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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

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4

帰り道、普段の薄化粧も素敵だけどしっかり化粧をしている先生も綺麗だ、
と褒めると照れていた。寝化粧はするのかな。
お宅に着くと大先生はお客様の様子、早速のご注進が来ている模様。
「絹さんが男とホテルに…」とか聞こえる(笑)
絹先生と顔を見合わせて笑う。部屋をとらなくて良かった。
部屋の外からそっと声を掛ける。
「八重子先生、ただいま戻りました。」
「ああ、おかえり、どうだった?」
「いやぁさすがに諸津さんですね、すごく良かったです。」
お客様にも軽く挨拶したところ、目を白黒されている。
そりゃホテルに連れ込んだ男本人が八重子先生と話しているんだから。
「絹は?」
絹先生は普段着に着替えに行ってしまっている。
お客様はそそくさと帰ってしまった。ああ、誤解を解いてないのにまだ。
打掛けが素敵でしたよ、などと話していたら絹先生戻って来た。早いな。
「ところでホテルって?」
「ああ、お昼の時間だったんでランチを食べに入ったんですよ、
前に行ってうまかったんで。八重子先生も今度一緒に行きますか?」
「おいしかったわよ。山沢さんにおごってもらったのよ」
デートだし。
「そうそう、今度京都で1日講習会があるんだけどね
日程がうちのお稽古日にぶつかるから絹しか行けないけど
あそこは一人だと不安になるからあんたらで行ってこないかい?
山沢さんもそろそろいいだろ?」
いつだか伺うと、うん、仕事には影響はない。しかも連休だ。
「ほかの方はどうなんですか?」
「みんな家庭があるからね、泊りがけは難しいよ。」
絹先生は微妙な顔をしている。多分泊りがけに引っかかってる。
日程をメモる振りして懐紙に"前日にHなことはしません"と書いて見せた。
それで決まったようだ。
書いただけかもしれないのにやはり素直な人だ。
「定宿はありますか?ないなら手配します。」
例のホテルを取れたら良いな。会場までちょっとあるけどタクシー使えば問題ない。
タブレットからささっと調べると空きがあるので手配を掛ける。
夕食はつけてもらおう。食べに出るのは面倒だろう。
朝御飯は…
「講習会は何時からでしょう?」
ゆったり食ってたら間に合わないとか可能性もある。
どうやら朝食は時間が無理そうだ。
初日夕・当日無・出立日朝で手配をかけた。
実はその部屋は茶室付きの和室だ。
茶道具もセッティングされているので気になっていた。
講習の後、実践するにも良い環境だろう。
連休だが、まったく予約が入ってないところを見るとあまり知られてないのだろうか。
「当日ですが宿から会場までのルート確認とかするのなら早めに行きますか?」
3時にチェックインなら昼前に乗れば十分につく。
昼は駅弁かな。新幹線や駅弁の手配なども引き受けた。
茶懐石のあの店のお弁当にしてやろう。駅弁じゃないけど。
あ。
「当日私も着物のほうが良いのでしょうか」
「そのほうが良いね。ああ、この間の着物でどうだい」
男着物で出席ですか、そうですか。家元臨席講習会なのに良いのか。
もういっそお茶は男着物で通してやろうかしらん。
後は待ち合わせ時間や場所など細々と決めて夕方になったので辞去した。

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3

5時半。目が覚めた。良い天気だ。
二度寝を楽しもう。ごろごろ。
7時、朝飯の匂いに耐え切れない(笑)
身支度して台所の先生たちに挨拶をした。
もうそろそろ起こそうと思ってたと言われる。
朝食の後、司ちゃんと律君は大学へ行った。
茶の間で歓談していると八重子先生が男着物を持ってきた。
これに着替えろということだ。
少し長いが、絹先生がうまく着せ付けてくれた。
「似合うわねぇ」
だから男物が似合うといわれても(笑)
「ああ、そうだ。諸津さんとこの展覧会、今日までだろ。
あんたら行ってきたらどうだい?」
「良いですが、この格好だと絹先生が男と二人で歩いてるとか言う
うわさになりませんか?」
「そうかねえ?堂々としてれば噂になんかなんないだろ」
私は別に噂になっても困らないけどな。
「行きましょ、山沢さん」
昨日は外で会おうと言ったら嫌がってたのに展覧会は良いのか。
ちなみに諸津というのはこのあたりでは有名な呉服屋だ。
無理に売りつけたりしないから安心して良いものを見せてもらえる。
9時半、絹先生の支度も整ったので二人で家を出た。
バス停通りを通って会場へ向かう。
平日の昼に外を歩くのは久しぶりだ。良い女が横にいるから尚更嬉しい。
会場についた。
さすがに着物姿の女性が多い。
見たことのある顔も何人か。数名はお茶関係だな、多分。
色々と良いものが出てきて、絹先生の手荷物を預かった。
肩から掛けるのを見ていると、似合う色柄だなあって思うものや、
反物だと良いのに当ててみると今一つのものがある。
意見を求められたが私の好みでは、先ほどの大島が良いと思うといった。
納得した顔をされている。
ということは先生もあれが良かったのか。
価格を聞いて交渉する。
先生は言い値で買うつもりだったようだが、このマルキでこの値は、と
担当に交渉した。手織りじゃないし。
先生はすでに別のエリアに行ってしまったことだし。
折角男に見えるんだ。強気で行こう。
うまくいって、この着物に合う正絹・国産の帯揚・帯締を3種つけてもらう。
先生はといえばすでに決まったので後は楽しむモードのようだ。
打掛を見てうっとりされている。
「こういうもの、着たいですか?」
「やぁねぇ、今更よぉ」
お昼を過ぎ、そろそろ出て食事をどこかでという話になる。
そういや前食ってうまかったとこのホテルがこの辺だ。
昨日の飯のお礼におごるということで連れて行った。
和食のランチだ。ここはランチでも懐石を出せる。もちろん懐石を頼んだ。
好きな女と美味しい飯。
気分はすっかりデートだ。八重子先生お墨付きの堂々デート。
もうこのまま部屋を取ってしまいたい気分だ。
ま、さすがにこの状況でやると噂が怖い。
何もない実績を積み重ねれば、簡単に外で会えるかもしれないしな。
さすがにお茶の先生だ、食べ方が美しい。私も見習わねば。
食事も終わり、先生が化粧直しに立たれている間に清算を済ます。
二人で2万いかないからランチは気軽だ。
そういえば今日は普段されてない口紅してて綺麗だったなー。
お茶のとき口紅されないもんなー。
カップについた口紅拭う動作すら綺麗だと思った。
マナー的にはNGだけど、癖で拭ってしまうのはわかる。
私もやってしまうことがある。
まぁ、拭うのは男性に対して云々という裏の意味をご存知ではあるまい。
戻ってこられたので席を立つ。レストランを出て、
「帰りますか?それとも部屋、取りましょうか」
というとバッグで殴られた(笑)

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2

-大先生-
「ただいま」
(おや、なんで男物の草履があるんだろうね?)
台所に声がする。
絹と男の人が何か話しているようだ。
「痛っ」
焦ったあまり先生が指を切った。
つい覗き込んでしまう。
そこへ…
「絹!あんた何してんだい!」
おおっと大先生だ。吃驚した。腕をとられて引っ叩かれた。
「人がいないと思って男を引っ張り込んで何をしてるんだい!」
あ、男ね、格好で判断してるね、これは。
「お母さん、やめて!違うの」
違うとも言い切れないけどね、昨日やっちゃったし。
大先生は私を生徒の一人だということにまだ気づいてない。
結構服装が違うってイメージ変わるしね。
「お母さん!山沢さんよ!お茶の生徒さんの、ほら!」
その説明だと男を引っ張り込んで、のイメージから抜けれないと思いまーす。
私はおもむろに大先生の手をとりわが懐へ。
「八重子せんせー、女の生徒の山沢ですよー」
生乳を触らせ、あえてのんびりした声を作る。
大先生はぎょっとしている。
と思ったら先生もぎょっとしている。
「山沢さん…?え、あのいつもワイシャツにスラックスで来る山沢さん?」
そーですよー。
「なんでそんな格好してるんだい、間違えちまったよ」
まちがうよねー。
「昨日の所用の都合で、その足でこちらに来たものですから」
泊まるとは思ってなかったけどね。
叩いたことをわびられ、朝食の用意を続ける。
「あれ?そういえば旅行って聞いたんですけどお戻りが早いですね」
「9時から用があってね、だから早く帰ってきたんだよ」
なるほろ。
もうちょっと寝過ごしてたらヤバかったな、これは。
「絹、あんた酒臭いよ」
そりゃま、ほぼ5合くらい一人で飲んでたもんね。
朝御飯を頂いたあと、私は茶の間でお茶を頂いていると、
先生が着替えてこられた。
今日は濃藍の浴衣。いい女だなあ。
大先生も用を済まされ戻ってこられた。
「昨日山沢さんがお土産にって生菓子とお酒を頂いたの。
それでちょっと飲んじゃって」
「私が奨め過ぎてしまって飲みすごされたんですよ。
 伏見の酒は気づかないうちに飲みすぎるんですよね。
 うっかりしてました。すいません。
 時間も遅かったので泊めていただきました。」
納得されたようだ。
しばし談笑。
明後日のお稽古にまた参ることを約束し、羽織を着て整える。
先生がほぅっと息をつかれる。
「良い男振りだねぇ」
と大先生に言われて送り出された。
翌々日昼。火曜日。
「こんちはー」
「こんにちわー」
お昼組のお稽古に集まる。
「八重子先生、絹先生、今日は。お稽古お願いします」
みなで声をそろえ、挨拶。
今日は貴人清次のお稽古だそうだ。
結構難しく、正客や次客、東や半東など覚えることがいっぱいある。
3時間はあっという間に過ぎる。
隅で見取りをしていると、大先生に残れるか聞かれた。
水屋当番に当たってた人がお休みらしい。
お稽古終了したので、皆でお稽古ありがとうございましたと挨拶し、
一人居残り水屋仕舞いを手伝う。
先生と喋りながら釜や炭の始末をする。
昨日のお八つに土産の上生菓子を食べたそうでおいしかったそうだ。
二日酔いはそんなでもなかったとか。
ふと手と手が触れた。
気づけば大先生は晩御飯の支度に行かれたので水屋に二人だ。
「絹、電話だよ」
うわぁっ!びびった!
代わりに水屋仕舞の手伝いを大先生がしてくださる。
「山沢さん、あんた今日も着物着てきたらよかったのに。」
「いやぁ、暑くて。ついついこの格好できてしまいますね」
「昨日の着物、よく似合ってたよ」
男装が似合うといわれても微妙なものはある。
後始末も終わったので、辞去しようとすると晩飯に誘われた。
一度お断りしたが更にすすめられたので頂く事にした。
「お母さん、司ちゃんも泊まるんですって」
司ちゃん来てるのか。…も、ってなんだ。ほかにも誰かいるのか。
「山沢さんもたしか明日休みだろ?泊まっていきな」
私か!
司ちゃんや律君、旦那さんたちと共に晩御飯を頂いた後、
先日の酒をみんなで飲むことに。
八重子先生も少し飲んでおいしいといっている。
今日は絹先生もたしなむ程度しか飲んでおられない。
旦那さんは私を見てニヤっと笑った。
バレているのか…。
司ちゃんと律君、旦那さんが寝てしまって散会、泊まる部屋に案内してもらう。
先日と同じ奥の部屋だ。
先生を見るとやや頬を染めている。
引き寄せて抱きとめると少し抵抗された。
「だめよ、お母さんも司ちゃんもいるのよ…
一昨日のことは間違いってことにして…ね?」
「酒の上での過ち、ですか」
「お願い…そういうことにして…」
だがキスして胸を揉んでやった。ひどいな私。
抵抗しているので今日のところは我慢しておこう。
「今度外で会えませんか?」
先生は、だめ、とかなんか呟いてるが、益々ヤりたくなってしまう。
くぅー可愛い!くそう!
「じゃないと今ここでしますよ?」
脅してみちゃおう。
真っ赤になってる。うん、楽しい。
ついに諦めたようだ。
解放してあげたら顔を赤らめたまま戻られた。
さて、今度はいつあるのだろうなぁ…。

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1

「こんばんわ」
先生のお宅の玄関を開け、声をかける。
今日は土曜日。稽古日だったが、所用で間に合わずすでに
終了時刻より1時間ほどたっていた。
飯時も済んでいるはずだ。
「はい」
先生がおられた。
「あらぁ?あらー、どうしたの?男振りが良いわねぇ、その格好」
そう、本日は着流しに絽羽織である。男の。
先生は浴衣だ。お稽古も終わったから早々に着替えられたのかな。
「いやぁ、本日稽古に来られなかった所用の都合でこのような格好でして。
それで、これ、そのお土産といいますか。お持ちしました。」
京生菓子と伏見の酒である。一升ずつ違う酒にした。
「どうぞ上がって?」
いつもの小上がりではなく奥の部屋に通された。
妙に静かだ。
「あら、良いお酒ねぇ。
ね、山沢さん、この後用事ある?なければお持たせだけど少しどう?」
余裕。超暇。明日は休みだし酒飲んで寝るだけの予定。
「今日はうちのみんな旅行行っちゃっていないの。
 一人だと時間が過ぎなくて…。」
そういうことか。珍しい。
「ちょっと待っててね」
先生がお盆に冷酒器と杯とアテ、燗鍋を持ってきた。
「燗鍋ですか?朱盃?」
「あまり飲む人がいないからこんなのしかないのよ。」
でも茶事用の朱盃ではないんだな。
「あの朱盃飲みにくいでしょう?お茶事にはあの方が余り飲まされなくて良いのだけど」
茶事のは浅くて両手で持たないとこぼれるんだよな。
そして熾っている炭を持ってきて火鉢につぎ、酒を入れた燗鍋を火鉢に乗せる。
夏の火鉢の利用法のひとつ。
普通一般の人には夏の炭火とかなんで熾きてんだよ、と思うだろうが
お茶のお稽古の後だ。
お稽古で使った炭がまだ熾きてたのだろう。
冷酒器はガラス製の氷を入れて使うタイプ、2合くらい入りそうだ。
外が暑いからこれは涼しげ良い。
まずは冷酒で一献。
「あら、さすがに京酒ねえ、甘いわぁ」
そして飲みすぎるんだよな。
ついついとおかわりを奨めて冷酒器が空になった。
燗もついたので杯を奨めてつぐ。
「燗にしてもおいしいわね。」
先生、実はいける口か。
燗鍋が軽くなってきたので瓶から継ぎ足す。
なんだかんだすでに二人で5合は飲んでいるが実は私はあまり飲んでいない。
自力で帰らにゃならんからね。飲みすぎてはいかん。
先生がお手水に、というがふらついている。
手を引いてお連れする。
「やだわぁ、恥ずかしい。飲みすぎちゃった」
何度か燗鍋に継ぎ足しているのだが…瓶の感じだと7合は飲んでいるか。
私に寄りかかって部屋へ戻った。
「まぁまぁ、もう少し」と酒を注いだ。
座ったけど軽く寄りかかったままである。
なんとなく肩を抱いたがあらがう様子もない。
火鉢の火も落ちたようだ。
盆などを除けて押し倒したが、先生はぼんやりとしている。
男着物だから旦那さんと間違えてるのかもしれない。
そして、先生の体を頂いた。
浴衣の下の熟れた体は…ごちそうさまでした。
押入れに布団があったので敷布団を敷き、裸にした先生を転がした。
上掛けはタオルケットか肌掛けがあるかと思ったが冬布団だったのでやめておき、
私の長着をかけておいた。
もはや深更、このまま泊まっちまうしかない。
縁側に出て煙管で一服付け、手水に行って先生の隣へもぐりこむ。
目が覚めた。八つ半頃か。
手水に立ち、戻って少し燗酒の残りを飲む。
私の着物を素肌にまとって寝ている先生を眺めつつ。
「うぅん…」
目が覚めたか?
何で裸なんだろう、みたいな顔をしている。
彷徨った視線が酒を片胡坐で飲む私にぶつかる。
長着と私を交互に見て何があったのか気づかれたようだ。
ちなみに私は今、総柄の長襦袢姿である。
先生は青ざめたり、赤くなったりされている(笑)
私の着物で胸を隠すようにしているその素肌の背中に手を触れ、
起きたことは仕方がないですよ、もう少し寝ては、と声を掛ける。
諦めがついたのか、寝巻きがわりに昼の浴衣を羽織られた。
「ねぇ、山沢さん…」
はい?
「今日の事、お母さんには言わないで、お願い」
いや言ったら俺がヤバいでしょそれ。
言いませんよ、と答えると安心したようで布団に戻られた。
「旦那さんと間違えたんでしょう?
ああ、でも私チンコないから指しか入れてませんよ」
あ、真っ赤になった。
「やだ、もう」
あちらを向いてしまわれた。
私も横に転がり、先生の腕に軽く触れる。
少し身じろぎされたが、しばらくして寝息が聞こえ出した。
私も眠った。
朝、目が覚めたが先生はまだ寝ている。
寝過ごしたようだ。7時半か。
顔を洗って手水を済まし、部屋に戻った。
先生も目が覚められて、寝過ごしたことに気づかれた。
先生の身づくろいの間に私は長着をまとい、布団を上げる。
そして昨日使った酒器などを持ち台所に向かう。
しばらくして台所に先生が来られた。昨夜の浴衣をキリっと着ている。
指示を受けて酒器を片付け、朝食の用意を手伝った。

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「こんばんわ」
先生のお宅の玄関を開け、声をかける。
今日は土曜日。稽古日だったが、所用で間に合わずすでに終了時刻より
1時間ほどたっていた。
飯時も済んでいるはずだ。
「はい」
先生がおられた。
「あらぁ?あらー、どうしたの?男振りが良いわねぇ、その格好」
そう、本日は着流しに絽羽織である。男の。
先生は浴衣だ。お稽古も終わったから早々に着替えられたのかな。
「いやぁ、本日稽古に来られなかった所用の都合でこのような格好でして。
それで、これ、そのお土産といいますか。お持ちしました。」
京生菓子と伏見の酒である。一升ずつ違う酒にした。
「どうぞ上がって?」
いつもの小上がりではなく奥の部屋に通された。
妙に静かだ。
「あら、良いお酒ねぇ。
ね、山沢さん、この後用事ある?なければお持たせだけど少しどう?」
余裕。超暇。明日は休みだし酒飲んで寝るだけの予定。
「今日はうちのみんな旅行行っちゃっていないの。一人だと時間が過ぎなくて…。」
そういうことか。珍しい。
「ちょっと待っててね」
先生がお盆に冷酒器と杯とアテ、燗鍋を持ってきた。
「燗鍋ですか?朱盃?」
「あまり飲む人がいないからこんなのしかないのよ。」
でも茶事用の朱盃ではないんだな。
「あの朱盃飲みにくいでしょう?お茶事にはあの方が余り飲まされなくて良いのだけど」
茶事のは浅くて両手で持たないとこぼれるんだよな。
そして熾っている炭を持ってきて火鉢につぎ、酒を入れた燗鍋を火鉢に乗せる。
夏の火鉢の利用法のひとつ。
普通一般の人には夏の炭火とかなんで熾きてんだよ、と思うだろうがお茶のお稽古の後だ。
お稽古で使った炭がまだ熾きてたのだろう。
冷酒器はガラス製の氷を入れて使うタイプ、2合くらい入りそうだ。
外が暑いからこれは涼しげ良い。
まずは冷酒で一献。
「あら、さすがに京酒ねえ、甘いわぁ」
そして飲みすぎるんだよな。
ついついとおかわりを奨めて冷酒器が空になった。
燗もついたので杯を奨めてつぐ。
「燗にしてもおいしいわね。」
先生、実はいける口か。
燗鍋が軽くなってきたので瓶から継ぎ足す。
なんだかんだすでに二人で5合は飲んでいるが実は私はあまり飲んでいない。
自力で帰らにゃならんからね。飲みすぎてはいかん。
先生がお手水に、というがふらついている。
手を引いてお連れする。
「やだわぁ、恥ずかしい。飲みすぎちゃった」
何度か燗鍋に継ぎ足しているのだが…瓶の感じだと7合は飲んでいるか。
私に寄りかかって部屋へ戻った。
「まぁまぁ、もう少し」と酒を注いだ。
座ったけど軽く寄りかかったままである。
なんとなく肩を抱いたがあらがう様子もない。
火鉢の火も落ちたようだ。
盆などを除けて押し倒したが、先生はぼんやりとしている。
男着物だから旦那さんと間違えてるのかもしれない。
そして、先生の体を頂いた。
浴衣の下の熟れた体は…ごちそうさまでした。
押入れに布団があったので敷布団を敷き、裸にした先生を転がした。
上掛けはタオルケットか肌掛けがあるかと思ったが冬布団だったのでやめておき、
私の長着をかけておいた。
もはや深更、このまま泊まっちまうしかない。
縁側に出て煙管で一服付け、手水に行って先生の隣へもぐりこむ。
目が覚めた。八つ半頃か。
手水に立ち、戻って少し燗酒の残りを飲む。
私の着物を素肌にまとって寝ている先生を眺めつつ。
「うぅん…」
目が覚めたか?
何で裸なんだろう、みたいな顔をしている。
彷徨った視線が酒を片胡坐で飲む私にぶつかる。
長着と私を交互に見て何があったのか気づかれたようだ。
ちなみに私は今、総柄の長襦袢姿である。
先生は青ざめたり、赤くなったりされている(笑)
私の着物で胸を隠すようにしているその素肌の背中に手を触れ、
起きたことは仕方がないですよ、もう少し寝ては、と声を掛ける。
諦めがついたのか、寝巻きがわりに昼の浴衣を羽織られた。
「ねぇ、山沢さん…」
はい?
「今日の事、お母さんには言わないで、お願い」
いや言ったら俺がヤバいでしょそれ。
言いませんよ、と答えると安心したようで布団に戻られた。
「旦那さんと間違えたんでしょう?
ああ、でも私チンコないから指しか入れてませんよ」
あ、真っ赤になった。
「やだ、もう」
あちらを向いてしまわれた。
私も横に転がり、先生の腕に軽く触れる。
少し身じろぎされたが、しばらくして寝息が聞こえ出した。
私も眠った。
朝、目が覚めたが先生はまだ寝ている。
寝過ごしたようだ。7時半か。
顔を洗って手水を済まし、部屋に戻った。
先生も目が覚められて、寝過ごしたことに気づかれた。
先生の身づくろいの間に私は長着をまとい、布団を上げる。
そして昨日使った酒器などを持ち台所に向かう。
しばらくして台所に先生が来られた。昨夜の浴衣をキリっと着ている。
指示を受けて酒器を片付け、朝食の用意を手伝った。


-大先生-
「ただいま」
(おや、なんで男物の草履があるんだろうね?)
台所に声がする。
絹と男の人が何か話しているようだ。

「痛っ」
焦ったあまり先生が指を切った。
つい覗き込んでしまう。
そこへ…

「絹!あんた何してんだい!」
おおっと大先生だ。吃驚した。腕をとられて引っ叩かれた。
「人がいないと思って男を引っ張り込んで何をしてるんだい!」
あ、男ね、格好で判断してるね、これは。
「お母さん、やめて!違うの」
違うとも言い切れないけどね、昨日やっちゃったし。
大先生は私を生徒の一人だということにまだ気づいてない。
結構服装が違うってイメージ変わるしね。
「お母さん!山沢さんよ!お茶の生徒さんの、ほら!」
その説明だと男を引っ張り込んで、のイメージから抜けれないと思いまーす。
私はおもむろに大先生の手をとりわが懐へ。
「八重子せんせー、女の生徒の山沢ですよー」
生乳を触らせ、あえてのんびりした声を作る。
大先生はぎょっとしている。
と思ったら先生もぎょっとしている。
「山沢さん…?え、あのいつもワイシャツにスラックスで来る山沢さん?」
そーですよー。
「なんでそんな格好してるんだい、間違えちゃったよ」
まちがうよねー。
「昨日の所用の都合で、その足でこちらに来たものですから」
泊まるとは思ってなかったけどね。
叩いたことをわびられ、朝食の用意を続ける。
「あれ?そういえば旅行って聞いたんですけどお戻りが早いですね」
「9時から用があってね、だから早く帰ってきたんだよ」
なるほろ。
もうちょっと寝過ごしてたらヤバかったな、これは。
「絹、あんた酒臭いよ」
そりゃま、ほぼ5合くらい一人で飲んでたもんね。
朝御飯を頂いたあと、私は茶の間でお茶を頂いていると、
先生が着替えてこられた。
今日は濃藍の浴衣。いい女だなあ。
大先生も用を済まされ戻ってこられた。

「昨日山沢さんがお土産にって生菓子とお酒を頂いたの。
それでちょっと飲んじゃって」
「私が奨め過ぎてしまって飲みすごされたんですよ。
 伏見の酒は気づかないうちに飲みすぎるんですよね。
 うっかりしてました。すいません。
 時間も遅かったので泊めていただきました。」
納得されたようだ。
しばし談笑。
明後日のお稽古にまた参ることを約束し、羽織を着て整える。
先生がほぅっと息をつかれる。
「良い男振りだねぇ」
と大先生に言われて送り出された。

翌々日昼。火曜日。
「こんちはー」
「こんにちわー」
お昼組のお稽古に集まる。
「八重子先生、絹先生、今日は。お稽古お願いします」
みなで声をそろえ、挨拶。
今日は貴人清次のお稽古だそうだ。
結構難しく、正客や次客、東や半東など覚えることがいっぱいある。
3時間はあっという間に過ぎる。
隅で見取りをしていると、大先生に残れるか聞かれた。
水屋当番に当たってた人がお休みらしい。
お稽古終了したので、皆でお稽古ありがとうございましたと挨拶し、
一人居残り水屋仕舞いを手伝う。
先生と喋りながら釜や炭の始末をする。
昨日のお八つに土産の上生菓子を食べたそうでおいしかったそうだ。
二日酔いはそんなでもなかったとか。
ふと手と手が触れた。
気づけば大先生は晩御飯の支度に行かれたので水屋に二人だ。
「絹、電話だよ」
うわぁっ!びびった!
代わりに水屋仕舞の手伝いを大先生がしてくださる。
「山沢さん、あんた今日も着物着てきたらよかったのに。」
「いやぁ、暑くて。ついついこの格好できてしまいますね」
「昨日の着物、よく似合ってたよ」
男装が似合うといわれても微妙なものはある。
後始末も終わったので、辞去しようとすると晩飯に誘われた。
一度お断りしたが更にすすめられたので頂く事にした。

「お母さん、司ちゃんも泊まるんですって」
司ちゃん来てるのか。…も、ってなんだ。ほかにも誰かいるのか。
「山沢さんもたしか明日休みだろ?泊まっていきな」
私か!
司ちゃんや律君、旦那さんたちと共に晩御飯を頂いた後、
先日の酒をみんなで飲むことに。
八重子先生も少し飲んでおいしいといっている。
今日は絹先生もたしなむ程度しか飲んでおられない。
旦那さんは私を見てニヤっと笑った。
バレているのか…。
司ちゃんと律君、旦那さんが寝てしまって散会、泊まる部屋に案内してもらう。
先日と同じ奥の部屋だ。
先生を見るとやや頬を染めている。
引き寄せて抱きとめると少し抵抗された。
「だめよ、お母さんも司ちゃんもいるのよ…
一昨日のことは間違いってことにして…ね?」
「酒の上での過ち、ですか」
「お願い…そういうことにして…」
だがキスして胸を揉んでやった。ひどいな私。
抵抗しているので今日のところは我慢しておこう。
「今度外で会えませんか?」
先生は、だめ、とかなんか呟いてるが、益々ヤりたくなってしまう。
くぅー可愛い!くそう!
「じゃないと今ここでしますよ?」
脅してみちゃおう。
真っ赤になってる。うん、楽しい。
ついに諦めたようだ。
解放してあげたら顔を赤らめたまま戻られた。
さて、今度はいつあるのだろうなぁ…。

5時半。目が覚めた。良い天気だ。
二度寝を楽しもう。ごろごろ。
7時、朝飯の匂いに耐え切れない(笑)
身支度して台所の先生たちに挨拶をした。
もうそろそろ起こそうと思ってたと言われる。
朝食の後、司ちゃんと律君は大学へ行った。
茶の間で歓談していると八重子先生が男着物を持ってきた。
これに着替えろということだ。
少し長いが、絹先生がうまく着せ付けてくれた。
「似合うわねぇ」
だから男物が似合うといわれても(笑)
「ああ、そうだ。諸津さんとこの展覧会、今日までだろ。
あんたら行ってきたらどうだい?」
「良いですが、この格好だと絹先生が男と二人で歩いてるとか言う
うわさになりませんか?」
「そうかねえ?堂々としてれば噂になんかなんないだろ」
私は別に噂になっても困らないけどな。
「行きましょ、山沢さん」
昨日は外で会おうと言ったら嫌がってたのに展覧会は良いのか。
ちなみに諸津というのはこのあたりでは有名な呉服屋だ。
無理に売りつけたりしないから安心して良いものを見せてもらえる。
9時半、絹先生の支度も整ったので二人で家を出た。
バス停通りを通って会場へ向かう。
平日の昼に外を歩くのは久しぶりだ。良い女が横にいるから尚更嬉しい。
会場についた。
さすがに着物姿の女性が多い。
見たことのある顔も何人か。数名はお茶関係だな、多分。

色々と良いものが出てきて、絹先生の手荷物を預かった。
肩から掛けるのを見ていると、似合う色柄だなあって思うものや、
反物だと良いのに当ててみると今一つのものがある。
意見を求められたが私の好みでは、先ほどの大島が良いと思うといった。
納得した顔をされている。
ということは先生もあれが良かったのか。
価格を聞いて交渉する。
先生は言い値で買うつもりだったようだが、このマルキでこの値は、と
担当に交渉した。手織りじゃないし。
先生はすでに別のエリアに行ってしまったことだし。
折角男に見えるんだ。強気で行こう。
うまくいって、この着物に合う正絹・国産の帯揚・帯締を3種つけてもらう。
先生はといえばすでに決まったので後は楽しむモードのようだ。
打掛を見てうっとりされている。
「こういうもの、着たいですか?」
「やぁねぇ、今更よぉ」
お昼を過ぎ、そろそろ出て食事をどこかでという話になる。
そういや前食ってうまかったとこのホテルがこの辺だ。
昨日の飯のお礼におごるということで連れて行った。
和食のランチだ。ここはランチでも懐石を出せる。もちろん懐石を頼んだ。
好きな女と美味しい飯。
気分はすっかりデートだ。八重子先生お墨付きの堂々デート。
もうこのまま部屋を取ってしまいたい気分だ。
ま、さすがにこの状況でやると噂が怖い。
何もない実績を積み重ねれば、簡単に外で会えるかもしれないしな。
さすがにお茶の先生だ、食べ方が美しい。私も見習わねば。
食事も終わり、先生が化粧直しに立たれている間に清算を済ます。
二人で2万いかないからランチは気軽だ。
そういえば今日は普段されてない口紅してて綺麗だったなー。
お茶のとき口紅されないもんなー。
カップについた口紅拭う動作すら綺麗だと思った。
マナー的にはNGだけど、癖で拭ってしまうのはわかる。
私もやってしまうことがある。
まぁ、拭うのは男性に対して云々という裏の意味をご存知ではあるまい。
戻ってこられたので席を立つ。レストランを出て、
「帰りますか?それとも部屋、取りましょうか」
というとバッグで殴られた(笑)

帰り道、普段の薄化粧も素敵だけどしっかり化粧をしている先生も綺麗だ、
と褒めると照れていた。寝化粧はするのかな。
お宅に着くと大先生はお客様の様子、早速のご注進が来ている模様。
「絹さんが男とホテルに…」とか聞こえる(笑)
絹先生と顔を見合わせて笑う。部屋をとらなくて良かった。
部屋の外からそっと声を掛ける。
「八重子先生、ただいま戻りました。」
「ああ、おかえり、どうだった?」
「いやぁさすがに諸津さんですね、すごく良かったです。」
お客様にも軽く挨拶したところ、目を白黒されている。
そりゃホテルに連れ込んだ男本人が八重子先生と話しているんだから。
「絹は?」
絹先生は普段着に着替えに行ってしまっている。
お客様はそそくさと帰ってしまった。ああ、誤解を解いてないのにまだ。
打掛けが素敵でしたよ、などと話していたら絹先生戻って来た。早いな。
「ところでホテルって?」
「ああ、お昼の時間だったんでランチを食べに入ったんですよ、
前に行ってうまかったんで。八重子先生も今度一緒に行きますか?」
「おいしかったわよ。山沢さんにおごってもらったのよ」
デートだし。
「そうそう、今度京都で1日講習会があるんだけどね
日程がうちのお稽古日にぶつかるから絹しか行けないけど
あそこは一人だと不安になるからあんたらで行ってこないかい?
山沢さんもそろそろいいだろ?」
いつだか伺うと、うん、仕事には影響はない。しかも連休だ。
「ほかの方はどうなんですか?」
「みんな家庭があるからね、泊りがけは難しいよ。」
絹先生は微妙な顔をしている。多分泊りがけに引っかかってる。
日程をメモる振りして懐紙に"前日にHなことはしません"と書いて見せた。
それで決まったようだ。
書いただけかもしれないのにやはり素直な人だ。
「定宿はありますか?ないなら手配します。」
例のホテルを取れたら良いな。会場までちょっとあるけどタクシー使えば問題ない。
タブレットからささっと調べると空きがあるので手配を掛ける。
夕食はつけてもらおう。食べに出るのは面倒だろう。
朝御飯は…
「講習会は何時からでしょう?」
ゆったり食ってたら間に合わないとか可能性もある。
どうやら朝食は時間が無理そうだ。
初日夕・当日無・出立日朝で手配をかけた。
実はその部屋は茶室付きの和室だ。
茶道具もセッティングされているので気になっていた。
講習の後、実践するにも良い環境だろう。
連休だが、まったく予約が入ってないところを見るとあまり知られてないのだろうか。
「当日ですが宿から会場までのルート確認とかするのなら早めに行きますか?」
3時にチェックインなら昼前に乗れば十分につく。
昼は駅弁かな。新幹線や駅弁の手配なども引き受けた。
茶懐石のあの店のお弁当にしてやろう。駅弁じゃないけど。
あ。
「当日私も着物のほうが良いのでしょうか」
「そのほうが良いね。ああ、この間の着物でどうだい」
男着物で出席ですか、そうですか。家元臨席講習会なのに良いのか。
もういっそお茶は男着物で通してやろうかしらん。
後は待ち合わせ時間や場所など細々と決めて夕方になったので辞去した。

4回ほどお稽古日が過ぎ、いよいよ旅行日だ。
1時間ほど前に駅につき、手配していたお弁当や切符などを受け取る。
待ち合わせ場所に20分前に着き、眠気覚ましに缶コーヒーを飲む。
飲み終わったころ、絹先生が来た。やはり着物姿でお美しいな。
私は荷物の半分以上を宅配便で送っているので身軽だが先生は荷物が多い。
荷物を持って差し上げ、切符を渡し改札を抜け新幹線のホームへ行く。
まだ新幹線はきていないので指定席の乗降口まで行くことにした。
定刻に新幹線が到着した。乗車する。2席+2席、座席が広目のタイプだ。
先生を窓側にして私は通路側に。荷物は棚へ。
早速だがお弁当を広げることにした。
籠弁当は見た目にも美しいので先生も嬉しそうだ。
味は…やはり美味。京都の茶懐石の店の弁当だからハズレはない。
食後、少しく話しているうちに反応がなくなった。
眠くなってしまったようで、まあ一駅前くらいに起こせば良いか。
寝ている先生も写真にとってしまえ(笑)
寝顔を眺めているうちに米原駅に到着した。そろそろ起こそう。
せーんせー、そろそろですよー。
おきたおきた。荷物も下ろして降車の用意をする。
八条口に降り立ち、タクシーで宿へ行く。
チェックインの手続きをして案内された先は、茶室。
ちゃんと露地がある茶室(笑)
先生が驚いている。
茶室の8畳+水屋+6畳+小間だ。露天風呂も実はある。
荷物は届いていた。驚いたままの先生と荷物をなおし、
少し落ち着かれたので宿から会場までタクシーで移動してみることにした。
15分程度と予想しているが、そんなところで着くことがわかり、
余裕を持って30分前という話になった。
当日の朝食については先に宿と話してあり、朝6時半におにぎりを
差し入れてもらうことになっている。
宿に戻ってきて、明日やるだろうことの予習をする。
茶室があるので予習も簡単だ。
夕食の時間になり、食事を取る。部屋食だ。
聞いていた通り美味。少しだけお酒も頂いた。
その後更に予習。その間に机を片付けてもらい布団が敷かれる。
私は水屋の始末をし、先生にお風呂へ先に入っていただくことにした。
目の前で脱がれるというのは理性的になれないものがある。
だったら別の場所にいるほうが良い。
始末が終わり、茶室から外を眺めていると声がかかった。
湯上りの浴衣姿だ。
理性理性理性理性……風呂に入ろう。
風呂から上がると先生がノートをまた見ている。
勉強熱心だなあ。まじめだ。
でも今日はそろそろ寝たほうが良い。そういうと何か言いたそうにこちらを見る。
ん?と思ったら布団が1組だ(笑)
押入れを探るとちゃんともう1組あったので出した。
先生は明らかにホッとしている。
「寝ましょう?」
「そうね」
布団に入りしばらくすると寝息が聞こえてきた。
寝息が聞こえると安心するんだよな。よし寝よう。

翌朝5時半。起床。
二人とも朝が早いのは慣れている。
小一時間で身づくろいを済ませているとおにぎりの差し入れがあった。
いただいて、落ち着かせ気合を入れる。
さて出陣だ。
私は紋付きの男着物に袴、先生は紋付鮫小紋。
タクシーに乗り、角一つ前で乗り捨てて会場に行く。
講習会はほぼ茶名持ち~準教授の錚々たるメンバーだ。
場違い感はあるが、仕方あるまい。
家元からのお言葉、実技講習、セッションなど濃い時間が過ぎる。
食事休憩以外お茶尽くしで12時間、疲れきって戻ってきた。
紋服を脱ぐのを手伝った。先生は長襦袢のまま布団に倒れこんでいる。
私は先生の着物を衣桁に掛け、自分の着物を片付けた。
確かに疲れはしたが私にはプレッシャーがない。
茶名すら持たない以上知らなくても仕方がないとして扱われるからだ。
先生は違う。セッションは大変そうだった。
しかしまた布団が一組しか敷かれてないよ…。
しばらくすると宿の人が来た。
どうやら台風が来ていて明日の交通がどうなるかわからないらしい。
もし交通がストップなら、この部屋に明日も泊まれるとのことだ。
もちろん金はかかるが、駅でいつ動くかわからないことを思えばマシだ。
キャンセルでもキャンセル料はつかないというので宿泊のお願いをしておくことにした。
部屋に戻ると先生が起きていて、長襦袢を脱いでいる。
私がいるのに構う気力もないようだ。
風呂は明日朝にするという。
浴衣に着替えている間にもう1組を敷く。
見ないようにしないとやっぱり疲れててもやばい、とっとと寝ちまおう。

空けて翌朝4時半。
外は雨風がきつい。
テレビを見ると新幹線運休の情報が出ている。
先生がどうしよう、という。ああ、昨日の話してなかった。
今日一晩泊まれることを話す。
明日になったら台風はどっか行ってるでしょう。
安心されたか、朝風呂に入られる。
私はまだ時間が早いのもあり、布団にもぐっている。
朝っぱらからなんだが風呂覗きたい…
出てきたら、襲うか。
浴衣を軽くまとい、先生が出てきた。
後ろから抱きしめる。
「えっ…山沢さん…Hなことはしないって…言ってたのに…」
前日にはしないと書いた。
寝巻きの浴衣なので簡単に胸も裾もくつろげられる。
荒々しく抱き、欲望のまま楽しんだ。
終わった後、折角お風呂入ったのにと詰られた。
二人で入りましょ、と持ちかける。
朝御飯にはまだ時間がある、もう一度入れる。
寝が足りなければ昼寝すれば良い。
一緒に入り、やわやわと先生の肌を泡でなでる。
感じているようだが二回戦する時間はない。
すすいで自分の汗も流して風呂から出た。
布団を軽くなおし、サッと身支度をして朝食のレストランへ向かう。
朝食も美味しかった。
部屋へ戻るとすでに布団はしまわれて机が出ている。
上座に先生を座らせた。
宿の人がきて、茶菓子を出してお茶を入れてくれた。
お昼ごはんについて、この天気では食べに出られないだろうから
簡単なものならできるとのこと。
外を見ると豪雨の様相を呈している。
頼むことにした。
先生のお宅に連絡して今日は帰れそうにないことを告げる。
フと見ると少し眠そうだ。
「ちょっと寝ますか?疲れてるんでしょう」
先生は恨めしげにこちらを見る。

机を端によけて布団を敷くと、あなたは?と聞かれる。
私はもともと5時間半寝れば何とかなるタイプだ。
気づいたら横で寝てるかもしれないが今は眠気は降りてこない。
そういって先生を寝かせた。
寝顔も可愛いなあ。
……落ち着こう。
テレビをつけ、音量を絞り台風情報を見る。
今晩遅くまでは無理そうだ。
今夜も抱けるかな…。
いやいやいや、そういう意図で旅行に来たわけじゃないんだから落ち着けよ自分。
昼前になったら下火を熾して昨日のおさらいをしよう。
雑念消えろ!
お稽古したいが私では炭をつげないからなあ。
寝言が。ぃゃって聞こえる。
茶室に移ろう…。
座禅でも…無理だな、妄念の塊だ。
タブレットでなんぞ読むか。あ、会社にも帰れない旨メールしよう。
昼前になって先生が起きてきた。常着に着替えている。
先生の身づくろいの間に下火を熾すことにする。
熾きたところでお昼ご飯を食べに行く。
有りものでしている割にはしっかりしたご飯だった。

午後、先生に炭を次いでもらってお稽古をする。
昨日のおさらい。
雨音が強い中、みっちりと4時間ほどやった。
稽古中は妄想も浮かばん。
水屋の始末をする頃、腹が減った。そろそろメシか。
宿の人が晩御飯を持ってきた。
始末を終えて部屋に戻り、酒を頼んだ。
英勲の大鷹があった。これは少し辛口でうまい。
それでも先生には甘口のようだ。これだから関東人は…。
食事も終わり、お酒だけ置いていってもらう。
布団も敷かれている。一つしか敷いていないのに先生は何も言わない。
…いいのか。それとも俺が敷くから良いのか。
ザッピングしているとドラマっぽいものがあった。
それを見ていると、和服の女性が縄目を受けているシーンが。
ああいうの、したいんですよねぇと呟くと不思議そうだ。
「どうして?」
「逃げたいのに逃げられなくて、良いでしょう?
今朝みたいな腕力でするのも良いんですが、縄のほうが逃げれなさがあって良いですよ」
そっち目的とは思っていなかったようだ。顔を赤くされている。
「ああ、縄は持ってきてないんでご安心を。
それに連休初日ならまだしも今日縛ったら明日帰ったあとも縄の跡残りますよ」
先生は残るタイプと踏んでいる。八重子先生にばれるじゃないか。
ほっとした顔だ。
酒を注ぎ、飲ませる。
「そろそろ脱いで…」
「えっ!?」
あ、言い間違えた。
「もとい、寝巻きに着替えてください」
つい本心が出ちまったじゃないか。
先生は頬を染めて、見られてたら脱げないという。
可愛いなぁうん。そういう恥じらいって大事だよね。
「脱がしてあげましょうか?」
なーんてからかいながら茶室へ移動してあげた。
衣擦れの音がして、しばらく待つと入って良いと声がかかった。
寝巻きの浴衣姿になっている横に座って酒を注ぐ。
「布団、一組でいいんですか」
を、一気に赤くなった。
「だって…したいんでしょう…?」
わかってるじゃないか。
ってか結構酔っ払ってるな、これは。
そっと手を差し入れ、胸を触る。
「もう少し飲みますか?」
こくりとうなづいた。もうちょっと酒の助けが必要か。
胸を揉んだまま何度かついで飲ませた後、口移しに飲ませてみた。
そろそろいい頃合だろう。
寝巻きの帯を解くと湯文字をつけていなかった。
先ほど一緒に脱いだようだ。
恥ずかしがっているのが大変に良い。
まだまだ女ざかり、きれいな体だ。
いつか縛ってみたいなぁ。
どこまで受け入れられるだろう。
声も抑えて、快感を我慢する姿は美しい。
離れなんだから大声出しても良いのに。
良いスポットもわかってきたが責めると腰が逃げる。
どうやらいろいろと未開発だなぁ。勿体無い。
先生もぐったりしてきたことだしここらでやめておくか。
やわらかく抱きしめて寝かしつける。
しばらくして荒い息が寝息に変わった。
ちょっとシャワー浴びてこよう。汗かいた。
風呂で一発抜いて自分も治まったので寝巻きを着て先生の横で寝た。

翌朝6時半。
外は良い天気だ、台風一過、だな。
先生が風呂に入っている間に関東方面の状況を確認する。
新幹線も動いてるようだ。
帰りの切符の手続きをする。早朝から昼までは混雑している。
1時半ごろ乗車の切符が取れた。
ここのチェックアウトは11時半、2時間ほど、どう時間をつぶすべきか。
茶道具の展覧会か何かあったかな。
ちょうど国立で良いものがあるようだ。このへんでいいか。
先生が風呂から出たので聞いてみる。展示内容から行きたくなったようだ。
帰りの格好はワイシャツにスラックスのつもりだったが、
先生が羽織に着流しが良いという。確かに先生の格好と釣り合いが取れる。
身づくろいをし朝食を取る。
戻ってきて荷物をまとめ、あらかた宅配便に任せることにした。
常着を脱ぎ、着替える。その脱いだものも荷物に入れる。
これで手荷物のみだ。
地元の人くらいに身軽である。
先生はゆっくり観覧したいというので早めにチェックアウトすることにした。
タクシーを呼んでもらい、チェックアウトの手続きをし、カードで支払う。
支払いも終わった頃タクシーが来た。
国立へやってもらう。
台風の後の国立はさすがに人が少ない。
しかしさすがに良い展示物。
講習会に来ていた人にも再会した。同じく帰宅困難で連泊したそうだ。
観覧を楽しみ、向かいのハイアットでランチをとった。
そろそろ駅へ行かねばならない。
タクシーで八条口まで行く。ちょうど1時だ。
チケットの発券を受けて改札を通る。
ロビー階で土産を買い、ホームに上がった。
自由席はすごい人のようだ。私たちは指定席なので割と空いていた。
東京へ行くまでに満席になるのだろうけれど。
ちゃんと二人席が取れていて、やはり先生を窓側へ。
和服だとやっぱりそれなりに注目されるね。
どう見えているのだろうか。夫婦?コスプレ?
先生は乗車直後から寝てしまった。昨日やりすぎたかな。
寝顔を眺めたり、車窓を眺めたりしているうちに一駅手前だ。
先生を起こして降車する。
行きは駅で待ち合わせたが帰りは先生のお宅までご一緒する。
八重子先生に報告だ。
最寄り駅まで乗り継いでいく。
駅からタクシーを使った。快晴で暑いが京都よりはましだな。
「ただいまぁ」
「お邪魔します」
中は涼しいなークーラー入れてないのに。
「おかえり。台風大丈夫だったかい?」
「ええ。」
あれ、今日稽古日じゃなかったか?
先生は着替えてくるわ、と部屋に行ってしまった。
「幸い講習日は宿に戻るまで持ちましたし、その後は中でしたし。
キャンセルが出て部屋もそのまま泊まれました。」
「そりゃよかったねえ、こっちは今日は台風の後始末があるからって
 人が多くてね、お稽古はお休みにしたんだよ」
絹先生が戻ってきた。相変わらず着替えるの早い。
講習会の様子を話したり、今日行った国立の展示物について話したり。
泊まった部屋が茶室だって言うのに八重子先生が驚いている。
さすが京都、というが結構その辺にもあるんだな、これが。
私は東海で温泉探してるときに見つけてスゲーって思ったのが最初だ。
「山沢さん、実技で男点前教えてもらってたのよぉ。男装するならって」
「折衷案といいますか、蓋は袱紗でもほかは男のやり方でと。」
「じゃあ次からのお稽古は男の点前を教えようか。両方覚えると良いよ」
両方かぁ、覚えられるかな…。
そうこうしているうちに夕方だ。辞去することにした。

翌々日。
お稽古に伺った。
今日から男の点前もするのだが、紫の袱紗と大きい懐紙もいるかと聞いたら
着物を着てるときは必要だけど今はいらないとのこと。
いつもの袱紗で男の点前でお稽古していただく。
お稽古の後、八重子先生からお呼び出し。
バレたような感じはない。なんじゃらほい。
小間に行くとこないだの人だ。絹先生と男がホテルに行ったと注進しに来た人。
どうやら旅行帰りのときも見たらしい。
そういやぁ手を握ってしまってた気もしなくもない。
「悪いけどシャツ脱いでくれないかい?」
はいはい、信じてくれないってやつですね。
ひょいひょいとワイシャツを脱ぎ、インナーのシャツを脱ぎ、さらしをはずす。
「と、いうわけで、なんなら下も脱ぎましょうか?」
納得してもらえたらしい、下は脱がなくて良さそうだ。
何でそんなややこしいとかぶつくさ聞こえる。
「私は女性の服装が苦手なので男性の格好をしているのです。
まあ、結婚式なんかだと色無地も着ますよ。男着物は一種の洒落ですね」
帯結びも楽だし。
多分この人スピーカーだろうなあ。
「有名ホテルのランチってあまりハズレがないんで結構利用するんですよね。
 それに気分が悪くなっても部屋取れたりできるんで具合が悪いままに
 無理して帰宅しなくて良いので使い勝手が良くて。」
よしこれでどうだ。
「そういうこと、あるのかい?」
「昔はよく疝気やら貧血で気分悪くなってたんでそういう使い方してましたよ。
 今もたまに疝気はありますけどね」
これで"ご休憩"くらいの申し訳が立つかな。
新しいネタ獲ったどー!みたいな顔してるぜ、スピーカー。
ところでいい加減服着て良いだろうか。
「お母さん、ちょっと…あら。」
だあぁ、絹先生に乳見られたじゃないかっ。
八重子先生に来客とのことだ。
じゃあこのへんで、とかなんとかいってスピーカー帰ってっちゃったよ。
その間にササッとさらし巻いてシャツを着た。
「意外と大きいのね」
しっかり見られていた。
「ははは…私もそろそろ帰りますね…」
先生は、ふふって笑っている。

それから何回か稽古日が過ぎていった。
男の点前と女の点前がごっちゃになりそうだが、なんとかついていっている。
どうせなので男の単衣を何枚か作ろう。
八重子先生に相談したら、自分で着る分くらいは縫えるようになると良いと言われた。
お稽古のない水曜日に教えてくださるというので通うことにした。
売り物のような手の込んだことは教えられないけど、と。
まずは単衣から。
水曜が会社休みのときはお茶のお稽古の後泊り込むことが出てきた。
お茶の稽古に男着物を着て行くことも増え、
絹先生が男を引っ張りこんでいるなんて野暮な噂は消えたようだ。
あの旅行の後、二人になったときにキスくらいはするが手を出していない。
そんなとき、八重子先生がチケットをくれた。
熱海で開催される茶道具展だ。絹先生といって来いという。
一泊でも二泊でも良い、と。
ゆっくり見るんなら二泊だろうという話になった。
ちょうど暇な時期、会社も休みを取れるはずだ。
一応会社に確認したがかまわないと言われた。有休は売るほど残っている。
宿は熱海だし温泉宿だよな、やっぱり。
ここはやはり部屋露天のある離れだろう。たしかあそこ…。
ササッと調べると平日ということもあり空室、ラッキー。
稽古の後そのまま行けば良い。
絹先生が買い物から戻ってきたので告げると、身を堅くしている。
可愛いなぁちくしょう。
「楽しみですね」
と微笑んだところ、ぺちっと叩かれた。
「展示物が、ですよ」
頬を染めて、知らない、と庭に行ってしまった。
しかし八重子先生はどういうつもりなのだろう。
絹先生と年の近い気の合う弟子扱いなのか、はたまた知ってて知らぬ振りか。
前者のつもりで気をつけないとな。

旅行当日。
稽古終了直後、荷物を持って移動を開始した。
ついたらすぐ食事の予定だ。
せわしく乗車したが、熱海は乗ってしまえばたいした距離ではない。
温泉か。久しぶりだ。
宿に着いた。部屋はちゃんと離れになっていて、これならば、と思う。
和室と、寝室、露天、シャワーブースがあるのがいいね。
荷物を置いてそのままとりあえず食事。お酒も少々。
最近はどこも食事処が別だな。
熱海は海が近いから魚がうまい。
二人とも満腹になった。
デザートを持ってきた時に部屋へ酒を頼んでおく。
旦那さんも着物というのは珍しいですね、と言われた。
先生はオホホと笑ってごまかしている。
ここで旦那じゃないというと不倫旅行になるからな。
部屋へ戻る途次、絹さん、と呼んでみた。
「…なぁに?」
「私のこと宿の人が来るときだけ下の名前か、あなたって呼びますか?」
「そうねぇ、そのほうが良いかしら。じゃあ…久さん?」
なんか、いいなあ。
先生も何か照れくさそうだ。
部屋へ戻って荷物を広げていると酒が届いた。
若竹ってのを選んだのだが…瓶には"おんな泣かせ"って書いてある。
くっそ、こんなところで(笑)
「どうしたの?」
笑いすぎた。
荷物を片付け明日の用意をし、浴衣に着替えて酒の用意をする。
それと、手拭と縄を寝室に。
瓶を見て、先生がこっちを見ている。
「わざとじゃないですよ?たまたまです。泣かせたいですけどね」
もうすでにそれなりに顔が赤い。
「この間から、ずっとまたあなたを抱きたいと思っていたんですよ。
 こんな機会でもないとできませんからねぇ」
あ、先生、グラス一気に飲んじゃった。
新たについであげたが更に一気に。よっぽど恥ずかしいらしい。
「そんな飲み方はいけませんよ。ほら、これで」
とグイノミを手にとらせ酒を注いだ。
照れてるのも可愛いなぁ。
そっと胸を触るとすでに反応している。随分慣れてきたか。
声を我慢しているようだ。
「我慢しなくて良いんですよ?そのために離れを選んだんですから。
それに夫婦者と思われてるんです、聞こえたって良いじゃないですか」
首を振って身もだえする。
あれ?もしかして声を出すことになれていないのか?親と同居だもんなぁ。
しばらく弄りながら飲む。
そろそろいいか。
寝室につれて行くと見せかけ、柱に固定する。
手首など着物から見えるところは手拭を巻いてから軽く縄をかけた。
「何をするの…?」
先生は震えているが目は潤んでいる。
触れてみるといつもより濡れている。ゆっくり楽しむように触ってから、
足は閉じれないように固定する。
腰をきっちり固定して、逃げられないようにした。
良いところに触れるたび、声が漏れる。
今回は前回探したスポットを重点的に責める。
腰が逃げる余裕がないから、強制的に揚げてやることができる。
普段は出ないような声が出だした。もう少しだ。
叫び声が出て痙攣しはじめた。いつもより強くいけたようだ。
縄を解き、布団におろす。息が荒い。
落ち着くのを待って更に責める。
いったん堰を切ったからか声が出ている。
何度もいかせ、もうそろそろ無理そうなのでやめることにした。
私も腕が攣りそうだ。
先生がうとうとしはじめたので腕を取る。
跡が残りそうなところをクリームでマッサージしてから、寝た。

翌朝。6時半。
先に起きたので風呂に入り、和室でくつろいでいると先生が起きた。
「おはようございます。もう少し寝てても良いんじゃないですか?」
「んん、おはよう…あ…」
寝起きのキスいただき♪
「もぅ…お風呂はいってくるから」
その前に一戦…というのは断られてしまった(笑)
一緒に露天風呂に入って、先生の腕や足を確認する。
そう縄の跡は残ってないようだ。
昨日の痴態が気に入らないらしく、縄はいやよといわれた。
まぁ昨日のは腰が逃げないようにしたかっただけだしね。
一回堰を切ったからにはなくても何とかなるさ。
でもいつか自分から縛ってとか言わせて見たくはある(笑)
風呂から出て身づくろいをして朝食を頂きに行く。
朝は軽め。洋食の朝御飯だ。
部屋に戻って展覧会へ行く支度をする。
茶人らしく装う先生と、絽の長羽織に絽の長着の私。
つろくするかな?
二人連れ立って観覧に行った。
館内にはいろいろな茶道具が展示されている。
面白いな、と思ったのは玳玻釉だ。
曜変よりは好きだ。というか曜変も油滴もキモい。
そう先生に言ったら近くにいたおじいさんが滅茶笑ってた。
「あなたにはまだ使わせてなかったものねえ。でも禾目はどう?」
「ああ、あれは綺麗です。清水焼のですよね」
あ、じいさん驚いた顔しとる。
「昔、油滴のマグカップもらったんですけどもう使うに使えなくて(笑)」
「じゃ今度のお稽古は油滴ね。台天目して曜変で貴人しましょ」
うわぁ薮蛇った…。
がっくりしたまま色々見ていると、仁清の茶壷もあった。
これが有名な、偽者がそこらに山のように売られてる「仁清」の壷かぁ…。
昼を過ぎたので近くで食事を取ることにした。
午後からは起雲閣を回ると良いといわれていた。
敷地3000坪・建物1000坪とか。
ここから車で10分程度らしいというのでタクシーで移動する。
中を見学。すごく広い。
目の覚めるような群青色の和室。色彩センスが…。
和風建築のみかと思っていたが洋館がある。
天井は何かどこかで見たような・・・あ。歌舞練場の天井だ。
格子天井だな。なんというか和洋折衷。
一部、七条新地を思い出してしまった。すいませんごめんなさい。
しかし建築の手の込みようはすばらしい。
色々と建物を経巡り、庭を歩く。
喫茶室で一服。お抹茶をいただく。
洋風の重厚な喫茶室で、抹茶のミスマッチが楽しい。
先生はロシアンティ。なぜだ。
私はクッキーを、先生は和菓子を頼んでいたのだがやはり逆におかれていた(笑)
「普通は洋菓子と抹茶で頼まないですよねー」
「ほんとあなた和菓子苦手なんだから困るわぁ」
はは、お稽古のとき干菓子しか回せないですしね…。
ここから宿へは地図を見るまで気づかなかったのだがすぐそこだ。
時間はまだあるのでどうしようかと聞くと、海岸へ行ってみたいという。
ムーンテラスとかサンビーチとか書いてある。

なるほど親水公園か。
…恋人の聖地、だと?先生それわかってるのか?
いやきっとわかってないな。
手形スルーして海見てるしなっ。
近くによると砂浜で遊ぶ恋人達の多さよ。
そっと手を取り、降りますか?と聞く。
「この格好じゃ…無理ねぇ」
常着じゃないもんなあー今日は。
「若い人は良いわよねぇ」
「なにがです?」
「もう水着なんて着られないわよ、この年になると」
そっちか!
「イマドキはラッシュガードってもんがありましてですね…
下はパレオ巻くとかすれば良いじゃないですか。それとも日焼けが気になる?」
「ラッシュガード?」
「サーファーなんかが着てるシャツみたいなもんです
 パーカータイプもありますよ。長袖が多いです。
 紫外線と怪我防止に着るものですけどね。
 だけどあなたのビキニ姿も見てみたいな」
「やだもぅ」
照れておられる。かわいい。
「キスしたくなった」
「駄目よ」
ふふって笑っている。くっ、余裕だなっ。
夜は見てろよ…。
そろそろ戻ろうかということになって、宿への道を歩む。
「宿、ついたら大浴場行ってみてはどうです?」
露天風呂もあるし、広いお風呂は気持ち良いと思うんだ。
「そうねえ、あなたも入るんでしょ?」
「入りませんよ。この格好で夫婦者装ってるのに女湯はまずいでしょう」
めっちゃウケてる。
それに一緒に風呂に入るのは何かとしたくなって困るというのはある。
部屋に戻り、先生は着物を脱ぎ浴衣に着替え大浴場へ、私はここの風呂。
汗かいたなあ。しかも結構歩いた。
下帯と胸押さえに使っているさらしもざっと洗って干しておいた。すぐ乾くだろ。
浴衣を羽織ってぼんやりしていると先生が戻ってきた。
湯上り美人。見るたびに綺麗だなあと思ってしまう。
洗い髪を櫛巻きにしている。
髪を乾かしたら常着に着替えて晩飯だな。
その後はもちろん…ニヤリ。

食事処に行く。
今日は料理を量より質に変更してもらった。
地魚うまいなあ。こりゃコチか。夫婦仲良く釣れる魚だな。
ムーンテラスといい、コチといい、なんかついてるなぁ。
今日の酒は初亀の純米吟醸を一合ずつ。
部屋にはまだ昨日の酒があるので注文はしない。
飯も酒もうまかった。
部屋に戻って昨日の酒を出す。
今日はグイノミだけ。あまり酔わさずに食ってやろ。
横に座り、先生のグイノミにつぐと、くいっとあけられた。
もうひとつ勧め、口をつけられた時点で先生の胸をなぶりはじめた。
「あっ…だ、だめ…」
「酔わないとできないって言うんでしょう?」
大胆になりにくいよね。でも今日はほぼ素面で大胆になってもらうんだよ。
じゃないと日帰りでできないしね。
頬染めてすんごく我慢してる。それなのに漏れる声が可愛い。
大事に、丁寧に快感を追う。
昨日責めたところや、新たに見つけたポイント。
我慢が崩壊して、声が出てきた。よしよし、良い感じだ。
腰が動いてる。エロいな。次の機会があればディルドぶち込んでやろう。
いった後、一瞬現実に帰るらしくすごく恥ずかしそうだ。
素面の時にある、この抵抗感もすばらしい。
今日は疲れて寝ちゃうところまではやらない。
素面で現実に帰った後の会話を楽しみたいが…。
を、戻ってきた戻ってきた。
軽くキスをする。
「ひどいわ…」
なじられた。
「でも声、結構出てましたよ」
「ばか」
「戻ったらしばらくできませんね…もっとあなたを抱きたいのに」
恥ずかしがってるが、体は逃げてないからな。
もっと開発していつかはおねだりされてみたい(野望)
「展覧会…」
「そうですね、展覧会、もっと調べて行きましょうか。2泊3日くらいで」
「そ、そんなつもりでいったんじゃないのよ」
おー焦ってる焦ってる。
「ふふ、日帰りでも沢山行けば泊りがけも行きやすくなりますね」
恥ずかしがっているが、どんどん連れ出そうと思ってる。
「そのうち日帰りでしましょうね」
「そんなの、ばれちゃうわ…」
「バレたら八重子先生にどつかれるかな…でも私はあなたが好きだから」
どつかれても嫌われてなければ忍んででも逢いに行くさ。
不倫、か…。
「本当は、独り占めしたいんですよ?このままどこかに攫って行きたい」
「だめ…」
「わかってますよ、あなたには家族がある」
その後しばらく話しているうちに眠くなったようだ。
「そろそろ寝ます?寝不足で帰るわけに行かないでしょう?」
「そうねえ、寝ましょうか」

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