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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

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187

暫くぼんやりしてると体が冷えてきた。
もうちょっとこうしていたいが仕方ない。
縁側に上がり雨戸を閉める。
うー、さぶい。
寝間に入ると先生に引き寄せられた。
「こんなに冷えて…」
「先に寝てたら良かったのに」
「お風呂、入りましょ」
「は?」
「さっきお湯張ったから一緒に、ね?」
手を引かれて風呂場へ。
「え、いや、なんで突然?」
「だって庭に出た気配がしたから。御風呂入らなきゃ風邪引いちゃうわよ?」
そこでそういう発想になるのが先生らしいというかなんと言うか。
脱衣所で寝巻きを脱いで風呂場に入る。温かい。
掛り湯をすると体が冷えていたことが実感できる。
先生が浴槽をまたいだときに白いものが見えた。
むっ、まだあったのか、白髪。今度切ってやろう…。
そう思いつつ、一緒に浴槽に入る。
ううーっ。気持ちいい。
思わずうなり声が漏れた。
先生がくすくす笑って、俺の頬をなでる。
されるがままに触れられていると私の肩に頭を乗せてきた。
胸を撫でられる。
渋い顔をしたのに気づいたようで、胸から私の腕へと撫でる場所を変えた。
暫くしてその手が止まり、首に生暖かい感触。
なんだ!と思えば寝ていた。
撫でる側が先に寝るとか、しかも風呂で。
体もそれなりに温まったので先生を起こして浴槽から出る。
先生の体を拭いて自分を拭いて、寝巻きを着せて自分も着る。
抱き上げて寝間に連れて行き布団に降ろした。
布団をかぶせれば5秒ももたずに寝息が聞こえる。
さて。
眺めていると落ち込んできた。
二階、確か布団あったな。
そっと部屋を出て二階に上がる。階下の温気でほのかに温かい。
布団を敷いて寝た。
朝の冷気で目が覚める。
時計を見ればそろそろ起きる時間だ。
寝間に戻る。まだ先生は寝ていた。
起こさぬよう着替えて台所へ。
とりあえず米だ。炊こう。
炊き始めた頃八重子先生が起きてきた。
シャケを焼いて味噌汁と納豆を出すことに決まって焼く。
すべて整い、皆を起こす。配膳して朝食をいただいた。
先生はまだおきてこられない。
少し迷ったが、用事が有ると言い、帰ることにした。
帰宅してすぐに布団に入る。
明日お稽古がなくて幸いだ。
来週までにはなんとか持ち直せるだろうけれど。
突撃が怖い…いや、まさか家元初釜の時期に突撃はないだろう、うん。
携帯が鳴る。取りたくない。暫く鳴って留守電に変わる。
やはり先生からだ。気がついたら電話して頂戴、と。
気がつかなかった。気がつかなかったよ。気がつくのはきっと日曜さ。
布団を引き被って寝る。
メール。先生から。
同じ文言。気がつかない。知らない。知らない。知らない。
携帯を寝室から投げ捨てて寝た。

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