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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

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朝、暗いうちに起きる。
今日は市場見学だ。
寝ている先生の唇にキスをして部屋に置いて行く。
中央市場に着く。
なるほど、新築したというだけ有って綺麗だ。
店舗のブースも広く、通路も広い。
先に連絡してあったのでせり場や店舗なども案内していただいた。
だけど仲卸業者が少ないことに驚いた。
たった17しかない。
「築地や京都と比べると少ないでしょうが地方ですから」
まあ、たしかにそうなんだろうけど。
業者が少なくて土地が広いから1店舗あたりが広いのか。
荷物がなくて暇な日は閑散として嫌だろうなあ。
そしてやはりここでもスーパーの直接取引が問題となって居るようだ。
どこも抱える問題は似たり寄ったり。
さて入荷するものはやはり東北・北海道のものが多いとか。
地物はそこまではないのかと思ったがただの時化だった。
色々と仲卸や大卸のお話を伺う。
10時半ごろ、お客さんたちも引けたようなので見学を終了して戻ることにした。
ああ、疲れた!
部屋に戻ると先生はもうちゃんと着物を着て化粧もしていて、綺麗だ。
「先生、綺麗ですね。ただいま。ちょっと待っててくださいね」
服を着替えてスーツ姿に戻る。
昨日買って置いた利休バッグに先生の財布の入ったバッグや化粧品などを入れて貰い、
湯沢からそのまま先生が帰れるように用意した。
「さて、と。忘れ物はないですね、パンツとパジャマは後日お届けしますから」
「そうね、多分ないわよ」
「で、先に飯食って塩沢行って湯沢行きます?」
「うーん、お腹すいちゃったしそれでいいわ」
「どこ行きます?」
「おそば食べたいわ。へぎそば、ここのあたりの名産よね?」
「はいはい、じゃ一度表通り出ましょう。ちょっとうまい店があるらしいんで」
一旦ホテルから出て駅前の通りへ向かい右折。
ほんとに近くにあった。
先生は天麩羅そば、私はそば御膳。
天麩羅そばは天麩羅が乗っているのではなく別の皿で出てくる。ざるそば方式だ。
私の頼んだものはそばと、丼物のセット。
ご飯を少なめにしてもらいひれカツ丼でお願いした。
お酒も頼み、昼酒うまいなあ。
満腹・ほろ酔い機嫌で塩沢まで。
新幹線に乗って浦佐で下車、乗り換えて塩沢へ。
うお、寒い!
聞くとあちらとは3度くらい違うらしい。
まっすぐ行って一本目を左折して直進、右手角にあると聞いてその通り歩くと有った。
織物体験も出来るようだ。
少しやってみるが中々に難しい。
いざり機もあり、上布を作るのに使うそうだ。
塩沢はいわゆる厩機を使うそうである。
西陣はすでに手織機ではなく力織機を使っている。
力織機は量産には良いのだが、上布のような湿度管理が必要なものは織れないらしい。
十日町小唄に有るように雪の間はいざり機や高機に座って織るものなんだろう。
ここと十日町はそう離れていない、似たようなものだろう。
まあどこも後継者不足、手間を考えると反物の価格が上がるのも仕方ない話といえる。
納得しつつ、反物も見せていただく。
さすがの本塩沢。
これ、いいな。と思うと先生も気になっていたようだ。
先生の肩に当てて貰うと顔映りもいい。
だけどあちらの人が首をひねる。いくつか出してきてくれた。
そのいくつかを当てると更に良い、うんと先生に合う物があった。
これでいくら?仕立て込みで25?買った!
採寸してもらい、前幅を少し広めにお願いするのはお茶の人ならでは。
勿論パールトーン加工や胴裏八掛も良いものをお願いする。
後日先生のお宅に送ってくださるそうだ。
私は私で気に入った反物を買う。
「それは8万5千円、B反だけど貴方の体格なら隠れますよ」
安い。どの辺がB反?と思うとちょうど帯で隠れるようなところに柄の乱れ。
こんな程度でB反扱いか。
反物としては流通させられなくて仕立て上がりなら流通させられる。
けれど仕立て上がりにするには勿体無い織地だからB反で売ってるらしい。
八重子先生にも何か買いましょうと言うと、バッグを買って欲しいといわれた。
本塩沢のバッグ、へぇ。
ついでにストールを買った。
お買物も終えて、湯沢に向かうことにする。
記念館を出てさっきのストールを先生に纏わせる。
外寒いしね。

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