台所を片したら後は初釜の細かい打ち合わせだ。
明後日だからね、色々と用意がある。
細々と動いて話し合って。
俺は朝は来られないから。
電話。
律君からで友人宅に泊まるとか。
孝弘さんは離れかな。
何合炊くか変わるから後で確認しよう。
連休と言うのにゆったりとも出来ず、抜け落ちはないかなど確認して。
さぁそろそろ晩御飯を。
孝弘さんは…いない。
「先生、離れにおられませんよ」
「あらそう? どうしようかしら」
なんて会話をしていると電話があり、ご飯不要、どこかに泊まってくるとのこと。
「あらあら、じゃ何食べましょうね」
「手の込まないものでいいですよ、俺は」
「んー、とりあえずお野菜洗ってくれる?」
「はい」
ご飯を炊いて野菜を洗って渡すとササッと炒め物。
お漬物と、ポークチャップとつけあわせ。
美味しく晩飯もいただいて。
お風呂に入る。
風呂上り暑くて胸元を広げてくつろいでると開さんが来た。
「しまいなさい、胸!」
絹先生に叱られた。
そんなに慌てなくともいいのに。
「どうしたの?兄さん」
「家の鍵落とした…」
「なんかよく落としますね。この間も何か落としてませんでしたっけ」
「あー財布?」
「でしたっけ?」
「で、母さんうちの鍵持ってない?」
「ちょっと待って、探してみるわ」
「姉さんは?」
「仕事で帰ってこない」
「会社にとりに行けばいいんじゃないの?」
「姉ちゃんの会社まで遠いんだよ」
引き出しの鍵の中から探しているがどうやら見つからないらしい。
「泊まっていい?」
開さんはがくーっとしている。
「いつもの部屋で寝るの?お布団敷いてくるわよ」
「頼む」
絹先生が布団を敷きに行き、俺はそろそろ熱気も冷め炬燵に入る。
「やーほんと外寒いねえ」
「この辺やっぱり山が近いだけに寒いですよね。風呂まだ湯抜いてないからどうですか」
「ああ、そうしなさいよ。お父さんの浴衣出してあげるから」
「そうするよ」
開さんが風呂に行かれた後、絹先生が戻ってきた。
「あら兄さんは?」
「お風呂ですよ」
「お湯まだ抜いてなかったの?」
「ええ、あとでもう一度浴びようかと思ってたので」