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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

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月曜は仕事をしたくない。
そんな思いで仕事を何とかこなしたが天気もよくなく何か滅入る。
風が強い。
今日は寝る日にしてしまおうか。
先生と会えないだけでテンションが下がる。
とメールもできないわけで。
あきらめてどさりとベッドに倒れこみ、寝た。
夕方。
メールの音で目が覚める。
先生から夕飯の写真。
おいしそうだ。腹が減った。
何か食べに行くか。
のっそりと起きたところに来客。
「あれ、ハル? どうした?」
「彼氏と別れた。泊めて」
「ついにか。家帰らんの?」
「家まで来そうだから、アイツ」
「はいはい。良いけど俺今からメシ食いに行くよ」
「一緒に行く。おごって」
「テメ、財布は?」
「見ての通りなんも持ってない」
「しょうがねえ奴だな。ちっと待ってろ」
着替えて飯を食いに出る。
蕎麦が食いたいというから蕎麦屋だ。
ざるを頼み酒とざるでやる。
ハルは天そば食っている。人の金で容赦のない奴だな。
食い終わって帰って俺はすぐ寝る用意。
和室に客布団を敷いた。
携帯がなる。先生からだ。
『あ、よかった、まだ起きてたのね。こんばんは。
 あのね、明日羊羹を二棹買ってきて欲しいの。それで…』
「ねー久ービールないのー?」
「ないからコンビニで買って来い! そこに金あるだろ」
「えー若い女一人で行けって言うのー」
「イヤならとっとと寝ろ」
ぶつくさとハルは言いながら出て行ったようだ。
『……山沢さん』
「はい?」
『女の子、家に呼んでるなんて良い度胸ねえ』
あ、やべえ、浮気と間違われてる。
「違いますから」
『あら、若い子が良いなら良いのよ。こんなおばさんより若い子の方が良いわよね』
「若い若くない関係ありませんよ。あなただけです」
『知らない』
あ、電話切れた。
何度かリダイヤルしても駄目。
仕方ないからメール。
ハルが家にいる理由を簡単に書き、羊羹はどうして欲しいのか問う。
一時間ほど返事がなくて、今ではハルがビール片手にテレビを見ている。
返事がないなら明日お稽古早めに行かなきゃなぁ。
「おい、先に寝るから。明日適当な時間になったら帰れよ。俺は昼から用事あるから」
「えー暫く泊めてよ~ねー」
「却下。留守宅に人がいるとか無理」
「ちぇーじゃ鍵どうしたら良いのー?」
「掛けて玄関のオーナメントの中に隠しとけ」
「わかったー」
ベッドに潜り込んで更に30分ほどしたとき、やっと返事が来た。
明日ちゃんと聞くから、と。
羊羹は贈り物用として熨斗つけて一本ずつ、表書きはなくて良いということだ。
了解してほっとして寝た。
翌日仕事を早々に終え、帰宅。
鍵はちゃんとオーナメントの中に隠しこんであった。
急いで身支度して先生のお宅へ。
だが話はあとで夕飯が終ってから、と打ち切られてしまった。
怖いな。
とりあえず羊羹を冷蔵庫に、と言うと今持って行くからと取り上げられた。
うん、やっぱり怒ってる。
水屋の支度に入るにも時間が有るので八重子先生とお話。
友人を泊めた際に丁度先生から電話があって、と。
八重子先生はそれで色々納得の様子。
先生の態度とか。
うまく納得させれたら良いね、と言うことで水屋の支度を。
暫くして先生が帰ってきて、生徒さんが来た。
お稽古開始だ。
お稽古中は怒ってることそぶりにも出されず、凄い。
俺へのお稽古も通常通りの厳しさで、忘れてるのかな、とも思ったが…。
夕飯を終えた後、八重子先生に断ってあちらの部屋に連れて行かれてしまった。
入って鍵をかける。
「さ、そこに座りなさい」
説教モードか?
「いてっ」
少しどうしようかと迷っていたらぎゅっと乳をつかまれた。
「抱いたの? 抱かれたの?」
なんちゅうこと聞くんだ。
「ちゃんと別の布団ですってば」
「そんなこと聞いてないわ。ちゃんと答えて」
「どっちもありませんて。誰彼なしにやる奴だと思ってるんですか?」
「そうじゃないけど…仲良さそうだったから…」
「腐れ縁ってやつです。あなたにもいるでしょ古馴染みの困った奴の一人や二人」
「いるけど…」
「だったら信じて。たかが一日会えない間に浮気なんてしませんよ」
おとがいに手を掛けてキスをする。
「信じさせて頂戴…」
「ベッド、いきましょうか」
脱がせて軽めに抱いた。
「愛してるよ、絹」
「私もよ…」
少し落ち着いた頃着替えて先生の家に戻る。
「あらおかえり。話、ついたの?」
「うん。あ、ドラマ始まっちゃってるわね」
何か見たかった番組があったようだ。
先生方はドラマに集中しててCMの間に少しおしゃべりをして。
番組が終る頃には眠くなったようだ。
「あふ…」
「そろそろ寝ようかね」
「はい、じゃ戸締りと火の元を確かめてきますね」
玄関やお勝手、火の元を確認して戻る。
八重子先生はもう部屋に寝に行ったようだ。
先生は大あくび。
「あらやだ、見ちゃった?」
ふふっと笑って部屋に移動。
「あ、お母さん。明日近藤と遊びに行くから」
「何時から?」
「朝の七時」
「朝御飯どうするの」
「いらない。近藤と食べるから」
「はいはい」
「たまには連れていらっしゃいよ」
「うん。じゃおやすみ」
「おやすみなさい」
「おやすみ」
部屋に入って着替え、布団を敷いて寝る用意。
布団に入れば先生が俺の浴衣を乱して胸を触ってる。
結構触るの好きだよなぁ。
というか胸を触るのがすきなのかも?
腹はあまり触らないし。
先生の手も水が温かくなってきて手荒れがマシになってるようだ。
そうやって俺に甘えてるのは可愛くていとしくなる。
そのうち、寝息に変わってきた。
俺も寝よう。
翌朝食事の支度をしてると律君が行ってくる、と台所に顔を出した。
「行ってらっしゃい」
「お早うお帰り」
「気をつけるんだよ」
三者三様に送り出して配膳。
孝弘さんも出てきた。
朝ご飯を食べて、今日は平日だからお洗濯やお掃除のお手伝い。
「山沢さんちょっと、お買物行ってきて」
メモを持たされて買物へ。
重い洗剤類とトイレットペーパね。
買い揃えて帰る。
「トイレの洗剤頂戴」
渡すとすぐトイレの掃除に取り掛かられた。
「俺、ふろ洗ってますから」
「うん」
風呂を洗い終え、ひょいと出たら律君と近藤君がいた。
「うわぁっ」
ありゃ。
律君が慌てて近藤君を後ろ向かせて連れてった。
「どうしたの?」
ぱたぱたと先生が駆けてきた
「や、気づかなくて」
長襦袢を着て長着を手に。
先生に叱られた。
なんでだ。
長着も着て居間に戻ると八重子先生がお昼できた、と言うので台所へ取りに行く。
配膳を済ませて孝弘さんを呼びに。
先生は律君たちを。
食卓についてお昼をいただく。うまい。
近藤君がすぐ目をそらすんだよな。
仕方ないか。
「お昼の後は草むしりね」
先生にそういわれて台所を片付けた後麦わらを借りて庭に下りる。
小鳥の声、木のざわめき。
そんなものを聞きつつ。
お、でっかいみみず発見。八重子先生のガーデニングエリアに放つかな。
草むしりをしていると時間がわからない。
あっという間に日が暮れて美味しそうなにおいがする。
先生がお夕飯そろそろだからと呼びに来た。
手袋を脱いで手を洗い、ついでに顔を漱いで居間へ。
すでに配膳が済んでいた。
座るとご飯を渡されていただきます。
筑前煮メインに俺にはしょうが焼きがついてきた。
草むしりを手伝ったご褒美、と言ったところか?
野菜もそれなりに食べさせられた。
満腹満腹。
先生が台所に片付けに立った。
八重子先生がお茶を入れてくださり団欒。
先生が洗い物を終えて戻ってきたとき、何かに蹴躓いて俺の上に転んだ。
「きゃっ」
「うぅ、いてて」
後頭部打った。
暫く呻いて先生も起き上がれずじたばたしてる。
「ただいまー。え?」
あ、司ちゃん…。
「えーと、その。おばさん?」
「あら? 司ちゃん? あらあらあら」
「痛い、先生、そこっ」
手を突いたところが悪い。痛い。
「ご、ごめんなさい」
先生も慌ててる。
「ただいま。って何してんの?」
「あー、律君良いところに。悪いけどお母さん引っ張りあげて」
よいしょっと律君が先生を引き上げてくれてやっと起き上がれた。
変な風に乗っかかられて力が入らなかったんだよね。
「ああ吃驚した。あんたらご飯食べてきたの?」
「いやまだ。何かある?」
「んー、そうねえ。筑前煮まだ残ってるしお漬物とお野菜の煮たのとあるわよ」
「それでいいよ。おなかすいた」
「はいはい」
後頭部を擦り擦り、先生が出すものを食卓に並べる。
「さっきなんであんなことなってたの?」
司ちゃんも聞きたそうだ。
「それ、そこの。先生が躓いてね」
畳縁から出ている小さい何かを指差す。
「あ、ほんとだ」
「見えない…なにかあるの?」
「うん、なんだろう」
律君たちが食べてるのを見つつ、先生にそろそろ、と挨拶をする。
「明日もお仕事だものねえ。お稽古は来れないんでしょ?」
「はい、残念ながら。土曜日にはきますから」
「わかったわ、気をつけて帰ってね」
「ええ、有難うございます」
玄関まで送られて、人目のないのを確認して唇を合わせてくださる。
少し頬を染めてて可愛い。
「連れ帰りたくなるな」
「駄目よ…また、ね」
「わかってます。じゃあ」
「おやすみなさい」
「おやすみなさい」
別れて帰宅し、風呂に入ってすぐに寝る。
明日は営業をしなければならない。
さて起床して出勤だ。
なんだか面白くないが仕事だから仕方ない。
ざっとこなせば昼前だ。
飯を食って営業周り。
道順を組む。
あれ?あ、いいこと考えた。
ここを最後にしたら先生の顔見るくらいできるかもしれない。
よし、と気合一発入れて営業する。
最後のホテルを出るとき、テイクアウトコーナーで売っているデザートを
持ち帰らせてもらうことにした。
たまにはケーキも良いじゃないか。
その足で先生のお宅へ。
「こんばんは。お邪魔します」
「あらぁ?いらっしゃい、どうしたの?」
「これ、ケーキ。近くまで来ましたので持ってきました。
「あらあらあら。おいしそう。冷蔵庫入れておいてくれる?」
台所に行って八重子先生に挨拶して冷蔵庫に入れる。
「あんた時間あるならお稽古して行ったら?」
「いいんですか?」
着替えといでと言われ、着替えて茶室へはいる。
「あら。お客様に入ってくれる?」
「はい」
こんにちは、と言われて挨拶を返しそのまま次客へ。
そのままお稽古は進み、生徒さんは帰られて俺の番だ。
台子は出てないので通常の風炉を。
流石に怒られはしない。
手直しされるだけだ。
お稽古が終わり水屋を片付けて、お夕飯はいただかずに帰った。
帰宅後先生からケーキ美味しいとのメール。可愛い。
土曜日に来るのを待ってるとか書いてある。
何か嬉しい。
明日の仕事も頑張ろう、そういう気になれた。
飯を食って寝る。
適度な疲れ。
よく寝れて朝。起きた。よし、頑張ろう。
ちょっとひんやりしてるなあ。
仕事をしているうちに段々温かくなって、上着を脱いで、脱いでしている。
たまに忘れて帰ってしまうのが難儀だ。
そういうと先生が仕事着にすべて名前を書いてくれた。
だから最近は忘れてもちゃんと次の日に回収できるようになって助かっている。
帰り道、行く気になってジムへよった。
寒いと行く気がしなかったのは汗が引いた後風邪を引く気がしてたからだ。
温かくなったからには風呂がてら行かないのは勿体無い。
ジムで汗をかいて風呂で洗い流し帰宅する。
程よい疲労感。
温かい日差しと眠気。
おやすみなさい。
ふと目が覚めれば暗くなっていて、腹も減る。
メシ。
何食べよう。
面倒くさいな。
とりあえず着替える。買いに行くにも食べに出るにも着替えねば始まらない。
財布と携帯を持ってぶらりと家を出る。
あ。
パスタにしよう。
どこだったかソラマメのパスタをしていたはずた。どこだった?
暫く考え込んで思い出し、店へ行って頼んだ。
少し女性には多いそれを食べて、更に一品を頼む。
先生となら、先生が食べれない分を食べてしまえば良いんだが。
食事を終えてコンビニで甘いものを買って帰る。
うちに帰ってからプリンを食べて、寝た。
翌朝、出勤。
さすがは土曜日忙しく。
途中先生からメールが来た。
"カツオ食べたいわ"
ああ、カツオね、はいはい。
1尾キープしてもらってお仕事お仕事。
終った。疲れた。
魚を持って帰宅する。
先に車に積み込んで、シャワー入って着替えたらお稽古場に移動だ。
ついて渡すと八重子先生がちょっと悩んでいる。
「どうしました?」
「冷蔵庫に入らないからどうしようかねぇ」
「あー。氷いれてきてるんで土間にでも」
そう? といって土間に置いてもらい、手を洗って水屋を用意する。
先生も茶室に戻ってきた。
「あのね、今からの生徒さん、お休みになっちゃったのよ。
 だからあんたの先にみてあげるわ」
「ありゃ。そうですか。じゃ用意します」
手早く用意してお稽古をつけていただく。
終ったころ、次の生徒さんがいらっしゃった。
ナイスタイミングである。
さくさくとお稽古は進んで生徒さんが帰られた。
「さてじゃ仕舞いますか」
「そうね」
「絹ー、あんた片付けて山沢さん台所来て頂戴よ」
八重子先生が茶室に顔を出した。
「どうして?」
「カツオ。私がするより山沢さんのほうが良いだろ」
「あらそうねえ。じゃこっちはしとくわ」
とりあえず汚れて良い服に着替えてからカツオを下ろした。
四分一は炭を貰って叩きに。
後は八重子先生が好きにすれば良いということであらとかを片付けた。
なまり節を作るらしい。
あとヅケとおろし和えにするらしい。
へー。
いろいろにして食うもんだなぁ。
手を洗って服を着替え、食卓を片付けてお箸や取り皿を出す。
しばらくして先生も戻ってきて配膳を始めた。
あ、炒め物の匂い。
と言うことは俺の分かな。
律君が帰ってきて、孝弘さんを呼びに行って。
しばらくしてタタキとかヅケとかお刺身とかになって出てきた。
俺の分には肉野菜炒め。
ごはんをよそってもらっていただきます。
炒め物は生姜の風味がする。
おいしいなぁとにんまり。
「カツオ、美味しいわね」
「うん。山沢さんが持ってきたの?」
「そ、お母さんが食べたいって仰ったからね、良いのを持ってきたんだ」
「1尾丸ごと持ってきてくれたのよ」
「高いんじゃないの?」
「仲卸だからね、そうでもないんだよ」
「後でお支払いするから教えて頂戴ね」
「いいですよ、そんなもん」
「だめよ、私が食べたくて頼んだんだから」
「いやいやいや」
「貰っときなさいよ。いいから」
「そうですか?」
「私から持ってきてっていったのは払わせて頂戴」
「そうおっしゃるなら」
ご飯を食べて後片付けしてまったり。
お風呂、と先生方が入って。
なんだかんだ眠くなってきた。
そろそろ、と先生と布団に入る。
何もしてないうちから腕を噛まれた。
「ん? どうしたんですか?」
「なんとなく…噛みたくなっちゃったのよ」
「じゃなんとなく、ここ噛んじゃおうかなあ」
さわっと股間を撫でる。
びくっとしてか細くダメ、というのが可愛い。
「眠そうだね」
「うん…寝て良い?」
「そういうときもあるよね、いいよ。おやすみ」
「ありがと」
キスだけして寝かせた。
ちょっと物足りないけどしょうがない。
おやすみなさい。
翌朝、すっきりとした顔で先生が先に起きている。
俺が起きたの見計らって布団から出て身づくろいしてて、綺麗で良い。
見とれてるとあんたも早く支度しなさいって言われた。
もうちょっとーと甘えてみたら布団引っぺがされた。
そんなとこでオカン発揮しないで欲しい…。
しょうがなく起きてご飯の用意をして食べて。
お洗濯のお手伝いをしてパタパタしてるとあっという間に昼の支度をせねばならない。
お昼の支度をして食べる。
さて午後からはどうしようかな。
あ、そうだ。
「先生、来週、日曜から旅行しません?」
「旅行?」
「水曜までダメですか、先生お借りしちゃ」
八重子先生に振ると、別に良いよと仰る。
「どうですか?」
「お母さんが良いなら良いけど、律にはどういうの?」
「普通に旅行行くで良いじゃないですか」
「そう?」
「堂々といえば問題ないでしょ」
「そうかしら」
「まだ宿とってないから、取れたら本決まりで良いですか?」
「あなた会社は?」
「4半期に3日休んで良いことになってまして既に休むの言ってあります」
「あら」
タブレットを引き寄せて目当ての宿に連絡する。
その後喋っていると一時間ほどでメールが帰ってきた。
一階が取れるようだ。
茶室付の離れとどっちでも取れるとのこと。
先生に提示したところ、茶室はなくて良いということになり、
普通の1階の部屋を取った。
食事についての連絡をしっかり目にしておく。
来週は先生と旅行か、楽しみだ。
「ああ来週しないなら今からしようかね」
「へっ?」
「お稽古。昨日一回しかしてないだろ」
「あ、はい。いいんですか」
「じゃ電熱器の方でする?」
「炭、熾すの面倒だからねぇ」
そんなこんなで水屋の用意をしてお稽古5回。
夕方になってしまった。
先生と夕飯のお買物に出て沢山買い込む。
「あなた明日来るの?」
「これそうなら」
「できるだけ来なさいね」
「はい」
お夕飯の支度をして食べる。
和気藹々とした食卓はにぎやかで良い。
お片付けをしたら帰る時間だ。
「帰りたくないなぁ」
「明日お仕事でしょ、早く帰って寝なさい」
「ここから通えたら良いのに」
「はいはい、無理なこと言わないの。ほら」
急き立てられて帰る。
疲れて帰って脱いでベッドに倒れこむ。
あっという間に寝てしまった。
翌朝出勤し仕事をする。
暇だ。昼になるに従い暑くなってきた。
ぽいぽいと脱ぎ捨てつつ仕事をして帰宅。
あ、服忘れてきた。まぁ良いか。
先生からメール。
暇ならお稽古来なさい、と。
どうしようかな…。
行くか。
よし行こう。
身支度して電車に乗り先生のお宅へ。
「こんにちはー」
「いらっしゃい、用意して入ってらっしゃい」
「はい」
鞄を置いてお稽古に混ぜてもらう。
上級の方々とのお稽古は緊迫感がある。
そして叱られるのは私だけだ。
内弟子には厳しい。と言うことにしてある。
お稽古がすんで、お夕飯のお手伝いをして食べた。
先生と二人台所で片付け。
帰りたくないなぁ。
「なぁに? また言ってるの? 明日お仕事でしょ」
「ですけど帰るのが面倒くさくなっちゃいました」
「お仕事ちゃんと行かなきゃだめよ」
少し考えて。
あちらの家に行かないか、と言ってみた。
「今、してあなたが寝る頃にこの家を出れば。仕事間に合うからどうかな」
「ダメよ。帰んなさい。寝不足で仕事なんてダメ」
くい、と引き寄せてキスする。
先生はぎゅっと俺の手を握って…唇が離れると頬を染めている。
「可愛いな。あちらへ行かないならここで続き、しちゃうよ?」
「だめ、ね、良い子だから今日は帰って寝て頂戴」
首筋に手を這わせてくすぐる。
びくっとしてて本当に可愛くて。
「だめ?」
「そう、だめよ…お願い」
「しょうがないな…そのかわり」
先生の身八つから手を入れて乳首にリングをつけた。
「明日、朝までつけてて」
真っ赤になって、崩れた部分を整えてる。連れ帰りたい。可愛い。やばい。
「去年、外したままそれっきりだったでしょ?
 今度は18金にしてみました。デザインはお風呂のときにでも見てください」
こくり、と頷いて。
このままでは居間に戻れないからくだらない話をする。
先生が普通に話せるまで。
本当ならそのまま居間に連れて行って恥ずかしがってるのを楽しみたいけどね。
「さて。諦めて帰りますね。また明日」
「ん…明日、ね」
居間で八重子先生に挨拶して玄関へ。
「おやすみなさい」
「おやすみ、気をつけて帰ってね」
「はい。じゃ…」
暫く見送ってくれた。
電車に揺られて帰宅し着替えてすぐに眠りに落ちた。
翌日暇な仕事はとっとと終らせ先生のお宅へ。
先生は逢うなり俺を見て頬を染めて手を握ってきたがどうしたのだろう。
「あの…」
「どうしました?」
なにかもじもじしている。
クゥと先生のお腹がなった。
「ほら、早く食べてきてくださいよ。水屋支度してきますから」
「あ、うん…」
頬を染めたまま、戻っていった。
いいけどさ、八重子先生だけだろうし。
用意をして生徒さんが来られてしばらくして先生が定刻で茶室に。
うん、いつもの先生の雰囲気に戻ってる。
切り替えが早くて凄いよな。
そのままお稽古は進み俺のお稽古へ。
いつものように厳しくて、でも目が合うと一瞬そらしてるような。気のせいか。
お稽古が終って水屋を片付けていると先生がご飯終ったらあちらの家に、と言う。
なんだろう。
とりあえずご飯を食べて、ちゃんと律君たちがいるときは先生は平常で。
よくわからないまま先生とあちらの部屋に入った。
鍵をかけたらすぐ先生がぺたりと俺にくっつく。
「どうしたの?」
「あなた、昨日あんなのつけるから…」
あ。忘れてた。
「外したんでしょ?」
「外したけど…その…」
「欲情しちゃった?」
「…ばか、恥ずかしいわ」
「我慢できなくなっちゃったの? 可愛いな。抱いてあげる」
凄く顔が赤くて凄く恥ずかしがってて大変に可愛らしい。
たまらんなぁ。
着物を脱ぐのも焦っちゃって、と言う様子。
「そのまま抱いてあげようか? とりあえず一回したらゆっくり脱げば良いんだから」
「汗が困るわよ…」
じゃ、と手伝って脱がせた。
珍しくも脱ぎ散らかしたまま先生は床で抱かれた。
しばらくして息が荒いのが収まって、気分も落ち着いたようだ。
「恥ずかしい…」
「ん? 俺は恥ずかしがってるあなたが好きだから。良いけど」
「ひどいわ」
くすくす笑って柔肌を撫でる。
気持ち良い。
「で、どうします? 一旦戻りますか? それとも10時くらいまでここにいますか」
「そう、ね。あなた我慢できる?」
「できますよ。もう一度くらい、家でもさせてくれるんならね」
「だったら帰るわ。お風呂も入らなきゃいけないし」
「あぁ。じゃその前に」
先生の汚れたそこを舐める。
「あっ、もうっんんっだめよ、舐めないで…」
そういいつつも押し付けてくるのが可愛い。
でもつんつんとお尻の穴を舌先でつつくと身体が逃げる。
黒ずんでなくて綺麗でやっぱり体質って重要だ。
ずっと我慢していたからか、軽く舐めてるだけで逝ってしまった様だ。
ちょっと怒ってる。
にこにこと見てたらなんなの?と聞かれた。
「ん? いや怒ってるあなたも綺麗だと思って」
「もうっ」
先生は息をついて着物を着る。
俺はその間に手と口を漱ぐ。
そして帰宅。
先生はそのままお風呂へ。
俺は八重子先生とおしゃべり。
先生がお風呂から上がってきたので火の始末や戸締りを確かめた。
八重子先生に挨拶して先生と寝室へ。
布団を敷いて先生が髪を乾かすのを待つ。
ふぅ、とドライヤーを置いて落ちた髪を拾い上げてる。
眉根に皺。
「どうしたんです?」
「ん、白髪。やんなっちゃうわ」
「先生は少ないような気がしますが」
「そう?」
「俺はほら、ここにたくさん」
「あらほんと、見えなかったのに結構あるのねえ」
するん、と先生の股間に手を這わす。
「ここは、もうないでしょ?」
「あ…」
見つけ次第抜いてるしね。
「ね、片付けるまで待って…先、布団に入っててくれる?」
「うん」
手を離して布団に入る。
横になって先生が細々としてるのを見てるのも楽しい。
そろりと布団に入ってきた。
いつになっても照れくさそうに入ってくるのが可愛らしく。
たまにそのまま寝ちゃうけれど。
キスをして、ゆっくりと丁寧に抱く。
さっきは先生が急いてたからざっくりとしか出来なかった。
滑らかな肌も心地よく、背中に腰にと手を這わす。
白い肌が徐々にピンクに染まる。
幸せそうな顔を見ていると嬉しくもあり、いじめたくもあり。
まあでもここで声を立てられるとそれはそれで困るから。
幸せな顔だけ見ているとしましょう。
ゆったりと抱いて眠る。
寝息も心地良い。
翌朝、目が覚める。先生は気持ちよさげな寝息で。
布団から出たくないなー。
とは思うものの、律君も学校だから朝飯作らないとね。
布団に先生を残して台所に向かう。
ちょっとひんやりした朝だ。
ご飯を炊いてお味噌汁と焼き魚。酢の物と納豆。
ととのった頃先生が起きてきて食卓を片付けている。
八重子先生も起きてきた。
今日は皆お寝坊さんか。
「律ー、いい加減にしないと遅れるわよー」
そんな声が聞こえてる。
朝が涼しいと布団から出たくなくなるよね。
お母さんをしている先生も好きだな、微笑ましい。
皆で食卓についていただきます。
ご飯を食べて律君を送り出したらお洗濯。
掃除、掃除。
先生に指示を貰ったり。
平穏な日常も先生となら楽しい。
お買物へ行ってお昼と晩のおかずを考えるのも先生と共に。
幸せを満喫。
「明日どうするの? くるの?」
「うーんどこのホテルにしようかと」
先生に近隣のホテル情報を教えてもらう。
生徒さんからの口コミらしい。
「うちの近くは一緒に行くけど…この辺は行ってませんね、たまには行きたいなぁ」
「中々ねえ。家族いるとね」
「作っといてよそ食べに行くのも面倒になりますよね」
「そうなのよね、もう良いかってなっちゃう」
「八重子先生に作ってもらって俺らは出るというのも何かちょっと」
「そうよねえ。まぁ機会が有れば、にしましょ」
「はい」
帰宅してお昼を作って食べて、また掃除。
草むしりに庭に下りる。
八重子先生に抜いてはいけない雑草に見えて雑草じゃない奴を教えてもらって。
黙々とむしってると先生が下りてきて麦わらを頭に載せてくれた。
「涼しいけど…日に焼けるわよ」
「ありがとう。で、悪いんですが背中かいてくれません?」
「ここ?」
「あー、気持ち良い。この手ではちょっとかけなくて」
くすくす笑って軽めに掻いてくれて。
ぽんぽんと頭をなでて掃除に戻って行かれた。
さて再開。
夕飯の匂いがするまで頑張って手袋を脱いで手を洗い顔を漱ぐ。
「お疲れ様、ご飯できたわよ」
おいしくて沢山頂いて満腹。
「じゃあ。また明日、来れたら来ます」
と別れて帰宅した。
すぐに風呂に入って寝る。
起きて出勤。
暇だ。
今日は雨の予報と言うこともあり、いつもよりも更に暇だ。
あくびも出る。
今日はどこを回ろうかなあ。
いくつかプランを考えて事務方に見積を作ってもらった。
仕事が終って着替えてホテル回りをする。
いくつか回って交渉し、最後に先生に教えてもらったホテル。
なるほど良い雰囲気でお勧めされる理由がわかる。
遅めのランチなのか早めの夕食なのかお客さんもおいしそうに食べている。
交渉の反応は悪くない。
営業を終えてケーキを買う。
先生に差し入れしよう♪
そのまま車を走らせ先生のお宅へ。
「あぁ来た来た、入って」
「はい、あ。着替え」
「なくてもいいわ、お客様して頂戴」
はいはい。
正客に入り、お茶をいただいたり問答をしたり。
生徒さんのお点前が終わって俺のお稽古。
お夕飯も頂いて先生たちとケーキを食べる。
おいしい。
先生も幸せそうな顔をしている。
甘いものは別腹らしい。
暫く団欒を楽しんで帰宅する。
トイレに入って気がつく。そうか今日からか。
夜更かしせずさっさと寝よう。
おやすみなさい。
翌朝、もっと寝てたくてグダグダしつつも出勤する。
暇なりに荷物は動き昼前に仕事が終った。
眠い。
早く帰って寝よう。
帰宅すると先生が来て飯を作ってくれてた。
食い気より眠気なんだが…。
作ってくれたんだからと食うことにした。
うまい。幸せ。
「あら眠そうねぇ、寝てくる?」
「うん。あなたもおいで。洗い物後でいいから」
くすっと先生が笑って台所に食器をつけ置きしている。
暫くして着物を脱ぎ寝巻を着て布団に入ってきた。
懐に抱きこんで寝る。
良い匂いだ。
3時間ほどだろうか、ぐっすりと寝てふと目がさめる。
先生はまだ寝ているが先生も俺も汗をかいていた。
流石に昼日中、布団をかぶって抱き締めて寝てたら暑いよな。
そろりと布団から出てまずはトイレに。
それから先生が蹴っ飛ばしかけてる布団をはいで肌掛け布団に変更。
潜り込んだ。
丁度良い温かさだ。
もう眠気はないけれど先生を抱いてごろごろしてるのは幸せで良い。
少しして先生も起きた。
軽くキスする。
俺の腹がなった。
「あらもうおなかすいたの?」
「そのようで…」
くすくす笑ってる。
「冷蔵庫、何も入ってなかったわよ。何か買ってくる?」
「ん、コンビニ行きます。なんかいりますか?」
「あらどうせならお夕飯の買物もしましょ」
布団から出て先生は着替えだした。
「泊まっては…」
「いかないわよ。朝忙しくなるじゃない」
「ですよね。ってかどうしたの、今日は。来る予定なかったんじゃ」
「朝ね、お友達と会ってたのよ。大森に住んでる人でね。
 ランチ一緒にとって夕方まで遊ぶつもりだったんだけど…急に用事が入ったみたい」
「ああ、ついでですか」
「だって大森まで出たんだもの。そのまま帰るよりお昼作ってあげたくなったの」
一瞬むっとしたのを察知されたようだ。
「おいしかったよ。嬉しかった」
後ろから抱き締めてうなじにキス。
「だめよ、着替えてるのに。おなかすいてるんでしょ」
邪魔しないで、と手を外されて着替えるのを眺める。
時折先生は強い。
着替え終わってお買物へ出る。
先に喫茶店に寄って先生はレモンスカッシュ、俺はパンケーキとコーヒー。
腹の虫が泣き止んで、それからぶらぶらとお買物だ。
先生に任せてたらおいしいものが食べれる。
言われるがままに買い揃え帰宅するとすぐ割烹着を着て台所へ。
美味しいご飯を作ってもらって食べる。
食べてすぐ。
「じゃ帰るわ」
「え、ちょっと」
「明日も会えるんだから良いでしょ」
「飯つくりに来ただけですか、マジで」
「そうよ」
「昼にしとけばよかった…」
うふふ、と笑って頭をなでられた。
「明日待ってるわね」
「はーい、しょうがないなぁ。駅まで送ります」
「ありがと」
先生を送って、帰宅。
寂しさは寝ることでごまかすしかないなぁ。
おやすみなさい。
朝、気だるいが出勤して仕事。
少し忙しかった。
旅行の用意をした鞄を持って先生のお宅へ到着。
食卓を囲む先生に挨拶した。
「先生、旅行の用意出来てます?」
「えっあっ! 明日からだったわね、忘れてた…お母さん、お稽古ちょっとお願い」
先生が八重子先生を拝んで、今日は八重子先生とお稽古ということに。
とりあえずはお稽古の用意をして生徒さんを迎え入れる。
二人目のお稽古が終ったころ先生が戻ってきた。
八重子先生と交代だ。
生徒の皆さんが帰られた後、俺のお稽古。
今日もかなり怒られて少しへこんだ。
水屋は先生に任せ、荷物を預かり俺の荷物と共に宅配に出す。
戻ると既に食卓にご飯が並んで先生と律君が喋っている。
「そうそう明日から山沢さんと旅行行くから。あんたお父さんのことよろしくね」
「ええっ? 聞いてないよ」
「忘れてたのよね」
「おばあちゃんは?」
「行かないよ」
「そうなんだ? じゃなくて聞いてたの?」
「聞いてたよ。お稽古の都合もあるからねぇ」
「ただいま。やぁ律君、こんばんは。お母さんいないとさびしい?」
「そういうわけじゃないけど」
「水曜になったらちゃんとお帰しするから安心して待ってたら良いよ」
「それでどこ行くの?」
「伊豆だよ。八重子先生、これ宿の電話番号です」
「はいはい」
「あ、そうだわ、ドライヤー…」
「私のでよければ入れてますよ」
「部屋にあるんじゃないの?」
「ブラシついてない奴はあるんだけどねー」
ご飯を終えて片付ける。
「ね、明日これどうかしら」
「うん、いいんじゃないかねえ」
明日着ていく着物の相談をしてるらしい。
「ねえ山沢さんはどれが良いと思う?」
「どれでもいいですよ」
むっとしてしまったようだ。
「だってどれも先生が着たら似合いそうですから」
あ、ほころんだ。可愛い。
「そろそろお暇しますね。明日お待ちしてます」
「はぁい、気をつけてね」
そして別れて帰宅だ。
手荷物だけ用意して後は明日の昼は先生が来るまでに三友居さんの弁当でも買うか。
明日が楽しみだなぁ。
翌朝、ゆっくり目に起きて一応手荷物品の確認もすませた。
携帯には荷物の到着を知らせるメールが来ている。
先生から家を出たとの連絡をもらったのは11時ごろ。
さてそれでは、と松屋銀座へ。
中の人と話していると予約キャンセルが出てそれをお勧めされた。
勿論そっちを選んで持ち帰る。
暫くして先生が来た。
「いらっしゃい。お昼どうします? 今食べるか電車で遅い目のお昼にするか」
「泊まるところのお夕飯何時かしら」
「6時半にお願いしてます。新幹線は1時半です」
「じゃ…電車で頂きましょ」
上から下まで眺めて。
「なあに?」
「綺麗だな、と思って」
ぽっと頬を染めて可愛らしい。
少しお茶を飲んだり先生が手荷物を確認したり。
「じゃ行きましょうか」
「そうね」
忘れ物なし、テレビも電気も切り忘れはなし、と。
東京駅までタクシーで行き、新幹線に乗る。
お弁当を広げると先生が凄くうれしそうな顔をした。
ふふん。
おいしい、おいしいと先生が食べていて、俺も幸せだ。
ごちそうさまをして暫くしたら乗換え。
残念ながら普通車しかあいてなかったけれど海側の座席。
旅情を誘う風景だ。
俺は何度か来ているけれど。
駅について先生はきょろきょろしてる。
こっちこっちと手を引いて階段を下り外に出たらちょうど宿の送迎バスが停車していた。
先生を乗せて俺も乗る。
他の客を待って10分ほどして出発。
ほんの5分ほどで宿に到着し、フロントでお茶を頂きチェックインした。
手荷物を仲居さんが持って部屋に案内される。
送った荷物は部屋に入れてくれてある。
先生を上座に据えて落ち着くと化粧品を選ばせてくれる。
選んで細々とした説明を先生が受け、仲居さんが部屋を出た。
「すごいわねぇ」
と先生があちこちうろうろしてる。
これが見たくてつれてきたようなものだ。
「お風呂、入りますか?」
「そうね」
「その風呂か、大浴場かどっちが良いです?」
「ん、先にお部屋の入ろうかしらね」
じゃあ、とハンガーを出して先生を脱がせる。
「自分で脱ぐわよ…」
照れてるのも可愛いなぁ。
シャワー室でさっとかかり湯をして先生が風呂に入った。
俺は持ってきた浴衣に着替えて縁側から風呂へ。
「湯加減どうです?」
「気持ち良いわぁ」
「それはよかった」
湯がきらきらと反射し、先生の肌に。
綺麗だなぁ。
「ねぇ先生、付き合いだした頃熱海に行きましたね」
「あぁそうねぇ随分前に思えるわ」
「俺に抱かれるのもまだ怖がってましたっけね」
「あの頃はねえ」
「今は怖くない?」
キスする。
「たまに怖いわ」
肩を舐める。
しょっぱっ!
「どうしたの?」
「お湯、海水だったの忘れてた」
「あらあら」
くすくす笑って、そろそろ出るから、と言う。
俺も中に入ろうかな。
ぱしゃりと湯船から出てシャワー室に入ってすすいでる。
暫くすると宿の浴衣を羽織って先生が縁側に出てきた。
「良いお天気ねぇ」
「ですねぇ、湯冷めもしなさそうな」
風に先生は身体を冷まされるのを待っているようだ。
色っぽいなぁ、湯上り。
そろそろ引き寄せたくなって動いたら先生が立ち上がった。
「あなたお茶いる?」
「あー…はい、いただきます。が、冷蔵庫に冷えた水ありますよ」
「…冷蔵庫どこにあるの?」
こっち、と玄関の方へ連れて行く。
シンク下は冷蔵庫だ。
中に入ってるものを見て先生が楽しそうな顔になる。
青汁豆乳を持ってお座布団の上へ行き飲み始めた。
それ飲まれたらキスしにくいなぁ。
「それお腹膨れません?」
「うん、ちょっと」
「散歩しましょうか。館内案内しますよ」
「そうしてもらおうかしらね」
先生も持ってきた浴衣に着替え、一緒にぶらぶらと。
ここの館内履きは草履で普段から履きなれてる二人には気楽だ。
先生の手を引いて大浴場や売店、ジムやボーリング場などを見せる。
「広いのねぇ」
「あっちの方には居酒屋と日帰り温泉がありますよ。あさって昼に行きましょうね」
「明日は?」
「プールとエステ。エステは予約入れてありますからね」
「あら嬉しいわ。でもプール?」
「泳ぐんじゃなくてジャグジーみたいなやつですよ」
「水着持ってきてないわよ?」
「持ってきてありますよ、俺の見立てですけど。後で着てみてもらえます?
 サイズあってるか知りたいから」
「えっ」
赤くなってる可愛い。
ちょっとキスして頬を撫でる。
「あ、だめ、こんなところで」
「知らない人しかいませんよ、大丈夫」
「人前なんてはしたないわよ」
「可愛いなー」
「もうっ」
ゆっくり先生と歩いて売店へ。
BBクリームや口紅などを先生が見ている間に俺はサプリをいくつか。
「それ試してみますか? 色はピンク系でしょうかね」
店員さんが先生を見てこちらのお色のほうが、と勧めてくる。
手の甲に伸ばすと結構気に入ったようだ。
「じゃこれと口紅は?」
「あ、この色が良いかしら」
「うん、じゃこれとこれと…」
会計をして部屋に戻る。
先生が慌ててトイレに入った。
「我慢してたんですか? 売店にトイレあったんですよ」
「え、そうなの?」
トイレの中から返事が返ってきた。
出てきたので洗面所でさっきのBBクリームをオイルで取り、手を洗ってもらった。
大きい鏡を見ていると…先生の胸を揉みたくなってしまう。
いやもうすぐご飯だ、今はだめだ。
お座布団に座ってテレビを見つつ暫くおしゃべりして、ご飯の時間になった。
先生を連れてラウンジへ行く。
係りの人に案内されて今日は1階だ。
食前に梅酒を頼み先生と乾杯していただく。
「おいしいわねぇ」
「ですねぇ」
暫くして食事が運ばれてくる。
懐石のように一品ずつ。
「あら、あなたのメニューと私のメニュー違うのね」
「俺は魚苦手ですからね、その分あなたのお皿は良いものばかりお願いしてありますよ」
うふふ、と先生がうれしそうにしている。
次々と食べては出てくる料理。
「お腹膨れてきちゃったわ~でもおいしい」
「でしょ? どうしても多いなら助けますよ」
「そう?」
先生がちょっとずつ、残す分を平らげつつデザート。
「甘いものは」
「別腹ですよね」
うっふっふ、と先生がにこやかで見ていて本当に楽しくなる。
食後のコーヒーを頂いて部屋へ戻る。
「ああ、お腹一杯~」
「布団に寝転がっても良いですよ~」
「あらだめよーお化粧落としてないもの」
「じゃ、落としちゃいましょう」
「そうね」
「どうせだから脱いで…風呂で洗ったら良いでしょう」
「んー」
畳の上で俺の膝を枕に転がっちゃった。
そのままテレビを見ている。
番組が終って先生が脱ぎ始めた。
「あなたも一緒にはいる?」
「そうしましょう」
脱ぎ捨て先生と一緒にシャワー室へ。
先生が洗顔の間に背中を流し前も、と思ったがそれは自分ですると言われてしまった。
残念がりつつ自分の身体を洗って漱いで外の湯船へ。
う、あつい。
「早く入りなさいよ」
「ケツ押さんで下さいよ」
「お尻」
「ケツ」
ごつん、と拳骨が落ちてきた。
中ほどまで行って浸かる。
先生も俺の横に。
「あぁ良い星空ねえ」
「あ、ほんとですねえ」
ぱちゃぱちゃと湯を楽しんで先生に触れたり。
暑くなってはふちに腰掛けて涼んで、また冷えたら入って。
気持ち良いねえ。
先生が俺に覆いかぶさってキスして来た。
「そろそろ上がりましょ」
「はい」
シャワーで湯を流して宿の浴衣を羽織る。
先生は洗面台の前で化粧水をたっぷり目に使っている。
先ほど飯の間に化粧品が置かれていた。
俺も化粧水だけつけて布団に転がる。
「はー暑いー」
暫くごろごろして、むくっと起きて荷物の整理。
明日の水着を出して、後はいろんなものを仕舞ったり出したり。
ドライヤーはとりあえず先生の希望だし。
先生が戻ってきたので水着を渡した。
「着てください」
「いま?」
「そう、今」
「……え、こんなの無理よ」
「まぁそういわず」
渋々つけるものの凄く恥ずかしがる。
「綺麗だな」
「ビキニなんて恥ずかしいわ」
「ま、そうおっしゃると思って…持ってきてますよ、フィットネス水着」
着せてみると丁度良いサイズ。
「んー、でも俺はさっきのほうが良いなぁ」
「いやよ、こっちでいいわよ」
そういいつつ脱いで畳んでいる。
笑ってビキニは鞄に仕舞って先生を引き寄せる。
「なぁに?」
「そろそろ抱いて良い?」
「いいわよ」
掛け布団をのけて、先生を転がす。
キス。
「昨日してないから…」
「ん、わかってるわ」
まぁでも移動とかで疲れてるだろうからと軽めに抱いて。
案の定2回逝かせたら寝てしまった。
気持ちの良さそうな寝息がなんか良くて幸せな気分だ。
浴衣を着せてもう一つの布団に仕舞ってあちこち片付けて電気を消す。
布団は片方しか使ってないとしたのがバレバレで先生が困る。
ぐしゃぐしゃになったほうの布団に潜り込む。
大丈夫、先生の残り香がある。
おやすみなさい。

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さあ本格的な連休前だ。
荷物も動いて忙しい。
汗をかいてしっかりと仕事をして帰宅する。
シャワーを浴び、空腹のまま先生のお宅へ急ぐ。
「こんにちはー」
「いらっしゃい。お腹すいてる?」
「すいてます」
「すぐご飯にするから待ってて頂戴ね」
「はい。あれ? 八重子先生は?」
「お母さんねぇいま町内会の会合なの。もう少ししたら戻ってくるはずよ」
「じゃお手伝いしましょう」
野菜を先生が切る横でジャガイモを剥く。
ついでに夜の下拵えらしい。
「痛っ!」
「どうしました、ああ、こりゃ痛そうな」
指を少し切ってしまっていてつい舐めてしまった。
「う、痛いわ…」
「おいし…じゃなかった、ちょっと待っててください」
抗生物質と絆創膏を持ってきて血をできるだけ出してから塗りつけて巻く。
暫く圧迫。
先生の腕に垂れた血を舐めとる。
ん、着物にはついてないね。
そろそろ血は止まったかな? そっと離してみる。
にじみ出てこない。良さそうだ。
先生には指示を飛ばしてもらうということで食事の支度は交代。
「ねぇ…血、好きなの?」
「今更何を」
笑ってキスをする。
「だめよ…こんなところで」
「血の味しましたか?」
「…血なんておいしくないでしょ」
「まぁ嗜好品というか」
結構自分の血も舐めるけれど。
お昼を作り終えて配膳。
「いいから座ってて。傷口開いたら困るでしょ?」
「ありがと」
八重子先生の分は台所に残しておくか。
「ただいまぁ」
ナイスタイミングで帰ってきた。
「おかえりなさ~い」
「おかえりなさい、町内会どうでした?」
「ほんっと決まらないねえ。時間の無駄だよ」
八重子先生はそういいつつ手を洗いに行ったのでその間に配膳を済ます。
孝弘さんに食事を持って行って戻って三人でお昼を食べる。
ん、ちゃんとうまい。
先生から指示貰って味見もしてもらったからこれでまずかったらおかしいけど。
「あんた指どうしたの」
「さっき切っちゃったのよ。だから今日は山沢さんが作ってくれたの」
「血、止まってるみたいですけど傷口開くようだったら縫ったほうがいいでしょうね」
「縫うの? 怖いわ」
「縫わない方法はありますが結構痛いですよ? 接着剤で止めるんですけど」
「痛いのもイヤよ」
「痛くないの、指には難しいんですよね。すぐはがれちゃって」
んー、といいつつ悩んでる様子。
「まぁ様子を見て考えましょ」
「そうね」
お昼ご飯を食べ終わってお片付け。
孝弘さんのところから八重子先生がお膳を回収してきたのも洗う。
水がぬるくなったなぁ。
「一服したらお稽古するよ」
八重子先生がそう仰る。
「用意は…」
「朝ちょっとお稽古したからね、炭だけ用意すればいいよ」
「わかりました」
三人で暫くおしゃべりをして。
それから先生と炭の支度。
「今日はお薄とお濃とするわね。忘れちゃってるところ有るかもしれないから」
「はい、お願いします」
お稽古を一くさりやって、幸い間抜けなことはせずにすんだ。
水屋などを片付けたあと先生がお風呂に入る、と言う。
「その指で?」
「やめときなさいよ、傷口開くよ」
「でも汗かいちゃったもの」
「うーん、じゃ一緒に入りませんか?」
「そうしなさいよ、山沢さんに洗ってもらいなさい」
「一人で入れるわよ」
「ダメですって。洗ってあげますから」
「じゃ悪いけど…」
脱ぎにくそうにしているので着物と帯を脱がせ風呂場へ。
襦袢や肌着を洗濯籠へ入れて風呂に入る。
身体も頭も優しく洗ってあげた。
まぁちょっと胸を触ったり股間に指を滑らせたりキスしたり。
泡をすべて流し、軽く拭いて二人で風呂から出る。
む、浴衣が一枚しかない。
ここは先生に着せるべきだろう。
ないもんはしょうがない、と裸で風呂から出たところに律君が帰ってきた。
なんか先生が慌ててる。面白い。
笑ってたら先生に叱られた。
「横着して着ないんだもの。襦袢でも着たらって言ったのに」
着替えて居間に戻ったら先生が律君と八重子先生相手に喋ってる。
「あぁ、あんたねぇ、律も年頃の男なんだからもうちょっと気をつけなさいよ」
「ははは、すいません」
律君がこっち見れないでいる。
若いなぁ。
「はい、先生、手、出して」
「ん?」
「ちょっと血がにじんでるから」
先生の指から絆創膏を外し、湿したガーゼで拭き取る。
清潔にしてハイドロコロイド材で密閉した。
「一番痛くない方法で様子見ましょうね」
ごみを捨てて八重子先生からお茶を貰って一服。
もうちょっとしたらお夕飯の支度をする、と先生。
律君は要らないらしい。
旅行に行くとか。
彼女と?と思えば近藤君らしい。
はよ彼女作ればいいのに。
律君がそろそろ用意してくる、と部屋を出て行った。
この家の連休中の予定は律君が旅行に行くくらいのものだそう。
孝弘さんいるから食事がね。
ということで夕飯作る時間だ。
先生と台所。
指示を貰っていろいろ煮炊きをする。
味見。
うん、先生の味だ。
ことこと炊いてるとといい匂いがして、孝弘さんが台所に顔を出す。
先生が笑ってお饅頭を渡してる。
なんかいいなぁ。
最後に俺の分の野菜炒めを作って八重子先生と配膳。
さて食事だ。
煮物がちゃんと先生の味になってて美味しい。
律君はご飯を作ってる間に出発の挨拶をして行った。
なんか心配になるのはトラブル体質だからだな。
孝弘さんは饅頭食べたのに勢いよく食べる。
平常どおり。
GWというがこの家は平穏で落ち着く。
「お母さん、ちょっとー」
「あら姉さん、いらっしゃい」
「どうしたんだい?」
環さんだ。どうしたんだろ。
「こんばんは」
「あぁ山沢さん、今晩は。律は?」
「旅行なのよ~」
「あんたもご飯食べる?」
「あ、いただくわ」
お茶碗とお箸を取りに台所へ立つ。
「あら」
お茶碗を先生に渡してご飯をよそってもらってお箸と共に環さんの席へ。
「ありがとう」
暫く食べてやっぱりお母さんのご飯美味しい、と環さんが言い、先生が笑う。
「それ、山沢さんが作ったのよ」
「ええっ? ってなんであんたが作ってないのよ」
「指、ちょっと切っちゃったの。ほら」
すけて見える傷口に環さんが引きつってる。
「へぇ~、環さん、傷とか見るの苦手ですか」
「あら、私も苦手よ?」
「先生はわかってますって」
「山沢さんあなた平気なの?」
「だってこれ山沢さんにしてもらったんだもの」
「仕事柄結構さくさく切りますし。何針とかも結構ありますよ」
「そうねぇ、山沢さんの手、傷だらけよねえ」
「年々治りは悪くなってますけどね」
なんて話をしてご飯を終えて洗いに立つ。
環さんはその間に八重子先生とお話してるようだ。
あー、八重子先生がなんか怒ってる。
こっちきた。
「山沢さん、あっちの部屋の鍵かしてくれないかい?」
「あ、いいですよ」
ごそごそと探って渡す。
「環さんと喧嘩ですか」
「そういうこと。じゃあとは頼んだよ」
「はい」
苦笑して洗い物を終えて戻る。
「あらお母さんは?」
「出て行かれましたよ」
「そう…困ったわね」
「なんか盛大に喧嘩されてたようですが」
「うん…姉さんが年寄り扱いしちゃったのよ…」
「あーそれは腹立つかもですね。あ……そうだ、ちょっと失礼」
「どうしたの?」
「あの家電話ないんですよね。俺の携帯預けてきます」
ま、様子見がてら。
てくてくと歩いて部屋に着く。
「八重子先生、山沢です」
「はいはい、ちょっと待って」
招き入れられてどうしたの、と聞かれたので電話を渡した。
「先生も気がかりそうだったから機嫌直ったら戻ってくださいよ」
「年寄りなのはわかってるんだよ。だけどねぇ」
「腹が立つんですよね?」
「そう」
「俺は八重子先生は年より若いな、と思いますよ。色々と」
普通は娘の不倫認知しないし。
お茶を煎れて渡す。
「まぁ明日には戻るよ」
「わかりました」
テレビのリモコンとIHコンロの使い方だけ教えて帰ることにした。
おうちとは違うからね。
先生を抱いてるベッドで八重子先生が寝るのは少々微妙だなぁと思いつつ戻った。
「おかえりなさい、どうだった?」
「明日には戻るって」
「そう、ならいいんだけど」
心配そうだ。
「気になるなら枕元に携帯置いて寝ますか。それとも様子見てきます?」
「うん…ちょっと行ってくるわ」
はいはい。
孝弘さんにおせんべいを出してそれが綺麗になくなった頃、先生が戻ってきた。
「おかえりなさい。そろそろ寝ましょうか」
「あ、そうね」
そういって鍵を閉めてから居間へ。
「お勝手見てきます」
勝手口の鍵もかけて火の元を確かめる。よし。
居間へ戻ると孝弘さんは離れへ戻ったらしく先生が脱ぎ始めていた。
ん、色気を感じる。
「痛っ」
「紐、外すときに当たりますか? 外してあげますよ」
しゅるしゅると紐を抜いて肌襦袢に手を掛けるとちょっと慌ててる。
ふっと笑って着物を脱がせてハンガーにかけた。
「寝巻どこやりましたっけ」
寝間に、というので襦袢を着たまま移動する。
ほどくだけほどいてあげて先生が着替えてるうちに布団を敷いた。
俺も寝巻きに着替えて一緒に布団にもぐりこむ。
今日は暖かかったから寝間の涼しさに布団が心地よい。
するっと先生が俺の胸に頬をつけてきた。
可愛いなぁ。
多分今日はする気になれないだろう。
頭をなでて背中をなでて寝かしつける。
「いいの?」
「いいよ」
まぁしたいけど。しょうがない。
懐の中で時折溜息が聞こえる。
色々悩むこともあるんだろうが俺には相談しても仕方ないと思ってるんだろうな。
ちょっと情けなくは思うが。
もぞ、と先生が動く。
ん…キスされた。
「おやすみなさい」
なんだ寝る前のキスか。
「おやすみなさい」
しばらくしてやっと寝息。
良く寝られなかったようでよく寝返りを打っていた。
ということで布団に置き去りにして朝食を作る。
途中八重子先生が帰ってきたのでお茶碗とか出してもらった。
「絹は?」
「あまり寝られなかったみたいなので布団の中ですよ」
どうせ怪我してるし水触らせられんし。
ご飯が出来たから俺は孝弘さん、八重子先生は先生を呼びに行った。
4人で朝飯を食って八重子先生も通常通りに。
先生はまだちょっと屈託のある顔してるけれど。
洗い物をしたら後は家事だ。
洗濯物を畳んで干す。
下着は八重子先生がすることにして。
天気が良いから昼過ぎには乾くかもしれない。
先生はその間に掃き掃除をしている。
それくらいなら怪我には触らないだろう。
雑巾がけは俺が。
「お昼ご飯どうするー?」
「わしはいらん」
「あら」
「ちょっと出てくる。夕方か夜になる」
何か大物見つけたかな。
「山沢さんあんた何が食べたい?」
「んー…三人、明日お稽古はない……焼肉とかどうですか」
「あら、長いこと行ってないわね」
「そうだね、たまにはいいかも」
「じゃあ着替えるわ。山沢さん、手伝って頂戴」
さっきは八重子先生に手伝ってもらったらしい。
洗える小紋に着替えて帯も洗えるものに。
焼肉も着物で行くのか、凄いな。
八重子先生お勧めの焼肉やさんについた。
肉屋が経営しているらしい。
とりあえず6人前ほどロースやランプなどを頼む。
焼き野菜とかサラダも。
先生方はあまり食べなくて俺は沢山食べる。
「ほら、もっと野菜食べなさい」
先生が俺の更に椎茸やら獅子唐を次から次へと入れてくる。
帰ったら草引きしないと、と仰る。
「だめだめ、傷によくない。俺がやります」
「そんなの悪いわよ」
「治りにくくなってる自覚あるっていってたじゃないですか。とっとと治しましょ」
ということで肉を先生にも食わせる。
良質のたんぱく質を取って早く治すべし。
俺が誘ったので、と支払いを済ませて帰る。
午後は草むしりだ。
野良着に着替えて広い庭の草を取る。
先生にそれは雑草じゃないのっとか言われつつ。
気づいたら夕暮れで八重子先生がご飯できたと呼んでいる。
なにかなー♪
着替えて手を洗って食卓につく。
今日は昼しっかり食べたから軽め、と先生方は野菜中心だ。
俺と孝弘さんにはピーマンの肉詰めがついてきている。
美味しくすべてを食べてごちそうさま。
一服したら風呂だ。
八重子先生と孝弘さんが上がったので先生を連れて風呂に入る。
洗ってあげて風呂から出す。
それから俺。
そして風呂を洗って出た。
ちゃんと八重子先生が浴衣を置いといてくれてた。
羽織って部屋へ寄り、居間へ。
「はい、先生。手」
「先に髪乾かしたら?」
「すぐ済みますから」
昨日のを剥がして傷の状態を見る。
化膿してそうな兆候はないね。
新しいもので密閉。
ごみを捨ててから頭を拭く。
髪が短いから寝る頃には乾いてしまう。
「明日爪切らなきゃ…」
ん?
ほら、と足の爪を見せてくる。
「随分伸びちゃってたわ」
「ほんとだねぇ」
「手の爪は家事してるとあまり伸びませんよねえ」
しかし夜爪はやっぱり切らないんだな。
戸締りに立ったついでに火の元を確認して戻る。
「さ、寝ましょうか」
「そうね。お母さんおやすみなさい」
「ん、おやすみ」
「おやすみなさい」
部屋に連れ立つ。
布団を敷く。
先生を引き寄せると良い匂いがする。
シャンプーとか一緒なのに。
胸をまさぐり、していいか聞く。
布団に入ってから、と言うのでもぐりこんだ。
先生も入ってきたのでキスする。
今日は少々痕つけたところで構うまい。
律君居ないし。
乳房や腹、太腿にキスマークをつける。
手をやると結構に濡れていて嬉しくなった。
少し音を立てて弄るとダメという。
そういうけど気持ち良さそうで。
俺の手をかんだり、爪を立てたりして我慢してかすかに喘いで。
ぞくぞくするくらい綺麗で色っぽくて。
何度か逝かせたら満足した。
汗が冷えないうちに寝かせて、俺も昼の疲れでよく寝た。
朝はいつものように先生を置いて朝ごはんの用意。
八重子先生と二人。
「あんた明日は仕事?」
「そうなんですよ」
「終ったらおいで。お稽古するから」
「いいんですか? じゃお言葉に甘えます」
今日の予定はと聞けば蔵の片付け。
朝御飯終わりしだい。
ということでさっさと朝飯を食って蔵へ。
先生はまだ寝ている。
八重子先生に、あれをここに仕舞ってこれはこっちへと指示を受けつつ。
「男手じゃないけど助かるよ。重いから辛くてね」
「もう数年もしたら律君も重いもの軽々と持つようになりますよ。まだ途上でしょう」
「律じゃ茶道具はわからないからねえ」
「まったく?」
「興味ないみたいだよ」
「勿体無いなぁ。けど家でやってるとそんなものかもしれませんね」
昼前、そろそろお昼の支度しないと、と思ったら先生が呼びに来た。
いつの間にか起きてたらしい。
ん、先生の頬に枕のあとが。
指摘すると俺の顔には埃をこすった痕がついてると。
八重子先生が手を洗って着替えに行き、俺はついでに洗顔も。
着替えて食卓に着く。
孝弘さんがまたもや出てるのでスパゲティだ。
クリームパスタってやつだな。
残ってた塩鮭、水菜。
「お味噌入ってるのよ」
へぇ、うまいなぁ。
色々作るよね。
ふぅふぅいって食べ終わる。
ご馳走様をして洗い物。
「あ、お鍋とか洗ってないからよろしくね」
台所に行くと散乱はしてないものの洗い物は残してある。
八重子先生が見たら怒りそうだ。
それとも傷が治るまでは八重子先生も大目に見るかな?
綺麗さっぱり洗ってお茶を頂いて一服したら先生は掃き掃除、俺らは蔵整理再開だ。
夕方、日が暮れるまでかかってようやく目処がついた。
「お風呂、お湯張ってあるから入って」
先生から声がかかり一番風呂をいただく。
すっきりしてからお夕飯を手伝い、風呂上りの八重子先生と孝弘さん、先生で食べた。
「じゃ、俺そろそろ帰ります」
「お疲れ様。また明日ね」
今晩の洗い物は八重子先生がするらしい。
電車に揺られて睡魔に誘われる。
帰宅してベッドになだれ込みたいのを我慢して脱いでハンガーにかける。
ベッドに倒れこんでお休みなさい。
疲れを何とか回復した朝。出勤。
競り中に地震、少し慌てたが…まぁなんともなく。
事務方は大変そうだったけど。
朝は少しばたつく。
でもその後は暇になった。
悠々と仕事を終えて帰宅する。
シャワーを浴びてから先生のお宅へ。
「いらっしゃい。ご飯食べてきたの?」
「はい。食べてきてます」
「じゃ、早速だけどお稽古しようかねえ」
先生方も早々に食べちゃったらしい。
「そういえば朝方の地震、大丈夫でした?」
「ちょっと揺れただけよ」
「あんたのとこは結構揺れたんだろ」
「それなりに。ちょっと驚きました。でもなんともないですよ」
「絹が電話、っていったけど止めたんだよ」
「ああ、地震とかの後ってどうせ繋がりませんよね」
「心配はしてたのよ?」
「ありがとうございます」
用意をしてお稽古スタート。
いくつかの種類をする。
先生は指の傷があるため台所も草取りも出来ない。
必然的に俺の稽古だ。
お稽古の合間合間に話をする。
八重子先生はどうやら連休中に草取りと蔵整理を完全にしたかったらしい。
が、先生の怪我で半分くらいしか終れてないのが不満だそうだ。
「怪我しちゃったものは仕方ありませんよ」
「でもねぇ予定がって言われちゃったの」
「来週、もう少し手伝いますよ」
「ごめんね」
「早く治ると良いですね。後で傷見せてください」
「ありがと。じゃ次は何しようかしら」
「時間、まだありますし台子したいです」
「じゃ出してきて」
台子を出して組み立てて皆具を定位置に。
それからお稽古。
少し迷ったり悩んだり。
都度つど厳し目の指導をしていただいてると八重子先生がきた。
「あんたらもうそろそろご飯にするよ」
何度かお稽古するうちに日が暮れてたらしい。
急いで片付ける。
火の始末だけは念入りに。
ご飯何かなー。
横で茶入や棗を仕舞ってる先生が綺麗でついキスして叱られた。
でもなー真剣な顔してるときの顔、素敵なんだよな。
「早く片付けなさい。ここではダメって言ってるでしょ」
「はーい」
コツン、と額にこぶしを当てられた。
てきぱきと片付けて台所に行く。
先生と配膳。
今日は肉じゃがだ。
それも牛肉で。
俺が牛肉の肉じゃがが好きだといってたからだそうだ。
凄く嬉しい。しっかり餌付けされてるなぁ、なんて思いつつ。
「そういや律君はいつ帰ってくるんですか?」
「明日の夕方って言ってたっけねえ?」
「多分そう言ってたような気がするけど…どうだったかしらね」
折角兜が飾ってあるのに本人が居ないとはね。
「そういえば昔かぶってみたことあるなぁ」
「あら、山沢さんがかぶるの? 見てみたいわねえ」
「っていくらなんでももう無理ですよ」
頭に載せられてしまった。
先生は俺でひとしきり遊んでそろそろお風呂と言っている。
兜をなおして先生とお風呂。
菖蒲湯だ。
お風呂で先生を洗い、お湯に浸かる。
気持ち良い。
「ここ何年、いや十年以上こんなの入ってないなぁ」
「男の子が居ないおうちならそうかもしれないわねえ」
「最近は一人暮らしですし」
「銭湯とか行かないの?」
「ああ、そういえば冬至のときは銭湯に行ってました。ゆず湯」
暖まったので湯から出て先生の背中を拭いた。
風呂場から出る前にキスを。
後は布団の中で、と言うことで浴衣を着て先生は居間へ。
俺は部屋へ寄ってから先生のもとへ。
「はい手ー出して」
一昨日貼った分は結構ふやけてしまっている。開封して匂いも確認。
膿んでないね。
くっついてきてるから水で洗って拭きとって密閉。
八重子先生が覗き込んでいる。
「結構きれいについてきたねえ」
「縫うより綺麗にくっつきますよね。膿む心配がないならこれが良いですよ」
暫くテレビを見てくつろいで。
そろそろ寝ようという話になる。
「じゃ戸締り見てきます」
「火の元確かめてくるわ」
ぱたぱたと確認しに行ってお勝手も確認する。
さて寝ましょ寝ましょ。
布団の中に二人もぐりこんで先生の胸に触れる。
摘んだりなでたりくすぐったりするたびにかすかな反応があり楽しい。
「ねぇ…」
「なんです?」
「…寝ちゃうわよ?」
「寝れちゃいますか。じゃこっち」
太腿の間に手を差し込む。
「こんなにしてて寝れるんですか?」
「ばか」
結構に先生の身体を堪能してそろそろ疲れたというので寝かすことに。
眠そうな先生も可愛いんだよな。
翌朝、やっぱり起きれない先生を置いて食事の支度。
今日は八重子先生と蔵整理の続きの予定。
ぶつくさ言ってるので俺が泊まった翌日は仕方ないですよと宥めた。
怪我してようとなかろうと朝は使い物にならない。
お昼ご飯を昼前に起きれた先生が作って食事をとる。
午後から草引きかな。
曇り空で少し冷えるが、汗かかなくて済むし。
「午後はどうします?」
「あんたは草むしり頼むよ。絹は蔵の整理手伝って」
「え、あ、そうね」
「だったらこれ使ってくださいね」
白い手袋とナイロンの手袋を鞄から出す。
こないだ買ったのを入れたままだった。
「ありがと。それじゃそろそろ」
はいはい。
「これかぶって」
麦藁帽子だ。
この間うなじがひりひりする、と言ったからだな。
黙々と草を引く。これは雑草じゃないって言ってたな。
あ、ひなげし。
外来種の奴。こんなところにも生えてるのか。
種が落ちないようにむしって捨てる。
少し冷えて、少し暗くなってきた。
玄関からただいまの声。
律君が帰ってきたようだ。
八重子先生と先生は気づいてなさそう。
「あー疲れたー。お母さん、お土産…あれ?」
「おかえりなさい。君のお母さんは蔵で整理してるよ」
「山沢さん…なんか…凄い格好」
「野良着姿? そういえば見たことなかったっけ?」
ははっ、と笑って草引きを再開する。
「えーとおばあちゃんは」
「八重子先生も蔵だよ」
帰った挨拶してくる、と蔵へ行ったようだ。
数分後先生が夕飯の買物に行く、と慌てて出て行った。
どうやら忘れてたらしい。
お夕飯までの間もうちょっと片付けてしまいまおう。
しばし熱中してると先生がお夕飯と呼びに来た。
腰を伸ばす。
着替えて手を洗って食卓へ。
「手抜きで御免ね」
「いや、おいしいです」
「うん結構いけるよね」
「勿論いつもの飯もうまいですが」
「おかわり」
手抜きでもそれなりのものを作れるのは長年主婦をしてるからかな。
おいしくいただいてごちそうさま。
台所を片付けて一服。
「お疲れ様。はい」
チョコとお茶をいただく。
「明日はお仕事なのよね?」
「そうです。で明後日がお稽古ですよね」
「そう。連休だと曜日の感覚がわからなくなるわよね。
 律、そんなとこで寝たら風邪引くわよ」
「んー…」
「部屋で寝なさいよ、お布団敷いてあげるから」
お母さんだなぁ。
「なぁに?」
「母親してるなぁと思って」
「母親だもの」
ほほ、と笑って布団を敷きに行った。
「律君、ほら起きて。布団敷いてくれたよ?」
ダメだなー、起きない。
「あんた悪いけど布団に入れてやってくれる?」
「良いですが服どうします?」
「絹に脱がさせたら良いよ」
ほいほい。
担いで部屋につれてって布団の上に転がした。
俺が脱がそうとしたらそれはちょっとと言われて。
先生がズボンのボタンとチャックを外して脱がせてる。
なんだかなぁ…。
へんな光景に見えてしまうのは俺がそういう目で見るからだよね。
シャツも脱がせてパジャマを着せて。
孝弘さんで慣れたらしい。
ここまでやってまだ寝てる律君も凄い。
一緒に居間へ戻って少し喋って。
そろそろ、と帰宅することにした。
「気をつけてね。また明後日来て頂戴ね」
「はい、じゃまたです」
離れ難いけど仕方ない。
電車を乗り継いで帰宅し、着替えてすぐに寝た。
さてさて予想通りに暇な市場。
帰ろうかなー、と思っていると社長が今日から営業月間、と言い出た。
そういえば木曜はホテルまわりでお稽古お休みに、とお願いしたんだった。
先生もあの様子では忘れてるはず。
慌てて電話を入れる。
八重子先生が出てくれた。
いけないことを説明すると八重子先生も忘れてた様子。
前日に気づいてよかった。
先生に言っておいてくれるようだ。
しかし。
土曜まで会えないのか、ちょっと厳しいな。
とりあえず今日は休養日、身体を休めねばならん。
帰宅して風呂に入って寝ることにした。
後は夕方までぐっすりで、腹が減って目が覚める。
飯を食って、そしてまた寝る
ここ数日ずっと先生に触れていたから一日触れないことに違和感がある。
明日も、明後日もか。
土曜は…覚悟を決めておいてくれると良いな。
おやすみなさい。
さて出勤したらやっぱりダメだ、暇すぎる。
8時ごろには9時過ぎの雰囲気を漂わせている。
連休明けだし平日だしどうしようもない。
一旦帰宅してスーツに着替え、営業だ。
会社概要を10部、名刺を大量に持ってホテルへ。
価格交渉もするにはするがメインは購買ではなく料理する人たちだ。
どれほど手間を省けて良いものが持っていけるか。
種をまく作業だ。
とりあえず10軒まわって帰宅する。
げんなりとしたが気分を変えるためにジムに行くことにした。
定番のトレーニングをするがやはりここ暫くしてなかったから回数も落ちている。
今月は木曜はジム通うことにしよう。
身体を疲れさせて帰宅した。
きっと良く寝れるだろう。
布団に潜り込んで熟睡。
10時ごろ妙に温かく重いことに気づく。
また先生が気づかぬうちに来ていたらしい。
可愛いなあ。
「ん、起きちゃった?」
「うん。来ちゃったんですか」
「来ちゃったの。お稽古の後ね、こっち出てくる用が有ったから」
「泊まっても良いって?」
「明日お稽古もないから…いいでしょ?」
「うん。でも今日はしないけど」
「え、あの、期待して来たんじゃないわよ…」
「わかってるよ、照れてるあなた、可愛いなぁ」
「もうっ。寝ましょ、ね?」
「キスだけ」
ねだってキスをしてもらって先生を撫でて一緒に寝た。
起床時刻。
良く寝ている先生を胸の上から枕に下ろして布団から出る。
出勤の支度を整えた。
行く前に寝顔を見てから家を出た。
さて、今日は帰ったら色々したいことがある。
そのためにも仕事をきっちりしなければ。
頑張って働いて、帰る時間に。お昼は先生と取ろう。
機嫌よく帰宅する。
「ただいま」
「お帰りなさい。まだご飯作ってないのよ」
「じゃ着替えて飯食いに行きましょうか」
「あら、なにか作るわよ」
「俺はどちらでも良いんですがどうしましょうね。軽く食ってからあなたを抱くか」
先生は一気に顔を赤くしている。
洗面所でとりあえず部屋着に着替えて先生の横に座った。
そっと抱き寄せる。
「どうします?」
「あ…」
早速ながら身八つ口から手を差し込んで乳首を弄る。
「もう脱がしちゃって良いかな、良いよね」
「ぅ…駄目よ、ご飯…」
「飯よりあなたを食べたいな」
それでも抗ってる。
「縛っちゃおうかな」
ぴた、と抵抗が止んだ。
「相変わらず縛られるのはいやですか」
「縛られるくらいなら今するほうが良いわ…」
「それは残念。たまには縛りたいな」
「明日お稽古なのに…痕残ってて生徒さんに見えたらどうするのよ」
「適当に理由をつければ…」
「いやよ」
「いやって言われるとやりたくなるんですがね」
ごそごそと着物の裾を割り襦袢の裾を割って手を進入させる。
「手首と足首につかなきゃ良いのかな…だったら。タオル越しにしましょうか」
「ぁ…ぅ、やだ、いや」
股間に指がたどり着いた。
たっぷりと濡れていて言葉で弄るとひくひくとしている。
「動けなくして明日の朝までたっぷりと」
ひゅっと息を吸い込んだ音。
「怖い?」
うなづく。ちょっと涙目で可愛い。
ま、とりあえず軽く一回したら飯食いに行くなり何なりしないといかんけど。
陽光が気持ち良いな。
外に食いに行くべきだ。
そんなことも思いつつ弄ってたら腹がなった。
呼応するかのように先生の腹も。
なんとなく笑えてきて、先生も笑ってしまってる。
「やだもう、恥ずかしいわ」
「あはは、飯食いに行きましょうか。ああでも軽く逝ってからのほうが良いよね」
「ひ、あぁっ」
突起をすりつぶすようにして一気に逝かしてやった。
がくがくっとして俺にぐったりともたれる。
んー、可愛い。
少し落ち着かせて、さぁ昼食いに行こう? どこかテラスのある喫茶店で。
そういうと着なおしてくる、と和室へ行った。
俺も流石に部屋着のままとは行かないから手を洗って着替える。
さて先生とならいつもの喫茶店よりはカフェかな。
よし、あそこにしよう。軽めに食ってケーキを頼めば良い。
先生を連れて行く。
テラス席をお願いしてメニュー。
先生はサンドウィッチ を頼んだ。俺は…カレーだな。
ヘーゼルナッツラテに興味津々の先生が頼んだ。
俺はジンジャーエール。
ホウレン草のチーズケーキと玉子焼きプリンを頼む。
んー、味はまぁまぁか。
ヘーゼルナッツラテが甘すぎたらしい。俺のジンジャーエールと交換だ。
しっかり食べて満腹。
空を見ると怪しい雲行き。
「帰りましょうか」
「そうね」
ゆったりではなく少し早足になってしまった。
帰宅してすぐ、雲の音。
雷が鳴り始めた。
テレビをつけると竜巻注意報?
バラバラと雨音。
おお、凄く降り出した。
「よかったですねえ、セーフセーフ」
「危ないとこだったわね」
ほうっと息をついて先生を和室に連れて行く。
「なぁに?」
「さっ脱ぎましょうね」
顔が引きつってる。
早速過ぎたか?
「あの、もうちょっとお腹こなれてからじゃ駄目?」
「食いすぎた?」
「じゃなくても食べてすぐはちょっと辛いわよ。あなたの上に吐いても良いの?」
「…それはそれで良いかも」
「私はいやよ」
「そんじゃま、浴衣にでもどうぞ」
着替えさせて居間に連れてく。
膝の上に乗せて抱きこんで暫く…。
トイレに行きたいそうで離してと言われた。
大か小か聞くと小らしい。
ふむ…。
離さずに暫くいると自力で脱出しようとしている。
あ、ちょっと怒ってる。焦りだした。
「ちょっと、ねぇっ、離して頂戴よ」
「だーめ」
下腹部を軽く押さえたり揉んだりするとうめいてる。
「出しちゃいなよ」
ぎょっとした顔。
「そ、そんなのできないわよ」
「ほらほら、したいんでしょう? ほら」
くいっと膀胱の上あたりを押し込む。
「や、やだやめて、ねぇっ」
しっかりとマッサージするかのように押したりつついたり。
「だめ、ねえ離して…」
ふふん。ぐにぐにと中からも刺激を。
「ぃやっ、あ、う…」
ちょろっと出たっぽいな。更に刺激する。
「あっあぁっ…」
じわっと膝が温かくなってきた。
「ほら力を抜いて」
「酷い…こんなの…」
どうも止まらないらしい。
出終ったころには俺も先生もぼとぼとで、先生は泣いている。
そのままキス。
「よくできました。風呂入って良いですよ」
抱えあげて風呂へ連れて行き、汚れた浴衣を洗濯機に放り込む。
すすぎ1回してから洗濯だ。
先生がシャワー使っている間に床の始末。
少し水溜りと、風呂場まで転々と滴っているのと。
始末を終え、風呂場に入る。
呆然とシャワーを浴びている先生の身体を洗い、俺の足も洗って出た。
先生を拭いてベッドの上へ。
されるがままになってる。
「洗濯機、回してくるからちょっと待っててくれるかな」
こくり、とうなづく。
すすぎがおわってたので洗剤を入れて脱水までセットした。
手を洗って先生の横に戻る。
ぐに、と頬をつままれた。
「なんでいやっていってるのにあんなことするの!」
「させたかったから」
「もうっ!今日はもうさせないから!」
「あなた俺に勝てると思ってる? させないって言っても無理でしょ」
そっと乳首をつつく。
その手をぎゅっと握られた。
「わかってるわよ。かなわないの…でも。あんなことはいやよ」
「はいはい、今回だけね今回だけ」
「もうしないって約束して頂戴」
「どうしようかな」
「悩まないでよ」
キスして、しょうがないな、と約束した。
「トイレでだったら良い?」
先生の股間を弄りながらそう聞く。
「ばか、いやよ。だけど…こんなことされるくらいなら…」
譲歩してくれた。
縛って手を使えなくしてトイレに入れて拭くのは俺、とかも良いな。
それを言うといやいや、と言うがよく濡れる。
恥ずかしい系に反応するよねえ。
そんなさまが可愛くて、キスを何度もしてしまう。
体を入れ替えて先生を上に乗せる。
このほうが楽だ。
そのまま二度三度逝かせてぐったりしている先生の背をなでる。
「お疲れ様」
荒い息が徐々に収まってくる。
壊れない程度に抱くのは少しつまらないが、明日お稽古日だからね。
先生が耳元でふぅっ、と息をつく。
「眠くなってきちゃった」
「寝て良いよ。何なら明日の朝帰れば良い」
「夜またするつもりなの?」
「するかも? したくなったら」
「するの、好きね」
「あなたが好きだからあなたのHなところ沢山見たくて」
ちょっと顔を赤らめていて可愛い。
背中をなでてるうちに寝てしまったようだ。
布団をかけて一緒に寝た。
夕方目が覚めたが先生はまだ寝ている。
腹減ったなぁ。
何か買ってこよう、と着替えていると先生も起きてきた。
「買い物行くけど何か食べたいものあります? それとも着替えて食べに行きます?」
「ポークチャップ食べたいわ、お願いね」
「了解、もうちょっと寝てても良いですよ」
炊飯器に米をセットして洗えた浴衣を畳む。それから買物へ。
肉屋でスライスを買って八百屋で玉葱を買う。
付け合せは何にしよう。
ブロッコリーとジャガイモと人参を買った。
帰宅して料理をする。
ブロッコリーなどは切って圧力鍋に入れた。
あとは炒めるだけだ。楽だなぁ。
一人だと多くなるから作らないけど。
炊飯器が蒸し時間に入った頃、先生が起きだしてきた。今度はちゃんと寝巻きを着て。
ぼんやりと食卓の前に座ってる。
ご飯が炊けた。
圧力鍋の蒸気を逃がす音に先生はビクッとした。
可愛い。
お皿に盛ってカウンターに乗せると先生が食卓を片付けだした。
ポークチャップも盛り付ける。
ご飯をお茶碗に。
お箸と取り皿を渡してさてメシだ。
先生が微妙な顔してる。
「ポークチャップじゃないのね…」
「え?」
「ポークチャップはポークソテーのお肉よ?」
「ええっ俺こっちしか知らない…」
「まぁいいわ。今度作ってあげるわよ」
いただきます、と先生が食べ始めた。
「これはこれでおいしいわね」
「よかった」
二人で全部食べて先生はおかわりもした。
「おちついたらおうちまでお送りしましょう」
「ありがと」
台所を片付けて、着替える。
先生も着替えて帰る用意。
「さてと、忘れ物ないわね。じゃ乗せてくれる?」
「はいはい、どうぞ」
後ろに乗せてドライブ開始。
先生はまだ少し寝足りなかったらしく良く寝ている。
気持ち良さそうな寝息はやばい。
運転に集中して先生のお宅へ到着。
「つきましたよ…ってまあ良く寝てるな」
抱え込んでお家へつれてはいる。
「あら山沢さん、あんたまぁ…寝ちゃってるの?」
「ちょっと疲れさせちゃったもので、すいません。布団敷いてくださいますか」
「はいはい、ったく」
先生の部屋に布団が敷かれて、先生を脱がせて布団に入れる。
軽くキスだけして、部屋を出て八重子先生に暇を伝えて帰った。
俺も眠い。
と言うことですぐに寝た。
朝起きて洗濯物を干す。
土曜はそれなりに売れて忙しい。
急いで帰ってお稽古へ。
水屋を用意したり生徒さんの客をしたり。
俺のお稽古も今日は軽めに。
ご飯の炊けるにおいに集中力を破られた。
それで叱られたけれど。
水屋を片付けてお夕飯をいただく。
やっぱり美味しいなぁ。
律君が部屋にかえって孝弘さんが離れに行った後、八重子先生に愚痴られてしまった。
八重子先生に暫く説教されてしまって今晩は別の部屋、ということに。
うーん、残念。
先生方がお風呂に入られて、今日は先生は自分の部屋へ帰っていかれた。
戸締りや火の元を確かめて寝間にはいる。
布団を敷いて入ったが…この部屋で一人寝とは妙な感じだ。
少し寂しい。
仕方ないかと寝付いたが一時間ほどして。
先生が布団に入ってきた。
「別の部屋じゃないと駄目って仰ってたのに…」
「だって…」
可愛いなぁ、うん。
キスをしたけど眠そう。
「眠い?」
「ん、眠いけどしたいなら…頑張るわよ?」
「可愛いこと言いますね。でも今日は良いよ。眠いなら寝なさい」
「いいの?」
「して明日起きれなかったら二人して八重子先生に怒られそうじゃないですか」
「あら、そうね」
くすくす笑って俺の胸に頬をつけて。
くにくにと俺の乳首を弄ってる。
「ほら、寝ますよ」
「うん」
「おやすみなさい」
「おやすみ」
そういいつつも暫く弄っていて、段々緩慢になってきたと思えばやっと寝息だ。
ふうっと息をついて寝た。
翌朝は久々に三人で台所に立つ。
「あんたら今日予定は?」
「特にはないです」
「なぁに? お母さん」
「呉服屋さん行ってきたら? 山沢さんの夏の着物見立ててやんなさいよ」
「ああ、そろそろ暑いし単衣にしようと思ってたんですよね」
「あらでも今から間に合うかしら」
「来月には着られるんじゃないかねえ」
「少し高くても早めに仕立ててもらえば良いんじゃないでしょうか」
「まぁねぇ」
「じゃ、どこ行こうかしら」
「諸津さん、とかどうかねえ」
「あらいいわね」
「じゃ10時くらいに行きますか」
「そうね」
朝御飯を頂いて、それからどんなものが良いか、と言う相談をする。
絽の5つ紋の黒はいるだろうか?
いやいらないんじゃないか、いざと言うときはおじいちゃんのがあるからなどと。
そういうわけで連れ立って呉服屋さんへ。
いくつか見せてもらい、先生がお稽古や普段着に良さそうなものを選んでくださる。
特急で仕上げていただくようお願いして支払い。
夏か…夏…。
「先生。夏の間あっちに泊まりません?」
「ん?どうしたの?」
「虫苦手なんですよね」
「蚊帳吊るわよ?」
「それでもイヤです」
「仕方ない子ねえ。お母さんに相談してからね?」
「ぜひお願いします」
くすくす笑ってる。
「あなたそんなに苦手なの?」
「凄く苦手です」
「じゃ夏の草むしりできないわねえ」
「それは我慢します」
いいこいいこ、と頭をなでられた。
先生のお宅について八重子先生とお話しする。
八重子先生は苦笑して許可してくれた。
そう毎回は無理かもしれないが先生つきであちらで、と。
お昼ご飯を作って食べて先生にもたれかかられて。
ちょっと暑いかな。
これからもっと暑くなったらどうしよう。
くっつきたくないって言われるかな。
いやあちらの部屋はクーラーつけれるからきっとなんとかなる。
しばらくゆったりとして夕方になった。
「さてそろそろ帰りましょうかね」
「あら? お夕飯食べていかないの?」
「ん、今日は良いです」
「じゃお買い物行くからそこまで一緒に行きましょ」
「はい」
「お母さん、今晩何にしましょ」
「そうだねぇ」
献立を決めている間に身支度を済ませ、何にするか決まった先生と玄関へ。
人目がないのを確認してかすめるようにキスした。
コツン、と額を小突かれてそのまま一緒に。
途中でお別れをして俺は駅へ、先生は買物へ。
さびしい気分になりつつ帰宅する。
いつの日かずっと一緒に暮らせたらいいのになあ。
帰宅後、少し落ち込んで布団の中にもぐった。
すぐに眠気がやってくる。
おやすみなさい。

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514

そして結局今週の水曜日にはお稽古してもらうことになったわけだが。
朝の9時から夕方の6時まで、食事とトイレの休憩を入れてずっと稽古をした。
流石に疲れたが先生はいつもの事だからまったくお疲れではなく。
稽古の後、片付けているとお疲れ様と甘いものをくれた。
「ありがとうございます。嬉しいけどもうメシですよ?」
「あら。じゃ一つにして後は持って帰ると良いわ」
「そうします」
片付け終えて軽く茶室を掃く。
「ご飯よー」
「あっ、はい」
手早く済ませて手を洗い、食卓に着いた。
「あれ、孝弘さんは?」
「でかけちゃったのよ。困るわ。ご飯炊いたのに」
「それはすごく困りますね」
「同じものでよかったら明日の朝食べない?」
「ありがたくいただきます。お弁当嬉しいです」
「助かるわ~」
どうせ明日も仕事は暇に決まってる。
愛妻弁当を見せ付けるオヤジになってやろう。
飯を食って先生にお弁当をつめてもらった。
翌朝出勤し、一仕事してから弁当を食う。うまい。
寒いから傷む心配がない。
料理屋の客に一口食われてしまったがイケる、と言われた。
何か嬉しい。
仕事を終えた後お稽古へ向かい、先生にそう伝えると先生も嬉しそうだ
「今日もじゃあ作ってあげるわね」
「をっ、いいんですか。嬉しいなあ」
笑って頭を撫でて行かれた。
それからお稽古をこなし済んで夕飯をいただく。
お弁当を渡されて帰宅。
翌朝、弁当を使っているとまたも味見をされ、褒められた。
仕事が終わるころ事務と社長が呼ぶ。
「はい?」
「お前、お稽古の先生と行かないか? 芝居」
「何やんの?」
聞くと先生も好きそうだ。
チケットではなく、料理屋が取ってくれる席なので受付に名前を言うだけ。
行けるか先生に電話した。OKだ。
夜はどこ行こうかなー。
忘れちゃいけないのでメモを携帯で撮って先生にメールをしておいた。
帰りにジムへ寄り、一汗流して帰宅すると眠くなりそのまま朝まで寝てしまった。
翌日は土曜とはいえ、流石に二月で暇である。
お稽古にも悠々と間に合い、先生と芝居の後どこへいこうかと言う話で団欒を過ごし。
風呂に入るときに生理がきたことに気づいた。
浴衣を引っ掛けて先にパンツを取りに戻ると怪訝な顔の先生。
「あぁ。そろそろって言ってたわね。汚れ物は?」
「自分で洗います」
「するわよ」
「いや、こういうのはいかんです」
「そう? いいのに」
「じゃ風呂入ってきますね」
昼に洗ってきているが念入りに洗いなおし、下帯の汚れも洗う。
当てるものを当て寝巻を着て、下洗いした下帯を洗濯機に入れると先生が来た。
「一緒に洗うわ」
「いまから? 1時間でしょう? 眠いんじゃ」
「そんなにかかんないから大丈夫よ」
お急ぎモードに設定して回し始めた。
「ほら、体冷えるわよ。来なさい」
「はい」
腕を取られて居間に連れて帰られ、炬燵で温まる。
「眠そうだねぇ。もう寝たら? 絹、布団敷いてきてあげなさいよ」
「そうね、そうするわ」
「すいません」
先生がパタパタと寝間へ消えて、八重子先生がお茶を入れてくれる。
「女は面倒くさいねぇ」
「男が羨ましいですよ。ほんと」
「けどあんた男だったら、ねぇ。同じ布団というわけに行かないからねぇ」
「それはそうですね、無理ですよね」
ははは、と笑って暫くすると先生が戻ってきた。
「布団敷いたから温かいうちに早く寝なさい。ほらほら」
引き起こされ背中を押されて部屋に入り、布団に有無を言わせず押し込まれた。
寝るまで俺の手を取っていてくれてたようだ。
夜半、起きると横でぐっすり寝ている。
起こさないようそっと布団を抜け出したのだが、トイレに行って戻ると起きてた。
「お手水?」
「うん。起こしちゃったね、ごめん」
「いいの。一緒に寝ましょ」
横に潜り込み軽くキスをして先生を寝かしつける。
寝息が心地良く、よく寝れた。
朝、目が覚めると先生が居なくて外では鳥が鳴いている。
どうやら寝過ごしたようだ。
お味噌汁の匂い。
急に空腹を覚えそのまま台所に行くと叱られた。
「こら、もうっ、胸を仕舞いなさい、胸を」
「腹減りました」
「もうすぐ出来るから着替えて待っててちょうだい」
「うっす」
洗顔、トイレを済ませ戻ると食卓にはすっかり用意が整っている。
「お、うまそう」
「言葉が汚くなってるわよ」
「と。失礼、おいしそうです」
座ってご飯をよそってもらい皆で朝飯を食う。
久々の先生の朝ご飯はやはり美味い。
満足していると先生が薬をくれた。
「何です?」
「痛み止め。先に飲んでおきなさい」
「あー…はい」
飲むと眠くなるんだけどな。
「どこか痛いの?」
「あ、まだ痛くないんだけどね、予防だよ」
「ふーん」
何で飲んだか、はわかってないようだ。
恋人が出来たら変わるだろうか。
痛くも眠くもないうちに布団を干したり、洗濯物を畳んだり。
部屋の掃除を終えて先生と買物に出る。
「なんにしようかしら」
先生の視線の先にはレバー。
「俺、レバー食えません」
「あらそう? どうしよう…」
「鉄分なら味噌汁で具を油揚げと卵ってのどうですか。あと意外とお抹茶、多いですよね」
「お抹茶、そんなに多いの?」
「確か60gで一日所要量クリアです」
「……お濃茶15杯も飲むつもり?」
「それはさすがに無理ですが。まあレバー以外でも取れますしね」
「ホウレン草のおひたしもどうかしら」
「この間見たんですが意外と少ないんで小松菜かつまみ菜がいいそうです」
「ええ?」
「あとは大根葉がいいそうですよ。あ、とうがらしの葉が売ってますね」
「どうするの? まさか唐辛子って鉄分多いの?」
「そのまさかですね」
しかしながら何を作ろう、とは思いつかないようだ。
「あ、でも俺、今日は肉じゃが食いたいです」
「そうね、そうしましょ」
先生は決まったとばかりにジャガイモなどを買っている。
「しかし。暗算早いですね」
「なにが?」
「お抹茶のグラム換算」
「あぁ。簡単じゃないの」
「俺、計算苦手だから」
くすっと笑っている。
「お昼は律もお父さんもいないから…丼物するけどいいかしら」
「他人丼を希望します」
「…中身なに入ってるの?」
「牛肉ですよ」
「あ、いつだったか作ってくれたわね」
「どうでしよう」
「うーん」
「…俺が出しますから」
「だったらいいわよ」
昼飯にするには値段が、と言うことだったようだ。
卵と牛スライスを買い足して買物終了。
お昼ご飯を作ってもらっておいしく頂いた。
その後もそう痛みはしなかったので他の部屋を掃除。
先生がお夕飯を作るというので手伝おうとしたら追い払われた
炬燵に押し込まれると眠くなってしまい、少し転寝しているうちにいい匂い。
「あら起きたの? もうできるわよ」
「ん」
食卓の上を片付けて背を丸めていたらおいしそうなおかずが並ぶ。
やっぱり豚肉か。肉じゃが。
今度うちで牛で作ってやろう。そうしよう。
味はちゃんとおいしくて、先生が小皿にとって押し付けてくる野菜などを食べつつ完食。
「ごちそうさまでした」
「お粗末様。さてと、あんた今日は早く帰りなさいよ」
「はい」
「なんなら一緒に」
「いいですよ。一人で帰れます」
また火曜日にと別れを告げて帰宅した。

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513

翌日、仕事の後。
先生の忘れ物とチョコを持ってお稽古に伺う。
「こんにちは、お邪魔します」
「あらいらっしゃい。この間はありがと」
「はい、これ。どうぞ」
「あらあら、なぁに? あら」
「今日バレンタインデーでしょう? だから」
先生の頬が赤くなった。
「こっちは八重子先生に。じゃ、用意してきますね」
「あ、はい、よろしくね」
そのままパタパタと居間へ入っていく先生を可愛いなぁと思いつつ。
茶室に入って昼からの支度をする。
のんどりと穏やかに待っていると生徒さんが来た。
「こんにちは」
「こんにちは、お願いしますー」
「先生はもうちょっとしたら来られますから」
「はぁい、用意してますねー」
しばらくして生徒さんの用意が整った頃、先生が戻ってきた。
「いらっしゃい」
「あ、こんにちはー。先生、今日もお願いしますぅ」
「はい、じゃお稽古始めましょうね。久さん、用意出来てるかしら」
「茶筌荘ですね」
「そう」
生徒さんに道具を説明して先生が指導なさる。
順々に次の生徒さんが来られてお客に入ってもらったりとやはり土曜は忙しい。
夕方、皆さんが帰られて先生は一息入れる。
「ね、一服点ててくれないかしら」
「どちらで?」
「お薄」
先生の好きな器をチョイスしてささっと平点前で点ててあげた。
「ん、おいしいわね」
穏やかな中、俺のお稽古。
ピリッとした空気に変わった。
先日いじめた仕返しも兼ねてか随分と厳しい稽古である。
「あなたねぇ。もうちょっとしゃんとしなさい」
「すいません」
「もう一度最初から」
「はい」
そして点前の途中、台所から漂うおいしそうな匂いに心を動かされた瞬間。
「手が違うわよ。集中しなさい」
「は、はい」
最後には溜息を疲れてしまった。
「今日はこれで良いわ」
「ありがとうございました」
「もうちょっとお稽古しなきゃいけないわねぇ。今度水曜にでも半日使おうかしら」
「それは先生が疲れちゃいませんか」
「疲れるわよ」
「でしたら別に…」
「ダメよ。早く覚えて頂戴」
「…はい」
「さっ片付けましょ。お腹すいちゃったわ」
釜を片付け、炭を壷に入れると先生は台所へ行ってしまい後は俺が始末した。
台所に顔を出すと運んで、と言われておかずを食卓へ並べる。
うまそうだ。
「あ、お父さん呼んできて」
「はーい」
離れに行って連れて戻る。
そろって食卓につく。
「あれ、律君は?」
「合コンですって。お友達と」
「へぇ、いい子いると良いですね」
「めし」
「はい、どうぞ」
ごはんをよそっていただく。
仕事して、お稽古してもらって美味いメシにありつく。
充実。
食後くつろいでると先生がチョコを持ってきた。
「お父さん、久さん。バレンタインだからチョコレートどうぞ」
「わ、ありがとうございます」
孝弘さんのは量多目で俺のはちょっとだけど俺のと多分値段は変わらんな。
八重子先生はニコニコして見ている。
「いま食べて良いですか?」
「どうぞ。コーヒー淹れてあげるわ」
「嬉しいです」
俺の分のコーヒーと先生たちのお茶をお盆に載せ、先生が戻ってきた。
あ、さっき俺があげたチョコも持ってる。
「私も今いただくわね」
開封する。美味そうだ。
「おいしそうだねぇ」
「おばあちゃんのはどんなの?」
「練りきりかねぇ?」
「と、見せかけましてー、まぁ食べてみてください」
付属の黒文字で切ると益々それっぽいけど。
「あ、中もチョコレートだね。外はホワイトチョコか何かかねえ」
「ガワはホワイトチョコと白餡だそうですよ」
「私の…これは羊羹かしら」
「あんたのは色々入ってるねえ」
そんな会話を眺めつつチョコとコーヒーをいただく。うまい。
「あ、ねぇ。これ日持ちするの?」
「両方冷蔵庫で1週間程度です」
「良かったわ。だって二日なんかじゃ太っちゃうもの」
「もうちょっと太っても良いじゃないですか」
「糖尿も怖いわよ」
「それは怖いですね」
くつろぐ時間も終って順次風呂へ。
先生が入っていると律君が帰ってきた。
「やぁおかえり。チョコは貰った?」
「こんばんは、山沢さん。いやー、ははは…」
晶ちゃんから貰ったと言うチョコを見せて諦めた様子。
「あら、帰ってたの。お帰り。お風呂入ったら?」
「ただいま。後で入るから先に山沢さんどうぞ」
「ああ、じゃお先に」
風呂を浴びて芯まで暖まって居間に戻ると律君が先生から貰ったチョコを食べてる。
「お、いいなぁ。ゴディバ? うまい?」
「量は食べないのよね、この子」
なるほど。
ちょっと悋気したじゃないか。
律君が入っている間に戸締りを確認し、火を落とす。
居間へ戻ると八重子先生のお休みの挨拶を受けて返し、俺たちも部屋へ。
明日の着る物の用意などしている先生の尻を触ったら叱られた。
「あれ? まだ痛い?」
「痛くはないわよ…。でももうちょっと待ってて頂戴」
「待てない♪」
後ろから抱き締めて胸を弄り、感触を楽しんでたら肘鉄が入った。
「こら、もうっ」
「いってぇ…テメェ」
睨んだら怯えた顔をする。
「ごめんなさい、痛かった?」
「痛ぇに決まってるだろ、胃に入った…」
うー、と唸ってると心配そうに見ている。
「ごめんね、ごめんなさい…」
おどおどと、怯えつつも背中をなでてくるのをひっくり返して押し倒した。
「ちょっ…だめっ」
がぶり、と肩に噛み跡をつけてやると痛みに耐えている。
「これでお相子な」
「痛ぁい…、もう、何で噛むのよ~」
「用意済ませてて」
起こしてやってからトイレに立つ。
戻るともう布団に入ってる。
そっと横にもぐりこむと擦り寄ってきた。
「ねぇ…もしかしてそろそろなの?」
「何が?」
「その、月の物…」
「あー…? そういえばそうかも」
「それともしかしてなんだけど、さっき律に妬いてなかった?」
「わかる?」
「やっぱり…。ねぇ、律に嫉妬なんかしないで頂戴よ」
「しょうがないと思ってくれないかな」
困った顔をしている。
「…寝ようか。おやすみ」
キスをして背中をなでているうちに困惑して縮めていた肩から力が抜けて行く。
今日は寝息になるまで少し時間がかかった。
もはや日付が変わる時間だ。珍しい。
俺ももう眠くてたまらないので寝た。お休みなさい。

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512

朝、先生を置いて出勤する。
帰る頃にはいないだろう。
そう思っていたのに帰宅するとお昼ご飯を作っていた。
「お稽古は?」
「あ、おかえりなさい。昨日のうちにお母さんにお願いしたの」
「ただいま。いつのまに?」
脱ぎつつ聞く。着替え着替え。
「朝あなたがご飯作ってくれてる間よ」
「へぇ、泊まるつもりだったんだ?」
「あら。家に来いってそういうつもりでしょ? 違ったの?」
「違わない」
後ろから抱きついて胸をまさぐると叱られた。
ご飯食べてからにしなさいって。
「お尻、調子どう?」
「まだ痛いわ…」
「後で見てあげようね」
「ばか、もうっ。服着なさいよ」
「はーい」
着替えて手を洗うと飯ができていた。
テーブルに並べようとすると卓袱台を指定される。
なるほど、確かにまだらしい。
先生は恐る恐る座って楽な体位を探している。
「これでお稽古に行けって言うなんて…」
ぶつぶつと文句を言われてしまった。
「あぁむしろ見たいですね。生徒さんの前でどうするか」
「階段から落ちたっていうわよ」
「……そういう回答は望んでなかった」
「あらそう。早く食べなさい」
軽くかわされて昼飯を食う。
「おいしいなぁ」
「ありがと」
食事中に少し愚痴を言われてしまったものの、メシは美味しかった。
片付けてから押し倒す。
「あ、こら、痛いわよ」
「ごめん、乗って」
うん、確かに床の上でごろ寝は後頭部が痛い。
先生はケツが痛かったんだろうけど。
割烹着を俺の太腿の上で解いて脱いで、畳んでる。何か面白い光景だ。
そういえば昨日散らかした色々なものが片付いてる気がする。
「せんせ。ペニバンとかどうしました?」
「あの、洗っておいてあるわ…。その…ベランダの縄って」
「あなた専用の縄。もうちょっと手を掛けますけどね」
「洗濯物かけようかと思っちゃったわよ」
「あれ作るの大変なんですよ、やめて下さい」
「そうなの?」
「教えますから手入れ、家でします? 俺より繊細だろうし」
「遠慮するわ、律にそれ何? なんて聞かれたら困るもの」
「八重子先生になら良いんですか?」
「ばか、しらない…」
横向いて耳を赤くしている。
「可愛いな、そろそろしましょうか」
上から退かせて先ずはお尻の点検。
トイレをする時のように着物をたくし上げた。
「壁に手を突いて前傾してー。はい、足を肩幅に開く」
「こんな格好させるなんて…酷い人よね」
お尻に触れて様子を見る。
「赤くはそうなってもいないし、蚯蚓腫れもない。腫れてもない感じだな」
「座ると痛いのに?」
「中のほうがまだなんでしょう。あそこは痛くなかった? 最後当たっちゃったけど」
「あ…、うん、大丈夫よ」
「一応確認ね」
「えっあっ、だめ」
割り開いて確認する。
「もう濡れてるねぇ」
「ぅ…、あっ待ってちょっと」
「どうした?」
「窓、開いてるの。閉めないとダメ」
「おっとと、それはいかん」
慌てて窓を締めている間に先生は寝室で脱いでいた。
こんにゃろう。
「なんで勝手に脱いでるのかなー? 脱いでいいって誰が言いました?」
「えっ、だってするんでしょ? 脱がないと…」
「脱がせる楽しみってものがあるんですよ?」
「え、じゃ着たほうがいいかしら」
「もういいですけどね、勝手に脱がないでくださいよ」
とりあえず脱いだものをハンガーにかけてやって、それからベッドイン。
今日は帰らなきゃいけないだろうからと軽くに止めた。
疲れて寝ているのを見るのが結構好きでついキスしたら起こしてしまった。
「ん、もう帰らないと……眠~い」
「もうちょっと寝てたら良いじゃないか」
「だめ、帰らないと。明日もお稽古だもの」
「だったら送るから車の中で寝る?」
「そうしてくれる? お風呂はいるわ…」
「洗ってあげるよ」
眠すぎて体に力が入ってない先生を抱きあげて風呂に連れて入る。
ゆったりと髪を洗い体も洗ってあげた。
このまま布団に戻して寝かせてやりたいほど眠そうだが帰る意志は強固だ。
体を拭いて髪をドライヤーで乾かし、着替えさせるにも立つと体が揺れるほど。
もうこれは寝巻きの上にロングコートが一番だ。
ということでネルの寝巻きを着せ、とりあえずベッドへ転がし、帰す用意をした。
着替えて車を玄関前につけ、先生の鞄や買物した物を載せる。
それから先生にダウンコートを着せ抱えあげて車へ。
後部座席から寝息が聞こえる中、安全運転でお宅まで走らせた。
玄関を開けて先生を運び込む。
八重子先生が驚いていたが、ただ寝てるだけと知って布団を敷いてくださった。
「あんたら夕飯食べたの?」
「まだです」
「何か作ろうか?」
「そんな、いいですよ。先生の夜食だけお願いします」
「そう? お腹すかない?」
「大丈夫です。お昼ちょっと多かったんで」
一旦車へ戻って鞄などを運び入れた。
チョコは冷蔵庫へ。
「すいません、袋忘れてきました。必要でしたら土曜に持ってきます」
「どうだろうね、連絡させるよ」
「あ。草履も。着物も土曜でいいですよね?」
「悪いねぇ」
「いや、私の所為ですから」
謝ってから帰宅した。
途中で買ってきた弁当を食って部屋を片付けた。
脱ぎ散らかした着物とか。
とりあえずで出てきたからなぁ。
なんだかんだで眠くなってベッドにもぐりこむとすぐに起きる時間だ。
疲れてたみたいでまだ眠いが仕事仕事。
それが終って帰宅すると不在票が入っていた。
風呂に入ってから連絡して持ってきてもらったのは、先生に渡すチョコ。
京都の今年は和菓子コラボ品。
明日渡そう。忘れないようにしなければ。
取敢えずは眠いので昼寝をして夕方起きて食事を取りまた寝た。

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