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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

498

寝て起きて。仕事をして帰って寝る。
朝、天皇誕生日と言うことで旗を出してから寝なおした。
ふと目を覚ますと横に先生がいる、という夢を見た。
起きて空しく思う。
メールは相変わらず続けており、先生が大体の一日の様子を送ってくれる。
たまには写真がついてくる。
仕事が終わって寝るだけの日々が続き、後もう数日となった。
くたびれて帰ると家が綺麗になっていてご飯が作って置いてある。
まだほのかに温かく、さっきまでいてくれたのかと心が温まる思いだ。
外は寒く、体は冷え切っているのに。
おいしい飯も嬉しくて全部食べた。
洗い物をしなくて良いようにと器は捨てて良いもので、本当に気のつく人だ。
風呂に入ったあとベッドでお礼のメールを打っていると気がついた。
香袋が新しくなっている。
シーツも変えてくれていた。
きもちいいなー。
メールを送ってそのまま沈没。
良く寝れて危なく遅刻するところだった。
慌てて出勤し、仕事をする。
午前中はやはりなんとなく暇で合間に先生とメールをする。
昨日俺が寝た後お歳暮が届いたようだ。
今年は去年にプラスして酒も一緒に。
司ちゃん来ると飲むから多め。ついでにコーヒーのカプセルも届いたようだ。
先生は切らしたからって早々買いにいける距離ではなかったから。
特定のカプセルが切れたままになってたんだよね。
先生の好みの味は多めに仕入れた。
午前の仕事が終わり、一度片付けて昼飯を食い午後の仕事をこなす。
昨日より調子は良いのは晩飯を食ったからかもしれない。
これをキープして大晦日を迎えたいので帰宅してすぐに寝た。
翌朝も多少は調子が良い。
本当に近所なら毎日ご馳走になっていたいくらいに食事って大事なんだなと思う。
今日はラストスパート前の混雑。
これが終れば。
仕事中に花の手配もしたし餅の手配もした。
後は、後は?
あ、半襟…先生に頼むほうが早いか?
昼飯を流し込んで仕事に掛かる。
帰宅すると何も考えられず着替えて寝た。
朝になって思い出す。
そうだ、焼鯛だ。焼かなきゃ。
味噌漬けとか餅とか白味噌とかニシンとか手配しなければ。
慌てて仕事中暇を縫って手配をかけた。

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497

一夜明けて今日からは昼から焼鯛や御節の仕込みに加わる。
だが年々正月が近い感覚が薄れているなぁ。
以前なら12月に入った途端あれやこれやと仕込むことが多かったのだが。
最近はまだ何を仕込むとかの情報も得意先から来ない。
ま、それでも鯛を箱詰めして冷凍かける作業があるから早くは帰れない。
夕方に帰宅する日々が続き最後の日曜が来た。
先生とのメールのやり取りは続いていて先生もそれなりに忙しそうだ。
今日は茶会に行ったようで何枚か写真が来ている。
疲れて寝ていると鍵の開く音?
「ただいまぁ。疲れたー。あら寝てた? ごめんね」
「あー。らっしゃい」
「もうちょっと寝てたらいいわ」
「うん…」
ぱたぱたと和室で着替えてる気配があり暫くしたら水を使う音がする。
すっかり眠くて寝てしまったようで揺り起こされた。
「ご飯できたわよ」
「んぁ? めし?」
「そうよご飯出来たの。食べないとダメよ」
半分寝ているところを居間まで引きずり出される。
ちゃんとした和食の夕飯。
「うまそう」
「でしょ、温かいうちに食べてね」
寝ぼけつつも食べる。うまい。
うまくて掻っ込んでると先生が変な笑い方をしている。
「どうしました?」
「こぼしてるわよ。そんなに焦って食べなくてもまだあるから…落ち着いて食べなさい」
「あぁ。うまいもんだから、つい」
「ちゃんと食べてるの? 普段」
「夕飯…最近食ってないかな、眠くて」
「だめじゃないの」
「年末大体何キロか落ちますねぇ」
「毎日作りに来たくなるわ」
「それはダメだ」
慌てて却下する。
近所ならまだしも遠いのにそんなことしてたら先生が倒れる。
「あと十日程度だから何とかなるから」
「心配だわ」
「去年と一緒、問題ない」
ごちそうさまをして洗い物に立とうとすると先生に止められた。
だけど座っていると眠くなる。
泊まって良いかと言われ、却下した。
「どうしてダメなの?」
「明日最後でしょうが。最後にサボりは認めませんからね」
「そういうとこ、堅いんだから…」
「いじけてもダメなもんはダメ。送れないから早くお帰んなさい」
「追い出すの?」
「ええ」
むうっとしつつも諦めたようだ。
仕方なさそうに着替え、俺にキスをして抱きついて。暫くして離れる。
「帰るわ」
「はい、気をつけて。酔客に捕まらないように」
「あんたも。体に気をつけなきゃダメよ」
「家が近けりゃ…帰さないで済むのに」
「今更そんなこと言わないでよ…。帰りたくないのわかってる癖に」
暫く玄関先で絡まって先生が諦めをつけて出て行った。
帰したくなかった。
明日、先生がお稽古じゃなければ絶対帰してなんかいなかった。
だけど流石に年内の最終をサボらせるのはね。
いけないだろう。
暫く玄関で見送って見えなくなってから閉めた。
体が冷えてしまった。布団に潜り込む。
枕元に先生が香袋を置いて行ってくれていた。
先生のいつも使っている香だ。
体臭はもっと甘くて濃く感じるが、会えないだけに有難い気がする。
とりあえず後一週間と半分。頑張ろう。

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496

夕方を過ぎた頃目が覚めて夕飯を食べに出てその足で先生は電車へ。
うちに寄ってからと思うと帰りたくなくなるなどと嬉しいことを言って。
明日また、と別れた。
帰宅して寝て夜が明ければ仕事をこなし、お稽古に行き先生を軽めに抱いて寝る。
これが出来るのも後一週間。
先生は既に正月準備に掛かっていて俺も少し手伝った。
再来週適当な日にうちの掃除をしてくれるらしい。
本当に助かる。ありがたい。
日々、稽古に来る時間が遅くなって申し訳ないなぁと思いつつもそろそろ月後半に入った。
この火曜のお稽古で俺は一足先にお終いになる。
先生方の終いは翌週月曜日らしい。
火曜日にいらっしゃる生徒さんとも今年はこれでお別れだ。
先生にきっちりと皆さんご挨拶をされて帰られた。
俺も稽古をつけていただいた後、今年の稽古のお礼と来年の稽古をよろしくお願いした。
このときばかりは八重子先生も食事の準備の手を休めて。
馴れ合いにしてしまわれないのが先生方の良いところだと思う。
おいしい夕飯にありついて、先生を抱いて寝るのも今日から年内はない。
つまらんなぁ。
ぼやくとそのかわり三ケ日の後は泊まってあげるとおっしゃる。
それを楽しみにして頑張るしかない。
先生も名残を惜しむかのように寝るのを嫌がり、俺の肌を触りまくっている。
浮気の心配はないと見えて噛まれはしなかったけれど。
たかが半月、と笑われる向きもあろうが、二日に一度以上会ってるからこそ寂しい。
「ねぇ、明後日寒波って聞いてるわ。気をつけてね」
「先生も。積もってたら気をつけてくださいよ」
「積もるかしら」
「多分。お稽古するんですか、そんな日でも」
「そうね、誰も来なかったらお母さんとするわ」
「俺も混ざりたいなぁ」
「無理なこと言わないの」
「だって一緒にいたいんだよ、あなたが好きだから」
うん、と小さく答えがあるが最早眠いらしく会話は無理そうだ。
キスをして撫でてあげてるとすぐに寝息になる。
やっぱり可愛いよなぁ。
俺も眠気に負けた。
翌朝絡みつく足から抜け出すのに苦労しつつも台所へ行き朝食を作り皆で食べる。
ゆっくり出来るのも今日限り。
帰る頃には先生が袖を離してくれなくて困った。
「俺寝てても良いんなら添い寝しに来ますか?」
少しからかい半分に言ったのに食いつかれた。
「だけどあなたも大掃除しないといけないでしょう。疲れるからやめなさい」
「でも…」
「大晦日、来ますから」
ぐずるのをなんとか説得して別れて帰宅した。
寂しいのは俺も一緒だがこればかりは仕方ない。
明日からは気を入れて仕事をするしかないんだから。

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495

先生はさっさと和室に行ったのでその間に風呂を洗う。
昨日入ったままだったから。
出てくると浴衣に着替え、俺のフリースを背に羽織ってテレビを見ている。
「その格好寒いでしょう」
「うん、ちょっと寒かったから借りたわよ」
「ストーブの前に座れば良いのに」
ベッドに布団乾燥機をセットする。そのまま入る気にはなれない。
「先に風呂にしますか?」
「うーん…」
「どうせ汚れるから後にしますか」
あ、赤くなった。
後ろから抱いて胸に手を差し入れて揉む。
「ねぇ…最近ね。左だけ大きくなった気がするの」
「あーどうしてもこっち揉んじゃうからなぁ。じゃこうしますかね」
胸をはだけさせて手を入れ替えた。
「冷えてますねぇ。温めないとね」
触れている部分から徐々に熱を持っていく。
足を崩させて冷えた足に手を這わせると気持ち良さそうだ。
性的になのかどうかは知らないが。
ゆっくりと上に手を這わせていくと掴まれた。
でも力は入ってなくて。
あそこに軽く触れるとビクッと震えた。
指を割りいれて少し濡れているのを塗り広げ突起を刺激する。
掴む力が強くなる。
喘ぎ声が上がってきた。
きゅっと身を縮めて耐えるかのように。
「ひっ」
軽く爪を立てると悲鳴が上がる。
「ここ、大きくなってきてるよね、初めての時に比べて」
「う、あなたがしたんじゃない…」
「乳首も。段々エッチな体に変わってきたね」
「ばか…恥ずかしいわ」
「欲を言えばもっと求めて欲しいかな。無理だろうけど」
喘いでて俺の言葉なんて聞こえてないようだ。
指を中に入れて玩ぶ。
腕に爪を立てられてちょっと痛いけど楽しくて。
一度逝かせてからベッドに転がした。
体中たっぷり舐めて気持ち良くもさせてむさぼりつくした。
「も~だめぇ…」
ついにばてたようなのでやめてあげた。
「気持ち良いけど…疲れたわ…」
「そりゃあねぇ。もっとしてもいいんですよ」
「ダメ、ストップ!」
慌てて止めてくる。可愛いなー。
「はいはい、寝ちゃいますか」
「もうちょっとこうしてて欲しいの…」
寝るまで、ね。了解。
俺の足に股間を擦り付けてるようだけど足りなかっただろうか。
指摘するとそうじゃないけどなんとなく、だそうだ。
そうこうしてるうちに眠気が来て、先生のあくびが聞こえる。。
「寝ましょうか」
「うん、おやすみなさい」
「おやすみ」
電気を消して寝た。
当然夜中に俺は仕事に行かねばならず、先生を放っておくことになるわけだが。
布団から出て毛布を間に詰める。
多少寒くはなかろう。
支度をして先生の顔を一度覗き込んでから出勤した。
俺がいない間に動けるようなら一人で帰ってお稽古に行くようにと書置きをして。
仕事は暇で今日は早く帰れそうだ。
先生がまだ家にいるようなら昼を食ってもう一戦しても良い。
帰っててくれたら一番良いんだけど。
家に着くと電気がついてる。
いるなぁこれは。
「ただいま」
「お帰りなさい、お昼どうする?」
風呂に入った後のようで髪が濡れている。
「どこか行きますか。風呂入ってる間に乾かしといてくださいね」
「うん」
ちゃんと湯が張ってある。
さっと洗って湯に浸かると大変に温まった。
風呂から出て流石にバスローブを羽織って出ると甲斐甲斐しくも髪を拭いてくれる。
「俺に構ってないで着物着たらどうですか? 食べちゃいますよ」
慌てて手を離して和室へ行った。
今からされるのはいやなようである。
ざっとドライヤーをしてなんとなく乾いたので着替えよう。
先生はお化粧もしている。
「どこ行きます? ん…ホテル?」
それなりの格好してるからなぁ、先生。
「えぇと、天麩羅。ダメかしら」
「はいはいちょっと待ってて」
電話して席があるか聞く。平日だしね、有るよね。
よしよし、ある。30分後。
先生にそう伝えて俺も着替え、トイレを済ませて連れ立った。
「寒いわねえ」
「ま、こんなもんでしょう」
久々の天麩羅はうまくて先生も嬉しそうだ。
クリスマスは行けないから先に楽しませねば。
満腹になって帰宅して、着替えてテレビを見て。
「お稽古どうなってるかしらねえ」
「気になるなら帰りますか?」
「今から帰ってももう遅いわよ。もうちょっとこうさせてて」
俺の胸にもたれてあくび一つ。
「ん、寝れなかった?」
「寝たけど眠くなってきちゃったわ」
「じゃ、寝ますか。添い寝しましょう」
「ダメよ、こんな時間に寝たら夜寝れなくなるじゃない」
「ふむ、んじゃぁ抱かれてください」
「えぇ? お昼間っから何言うのよ。あ、こら、ちょっと」
帯を解いて脱がせてしまった。
縄を取りに行くのはもはや面倒で手拭で手首を巻き上から腰紐で腕を固定した。
胸にも腰紐を通していく。
「さすが正絹は締まりますねえ」
「あの…恥ずかしいわ」
「足も縛っちゃいましょうか」
「だ、だめ…そんなのだめよぅ」
でも腰紐がないんだなこれが。
伊達締めじゃあなぁ。
あ、俺が脱げば良いのか。
帯を解いて襦袢の腰紐を抜き、先生に胡坐をかかせ足首を縛った。
じっくり見ると目が潤んできた。
触れもしてないのに股間も潤んできたようだ。
足袋を脱がさなかったから妙に色っぽい。
あちこち触れて焦らし、お願いさせて。
道具使っても良いとまで言わせた。
足だけ腰紐をほどいてペニバンを持ってきた。
いやいやをしているけどあそこのほうは準備万端。
ゆっくりと焦れるほどの速さで出し入れして、それでも先生は感じているようだ。
先生の足が俺の腰に絡みつく。
嫌がる割に感度が良くて随分俺になれたようだ。
何度か逝かせてから腕の紐をほどき、胸紐もほどいた。
うっすら痕はついているが縄目ではない。
「酷いわ…」
「愛してる。酷くてごめんね、それでもあなたが欲しくてたまらない」
「一緒になんか、住めないわね…」
「あー…、性欲面で?」
「だって毎日したいんでしょう…無理だもの」
「わかってますよ、ええ。無理ですよね」
「でも浮気されるのもいやよ?」
「したら暫くあなたとキスも出来ないのに何でするんですか」
「そう?」
「むしろ…今月後半、俺のいない間あなたがちょっかい出されないか心配で」
ぷっと吹き出されてしまった。
「ばっかねぇ。もう。疲れちゃったわ、ちょっと寝ましょ」
「はーい」
抱き上げて布団に寝かせた。
「着物片付けてくる」
「ん、先寝るわよ」
手を洗ってさっさと衣桁にかけて横に潜り込む。
昼寝昼寝。
おやすみなさい。

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494

朝、出勤するのが嫌になる寒さで中に一枚増量して出社。
仕事を終える頃にはすっかり芯まで冷えて先生のお宅へつくと風呂に入れられた。
ざっと温まってすぐに支度をして稽古に間に合わせる。
くすっと先生が笑って俺の髪を撫でてきた。
「ちゃんと乾かさなきゃダメよ」
「あ、はい。部屋、乾燥してるから乾くかなと思いまして」
くしゃっと混ぜっ返されて。
生徒さんがいらしてお稽古が始まる。
夕方までお稽古をして飯を食って帰宅する。
流石に今日はタイマーを掛けておいたからそれなりに部屋が暖まっている。
体と布団を温めてから就寝した。
翌日寒くて忙しくて仕事が終わってすぐ風呂に入って寝てしまった。
その間に先生から電話が数回あったようだ。
夕方、腹が減って目が覚めて気づいてすぐ詫びた。
怒られるかと思ったが逆に心配されてしまい、申し訳なく思う。
まださすがに年末に掛かってきているとは言え心配をかけるほどではない。
用件を聞くとカニがほしいということだった。2匹。おいしいの。
簡単な御用ではあるものの急な寒気で荷物が薄い。
電話を切ってすぐ確保に動いた。
客からの注文分に上乗せして何とかいけそうだ。
ほっとしたら腹が減ったのを思い出して近くの飯屋に行った。
他人丼がうまい。
明日も忙しいのかそれとも物がなさ過ぎて暇なのだろうか。
ふと、そういえばクリスマスに何かプレゼントを買わねばと思い出した。
その足でデパートに行くが…ピンと来ず帰宅した。
何が良いんだろうか。
帯留。いやお稽古ではつけない。
帯締めと帯揚げか。
それともバッグか帯か。
明後日連れ出して自分で選んでもらおうかなぁ。
少し思い悩みつつ就寝し、翌朝仕事をこなしてお稽古へ行く。
家で風呂を浴びてからなので車て来たとは言え少し冷えてしまった。
風呂は沸いてないので火の傍に寄せてもらいそれから支度をする。
まだ12月も一週目と言うこともあり時間には余裕がある。
再来週はきっとそんな余裕はなく、来たらすぐ稽古に入らねばならないだろう。
炉になってからと言うもの、皆さんぎこちない。
風炉の癖でつい正面に座ろうとしたり。
炉になってすぐ逆勝手を指定された生徒さんは大変だった。
うん、俺も大変だったけど。
「週3回じゃ足りないのかしらねぇ」
「いや、その、むしろ雑念が多すぎるというか…」
「山沢さんは仕事してるからね、お稽古のことばかり考えていられないよ」
「そうかしら」
先生方がカニと格闘しているのを見つつ肉を食う。
っと孝弘さんが殻まで食いそうだ。
慌てて先生が奪って剥いてあげてる。
ほのぼのとした光景だ。
「あ。そうだ。先生明日はお暇ですか。暇なら呉服屋行きたいんですが」
「ん? 明日? ちょっと待ってね」
手を拭いてカレンダーと手帳を見ている。
「何もないわよ~」
「じゃすいませんが一緒に来てください」
「はいはい、おかわりは?」
「いや、もう二杯目ですから」
食事を終え後片付けをしてコーヒーを持って先生の横へ戻った。
「ねぇ、何か欲しいものあるの?」
「んっ? 何かとは?」
「明日呉服屋さん行くんでしょ」
「あぁ。コートとか防寒具、買い換えたいのでその見立てをですね。お願いします」
「今着てるの、嫌いなの?」
「嫌いじゃないんですが不具合がありまして」
「そんな風に見えないわよ」
「えーと。寒いから行くのいやでした?」
「えっ あ、違うわよ、ごめんね」
「いや、行きたくないなら良いんです」
「拗ねないで頂戴よ…」
八重子先生が苦笑してる。
「あんた行くならついでに足袋買ってきとくれ、ほら、フリースの」
「あれ暖かそうよね、2足?」
「フリース足袋って滑りませんか?」
「そのままだと滑るかも…滑り止めついてるのかしら」
「何言ってんの、中がフリースで外がストレッチ足袋ってのがあるんだよ」
「え、なんですかそれ。欲しいです」
「そんなのあるのねぇ」
「別珍より温かいらしいからね」
明日売ってたら絶対買おう。
先生が買物メモを書いている。
腰紐とか肌着とか。古くなったのを買い換えたいようだ。
「折角行ったのに忘れたらいやでしょ?」
それから暫くして先生方が風呂に入って出てくる。
「ふー…。あんたも温まってきたら?」
「あ、そうさせてもらいます」
「お風呂は明日洗うからそのままで良いわよー」
タオルを持って風呂に入り温まる。
ま、ついでだからと掃除もして風呂から上がった。
居間に戻ると八重子先生は先に寝たそうで先生は半襟をつけている。
「お裁縫をしている姿とか好きだな」
「なぁに? こんなのがいいの?」
「これを仕事にしてて年がら年中なら飽きるかもしれないけど」
「それはそうねえ、四六時中縫い物してるの見てもねぇ」
ほほほ、と笑いつつさっさとつけ終わり、待針や針を数えて。
「あ…あなたのも持っていらっしゃい、つけてあげるわよ」
「良いんですか、助かります」
「そのかわり後で肩揉みお願いね」
「承りました」
部屋から取ってきてつけてもらう。
手早い。
「はい、出来たわよー」
「やぁほんと手ぇ早いですよね」
「慣れたらそうなるわよ」
「んじゃ揉みましょう」
「あ、部屋でお願い。腰も揉んで欲しいのよ」
「はいはい、片付けて部屋行きましょう」
戸締り火の用心、確かめて寝間に入る。
布団を敷くと先生が身づくろいを済ませてうつ伏せに寝た。
「お願~い」
「うん」
まずは全体を撫でて凝ってる所のピックアップ。
それから少しずつ揉んで緩めていく。
「んー…気持ち良いわぁ」
声が出てしまうようだ。
「あぁ…そこ、もうちょっと…」
パタパタと足音が聞こえる。
手で先生の口を覆った。
「むぐ…?」
「…多分律君。待ってて」
身を起こして障子を開けた
「どうしたのかな? 寒いから早く寝なさい」
「あの、これ。忘れてて」
ん? なんとなく納入書と見える。
中に入れて電気をつけた。
「どうしたのよ」
「講習会の納入書のようですが…今日が期限…」
「ええっ、どうしよう」
「コンビニ納付だから、えーと。まだ時間大丈夫だね。行ってきなさい」
「いくらなの?」
金額を見て慌てて財布を見ている。
「えっとおばあちゃん起こしてきて。お金持ってないか聞いて頂戴」
「あ、まった。起こさなくても俺持ってますから」
財布から出して渡す。
「すいません…」
「先に私たち寝てるから、領収書は明日渡すと良いよ。気をつけて行ってらっしゃい」
「はい」
「気をつけなさいよ」
「うん、ごめん」
障子を閉めてもう一度うつ伏せになるよう言った。
「明日返すわね、ありがとう」
「抱いてる時じゃなくてよかった…」
「…ほんとよね」
「いや、うん。プレイとしてはありなんですけどね」
「やめて頂戴よ」
「わかってますって」
家庭争議は求めてない。面倒くさい。
もう少しほぐして体を緩めて。
「もう良いわ、ありがと。気持ちよかったわ」
俺も横にもぐりこんで布団を被る。
ぴったりと背をくっつけてきた。
ぬくい。良い匂い。
そっと胸に手を差し込みやわらかさを楽しむ。
そのまま眠ってしまったようだ。
朝になって目が覚めた先生にすると思ってたのに、と言われた。
したかったんだけどね。
お昼を食べた後連れ出した。
大手の呉服屋さんへ行き、先ずは足袋と先生の小物を揃え俺のコートを見繕ってもらう。
少し派手かな、とも思ったが先生が似合うといってくれたものにした。
それから帯留めを見せてもらう。
「どれが好き?」
「そうねえ、あらこれいいわね。でも高いわ」
ためつすがめつして見ている。
「それがいい? すいません、包んでもらえますか」
「えっ、いいの?」
「早いけどクリスマスプレゼントですよ」
「あら…ありがとう。嬉しいわ」
お、店の人が会話に反応してクリスマス柄の包装紙にしてくれた。
気が効いてるなぁ。
それからデパートへ行きたいというので連れて行き、色々見て回る。
台所用品など買い換えたかったようだ。
後は孝弘さんの服など買って。
飯を食いに行ってからヒルズのイルミネーションを。
歩くほうが良いかと聞けば車の中からが良いと仰るので通り抜け。
「きれーい…」
「ですねえ」
「あ、今ハートマークあったわよ」
「やっぱりカップルで来る人多いんでしょうね」
先生の不満は助手席に座れないことらしい。
車だとやはり一瞬でもう一見行くことにした。
表参道へ。
「どっちも負けず劣らず良いわぁ」
先生が少女のような顔をしている。可愛いなぁ。
「ねぇ。今日泊まって良いかしら」
「明日お稽古でしょう」
「だってしてほしいもの…」
急ブレーキ掛けそうになった。
「火曜日にしませんか」
「この間も、だったじゃない」
そういえば軽くしかしてなかったっけ。
「良いんですか。うちだと腰抜けるほどしますよ?」
「……そこまではして欲しくないわね」
「火曜にあちらの部屋に行きましょう。それでよくないですか」
「いやなの?」
「お稽古サボらせるのがとってもいやです」
先生が鞄から携帯を出して家に掛けてお稽古を押し付けてる。
電話を切って、お母さんの許可は取ったわよ。と強く言う。
そこまでされちゃ仕方ない。
連れて帰った。

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