかったですもんね」
何か思い出したらしく、赤面している。
可愛いなあ。
いただきます、と食べる。
途中、先生がお茶買ってきてと言うので席を立った。
二つ買って戻り、蓋をあけて渡す。
「ありがと」
食べ終わって暫くすると先生がもぞもぞする。
電光掲示板を見やったり。
「どうしました」
「お手洗い、行きたいのだけど…」
「あぁ。この車両、トイレ広いから大丈夫ですよ」
「恥ずかしいわ…」
「今更。はい、手を俺の首に回して下さい」
「うん」
そのまま抱え上げ懐に貴重品を入れてトイレへ行く。
トイレの中で下ろして裾を捲り上げて座らせた。
「あの、外で待っててちょうだい」
「はいはい」
ドアにもたれてぼんやりと待つ。
暫くして声がかかり、中に入った。
先生は恥ずかしそうで、俺はちょっといじめたくなるが我慢我慢。
裾を下ろして整えてあげて抱えて出るとトイレ待ちの人がいた。
先生が更に恥ずかしがってて可愛い。
手を洗わせまた抱えて席に戻る。
軽く太腿をつねられた。
「可愛いな…」
ぺんっと額を叩かれた。
「イテッ」
思ったことをそのまま口にしてはいけないね。
暫くくだらないことを喋っていると駅に着いた。
ボストンを持って先生を担いで下りる。
タクシーに乗せてうちへ連れ帰った。
「はい、お疲れさん」
そういって全部脱がせる。
「えっ、ちょっと、なにするの」
肌襦袢まで全部脱がせて裸にした。
「あ、あの?」
「ほい、浴衣」
ひょいひょいと寝巻きを着せてベッドに転がした。
「夜まで寝てなさい」
「そ、そういうことね…」
一旦寝かせて明日の昼連れて帰るつもりだ。
そのように八重子先生にお話してある。
「寝られないなら抱いてあげようか?」
「ばか、もうっ」
あはは、と笑ってちょっと外へ。
夜食の分を買いに出た。
台風の残滓、天気はまだ荒れている。
先生も食べれそうなものと、明日の朝の分も買って帰った。
ドアを開けると寝息が聞こえる。
俺も寝ようかな。
そうと決めたら着替えて横にもぐりこんだ。
おやすみなさい。

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472

朝。目が覚めたが先生はまだ寝ている。
時間はまだ早い。
朝食の支度をしないで良いからもう少しこのまま先生の寝息を聞いていよう。
ゆったりと時間が流れる。
7時半を過ぎた頃、先生が目覚めた。
「おはよう…」
「おはよう」
「何時かしら。台風どうなったの?」
「7時40分かな、台風はちょっと待って」
テレビをつけて確認する。
「まだ遠いかな。どうします?」
「ここ、今日チェックアウトよね」
「いや予備日取ってましたから今日も泊まれますよ」
うーむ、と先生が悩んでる。
「俺はもう一日、あなたといたいけど」
「じゃ昨日ね、資料館行ったでしょ。もう一度行きたいのよね」
「だったら午前中ですね、やっぱり」
もそもそとベッドから出て身づくろい。
「ん? ねぇ。昨日化粧…」
「落としておきました、痒い?」
「ううん、ありがと」
キスしてくれた。
身支度を整えて食事へ。
朝食は軽めの懐石風味でまぁまぁいけるね。
それからお出かけの支度。一応雨支度を整えて。
先生の希望通り資料館へ行き、ゆっくりと見歩く。
流石に台風当日と有り人が少なく、先生は落ち着いて楽しんでおられる。
俺はその先生の様子を見るのが好きだ。
昨日よりしっかりと見て退館すると小雨。
「降って来たわねぇ」
「これから強くなるんでしょうね」
先生が少し考えてから表千家の会館を希望された。
流派は違えどあちらのお道具も見たいとのことで一応のため電話で問い合わせて伺った。
流石にすばらしいお道具ばかりで先生の溜息が聞こえる。
ひょうたん型の水差しとか使いにくそうだけど。
その後、お昼ご飯を近くで食べることにした。
先生が色々注文してくれてるが、あまり愛想を振りまかないようにお願いしたいところだ。
次は北村に行きたいと仰る。
どうやら下調べしていたらしい。
これも一応確認の電話をしてから伺った。
先生は熱心に見ておられるが人のいない日だけに結構目立つね。
流石に雨脚がきつくなってきてホテルへ戻った。
着替えて着物の始末をしてくつろぐ。
先生は満足そうだ。
俺も満足したくなって引き寄せた。
「ぁ…暖かいわ」
「寒かった?」
「ちょっと雨だったから冷えちゃってたみたいね」
「温めてあげよう」
「ん…、ぁ…」
胸をまさぐると軽く喘ぐ。
左手で裾を割って股間に手を差し入れる。
はっはっ、と先生の荒い息が心地よい。
「ぬ、脱ぐから待って、お願い」
「はいはい、お手伝いしましょう」
貝ノ口をほどいて対丈の木綿の着物を脱がせる。
すっかり着崩れてたけど。
肌襦袢も腰巻もすべて脱がせれば恥ずかしそうに胸とあそこに手をやって隠そうとする。
キスをして抱くとしっかりと懐に入ってくる。
ベッドに連れ込んで暫く楽しみ、ふと思い出した。
「あ、そうだ。ペニバン持ってきたんだよね」
「えぇ? ちょっとこんな所で?」
「うん」
先生の上から退いて装着する。
「ね、ちょっと。ねぇ、久さん…」
コンドームつけてローションを塗りつけた。
「ん? いいでしょ」
「いや、ちょっ、ダメよ。あっ」
抵抗してるけど入れちゃったもんね。
眉をひそめて抵抗むなしくも気持ちよくなっていく先生は可愛くてきれいでたまらない。
腰を使うたびに啼く。
二人で随分汗をかいて先生が疲れきって寝た。
窓の外は豪雨、まったく気づかなかったな。
後始末をしてから横にもぐりこんだ。
携帯にアラームをセット。
夕飯前には起きないと。
先生の匂いを嗅ぎつつ幸せな気持ちで寝ていたらあっという間にアラームに起こされた。
もっと寝てたいが仕方ない、先生を揺り起こす。
ぐずってはいるが何とか起こして着替えさせ、化粧を直されるのを待ち、食事へ。
眠たげだがおいしそうな食事に心が浮き立ち始めたようだ。
軽くワインもいただきつつのフレンチ。
コースが進むごとににこやかになる先生を見て自然に嬉しくなる。
しかしこの天候でよく食材そろえたなぁと感心しつつ、食事を楽しんだ。
デザートも美しく仕上がってて、手が込んでいる。
甘くて、俺はエスプレッソで口直し。
部屋に戻ると先生は帯が苦しい、と脱いで寝巻きに着替えた。
「おいしいから食べ過ぎちゃったわ」
「うん、うまかったですね」
それから俺の懐に擦り寄ってもたれてきた。
「えっちはダメよ?」
「はいはい」
テレビをつけて台風情報を見始めた。
「明日帰れるわよね?」
「ダメならうちに来て。たっぷり抱いてあげますよ」
ぱっと耳まで赤くしているのが可愛らしい。
手を差し入れて乳をなでるとベチン、と叩かれた。
「だめっていってるでしょ、後でなら良いわよ」
「しょうがないな」
膝の上に載せて抱きかかえた。
「これくらいはいいでしょう?」
「うん」
暫くすると寝息。
やっぱり寝ちゃったか。
しょうがない、化粧落として寝ることにしよう。
昨日と同じように拭き取ってベッドに寝かしつけ、俺も諦めて寝た。

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471

土曜は忙しく、流石に連休だ。
客先からまだ届かないなど電話が入り、手が空いた時には私も配達に出た。
それでも昼過ぎには仕事が終わり慌てて帰宅し整えて先生のお宅へ。
既に稽古が始まっていて、遅刻を詫び、混ざった。
やはり今日は数人お休みらしい。連休だもんね。
先生と協力して早めに終らせると水屋を片付ける時間が出来た。
俺が片付けてる間に先生が旅行の荷物を玄関へ出し、着替え始める。
俺も終わり次第着替え出立の用意が出来た。
八重子先生に挨拶して荷物を確認、すべて持って移動を開始した。
「せわしないけど仕方ありませんね」
「お稽古日だもの」
荷物を忘れないように、乗り継ぐ。
新幹線で駅弁を購入して広げた。
俺は牛すき重、先生は野菜たっぷり弁当。さすがだ。
食べ終わって物足りなく思っていたら車販が来た。
サンドイッチを貰ってコーヒーと温かいお茶を買い、先生にお茶を渡す。
くすくす笑いつつ先生もお弁当を食べきって満腹な様子。
俺もサンドイッチを平らげ、ごみを捨てに立った。
ついでに温かいお茶を自販機で買い、戻る。
っと先生が車掌と話している。
切符の改めか。
近寄って懐から出して見せ、確認は済んだ。
にこっと先生が車掌に微笑む。
俺は少しむっとする。
座ってそう言うと笑われた。
「ばかね、他の人から見たらただのおばさんよ」
「美人さんですから。ただのとは思ってないかと」
「あら、嬉しいこと言ってくれるじゃない」
うふっと笑う。可愛い。
ゆったりと喋りながら夜が更ける。
すっかり暗くなり先生が眠くなった頃、到着しタクシーで宿泊先に移動した。
「あなた、ちゃんと良い宿知ってるのね」
「今回はキャンセルが出たそうで幸いですよ」
荷物を片付け、明日の用意をしたら早速シャワーを浴び、着替えてベッドに潜り込む。
「ねぇ…しなくていいの?」
「今日したらあなた明日資料館とか無理でしょう?」
「そうね」
暫く撫でていたが突然先生が起きた。
「あ、忘れてたわ」
寝る前のトイレか。
戻ってきて俺の胸を枕に寝始めた。
よしよし、可愛いな。安心しきっている。
先生のぬくもりと寝息に引き込まれ、寝た。
翌朝、食事をして支度し、出る。まずは定番の資料館。
丁度名碗展を開催していた。
白鷺、広沢、三宝に小原木など名器と呼ばれる茶碗だ。
楽しんだ後西陣織会館へ。
少し買物と目の保養をして、楽美術館。
やっぱり楽は良いなぁ。
欲しくなる。
見終わった後どこかでお昼をいただこう、となり職員にお勧めを聞いてみる。
ここから二筋下がった町屋とのことで先生と歩く。
危なく普通過ぎて通り過ぎるとこだったが先生に引き止められてわかった。
入ると古書店でもあるらしい。
先生はカレー、俺はガッツリ系を予想したプレートを頼んだ。
しかしながら出てきたものを見て先生がそっちが良いというので交換。
肉だけ半分くれた。
ま、ね。プレートの中身は俺の苦手とするものが多かったから良いんだけど。
一旦宿に戻り小用を済ませて午後は岡崎エリア。
大西へ行き、泉屋と野村を回る。
もう3時半、そろそろとタクシーを上七軒に回してもらった
4時前に入場して席に着く。
ブザーが鳴り、静かになると真っ暗になった。
開幕。
晒し三番叟であけて子の日。
おさん茂兵衛。
駆け落ちもので有名だ。
先生が俺の手に触れてくるのは自分の現状と重ね合わせてるのだろうか。
休憩時間に先生がトイレに行き、俺は一服。
〆は枕獅子。
鏡獅子の元になったやつだね。
しかし当時の人も傾城物を大奥に持ってくるなんて大胆なことをしたのか。
すっかり鏡獅子が有名になって枕獅子は見なくなった。
番組が終って千秋楽、良い会だった。
先生と腕を組み歌舞練場の裏へ出て歩く。
少し寒そう。
俺の羽織を着せた。
「暖かいわ…何度目かしら」
「ふふ、今日は冷えますよね」
手を握って料理屋さんへ入る。
「どうも」
「あ、いらっしゃい、どうぞ」
仲居に従って部屋に通され、席に着く。
「お酒はどうされますか?」
とメニューを貰って冷酒を二つ頼み、待っていると酒が来た。
まずは乾杯。
暫くして芸妓が一人、来た。
「へ、おおきに、おまっとうはんどした」
「やぁお久しぶりですね」
「へぇへぇ、そうどすな、一年はお顔見せてもぅてまへんな、
 忘れはったんちゃいまっしゃろか、ゆうてたんどっせ」
「いやぁ仕事とか習い事とかでね、時間が作れなくて。こちらうちのお茶の先生」
「へ、よろしゅうおたの申します」
「あ、はい、こんばんは」
随分年寄りが来たとて驚かれてしまった。
「このお人は割りと古くからこっちで芸妓されててね」
「へぇそうどすな、さすがに戦前はよう知らしまへんけど」
「勝喜代はんやったらよう知ってはるんやない?」
「今年は会も出たはらへんのえ」
「あぁ、もう随分なお年やもんなぁ」
先生が目をぱちくりさせてる。
「うん、何で呼んだかといいますとですね、娼妓がいるところってイメージだったでしょ」
「え、あ、うん」
「ここ上七軒は芸妓本位の街で娼妓を置かない街だったんです。それをね」
「まだ赤線やらあった頃はよぅよぅ知っとりますよって」
「ここは置かなかったんですよね。基本」
「祇園町には150年前はいはったそうやけどね、太夫。歌舞練場は駆黴院の痕やそうどす」
「くばいいん?」
「性病の治療する病院どすな」
「こっちの街にはないんですがそれもその筈、戦前でたったの3人ですからね」
「今はどこの花街も体を売らはるようなことさせたらしまへん。自由恋愛ですわ」
「まぁ自前で着物やら支度やら、足りなくてパトロンを持つことはあるようですが」
「他所さんの事はそんなゆうたらあかしまへんけど、こっちは昔から芸妓本位どすよって」
「まぁ娼妓本位はわが地元、島原ですね。娼妓以外が殆どいなくてもう営業できなくて」
「えっ、島原ってあの?」
「はい、吉原か島原か、の。もうお茶屋組合すら解散しちゃいました」
「歌舞練場ものうなりましたなぁ」
「さびしいですよ、小さい頃そこでお餅つきしてたのに」
「本当にそこが地元なのねぇ」
「小さい頃はね、あたりから清元が聞こえたりね。友達が禿したり」
色々と喋って先生のこだわりをほぐして行く。
ご飯もいただいてすっかり気持ちのほぐれた先生を連れてホテルへ戻った。
俺に少し寄りかかって暫くいる。
「疲れた?」
「うん。…脱がしてくれる?」
帯締めに手を掛けて帯を解いて行く。
腰紐を外しつつ問う。
「風呂? それとももう寝る?」
「ん…寝るわ」
長襦袢まで紐を抜いて、浴衣を出して渡した。
「ほい、立って」
よっこらしょ、と俺に掴まって立った。
べろん、と全部抜いてさっと着せ掛ける。
一瞬の寒いぼ。
軽く首筋にキスし伊達締めを渡してボストンを漁る。
コールドクリーム。と湿った吸水スポンジタオル。
このコールドクリームは先生のと同じメーカーだから肌荒れの心配はない。
ベッドに寝かせ、股の間に先生の頭を落としこんで丁寧に先生の化粧を落とす。
途中で寝息が聞こえてくる。
拭き取り化粧水で二度ばかり拭き取れば先生の肌の感触が凄くよくなった。
髪をほどいてやり、枕を当てて布団の中に入れた。
俺も手を洗い先生の着物を片付けて寝る用意を整え、横にもぐりこんだ。
おやすみなさい。

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470

休み明けの仕事は暇で早く終ってしまう。
ゆっくりと支度をして先生のお宅へ向かい、稽古の助手。
俺への稽古もつけてもらった後、水屋を片付けていると先生が背中に触れた。
「ん? どうされました?」
「ね、旅行、連れてってくれる?」
「旅行?」
「ほら、連休に京都って行ってたじゃないの」
「あぁ旅行ね、旅行…台風来てるのに?」
「だって13日の夜からって言ってるわよ、京都」
「足が遅くなってるとは聞いてますけど。新幹線止まったらどうするんですか」
「止まったらあなたの家に泊めて頂戴」
「あー…はい。いつから行きますか」
「土曜、お稽古終ったらすぐでどうかしら」
「お夕飯は」
「新幹線の駅弁で良いでしょ」
「じゃ八重子先生に話を通して置いてください」
「ちょっと待っててね、今言ってくるわ」
宿と電車手配しないといけないな。
さっとタブレットで調べてみるとキャンセルがあるようで良い宿が手配できた。
電車の手配もする。
禁煙車のできればグリーン。
余裕で有った。やっぱりキャンセルが多いのかな?
手配を済ませた頃、先生が戻ってきて水屋の片付けを再開する。
「どうでしたか」
「構わないって。水屋も律に片付けてもらうわ」
「いいんですか?」
「そうしないと電車の時間遅くなるわよ」
「まぁそうですけど」
「荷物どうしたら良いかしら。あなた全部持ってくれる? それとも送っちゃう?」
「台風の影響あると困るからお持ちしましょう」
「じゃ明日のうちに荷物作っておくわね」
「はい、俺も用意してから来ますね」
片付け終えて食卓へ。
今日は何かなぁ。
へぇ、先生方はエビしんじょのお吸い物か。
また面倒なものを。
俺には豚バラの炒めたのに大根おろしと薬味、ポン酢を添えたのをメインに。
先生が律君に色々といない間の家の事について言ってる。
「おばあちゃんは家にいるんだよね?」
「いるわよ。でもほら。おばあちゃんだってお出かけするかもしれないでしょ」
「そうなったら食事は出前取ったら良いからね」
「お父さんの分はご飯炊いて頂戴ね」
「何しに行くんだっけ」
「展覧会と資料館と博物館の予定してるのよ」
「やっぱり京都だと沢山あるの?」
「常設展が随分有るからね、あっちは」
「大西は行きたいわ」
「はい、ぜひ」
食べ終わって片付けて帰る段になり、先生が見送ってくれた。
「じゃ、あさって楽しみにしてるわね」
「楽しみですね。じゃあ失礼します」
「またね」
機嫌よく帰宅して、明日の仕事に備えて寝た。
翌日は連休前なのにそこまで忙しくない。台風の影響だろうか。
仕事を終えて食事をして帰宅。
昼からは旅行の荷物を作ることにした。
着物バッグにあれこれ詰め込み、更にボストンを。
下着や小物類、縄とペニバンだけだが。
なんせ何か足りなきゃ家から取れば良いわけで。
勝手知ったる京都では特にさしたる荷物も要らない。
すっかり作り終えればそろそろ夕刻。
小鯛を造っておいたのでそれをアテに少し飲んでから寝た。

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469

翌朝、雨の中出勤する。
お客さんも来ない上にキャンセルの電話ばかりで仕事にならない。
仕事が終わって帰ろうとすると道が川になっているところがあるらしい。
心配になって先生に電話するが、あちらはそれほどでも無いようでひと安心だ。
帰って心配をされたが俺は長靴だし合羽着てるし。
問題なく帰宅した。
けど昼から暇でしょうがない。
昼寝をしている間に台風は終わったようだ。
夜。テレビをつけるとあちこちで土砂崩れがあったなどニュースが凄い。
古い友人にメールをし、無事を確かめた。
幸い誰も被害にはあわなかったようだが…今年は酷いな。
外はといえば水が引いてるのでコンビニへ行き、飯を買って帰ると先生からメール。
何食べたの?と。
うーん、これは教えたら叱られるな。
仕方ない。
冷蔵庫の保存食、漬物を加算してメールを返した。
今度は塩分が多すぎる、とお叱りの電話が。
苦笑。
明日、先生がまた野菜責めにするんだろうからいいじゃないか。
そう答えると少しむっとした気配。
明日、嫌いな物尽くしにするわよ? と言われて降参した。
素直にごめんなさいと言うと野菜は多いけど好きなものにしてくれるという。
優しいよなぁ。
暫く喋って、眠くなったというと柔らかな声でもう寝なさいと。
お休みの挨拶を交わして電話を切った。
翌朝、仕事は暇で時間が過ぎない。
ふと見れば甘えびが売れずに残っている。
少し考えて買い取った。
先生と食べよう。
仕事を終えて先生のお宅に向かう。
台所に置いてからお稽古の準備を整え、茶室で待つ。
生徒さんが来て先生も支度が済み、お稽古が始まった。
サラサラと中置きの稽古。
いつもは壁際の風炉を中央に置いて水指を壁際へ。
少し戸惑いつつも皆さん何とかお稽古。
炭手前も先生の指名した生徒さんが行なった。
稽古が終って水屋を片付け、食卓へ。
「あら、えび? おいしそうね」
俺へは野菜尽くしと豚のしょうが焼き。
ん、うまい。
「甘~い♪」
「おいしいねぇ」
甘エビに手を汚しつつ、先生方はうれしそうだ。
買って来た甲斐もあった。
こちらの地域ではトウガラシなどとも言う。
唐揚もうまいエビだが、刺身で食うのが一番だ。
「おかわり」
先生は手が汚れてるので俺が受け、よそって孝弘さんに渡した。
俺は野菜責めで満腹。
食事が終って片付けてしばしの団欒。
順送りに風呂に入って寝間に引き上げた。
しっとりとした先生を懐に抱いていたら寝息が聞こえてきた。
やりそびれた。残念。
諦めて寝て起きていつもの水曜日が始まる。
家事を手伝い、お買物にも付き合った。
夕飯をいただいてからの帰宅。
最近すっかり安定してきた気がする。
良いことだ。
ベッドにもぐりこみ早めの就寝。

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