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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

483

朝は二人して寝過ごして八重子先生に俺のみ叱られる。
ま、先生が寝過ごすのは俺の所為だからしょうがないんだよね。
朝ご飯をいただいた後はお掃除のお手伝い。
だけど今日は軽い作業ばかり頼まれて、少し気を使われてしまってる。
治りきるまではと言うことのようだ。
こりゃ明日あたり鍼へ行くかね。
洗濯、掃除、お買物など終えて居間でくつろぐ。
先生が席を立ち、暫くして戻ってきた。
「アレ、始まっちゃったわ」
生理、今かららしい。
ぎりぎりセーフだ、昨日しておいて良かった。
あ、しかし連休は抱けないのか。
うーん、残念。
少し眠そうなので今日は俺も早めに帰ることにした。
どうせ明日も会えるしね。
帰る道すがら近所でパスタを食べて帰宅。
風呂入って寝るだけだ。
時計を見ればまだ鍼屋は空いてる時間、試しに電話すると今空いてるとのことで行く事に。
「どう?」
「まぁまぁだけど早く治したくなって」
「明日はこれる?」
「今みたいな時間なら」
「じゃ予約しとこうか?」
「うん、お願い」
するすると鍼を刺されてツンッと来る。
響くんだよなぁ。
強い鍼で結構体力を分捕られるけれどかわり治る。
先生が生理終わる頃にはちゃんと抱ける体にしないとね。
そういえば前回の鍼の時、先生が微妙な顔してたなぁ。
嫉妬なのかな。
鍼を抜かれて帰宅する。
痛みは今はないからよく寝れて朝。
仕事もそれなりに動けてとってもいい感じだがここで無理をすると…。
と言うことで控えめにしてお稽古へ向かった。
今日は先生はだるそうなのでサポートに徹して俺へのお稽古はなし。
少し苛ついてもいるようで人目のないところでつねられた。
ちょっと痛い。
まぁぶつけられるほうが篭らせてしまうよりは良いんだけど。
お座布団に座らせて足を俺の懐に入れてあげた。
これが温めるには早いからね。
「何してんの、あんたたち」
「足が冷えたと仰るので温めてるだけです」
「コタツ出そうかねぇ、そろそろ」
ほんのり温まってきたようだ。
「もういいわ」
「まだ早いです。冷えはよくない」
苛々してるのはわかる。
「なんだったらマッサージしてさしあげますが」
「いらない。帰って」
八重子先生も呆れてる。
俺も諦めて辞去を告げた。
「悪いねぇ、ご飯も用意してたんだけどあの調子だろ」
「孝弘さんにでも食べてもらってください。アレのときはわかります、仕方ないです」
「じゃ土曜日、またきてちょうだいね」
「はい、じゃお邪魔しました」
帰宅して飯を食ったら予約の時間だ。
鍼屋に行く。
少し喋りつつ、生理時のイライラの対策を聞く。
残念ながら人それぞれのようだ。
終ると随分すっきりした。
「明日も来た方が良いよ」
と言うので明日は昼からの予約にした。
風呂に入って寝て、出勤すると連休前と言うこともあり忙しい。
少し頑張りすぎて腰が重い気がする。
苦笑して飯を食って落ち着いた後、鍼を受けに行った。
「うん? 無茶したでしょう」
「したみたいですが明日もしそうです」
「明日はこれるの?」
「無理です」
「じゃ、今日は泣いてもらうね」
うっと呻く程度の鍼をガッツリ刺されて帰ったらすぐ寝るように、と開放された。
布団に潜ると消耗した体力を補充するかのように寝てしまい、夕飯にも起きれなかった。
起床時間より30分前に目が覚めて、携帯が光っていることに気づく。
先生からだ。
八つ当たりした事の詫びと、明日のお稽古きてくれるの? と。
どうやら苛々は収まったようだ。
勿論お伺いする旨、返信した。
きっと寝ているだろうけど朝起きた時にでも読むだろう。
支度をして出勤。
土曜の怒濤の忙しさ、ふと気づくと10時を済んでいる。
それでも腰が軽いのは昨日の強烈な鍼のおかげか。
「お前、今日は早く帰れよ」
「でも仕事まだ終わりませんよ」
「んーそうだな、あの残ってるうちわえびと生貝と。ツバス売れたらで良い」
「あ、あのツバス私持って帰ろうかと」
「他のは持って帰らんか?」
「ちょっと多くないですか」
「なんとかなるだろ? はい、それでお前の仕事終わり。帰り支度しろ」
好意に苦笑して支払った。
箱に入れて後りのものは片付けて帰り支度を整え、挨拶して帰宅。
風呂に入り着替えて先生のお宅へ車を走らせた。

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482

朝になって結局先生は俺の腕から逃げれなかったらしく肌襦袢のままだ。
「おはよう。そろそろ起きなさい」
「んー…もうちょっと」
べたべたくっついていたのだがトイレに行きたいらしく。
いい加減に離せ、と言うことだった。
諦めて離すと落ちてた寝巻きを拾って着て行った。
夜中、俺が脱ぎ捨てたようだ。
待ってても戻ってこないのでおかしいと思っていると風呂桶の音がする。
なるほど昨日入り損ねたから入っちゃったか。
幸いこの家は自動だからつまりなんだ、昨日から沸きっ放しと言うわけで。
ガス代が勿体無いと後で先生に叱られるんだろうな、これは。
暫くすると先生が風呂から上がってきた。
うーん、色っぽい。
婀娜な年増ってわけじゃないが。
手招いて膝の間に座らせて抱き締めた。
耳を齧る。
「したくなっちゃったな」
「だめよ。もう朝御飯の時間だもの」
「後で二人で食べに行きましょう」
「まだ腰良くないのにダメ」
ぺちん、と額を叩かれて諦めた。
「早く治さないと抱けもしない。それともまた乗ってもらおうかな」
「バカなこと言うんじゃありません。早く治しなさい」
ぽんぽん、と腕を叩かれて開放すると髪を乾かしに洗面所へ先生は行ってしまった。
うーむ、ぬくもりが冷めて寂しい。
仕方ないから着替えるか。
床に落ちている肌襦袢など拾い集めて着て、長襦袢と長着を着ればそれなりに暖かく。
あ、ドライヤーの音が止んだ。
「あら、もう着替えたの? ちょっと待っててね」
手早く着替えてそれから洗濯物を引き上げて家に戻る。
「ただいまぁ」
「戻りました」
先生は先に洗濯機を回そうと思っているようだ。
俺は一旦台所に顔を出して八重子先生に朝の挨拶。
もうすぐ出来るとのことでお膳の支度をする。
「よく眠れた?」
「あ、はい。もうちょっとと思ったんですが起こされました」
「だってねぇ、寝かしつけるつもりだったのに離さないのよ、この子」
先生が戻ってきてた。
「おかげでさっきお風呂入ったのよね」
「がっちり抱え込んでたみたいです」
「あらら。眠かったんだねぇ」
「もう運んで良いですか」
「そうだね、それより律たち呼んできてくれるかい?」
「はーい」
先生と何か話すことがあるのかもしれない。
呼びに行って戻ると既に食卓には朝食が並んでいて、和やかに朝ご飯をいただいた。
食後、寝てなさい、と促されたが多少は体を動かさないと鈍る。
そう言えば、じゃお散歩しましょとコートと小銭入れを持って連れ出された。
秋の良い天気の中、先生との散歩は気持ちよくて。
「ひんやりしてきたわねぇ」
「秋ですねー。紅葉狩り、もう少ししたらどこか行きましょうか」
「そうねぇ、皆と一緒でも良いかしら」
「そのほうが楽しいですよね」
「ね、あなたお三味線できるんでしょ、なんか弾いて頂戴よ」
「ええっ俺下手ですよ」
「どうせわからないから良いわよ」
「あ、それ酷い」
ほほほ、と笑い飛ばされてお散歩を続ける。
小一時間ほどぶらついて戻った。
そんな調子で日曜はゆったりと過ぎて帰宅して寝た。
月曜、火曜と暇な市場の後、先生のお宅へ。
「あらー。もう大丈夫なの?」
「ええ、ま、なんとか。無理するとダメかもですが」
「じゃ無理のない範囲で」
「はい。用意してきますね」
「用意は良いわよ、してあるから」
「ご飯食べたの?」
「あ、はい」
「じゃお茶飲んでなさいよ」
「すみません」
先生がおいしそうにご飯を食べるのを眺めつつ、お茶をいただく。
ここ数日あったことなんかを聞いたり。
食べ終えたのを見計らい、茶室に先行した。
「こんにちは。あら山沢さん、腰大丈夫なの?」
「はい、こんにちは。もう殆ど良いですね」
「若いわねぇ。私なんかだと一ヶ月は寝込みそうよ」
「そうですかねぇ」
「いらっしゃい、今日は中置きで濃茶しましょうか」
「あ、先生。こんにちは。お願いします」
お稽古が始まり、先生が生徒さんに指導される。
優しく丁寧に。
和やかでゆったりとした空気の中、お稽古が進む。
心地良いからか生徒さんが辞められても新たに紹介で増える。
まぁ居付いてしまった私のようなのも沢山。
夕方が近くなって先生が迷うそぶりを見せた。
「ねぇ、今日、する?」
「えっな、何を?」
「何って…、ちょっと待ちなさい、何を想像したの」
「あ、いやえーと。えーと、長板でどうでしょうっ?」
「まったく。長板はあんたまだ腰がよくないんだから普通のにしなさい」
「はぁ、そうします」
いらぬ汗をかいた。
慌てて支度して、お願いして濃茶で稽古をつけていただく。
真剣に、厳しく指導を受ける。
優しくは、ない。
萎縮はしない程度に稽古をつけてもらい、後片付けを一緒にする。
腰がダメだと釜が辛い。
お茶の先生方はなよやかで弱い気がするが意外とあるのは普段釜の始末をしてるからだな。
そう思いつつ片付けを終えた。
先生から今で寝転ぶよう言われ、ありがたく横になる。
そのまま先生は台所を手伝いに入られた。
ここ、見えないんだよな。
見ていたいのに。
夜、就寝の支度を終え部屋に引っ込んだ後、そう言うと笑われた。
「他の人には見せない姿、久さんには見せてるじゃない」
「でも俺、あなたが主婦してる姿も好きなんだよ」
くすくす笑ってる。
抱き寄せてキスした。
「ダメよ、まだ治ってないんでしょ」
「でも今しないとあなたそろそろ生理だろう?」
「あら? そうね、そろそろだわ」
「だからその前にさせてよ」
「しょうがないわねぇ。腰が楽なようにしなさいよ」
何度もキスをして黙らせる。
先生のスイッチがすっかり入ったようなので布団に連れ込んだ。
白い肌にキスを落としつつゆったりと抱いた。
流石に俺も疲れ、先生の寝息とともに寝てしまった。

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481

夜半起きて支度する。
先生が寝ぼけ眼ながら手伝ってくれた。
「じゃ、行ってきます」
「無理しないでね」
出勤して気遣われつつ、荷物は若いのに運ばせて売る。
売って売って売りまくり利益は結構に出た。
人を一人余分に使ってるからにはいつもより頑張った。
流石に冷えて少し痛む。
帰宅して先生と一緒にお宅へ向かう。
いつもなら先生を座らせて俺が立つのだが今日は俺を座らせようとする。
乗り換えも俺の手を引いてまるでいつもとは逆だ。
なんだか気恥ずかしい。
最寄り駅に着いて先生が少し悩んだ様子。
そのまま手を引かれてタクシーに乗せられた。
「バスにしようかと思ったけど…歩くの辛いでしょ?」
「あぁそれで。有難うございます」
先生のお宅の前で降りて、先生に連れられお邪魔する。
「あら絹先生。こんにちは」
「はい、こんにちは」
「お帰り、早かったねぇ」
「お邪魔します」
「もう大丈夫なのかい?」
「まだよ。だけど一人で家に置いておくの心配だから連れて帰ってきちゃったわ」
「だったら水屋じゃなくて見学だね」
「そうね」
お昼ご飯を食べてお稽古まで寝かされ、先生が支度をしてお稽古が始まる。
水屋に八重子先生が入られた。
「あら、今日はどうされたんですか。珍しい」
「この子腰を痛めちゃったのよねぇ」
「あらら~大変ですわねぇ」
今日は一日そんな話題をしつつのお稽古で。
俺のお稽古はなしで先生が夕飯を作る。
「出来たら起こしてあげるから寝てなさい」
「すみません」
やっぱりじっとしてるのも疲れるようで少し寝てしまった。
気づくと毛布が掛けられている。
「あら起きたの? ちょっと待ってなさいね」
「よく寝てたねぇ」
ゆっくり身を起こすと8時半を回ったところ。
「あー…寝すぎましたね、食事とっくに終られましたよね」
「あんたの分はよけてあるから大丈夫だよ」
「助かります。ありがとうございます」
座りなおすと温められてご飯が運ばれた。
うまそう。
「いただきます」
「どうぞ」
やっぱりうまいなー。
「あれ、今日って先生ですよね、ご飯」
「あらやっぱりわかる? そうよ、それはお母さんが作ったのよね」
「殆ど違わないのにねぇ」
「いやなんとなくですけど」
全部おいしく頂いて、ご馳走様! 箸を置いた。
「足りた? なにかいる?」
「いや満腹です。はい」
洗い物に先生が立って、八重子先生はお風呂へ。
寝転がると再度眠気に纏いつかれてうつらうつらとしてしまう。
「あら。こんなとこで寝ないでよ。あっちの家行きましょ」
「へ? え? なんで?」
「だってベッドのほうが起き易いじゃない」
なるほど。
「ちょっと待っててちょうだいね」
台所で色々と始末する音が聞こえて暫くして先生が戻ってきた。
「さ、行くわよ」
「あのー八重子先生に言わなくて良いんですか」
「あなたが寝てる間にそうしようって決めたのよ」
「なーる。じゃ参りましょう」
羽織を着せられ先生に手を引かれてあちらの家にはいる。
すぐさま先生が暖房を入れ、風呂に湯を張った。
「ほら、それ脱いでお布団入んなさい」
「あなたは? 一緒に寝てくれないのかな」
「お風呂入ったら寝るから。先に寝てなさい」
えー、と不満げにすると仕方ないわねぇと添い寝してくれた。
やっぱり先生の体の温かみとか、匂いとか。
そういうものは安眠に重要だ。
しっかりと巻き付いて寝た。
先生が風呂に入れるかどうかはわからないが。
おやすみなさい。

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480

夜半目が覚めて腰痛ベルトを締めてトイレへ行く。
先生が起きてしまった。
寝ぼけ眼でこちらを見て慌てて起きようとする。
「良いから寝てなさい」
「でも」
「大丈夫」
ちょっと心配そうだが着いてこなくていい。
一応俺は自分の足で歩けるからね。
トイレを済ませて出るとドアを開けたところに先生がいた。
「ん? 先生もトイレ?」
「じゃなくて心配だったのよ」
「ありがとう。でも良いから。足が冷えるだろ?」
まだそんなに寒くないから床暖入れてない。
連れてベッドにまた戻り、潜り込む。
「ほら、体冷えちゃってるじゃないか。温めてほしい?」
「…ばか」
腕を絡めるだけにとどめておいてもう一度寝かせた。
ちょっと性欲がわいて困るわけだが…。
朝になってたまらず先生が起きたところを顔の上に座るように言った。
「えぇ? なんなの?」
「いいからいいから、壁に手を突いて。俺の口のところにあなたの持ってきて」
「もぅっ朝から。ばかなこと言わないで」
「頼む、させて」
拝んでお願いしたら流石に憐れに思ったか、嫌な顔をしつつだが跨ってくれた。
「こ、こう?」
徐々に先生のあそこが迫ってくる。
「もうちょっと下ろして」
毛が鼻にかかる。
「ん…」
舌で間を割って突起を舐めると膝が俺の頭を締め付け腰を浮かそうとする。
腕で押さえ込んで舐め、楽しむ。
上のほうから先生の良い声が聞こえてきて凄く良い。
先生が逝ってへたり込みそうになり、慌てて俺の上から退いた。
横に寝転んで息が荒い。
「お疲れ様、好かったよ」
「今回、だけね。もうやだから…」
「そうだね、ごめん。でもしたくて」
落ち着いた後、朝御飯作るからと起きて部屋を出て行ってしまわれた。
ご飯は昨日炊いたのがまだあるらしく、玉子焼きと味噌汁のにおいがする。
「久さん、起きてる? そろそろ出来るけど」
「あぁ、はい」
「ゆっくりでいいわよ」
昨日よりは良い状態で椅子に座って食事を取る。
いつもながらにうまい。
食事が終った後またベッドに押し込まれた。
「んー。あなたも一緒が良いな」
「仕方ないわねぇ。すっかり甘えたさんになっちゃって」
「こういうときは甘えたいものじゃないですか」
「はいはい、ちょっと待ってなさい」
着物を脱いで浴衣に着替えて横にもぐりこんできた。
寝返りを打って先生の胸に顔を埋める。
「なぁに? 甘えてるの?」
「うん。良い匂いだ」
さっきやったから汗かいてるしね。
ゆっくりと背中をなでられてすぐに寝た。
こんなに寝れるってことは疲れてるのかな。
昼過ぎに目が覚めると先生はまだ俺を抱いて寝ている。
まだ腹は減らないからもう少し寝ておこう。
と思って寝ていたら夕方で先生は既に布団にはいなかった。
「あれ?」
「起きたの? お夕飯もう少しだから待っててー」
「あー…もうそんな時間か」
のっそりとリビングに出て椅子に座る。
「明日お仕事行くの?」
「行きます」
「だったら一緒にうちに帰りましょ」
「朝の稽古、あるんじゃ」
「いいの。あんた一人にするほうが心配だもの」
苦笑。
いつもは心配をしている俺が心配されるとはね。
肉多目の炒め物におひたし、お味噌汁。
先生は味噌漬け。
「冷凍庫にあったの、貰ったわよ?」
「どぞどぞ」
食後暫くして先生が洗ってあげる、と風呂に入れてくれた。
いつもと逆でなんだか笑える。
先生も何か楽しそうだ。
「でもそこ触るのはダメですって」
「あら、いつもと同じことしてるだけよ?」
ホホッと笑われた。
流石に冗談だったらしくすぐやめてくれて拭かれて風呂から出る。
寝巻を着たらすぐに布団に入れられた。
頭をなでられて寝かしつけられる。
先生はもう少しやることを済ませたら寝るとのことだ。
「おやすみなさい」
「おやすみ」
挨拶を交わして先生が部屋の電気を消した。
風呂で疲れたのかすぐに眠気がやってきて寝てしまった。

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479

翌朝、仕事をしていて何の気なしに荷物を持ったら魔女の一撃だ。
社長に言うとすぐに帰れ、と湿布を渡された。
帰宅して引き出しを漁り腰痛ベルトをしてから食事を取った。
うーん。
やばいね、これは。
先生のお宅に電話してお稽古に伺えない旨と家に来ないようにと言うことを連絡した。
食後に飲んだ鎮痛剤が効き出し布団に潜る。
参ったなぁ。
10年ぶりだろうか。
鎮痛剤の影響からかうつらうつらとはするものの、身じろぎで痛み困る。
夕方、目が覚めたので鍼屋に行くことにした。
携帯を手にとれば着信数件。
すべて先生からだ。
メールも入っていてこちらに来るとの事。
困ったな…。
返信しようとしたら玄関で物音、遅かったか。
先生を迎え入れて鍼屋に電話した。
「大丈夫? 一緒に行くわ」
「有難う、でも来るなと言った気がしますが?」
「聞いたわよ。ほっとけるわけないじゃない」
脱ぎ易いようなものを着てそろりそろりと歩いて鍼屋に向かう。
先生が鞄を持ってくれた。
心配そうだが病気じゃないからなぁ。
鍼屋に着いてなんとか診療台に上がり、脱いだ。
鍼医者が背中に腰にと触れ、先生が心配そう、というかちょっと嫉妬してそう。
気のせいだろうか。
何本も刺されてほっとかれる。
先生が手を撫でてきた。
ええい、なんぞしたくなるからやめてくれ。
暫くして鍼が抜かれた。
座って、と言われて座る。うん、随分楽だ。
「明日また来て下さいね」
「はい」
お支払いをして先生と二人帰る。
「随分違うわねぇ」
「ん、そうですね。まだ痛みはしますが」
家に帰って先生に軽くキス。
「そんなわけで今日は抱けませんよ」
「あのねぇ…」
片手で頭抱えてる。
「冗談ですよ、それより腹減りませんか?」
「作ってあげるわよ。寝てなさい」
「…おかゆは遠慮します」
「あら? 嫌いなの?」
「というか病気じゃないですから。普段のものでいいんですよ」
「そう? ま、いいわ。ほらベッド行きなさい」
「はい」
ベッドに転がると立つよりは楽で、しかし寝返りは難しく。
台所の音が何か心地よくて少し寝てしまったようだ。
ふと目が覚めると先生がベッドの横に座って食事の支度をしている。
「ん、リビング、行きますよ」
「あぁ起きたの? 出てこなくて良いわ。背中、クッション入れてあげるから」
病人のように扱われて自分で食べるといってるのに、あーん、などと。
「先生、世話焼くの好きですよね…」
何とか食べ終わりお茶を頂いてる間に先生が片付けてくれている。
散らかった部屋も。
てきぱきと掃除や洗濯物を片付けて行く。
流石に長年主婦をしている人は手早くて凄いと思う。
「あ、そうそう。今日泊まるから」
「じゃ和室に布団敷いてくださいよ」
「どうして?」
「我慢できなくなるから」
「ばか、こんな状況で何言ってるのよ」
「可愛いな」
「寝なさい!」
頭をペシッと叩かれた。
笑いながら布団に潜り込む。
「もうっ」
怒りつつも俺を頭をなでている。
優しくて、可愛くて、綺麗で。
そんな女が俺のものになってくれている幸せをいつまで享受できるのだろうか。
先生から軽くキスしてきて寝かしつけられる。
満腹感と先生の甘い匂いに包まれてしばしの眠りについた。
次に目が覚めたのはすっかり夜で先生は今でテレビを見ながらお裁縫をしている。
俺の襦袢に半衿をつけてくれていたようだ。
「あら、目覚めた? ご飯食べる?」
言われて見れば腹が減った。
「いただきたいです」
よっこらどっこいしょと起きてトイレに行き、リビングの椅子に座る。
「先生はもう食べたんですか」
「そうよ、起こしたけど起きなかったもの」
ん? と時計を見れば10時で流石にそりゃ食ってるよな。
「あなた明日仕事どうするの」
「休めって言われてます」
「そう、よかった」
いくつか出された小鉢を平らげてもう少し欲しいなと思っているとプリンが出た。
デザートか。
「お夕飯の買物した時にね、買ってきたの」
「あなたの分?」
「ううん、別に買ってあるわ。だから食べて良いわよ」
「そんじゃいただきます」
先生はそのまま半衿を付けている。
つい見とれていると終られて片付けだした。
「なぁに?」
「ん、いや。そういうのしてる姿も好きだなと」
「変な子ねぇ」
先生はお針を数えて蓋を閉め、仕舞いこむ。
俺は満腹。
「さ、そろそろ寝るわよ。あんたも寝なさい」
「いま起きたところ…」
「ダメよ、ちゃんと安静にしなくちゃ治らないわよ。寝れないなら添い寝してあげるから」
「うーん」
ベッドに連れて行かれて布団に押し込まれた。
横に先生が潜ってくる。
「したくなっちゃうな」
「安静にって言ってるじゃない。良い子だから寝て頂戴」
寝かしつけようと撫でてくる。
お母さんモード?
「あなたが先に寝たほうが俺は眠くなるんだけどね」
「そうなの?」
「寝息、聞いてるの好きなんだよ。あなたも今日は疲れたでしょう?」
「そうねぇ」
あふ、とあくびをしている。
「だから先に寝てくれて構いませんよ」
「だったらそうするわ。あなたもちゃんと寝て頂戴よ?」
「うん」
久しぶりに枕を二つ離れさせての就寝。
手を絡めて。
先生の体温と寝息が心地よい。
眠れないだろうと思っていたのにすぐに眠気が下りてきた。
おやすみなさい。

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