ちょいちょいっと袋に詰め込み片付ける。
すぐ後を追うと八重子先生が先生に何してたのか聞いていた。
「山沢さんがコンドーム持ってきちゃったのよ…こんなに種類が有るんです、って」
ぶっと八重子先生がお茶吹いてる。
「そういうことであれだったの?」
「山沢さんが全部見せてるときに律が急に入ってきたのよ…」
ひょいと居間に入る。
「片付けておきましたよ」
「山沢さん、そんなにいま色々有るのかい?」
「んー、一時に比べるとそうでもないですが匂い付が増えましたね」
「"家族計画"しか知らないからねぇ」
「でしょうね。わざわざ面白いのとか買ってきたんですよ」
「だからって」
「勿体無いじゃないですか。律君のお友達にあげてくれって律君に言ったんですよ」
「ほんと山沢さんってさばさばしてるよね…」
「というか羞恥心がない」
「確かに」
「でなんで突然にコンドーム?」
「以前何かの話のときにコンビニに売ってる自体ご存じなかったので、
今は色々有るって話をしまして。で、現物お持ちしたわけです」
「コンビニにそんなの有ったかねえ」
「目に入りにくいんですよ、大体男性化粧品の辺りにあります」
「へぇ…律、あんたも彼女出来たらちゃんと使いなさいよ」
律君の顔が赤い、純情だなぁ。
先生もなんか照れてるが。
はい、と八重子先生がお干菓子を下さって食べる。
先生方は薯蕷を。
うーむ、お茶が美味しい。
と、見ていたら先生が薯蕷の皮だけくれた。
食べていると律君が引いている。
あ、先生の歯形ついてた。皮。
食べ物の口移しをやってるからまったく忌避感なく食ってしまった。
先生も気にしてないな、その辺は。
「雪、止んできたねぇ」
「あらそうねえ、明日積らないのかしら」
天気予報を見るとそれほどでもなく、夜半には霙、明日朝には晴れるようだ。
「お風呂そろそろ沸いたかしら。お父さんに先に入ってくれるように言って頂戴」
先生に言われて律君は離れに孝弘さんを呼びに行った。
律君が戻ってきて炬燵に入る。
先生は物足りなかったのか蜜柑を剥きだした。
四半分ほどを私にくれて食べる。
「うっ…」
「あら、酸っぱかった?じゃ全部食べて」
うなづいて残りも貰うと律君がお母さん、それはちょっと、と言う。
「食べかけとか酸っぱいのとか…酷いんじゃない?」
「あら、酸っぱい方が身体によさそうじゃない」
「なんとなくそういう気しますよね」
だが実は甘い蜜柑とそう変わらないんだよね。
先生が身体に良さそうだからとくれるものは断れん。
と思いつつ残りを食べる。