忍者ブログ
百鬼夜行抄 二次創作

let

伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

508

うちへ帰ると良い感じで眠くて布団に潜り込む。
アラームに起こされる朝。
もう少し寝ていたいが仕方ない。
着替えて出勤するもやはり今日からは暇で早めに帰宅できた。
飯を食ってゆっくり風呂に入りそれから先生のお宅へ。
「こんにちは」
「あ、いらっしゃい。早く用意して」
「はい」
昨日の初釜に来られなかった方の為に茶事形式で、ということだった。そうだった。
すっかり忘れてゆっくり来てしまった。
去年やったように支度をして、生徒さんを待つ。
つんつん、と背をつつかれて振り返ると先生が俺の口になんか入れた。
あ、お干菓子。
うまい。
頭をなでて茶室に戻って行かれた。暫くして生徒さんがいらっしゃってお稽古開始。
お菓子を出したり濃茶を点て出したりと先生の指示に従う。
炭の手前を拝見するのも楽しい。
今日はこれで、と声がかかったのは4時ごろ。
皆さんが帰られてから俺へのお稽古。
忘れているところが沢山あり、手厳しく直された。
「あさっても今日と同じだから忘れないで頂戴、水屋。もう指示しなくても動けるでしょ」
「う、はい…」
「わからなきゃ教えてはあげるけど」
「お願いします」
「さ、仕舞って頂戴。ご飯の支度手伝ってくるわ」
「はい。お稽古ありがとうございました」
先生と挨拶を交わして仕舞いに掛かる。
「あ、そうだ、久さん。今度の日曜なんだけど」
「はい?」
「お芝居行く約束しちゃったのよ~ごめんなさい」
「あ、お友達ですか?」
「そうなの。だからその、土曜日も…ごめんね」
「あぁ。いいですよ、かまいません。今日少し長めに良いですか?」
「それでいいなら」
ほっとした表情でそそくさと台所へ行った。
ま、たまにはね。お友達とも遊びに行きたいだろうし。
しょうがない。
片付け終えて台所に顔を出せば孝弘さんを呼んできてと仰る。
はいはい、と離れに行くとメシか? と先に聞かれた。
「もうそろそろご飯が炊けるそうですよ」
「ん」
のそのそと後をついてくる。
今日のメシはなんだろう、楽しみだ。
「律ー、ご飯よー」
「はーい」
先生の声が聞こえる。
家でご飯を取りたがる男子大学生はやっぱり珍しい。
食卓の上はいつものように和食だ。
一汁三菜以上かならず作るのは仕事を持つ女性としてはすばらしい。
美味い。
飯を食ったら後は半衿をつけたり足袋をつくろったり。
夜が更けて風呂に入り共に布団に潜り込む。
気恥ずかしそうなのはいつまでたっても変わらない。
ゆっくりと楽しみ気持ちよくさせて。あくびが聞こえる時間になった。
胸に手を這わせつつ寝かしつける。
「あなた、本当におっぱい好きよね…」
「やわらかくて好きなんだけど……腹のほうが良い?」
「お腹はやめて」
「じゃあここは?」
恥丘のふくらみや尻を触る。
「こら、もう。寝なさいよ」
「もうちょっと駄目? したくなった」
「ばか、もう、ん、こら」
「可愛いな。ね、好きだよ」
「やだ、恥ずかしい」
もう一度だけ、と抱いて。
し終わって眠たげなのをなでているうちに寝息。
今度は胸を触っていても眠気が勝ってしまったようだ。
気持ち良さそうな寝息に愛しくなる。
俺だけのものにしたくなっていつも困るんだよな。
キスマーク一つ、つけられないんだから。
溜息を落として寝ることにした。おやすみなさい。

拍手[0回]

PR

507

朝起きて普段のように支度をして先生を起こす。
今日はお寝坊はしてもらっちゃ困るんだよ。
ぼんやりしている先生を着替えさせて食事を取らせ、髪結いさんに送り込んだ。
八重子先生と着物の用意を点検してバッグの中身の点検。
暫くして先生が帰ってきた。
「さてと。着替えてくださいねー。あ、綺麗」
「ありがと。お母さん、着物どうかしら」
「出してあるわよ」
「じゃ久さん手伝って頂戴」
「はい」
一旦脱いで長襦袢から着直す手伝いをする。
次は八重子先生をお手伝い。
流石に二人掛り、綺麗に納まった。
トイレに行ってから三人で連れ立つ。
先生方を道場で下ろして俺は帰宅の予定だ。
「シートベルトちゃんとしてくださいね」
「はいはい」
二人ともちゃんとつけたのを確認してから安全運転で送り届ける。
夕飯はどこかで食べてから帰ると言うのでそのつもりで。
帰宅後、暇なので縄を3本煮る事にした。
たっぷりの湯を二つ沸かし、煮て行く。
薄い飴色になっては捨て、沸いたほうに縄を移し、新たに湯を沸かす。
繰り返して色が出なくなったら今度は干す作業。
ベランダに日よけを出し端から端へ渡しかけて干す。
これでよし。
鍋の始末をして、寝た。
夕方、携帯の音に目が覚めた。
先生からだ。
夕飯のお誘い。
了解して先生方に格を合わせたものに着替え、指定された場所へお迎えに上がる。
喫茶店の中を見回す。いた。
「お待たせしました」
「早かったねえ」
「お疲れ様です。どうでした?」
「緊張したわ~」
車に回収して先生の食べたいものを伺った。
天麩羅、ということでホテルへ予約を入れる。
信号待ち、バックミラーを見る。先生、綺麗だなぁ。
「ねぇ明日あなた来るの?」
「伺います。お昼からになりますけど」
「そう、ならいいわ」
席に着いて少しお酒も頼んで。
俺は飲めないけれど楽しく食事を頂いた。
先生のお宅まで送り、すぐに引き返す。
泊まって行きたいのは山々だが明日も仕事だからね。
来週一杯ずっと初釜みたいなもんだから、先生は暫く俺の相手も出来かねるし。
あれ? ん、もしかして。
再来週って先生は生理か?
…適当な日に軽くでもさせてもらわなきゃ持たないかも。
俺は別に最中でも良いけどさ。
嫌がるからなぁ。
帰宅して縄の具合を見る。順調。
疲れた、眠い。今日は寝よう。明日も忙しい。
おやすみなさい。
そして朝になり仕事へ。
それなりの忙しさで帰宅してすぐに着替えて電車に乗った。
先生のお宅に着くと古株のお弟子さんが水屋をしておられる。
昨年のように指示通り水屋を回して。
なんとか間違いもなく終りそうだ。
生徒さん方が帰って行かれると先生が水屋の皆を呼んだ。
先生のお手前でお菓子と濃茶を頂き、散会。
美味しかった。
水屋の皆さんも帰られて後は先生とお片付け、の前に。
先生に頼まれてお薄を点てた。
八重子先生にも一服。
「美味し…。そろそろ片付けましょ」
とっとと片付けてしまわねば、晩飯の支度もある。
手早く始末をして居間で一服していると先生のあくび。
「飯、作りましょうか?」
「んー、お願いー」
そのまま座布団を枕にして寝転んでいる。
まぁ、良いか。
「私は部屋で寝てくるよ。あと頼んだよ」
「はーい」
その前にと先生の帯を解き毛布をかけてあげた。
帯枕が当たって結構寝にくいんだよね。
台所に言って冷蔵庫の中を確認する。うーん。買物ちょっと行ってくるか。
一応先生の耳にその旨囁き戸締りをして移動。
肉や野菜などを買って帰った。
あれ? 開いてる。
あ、この靴。律君が帰ったのか。
居間を覗くと先生はまだ良く寝ている。
よし、作るか。
手早く食事を作ってご飯が炊けたら孝弘さんと律君を呼ぶ。
先生は後回しでいい。
腹が減れば起きる。
「お母さん起こさなくて良いの?」
「ちゃんとおかずもご飯も除けてあるから大丈夫だよ」
だったらいいか、と食べ始めた。
二人がご馳走様をしたので洗い物をしていると上っ張りを引っ掛けて先生が起きてきた。
「おなかすいたわ…」
「はいはい、待ってて」
味噌汁とおかずを温めなおし、ご飯をよそって俺の分と出した。
ちょっとぼんやりしたまま先生は食事を取っている。
疲れたんだろう。
転寝の間に頬に皺がついている。
時間をかけて食べ終わり、まだ眠そうなので着替えさせて布団に入れた。
八重子先生の分は冷蔵庫にある旨書き置いて俺は帰宅。
明日は久々のお稽古だ。

拍手[0回]

506

翌朝からは仕事の後に納戸の整理をする日々が続き、先生からはたまの電話。
納戸からは色々収集していたものを発掘した。
外側が暑さで解けてしまったバイブとか。
ワイヤ鞭とかゴム鞭。
この間買い換えた鞭が使えるのはいつになるだろうなぁ。
出番なかったりして。仕方ないか。
軽く打つ、なんて却って俺には難しい。
ついやりすぎて痛めつけてしまいそうだ。
気持ちよくなる鞭の打ち方、習いに行こうかな。
冷静に打つ、とか。
あ。古い縄出てきた。汚いなぁ。疲れて投げ込んで忘れたかな。
強度を確かめる。引っ張ったらちぎれた。
捕縄にも使えねぇな、こりゃ。捨てちまおう。
などと仕分けに時間がかかり、新しいのを買う暇がないまま週末を迎えた。
今度いつでも良いから一緒に買いに行く…流石にそれは無理か。
浅草で縄を仕入れなければ。
先日のは流石にカビてはいないから大丈夫だが在庫が少なすぎる。
仕事を終えてから買物へ出た。
7mを10本、それから10mを3本。先生ならこれで十分だろう。
その足で先生のお宅へ車を走らせ、到着。
「こんにちはー」
「いらっしゃい」
たたっと走り出てきて…よろけて俺の腕の中へ。
「どうしたんです?」
「あ、足攣っちゃった」
「それは痛いですね」
治まるまで温めてやる。
ひょいっと抱え上げて居間へ連れて戻した。
「なんだ、こんな寒い部屋にいるからじゃないですか?」
「だって一人だと勿体無いんだもの」
少し温度を上げて温まるまで暫くは先生を懐に。
「風邪引いたら困るでしょう」
「うん…」
「八重子先生は?」
「美容院…」
「ああ。あなたは後で?」
「私は明日の朝よ」
「じゃあ今日はこの髪、崩して良いんだ?」
「あ……今、ここじゃだめ…」
「わかってる」
暫く先生の腕を撫でて、温度が上がってきたのを機に離れると少し寂しそう。
「背中、寒い…」
「あぁ。これどうぞ」
着てきた羽織を背にかけてやる。
「じゃなくて…その…」
「ん? どうした?」
何か先生が言おうとしたら八重子先生が帰ってきて先生が顔を背けた。
「あぁ来てたの。綺麗にできたろ? ほら」
正直違いが良くわからないがそうなんだろう。
「さて、お昼食べに行こうか」
「あれ? もう食べられたんじゃなかったんですか」
「美容院行ってたからね」
なるほど。納得して立ち上がる。
先生の羽織とコートを取りに行って戻ると俺の羽織を返してくれた。
冷えないうちに先に着せてそれから俺も着る。
「どこ行くんですか」
「そこの喫茶店。軽食やってるから」
「ああ。あそこのカレー好きです」
先生が笑った。
「相変わらずねぇ」
「そりゃあ変わる方がおかしくないですか?」
「病気したら変わるけどね」
「あー肉が食えなくなったりね、しますね」
喫茶店に入り席に着く。
先生は悩んだ挙句エビピラフを選び八重子先生は野沢菜ピラフを。
俺は勿論カレー。
先生はちょっと呆れてる。
サラダと飲み物のセット。
ちょっと先生方は多かったようだ。
残すのは冥加に悪いと思われるのか無理しようとしてるのを貰って食った。
丁度満腹、ご馳走様。
カツカレーにしなくて正解。
紅茶を飲んでまったりとした午後。
「そろそろ…」
はいはい、と立って会計をして帰宅した。
居間でゆったりと時を過ごす。
先生がさっきから俺の膝に手を置いたままだけど。
寂しかったのだろうか。
そんなわけないか、一週間じゃ。
「あ。久さん、買物行かない?」
「いいですよ」
家を出ると買物じゃない方向へ行こうとする。
「ん?」
「あっちの家、ちょっとだけ…」
珍しいこともあるもんだな。少し驚きつつ新鮮だ。
部屋は寒くて慌てて暖房を入れる。
ストーブの傍に座らせると俺にくっついてきた。
「あの、したいんじゃないの。こうしててくれる?」
「なんだ、したいのかと思った」
「違うわよ。ちょっと恋しくなっただけ…」
可愛いとこあるなぁ。
「お母さんの前でこんなこと出来ないでしょ、だから」
ほんの30分ほどで良いらしい。
ゆったりと撫でられるがままになっている。
暫くして落ち着いたらしい。
「いい加減買物行かなくちゃ怪しまれるわね」
「その前に髪を整えたほうが良い。乱れてるよ」
「あら? あらら、やだわ」
パタパタと洗面台の前に行って直している。
ストーブを切って玄関の草履を整えておいた。
珍しく脱ぎ散らしてあったから。
先生が俺の着付けを直してくれて、それから買物へ。
「何する予定ですか?」
「筑前煮をメインにするつもりよ」
菊菜のおひたし、あとは肉を焼いて白ネギを付け合せに。
「あなたいると高いお肉沢山買えて良いわ」
「いつもはそんなに買わない?」
「律はそんなに食べないからちょっとだけって買いにくいのよ」
「あぁ。確かに少しだけってなるとスーパーでついでに買っちゃいますね」
「そうなのよね」
あれやこれやを買って重いものは俺が持つ。
「っと危ない」
先生の横を自転車がすり抜けた。
あー、スマホしながら乗ってやがる。事故起こすぞ、あれ。
「吃驚したわ…」
「大丈夫ですか?」
「うん、大丈夫よ。帰りましょ」
俺の腕握ったままなの自分で気づいてなさそう。
信号待ちをしているときに荷物を持ち替えようとし、やっと気づいたようだ。
慌てて離して荷物落としそうになって。
笑ってたら怒られた。
「両方持ちますよ。ほら」
太腿をちょっとつねられたが両手に荷物で帰宅した。
「おかえり」
「ただいま」
「戻りましたー。もう支度しちゃいます?」
「そうしてくれる?」
先に台所へ行ってごぼうとレンコンの下拵えをする。
こんにゃくもちぎって塩で揉み、水が出てくるのを待つ間に湯を沸かし里芋を剥いた。
里芋をゆで、別の鍋でこんにゃくを湯がくその間に椎茸を戻す。
後は細々と切っていると先生がやってきた。
「どう?」
「そろそろ里芋、良いかも」
「じゃ炒めましょ」
切ったものから順次先生が炒めて、俺は菊菜を洗うことにした。
段々おいしい匂いがしてくる。
洗い終えるとあたり鉢とゴマを渡された。
二人いると手際がよくなるな。
律君のお嫁さんが来たら三人に。捗りそうだ。
それとも日々交代か。
後は肉を焼くだけになって先生は一旦台所から去っていった。
明日の用意を確認してくるらしい。
ネギを切って肉を焼く。
ん、うまそうな匂い。
「ただいまー」
律君も帰ってきた。
「手を洗ってらっしゃいよ、もうご飯だから」
先生の声が聞こえる。
ご飯が炊けた音がして先生が戻ってきた。
交代し、お櫃に入れて出す。
台所と往復し、先生が盛り付けたものを食卓に並べた。
「おいしそうだねえ」
「ですよねー」
「めし」
「もうちょっと待ってくださいね」
並べ終えて先生が戻ってきて。
いただきます!
肉うめー。筑前煮うめー。菊菜もうまい。
やっぱり味付けは俺より先生のほうがうまいなぁ。
おいしく頂いてごちそうさま。
洗い物を終り居間へ戻ると先生がいない、
風呂に入ったそうだ。
「一緒に入ってきたら?」
「あ、そうします」
いそいそと風呂に向かいぱぱっと脱いで戸をあけた。
「きゃっ」
「…ん? どうしました?」
「あ、久さん。…吃驚させないでよ」
中に入って閉め、軽くキス。
「ん……だめ…」
「後で少ししましょうね」
「はい…」
先生の体を優しく洗ってやると気持ち良さそうにしている。
少し欲情もしているようだ。
「お風呂、あがったら先に布団敷いて待ってて。戸締りするから」
「わかったわ」
お湯に浸からせてその間に俺もざっと洗う。
濯ぎ終えて先生の入ってる所へお邪魔するとペタペタと手を這わせてくる。
「くすぐったいなぁ。どうしたのさ」
「もうちょっとだけ」
「でもそろそろ出ないとのぼせるよ?」
ふぅ、と息をついて先にあがるわ、と出て行った。
もう暫く浸かって俺も上がる。
ざっと拭いて寝巻きを羽織り、居間に声を掛けると八重子先生が続きに入る。
「あ、先に寝かせてもらって良いですか? 戸締りはしておきます」
「いいよいいよ。じゃおやすみ」
「おやすみなさい。お先です」
その足で玄関やお勝手の鍵を確かめ、居間以外の火の始末をした。
律君に声掛けをする。
年をとると風呂は怖いからね。
それから部屋に入ると明かりを落としてランプのみ点けて先生が待っていた。
「お待たせ。寒くない? 布団入ってたらよかったのに」
「一人で寝たくないもの…」
そういいつつ伊達締めをほどいて俺を誘う。
明日のことを考えると軽くにしておかねばならん。
布団に入れて電気をすべて消した。
求められるままに唇に、乳首にキスを落として行く。
股間に手を差し入れると随分と濡れていて指が中へ吸い込まれる感覚だ。
声が出そうなのはキスで防ぎ微かなうめき声を楽しむ。
シーツを掴んで耐えてるのが愛しい。
「孕ませたくなる…」
ついこぼした声に反応したようで俺の背に腕を回してきた。
「…ほ、しい」
微かに聞こえ、足が絡みつく。
背中を引っ掻き傷を作りつつ二度三度と逝かせると眠たげだ。
「そろそろ寝るかい?」
軽く頷く。
股間を綺麗にしてやって寝巻きを整えて寝かしつけた。
明日のために軽く済ませたから何とかなるだろう。
幸せそうな寝顔を見ているうち、眠くなった。
俺も寝よう。

拍手[0回]

505

休みの朝。
少しばかり朝寝を楽しむが一人でごろごろしてても楽しくない。
支度をして先生に会いに行こう。
軽い朝飯を取って歯を磨き顔を洗い着替えた。
さて。
昨日買ったものを持っていくか。
車に乗って先生のお宅へ行く途中酒屋に入り3本ほど日本酒を買った。
甘口の酒は俺しか飲まないけれど。
先生のお宅へ着いて先ずは台所に酒を持って行って居間へ。
「こんにちはー」
「あ、いらっしゃい。絹、いまあっちの家だよ」
「掃除ですか」
「年末から行ってないから空気を入れ替えてくるって言ってたよ」
年始に俺が一晩寝てたっきりか。
「お酒、買って来ました。それとこれ」
「お干菓子? と。あらー、これ可愛いねえ」
「でしょう。そう思って別に買ってきたんです」
暫くコタツで暖まってると玄関からただいまの声。
「おかえり」
「おかえりなさい」
「あら来てたの」
「ええ、ついさっき」
「買物行くけど一緒に来てくれないかしら。トイレットペーパーとか買いたいのよ」
「はい、待ってください」
さっき脱いだコートを着なおし、買物へ。
先生とお買い物は楽しい。
お昼と夜の分、何しようと迷いつつももち菜やべか菜、ネギに春菊、肉なども買う。
俺はそんな菜っ葉を知らなくて先生に聞くと最近出回っているという。
もち菜は小松菜っぽいものらしい。
べか菜は東京に来てから知った菜っ葉だったな。
こっちでは良く見かける白菜の仲間だ。
夜は鍋か。
んー、たら鍋食いたいなぁ。今度持ってこようかな。
最近魚持って来れてないから。
と先生に言うと今週は却下された。鍋続きは嬉しくないらしい。
色々消耗品を買って家に戻ってお昼ご飯。
もち菜でスパゲティとなった。
サラダに使えるくらいだからこういう使い方もありとか。
やわらかくておいしい。小松菜の仲間とは思えない。
食後は明日の支度を手伝い、それを終えたら茶室の手入れ。
何もせずとも埃は落ちてくるものだなぁ。
やることはやったので後は団欒。
律君達が帰ってきたから夕飯を取った。
先生の隣に座ったものだから肉ばかりと言うわけに行かず結構野菜も食わされた。
ま、良いけどね。健康的で。
食後くつろいでると明日の着付けを依頼する人が着物一式を持ってきた。
先生と別室で確認されている。
紐の本数とか伊達衿とか。
帰られたと思えばもう一組。
その間に律君や孝弘さんが風呂に入られて八重子先生が入って。
「あんた先に入ったら? 待ってたらぬるくなるよ」
「あ、はい。でも」
「いいから」
待つのを諦め風呂に入る。
すぐに先生が来た。
「一緒に入って良いわよね」
「どうぞどうぞ。お背中流しましょう」
ふふっと先生も笑ってる。
髪も体も洗ってゆっくりと温まってそれから先生の背中も拭いて出た。
風呂上りって幸せそうな顔してるなぁ。
居間へ戻るともう律君が戸締りの点検と火の用心をしてくれていた。
「じゃ、髪乾かしたら寝ますか」
「そうね……あなた良いわよね、すぐ乾いて」
「あー。短かいから。ほっといたら乾きますね、湿度低いし」
「ダメよ、冬はちゃんと乾かさないと風邪引くわよ」
「過保護だよねーお母さんって」
律君に笑われてしまった。
あ、ちょっと拗ねた。可愛い。
髪乾かしてくる、と洗面所に行っちゃったが羽織るものも羽織らずだ。
追いかけて着せるとありがとうと言うものの不本意そう。
宥めて髪にドライヤーを掛けてあげた。
「あなたのほうが過保護よね…」
どっちもどっちじゃないかなぁ。
「寝ましょうか、そろそろ」
「そうね」
布団を敷き先生を入れると俺が入るより早く寝息が聞こえてきた。
暫く寝顔を眺めてから俺も寝た。
翌朝は早めに起きて食事の支度をし食べ終えて一服していると着替えるよう言われた。
「手伝ってくれるんでしょ? だったら女らしい格好してくれないと困るわ」
なるほど。
確か会津木綿の長着があった気がする、と言うとそれで良いというので着替えた。
「……あんまり似合わないわね」
「ですね」
暫くして一人目が来た。
先生が着付けて俺は小物を渡したり、帯を締める時に手伝ったり。
良い感じだ。
「これでいいわ。どう?」
「きれーい。良いわねぇ、私も若い頃着たかったわぁ」
お母さんが付き添われていたのだがこの方は若い頃は着られなかったそうだ。
不況とは言え娘には着せたくて頑張ったそうな。
娘さんも嬉しそうだ。
先生が点検をしていると次の人が来た。
「はーい、ちょっと待っててくださいね」
「あら、じゃ先生、ありがとうございました」
先生と挨拶をして次の方と交代。
「あら? 山沢さん?」
おや、中川さんの娘さんか。
「……女性だったのね」
「あ、そっちですか」
先生が大変おかしそうにしている。
指示を受けて肌襦袢やらなんやらかんやら渡しては先生が着せて行く。
今度も綺麗に着せ付け完了したようだ。
「自分で着るのは簡単なのに人に着せるのって難しいのよねぇ」
と中川さんがぼやく。
それには同意する。
先生着せようとしてみたけど大変だった。
お礼を言って帰られて、先生はちょとほっとした顔。
片付けてそれから先生に挨拶。
「え、帰っちゃうの?」
「帰りますよー。俺も部屋の掃除したいし」
「明日してあげるわよ」
「だから…」
「明日まだお稽古ないわよ?」
「…あ。でも家庭のこと優先! ね? 俺だって一人でしたいことが」
「何するって言うのかしら」
失言…。
睨まれてしまった。
小さくなってたら溜息一つ。
「帰って良いわ、今日は。うちの事するわよ…」
「すいません」
「ただし! 浮気はダメよ。許さないわよ?」
「心配性だな。可愛いけどね」
「茶化さないの」
後ろを向いた先生を軽く抱き締めた。
「初釜、いつだっけ?」
「18日…うちのは19日にするわよ」
「了解、土曜日になったら来ますね」
「あら? 持つの?」
「持たせますよ」
耳を舐める。
「こ、ら…。こんなところで」
「あんまり浮気を疑うと次回縛って浣腸するからね」
「わかったわよ、疑わないからそれだけはやめて頂戴…」
脱力してるのも可愛いなぁ。
先生のお尻をぽん、と叩いて着替えてくる、と部屋に戻った。
長着を脱いで衣桁にかけていつものに着替え羽織とコートを手に居間へ。
「あれ? 帰るのかい?」
「はい、洗濯物とかしないといけないので」
「一人暮らしは大変だねえ」
「じゃ、また土曜に」
「はいはい、気をつけて」
「お邪魔しました」
台所から先生がまたね、と言ってる。手を振って挨拶して帰路へ。
危なく車で来てることを忘れそうになったけど。
急ぐ用があるわけではなし、ゆっくりと走らせる。
帰ったら道具の手入れ、しなきゃなぁ。
古いあれやこれ、もう使わない道具は捨てて。先生用に明日あたり買出しに行こう。
今週はそういう時間にしよう。
途中飯を食い、帰宅後納戸に篭り選別をしていると暗くなってきた。
日が落ちる。
飯を食って酒を飲み、風呂に入って寝た。

拍手[0回]

504

翌日も先生を置いて出勤。年始は暇だ。
初釜の分を茶懐石の店が発注するばかり。
疲れもせずに帰宅すると先生が風呂から上がってきた。
「あ、おかえりなさい。お風呂今入ったらあったかいわよ」
「ただいま」
脱いで風呂に入ろうとすると洗濯機回すから、と下着を奪われた。
かわりに唇を奪うと早く入んなさいっとピシャリと尻を叩かれ風呂に追いやられた。
「あ、まだ縄の痕、残ってますね」
「若くないもの」
「腕のサポーター要りますね、出かけるなら」
「そうねぇ」
苦笑してる。
縄の痕が嬉しいって女なら居たが苦笑されるというのは何か新鮮だ。
「お湯、冷めるわよ」
「あ、はい」
とりあえず風呂に入るか。
湯を浴びて軽く洗って風呂に浸かると気持ち良い。
さて、上がったら現金を用意しないとな。
のびーっと伸びて風呂から上がりタオル片手に出て行けば先生にバスタオルを渡された。
「裸で出てきちゃダメでしょ。ほら。頭拭いてあげるから」
「いいよ」
「座りなさいよ」
世話を焼きたいらしい。諦めて座ってされるがままになる。
たまにはいいか。
ある程度タオルドライが終って先生は自分の髪を乾かしに洗面所へ行った。
俺は冷めても来たので着替える。
ドライヤーが終ったのを見計らい交代。
「おなかすいてきちゃった」
「百貨店行ったら先ずは昼飯ですね」
「そうね」
先生が着替えてる間に金を用意して財布に入れる。
それから腕のサポーター。
薄手で滑りの良いもの…ってあったかな。
暫く探すと出てきた。
とりあえずつけさせてみる。
フィット感はそれなりで滑りは良い様だ。
先生が化粧をしている間に外出準備を整えた。
「さてと。行きましょ」
「はい」
車で行って百貨店の人ごみに混ざる。
呉服の催し物の会場を確認しつつ先ずはランチ。
昨日は鮨食ったから今日はイタリアン。
先生は意外と健啖家でしっかり食べても大丈夫、と言うことでコース料理。
たっぷり食べて幸せそう。
ご馳走様をしてから催事会場を見て歩く。
「う~ん。これいいわねぇ…高い…」
「ああ、似合いますねえ。買ってあげる」
「もうちょっと他のも見てから」
結局うろついているうちに良い帯と出会いそっちを買うことになった。
後は普段着にするのに反物を見繕って仕立てに出した。
ちらほらと成人式の買物かな、親子連れがいる。
紐が足りないとか足袋のサイズが合わないとかあるんだろう。
先生も当日は朝から二人ほど着付けるそうだ。
つまり、前日手出し禁止と言うわけで。
夕飯用に地下で弁当を買って帰宅。
先生は明日の朝帰るといってるので朝の分も買った。
帰って暫くいちゃついて先生の見たいテレビを見させてゆっくりさせた。
夜は少し恋人のように抱いて、という希望に応えて。
ちょっと面倒だが仕方あるまい。
髪も乱さず衣類も大して乱さずに抱く。
ちゃんと寝る前に整えておやすみなさい。
軽めだった所為か朝はそれなりに早く先生も目が覚めた。
今日は朝食の準備もしなくて良いからゆっくりと布団の中で朝寝を楽しむ。
そのままついもう一戦してしまった。
起きて昨日買ってあったもので朝飯を食べ、風呂に入って着替えて先生のお宅へ送る。
「ただいまぁ」
「あ、おかえり。山沢さんは?」
「今買ったもの運んでくれてるのよ」
ひょいと顔を出して挨拶した。
「こんにちは、八重子先生」
「いらっしゃい。なに買って来たの」
「ホウレン草と白菜とジャガイモ人参玉葱カレー粉…」
列挙しているとカレーを作るつもり、と先生が補足した。
「絹、ちょっと。ここ」
あ、首筋にキスマーク残ってる。
ぱっと手で覆い隠して顔を赤くして慌てて逃げて行った。
か、可愛い。
「にやけてるんじゃないよ。見えるところに…バカだね」
「へへ、すいません」
台所で下拵えをしていると先生が湿布貼って帰ってきた。肩こり肩こり。うん。
「それ…聞かれても顔赤らめてたらバレますね」
あ、ますます赤くなった。
「ばか、恥ずかしい…」
ふふっと笑って先生にジャガイモを渡す。
「忘れるべく剥きましょうか。それとも」
「だ、駄目っ」
「そんなに慌てなくても。ここじゃ何もしませんよ」
キスくらいはするかもしれないが。
にやっと笑ってやるとそそくさと割烹着を着て包丁を取ってきた。
「手元、集中しないと危ないですよ」
「し、集中させて頂戴よ。あっち向いてて」
「はいはい」
暫く剥かせているうちに落ち着いたようだ。
指示が飛んでくる。
従ってカレーを仕込む。
お昼ご飯は冷しゃぶにしておいた。
ソテーしたホウレン草と金時・紫・金美人参をつけあわせに。
カレーに入れると面白くないのでサラダだ。
うまい。
食後八重子先生が洗い物を、俺たちは家の掃除を。
三時ごろ、お茶を入れてくれた。
おやつはカステラ。
ただし文明堂。今度福砂屋かってきてあげよう。そうしよう。
八重子先生に呼ばれて茶室へ行くと特別に稽古をつけてもらった。
メインは先生への初釜準備だけど。
3時間みっちりの稽古の間に俺はご飯を炊きに立ったり、スープやサラダの準備をした。
先生は流石に手前を忘れてたりはせず少し迷いはするもののクリア。
俺は……沢山怒られた。
やっぱり半月以上稽古してないのと先生にかまけてたのと。
良い時間になったので片付けてカレーを温める。
「お父さん呼んできて頂戴」
「はい」
ぱたぱたと離れへ行って孝弘さんを呼ぶ。
「ご飯できましたよ。今日はカレーです」
「ん」
むくりと起きてのそのそと後をついてくる。
「あ、あとでおやつに羊羹貰ってくださいね。渡してありますから」
「この間のあれか」
「そうですあれです」
正月だから奮発した。
戻ってスープを運びカレーを運ぶ。
サラダも出してみんなそろって食事。
「あ。そうだ。先生」
「なぁに?」
「土曜日これません」
「…どうして?」
「十日恵比寿ですので」
「ごめんなさい、意味がわからないわ」
「………えぇと」
何かっていわれるとどう説明したら良いんだ?
「去年も来てなかったの覚えてませんか」
「あぁ。そうそう、そうだったね。来なかった」
「うーんと。あ、そうだ。酉の市のようなものがあるんです」
「お酉さまね、わかったわ」
「こちらでも11月にえびす講ってないですか」
「そういえばそんなものしてたかね。五穀豊穣って」
「お百姓さんのお祭りなの?」
「関東では農業系ですよね」
「あんたのところは違うのかい?」
「商売繁盛笹持って来い! ですね」
「あ、聞いたことある」
「お商売の神様なのねぇ。そう。じゃ気をつけてね」
「日曜は…どうしましょう。月曜は成人式の着付けですよね」
「んー。来てくれると助かるわ。お手伝いして欲しいから」
「はい、じゃあ適当な時間に」
「おかわり」
「はい。律君は?」
「あ、下さい」
今日はお櫃も台所にある。
台所へ立ってお皿にご飯とカレーを掛けて戻り、渡す。
「ありがとう」
「ん」
「久さん、ついでに私、スープ欲しいわ」
「はいはい」
「これ、絹、あんたねえ」
「立ってるものは親でも使えと昔から言いますよねー」
あはは、と笑いつつスープを少し温めて。
「こんばんはー」
玄関から…あれは司ちゃんか。
先生が出迎えてご飯食べたか聞いてる。
「久さん、ご飯まだなんですって。おねがいね」
「はい」
サラダ、足りるか?
足りなきゃ切ればいいか。
カレーも温めて先にスープを出し、ご飯を皿によそいカレーを掛けて出した。
「いただきます」
「どうぞ」
「あ、お肉、豚じゃないんだ?」
「山沢さんが作ったから」
にこにこと先生は司ちゃんが食べるのを見ている。
優しげで、お母さんの顔してて。ほんわかとした気分になった。
さてと、そんじゃそろそろ帰るかな。
先生方のお皿を引き上げて洗ってから帰る旨を告げ帰宅。
お稽古のない暇な木曜、金曜を過ごした。
土曜になり仕事を終えたらすぐに移動して京都へ。
毎年のようにタクシーで近くまで行く。
交通規制と言うか車が入れないようにしてあるから。
人の流れに従って神社へ。
去年の熊手を納め、列に並び祈願して今年の熊手を授与していただく。
裏戸を叩いて出ていつもの鼈甲屋、と思うとシャッターが閉まっていた。なぜだ…。
タクシーを拾い、新幹線に乗り換え会社へ。
熊手を飾って帰宅した。おなかすいたー。
時計を見る。流石にこの時間からでは先生のお宅のご飯に間に合わないな。
だが鶴屋はまだ開いているはず。
車を走らせて求めに行った。
福ハ内と福梅、都しるべを購入してから飯を食いに行く。
肉食いたい、と思ったので近くの店に聞く。
一人くらいなら何とかなるとかで入れて貰った
赤みの多くて柔らかいのを希望したがさてどうか。
…うーん少し脂は多めだったようだ。先生は連れては来られない。
少し軽めに食べることにした。
ご飯を頼んで正解だ。
ロースをメインに7人前を食べ終えて支払う。
そんなに高くはなかった。
車だからジンジャーエール。帰ってから酒を飲もう。
ゆったり運転して帰宅。先ずは部屋が暖まるまでにと風呂に入る。
寒い!
震えつつも頭と体を洗い終える頃には流石に風呂も暖まる。
風呂から上がって酒瓶とコップを取りストーブの前に座って独酌。
体があったまる。
落ち着いたので寝ることにした。お休み。

拍手[0回]